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HANDEL 1744 |
HWV58
オラトリオ 英語
初演：1744年2月10日、ロンドン、コヴェントガーデン劇場
台本：ウィリアム・コングリーヴ
1730年代末からヘンデルは徐々にオラトリオに比重をかけていきます。「サウル」、「エジプトのイスラエル人」、「メサイア」、「サムソン」と立続けに意欲的な作品を発表した次に来るのがこの「セメレ」です。
「セメレ」は初演当時から「オラトリオなのか、オペラなのか？」と議論されていたものです。
確かに、ぱっと聞いた感じはオペラ的ですし、登場人物もギリシャ神話の人々です。この点、聖書から題材を取っている他のオラトリオとは大分違います。少なくとも舞台で上演しようと思えば簡単にできるものではあります。
一方、ヘンデルの他のオラトリオとの共通点は、台本が英語で書かれていること、合唱が効果的に使われていることなどがあげられます。
確かに舞台上演の可能性を強く意識して作られた作品ではあるでしょう。しかし、話の本質はオペラとはちょっと異なるものです。
セメレはジョーヴェ（ジュピター）と愛し合っているのですが、それを嫉妬したジョーヴェの妻ジュノーの計略にかかり、ジョーヴェに雷神の姿で現れるよう約束させ、そのため燃えてしまいます。
この時代のイタリアオペラのハッピーエンドとはやや趣が異なりますし、またいらぬ欲望は身の破滅を招くというメッセージ性は、オペラというよりはオラトリオの特徴といえるでしょう。
もちろん、どちらかに分類しなければならないというわけではなく、両者の特徴を兼ね備えたユニークな作品として受けとめれば良いでしょう。
音楽的には、当然ではありますが、セメレに与えられた音楽に魅力的なものが多数あります。
Danielle de Niese, Paul Agnew, Guillemette Laurens, Louise Innes, Sébastien Fournier, Jonathan May, Susan Miller, Ernesto Tres Palacios
Chæur et orchestre Opera Fuoco
David Stern
Paris, July 2003
PIERRE VERANY PV704021/22
ド・ニース、アグニュー、ロランスなど、キャストは豪華ですが、スターン（アイザック・スターンの息子）の指揮が極めて凡庸で、どうにも歯痒いです。しかもカットがかなり多いのも問題。
Anna Ryberg, Angus Wood, Sally-Anne Russell, Stephen Bennett, Tobias Cole, Belinda Montgomery, Shelli Gilhome, Paul McMahon, Craig Everingham
Sirius Ensemble, Cantillation
Antony Walker
Sydney, 4, 5, 6 ,7, 9 December 2002
ABC Classics 980 047-0
オーストラリア、シドニーのピンチガット・オペラの公演のライヴ録音。演奏会形式ではなく、舞台上演なので、客席から盛んに笑いが湧き上がっています。
ウォーカーの指揮が優れており、ライヴということもあって、第3幕など、かなり盛り上がっています。歌手は優れた人はおらず、装飾歌唱がたどたどしいなど、弱点がかなり目立つものの、全体としては十分楽しめるものになっています。
Kathleen Battle, John Aler, Marilyn Horne, Samuel Ramey, Michael Chance, Neil Mackie, Sylvia McNair, Mark Doss
English Chanber Orchestra, Ambrosian Opera Chorus
John Nelson
London, May 1990
DEUTSCHE GRAMMOPHON POCG-1676/8(Japanese domestic)
モダン楽器の演奏。1985年2月のニューヨークのカーネギーホールでの演奏会形式上演が好評だったため、その時のキャストを中心に商業用録音されたもの。
バトルの人工的な歌い方に好みが分かれるでしょう。他は。ホーン、レイミー、エイラー、チャンス、さらに脇役のアイリスにマクネアーと、かなり豪華なキャストです。
ネルソンの指揮も生き生きしており、名歌手たちの饗宴を盛りたてています。
Norma Burrowes, Patrizia Kwella, Anthony Rolfe Johnson, Timothy Penrose, Robert Lloyd, David Thomas, Maldwyn Davies, Della Jones, Catherine Denley, Elisabeth Priday
English Baroque Soloists, Monteverdi Choir
John Eliot Gardiner
London, March 1981
ERAT 2292-45982-2
ガーディナーが丁寧な音楽を作ろうとしているのは分かるのですが、全体に気の抜けたような演奏になってしまっています。またセメレ役のバローズは明らかに弱点。ロルフ・ジョンソンとロイドが良い出来です。
HWV59
オラトリオ 英語
初演：1744年3月2日、ロンドン、コヴェントガーデン劇場
台本：ジェイムズ・ミラー
Yvonne Kenny, James Bowman, Catherine Denley, Michael George, Connor Burrowes, John Mark Ainsley
Th Choir of New College, Oxford, The Choir of The King's Consort
The King's Consort
Robert King
19-25 March 1996
hyperion CDA67171/3