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HANDEL
1708




RESURREZIONE

HWV 47
オラトリオ(イタリア語)
初演:1708年4月8日、ローマ、ボネッリ宮殿
台本:カルロ・シジスモンド・カペーチェ Carlo Sigismondo Capece

Camilla Tilling, Kate Royal, Toby Spence Sonia, Prina, Luca Pisaroni Le Concert d'Astrée
Emmanuelle Haïm
Lille, 15, 17, 19 April 2009
EMI Virgin CLASSICS 6945670

Stefanie True, Klaartje van Veldhoven, Kristine Gether, Marcel Beekman, Mitchell Sandler
Contrasto Armonico
Marco Vitale
Delft, Autumn 2008
Brilliant Classics 93805

Nancy Argenta, Maria Cristina Kiehr, Marijana Mijanovic, Marcel Reijans, Klaus Mertens
Combattimento Consort Amsterdam
Jan Willem de Vriend
Enschede, 26 Apreil 2001
CHALLENGE CLASSICS CC 72120(DVD + CD)

CHALLENGE CLASSICS CC 72120

DVD(NTSC)もCDも演奏内容は同じです。しかもDVDには全曲の音を収録したCD2枚がついています。

Annick Massis, Jennifer Smith, Linda Maguire, John Mark Ainsley, Laurent Naouri
Les Musiciens du Louvre
Marc Minkowski
Paris, Apreil 1995
ARCHIEV PRODUKTION POCA-1146/7 (Japanese domestic)

Nancy Argenta, Barbara Schlick, Guillemette Laurens, Guy de Mey, Klaus Mertens
The Amsterdam Baroque Orchestra
Ton Koopman
Utrecht, September 1990
ERATO 2292-45617-2

Emma Kirkby, Patrizia Kwella, Carolyn Watkinson, Ian Partridge, David Thomas
The Academy of Ancient Music
Christopher Hogwood
London, March 1981
L'OISEAU-LYRE 421132-2

Lisa Saffer, Judith Nelson, Patricia Spence, Jeffrey Thomas, Michael George
Philharmonia Baroque Orchestra
Nicholas McGegan
Berkley, California, 15 & 17 June 1989
HARMONIA MUNDI FRANCE HMA 1907027.28


ACI, GALATEA E POLIFEMO

HWV 72
カンタータ イタリア語
初演:1708年7月19日、ナポリ、アルヴィート公の館
台本:ニコラ・ジューヴォ

 1708年の夏(おそらく5月から7月にかけて)ヘンデルはナポリに滞在しています。この滞在中、彼は「アチ、ガラテアとポリフェーモ」を上演しています。この作品はアルヴィート公とベアトリーチェ・サンセヴェリーノとの結婚式に上演されるために作られたもので、おそらくベアトリーチェが依頼したものでしょう。6月16日完成、7月19日の結婚式で上演されています。

 ギリシャ神話のアーキスとガラテアの話について簡単に説明しておきましょう。
 パン神の息子、アーキスはシチリアの美しい羊飼い。彼は海の妖精ガラテアと愛し合っていますが、美しい彼女に一つ目の巨人ポリュペーモスが横恋慕をしてしまいます。ガラテアが一向に振り向いてくれないので、嫉妬に狂ったポリュペーモスはアーキスに巨大な岩を投げつけ殺してしまいます。彼の死を嘆くガラテアを哀れに思い、ゼウスは彼の血を川に変え、海へと流れていくようになった、というもの。
 ジューヴォの台本も、人名がイタリア読みになった以外はほとんどこの流れに則っています。

 「アチ、ガラテアとポリフェーモ」はカンタータに分類されている作品ですが、規模は小さいながらも、基本的にA-B-Aのダ・カーポ・アリアの連続で成り立っていますし、合唱も用いられておらず、かなりオペラに近い作品です。ただし個々の曲はこじんまりしており、後のロンドンでのオペラのような豪華さはありません。
 アチのアリアでは、ト短調のメランコリックな"Che non può la gelosia"、チェンバロだけで伴奏される"Dell'aquila l'artgli"、オーボエとヴァイオリン・ソロのオブリガートが美しい"Qui l'augel da pianta in pianta lieto vola"と、どれも素敵な曲です。また死のアリア"Verso già l'alma col sangue"は、完全に8分音符だけで出来ている伴奏(流れ出るアチの血を表しているのでしょうか)が印象的です。
 ガラテアでは、"Benchè tuoni e l'etra avampi"でのヘンデルらしい華やかな装飾が見事でしょう。また"S'agita in mezzo all'onde"は3/8拍子ですが、これを三連譜に分割して実際には9/16のようにしているのが特徴です。Bの部分での、フルート・トラヴェルソとヴァイオリンニ群のピッツィカート伴奏にハッとさせられます。
 二人の恋人に与えられた音楽がいささか控えめなのに比べると、バスが歌う怪物ポリフェーモに与えられた曲はどれもかなリ高い水準が要求されています。登場のアリア"Sibilar l'angui d'Aletto"では二本のトランペットとオーボエが派手に絡みます(ご存知の通りこの曲は後に「リナルド」に−さらに派手になって−転用されます)。驚くべきは"Fra l'ombre e gl'orrori"です。ここでヘンデルは何と低いD音から一点Aまで、実に2オクターヴと5度という恐ろしく広い音域を要求しているのです!しかも高いAから即座に低いDに落としているのですから、歌うほうには大変なことこの上ありません。このぎこちない上がり下がりによって、ヘンデルはポリフェーモの無骨さを表そうと思ったのでしょうが、同時にポリフェーモ役を歌った歌手の力量を示そうともしたのでしょう。この時のポリフェーモはジュゼッペ・マリーア・ボスキであったという意見があります。高い音を引っ張れるバスだったというボスキなら、Aくらいまで出せたかもしれません。
 アリア以外には、アンサンブルが4曲、このうち、幕開きのアチとガラテアの二重唱と、幕切れの三重唱を除いた二つはどちらも劇の上で効果的なものです。ちょうど中間点におかれている"Proverà lo sdegno mio"はダ・カーポがないので規模は小さめですが、三者三様の感情がコンチェルタートに表現されています。一方"Dolce...Caro"では、アチとガラテアの美しい二重唱に嫉妬に怒り狂うポリフェーモがレチタティーヴォ風に挟みこまれています。

 この作品ではアチとガラテアの声の配分は難しい課題です。羊飼いの少年アチがソプラノなのに対し、ガラテアがアルトでは、現代の耳ではどうしてもイメージが逆に聞こえてしまうのです。初演時ソプラノ・パートを受け持ったのが女声のソプラノなのかカストラートだったのか私には分かりませんでしたが、どちらにせよ現代の上演ではソプラニスタを活用してもよいのではと思われます。

Stefanie True, Luciana Mancini, Mitchell Sandler
Contrasto Armonico
Marco Vitale
Delft, 15-17 October 2007
BRILLIANT CLASSICS 93665

Sandrine Piau, Sara Mingardo, Laurent Naouri
Le Concert d'Astrée
Emmanuelle Haïm
Alfortville, 26-31 December 2002
Vergin VERITAS 5 45557 2

同じ内容、装丁でCCCD(5 45580 2)もあるのでご注意を。

Daniela Uccello, Sonia Turchetta, Giancarlo Tosi
Camerata del Titano
Augusto Ciavatta
San Marco, 15-17 November 1999
DYNAMIC CDS272

 モダン楽器による演奏。全体に柄の大きな演奏です。
 ヘンデルのオリジナルにはない序曲を追加しています

Emma Kirkby, Carolyn Watkinson, David Thomas
London Baroque
Charles Medlam
October 1986
HARMONIA MUNDI FRANCE HMA1901253.54

 だいぶ穏やかな演奏。カークビーの歌は悪くないものの、役柄には今一つ合いません。




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1750 1751 1752 1757
Appendix 1 Appendix 2 Appendix 3


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