オペラ御殿 メインメニューに戻る


1728




SIROE, RE DI PERSIA

HWV24
オペラ イタリア語
初演:1728年2月17日、ロンドン、ヘイマーケット国王劇場
台本作家:ニコラ・フランチェスコ・ハイム

 

Ann Hallenberg, Johanna Stojkovic, Sunhae Im, Gunter Schmid, Sebastian Noack, Timm de Jong
Cappella Coloniensis
Andreas Spering
Köln, May 2003
Harmonia Mundi France HMC901826.27

D'Anna Fortunato, Julianne Baird, John Ostendorf, Andrea Matthews, Steven Rickards, Frederick Urrey
Brewer Baroque Chamber Orchestra
Rudolph Palmer
New York, September 1989
Newport Classics NCD 60125


TOLOMEO

HWV25
オペラ イタリア語
初演:1728年4月30日、ヘイマーケット国王劇場
台本作家:ニコラ・フランチェスコ・ハイム


作曲

(準備中)


初演

 《トロメーオ》の初演は、1728年4月30日、ヘイマーケットの国王劇場で行われました。初演に出演した歌手は、以下のような人たちでした。

TolomeoFrancesco Bernardialto castrato
SeleuceFrancesca Cuzzonisoprano
ElisaFaustina Bordonisoprano
AlessandroAntonio Baldialto castorato
AraspeGiuseppe Maria Boschibasso

 初演は、5月21日までに計7公演行われました。
 セネジーノこと、フランチェスコ・ベルナルディのトロメーオを筆頭に、フランチェスカ・クッツォーニ、ファウスティーナ・ボルドーニ、ジュゼッペ・マリア・ボスキと、この時期のヘンデル・オペラのスターたちが揃っています。

 ヘンデルは、その後、二度《トロメーオ》を舞台にかけています。
 1730年、《パルテーノペ》の公演に続いて、5月19日から6月13日までに7公演がありました。

TolomeoAntonio Bernacchialto castrato
SeleuceAnna Maria Stradasoprano
ElisaAntonia Maria Merighicontralto
AlessandroFrancesca Bertollicontralto
AraspeAnnibale Pio Fabritenore

 キャストは《パルテーノペ》の初演メンバーに準じています。エリーザがソプラノからコントラルトに、アレッサンドロがアルト・カストラートからコントラルトに、そしてアラスペがバッソからテノーレに変わっています。
 こうした変更の結果、1730年の楽譜では、かなりの改編が加わっています。

 さらに1733年1月2日から16日までに、4公演がありました。これは1月27日に初演された《オルランド》に先立つもので、キャストもほぼ共通しています。

TolomeoFrancesco Bernardialto castrato
SeleuceAnna Maria Stradasoprano
ElisaCeleste Gismondisoprano
AlessandroFrancesca Bertollicontralto
AraspeAntonio Montagnanabasso

 アレッサンドロがアルト・カストラートからコントラルトに変わった以外は、基本的に1728年の時と同じ声の配列です。


あらすじ

トロメーオ エジプト王。羊飼いオズミーノを騙っている。
セレウチェ(※) トロメーオの妻。羊飼いの娘デリアを騙っている。
アラスペ キプロス島の王。
エリーザ アラスペの妹。
アレッサンドロ トロメーオの弟。

※ Seleuce は二重母音 eu にアクセントがあり、「レ」の音が強くなります。

 キプロス島。

第1幕
 キプロス島の海岸。エジプト王だったトロメーオが嘆いている。彼の母であり共同統治者であったクレオパトラは、トロメーオの弟アレッサンドロを玉座に据えるために、トロメーオを退位させ、キプロス島に流したのだった。しかもキプロス島へ向かう間に、愛する妻セレウチェを海で見失ってしまっていた。絶望の余り、トロメーオは海に身を投げようと考える。ふと、男が海で溺れているのを見つける。男は助けられるが、気を失ってしまう。その顔を良く見ると、それはアレッサンドロだった(彼はクレオパトラの命を受け、トロメーオを殺害しにキプロスにやって来たのだった)。こみ上げる復讐の思いを堪えて、トロメーオは立ち去る。キプロス王アラスペの妹、エリーザがやって来る。彼女は、羊飼いに恋をしてしまったことに悩んでいる。彼女は気を失ったアレッサンドロを見つける。意識を取り戻したアレッサンドロは、エジプトの王子であることを明かす。エリーザはアレッサンドロを小屋へと案内する。アレッサンドロはエリーザに心奪われてしまう。
 アラスペの別荘のある田舎。トロメーオの妻セレウチェは、羊飼いの娘デリアと騙り、夫トロメーオを捜している。アラスペが彼女に愛を打ち明けるが、セレウチェは受け入れない。アラスペは、アレッサンドロとの面会に向かう。セレウチェは、夫が見つかるよう願う。
 エリーザはオズミーノ(=トロメーオ)の住む小屋にやって来る。彼女は、消沈してばかりのオズミーノを別荘に招いて去る。トロメーオは、死んだ(と思っている)妻に思いを馳せ、そして母と弟への復讐を願いながら、やがて眠り込んでしまう。セレウチェがトロメーオを捜してやって来る。彼女は、眠っている羊飼いが夫だと気付く。しかしその様子をアラスペが密かに見ていた。自分を撥ね付けておきながら羊飼いの男と恋に落ちるとは、とアラスペは腹を立て、トロメーオを殺そうとする。セレウチェはトロメーオを起こし、逃げ去る。トロメーオは、デリアなどという娘は知らないと反論するが、嫉妬に狂ったアラスペは、トロメーオにここから遠く離れるよう命じる。苦しむトロメーオは、セレウチェのことを忘れられれば、と言いかけて、しかしそんなことはできないと、彼女への思いを募らす。

第2幕
 エリーザは愛するオズミーノを捜している。そのトロメーオは、混乱した状況に自棄になって、自分が羊飼いオズミーノではなくトロメーオであることをエリーザに明かしてしまう。アラスペは、オズミーノがまだ居残っていることに怒る。エリーザは、オズミーノをデリアの元に連れて行って、言っていることが本当か嘘か調べようとアラスペに提案する。エリーザはトロメーオに同情を寄せるも、残酷な同情だとトロメーオから反発される。
 苦悩するセレウチェの元に、トロメーオが連れて来られる。トロメーオは妻を見つけて喜ぶが、セレウチェはエリーザに用心して、そんな羊飼いは知らないと、トロメーオを狂人扱いして立ち去ってしまう。途方に暮れるトロメーオ。この様子を見たエリーザはトロメーオに対し、自分を愛してくれれば命を助けてあげるし、エジプトの玉座に戻してあげることもできる、と唆す。しかしトロメーオは、愛するのはセレウチェだけだと答え、去って行く。怒るエリーザ。そこにアレッサンドロが、アラスペからエリーザとの仲が認められたと喜んでやって来る。エリーザは、トロメーオが生きている限りアレッサンドロの玉座は脅かされるのだから、トロメーオを殺してしまいなさい、と求める。余りの要求にアレッサンドロは困惑してしまう。実は彼も、エジプト王には兄が相応しいと思っており、トロメーオを解放したいと思っているのだ。彼は、エリーザへの愛と、彼女の残酷さの間に板挟みになる。
 森の中。セレウチェとトロメーオは、お互いに捜し合ってさまよう。アラスペはセレウチェを見つけ、無理やり抱きしめようとするが、トロメーオが妻を助け、自分がトロメーオであることを明かす。アラスペは激しく怒り、彼を捕らえさせる。トロメーオは、妻が生きていれば満足して死ねると言い、夫妻は嘆きながら別々に連れ去られる。

第3幕
 アレッサンドロは、母クレオパトラが亡くなったとの報せを読み、兄トロメーオと共にエジプトに帰国する決意をする。しかしトロメーオを捕らえたアラスペは、アレッサンドロにトロメーオ殺しを唆す。アレッサンドロは、本心を隠し、トロメーオが捕らえられていれば心配はないと答える。アラスペは、アレッサンドロが弟殺しの咎を恐れていると考え、殺害を誰かに代行させればアレッサンドロが喜ぶだろうと考える。
 エリーザはセレウチェに、トロメーオを諦めるよう迫る。そして、もしトロメーオがエリーザとの結婚を拒むなら、彼は死なねばならないと告げる。トロメーオがやって来る。セレウチェは夫を説得しようとするが、彼女にはできない。トロメーオはエリーザに、セレウチェを失うなら死ぬ方がいいと答える。エリーザは激しく怒り、セレウチェを生かしておけぬと言って去って行く。トロメーオはエリーザの従者たちに、自分を殺せばいいと胸を差し出すが、連行されてしまう。
 森の奥。アレッサンドロが従者たちを待っている。そこに処刑へと連行されるセレウチェが通りがかる。アレッサンドロは護衛たちを追い払い、セレウチェを救出すると、自分は味方だと告げ、トロメーオの救出に向かう。セレウチェは希望を取り戻す。
 トロメーオは、エリーザから渡された毒杯を呷る。彼は、あらゆる人々、さらには神々までをも非難し、ただセレウチェだけを思い、倒れてしまう。駆けつけたアレッサンドロは、倒れ伏したトロメーオを見て驚く。アラスペは、これでセレウチェは自分のものだと喜ぶ。それに対しエリーザは、セレウチェ処刑の命を下したことを打ち明け、またトロメーオの命を救おうと、毒を睡眠薬に摩り替えていたことを明らかにする。目を覚ましたトロメーオは、アレッサンドロが救出したセレウチェと再会し、二人は喜び合う。兄弟は和解し、セレウチェと共にエジプトに戻って、トロメーオがエジプト王になることになる。一同の喜びで幕となる。


史実の人々

 《トロメーオ》の登場人物は、ほとんど実在の人物です。
 タイトルロールのトロメーオとは、プトレマイオス9世ソテル2世(紀元前130頃?−紀元前80頃)のこと。彼の玉座は安定せず、都合3回エジプト王に就いています。
 プトレマイオス9世は、プトレマイオス8世(紀元前182頃紀元前116)と、クレオパトラ3世(紀元前161−紀元前101、彼女がオペラの中で言及されるクレオパトラ)の息子です。プトレマイオス8世がクレオパトラ3世に息子との共同統治を求めていたために、父の死後、母と共同統治を開始します(紀元前116年から紀元前110年まで)。しかし、母との仲が悪く、謀反の疑いをかけられて玉座を追われてしまいます。後任は彼の弟プトレマイオス10世アレクサンドロス1世(オペラでのアレッサンドロ)で、やはりクレオパトラ3世と共同統治に当たりました。プトレマイオス9世はキプロス島に逃れています。しかしクレオパトラ3世はプトレマイオス10世も気に入らず、彼を追い出してプトレマイオス9世を呼び戻しています(紀元前109年から紀元前107年まで)。ところがまたもプトレマイオス10世がクレオパトラ3世の共同統治者に復活します。そして紀元前101年、プトレマイオス10世は母クレオパトラ3世を殺害し、基本的に単独の王になります。彼が紀元前88年に亡くなると、プトレマイオス9世が復帰、亡くなる紀元前81年まで三度目の王座についていました。
 なお、プトレマイオス(この伊語名がトロメーオ)やクレオパトラという名前は、プトレマイオス朝にたくさんいて、後世になってからその名に「〜世」を付けて区別しています。歴史上最も有名である、《ジューリオ・チェーザレ》にも登場するトロメーオとクレオパトラは、プトレマイオス13世(紀元前62頃−紀元前47)と、その姉クレオパトラ7世(紀元前70頃−紀元前30)で、異なる時代の別人なのでご注意ください。


音楽

 《トロメーオ》の音楽の構成は次のようになっています。

《トロメーオ》の音楽設計一覧図

 (以下準備中)


近代における復活

 意外にも《トロメーオ》は早くに復活しています。1938年6月には、ゲッティンゲンのヘンデル・フェスティヴァルで上演(これがドイツ初演)されています。
 さらに戦後、1963年から65年まで、3年連続でハレのヘンデル・フェスティヴァルで上演されています。
 ピリオド演奏による本格的な復活蘇演は、1996年のハレのヘンデル・フェスティヴァルの上演です(参考文献のCDをご覧ください)。2000年以降は、演奏会形式上演も含めると、比較的上演があります。


参考資料

Händel / Tolomeo / Klavierauszug nach dem Urtext der Hallischen Händel-Ausgabe / Bärenreiter-Verlag / Ba4058a
Handel's operas 1726-1741 / Winton Dean / Boydell & Brewer Ltd / 2006 / ISBN 1843832682
Handel / Donald Burrows / Oxford University Press / 1994
ヘンデル 作曲家・人と作品シリーズ / 三沢寿喜 / 音楽之友社 / 2007 / ISBN 9784276221710
ヘンデル / クリストファー・ホグウッド / 三沢寿喜 訳 / 東京書籍 / 1991
ヘンデル 大音楽家人と作品 15 / 渡部恵一郎 / 音楽之友社 / 1966

Ann Hallenberg, Karina Gauvin, Anna Bonitatibus, Romina Basso, Pietro Spagnoli
Il Complesso Barocco
Alan Curtis
Tuscania, September 2006
ARCHIV PRODUKTION 477 7106

ハレンベリ、ゴーヴァン、ボニタティブス、バッソ、スパニョーリと、歌手は全員優れています。
カーティスの指揮はいたって堅実。反面、あまりにも穏健過ぎて、ドラマが温めなところがあるのが欠点です。

Axel Köhler, Linda Perillo, Brian Bannatyne-Scott, Romelia Lichtenstein, Jennifer Lane
Händelfestspielorchester des Opernhauses Halle
Howard Arman
Halle, 1996
EDITION OPERNHAUS-HALLE 400-540-2

ハレのヘンデル音楽祭の上演の際の録音ですが、ライヴではありません。上演は1996年6月6、9日に行われています。
エリーザ役のリヒテンシュタインが一頭地抜けた出来栄え。他はそこそこという程度。トロメーオ役がカウンターテナーなので、役の雰囲気がだいぶ変わります。
アルマンの指揮は、あまり愉悦感はありませんが、速いテンポの曲でのキビキビした音楽は悪くありません。
第3幕のトロメーオのアリア Se l'interno vedono pur i numi をカット。

Jennifer Lane, Brenda Harris, Peter Castaldi, Andrea Matthews, Mary Ann Hart
Manhattan Chamber Orchestra
Richard Auldon Clark
New York, March 1995
VOX VOX3 7530




1705 1706 1707 1708 1709
1711 1712 1713 1715 1718
1719 1720 1721 1723 1724
1725 1726 1727 1728 1729
1730 1731 1732 1733 1734
1735 1736 1737 1738 1739
1740 1741 1742 1743 1744
1745 1746 1747 1748 1749
1750 1751 1752 1757
Appendix 1 Appendix 2


ヘンデル御殿のホームページに戻る

オペラ御殿 メインメニューに戻る