1732 |
HWV29
オペラ イタリア語
初演:1732年1月15日、ヘイマーケット国王劇場
台本:ピエトロ・メタスタージョ
ヘンデルは《ポーロ》に続いてこの《エツィオ》でもメタスタージオの台本を取り上げています。
エツィオとはローマの将軍エティウスのこと(ヴェルディの《アッティラ》に登場するエツィオです)。この物語はエツィオがアッティラを破り凱旋するところから始まります。彼にはフルヴィアという許婚がいますが、皇帝ヴァレンティニャーノが彼女をものにしようとします。また皇帝はエツィオを愛する妹オノーリアを彼に与えようとします。一方フルヴィアの父マッシモは皇帝の暗殺を計画します。彼が放った刺客からかろうじて逃れた皇帝はエツィオに疑いをもち、彼を捕らえます。その他いろいろあるのですが、おもしろいのは皇帝は第3幕の途中でフルヴィアをあきらめます。普通ならここでめでたし、なのですが、突然エツィオが殺されたという知らせが。そうこうしているうちにマッシモが皇帝を殺そうとする場面になり、そこにエツィオが登場、皇帝を助けみなを許し幕となります。
《エツィオ》の上演には一人心強い歌手が加わりました。バスのアントーニオ・モンタニャーナです。彼の声は美しく技巧も優れ、なにより驚くほど広い声域を滑らかなに歌うことができました。彼のためにヘンデルはヴァーロという重要な役を付け加えています。この役はドラマを冷ややかに見ているような役で、不思議な印象を残します。そして彼の能力を完全に引き出せるよう、ヘンデルは第2幕に Nasce al bosco という大変素晴らしいバスのアリアを作り上げています。ヘンデルはよほどモンターニャに感心したのでしょう、次の《ソザルメ》でも同様にモンターニャに重要な役を与えています。
この作品のもう一つの特徴は、レチタティーヴォ・アンコンパニャートを重用していることでしょう。第2幕のフルヴィアの"Che fò"に到っては、アリアは伴わずレチタティーヴォ・アンコンパニャートだけで終っています。ここでの苦悩する彼女の様子は大変効果的です。
さて、初日の公演にはパトロンであるジョージ二世が臨席しました。
ヘンデルは軍隊音楽が好きな国王の好みを汲み、幕切れ近くのヴァーロのアリア"Già risonar d'intorno"のためだけにわざわざトランペットを使用し、勇壮なものにしています。
ヘンデルの目論見通り国王はこのオペラを気に入って劇場まで何度か足を運んでくれたのですが、肝心の一般の人気は悪く、5回の公演で打ち切られてしまいました。
Ann Hallenberg, Karina Gauvin, Sonia Prina, Marianne Andersen, Anicio Zorzi, Giustiniani, Vito Priante
Il Complesso Barocco
Alan Curtis
Lonigo, September 2008
ARCHIV PRODUKTION 477 8073
D'Anna Fortunato, Julianne Baird, Jennifer Lane, Nathaniel Watson, Frederick Urrey, Raymond Pellerin
Manhattan Chamber Orchestra
Richard Auldon Clark
New York
VOX VOX2 7503
HWV30
オペラ イタリア語
初演:1732年2月15日、ロンドン、ヘイマーケット国王劇場
台本:ジャコモ・ペルティ作曲のオペラの台本をもとに、しかし設定を大幅に変更している
Aler, Baird, Fortunato, Minter, Lane, Watson, Pellerin
Amor Artis Orchestra
Somary
New York, 1993
NEWPORT CLASSIC NPD 85575
HWV 50b
オラトリオ 英語
初演:1732年5月2日
台本:不明(アレクサンダー・ポープとジョン・アルバスノート?)