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VERDI
1884




DON CARLO
Versione in quattro atti
Milano, Teatro alla Scala, gennaio 1884

初演:1884年1月10日,ミラノ,スカラ座
台本:
原作:


大改訂

 《ドン・カルロス》は、パリでの初演の後しばらくの間、イタリアではおおよそ言葉がイタリア語に直された程度の形で上演されていました。一方でヴェルディは、この作品をもっと大幅に手直ししたいと考えていました。
 1882年、既に《オテロ》の制作に着手していたヴェルディは、これを中断する形で《ドン・カルロ》の大改訂を敢行しています。

 長大さがイタリアでの上演の妨げになっていると判断したヴェルディは、第1幕を削除して4幕仕立てに縮小しました。したがって、改訂後の第1幕から第4幕は、それまでの第2幕から第5幕に対応します。一つの幕を丸ごと削除するというのはずいぶん思い切った決断のようにも思えます。ただ、カットされた5幕版の第1幕はシラーの原作にはない、台本作家たちの創作箇所だったので、削除にはあまりためらいがなかったのでしょう。
 残った四つの幕においても徹底的な改編が施されました。主な改編は、以下の通りです。

第1幕
(5幕版での第2幕)

情景と祈り

カルロの登場から新しい音楽に差し替え。そして、5幕版の第1幕にあったカルロのロマンツァをハ長調に移調、修正を加えた上で、新たに差し替えた音楽部分に移している。

カルロとロドリーゴの二重唱

Allegro agitato(ロドリーゴの登場)から Allegro assai moderato (Dio, che nell'anima の二重唱)の前までを全面的に改訂

ロドリーゴとフィリッポの二重唱

全面的に改訂

第2幕
(第3幕)

導入
(エリザベッタとエボリが衣装を交換する場面)

削除。
新たなオーケストラのみの前奏曲に差し替え

バレエ

削除

第3幕
(第4幕)

情景と四重唱

大幅に改訂

情景とエボリのアリア

情景は全面的に改訂。エボリのアリアは、初演版の音楽を下敷きに大幅な加筆をしたもので、オーケストラがはるかに雄弁になっている。

フィナーレ(暴動の場面を含む)

初演後すぐに短縮され、さらに全面削除されていたが、新たな音楽で短く復活

第4幕
(第5幕)

情景,別れの二重唱と最終場面

カルロの登場以降を全面改訂

 なおヴェルディはフランス語台本で改訂作業を行い、伊語歌詞は、基本的にロージェールの歌詞を踏襲しつつ、アンジェロ・ザナルディーニが新たに作成しました。


ミラノ稿でのあらすじ

フィリッポ2世 スペイン国王
ドン・カルロ スペイン皇太子
ロドリーゴ ポーザ侯爵
大審問官
修道士
エリザベッタ・ディ・ヴァロア
エボリ公女
テバルト、エリザベッタの小姓
レルマ伯爵
国王の布告者
天からの声

物語の前置き
 スペイン皇太子ドン・カルロとフランスの王女エリザベッタは、幼くして結婚を決められていた。カルロがフランスに渡った折、二人はフォンテーヌブローの森で出会い、愛を燃え上がらせる。だが、当時不和だったスペインとフランスの関係を修復するため、エリザベッタはカルロの父、スペイン国王フィリッポ2世と政略結婚することになってしまった。

第1幕
 1560年頃、スペイン、サン・ジュスト修道院。修道士たちが、先王カルロ5世も今は灰、偉大なのは神だけだ、と祈っている。そこに絶望したカルロが現れ、遂げられぬ恋に苦しむ。すると、一人の修道士が、平安は神のもとにしかない、とカルロに語りかける。カルロの唯一の友人ロドリーゴがカルロを見つける。カルロは、エリザベッタへの愛に苦悩していることを明かす。ロドリーゴは、愛を忘れ、スペインの圧政に苦しむフランドルの民を救うため立ち上がるよう鼓舞する。礼拝に訪れたエリザベッタとフィリッポに動揺するカルロだったが、ロドリーゴに励まされ、二人は固い友情を誓い合う。
 修道院の門前。女官たちが寛いでいる。エボリ公女は、サラセンの美女とムーアの王モアンメドの物語を歌う。エリザベッタが陰鬱な面持ちで修道院から出てくる。ロドリーゴはエリザベッタに、母后からの手紙を届けると同時に、カルロからの書状をエリザベッタに密かに手渡す。そしてロドリーゴは、苦悩するカルロに会ってほしいとエリザベッタに願い出る。一方エボリは、カルロが自分への愛ゆえに苦悩している勘違いしてしまう。エリザベッタはお付のアレンベルク伯爵夫人までも下がらせ、一人カルロと面会する。カルロはフランドルへの出立を王に取り成してほしいと願うが、王妃として振舞おうとするエリザベッタに激して、気を失ってしまう。彼に同情するエリザベッタだったが、カルロの愛の訴えを退け、母を祭壇に導くには父王を殺すことになる、と諌める。たまらずカルロは去っていく。そこにフィリッポがやって来る。王妃が一人でいたことに立腹し、アレンベルク伯爵夫人に帰国を命じる。エリザベッタは、泣き崩れる伯爵夫人を優しく慰める。女官たちが退くと、フィリッポは、帰国後顔を見せないロドリーゴに声をかける。彼は圧政に苦しむフランドルの窮状を訴える。フィリッポは、異端者の死によって平和がもたらされると答えるが、ロドリーゴは、それは墓場の平和だと反論する。直裁な物言いに驚きつつ感心する王だが、大審問官には注意するよう告げる。さらにエリザベッタとカルロの関係について、ロドリーゴに協力を求める。

第2幕
 庭園。逢引の手紙を受けたカルロがエリザベッタを待っている。しかし手紙の主は実はエボリ。そうとは知らぬカルロは、ヴェールで顔を隠したエボリに熱烈に愛を打明けてしまう。人違いだと分かり動揺するカルロの様子から、エボリは彼が愛しているのはエリザベッタであることを見抜く。激怒するエボリに対し、駆けつけたロドリーゴは短剣を抜くが、カルロに止められる。三者の激しい三重唱。憤然とエボリが退くと、ロドリーゴは、カルロから危険を遠ざけるため危険な書類を自分に託すよう求める。
 大聖堂の前の広場。人々が国王を讃えている。火刑に処される異端者たちが引っ立てられ、フィリッポによって処刑が宣告される。そこにカルロとフランドルの使節たちが現れ、救済を願う。さらにカルロはフランドルの保護者になることを求めるが、王はこれを拒む。するとカルロは、自分がフランドルの救済者になるのだと、王の前で剣を抜いてしまう。国王はカルロの剣を取り上げよう命じるが、誰も手を出そうとしない。すると、ロドリーゴがカルロに剣を渡すよう求め、カルロもこれに従う。フィリッポはロドリーゴに公爵位を授ける。火刑台に火が放たれ、人々が処刑に歓喜する中、天から救済の声が響く。

第3幕
 王の部屋。フィリッポはエリザベッタに愛されぬことを苦悩する。フィリッポに呼び出された大審問官が現れる。フィリッポは、剣を抜いたカルロを罰したいのだが、死刑に処しても自分が許されるものなのか尋ねる。大審問官は問題ないと答える。すると今度は大審問官は、ロドリーゴが異端者ゆえ引き渡すよう王に求める。フィリッポが、忠臣を引渡すわけにはいかぬと拒むと、大審問官は、フィリッポまでもが異端審問に召喚されることを仄めかす。フィリッポが和解を願っても、大審問官は言葉をはぐらかし去っていく。そこにエリザベッタが、宝石箱が盗まれてしまったとフィリッポに訴える。しかし宝石箱はフィリッポの元にあり、その中にはカルロの肖像があった。フィリッポがエリザベッタの不義を詰ると、あまりのことに彼女は気を失ってしまう。エボリとロドリーゴが駆けつける。哀れな王妃の姿を目の当たりにしてエボリは動揺する。一方ロドリーゴは、さらに危険な状況に陥ったカルロを救うため、自らが犠牲になることを決意する。エボリはエリザベッタに、宝石箱をフィリッポに渡したのは自分だと告白し、さらに国王と不倫関係にあったことまで明かす。エリザベッタは、国外退去するか尼僧になるがよいとエボリに言い放つ。エボリは、思い上がりを生み出した自らの美貌を呪い、修道院に入る決意をする。だがその前にカルロを救おうと急ぎ立ち去る。
 牢。ロドリーゴはカルロに、預った書類によって自分が反逆の重要人物とされ、カルロの身代わりとなって死ぬであろうと告げ、カルロにフランドル救済を託す。銃弾に倒れたロドリーゴは、サン・ジュスト修道院でエリザベッタが待っていることを伝え、息絶える。牢にやって来たフィリッポも、ロドリーゴの死を嘆く。そこにカルロの解放を求めて人々がなだれ込み(エボリがカルロを救うため人々を扇動したのだ)、その隙にカルロは逃亡する。暴動は大審問官によって鎮圧される。

第4幕
 サン・ジュスト修道院。エリザベッタはカルロを待ちながら、かつてのカルロとの愛を思い起こす。カルロがやって来る。エリザベッタは、ロドリーゴの遺志を継いでフランドルの人々のために生きるようカルロに訴える。二人が別れを告げているところに、フィリッポと大審問官がカルロを捕らえに来る。だがそこに修道士が現れ、カルロを保護する。大審問官はそれがカルロ5世だと認めて慄き、エリザベッタは気を失って倒れる。



初演

 改訂された《ドン・カルロ》は、1884年1月10日にスカラ座で初演されました。

Don CarloFrancesco Tamagnotenore
Elisabetta di ValoisAbigaille Bruschi Chiattisoprano
Filippo IIAlessandro Silvestribasso
La Principessa EboliGiuseppina Pasquamezzosoprano
RodrigoPaul Lhériebaritono
InquisitoriFrancesco Navarinibasso
Un monacoLeopoldo Crombergbaritono
TebaldoAmelia Gartensoprano
Il Conte di LermaAngelo Fiorentinitenore
Un araldo realeAngelo Fiorentinitenore

SceneCarlo Ferrario
CostumiAlfredo Edel
Direttore del coroGiuseppe Cairati
Direttore d'orchestraFranco Faccio

 タイトルロールを歌ったフランチェスコ・タマーニョ(1850−1905)は、1880-90年代のイタリアを代表するドラマティック・テノール。1877年にスカラ座での初舞台を踏んでから、この劇場で数々の重要なオペラに出演しました。ヴェルディではこの他、《シモン・ボッカネグラ》の改訂稿初演(1881年、スカラ座)のガブリエーレ・アドルノ役、《オテロ》初演(1887年、スカラ座)のタイトルロールを歌っています。心臓を病み、1904年に引退。その前後にオテロ役を含むいくつかの録音を残しています。
 アビガイッレ・ブルスキ・キアッティ(生没年不詳)については、あまり詳しい情報が伝わっていません。1879年1月11日、トリノのレージョ劇場でのボッテジーニ《エーロとレアンドロ》(台本はボーイトがトビア・ゴッリトの名前で書いたもの)初演でエーロ役を創唱。1882年3月22日、ローマのアポッロ劇場で初演されたドニゼッティの《アルバ公爵》(マッテオ・サルヴィによる補筆版)の初演で、アメーリア・ディ・エグモントを歌っています。スカラ座には1883年にアレヴィ《ユダヤの女》で初出演。その翌年に大改訂した《ドン・カルロ》の初演に出演しました。しかし精神面で弱さがあったようで、スカラ座の《ドン・カルロ》では、緊張あまりすっかり固くなってしまい、不評だったと伝えられています。そのためか、1885年頃には早々に舞台から引退してしまったようです。
 ジュゼッピーナ・パスクワ(1855−1930)はペルージャ生まれ。1869年、生地でのヴェルディ《仮面舞踏会》のオスカル役でデビュー。その後メッゾソプラノに転向。1878年、スカラ座で《アイーダ》のアムネリスを歌い、大成功を収めました。後に《ファルスタッフ》初演(1893年、スカラ座)でクイックリー夫人を歌っています。ヴェルディは彼女のため、《ファルスタッフ》を一応書き上げていたにもかかわらず、第2幕第2部の冒頭にクィックリー夫人の短いソロを書き加えました。
 フランス人ポール・レリは、元々テノールで、1875年のビゼー《カルメン》初演でドン・ジョゼを歌っていました。その後バリトンに転向し、スカラ座で活動していたのです。

 初演は大成功を収めました。以来今日まで《ドン・カルロ》の上演はこの4幕版が主流です。初演r>地に因んでミラノ版と呼ばれることも多くあります。


音楽

 改訂された部分の音楽は、ヴェルディ晩期の輝かしく充実した音楽の特徴をもっており、5幕版の第1幕が削除されたことも併せ、《ドン・カルロ》の性格がかなり変貌する結果となっています。
 例えば、第1幕(5幕版での第2幕)第2場のロドリーゴとフィリッポの二重唱は、音楽素材は多く共通していながらも、音楽の印象は大改訂前後でかなり異なります。大改訂前の音楽では、ロドリーグ(=ロドリーゴ)は自由を求めるばかりの直情的な人物に描かれています。しかし大改訂後の音楽では、ロドリーゴとフィリッポの性格はより一層の深みが増し、両者の感情のぶつかり合いのスケールが大きくなっています。
 大改訂では、大アンサンブルがコンパクトにされたことも特徴です。第3幕(5幕版での第4幕)、第4幕(5幕版での第5幕)の二つの幕のフィナーレは、どちらも短く簡潔に改められています。
 ことに第4幕の幕切れは、オリジナルの静かに余韻を残す音楽から一転して、輝かしい音楽に改めています。ヴェルディは、《運命の力》のフィナーレでは、オリジナルの激しい音楽を静かな音楽に改訂し、《アイーダ》でも《オテッロ》でも静かな幕切れを選んでいますから、《ドン・カルロ》では正反対のことをしていることになります。これはおそらくドラマ的な観点からのことでしょう。カルロ5世の亡霊とおぼしき修道僧がカルロを墓に引き入れる幕切れ(これは原作にはなく、台本作家たちの創作場面)が取って付けたようだったので、あえて輝かしい音楽でドラマティックな幕切れにして、弱点を補おうとしたのではないでしょうか。

 総じて、大改訂後の《ドン・カルロ》は、 晩年のヴェルディの熟練した筆によって充実した音楽になったことは事実でしょう。その一方で、音楽の様式にかなりムラが生じてしまったことも事実です。


関連項目

《ドン・カルロス》 1866/67年 初演準備稿
《ドン・カルロス》 1867年2月 オペラ座 総練習
《ドン・カルロス》 1867年3月 オペラ座 初演
《ドン・カルロス》 1867年3月 オペラ座 再演
《ドン・カルロ》 1867年10月 ボローニャ イタリア初演
《ドン・カルロ》 ナポリ サンカルロ劇場 1872年
《ドン・カルロ》 1886年12月 モデナ市立劇場 モデナ稿 5幕版


参考文献

Rolando Villazón, Amanda Roocroft, Robert Lloyd, Violeta Urmana, Dwayne Croft, Jaakko Ryhänen, Marisca Mulder, Giorgio Giuseppini, Cinzia Forte
Royal Concertgebouw Orchestra, De Nederlandse Opera Chorus
Riccardo Chailly
Willy Decker
Amsterdam, 2004
OPUS ARTE DENNON TDBA-5014-5 (DVD NTSC Japanese domestic)

Luciano Pavarotti, Daniela Dessì, Samuel Ramey, Luciana d'Intino, Paolo Coni, Alexander Anisimov, Marilena Laurenza, Andrea Silvestrelli, Orfeo Zanetti, Mario Bolognesi, Nuccia Focile
Coro e Orchestra del Teatro alla Scala
Riccardo Muti
Franco Zeffirelli
Milano, 11, 15 & 19 December 1992
EMI CLASSICS 5 99442 9 (DVD NTSC)

Luciano Pavarotti, Daniela Dessì, Samuel Ramey, Luciana d'Intino, Paolo Coni, Alexander Anisimov, Marilena Laurenza, Andrea Silvestrelli, Orfeo Zanetti, Mario Bolognesi, Nuccia Focile
Coro e Orchestra del Teatro alla Scala
Riccardo Muti
Milano, December 1992
EMI CLASSICS 7 54867 2

José Carreras, Mirella Freni, Nicolai Ghiaurov, Agnes Baltsa, Piero Cappuccilli, Ruggero Raimondi, Edita Gruberova, José van Dam, Horst Nitsche, Carlo Meletti, Barbara Hendricks
Berliner Philharmoniker, Chor der Deutschen Oper Berlin
Berlin, 15-20 September 1978
EMI CMS 7 69304 2

国王伝令官役のカルロ・メレッティという人物は、どうやらカップッチッリのようです。

Nicolai Gedda, Edda Moser, Kurt Moll, Brigitte Fassbaender, Dietrich Fischer-Dieskau
Radio-Symphonie-Orchester Berlin
Giuseppe Patané
Berlin, 4-9 September 1973
EMI CLASSICS 5 74710 2

ドイツ語によるハイライト。約52分収録。

Franco Corelli, Montserrat Caballé, Cesare Siepi, Grace Bumbry, Sherrill Milnes, John Macurdy, Frederica von Stade, Paul Plishka, Leo Goeke, Rod MacWerther, Lucine Amara
Metropolitan Opera Orchestra, Metropolitan Opera Chorus
Francesco Molinari-Pradelli
New York, 22 April 1972
MYTO 2MCD 022.261

Franco Corelli, Gundula Janowitz, Nicolai Ghiaurov, Shirley Verrett, Eberhard Waechter, Martti Talvela, Edita Gruberova, Tugomir Franc, Ewald Aichberger, Judith Blegen
Chor und Orchester der Wiener Staatsoper
Horst Stein
Wien, 25 October 1970
ORFEO D'OR C 649 053 D

ウィーン国立歌劇場でのライヴ。ステレオ録音。
MYTOからもCDが出ており(3 MCD 983.189)、棟梁はこっちの音の方が好きです。

Placido Domingo, Rita Orlandi Malaspina, Nicolai Ghiaurov, Shirley Verrett, Piero Cappuccilli, Martti Talvela, Edith Martelli, Antonio Zerbini, Gianfranco Manganotti, Piero de Palma, Maria Candida
Coro e Orchestra del Teatro alla Scala
Claudio Abbado
Milano, 19 April 1970
HUNT PRODUCTIONS 3 HUNTCD 582

1968年の上演に比べると余裕のある演奏になっています。タイトルロールがドミンゴに替わり、ドラマティックな表現が増しています。ヴァーレットは力不足。
なお、このCDと、新潮社から発売されたCDブックでは、天の声役がマルゲリータ・グリエルミ Margherita Guglielmi となっていますが、グリエルミが歌ったのは4月13日の初日だけ(二日目の4月16日はキャンセル)で、4月19日を含めた他の日はほとんどをマリア・カンディダが歌っています。

Bruno Prevedi, Rita Orlandi Malaspina, Nicolai Ghiaurov, Fiorenza Cossotto, Piero Cappuccilli, Martti Talvela, Maria Casula, Antonio Zerbini, Gianfranco Manganotti, Piero de Palma , Margherita Guglielmi
Coro e Orchestra del Teatro alla Scala
Claudio Abbado
Milano, 7 December 1968
EUROPA MUSICA 051-035

スカラ座の1968/69年シーズンの開幕公演。演出はジャン=ピエール・ポネル。
まだアッバードとスカラ座が噛み合い切っていませんが、アッバードの新しい世代の音楽に感化され、興奮のある上演になっています。ただ、若い頃のアッバードに顕著な、音楽の呼吸感を押し殺してしまう癖が時々見られます。
歌手では全盛期のカップッチッリが見事。ギャウロフも若々しい声ですが、後年に比べると表現が大仰。プレヴェディは気高さのある声が素晴らしいものの、音程にやや難があります。コッソットは見事な声ながら、いつも通りただひたすら一本調子。オルランディ・マラスピーナは声の魅力が今一つ。

Placido Domingo, Sena Jurinac, Cesare Siepi, Fiorenza Cossotto, Mario Sereni, Ivo Vinco, Laurence Dutoit, Tugomir Franc, Erich Majkut, Lotte Rysanek
Chor und Orchester der Wiener Staatsoper
Silvio Varviso
Wien, 17 June 1968
STANDING ROOM ONLY SRO 850-2

ドミンゴは前年1967年5月に、ドン・カルロでウィーン国立歌劇場にデビューしたばかりでした。

Bruno Prevedi, Leyla Gencer, Nicolai Ghiaurov, Fiorenza Cossotto, Sesto Bruscantini, Luigi Roni, Virginia de Notaristefani, Athos Cesarini, Franco Pugliese, Fernando Jacopucci, Giovanna di Rocco
Orchestra e Coro dell'Opera di Roma
Fernando Previtali
Roma, 24 April 1968
MELODRAM MEL 37022

Sándor Kónya, Gwyneth Jones, Nicola Rossi-Lemeni, Biserka Cvejic, Sesto Bruscantini, Antonio Zerbini, Mirella Fiorentini, Franco Pugliese, Sergio Baldi, Giuseppe Baratti, Bianca Mauri
NHK Symphony Orchestra
Oliviero de Fabritiis
Tokyo, 4 September 1967
KING RECORDS KIBM1048 (Japanese domestic)

上演は、1967年9月2,4,6,9日,東京文化会館で行われました。これが《ドン・カルロ》の日本初演でした。

Charles Craig, Gwyneth Jones, Jerome Hines, Fiorenza Cossotto, Gabriel Bacquier, William Wildermann, Nino Meneghetti, Héctor Bandalla, Tota de Igarzábal
Orquesta y Coro Estables del Teatro Colón
Oliviero de Fabritiis
Buenos Aires, 9 June 1967
MYTO 3MCD 034.287

Franco Corelli, Raina Kabaivanska, Nicolai Ghiaurov, Oralia Dominguez, Louis Quilico, Nicolai Ghiuselev, Nancy Hicks, Jospeh Salvador, Natale de Lazzari, Jerry Helton, Janice Cavalier
Chorus and Orchestra of the Philadelphia Lyric Opera
Anton Guadagno
Philadelphia, 25 October 1966
MELODRAM CDM 27511

フィラデルフィアでの公演のライヴ録音。CDM 27511では、Hartfort Opera Association(=シンシナティ・オペラ。正しくは Hartfort でなく Hartford)と表示されていますが、誤りです。MYTO 2 MCD 024.269で抜粋が発売されており、こちらではフィラデルフィアでの公演と正しく表示されています。

Franco Corelli, Leonie Rysanek, Giorgio Tozzi, Irene Dalis, Nicolae Herlea, Hermann Uhde, Marcia Baldwin, Justino Díaz, Gabor Carelli, Robert Nagy, Junetta Jones
Metropolitan Opera Orchestra, Metropolitan Opera Chorus
Kurt Adler
New York, 7 March 1964
LIVING STAGE LS 4035171

ポーザ役のニコラエ・ヘルレアは、これがMETデビューだったそうです。彼のサイトで、この時の写真が見られます。
なお、指揮者のカート・エイドラー Kurt Adler(1907-1977)は、チェコ出身でメトで活躍した指揮者。サンフランシスコ歌劇場の監督を務めた、オーストリア出身の指揮者、カート・ハーバート・エイドラー Kurt Herbert Adler(1905-1988)とは別人。

Giuseppe Zampieri, Gré Brouwenstijn, Jerome Hines, Regina Resnik, Aldo Protti, Hans Hotter, Susana Rouco, Juan Zanin, Italo Pasini, Per Drewsen, Maria Rosa Malatesta
Orquesta y Coro Estables del Teatro Colón
Fernando Previtali
Buenos Aires, 15 September 1962
LIVING STAGE LS 1027

Franco Corelli, Mary Curtis Verna, Jerome Hines, Irene Dalis, Mario Sereni, Hermann Uhde, Louis Sgarro
The Metropolitan Opera Orchestra and Chorus
Nino Verchi
Ner York, 15 April 1961
GREAT OPERA PERFORMANCES G.O.P 739

抜粋。

Eugenio Fernandi, Sena Jurinac, Cesare Siepi, Giulietta Simionato, Ettore Bastianini, Marco Stefanoni, Margareta Sjöstedt, Nicola Zaccaria, Carlo Schmidt, Norman Foster, Anneliese Rothenberger
Wiener Philharmoniker, Chor der Wiener Staatsoper
Herbert von Karajan
Salzburg, 26 July 1958
Deutsche Grammophon 447 655-2

Angelo Loforese, Anita Cerquetti, Cesare Siepi, Fedora Barbieri, Ettore Bastianini, Giulio Neri, Liliana Poli, Paolo Washington, Enzo Guagni, Alberto Lotti Camici, Iselle Favati
Orchestra e Coro del Maggio Musicale Fiorentino
Antonino Votto
Firenze, 16 June 1956
MYTO RECORDS 3 MCD 993.210

Mario Filippeschi, Antonietta Stella, Boris Christoff, Elena Nicolai, Tito Gobbi, Giulio Neri, Loretta di Lelio, Plinio Clabassi, Paolo Caroli, Orietta Moscucci
Coro e Orchestra del Teatro dell'Opera di Roma
Gabriele Santini
Roma, October 1954
EMI CLASSICS 7 64642 2

Libero de Luca, Aase Nordmo-Lövberg, Josef Greindl, Dagmar Herrmann, Hugo Hasslo, Hans Herbert Fiedler, Drothea Georgi, Siegmund Roth, Helmut Kretschmar, Rita Streich
Sinfonie-Orchester des NWDR Hamburg, Chor des Nordwestdeutschen Rundfunks Hamburg
Wilhelm Schüchter
Hamburg, April 1953
RELIEF CR 1922

ドイツ語。エボリ公女のヴェールの歌が収録されていませんが、元々録音されていなかったのか、CD化に際してカットされたのかは不明。

Mirto Picchi, Maria Pedini, Nicola Rossi-Lemeni, Fedora Barbieri, Enzo Mascherini, Romeo Morisani, Laura Cavalieri, Armando Torti
Orchestra e Coro del Teatro Carlo Felice
Franco Capuana
Genova, 6 March 1953
gala GL 100.761


1834-1836 1839 1840 1841 1842
1843 1844 1845 1846 1847
1848 1849 1850 1851 1853
1854 1855 1857 1858 1859
1862 1865 1866 1867 1869
1871 1872 1881 1884 1886
1887 1893 1894


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