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ROSSINI
1822-2



CORRADINO
(MATILDE DI SHABRAN)
Wien, Kärntnertortheater, Mai 1822

初演:1822年5月7日,ウィーン,ケルントナートール劇場

 大成功の《ゼルミーラ》に続き、ウィーンのケルントナートール劇場では《マティルデ・ディ・シャブラン》が、《コッラディーノ》という題名で上演されました。
 この時、ロッシーニは再度《マティルデ》に手を加えています。もっとも、今回の改訂はナポリ稿に若干の修正を加えた程度です。
 主な相違点は二箇所。
 第一に、ウィーンでの上演なので、わざわざナポリ方言を使う意味はなく、イジドーロを普通のイタリア語に戻しています。
 第二に、コッラディーノにアリアを与えています。ローマ初演稿ではコッラディーノに《リッチャルドとゾライデ》から転用したアリアが与えられていましたが、ナポリ稿でこれを削除してしまったため、コッラディーノにはアリアがない状態になっていました。そこでウィーンでの上演では、《エルミオーネ》から転用したアリアを与えています。


関連項目

《マティルデ・ディ・シャブラン》(ローマ初演稿)
《美女と鉄の心》 (《マティルデ・ディ・シャブラン》ナポリ稿) 1821年12月,ナポリ,フォンド劇場

Akie Amou, Ricardo Bernal, Roswitha Müller, Maurizio Leoni, Noé Colin, Agata Bienkowska, Thomas Ruf, Gioacchino Zarrelli, Paval Baxa
I Virtuosi di Praga, Czech Chamber Chorus
Francesco Corti
Bad Wildbad, 22 & 25 July 1998
BONGIOVANNI GB 2242/44

ドイツ、バート・ヴィルトバートのロッシーニ音楽祭でのライヴ録音。ウィーン稿をもとにしていますが、コッラディーノのアリアはありません。
バート・ヴィルトバートの音楽祭の上演としては良い出来だと思います。指揮のコルティが長大な音楽をうまくまとめています。
天羽 明惠がマティルデ役で出演しています。


MAOMETTO SECONDO
Venezia, Teatro La Fenice, dicembre 1822

初演:1822年12月26日、ヴェネツィア、フェニーチェ劇場

《マオメット2世》 ヴェネツィアでの上演

   ロッシーニは、ウィーンでのロッシーニのオペラの連続上演を大成功に終わらせると、1822年12月から1823年3月にかけて、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場での上演に携わることになりました。新作《セミラーミデ》の初演(1823年2月3日)が最大の目的ですが、その前に《マオメット2世》を改訂した上で上演することになりました。実は当初の予定では、ウィーン同様、《ゼルミーラ》が上演されるはずだったのですが、1822年9月21日に、ヴェネツィアのライバル劇場、サン・ベネデット劇場が《ゼルミーラ》を無許可上演してしまったのです。そこで急遽《マオメット2世》を取り上げることになったのです。

《マオメット2世》 ヴェネツィア稿でのあらすじ

第1幕
 ヴェネツィア共和国の支配するネグロポンテ島。司令官のパオロ・エリッソが指揮官を集めて会議を開いている。スルタン、マオメット2世は、オスマン帝国の大軍を率い、既にネグロポンテを二ヶ月も包囲し、城門を開くように要求している。指揮官コンドゥルミエーロは降服を提案するが、若い指揮官カルボはこれに反対、彼の気迫に一同も決戦を決意する。娘アンナが心配なエリッソは、迫り来る危険から身を守るために、アンナを密かに愛しているカルボを娘と結婚させうようと考えていた。父の意向にアンナは当惑し、かつて父がヴェネツィア本国に戻っている間に、コリントでミティレーネの領主ウベルトと恋に落ちたことを明かす。しかしエリッソは、そのウベルトが偽者であることを見破る。驚くアンナ。大砲が轟き、男たちは出て行く。女たちが不安に集まる。裏切り者が城門を開いたというのだ。女たちは神に祈りを捧げる。戻って来たエリッソは、絶望的な状況を説明する。アンナは父に、自分も一緒にいたいと願うが、エリッソはこれを拒む。なおも不安を訴える娘に、万が一の時はこれを使うように、と短剣を渡す。男たちは要塞に向かい、女たちは教会に逃げ込む。
 オスマン軍が押し入ってくる。スルタン、マオメットは勝利を喜ぶ。そして、城塞に立て篭もるヴェネツィア軍への追撃を命令する。マオメットは、かつて偵察のためネグロポンテを訪れ、島を熟知していたのだ。カルボとエリッソが捕らえられ連行されてくる。マオメットはエリッソの名に驚き、娘がいるかと尋ねる。そして、もしエリッソが、要塞を明け渡すなら捕虜の命は助けよう、と提案する。しかしエリッソとカルボはこれを拒否する。マオメットは怒り、二人を拷問にかけるよう命ずる。アンナが駆け込んでくる。アンナとマオメットは、互いに相手に気付く。アンナが愛した「ウベルト」は、マオメットだったのだ。アンナは、カルボを兄と偽り、カルボとエリッソを解放しなくては自分が死ぬと迫る。二人は自由になるが、エリッソは娘がマオメットを愛していたことに怒りを露にする。混乱の中、幕となる。

第2幕
 アンナはマオメットの陣営にいる。トルコ人の侍女たちがアンナに、若いうちは恋をするもの、と説いている。マオメットは、アンナを后にしようと口説く。アンナは泣き出してしまう。マオメットは、それが憎しみの涙ではなく、愛の涙と見抜き、愛を受け入れてほしいとアンナに迫る。それに対してアンナは、マオメットを愛しているが、この状況では死を選ぶ、と答える。遠くから戦いの音が聞こえて来る。父と兄(=カルボ)を助けてほしいと頼むアンナに、マオメットはスルタンの印章を与える。
 カルボとエリッソは、アンナの印章によって自由を得て、トルコ人の衣装を着て地下室に逃れて来る。まだ娘を裏切り者と思い非難するエリッソに、カルボは、彼女が裏切るはずはない、と励ます。突然マオメットがやって来る。彼はアンナを后にするつもりだと告げる。しかしエリッソはこれを拒み、さらにカルボは、自分はアンナの兄ではなく夫だと答え、マオメットに一対一での戦いを申し込む。三人は出て行く。
 教会の地下の墓所。アンナと女たちが神に祈っている。遠くから歓声が聞こえ、ヴェネツィア軍が勝利を収めたことが知らされる。戻ってきたエリッソはカルボと娘を結び合わせる。アンナの喜びで、幕となる。

《マオメット2世》 ナポリ初演稿とヴェネツィア稿の相違点

  (準備中)

《マオメット2世》 ヴェネツィア稿の初演

 《マオメット2世》ヴェネツィア稿の初演は、1822年12月26日、フェニーチェ劇場で行われました。  出演者は次のような人たちでした。

AnnaIsabella Colbransoprano
Maometto secondoFilippo Gallibasso
CalboRosa Marianicontralto
Paolo ErissoGiovanni Sinclairtenore
CondulmieroLuciano Marianibasso
SelimoGaetano Rambalditenore

(以下準備中)

関連項目

《マオメット2世》 初演稿
《コリントの包囲》
ERMIONE

参考文献

Carmen Giannattasio, Lorenzo Regazzo, Anna Rita Gemmabella, Maxim Mironov, Nicola Marchesini, Federico Lepre
Orchestra e Coro del Teatro La Fenice
Claudio Scimone
Pier Luigi Pizzi
Venezia, February 2005
DYNAMIC TDK CORE TDBA-3014-5 (Japanese domestic)

フェニーチェ劇場での上演の収録。
この上演では、コンドゥルミエーロ役にカウンターテノールのニコラ・マルケジーニを起用しています。

Luisa Islam-Ali-Zade, Denis Sedov, Anna Rita Gemmabella, Massimiliano Barbolini, Antonio de Gobbi, Cesare Ruta
Czech Chamber Soloists, Brno, Czech Philharmonic Choir, Brno
Brad Cohen
Bad Wildbad, 15, 17, 20 July 2002
Naxos 8.660149-51

バート・ヴィルトバートのロッシーニ音楽祭での上演のライヴ録音。ボローニャに伝わる筆写譜に基づいているそうです。




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