ロッシーニ御殿 ホームページ
オペラ御殿 旧御殿のメインメヌー
最新更新 2022年11月14日
無断転載 厳禁
GIOACHINO ROSSINI
L'EQUIVOCO STRAVAGANTE
初演 1811年10月26日 ボローニャ,コルソ劇場
First performance 26 October 1911, Teatro del Corso, Bologna
台本作家 ガエターノ・ガスパッリ
Librettist Gaetano Gasbarri
原作
Original
ロッシーニの《ひどい誤解》は、《結婚手形》に続くロッシーニの実質2作目にして、初の長尺オペラである。
この作品は内容そのものよりも、初演の際、警察によって3公演だけで打ち切りにされたという不名誉な点で知られてきた。21世紀に入ってから時折上演があるようになった。
題名の日本語訳について
L'equivoco stravagante の日本語訳は専ら《ひどい誤解》で、また《とてつもない誤解》も用いられている。
equivoco は台本中にも用いられおり、フロリンドがブラリッキオに、エルネスティーナが男だと『誤解』させるという意味で間違いない。
一方 stravagante は台本中では用いられていない。stra- 『過剰な,限度を超えた』+vagare 『さまよう』の現在分詞 という成り立ちのこの語は、枠を超えてフラフラ出て行った状態を指し、『風変わりな,奇抜な』の意味がある。
ここでの場合は、ブラリッキオにエルネスティーナが男であると誤解させた結果、彼が官憲に訴えてエルネスティーナを逮捕させるという予期せぬ事態になったことを指し、つまり『度を越えた,やりすぎた』の意味になる。したがって、《度が過ぎた誤解》 というのがもっとも近いと思われる。
ここでは定着している《ひどい誤解》のままにしておくが、。
作曲
序曲
《ひどい誤解》の自筆譜が行方不明なことから、序曲に問題が生じている。
各地に伝わっている筆写譜や出版筆には様々な序曲が見られる。
パリのフランス国立図書館が所蔵している筆写総譜に据えられている序曲は、およそロッシーニ的でない、よく言えばサッパリした、悪く言えば個性に乏しい音楽で、これは若くしてロッシーニらしさが発揮されている本体の音楽とのバランスが悪い。
ラヴェンナのジュゼッペ・ヴェルディ財団の図書館には《ひどい誤解》の序曲とされるオーケストラパート譜が所蔵されている。これは前作《結婚手形》の序曲と同じものである。
初演
《ひどい誤解》の初演は、1811年10月26日、ボローニャのコルソ劇場で行われた。
ErnestinaMarietta Marcolinicontralto
GamberottoDomenico Vaccanibasso
BuralicchioPaolo Rosichbasso
ErmannoTommaso Bertitenore
RosaliaAngiola Chiessoprano
FrontinoGiuseppe Spiritotenore
蘇演
近代蘇演はおそらく1990年8月のロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでの上演。8月3,6,9,12日の4回。
ROFでは1996年に再演されている。8月11,14,18,21日の4回。
2013年にはドイツのバート・ヴィルトバートでのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで上演されている。7月17,20日。
2018年8月、ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで新制作上演。8月11,14,17,20日の4回。
対訳付き音楽設計図
登場人物
エルネスティーナガンベロットの娘、読書家を気取るコントラルト
ガンベロット貴族に叙された農夫バッソブッフォ
ブラリッキオ若い金持ち、そしてエルネスティーナの馬鹿な婚約者バス
イルカーノヌビアの一部地域の強力な支配者バス
ゾミーラアゴランテの妻コントラルト
エルネストキリスト教陣営の大使,リッチャルドの友人テノール
ファティマゾライデの腹心の友ソプラノ
エルミーラゾミーラの腹心の友ソプラノ
ザモレアゴランテの腹心の友テノール
日本語訳は極力文学的色づけをしない直訳にしてある。
音楽部分は基本的に自筆総譜に従っている。
※正しく表示されない場合
・ブラウザの幅を広げる: 狭いと伊文と日文の間で改行されてしまう。
・キャッシュの削除: 外部スタイルシートが更新された場合、ブラウザが古いCSSを保存していると正しい表示にならない。
Sinfonia |
Andante maestoso 4/4 E-flat Major |
前作《結婚手形》の序曲 パリのフランス国立図書館に収蔵されている筆写譜に据えられた序曲(ロッシーニらしさに乏しい)については補遺を参照 |
|
Allegro vivace 2/4 E-flat Major |
|||
ATTO PRIMO | |||
N. 1 Introduzione Rosalia Ermanno Frontino Gamberotto Coro |
Andantino 4/4 G Major |
SCENA Ⅰ第1場 (Esteriore di un antico castello, con portone praticabile, che ad esso introduce)(古い城の外側、通行可能な表門を伴っている、それ【=表門】はそれ【=城(内)】へと引き入れている) (Ermanno, indi Frontino, e Rosalia, poi Gamberotto preceduto da vari Villani dalla parte del castello)(エルマンノ、それからフロンティーノ、そしてロザーリア、それから城の方からの様々な村人たちに先導されたガンベロット) ERMANNOエルマンノ Si cela in quelle muraこの城壁の中に身を隠している Il ben, che tanto adoro,いとしい人は、その者を私はとても熱愛している、 Che per fatal sventuraその者は宿命的な不運によって I voti miei non sa.私の願いを知らない。 Facciamo il segno usato,いつもの合図をしよう。 (fa un fischio)(口笛を鳴らす) Vediam se v'è Frontino;フロンティーノがいるかどうか見てみよう; Se può del mio destinoもし彼ができるのであれば 私の運命の Calmar la crudeltà.むごたらしさを抑えることが。 |
|
Allegro 4/4 e minor |
[sortono Rosalia e Frontino][ロザーリアとフロンティーノが【城内から】外に出る] FRONTINOフロンティーノ Foste davver sollecitoあなたは本当に熱心だった Più di quel ch'io credeva.私が信じていたよりも。 ROSALIAロザーリア Del gallo il tien più vigile彼は雄鶏よりも警戒して保持している Quell'amorosa idea.あの愛に関する着想を。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ D'un'altra Dulcineaもう一人のドゥルチネーア【=ド・キホーテが愛するドゥルシネア】に È degno un tanto ardor.たくさんの熱情は相応しい。 ERMANNOエルマンノ Lasciam le digressioni,私を話の脱線から放してくれ、 Parliam di ciò che importa.重要なことについて話し合おう。 (accennando la porta del castello)(城の扉を示しながら) Si passa quella porta?あの扉は通過されるか【=あの扉を通って中に入ることはできるのか】? ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Si passa, sì signor.通過される、そうだ、貴殿よ。 ERMANNOエルマンノ Vedrò l'amato bene?私は愛するいとしい人を見るだろうか? ROSALIAロザーリア Vedrete, oh sì, vedrete.あなたは見るだろう、ああそうだ、あなたは見るだろう。 ERMANNOエルマンノ Con lei par...彼女と話… FRONTINOフロンティーノ Parlerete.君は話すだろう。 ERMANNOエルマンノ Accanto...【彼女の】傍に… ROSALIAロザーリア Resterete.君は留まるだろう。 ERMANNOエルマンノ Ah! che non credo veroああ! なんと私は本当には信じられないことか Il mio contento ancor!まだ 私の満足を! ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Progressi io ben lo spero私はとても期待している それ【=満足】を Farete nel suo cor.あなたが 【↑】向上 させることを その心の中で。 (Vedendo uscir de' Villani dal castello, si ritirano)(城から農夫たちが出てくるのを見て、退場する) |
||
Allegro brillante 6/8 C Major |
CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Allegri, compagnoni!陽気に、仲間たちよ! Il nostro padronissimo,私たちの主人が、 Padrone de' padroni主人たちの主人が Levossi, e vien di qua.起き上がった、そしてここに来ている。 sorte Gamberottoガンベロットが出てくる (affollandosi intorno a Gamberotto)(ガンベロットの周りに押し寄せながら) Illustre... no... illustrissimo,名高い… いや… 極めて名高い男よ、 Buon giorno, e sanità.おはよう、そして健康を。 |
Levossi, e vien di qua. levossi = si levò < levarsi 起き上がる の一人称単数遠過去形 |
|
Moderato 4/4 C Major |
GAMBEROTTOガンベロット Mentre stavo a testa ritta私が頭をまっすぐ立てている間に Riposando sul sofà,ソファで寛ぎながら、 Osservando la soffitta,天井を観察しながら、 Numerando i travicelli,梁を数えながら【=私がソファに座って天井を見上げて梁を数えていると】、 Certi insetti mattarelli何匹かの気の狂ったかのような【=鬱陶しい】、昆虫たちが Senza usar con me rispetto私に敬意を払うことなく M'hanno rotto il conto retto,私の正確な【梁の】計算を中断させて、 Che imperfetto restò là.それ【=計算】はそこで不完全に残った。 Queste bestie irrazionaliこれら理性のない昆虫たちは Far non soglion distinzione.【身分の】区別をするする習慣がない。 Un villano, un re, un barone農夫は、王は、男爵は O sia in alto, o in basso posto,高い身分であろうが、低い地位であろうが、 Deve stare sottoposto従属させられているのだ Alla lor bestialità.彼ら【=昆虫たち】の動物性に。 CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Se ne faccia un bell'arrosto,美味しい炙り肉がなされるように、 E di lor si sbrigherà.そうすれば彼ら【=昆虫たち】から解放されるだろう。 FRONTINOフロンティーノ (avanzandosi con Rosalia, ed Ermanno)(ロザーリアと共に前に進みながら、そしてエルマンノ【と共に】) Che gran testa! che parole!何という偉大な頭! 何という言葉! ROSALIAロザーリア Che saper profondo, e raro!何という深い知識、そして卓越した【知識】! GAMBEROTTOガンベロット Se in tal punto non imparoもしこのような時に私が身をもって知らなければ Quando mai dovrò imparar?いったいいつ私は身をもって知らなくてはならないのだろうか? |
Certi insetti mattarelli mattarelli < mattarello = di matto 気が狂ったかのように。なお mattarello には名詞で 麺棒 という意味もあるが明らかに異なる Queste bestie irrazionali bestie < bestia 一般的には 動物,獣 だが、蝿のように煩くまとわりつく虫を指すこともある |
|
Allegro vivace 6/8 C Major |
CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Viva, viva, padron caro,さあ、さあ、親愛なる主人よ、 È un portento in verità.それは本当に奇跡だ! GAMBEROTTOガンベロット (ad Ermanno)(エルマンノに) Chi siete lei?あなたは誰だね? FRONTINOフロンティーノ Quella persona...あの人物は… GAMBEROTTOガンベロット Che a' cenni miei...どんな私の指示で… FRONTINOフロンティーノ Per la padrona...お嬢様【=エルネスティーナ】のために… Da precettore...個人教師として… GAMBEROTTOガンベロット Da precettore?個人教師として? (esamina Ermanno)(エルマンノを調べる) Bravo! Bravo! Atto mi par.素晴らしい! 素晴らしい! 適格と私には思われる。 ERMANNOエルマンノ Se mi destina un tanto onoreもしあなたが私を大きな名誉に指名するのなら Saprò la scelta giustificar.私は選択を正しいと証明することができるだろう。 GAMBEROTTOガンベロット Se mi giustifica con la giustiziaもしあなたが正義にかなった行為でもって私に正当であることを証明するならば Saprò i suoi meriti giustziar.私はあなたの価値が正しいと証明することができるだろう。 ROSALIA ED FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Bel giorno è questo! Più lieta auroraこれ【=この日】は素晴らしい日だ! より喜ばしい夜明けの光が Non vidi ancora per lui spuntar.彼に向かって姿を現したことを私はまだ見たことはない。 ERMANNOエルマンノ Bel giorno è questo! Più lieta auroraこれは素晴らしい日だ! より喜ばしい夜明けの光が Non vidi ancora per me spuntar.私に向かって姿を現したことを私はまだ見たことはない。 GAMBEROTTOガンベロット Bel giorno è questo di maraviglia,これは驚くべき素晴らしい日だ! Vedrò mia figlia filosofar.私は私の娘が哲学的に考えるのを見るだろう。 CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Come dai villici si piantan cavoli田舎者たちによってキャベツの種が蒔かれて Le scienze piantansi così in città.街ではこのようにして学問の種が蒔かれる。 Perciò germogliano scoperte nuove,だから新しい発見が芽生え、 Che il terren bagnasi si sa se piove,雨が降れば土地が濡れることは知られている、 Si sa distinguere l'uom dalla femmina,女性から男性を区別することは知られている、 E tante simili curiosità.そして多くの同様の好奇心が。 (i Villani partono)(農夫たちは退場する) |
||
[Recitativo] Dopo l'Introduzione | 4/4 (C Major) |
GAMBEROTTOガンベロット Nei tempi in cui la zappa io maneggiava私が鍬 くわ を操っていた頃は Non si filosofava; oggi, che a forza人は哲学的に考えなかった; 今日、 Di sudori, e di calli汗の 【↑】おかげで、そして【指の】たこの【おかげで】 Un signor diventai, giacché nell'alto私は高貴な人間になった 【↑↑】ので、 Rango in cui son salito私が伸し上がった 【↑】高い 身分 【↑】において Impera il filosofico prurito,哲学の痒み【=むずむずするような欲求】が支配している 【↑↑↑】からには、 Vo' che alla figlia mia私は望んでいる、私の娘に (ad Ermanno)(エルマンノに) Voi insegnate la filosofia.あなたが哲学を教えることを。 ERMANNOエルマンノ Farò quel che potrò.私ができるであろうことを私はするでしょう。 GAMBEROTTOガンベロット Frontino poi,さてフロンティーノは、 Ch'è un bravo cuoco, e un servitor migliore,その者は腕の良い料理人で、そして傑出した召使だ、 Avendovi proposto per maestro,あなたを教師に推薦したので Io me ne fido alle parole sue,私は彼の言葉を信頼した、 Mentre il naso ch'egli ha non è di bue.彼が持っている鼻は牛の【鼻】ではないのだが。 ERMANNOエルマンノ Signore, troppa bontà. Se il genio incontro貴殿よ、とてもたくさんの親切を【ありがたく思う】。もし私が出会ったら Della gentil sua figliaあなたの愛らしい娘の 【↑】才能に 出会ったら I voti miei saranno私の願いは Appagati abbastanza.かなり満たされる 【↑】でしょう。 GAMBEROTTOガンベロット Per appagarla avete che ne avanza.彼女を満たすためにあなたはそれについて必要以上にあるものを持っている【=あなたは十分過ぎるものを持っている】。 Taglia svelta, bel colore, occhio vivace,すらりとした身の丈、美しい血色、生き生きとした両目、 Forte in gambe, robusto:足は力強く、逞しい: Un filosofo tal le darà gusto.そのような哲学者が彼女に楽しみを与えるだろう【=彼女に気に入られるだろう】。 parte退場する SCENA Ⅱ第2場 (Ermanno, Frontino, e Rosalia)(エルマンノ、フロンティーノ、そしてロザーリア) FRONTINOフロンティーノ Il colpo è fatto; ad Ernestina adesso一撃は成された; エルネスティーナに今すぐ Ei vi presenterà. Di compir l'opra彼はあなたを紹介するだろう。仕事を達成するために Sono tanto desioso,私はとても望んでいる、 Che, giuro al ciel, voi le sarete sposo.天に誓う、あなたが彼女の夫になることを。 ERMANNOエルマンノ A voi m'affido. Il povero mio stato私はあなたを信頼している、私の哀れな状態は Era ostacol sì grande al compimento完遂へのまことに大きな障害だった Del desiderio mio,私の希求の。 Che senza voi che mai potea far io?君たちなしで私が何をできるというのだろうか? ROSALIAロザーリア L'attacco incominciando, i nostri sforzi攻撃を始めながら、私たちの努力を Diriger noi dobbiam contro il futuro私たちは向けなくてはならない 未来の 【↓】夫 に対して Sposo alla signorina destinato.令嬢に運命付けられた。 ERMANNOエルマンノ Chi è costui?その男は誰だ? FRONTINOフロンティーノ Un certo Buralicchio,ブラリッキオとかいう Il cui merto consisteその者の長所は Nell'esser ricco.金持ちであるということに 【↑】ある。 ERMANNOエルマンノ E ti par poco!そして君には彼は不十分と思われるのだな! FRONTINOフロンティーノ Ebben!ええとだな! Sia pure un Dario, un Creso,彼がたとえダーリオ【=ダレイオス】であっても、クレーゾ【=クロイソス】であっても、 Distor mai non potrà quant'ho intrapreso.彼は私が着手したことを決して覆すことはできないだろう (entrano nel castello)(城の中に入る) |
Sia pure un Dario, un Creso, Dario はペルシャのダレイオス1世、Creso はリュディアの王クロイソス。 |
N. 2 Cavatina Buralicchio Buralicchio |
Allegro giusto 4/4 C Major |
(SCENA Ⅲ)(第3場) (Buralicchio)(ブラリッキオ) BURALICCHIOブラリッキオ Occhietti miei vezzosi,私の愛らしい小さな両目よ、 Che state a lampeggiar,それらは閃光を発している、 Lasciate ch'io riposi私が休むがままにさせてくれ Lo spesso scintillar.頻繁に眩しく光ることを【=私が輝きを抑えることをを許してくれ】。 Perché da quel fulgore,なぜならその輝きから Che avvampa, accende e scotta,それは火が点き、燃えてそして熱くなる、 Può nascere una botta一撃が生まれることができるからだ Al sesso assai fatal.性に 大いに致命的な【=その輝きは燃え上がって女性に強い衝撃を与えかねないからだ】。 Si accende la bellina,美女は燃え上がり、 Si scalda ancor la brutta.醜女も熱くなる。 Questa un sospiro erutta,この女は一つの溜め息を吐き、 Quella di là trabocca;あの女は向こうで溢れている【=感極まっている】; Chi stringesi la bocca,ある人は自らの口を閉じ、 Il naso chi si turaある人は自らの鼻を塞ぐ Perché per sua naturaなぜなら本来 il foco è assai bestial.火は非常に野獣のようだ【=恐ろしい,おぞましい】からだ。 |
Quella di là trabocca; trabocca < traboccare tra- 超える bocca 出口 という成り立ちで、出口を越える=溢れる という意味になる。この場合は、人の感情が一杯になって限界を超える という意味合いで、すなわち 感極まる という意味になる |
Un po' più mosso 4/4 C Major |
Calmate, eterni dei,鎮めなさい、永遠の神々よ、 Un simil magnetismo,そのような磁力【=魅力】を、 O in tanto fanatismoさもなければこれほどたくさんの熱狂の中で Porgete ai voti miei私の願いに差し出しなさい La forza che vorrei私が欲しがっている力を Per tutte contentar.すべての女を満足させるために。 |
||
[Recitativo] Dopo la Cavatina Buralicchino | 4/4 (C Major) |
BURALICCHIOブラリッキオ Ch'io sia bello convengono私が美男であろうことを認めている Tutti i scrittori greci, e ormai la famaすべてのギリシャの作家は、そして今や評判は Vola da Trabisonda fino a Vicchioトラブゾンからヴィッキオまで素早く伝わっている Della rara beltà di Buralicchio.ブラリッキオの世にも稀な美しさの【評判は】。 Se la sposa mi regge al primo lampoもし花嫁が私の最初の稲光に耐えるなら La vita è assicurata; in caso opposto命は保証されている; 逆の場合 Per non veder penarla彼女が苦しむのを見ないために Vedovo resterò pria d'impalmarla.彼女を娶る めとる 前に私は男やもめになるだろう |
Vola da Trabisonda fino a Vicchio Trabisonda トラブゾン トルコ北東部の黒海沿岸の都市、中世のトレビゾンド帝国の首都。 Vicchio ヴィッキオ イタリア、トスカーナ州の都市。 なおROFの上演では da Trabisonda a Casalicchio が採用されている。カザリッキオと呼ばれる都市はいくつかあるが、たとえば南イタリア、サレルノ近郊のカザール・ヴェリーノが現地方言でこう呼ばれている。どちらにしても、イタリアの小都市にまで、という意味合い |
N. 3 Duettino di Gamberotto, e Buralicchio Gamberotto Buralicchio |
Moderato 4/4 F Major |
(SCENA Ⅳ)第4場 (Gamberotto, e detto)(ガンベロット、そして前の場に登場した人) GAMBEROTTOガンベロット Ah vieni al mio senoああ私の胸【の中】に来なさい Amato mio genero.私の愛する 娘の夫よ。 Un osculo tenero,優しいキスを Deh prendi da me.ああ私から受けなさい。 BURALICCHIOブラリッキオ Ah padre! mi stringi,ああ義父よ! 私を抱き締めなさい Di amplessi mi cingi.抱擁で私を包みなさい。 Dividi quei stimoliその刺激【=興奮,高揚】を分けなさい Che sento per te.それを私はあなたに感じている。 GAMBEROTTOガンベロット (piangendo)(泣きながら) Ahi! ahi! che già gocciolo...ああ! ああ! 私は既にそれ【=涙】を垂らしている… BURALICCHIOブラリッキオ (imitandolo)(彼を真似しながら) Ahi! ahi! che già verso...ああ! ああ! 私は既にそれ【=涙】を流している… GAMBEROTTOガンベロット Gocciolo... io verso...私は垂らしている… 私は流している… BURALICCHIOブラリッキオ Oh Dio... io gocciolo... ああ神よ… 私は垂らしている… GAMBEROTTO E BURALICCHIOガンベロットとブラリッキオ Di gioia in un pelago喜びの大海の中に Mi trovo già immerso.私は私が既に沈んでいることを見出している【=私は自分が既に沈んでいるような気分だ】。 Protegga la sorte運命が守るように Sì tenera fé.これほどの優しい真心を。 |
|
[Recitativo] Dopo il Duettino | 4/4 (C Major) |
BURALICCHIOブラリッキオ Che fa la cara sposa?いとしい花嫁は何をしているのか? Ernestina che fa?エルネスティーナは何をしているのか? GAMBEROTTOガンベロット È piena...彼女はいっぱいで… BURALICCHIOブラリッキオ Piena?いっぱい? GAMBEROTTOガンベロット Di contentezza, già vedendo giunto満足で、既に来たのを見たことで Quel per le donne interessante punto.その女性たちにとって興味深い点が。 BURALICCHIOブラリッキオ Benché non la conosca in materiale,私は彼女をまだ身体的には知らないかもしれないけれども、 In astratto però mi son ben noteしかし観念的には私によく知られている Tutte le sue qualità corporee,すべての彼女の肉体的な高品質は、 E preparata ho già per lei la nicchia,そして私は既に彼女のために適所【=居心地の良い場所】を用意している、 Papà caro, in quest'alma buralicchia.いとしい父さんよ、このブラリッキオの魂の中に。 GAMBEROTTOガンベロット Parli molto purgato.君はとても清められて話している【=洗練された言葉遣いで話している】 BURALICCHIOブラリッキオ Eh! noi signoriええ! 私たち高貴な者たちは Che l'intelletto abbiam di dotte tempreその者たちは博学な気質の知性を持っている、 Pria di parlar ci purghiamo sempre.【私たち高貴な者たちは】話をする前にいつも自身を清めている【=上品な振る舞い、身なりをしている】。 GAMBEROTTOガンベロット Ancor io qualche volta私も時々 Tento purgarmi, ma, malgrado i miei自身を清めようとしている、だが私の Sforzi spropositati ho sempre in corpo途方もない努力 【↑】にもかかわらず 私は常に体の中に持っている Il sugo della zappa鍬 くわ の精髄を【=私は骨の髄から農民だ】 Che succhiai col succhiare della pappa.それをまんまのすすりと共に私は吸収した【=それを私が幼児食を食べるのと同時に吸い込んだ,それは幼い頃に身に染み付いた】。 BURALICCHIOブラリッキオ Bastino ormai le dissertazioni.今は議論は十分だ。 Veniamo a quel che importa: a lei vorrei重要であることに行こう: 彼女に私は Presentarmi, marchese Gamberotto.自己紹介を 【↑】したい、ガンベロット侯爵よ。 GAMBEROTTOガンベロット T'insinuerò. Vedrai nel suo bel viso私は君を忍び込ませるだろう。君は見るだろう 彼女の美しい顔の中に Tanta vaghezza, e tanta leggiadria,あまりの優美さを、そしてあまりの愛らしさを、 Ch'io credo a stento che sia figlia mia.私が彼女が私の娘だとやっと私が信じるほどの【=娘の顔はとても優美で愛らしく、私ですら自分の娘だとはほとんど信じられないほどだ】。 (partono)(退場する) |
Che l'intelletto abbiam di dotte tempre この場合の tempre < tempra は temperamento 体質,気質,気性 の意で採った |
N. 4 Cavatina Ernestina Ernestina Coro |
Andante non tanto 6/8 E-flat Major |
(SCENA Ⅴ)(第5場) (Magnifica libreria)(立派な蔵書室) (Ernestina appoggiata ad un tavolino meditando sopra vari libri, che andrà osservando or l'uno, or l'altro con una lorgnette, vari letterati, che osservano, e sottovoce diranno il seguente Coro)(様々な本の前で考えに耽りながら小机に置かれている【=腰掛けている】エルネスティーナ、それら【=本】を彼女は手持ち眼鏡を持って時にはある一冊、時には別の一冊をじっと見続けている、様々な読書家たち、彼らは【彼女を】じっと見ながら、次の合唱を声を潜めて言う) CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Oh come tacita osserva, e medita!ああ何と物静かに彼女はじっと見て、そして彼女はじっくり考えていることか! Calmò il mercurio che in sé nasconde!彼女は自身の中に潜んでいる移り気な性格を静めた! Non ci risponde... che mai sarà?彼女は私たちに応えない… 彼女はいったいどうなるのだろうか? ERNESTINAエルネスティーナ (alzandosi)(立ち上がりながら) Nel cor un vuoto io provo心の中に空きを私は感じている Che non so dir cos'è:それがどんなものなのか私には言えない:私は Mi veggo, e mi ritrovo私は私を見て、そして私に気付いている Mancarmi un non so che.何だか分からないものが私に欠けていることを。 Colleghi miei dottissimi,極めて博学な私の仲間たちよ、 Vuota son io: perché?私は【心の中が】空いている:どうしてなのか? |
Calmò il mercurio che in sé nasconde! mercurio は 水銀 の意。水銀の性質が変わりやすいことから、移り気を意味するようになった |
Allegro 4/4 E-flat Major |
CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Vuota se adesso sei,もし今 君が【心の中が】空いているとしても Più vuota non sarai:君はもう空 から ではなくなるだろう: Col tempo troverai時が経つにつれて君は見付けるだろう un gaz, un imfiammabileガスを、火の点きやすいものを O un qualche vegetabileあるいは何か成長するものを Pallon ti renderà.【そういったものは】君をボールにするだろう【=君の心の中をいっぱいにするだろう】。 ERNESTINAエルネスティーナ Talor serpeggia celereある時には急速に蛇行する Il sangue nelle vene;血が 静脈【=血管】の中で; Talor mi sento accendereある時には私は燃え付いているように感じる Ognor da un vivo ardore, oimè!絶えず激しい熱情によって、ああ! Né so di certe peneそれでも私は何か苦悩の Trovar la causa in me.原因を私の中に見つけることが 【↑】できない。 CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Il punto è metafisico点【=論点,重要点】は形而上学的だ Del vuoto che ti senti;君が感じている【心の中の】空きの【点は】。 Vedrassi fra momenti,すぐ分かるだろう Ma adesso non si può.けれど今はできないだろう Di quell'ardor...その熱情の… ERNESTINAエルネスティーナ Tacete:黙りなさい: Ben io ve lo dirò.私が君たちにそれをうまく言おう。 |
Vedrassi fra momenti, vedrassi = si vedrà |
|
Più lento - Primo Tempo 4/4 E-flat Major |
Ah! che la colpa è amore,ああ! 愛は何と罪なことか、 Che strazia questo core,それは何とこの心を痛めつけていることか、 Che fa penar quest'anima,それは何とこの魂を苦しめさせていることか、 Che delirar mi fa!それは何と私を錯乱させていることか! CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Che donna! che mercurio!何という女性だ! なんという移り気な性格だ! Che gran sagacità.何という機敏さだ。 |
||
[Recitativo] Dopo la Cavatina Ernestina |
4/4 (C Major) |
ERNESTINAエルネスティーナ Miei letterati, figli di Mercurio,私の読書家たちよ、メルクリウスの息子たちよ、 Voi che siete il collegio君たち その者たちは団体だ D'ogni meravigliosa meraviglia,あらゆる驚くべき驚きの、 Puntellate, vi prego,支えなさい、君たちに私は懇願する La mia filosofia convalescente,私の病み上がりの哲学を【支えなさい】、 Leggete voi per me. Da questi autori君たちが私の代わりに読書しなさい。これらの著者たちから Raccogliete i rimedi per curarla,それを治療するための治療法を集めなさい、 Pensate voi come ricuperarla.君たちはどうやってそれを回復させるか考えなさい。 Ariosto, il Lasca, il Rosa, ed altri libriアリオスト、イル・ラスカ、イル・ローザ、そして他の Morali, che compongono道徳的な 【↑】本たちは、それらは形成している La biblioteca mia,私の図書室を、 Tentano invan tormi l'ipocondria.【道徳的な本たちは】私の心気症を取り除こうと無駄に試みている。 |
Ariosto, il Lasca, il Rosa, ed altri libri Ariosto = Ludovico Ariosto ルドヴィーコ・アリオスト(1474―1533)、『狂えるオルランド』の作者として有名 il Lasca = Antonio Francesco Grazzini アントーニョ・フランチェスコ・グラッツィーニ(1503―1584)。lasca とは魚のウグイのこと il Rosa おそらく画家で詩人のサルヴァトール・ローザ Salvator Rosa(1615―1673)ではないかと思われる |
[N. 5] Coro dopo la Cavatina Ernestina Coro |
Allegro 4/4 B-flat Major |
CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Andrem, vedrem, faremo,私たちは行くだろう、見るだろう、するだろう、 Il tutto scopriremo,私たちはすべてを見付けるだろう、 E al nostro microscopioそして私たちの顕微鏡に Natura s'offrirà.自然が身を捧げるだろう。 (partono i Letterati)(読書家たちは退場する) |
|
[Recitativo] Dopo il Coro |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅵ第6場 Gamberotto, ed Ernestinaガンベロット、そしてエルネスティーナ GAMBEROTTOガンベロット Figlia!娘よ! ERNESTINAエルネスティーナ Mio generante!私を儲けた人よ【=私の父よ】! GAMBEROTTOガンベロット Aspettan fermi断固として待っている Due soggetti lì fuori i cenni tuoi.二つの対象が その外で 君の指示を。 Di', se ti par, se farli entrar tu vuoi.言いなさい、君に思われるかどうか、もし君が彼らを入場させることを望むのなら。 ERNESTINAエルネスティーナ Chi sono quest'enti?これらの存在【=その人たち】は誰なのですか? GAMBEROTTOガンベロット L'uno一人 È di filosofia bravo maestroは哲学の素晴らしい教師 Che ho affittato a dieci paoli al mese.その者は月に10パオーロ【(お金の単位)】で借りられた【=雇われた】。 L'altro... oh poi l'altro... è un più grazioso arnese.もう一人は…ああそれでもう一人は…より趣味の良い奴だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Un arnese grazioso!趣味の良い奴と! Chi sarà mai?いったい誰なのだろうか? GAMBEROTTOガンベロット Crepa di gioia: il sposo.喜びではちきれそうになりなさい: 花婿だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Oh Dio! in quai momenti!ああ神よ! 何という時に! La mia toelette è disorganizzata!私の身繕いは乱れている! Non sono accinta.私は準備ができていない。 GAMBEROTTOガンベロット Accinta, oppur succinta,準備ができていても、あるいは服をたくし上げていても、 È tutt'uno. Preparati,すべては一つだ【=どちらでも同じだ】。支度をしなさい、 Che ad introdurli io vado, o figlia amata.彼らを引き合わせるために私は行く、ああ最愛の娘よ。 ERNESTINAエルネスティーナ Li ricevo seduta, o sollevata?私は彼らを座って迎えるのか、それとも上げられて【=立ち上がって】? GAMBEROTTOガンベロット Pur che tu li riceva tutti e due,君が彼らを全員にして二人を迎えるというのならば、 Fa' pur come tu vuoi; hai tal talentoどうぞ君の望むようにしなさい; 君は才能を持っている Da poter star a fronte a un reggimento.一連隊の最前線に立つことができる 【↑】ほどの。 (parte)(退場する) ERNESTINAエルネスティーナ Ah celibe Minerva! immergi in questoああ 独身のミネルヴァよ! 浸しなさい【=染めなさい】 この Istante interessante興味を引く瞬間 【↑】の際に Il virgineo pudor nel mio sembiante.私の外見【=顔】に 処女の恥じらいを。 |
Mio generante! generante < generare (子を)儲ける,(子孫を)作る の現在分詞。そのまま訳すなら 子を儲けている(人) で、つまり男性形なら 父 という意味になる L'altro... oh poi l'altro... è un più grazioso arnese. arnese は本来は 道具 の意 Accinta, oppur succinta, succinta '< succingere 長い服の胸元を紐で縛ってたくし上げる の意。ただしここでは単なる語呂合わせで意味はない |
[N. 6] Quartetto Ernestina Ermanno Gamberotto Buralicchio |
Andante maestoso 4/4 C Major |
(SCENA &$8550;)(第7場) (Gamberotto, che introduce Buralicchio, ed Emanno, e detta)(ガンベロット、その者はブラリッキオを招き入れる、そしてエルマンノを、そして前の場の人【=エルネスティーナ】) GAMBEROTTOガンベロット Ti presento a un tempo istesso私は君に同時に紹介する Due mortali, o prole augusta:二人の人間を、ああ高貴な子よ: Slarga pur la bocca angustaどうか狭い口を広くしなさい【=結んだ口を開きなさい】 Allo sposo, al precettor.花婿に、個人教師に。 ERNESTINAエルネスティーナ (osservando Ermanno)(エルマンノをじっと見ながら) Nuovo Plato io già ravviso私は既に新しいプラート【=プラトン】を認識している In quel volto oltramontanoあの山の向こうの【=外国の】顔つきに (a Buralicchio)(ブラリッキオに) E Imeneo col cereo in manoそして手に蝋燭を持ったイメネーオ【=ヒュメナイオス,結婚の神】を Veggo in te mio dolce amor.私は君の中に見ている 私の甘い愛の人よ。 ERMANNOエルマンノ (a Ernestina)(エルナスティーナに) Presso voi di sasso restaあなたの傍で 呆然としている Sbalordito un professor!仰天とした先生は! BURALICCHIOブラリッキオ (piano a Gamberotto)(ガンベロットに小声で) (Resto qui di carta pesta,(私はここに弱々しく留まっている Di parlar non ho valor!)私は話をする勇気がない!) GAMBEROTTOガンベロット (piano a Buralicchio)(ブラリッキオに小声で) (Di' con me, che dici bene, e non temer)(私と一緒に言いなさい、君が巧く言えるから、そして恐れるでない) (insinuandoli sottovoce il complimento)(彼らに小声で褒め言葉を挟みながら) Non ha il prato tante rape...草原はそれほどたくさんの蕪 かぶ を持っていない… BURALICCHIOブラリッキオ Come? Rape! Non ci cape.何と? 蕪だって! それは分からない。 GAMBEROTTOガンベロット Non ha l'orto tante zucche...野菜畑はそれほどたくさんのカボチャを持っていない… BURALICCHIOブラリッキオ Non vi son tante parrucche...それほど多くのかつらはない… GAMBEROTTOガンベロット Non ha il campo tante fave...畑はそれほど多くの蚕豆 そらまめ を持っていない… ERNESTINAエルネスティーナ Oh che frasi belle, e brave!ああ何と美しい詩句、そして優れた【詩句】! Bravo!素晴らしい! ERMANNOエルマンノ (Quasi quasi io riderei.)(私はほとんど笑いたいくらいだ。) (Nel mirar quel volto, oh dei!(あの顔を見詰める時、ああ神々よ! Palpitando io resto, oimé.)私は心臓が拍動したままでいる、ああ。) ERNESTINAエルネスティーナ (pavoneggiandosi)(気取って歩きながら) (Gli han colpiti i vezzi miei:(私の愛らしさは彼らを射抜いた: Qual trionfo, o ciel, per me.)何という勝利なことか、ああ天よ、私にとって。) GAMBEROTTO E BURALICCHIOガンベロットとブラリッキオ Quanti son gli ossequi miei私の敬意であるものすべては Che ossequioso ossequio a te.君に対する恭しい敬意である。 |
Resto qui di carta pesta, carta pesta = cartapesta 紙張り子。di cartapesta で 張り子の、転じて 弱い の意 |
Moderato 3/4 E-flat Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Su via depongasi l'alta etichetta.さあ古い礼儀作法は捨てられるように。 Presto mi dicano in forma schiettaあなた方がすぐに私に率直な表現で言うように Che cosa ammirano di grande in me?あなた方が私において何を大いに見惚れているのか? ERMANNOエルマンノ Quell'occhio tenero.その優しい目だ。 BURALICCHIOブラリッキオ Quel ciglio morbidoその柔らかい眼 まなこ だ。 GAMBEROTTOガンベロット Quel volto argenteo come ha papà.父さんが持っているようなその銀色に輝く顔だ。 BURALICCHIOブラリッキオ come ha papà.父さんが持っているような。 ERNESTINAエルネスティーナ Ed io che economa non fui giammai,そしてかつて倹 つま しくなかった私は、 Saprovvi rendere contenti assai.君たちをとても満足させることができるだろう。 (ad Ermanno)(エルマンノに) Tu avrai lo spirito,君は精神を受けるだろう、 (a Buralicchio)(ブラリッキオに) Tu la materia君は物質を Che contentissimi vi renderà.それは君たちにこの上ない満足を与えるだろう ERMANNO, GAMBEROTTO E BURALICCHIOエルマンノ,ガンベロットとブラリッキオ Che profondissima profondità.何というこの上なく深い深遠さ。 ERNESTINAエルネスティーナ Io sarò il fiore, l'api sarete.私は花になるだろう、君たちは蜂になるだろう。 ERMANNOエルマンノ Al vago odore ci aggireremo.優しい匂いの周りを私たちはグルグル回るだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Vi succhieremo come che va.もちろん私たちはあなたを吸うだろう。 |
エルネスティーナはエルマンとブラリッキオの二人を、始めのうち二人称複数の敬称 loro あなた方 で呼んで、二人から距離を置いているたが、すぐに 親称で呼ぶようになる | |
Allegro deciso - Più mosso 4/4 C Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Per la gioia in me destando私の中で目覚めつつある喜びによって Gran tumulto già si va.大きな動揺が既に広がりつつある。 Sento il cor che va balzando私は心を感じている それは次第に高鳴って行く Per la troppa ilarità.あまりの上機嫌によって。 Agitata dal timore不安に掻き乱されては Più non sono in tal momento,私はもはやいない このような瞬間に、 Sol le voci del contento満足の声だけを In me sento a rimbombar.私は聞いている 私の中で轟いているのを ERMANNO, GAMBEROTTO E BURALICCHIOエルマンノ,ガンベロットとブラリッキオ Per la gioia in me destando私の中で目覚めつつある喜びによって Gran tumulto già si va.大きな動揺が既に広がりつつある。 Sento il cor che va balzando私は心を感じている それは次第に高鳴って行く Per la troppa ilarità.あまりの上機嫌によって。 Agitato dal timore不安に掻き乱されては Più non sono in tal momento,私はもはやいない このような瞬間に、 Sol le voci del contento満足の声だけを< In me sento a rimbombar.私は聞いている 私の中で轟いているのを (Gamberotto parte)(ガンベロットは退場する) |
||
[Recitativo] Dopo il Quartetto |
4/4 (C Major) |
ERNESTINAエルネスティーナ Le macchine corporee人体の機構を In linea curva adattinoあなた方が曲線に適合させるように Su due comodità.二つの快適さの上で。 BURALICCHIOブラリッキオ Come?何だって? ERNESTINAエルネスティーナ Due sedie,二つの椅子、 Secondo il basso volgo.卑しい庶民の言うところでは。 Aspettan questi待ち構えている これらの Alberi lavorati加工された木々は Da voi l'onore di essere ammaccati.あなた方によって名誉が傷つけられることを。 BURALICCHIOブラリッキオ (seggono)(二人は座る) Bella lingua!立派な舌【=言葉】だこと! ERNESTINAエルネスティーナ I miei voti私の願いは Son contenti una volta: i vacillanti一度で満ち足りた: ぐらつく Passi che di Sofia歩み それをソフィア【=知恵の女神】の Sull'imbattuta via guidar volevo不敗の道の上で私は導きたかった Trovo al fin chi dirige, e l'incertezza私はついに【ぐらつく歩みを】導く人を見付けた、そして不安は Ormai non mi scombussola,今はもう私を掻き乱しはしない、 Trovando un uom, che mi regoli la bussola.一人の男性を見つけることで、その者が私の方針を律するだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Oh sì, lo troverete, cara mia...ああそうだ、あなたは彼を見付けている、私のいとしい人よ… ERNESTINAエルネスティーナ Tacete, o uom senza filosofia.黙りなさい、ああ哲学のない男よ。 ERMANNOエルマンノ Quest'alpestre sentieroこのアルプス山脈の小道を non farò spianar, se a quel ch'io scorgo私は平坦にさせることはないだろう、もし私が見付けたものに Il varco è a lei già aperto,それ【=(1行下の)頂上】への抜け道が既に開かれているならば、 che alla vetta conduce un uom di merto.それは頂上へと功労のある男を導いている。 ERNESTINAエルネスティーナ Della vaga Eloisa, il di cui nome美しいエロイーザ【=エロイーズ】の、その名前 celebre è tanto nella storia gallica...はゴール【=フランス】の物語の中でとても有名だ… BURALICCHIOブラリッキオ (Qui si parla di gallico!)(ここでゴール語に触れるとは!) ERNESTINAエルネスティーナ Io seguirò l'esempio私は例に倣うだろう Sebben con passo tardo.遅い歩みではあるけれど。 ERMANNOエルマンノ Ed io seguiterò quel di Abeilardo.そして私はアベイラルド【=アベラール】のそれ【=例】を辿るだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ (Anche la malva?)(あの気力のない奴もか?) (Che pasticcio è mai questo?)(これはいったい何のパイ【=ごたごた】なのか?) ERNESTINAエルネスティーナ I dogmi vostriあなたの教義は M'innaffieranno in guisa tal lo spirito,そのようにして私の精神に水を与えている、 Che degna allor sarò di alloro, e mirto.それはその時には月桂樹【=栄誉】に値するだろう、そしてギンバイカ【=愛】【に】 ERMANNOエルマンノ (baciandole la mano con ardore)(彼女の手に熱烈にキスしながら) Oh cara! qual portento!ああいとしい人よ! 何という奇跡! Oh Dio! non reggo più. (Trattienti o core.)ああ神よ! 私はもう耐えられない。(堪えろ ああ心よ。) ERNESTINAエルネスティーナ (baciando la mano ad Ermanno)(エルマンノの手にキスしながら) Degna sarò d'un tanto precettore.これほど重要な個人教師に私は値するだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ A che gioco si gioca, il mio signore?何の遊戯を遊んでいるのか、私の貴君よ? Mi par, per quanto io sento,私には思われる、私が聞いた限りでは、 Che già sorte dal suo dipartimento.彼は既に彼の領域から外に出ている。 Egli vendemmia, ed io彼は【葡萄を】摘み、そして私は Qui raccolgo i granelli.ここで種を集めている。 ERNESTINAエルネスティーナ Io feci il patto私は協定を結んでいる Di darvi metà della macchina.機能の半分をあなたに与えると。 BURALICCHIOブラリッキオ Che metà! Gamberotto mi promise何の半分だと! ガンベロットは私に約束した Che mi ti dava tutta.私に君をすべて与えることを。 ERNESTINAエルネスティーナ Alma venale!金で動く魂だこと! Non ti dissi che all'uno私は君に言わなかったか 一人の男性に Lo spirito concedeva,私は精神を譲る、 E all'altro la materia?そして別の男性に物質を? BURALICCHIOブラリッキオ La materia物質を Mi par che goda lui, e non già io,私には思われる 彼は享受しているであろうと、そして決して私ではない、 Che son digiuno del maestro a fronte.その者は教師と比較して欠けている。 D'aria non vivo qual camaleonte.私は霞を食べて生きてはいない カメレオンのように。。 SCENA &$8551;第8場 (Gamberotto, Frontino, Rosalia, e detti)(ガンベロット,フロンティーノ,ロザーリア,そして前の場の人たち) FRONTINOフロンティーノ Che fu?何があったのか? GAMBEROTTOガンベロット Cos'è quel chiassoあの騒ぎはどうしたのだ Che mi rompe il timpano dell'auricola?それは私の耳介の鼓膜を破いている? BURALICCHIOブラリッキオ Fu che colui... costei... ove son giunto!それはあの男が… この女が… 私はどこにたどり着いたのか! Parlar non so... che brutto punto!私は話すことができない… 何という酷い状況だ! |
Della vaga Eloisa, il di cui nome / Ed io seguiterò quel di Abeilardo. 中世フランスの修道女エロイーズ(1092頃―1164)と、哲学者、神学者のピエール・アラベール(1079―1142)のこと。二人は熱烈な恋の末に子を儲けたことと、その後手紙を交わしたことで知られている |
[N. 7] Aria Gamberotto Gamberotto Buralicchio |
Maestoso 4/4 D Major |
GAMBEROTTOガンベロット Parla, favella, e poi話なさい、言いなさい、そしてそれから Vedrò da' detti tuoi私は理解するだろう 君の言葉から Il torto da chi sta.誰による過ちなのか。 |
|
Allegro 4/4 D Major |
BURALICCHIOブラリッキオ Questa...この女性が… GAMBEROTTOガンベロット è la nostra figlia:彼女は私たちの娘だ: La nona meraviglia,第9の奇跡だ、 Che fe' madre naturaその者を母なる自然が作った Di peso, di misura重さにおいても、寸法においても E di ampia qualità.そして質においても豊かに。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 BURALICCHIOブラリッキオ Quello...あの男が… GAMBEROTTOガンベロット È un dottor di lettere彼は文学の学者だ Che il bianco in men d'un atomoその者は白を微小の間に【=一瞬で】 Dal nero sa distinguere,黒から区別する、 E il maschio dalla femminaそして女性から男性を Senza difficoltà.困難なく【区別する】。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma io...しかし私は… GAMBEROTTOガンベロット Tu sei quell'albero君はあの木【のようなもの】だ D'onde germoglierannoそこから発芽するだろう Per forza matematica正確な力によって Sei germi in men d'un anno6つの芽が 一年経たない内に Con gran felicità.大きな幸せと共に。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 BURALICCHIOブラリッキオ Papà, siete una bestia.父さん、あなたは獣だ【=とんでもないことを言っている】。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 ERNESTINAエルネスティーナ Egli mi offende, o stelle!彼は私の感情を害している、ああ星々よ! Per certe bagatelle.何かつまらないことによって。 GAMBEROTTOガンベロット Talpa in mortale ammanto,肉体で包まれた【=人間の皮を被った】モグラめ、 Uom senza testa in testa,頭の中に頭のない【=頭に知性のない】男め、 La nostra figlia è questa,この女性は私たちの娘だ、 Freno i sospetti, olà!疑いを抑えなさい、さあ! |
Di peso, di misura / E di ampia qualità. ampia < ampio が peso、misura、qualità の3つすべてに掛かると採り、これを副詞的に訳した Si sa, si sa, si sa. si sa は 当然分かっていることだが という意味合い。ここでは、皆が知っていること と言いながら、ブラリッキオに対して 君も理解しなさい と言っている Tu sei quell'albero albero には 家系図 の意味合いがあり、発芽に喩えて、10ヶ月後には6人の子が生まれる、と言っている Papà, siete una bestia. ブラリッキオはここでガンベロットを二人称敬称で呼び、距離を置いている |
|
(Allegro) - Più mosso 4/4 D Major |
O al fulminar del brandoああ 剣の雷撃【=攻撃】をしようと Di Brandimarte, e Orlando,ブランディマルテの、そしてオルランド【の】 【剣の雷撃を】、 Vedrai balzarmi in campo君は戦場で私が飛び跳ねているのを見るだろう Col Mongibello in mano,手にモンジベッロ【=エトナ山】を持って【=手から炎を上げて】 E qual Enea troianoそしてトロイアのエネア【=アイネイアス】のように Il mare incenerir.海を灰にした【=海上を火まみれにしたトロイアのアイネイアスのように】。 (partono Ernestina, Gamberotto, Ermanno, Buralicchio)(エルネスティーナ、ガンベロット、エルマンノ、ブラリッキオは退場する) |
||
[Recitativo] Dopo l'Aria Gamberotto |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅸ第9場 Rosalia, Frontinoロザーリア、フロンティーノ ROSALIAロザーリア Non vorrei che tradito私は望んでいないのだが 明かして Ermanno già si fosse.しまったことを エルマンノが既に正体を【=エルマンノが既に正体を明かしていなければいいのだが】。 FRONTINOフロンティーノ Eh, così scioccoうーん、それほどの間抜けだと Crederlo non potrei... Così presto?...私は彼を信じることができないのだが… これほど早くに? Oh via, non è possibile.ああそら、それは不可能だ。 ROSALIAロザーリア L'amore愛は Qualche volta fa scordar la prudenza.時々慎重さを忘れさせる。 Che siasi già scoperto alla padrona?彼が既に雇い主【=エルネスティーナ】に正体を明かしてしまうのだろうか? FRONTINOフロンティーノ Mi spiacerebbe assai: faria sbagliareそれは私には残念に思われるのだけれども: 彼は外すかもしれない Un gran colpo in mia fé; mi toglierebbe大きな標的を 私の信頼において【=彼は私の信頼を大きく損ねるかもしれない】; 彼は私から取り除くかもしれない La via di dimostrar表す術 すべ を La mia riconoscenza a tanto bene,たくさんの善行に対する私の感謝の気持ちを Che dalla sua famiglia ho ricevuto.それ【=善行】は彼の家族から私が受け取った。 ROSALIAロザーリア Forse, chi sa: non si sarà perduto.たぶん、おそらく: 彼は破滅しはしないだろう。 FRONTINOフロンティーノ Figlio d'un negoziante ch'è fallito,【彼は】破産した商人の息子、 Le circostanze sue sono ben critiche;彼の状況は十分に危機的だ; E il matrimonio colla padroncinaそして雇い主の娘との結婚は Sarebbe ai mali suoi gran medicina.彼の不運に対して大きな薬になるかもしれない。 ROSALIAロザーリア Dagli un po' di lezion, che si contenga彼に少しの授業を与えなさい、彼が振舞うように Con prudenza, e ritegno;慎重さをもって、そして自制【をもって】; Altrimenti se sbagliasi l'affareさもないともし彼がことを間違えたなら Mal per lui, mal per noi può diventare.それは彼にとって悪く、私たちにとって悪くなることもあり得る。 |
faria sbagliare faria = farebbe < fare の条件法現在三人称単数形 の古形 |
[N. 8] Aria Rosalia Rosalia |
Allegretto 3/4 F Major |
ROSALIAロザーリア Quel furbarel d'amoreあの愛の小狡さを Se noi celiam nel petto,もし私たちが胸の中に隠すのならば、 A nostro gran dispetto私たちの大きな反対にもかかわらず【=私たちの意に大きく反して】 Vuol sempre venir su.それ【=愛の小狡さ】は常に上に行き【=胸の中から外に出】たがる。 Nei labbri ora s'affaccia,それは今は唇に姿を現し、 Talor negli occhi appare,時々両目に現れ、 Rossor se lo discaccia,もし赤面【=恥ずかしさ】がそれを追い払って、 Sen va, ma suol tornare,それが消え去っても、けれども戻ってくるのが常、 E tenta mille vieそして千の方策を試みる Per farsi palesar.自らの正体を明かさせるために。 Ditelo, o donne care,そのこと【=次の行の se 節】を言いなさい、親愛なる女性たちよ、 S'è vero il mio parlar.私の発言が真実かどうか。 (partono)(退場する) |
Quel furbarel d'amore furbarel < furbarello おそらく furbaro という形容詞に縮小接尾語が付いたもの(の名詞化)だと思われるが、furbaro もまず伊語辞書には載っていない。インターネット上のある詩の伊英訳に、furbarello が roguish 悪党のような,人を平気でだます / いたずらっぽい で訳されていたので、ここでは ずる賢い で採った A nostro gran dispetto a suo dispetto は nonostante la sua opposizione と同じ意味になる ―の反対にもかかわらず。この場合は 意に反して という意味合い |
[Recitativo] Dopo l'Aria Rosalia |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅹ第10場 Ernestina ed Ermannoエルネスティーナとエルマンノ ERNESTINAエルネスティーナ Che ne dite, maestro, un sì gran tortoそれについて君は何を言うのか、教師よ、これほどの大きな過ちを Può Ernestina soffrir? Crudele! io l'amo...エルネスティーナは耐えることができるだろうか? 残酷な人よ! 私は彼を愛している… ERMANNOエルマンノ L'amate?あなたは彼を愛していると? ERNESTINAエルネスティーナ Almen lo credo:少なくとも私はそれを信じている: Subito che dev'essere il mio sposo彼はすぐに私の花婿にならなければならないのだから Vuol l'etichetta, ch'io l'adori almen礼儀作法が求めている、私が彼を熱愛することを 少なくとも Per mezza settimana.半週間は。 Quest'almeno è il buon tuon che è in uso adesso.少なくともこれは今日慣わしになっている良い格式だ。 ERMANNOエルマンノ Di darvi una lezion mi sia concesso.あなたに授業を与えることをあなたが私に認めるように。 E potreste feliceそしてあなたは幸せに Scorsa la settimana一週間が過ぎ去って【=一週が過ぎる間】 Viver con un che non v'ha tocco il core?あなたの心に触れない男と生きることが 【↑↑】できるものだというのか? ERNESTINAエルネスティーナ E perché no, garbato precettore?それではどうして違うのか、親切な個人教師よ? In Sparta era proscrittoスパルタでは禁止されていた Un affetto eccedente un giorno intero.丸一日を越える情愛は。 Abolì il gran Licurgo di Strasburgo,ストラスブールの偉大なリクルゴは止めた、 Che nacque in Brandeburgo, o Pietroburgo,その者はブランデンブルクで生まれた、あるいはペテルブルグ【で生まれた】、 Questa molle passione, e concentrandoこの柔らかい熱情を【止めた】、そして集中することで Tutti gli amori in quello della patriaすべての愛を祖国のそれ【=愛】の中に Volle a lei sol soggettiそれ【=祖国(女性名詞)】だけに従うよう求めた Di madri, spose, e figlie i vari affetti.母たちの、妻たちの、そして娘たちの様々な情愛を。 ERMANNOエルマンノ (Quali massime oh Dei!) Ed il cor vostro(なんという主義だああ神々よ!) そしてあなたの心は Con il labbro si accorda? Ed il bisogno唇に一致しているのか? そして必要を Ei non sente di amar?それ【=唇(男性名詞)】は感じていないのか 愛するという? ERNESTINAエルネスティーナ Per dirvi il veroあなたに本当のことを言うと Sento qualche bisogno ancora io,私はなんらかの必要をまだ感じている、 Ma sottopor conviene il genio mio.しかし私の好みを従わせる必要がある。 ERMANNOエルマンノ Come a dir?と言うと? ERNESTINAエルネスティーナ L'interesse損得が Dettò a mio padre un simil matrimonio.そのような結婚を私の父に強いている。 ERMANNOエルマンノ E voi per l'interesseそしてあなたは損得のために Non badate se possa questo sposo注意していないのか この花婿が Rendervi, o no, contenta?あなたに満足を与える 【↑】ことができるであろうか 否か? ERNESTINAエルネスティーナ Il vostro, o caro,あなたの、ああいとしい人よ、 Ragionamento è scaltro;講義は抜け目がない; Ma a farmi tal potrei trovar un altro?けれど私をそのように【=幸せに】する別の男性を私は見つけることができるかもしれないのか? |
Abolì il gran Licurgo di Strasburgo, il gran Licurgo di Strasburgo については不明 |
[N. 9] Duetto Ernestina, e Ermanno Ernestina Ermanno |
Andante 4/4 A Major |
ERMANNOエルマンノ Sì, trovar potrete un altroそうだ、あなたは他の男を見つけることができるだろう Di quel cor più degno assai,その心によりずっと相応しい【他の男を】、 Che vicino a' quei bei raiその者はあの美しい眼差しの傍で Sol d'amor respirerà.愛だけに息をするだろう。 ERNESTINAエルネスティーナ Se una speme così caraもしそれほどにいとおしい希望を Voi destate nel mio seno,あなたが私の胸の中に呼び起こすのならば Per pietà mi dite almenoお願いだからせめて私に言いなさい Quest'oggetto chi sarà.誰がこの対象であろうかを。 ERMANNOエルマンノ (con foco)(熱を込めて) Nominarlo, oh Dio! non lice,彼【の名を】口にするのは、ああ神よ! 許されない、 Troppo ei nacque, oimè! infelice.彼は生まれた、ああ! あまりにも不幸に。 ERNESTINAエルネスティーナ (fissandolo)(彼を見据えて) Infelice non è mai決して不幸ではない Chi interesse può ispirar.関心を生じさせる者は。 ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ (Ah! quegl'occhi han detto assai(ああ! あの両目はあまりに物を言っている Per poterne dubitar.)そのことを疑うには【=あの目があまりに雄弁だったので、私はそのことを疑うことができない】) ERNESTINAエルネスティーナ Seguite...続けなさい… ERMANNOエルマンノ Ah no, non posso.ああだめだ、私はできない。 ERNESTINAエルネスティーナ (con tenerezza)(愛情を込めて) Parlate per pietà.お願いだから話しなさい。 |
quegl'occhi han detto assai / Per poterne dubitar. assai... per 動詞の不定詞 ―するにはあまりにも…である,あまりにも…なので―できない |
Allegro agitato 4/4 A Major |
ERMANNOエルマンノ (inginocchiandosi)(跪きながら) Quell'infelice io sono私がその不幸なものだ Che chiede a voi perdonoその者はあなたに許しを乞うている Di sua temerità.彼の向こう見ずで。 ERNESTINAエルネスティーナ Chi? tu?...誰が? 君が?… ERMANNOエルマンノ Son io.私だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Che sento!私は何を聞いているのだ! ERMANNOエルマンノ Potrei...私ができるのなら… ERNESTINAエルネスティーナ Che ardire!何という厚かましさ! ERMANNOエルマンノ Oh Dio!ああ神よ! ERNESTINAエルネスティーナ con forza(力を込めて) Fuggi dagl'occhi miei私の両目から立ち去りなさい (con passione)(情熱をもって) Fuggi per carità.お願いだから逃げなさい (con tenerezza)(愛情を込めて) |
||
(Allegro agitato) 4/4 A Major |
ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ (Oh Dio! di nuovo palpito(ああ神よ! 新たな心臓の拍動の Qual moto è questo insolito!これは何というただならぬ動きなことか! Se non è questo amore, oh Dio!もしこれが愛でなければ、ああ神よ! Che cosa mai sarà!)いったいどうなるというのだ!) (partono)(退場する) |
||
[Recitativo] Dopo il Duetto [Ernestina, e Ermanno] |
4/4 (C Major) |
SCENA ⅩⅠ第11場 Gamberotto, e Buralicchio, indi Ernestinaガンベロット、そしてブラリッキオ、それからエルネスティーナ GAMBEROTTOガンベロット No, signor Buralicchio, il nostro germeいいや、ブラリッキオ氏よ、私たちの芽【=子 =エルネスティーナ】は No, che non è capace d'intaccareいいや、その者は傷つけることはできない Di mia stirpe il decoro,私の家柄の誇りを Ch'ebbe sindaci sette in concistoro.それ【=家柄】は教皇枢密会議で7人の市長を擁した。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma le prove...だが証拠が… GAMBEROTTOガンベロット Quai prove?どんな証拠かね? BURALICCHIOブラリッキオ Ho qui disposta私はこの点で準備した Ragionata querela.理にかなった告訴を。 GAMBEROTTOガンベロット Ebben: ti voglioそれでは: 私は 君を Legalmente legar.法律に基づいて縛り上げ 【↑】たい。 (siede con gravità)(威厳をもって座り) Sia questo il buco.ここが穴ならば。 BURALICCHIOブラリッキオ Che buco?何の穴だって? GAMBEROTTOガンベロット Oh talpa! Il foroああモグラめ! 法廷だ Dove esaminerò gli appelli tuoiそこで私は君の告訴を調べ上げるだろう Per formalmente giustiziarti poi.結局 正式に君を裁くために。 ERNESTINAエルネスティーナ (sortendo)(出て来ながら) Mio genitor...私の父親よ… GAMBEROTTOガンベロット Olà, sta' zitta, e taci,そら、黙っていなさい、そして静かにしていなさい、 Finché di tua innocenza君の潔白の Non è la prova appien giustificata証拠が十分に認められる 【↑】までは Da un dubbio genitor sei scapolata.疑いを抱いている父親から君は免れている。 ERNESTINAエルネスティーナ Sassificata, o genitore, io resto石に、ああ父よ、私はなった Da tal linguaggio, il qualeそのような言葉によって、それは Offende poi la candidezza mia.要するに私の純潔を侮辱している。 GAMBEROTTOガンベロット Che prove adduci di tua biancheria?君の純白についてのどんな証拠を君は提示するのか? BURALICCHIOブラリッキオ È biancheria apparente, ma in sostanza彼女は見せかけの純白だ、しかしつまるところ Chi sa che cosa ha sotto.彼女が下に何を持っているのか誰が知っているのだ。 Giustiziatemi voi, sor Gamberotto.あなたは私を正当に認めなさい、ガンベロットさん。 ERNESTINAエルネスティーナ con caricata gravità大げさな威厳をもって D'umor geloso egl'ha impastata l'alma彼はやきもち焼きの気性のこびり付いた魂を持っている Che travasando per le fibre, e arterieそれ【=魂】は繊維【=血管】を通って流れている、そして動脈を【通って流れている】 Produce nell'occipite【彼の魂は】後頭部の中で生み出している Della sua fantasia彼の幻想から Una tal qual fantasmagoria;奇想天外な思い付きのようなものを Quindi di veder credeだから彼は見ていると信じている Ciò che creder non deve, e amalgamando信じてはいけないものを、そして結びつけることで I spirti sparsi al nervo,乱れた精神を神経に、 Che ottico si appella,それは視覚の【神経 =視神経】と呼ばれている、 Un topo gli rassembra una vitella.彼にとってはネズミが雄子牛に似ているのだ【=乱れた精神が視神経に結び付いて彼にはネズミが子牛のように見えるのだ】。 Potreste, o padre, esser così protervoあなたはできるというのか、ああ父よ、このように傲慢になることが Contro di me pel vaneggiar d'un nervo?私に対して 神経の譫妄によって? GAMBEROTTOガンベロット Non più, figlia, non più, che tu m'imbalsami.もうよい、娘よ、もうよい、君は私を防腐処理している【=ミイラにしている】から。 (a Buralicchio, indicando Ernestina)(ブラリッキオに、エルネスティーナを指差しながら) Vedi, vedi che pezzo filosofico見なさい、見なさい、何の哲学のものを Ardisci d'insultar?君は勇敢にも侮辱しようとしているのか? Buttati su in ginocchio跪いて下に身を投げなさい Avanti a lei,彼女の前で、 (obbligandolo ad inginocchiarsi)(彼に跪かさないといけないようにしながら) o che ti cavo un occhio.さもなければ私は君の片目を引き抜くぞ。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma io...しかし私は… GAMBEROTTOガンベロット Così, così. Di' quel che dico,このように、このように。私が言うことを言いなさい、 Bestia più che marito.夫というよりも獣だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Il gran trionfo mio ecco compito.私の大きな勝利がここに達成した。 |
Sia questo il buco. buco は 穴 で、後でガンベロットが言い直す foro は 穴 の意と 法廷,裁判所 の意の両方がある。ガンベロットは 法廷 のつもりで、穴違いの buco と言ってしまい、ブラリッキオが理解できなかったのだ Giustiziatemi voi, sor Gamberotto. giustiziate < giustiziare は 処刑する の意だが、この場合は fare giustizia 正当に認める の意で用いられていると思われる |
[No. 10] Finale Primo Ernestina Ermanno Gamberotto Buralicchio |
Allegro 4/4 D Major |
GAMBEROTTOガンベロット (Buralicchio ripeterà tutto ciò che dirà Gamberotto)(ブラリッキオはガンベロットが言うであろうことすべてを繰り返すだろう) Volgi le amabili向けなさい かわいらしく BURALICCHIOブラリッキオ Volgi le amabili向けなさい かわいらしく GAMBEROTTOガンベロット pupille elasticheしなやかな瞳を BURALICCHIOブラリッキオ pupille elasticheしなやかな瞳を GAMBEROTTOガンベロット A questa bestiaこの獣に BURALICCHIOブラリッキオ A questa bestiaこの獣に GAMBEROTTOガンベロット senza giudizio,判定なしに【=決め付けずにこの獣にかわいらしくしなやかな瞳を向けなさい】、 BURALICCHIOブラリッキオ senza giudizio,判定なしに、 GAMBEROTTOガンベロット Figliola equivoca曖昧な娘 BURALICCHIOブラリッキオ Figliola equivoca曖昧な娘 GAMBEROTTOガンベロット d'un semideo,半神の BURALICCHIOブラリッキオ d'un semideo,半神の GAMBEROTTOガンベロット D'un Mardocheo,マルドケオ【=モルデカイ】の BURALICCHIOブラリッキオ D'un Mardocheo,マルドケオの GAMBEROTTOガンベロット di nostra età.私たちの時代の【=半神の、現代のモルデカイの(どちらもガンベロットを指す)謎めいた娘よ】。 BURALICCHIOブラリッキオ di nostra età.私たちの時代の。 ERNESTINAエルネスティーナ (dando un piede a Buralicchio)(片足をブラリッキオに差し出しながら) Di mia clemenza eccoti un segno,ここにあなたへの私の寛大さの印 しるし が。 Benché non degno sei di pietà.君は哀れみに値しないけれども。 GAMBEROTTOガンベロット Bacialo, annasalo.それにキスしなさい、それの臭いを嗅ぎなさい。 BURALICCHIOブラリッキオ Che odore io sento!何という匂いを私は感じていることか! GAMBEROTTOガンベロット Fra poco attento più in su si va気を付けなさい もうすぐもっと上に行く Finché alla mano s'arriverà.手に届くまで。 BURALICCHIOブラリッキオ Che strano evento! che caso strano!何という見妙な出来事なことか! 何という奇妙な状況なことか! Ah dunque dammela, per carità.ああそういうわけで私にそれを与えなさい、お願いだから。 GAMBEROTTOガンベロット Ah figlia, dagliela, senti a papà.ああ娘よ、彼にそれを与えなさい、父さん【の言うこと】を聞きなさい。 ERNESTINAエルネスティーナ (sollevandolo)(彼を安心させながら) Ecco la destra di pace in segno:ここに和平の印の右手が。 Ritorna degno del mio perdono私の許しに値するように戻りなさい E un tanto dono sappi prezzar.そしてたくさんの贈り物を評価しなさい【=ありがたく思いなさい】。 GAMBEROTTOガンベロット Ah caro genero.ああいとしい 娘の花婿よ。 BURALICCHIOブラリッキオ Ah! mio Mercurio.ああ! 私のメルクーリオ【=メルクリウス】よ。 |
|
Un poco più mosso 4/4 D Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Mi brilla l'anima per il contento,私の魂は満足によって光り輝いている、 Non so resistere al movimento私は【心の】動きに抗えることはできない Che tutta m'agita, mi fa saltar.それは私をすっかり掻き乱し、私を跳ね上がらせる。 GAMBEROTTO E BURALICCHIOガンベロットとブラリッキオ Mi brilla l'anima per il contento,私の魂は満足によって光り輝いている、 Non so resistere al movimento私は心の動きに抗えない Che tutto m'agita, mi fa saltar.それ【=心の動き】は私をすっかり掻き乱し、私を跳ね上がらせる。 (partono abbracciati)(抱き合いながら退場する) |
||
Allegro 3/4 B-flat Major |
(SCENA ⅩⅡ(第11場) (Ermanno, Frontino, Rosalia, poi Ernestina)(エルマンノ、フロンティーノ、ロザーリア、それからエルネスティーナ) ERMANNOエルマンノ (osservando di dietro è trattenuto da Frontino)(後ろでじっと見ながらフロンティーノによって引き留められている) Che vedo, oh stelle!私は何を見ているのだ、ああ星々よ! FRONTINOフロンティーノ Son bagatelle.彼らは取るに足りない人たちだ。 ERMANNOエルマンノ Non so reprimere la gelosia私は嫉妬を抑制することができない Che l'alma mia struggendo va.それ【=嫉妬】は私の魂をだんだん溶かしていっている。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Zitto, giudizio, per carità.静かに、分別を、お願いだから。 ERMANNOエルマンノ Qual freddo tremito tutto m'assale!何という冷たい震えがすっかり私を襲い掛かっていることか! Ah! mi vien male, non reggo più.ああ! 私は【気分が】悪くなって来た、私はもう耐え【られ】ない。 (siede svenuto)(気を失って座る) ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ È vero, è vero. Ma quanto primaそれは本当だ、それは本当だ。しかしできるだけ早く Finirla spero,それが終わることを私は期待している、 E tante scene non vedrò più.そうすれば私はもう多くの場面を見ないだろう。 |
||
Andantino 4/4 E-flat Major |
ERMANNOエルマンノ Infelice il mio destino!不幸な私の運命よ! ERNESTINAエルネスティーナ (stando indietro per non essere veduta)(見えないように後方にいながら) Ei mi adora poverino!かわいそうな人 彼は私を熱愛している! Contentarlo io ben vorrei,私は彼を十分に満足させたいのだが、 Ma il decor de' ranghi mieiしかし私の身分の名誉を Mi convien di sostener.私は支えなくてはならない。 |
||
Primo tempo 3/4 E-flat Major |
ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ (fingendo di non vedere Ernestina)(エルネスティーナを見ない振りをしながら) Questo spirito odorosoこの香りの良い酒は Vi darà conforto, e lena.あなたに慰めを与えるだろう、そして活力を【与えるだろう】。 ERMANNOエルマンノ Io mi reggo appena appena;私はかろうじてかろうじてこらえている; Ma la vita a me non cale:しかし命は私には気にかからない: Sol la morte un tanto maleただ死だけがこれほど大きな苦しみを Di fermare avrà il poter.止める力を持っているだろう; (fingendo di volersi ammazzare)(自殺する振りをしながら) ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Gente aiuto!誰か助けて! ERMANNOエルマンノ Mi lasciate.私を放っておけ。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Ah soccorso!ああ救援を! ERMANNOエルマンノ Non sperate.期待するな。 ERNESTINAエルネスティーナ Che si tenta? Fermi, olà!彼は何を試みたのか? 止めなさい、そら! |
||
Moderato maestoso 4/4 C Major |
Del disperato eccesso絶望の行き過ぎの Tanto trasporto frena,大きな爆発を抑えなさい、 Deh non accrescer penaああ 苦悩を増やすでない Al mio dolente cor.私の苦しんでいる心における。 (prende per mano con tenerezza Ermanno che bacia quella di Ernestina)(エルマンノの手を優しさをもって掴む そのものはエルネスティーナのそれにキスする) |
||
Allegro deciso 4/4 D Major |
(SCENA ⅩⅢ(第13場) (Buralicchio che sorprende li suddetti, e Gamberotto, e coro [di Servitori])(上述の者たちを不意打ちするブラリッキオ、そしてガンベロットと[召使たちの]合唱) BURALICCHIOブラリッキオ Alme infide! or vo' finirla.不誠実な魂たちめ! 今こそ私はそれを終わらせたい。 GAMBEROTTOガンベロット (ad Ermanno)(エルマンノに) Se ne vada quel signore,この先生は立ち去れ、 Se ne vada via di qua.ここから立ち去れ。 ERMANNOエルマンノ Perché mai?いったいなぜ? GAMBEROTTOガンベロット Vada via.失せろ。 BURALICCHIOブラリッキオ Bricconaccio!小悪党め! ERNESTINAエルネスティーナ Qual furore!何という激怒! ROSALIAロザーリア Padron caro...親愛なる主人よ… GAMBEROTTOガンベロット Così voglio: ei partirà.このように私は求めている: 彼は去るだろう。 CORO DI SERVITORI召使たちの合唱 [entrano i Servitori di Gamberotto][ガンベロットの召使たちが登場する] Una colonna mobile機動隊列が Di militar vien qua.軍の ここに来ている。 ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ (a Gamberotto e Buralicchio)(ガンベロットとブラリッキオに) Deh frenate quello sdegno.ああその怒りを抑えなさい。 GAMBEROTTOガンベロット (a Ermanno)(エルマンノに) Carognaccia!人でなしめ! ROSALIAロザーリア (a Buralicchio)(ブラリッキオに) Via fermate.さあ止めなさい。 FRONTINOフロンティーノ (a Gamberotto)(ガンベロットに) Riflettete...反省しなさい… BURALICCHIOブラリッキオ Do di piglio or ora a un legno.私はたった今 材木を掴んでいる。 GAMBEROTTOガンベロット (a Ermanno)(エルマンノに) Marcia via.あっちへ行進しろ。 ERNESTINAエルネスティーナ (a Buralicchio)(ブラリッキオに) Ma sentite...しかし聞きなさい… BURALICCHIOブラリッキオ Non ascolto.私は聞かない。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Deh fermate, ma sentite...ああ止めなさい、しかし聞きなさい… Ascoltate... per pietà.耳を貸しなさい… お願いだから。 ERNESTINA E ERMANNO Deh fermate quello sdegno, ああその怒りを抑えなさい、 Su tacete per pietà.そらお願いだから黙って。 GAMBEROTTOガンベロット Su, va' via, carognaccia!さあ、立ち去れ、人でなしめ! Or l'ammazzo in verità.今こそ私は彼を本当に殺す。 Via partite, piglio un legno,去れ、私は材木を掴んでいる、 E vi batto come va.そして君たちを然るべく打つ。 BURALICCHIOブラリッキオ Or or do di piglio a un legno,私はたった今 材木を掴んでいる。 E ti aggiusto come va.そして君を然るべく打ちのめす。 Via partite, piglio un legno,され、私は材木を持っている、 E vi batto come va.そして君たちを然るべく打つ。 |
E ti aggiusto come va. aggiusto < aggiustare は 修理する,調整する の意だが、同義語の accomodare と同様、転じて 打ちのめす の意で使われることがある |
|
Più presto 4/4 D Major |
TUTTI全員 Alto! alto! qui il tamburo,止まれ! とまれ! ここに太鼓が、 E la guardia s'avvicina,そして警備隊が近づいている、 Se ci trova una rovina,もしそれが私たちの崩壊を見つけたら、 Un scompiglio nascer può.それは大騒ぎが生まれるかもしれない。 |
||
ATTO SECONDO | |||
[N. 11] Introduzione Atto Secondo Frontino Coro |
Allegro brillante 2/4 F Major |
(SCENA Ⅰ)第1場 (Camera)(部屋) (Frontino, e contadini)(フロンティーノ、そして農夫たち) CORO DI CONTADINI農夫たちの合唱 Perché sossopra, diteci un po',どうしてひっくり返ったのか、私たちにちょっと言ってくれ、 Nel bel dell'opra la cosa andò?上手く行っていた行為の状況が? Nel bel dell'opra l'affare andò?上手く行っていた行為の事柄が? Lo sposo strepita; la signorina花婿は喚き散らす; お嬢様は Minaccia, e fulmina rumor, rovina,威嚇しており、そして騒音を浴びせかけ、破壊している La signorina , lo sposo ancor.お嬢様は、【そして】花婿もまた。 Se il matrimonio così principiaもし結婚がこのように始まるのなら Chi sa qual termine aver potrà?誰が分かるだろうか それ【=結婚】がどのような終わりを持つことができるであろうかと? FRONTINOフロンティーノ Carini miei, la gelosia私の親愛な人たちよ、嫉妬は Per simpatia tai cose fa.共鳴によってそうしたことをする。 CORO DI CONTADINI農夫たちの合唱 E pur dicevano tal malattiaそしてけれども彼らはそうした病気を表現していた Ch'ebbe l'esilio dalla città.それは町からの追放を持ったと【=そんな【嫉妬の】病は町から追い払われたと言われているのだが】。 FRONTINOフロンティーノ Vero verissimo ma qualche volta本当だ極めて本当だ しかし時々 La gente stolta sorprender sa.愚かな人々は【嫉妬で人を】驚かせることができる。 CORO DI CONTADINI農夫たちの合唱 Dice benissimo. Ci ha presto scioltaあなたはとても良く言っている。あなたはすぐに私たちから解いた La nostra solita curiosità.私たちのいつもの好奇心を。 (partono i Contadini)(農夫たちは退場する) |
Per simpatia tai cose fa. simpatia には 同情,共感 の意もあるが、この場合の per simpatia は一つの嫉妬が別の嫉妬に共鳴して増大して行く様を述べていると理解した |
[Recitativo] Dopo l'Introduzione Atto Secondo |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅱ第2場 Frontino, e Rosaliaフロンティーノ、そしてロザーリア FRONTINOフロンティーノ Il progetto eseguiscasi,計画が実行されるように、 Che meditando sto.それ【=計画】を私はまさに立案しているところだ。 ROSALIAロザーリア Frontino! Ebbene,フロンティーノ! それで、 Che si pensa? Il padrone何が考えられているのか【=何を考えているのか】? ご主人様は Scacciò di casa Ermanno,家からエルマンノを追い出した、 Il tuo raccomandato, e te ne stai君の被保護者だ、そして君は収めていて Qui colle mani in tasca, e nulla fai?ここで 両手をポケットの中に【=手をこまねいて】、そして君は何もしないのか? FRONTINOフロンティーノ Queste contrarietà metton più al puntoこれらの反対はさらに点に置く【=核心へと導く】 La nostra abilità: vedrai fra poco私たちの能力を: 間も無く君は見るだろう Rompersi il matrimonio,結婚が壊れ【=破談になり】、 Partir lo sposo, ed altre cose belle.花婿が去るのを、そして何か他の素敵なことを。 ROSALIAロザーリア Capace sei di tante bagatelle?君はそれほど多くの取るに足らぬこと【=面倒な手間】の能力があるのか? FRONTINOフロンティーノ Vedi qua questa lettera?君はここにあるこの手紙を見ているか? (cavandola di tasca)(それ【=手紙】をポケットから引き抜きながら) Questa tutto farà.これがすべてをするだろう。 ROSALIAロザーリア Come? curiosaどうやって? Sono di saper la cosa.私は事情を知りたくて 【↑】たまらない。 FRONTINOフロンティーノ No: la vedrai col fatto.いや:君はそれを行為で見るだろう。 ROSALIAロザーリア Negar non so, che tu non sia gran matto.私は否定することをできない、君が立派な狂人であろうことを。 |
Negar non so, che tu non sia gran matto. che節の non は冗語として理解した |
[N. 12] Aria Frontino Frontino |
Allegro 4/4 D Major |
FRONTINOフロンティーノ Vedrai fra poco nascere君は見るだろう 間も無く生じるのを Scompigli, e precipizi;混乱と、そして破滅が; Vedrai se questa lettera君は見るだろう この手紙が Lo sposo partir fa.花婿を去らせるか否か。 V'è dentro un certo equivoco,中にはある種の誤解がある、 Un certo che di magico,魔法の何かが、 Che può produr nell'animoそれは生み出すことができる 魂の中に D'un uom piuttosto sempliceかなり単純な男の Un dubbio che incredibileある疑いを それは信じられない Per tutti ognor sarà.であろう 皆にとって これからもずっと【=手紙に書いてある誤解は、誰にも信じられそうにないようなある疑いを 騙されやすい男の心の中に植えつけることができる】。 |
|
[Recitativo] Dopo l' Aria [Frontino] |
4/4 (C Major) |
FRONTINOフロンティーノ (vedendo a venir Buralicchio)(ブラリッキオが来るのを見ながら) Ei vien da quella parte: eccoci, il fosso彼があちらの方から来る: さあ私たち【の出番】だ、掘割が Si cominci a scavar. Vedrai l'effetto掘り始められるように。君は見るだろう 効力を Se fia nuovo e stupendo.もしそれが今までにないそして素晴らしい【効力】であろうならば。 (getta in terra la lettera)(地面に手紙を放り投げる) ROSALIAロザーリア Che diamine ingarbugli io non comprendo.君がいったい何を混乱させているのか私は分からない。 (Rosalia parte, e Frontino si mette in disparte dietro una porta)(ロザーリアは退場する、そしてフロンティーノは門の後ろの脇に身を置く) SCENA Ⅲ第3場 (Buralicchio, e Frontino da parte(ブラリッキオ、そして離れてフロンティーノ) BURALICCHIOブラリッキオ Oh! posso dire alfineああ! ついに私は言うことができる Che ho una moglie intera al mio comando.私はすっかり私の命令【=要望】通りの妻を得ていることを。 Il cacciar via di casa quel maestroあの教師を家から追い払いうことは Era una cosa troppo necessaria:たいへんに必要なことだった: Or la mia proprietà sarà plenaria.今や私の所有権は完全だろう【=すべては私のものだ】。 (avvedendosi della lettera la prende)(手紙に気付きそれを取り) Ma una lettera è qui...ところでここに手紙がある… Sarà cascataそれは落とされたのだろうか A qualcuno di casa.家の誰かに宛てて。 FRONTINOフロンティーノ (correndo affannato)(息切れして駆け付けながら) Oimè!... oimè!... Signore...ああ!… ああ!… 貴殿よ… Dite: avreste trovata言いなさい: あなたは見つけたのかもしれないのか Per avventura in terra qualche lettera?偶然にも地面に何か手紙を? BURALICCHIOブラリッキオ Perché stai sì convulso? eccola.どうして君はそのように引き攣っているのか? ここにそれが。 FRONTINOフロンティーノ Oh stelle!ああ星々よ! Datela per pietà... racchiuder deveお願いだからそれを【私に】与えなさい… それ【=手紙】は収めているに違いない Un affar d'importanza.重要な事柄を。 BURALICCHIOブラリッキオ Che cosa è mai? mi metti in convulsione.それはいったい何だ? 君は私に引き付けをおこさせる。 L'aprirò, cospettone.私はそれを開けよう、そら。 FRONTINOフロンティーノ Ah no, non fate:ああだめだ、してはいけない: È diretta al padrone.それはご主人様に宛てられたものだ。 BURALICCHIOブラリッキオ Cosa m'importa.何が私の気に掛かるというのか【=私にはどうでもいいことだ】 Fra suocero, e fra genero義父との間で、そして娘の花婿との間で Non vi sono segreti.秘密は存在しない。 FRONTINOフロンティーノ Tutto è scoperto.すべてが見出される【=暴かれてしまう】。 BURALICCHIOブラリッキオ Cosa?何だって? (leggendo)(読みながら) "Amico Gambero...「友ガンベロよ… FRONTINOフロンティーノ Gamberotto dirà.彼はガンベロットと言っているのだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Giunge in cotesteこの 【↓】あたりに 到達する Parti di minotauri...ミノタウロ【=ミノタウロス】たちの… FRONTINOフロンティーノ Di militari.軍隊の。 BURALICCHIOブラリッキオ Una colonna nobile...高貴な隊列が… FRONTINOフロンティーノ Mobile.機動【隊列が】。 BURALICCHIOブラリッキオ Per sorprendere現場で取り押さえるので qualunque sia deserto...見捨てられた人は誰であれ… FRONTINOフロンティーノ Disertore.脱走兵【は誰であれ】。 BURALICCHIOブラリッキオ Io ve lo avverto私はあなたにそのことを警告する Acciò mettiate in salsa...あなたがソースの中に置くであろうために… FRONTINOフロンティーノ In salvo.救いの中に【置くであろうために =救うであろうために】。 BURALICCHIOブラリッキオ Il vostro caro figlio Ernestoあなたのかわいい息子エルネストを Che da donna vestitoその者は女性の服を着ており Finor sì bene avete custodito."これまでかようにうまくあなたが保護している。」 Come? che sento! parla...何だって? 私は何を聞いているのか! 言え… FRONTINOフロンティーノ Ma...しかし… BURALICCHIOブラリッキオ Su viaさあ Di tacer ti prometto.私は黙っていることを君に約束する。 FRONTINOフロンティーノ Il mio padrone私のご主人様が Sapete che in Abruzzo nacque...アブルッツォで生まれたことをあなたは知っている… BURALICCHIOブラリッキオ Sollo.私はそのことを知っている。 FRONTINOフロンティーノ Ove il fiero costumeそこでは残酷な習慣が Regnava anticamenteかつて支配していた Di mutilare i teneri bambini幼い【男の】赤子たちを切断する【=去勢する】という Per farli poi (oh desiderio strano!)そうして彼らを (ああ風変わりな欲求だ!) Da contralto cantar, o da soprano.コントラルトとして歌 【↑】わせる ために、あるいはソプラノとして。 BURALICCHIOブラリッキオ Avanti.先に 【=話を続けて】。 FRONTINOフロンティーノ Gamberotto, uom miserabileガンベロットは、惨めな男【=貧乏な者】 Com'era allora, Ernesto sottoposeだったので その時、エルネストに受けさせた A quella operazione;その手術を; Ma poi pensier cangiò,しかしそれから彼は考えを変えて Né più al teatro il figlio destinò.もう劇場に息子を運命付けなかった【=差し向けなかった =息子をカストラート歌手にさせようとはしなかった】。 BURALICCHIOブラリッキオ Pezzo di birbantaccio!ペテン師の奴め! Volea darmi per moglie un castrataccio!彼は私に妻としてカストラートなんぞを与えること欲したのか! Segui pur.さあ続けて。 FRONTINOフロンティーノ In appresso il fe' soldato;その後 彼【=ガンベロット】は彼を兵士にさせた; Poi, ricco essendo, il feceそれから、金持ちになったので、彼は彼を Dal corpo disertar, e sotto il nome部隊から脱走させた、そして名前の下 もと で D'Ernestina, qual donnaエルネスティーナの、女性として Lasciò questi i calzon, prese la gonna.彼はこれらのズボンを放棄し、スカートを取った【=穿いた】のだ。 BURALICCHIOブラリッキオ Vo' mandare il tutto a foco, a sacco.私はすべてを火に送りたい【=何もかも燃やしてしまいたい】、袋に【すべてを送りたい =何もかも略奪したい】。 FRONTINOフロンティーノ Ahimè!... ma la promessaああ!… しかし約束は Che di tacer mi deste?黙るという それをあなたは私に与えた【=あなたは口外しないと私に約束したのでは】? BURALICCHIOブラリッキオ Dunque...それでは… FRONTINOフロンティーノ Parmi,私には思われる、 Che sia d'abbandonarla a un tratto il meglio,最善は突然彼女を捨てることだと、 E non dir nulla. Ah! resterà di stucco.そして何も言わない【ことだと】。 ああ! 彼女はしっくいのようになる【=呆気に取られる】だろう BURALICCHIOブラリッキオ Va' via.行ってしまえ。 FRONTINOフロンティーノ (Se l'ha bevuta il mamalucco.)(マムルーク【=間抜け】はそれを飲んだ【=信じ込んだ】か否か。) (parte)(退場する) BURALICCHIOブラリッキオ Corpo di Belzebù! se di sposarlaベルゼブ【=ベルゼブブ,悪魔の頭】の体【=こんちくしょう】! Avea la voglia pazza【もし】私が【彼女と結婚するという】狂おしい欲求を持っていたならば Facevo in verità la brutta razza.私は本当に惨めな人種になった【=ひどい目に遭うところだった】。 (per partire, vede giungere Ernestina)(退場しようとして、エルネスティーナが来るのを見る) SCENA Ⅳ第4場 (Buralicchio, ed Ernestina)(ブラリッキオ、そしてエルネスティーナ) BURALICCHIOブラリッキオ (Eccolo qui l'eunuco.)(そらここにあの去勢された男が。) ERNESTINAエルネスティーナ Mia metà, ti perdono私の半分【=配偶者,連れ合い】よ、私は許す 君の Le scorse offese, e giacché Tito先だっての侮辱を、そしてティート【=ローマ皇帝ティトゥス】が Ebbe a un tempo di grande, e di clemente il nome,偉大さの、そして慈悲の名を同時に持っていた 【↑】からには、 Ernestina il suo esempio adesso imita:エルネスティーナはその【前】例を今 真似る: Abbia ancor l'età nostra la sua Tita.私たちの時代はもう一度その【=私の時代の】ティータを持つように。 BURALICCHIOブラリッキオ (Ora lo prendo a schiaffi.)(今こそ私は彼に平手打ちを喰らわせてやる) ERNESTINAエルネスティーナ (tenera)(優しく) Ma il ciglio volgi altroveしかし 君は 眼を 別なところに 向けている Del mio tenero amor prefissa meta!私の甘い愛という 予め 定められた目標とは【≒ 君の目は 私の甘い愛に 向くよう 定められていたのに、君は そっぽを 向いている】! BURALICCHIOブラリッキオ Scusi, quest'oggi voglio far dieta.許しなさい、この今日 私は減食をしたい。 ERNESTINAエルネスティーナ Ti accosta qua: vo' dartiここに近づきなさい: 私はあなたに与えたい Di mia sincera fé tenero pegno.私の真心の篭った信頼の甘い証を。 BURALICCHIOブラリッキオ Che dar mi puoi, se un pezzo sei di legno?君は私に何を与えられるのか、もし君が木の一片【=鈍感】ならば? ERNESTINAエルネスティーナ Ti vo' cantare un'ariettina tenera.私は君に甘いアリエッタを歌いたい。 BURALICCHIOブラリッキオ Per questo poi lo credo, e ci scommetto,そのために要するに私はそれを信じている、そしてそれについて私は賭ける Puoi cantarmi al più al più qualche mottetto.君はこの上なく何かモテットを私に歌うことができる【ことを】 (Mi burla l'assassino...)(人殺しが私をからかっている…) ERNESTINAエルネスティーナ Ed orba ancorそしてなおも盲人に De' tuoi vezzi mi fai?君の愛らしさの 君は私をさせるのか【=君は君の魅力でなおも私を盲目にさせるのか】? Caro, t'accosta a me: dimmi, cos'hai?いとしい人よ、私に近づきなさい: 私に言いなさい、君が何を持っているか【=君はどうしたというのか】? |
Giunge in coteste coteste < cotesto = codesto この場合は指示形容詞 その (Se l'ha bevuta il mamalucco.) mamalucco もしくは mammalucco マムルーク イスラーム社会における奴隷階級(あるいはそれから解放された)の騎兵。イタリア語ではこの語は(特に女性形で) 馬鹿 の意味で用いられることがある。 Corpo di Belzebù! corpo di diavoli と同じ意味だろう Scusi, quest'oggi voglio far dieta. dieta は 減食,つまりダイエットの意だが、禁欲 の意もあり、おそらくここではそちらの意で用いられていると思われる se un pezzo sei di legno? esser un pezzo di legno 鈍感である |
[N. 13] Duetto [Ernestina - Buralicchio] Ernestina Buralicchio |
Andantino 4/4 F Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Vieni pur, a me t'accosta:どうか来なさい、私に近付きなさい: Qual condotta è questa qua?これはどのような態度なのか? Darti vo' novella prova私は君に新しい証拠を与えたい Della mia sincerità.私の誠実の【証拠を】 BURALICCHIOブラリッキオ (Più lo guardo, più l'osservo,(彼を見つめるほどに、彼をじっと見るほどに、 Più l'eunuco in lui ravviso;私は彼に去勢された男を認める。 Femminin non è quel visoあの顔は女性のものではなく Ha un tantin d'umanità.それ【=顔】は少量の人間性をもっている。 ERNESTINAエルネスティーナ Se non vieni verrò io...もし君が来ないのなら私が行くだろう… BURALICCHIOブラリッキオ Non si accosti al fianco mio.私の横に近付くな。 ERNESTINAエルネスティーナ Vorrei dirti: amato bene...私は君に言いたいのだが:愛するいとしい人よ… BURALICCHIOブラリッキオ Deh, risparmi le sue pene.ああ、あなたの苦悩を節約しなさい【=減らしなさい】。 ERNESTINAエルネスティーナ E perché? Saper si può?それでなぜ? 知ることはできるのか? BURALICCHIOブラリッキオ Perché... perché... te lo dirò.なぜなら… なぜなら… 私はそれを君に言うだろう。 Perché se fossi miaなぜなら もし君が私のものであるならば Grande saria l'imbroglio:それは大きな詐欺だろう。 Perché pavento un scoglioなぜなら私は岩礁を恐れるから Entrando in alto mar.【私が】深い海に入るなら。 ERNESTINAエルネスティーナ Frenetico delirio狂乱した妄想だ D'un pensator pigmeoピグミーの思索家の Che vuol da cicisbeoチチスベオ【=付き添い騎士】から Catone diventar.カトーネ【=カト】になろうと 【↑】望むことは。 BURALICCHIOブラリッキオ Che pezzo magistrale!何という教育的な一節なことか! ERNESTINAエルネスティーナ Che pezzo d'animale!何という動物の一節なことか! BURALICCHIOブラリッキオ Guardate che bel viso!美しい顔を見なさい! ERNESTINAエルネスティーナ Ecco il pastor d'Anfriso.ここにアンフリーソの羊飼いが。 BURALICCHIOブラリッキオ Mi burli?君は私をからかっているのか? ERNESTINAエルネスティーナ Mi deridi?君は私を嘲笑しているのか? |
緩―急の二部構成の二重唱 緩 Non si accosti al fianco mio. risparmi le sue pene. どちらも二人称単数敬称の lei に対する命令形。ただしここでのブラリッキオはエルネスティーナに対して二人称単数親称の tu も用いており、ぶれている Che vuol da cicisbeo チチスベオとは、18世紀のイタリアで貴婦人にその夫の公認の上で付き添う騎士のこと Catone diventar. 平民から伸し上がったカト・ケンソリウス、いわゆる大カト(234 BC―149 BC)のことだろうか Ecco il pastor d'Anfriso. アンフリーソの羊飼い については不明 |
Allegro 4/4 F Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Se mi rammento d'esser villana...私が農民【の娘】であることを記憶している以上は BURALICCHIOブラリッキオ Se per un uomo io ti ravviso私が君を男だと認知した以上は ERNESTINA E BURALICCHIOエルネスティーナとブラリッキオ T'aggiusto il viso ma come va.私は君の顔を相応しいように調整する。 Se non parti ti scapiglio,もし君が去らないならば私は君【の髪】をくしゃくしゃにする、 Se non parti ti scompiglio,もし君が去らないならば私は君を混乱させる、 Faccio proprio un parapiglia,私は適切に突然の大混乱を巻き起こし、 Su quel grugno ti do un pugno君のその鼻先に拳骨 げんこつ を与え E t'aggiusto come va.そして私は君を相応しいように調整する。 (Ernestina parte)(エルネスティーナは退場する) |
急 | |
[Recitativo] Dopo il Duetto [Ernestina - Buralicchio] |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅴquinta第5場 Buralicchio soloブラリッキオ独り BURALICCHIOブラリッキオ Che briccone! al vederlo何という小悪党だ! 彼を見ると Sembra proprio una donna tale, e quale!まさに女性に見える そうした、そしてああした【まさに女性のように見える】! Ma voglio vendicarmi.だが私は私の仕返しをしたい。 Corro dal comandante私は司令官のところへ急いで向かい Della colonna mobile機動隊列の【司令官のところに】 Che qui alloggiato sta,それはここに宿営している、 E lo vo' accomodar come va.そして私は彼に然るべく解決してほしい。 Di desertor si tratta.彼が脱走兵であることが問題だ。 Lo condurran fra poco in casa matta.間も無く彼らは彼を砲台へ連れて行くだろう。 (parte)(退場する) SCENA Ⅵ第6場 Gamberotto, ed Ermannoガンベロット、そしてエルマンノ ERMANNOエルマンノ Ma signore, il cacciarmiけれども貴殿よ、私を追い払うことは Di casa in questa guisa家から このようにして Fa troppo disappunto al mio decoro,私の誇りにとってあまりにも失望をさせており E a quel di vostra figlia.そしてあなたの娘のそれ【=誇り】にとって。 GAMBEROTTOガンベロット Ma da me che volete, se lo sposoだがあなたは私から何を望んでいるのか、たとえ花婿が È per gelosia tanto geloso?嫉妬からとても嫉妬深いとしても? Concertatevi seco, e se vi accorda彼と力を合わせなさい【=彼と和解しなさい】、そしてもし彼が認めるなら あなたの Il passaporto, io non mi oppongo un zero.パスポートを【=彼があなたの出入りを認めるなら】、私はまったく反対しない。 ERMANNOエルマンノ Possibile non è, né io lo spero.それは不可能だし、私はそれを期待しない。 GAMBEROTTOガンベロット Già so che tutto il male私は既に分かっている 損害のすべては Consiste in voi nel perder la pensione.あなたにおいて恩給【=報酬】を失うことにある。 Via, vi vo' contentar: voglio il salarioそら、私はあなたを満足させたい: 私は給料を Pagarvi d'una settimana intera.丸一週間の あなたに支払い 【↑】たい。 Ecco due paoli e mezzo, e andate via.ここにパオロ銀貨2枚半が、そして立ち去りなさい。 Dal dono impara il donator qual sia.贈り物からどの人が寄贈者であろうか覚えなさい。 ERMANNOエルマンノ Quest'è un avvilimento.これは落胆だ。 GAMBEROTTOガンベロット Quando mia figlia poi sarà sposata,ところで私の娘が結婚するであろう時には、 Se volete rientrarvi nel servizioもしあなたが勤めに戻りたいのであれば Siete sempre il padrone.あなたはいつでも自由にできる。 Pagherovvi tre soldi ogni lezione.私はあなたに授業毎に3ソルド支払うだろう。 (parte)(退場する) |
Lo condurran fra poco in casa matta. casa matta = casamatta 砲台。 |
[N. 14] Recitativo strumentato ed Aria Ermanno Ermanno |
Allegro 4/4 g minor |
N. 14 (SCENA Ⅶ)(第7場) Ermanno solo(エルマンノ一人) ERMANNOエルマンノ E mi lascia così? Son disperato!そして彼はこのように私を置いて行くのか? 私は絶望している! La ragion mi vacilla!私の理性はぐらついている。 Ecco perduto tuttoここで私は失った すべて Di tante cure il desiato frutto.多くの入念さの切望された収穫物を【=用意周到の上で切望していた成果をすっかり取り逃した】。 Restar?... non mi convien. Partir?... mel vieta残るのか?… 私には必要はない。出発するのか?… 私にそれを禁じている Quel l'ardor, che m'accende.あの熱情が、それは私を燃やしている。 Del mio crudele affanno私のつらい苦悩に Quando sazio sarai, destin tiranno?お前はいつ厭きるだろうというのか、暴虐な運命よ? |
レチタティーヴォ・ストラメンタート Recitativo strumentato 器楽編成された=オーケストラ伴奏によるレチタティーヴォ |
Allegro 4/4 B-flat Major |
Sento da mille furie私は感じている 千のフーリエ【=復讐の女神たち】によって Tutta agitarmi l'anima!私の魂がすっかり揺らいでいるのを。 Cosa dovrà risolvere何が解決するはずであろうか Questo mio cor non sa.この私の心は知らない。 |
急―緩―急の三部構成のアリア 急 Sento da mille furie / Tutta agitarmi l'anima! = Sento agitarmi tutta l'anima da mille furie! おそらく agitarsi という再帰動詞 揺らぐ,昂ぶる を用いて tutta l'anima mia agitarsi とすべきところを、知覚動詞と不定詞を直結させるために主語を不定詞の後に回し、かつ 私の― の意を mi 私において に代用させて agitarmi にしてしまった、と理解した。もし mi を直接補語で採ると すべての魂が私を揺さぶる となるのだが意味がよく通じない。なお tutta は女性形なので明らかに anima に掛かるが、副詞的に訳した |
|
Andante 4/4 B-flat Major |
Del mio rival felice私の幸せな恋敵の I giorni troncherei,日々【=人生】を私は打ち砕きたいのだが、 Ma la ragion mi dice,しかし理性が私に言う、 Che colpa, oh Dio! non ha.過ちの責任を、ああ神よ! 彼は持っていないと。 |
緩 調性は♭2つの変ロ長調だが、ホ音にことごとく臨時記号のナチュラルが付き、ヘ長調に響いている |
|
Primo Tempo 4/4 B-flat Major |
Sento da mille furie私は感じている 千のフーリエによって Tutta agitarmi l'anima!私の魂がすっかり揺らいでいるのを。 Cosa dovrà risolvere何が解決するはずであろうか Questo mio cor non sa.この私の心は知らない。 Oh Dio! non sa.ああ神よ! それは知らないのだ。 |
経過区 この部分はパリの筆写譜にしか伝わっていない上に、歌詞が前述の繰り返しだけなので、Wildbadのロッシーニ祭での上演のようにこの部分を採用しないこともあり得る |
|
(Primo Tempo) 4/4 B-flat Major |
Qual gel soffr'io, qual palpito!何という酷い寒さに私は苦しんでいることか、何という心臓の拍動に! Quai veggio orrende larve!何という恐ろしい亡霊を私は見たことか! Come in un tratto sparve何と突然 消えたことか La mia felicità.私の幸せは。 (parte)(退場する) |
急 |
|
[Recitativo] Dopo l'Aria Ermanno | 4/4 (C Major) |
SCENA Ⅷ第7場 (Ernestina, e Rosalia escono dalla parte opposta a quella per ov'è partito Ermanno, di Ermanno)(エルネスティーナ、そしてロザーリアがエルマンノが去った側とは反対の側から出て来る) ERNESTINAエルネスティーナ Miralo Rosalia! Ei fugge: in volto彼を見詰めなさいロザーリア! 彼は逃げている:顔には Come si legge la disperazione!絶望が読めるようだ! Fermalo, e lo conduci a me d'appresso.彼を止めなさい、そして彼を私の傍へと同伴しなさい。 ROSALIAロザーリア Con tutto il mio piacer私の喜びのすべてをもって La servo adesso.今あなたに仕える。 (parte, indi ritorna con Ermanno)(退場する、その後エルマンノと共に戻る) ERNESTINAエルネスティーナ Mi fa pietà! conosco彼は私に哀れみを感じさせる! 私は知っている De' miei vezzi la forza convulsiva.私の愛らしさの痙攣性の力を。 Se Giove mi vedesseもしジョーヴェ【=ユピテル,ジュピター】が私を見たならば Quando vado in carrozza in vago arnese,私が優美な服装で馬車に乗って行く時に、 Trasformariasi in un cavallo inglese.彼はイングランドの馬に変身するだろうに。 ROSALIAロザーリア (conducendo Ermanno)(エルマンノを連れて来る) Eccolo il moribondo.ここに瀕死の男が。 ERNESTINAエルネスティーナ Non fuggir, pargoletto逃げないで、若者よ Nell'arte di Cupido, ascolta primaクピード【=クピドゥス,恋愛の紙】の術の中にある【若者よ】、まず聞きなさい Quanto puoi, quanto valeどれほど君は力を持っているのか、どれほど役に立っているのか Il talento muliebre,女の手腕は、 E poi inarca le ciglia, e le palpebre.そしてそれから眉毛を湾曲させて、そして まぶたを。 ERMANNOエルマンノ Che mai potete dir? come tranquillaあなたがいったい何を言えるのか? どうやって落ち着いた【状態に】 Render quest'alma mia?この私の魂をする【ことができる】のか? ERNESTINAエルネスティーナ (a Rosalia)(ロザーリアに) Adesso,今、 Porta un neccesario, e via.必要なものを持ってきて、そして去りなさい。 ROSALIAロザーリア Che cos'è il necessario?必要なものは何だ? ERNESTINAエルネスティーナ Il neccesario denota sedia in senso letterario.必要なものは 文学的な意味では 椅子を 示す。 ROSALIAロザーリア (Rosalia accosta due sedie)(ロザーリアは2脚の椅子を並べる) (Mi tratterò alla porta,(私は扉のところに私を片付けるだろう【=下がっているだろう】、) Se mai viene qualcuno, a far la scorta.)万が一誰かが来た時に、警備をするために (si ritira)(下がる) SCENA Ⅸ第9場 (Ernestina, ed Ermanno seduti, indi Gamberotto, Buralicchio, e Rosalia da parte, e finalmente un Capitano con soldati)(エルネスティーナ、そしてエルマンノ【二人とも】座っている、それからガンベロット、ブラリッキオ、そして傍らにロザーリア) ERNESTINAエルネスティーナ Tu mi ami dunque?ところで君は私を愛しているのか? ERMANNOエルマンノ E il domandate?そしてあなたはそれを尋ねるのか? ERNESTINAエルネスティーナ E qualeそれでどのような Oggetto ha questo amor bramo sentire.目的をこの愛が持っているのか私は聞くことを熱望している。 ERMANNOエルマンノ D'essere corrisposto, oppur morire.【愛が】報いられること、さもなければ死ぬ。 ERNESTINAエルネスティーナ Morir? Come? non sai,死ぬ? どうして? 君は知らないのか、 Figliuolo di Sofia, che vuol dir morte?ソフィア【=知恵の女神】の息子よ、死が何を言おうとしているのか【=死が何を意味しているのかを】? ERMANNOエルマンノ Vuol dir finir le pene.それは苦悩を終わらせることを言おうとしている【=意味している】。 In altra guisa io noi saprei descrivere.他の仕方では私は叙述できない。 ERNESTINAエルネスティーナ Sbagli. Morte vuol dir cessar di vivere.君は間違っている。死は生きることを止めることだと言おうとしている【=意味している】 Quanti fogli osservai!何と多くの紙を私は観察したことか【=何と多くの本を私は読んだことか】! Quanti volumi sviscerai!何と多くの書物を私は徹底的に調査したことか! Sudai, mi affaticai私は汗をかいた、私は精を出した Per superare ogni difficoltà,あらゆる困難を乗り越えるために、 Finché scoprii questa gran verità.この素晴らしい真実を見出すまで。 ERMANNOエルマンノ Mi deridete forse?あなたはもしかして私を嘲笑しているのか? ERNESTINAエルネスティーナ Oibò! non sonoああ! 私は Letterata grottesca,おかしな文学好き 【↑】ではない、 Nacqui d'un'altra pasta,私は別の気質で生まれた、 Son letterata seria, e tanto basta.私は真面目な文学好きで、そしてそれでもう十分だ。 ERMANNOエルマンノ Dunque che far degg'io?それでは私は何をしなくてはならないのか? ERNESTINAエルネスティーナ (con enfasi)(強調して) Scusate, o Muse, se contro il voler vostroすまない、ああムーゼ【=ムーサ,芸術を司る9女神】よ、もしあなたの意思に反するなら Tutto quel che ho celato ora gli mostro.私が隠していたものすべてを今こそ私は彼に見せる。 |
Trasformariasi in un cavallo inglese. 標準イタリア語では trasformare に trasformaria という活用形はない。非常に近いものとして、ポルトガル語の transformar における transformaria という活用があり、これは直説法過去未来三人称単数形である。ポルトガル語の過去未来は現状に反する条件節に対する帰結節に用いられるので、おそらくここでの trasformaria は条件法現在の trasformerebbe と同じ用い方をされているのだろう。 E poi inarca le ciglia, e le palpebre. ciglia なのでこの場合の ciglio はそのまま 睫毛。 |
N. 15 Quintetto Rosalia Ernestina Ermanno Gamberotto Buralicchio |
Moderato maestoso 4/4 E-flat Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Speme soave ah scenda甘い希望が ああ 下りて来るように In te come un profluvio,君へと 溢れる流れのように、 E immerso in un diluvioそして 【↓】喜びの 洪水に浸かった Di gioia io ti vedrò.君を私は見るだろう。 ERMANNOエルマンノ Son legge i cenni tuoi,君の指示は法律だ、 Se tu lo vuoi vivrò.もし君が私が生きるであろうことを望むなら。 ROSALIAロザーリア Signo...お嬢さ… (Rosalia entra per avvertire Ernestina dell'arrivo di Gamberotto, che giunge con Buralicchio, ma Gamberotto le tura la bocca, e restano tutti in disparte ad osservare)(ロザーリアがガンベロットの到着をエルネスティーナに警告するために入場する、その者【=ガンベロット】はブラリッキオを伴って到達している、しかしガンベロットは彼女の口をふさぎ、そして全員は監視するために傍らに留まる) GAMBEROTTOガンベロット Sta zitta bestia...静かにしていなさい 獣め【=馬鹿者め】… Come? colui sta qua?どうしたことか? あの男がここにいるとは? Ah! razza di pettegola!ああ! お喋り好きな女の類め! Figlia di chi sa chi!誰であるかを知っている者の娘め! BURALICCHIOブラリッキオ Lasciateli, lasciateli,彼らを放っておきなさい、彼らを放っておきなさい、 Facciano il loro comodo,彼らが彼らの都合の良いようにするように。 Per me son uom pacifico私に関しては私は平和を好む男だ Sul gusto di Parì.パリの好みに則って。 ROSALIAロザーリア La cosa si fa seria,事態は深刻になっている、 Finisce male il dì.一日が悪く終わる。 ERMANNOエルマンノ Mi promettete amore?あなたは私を愛すると約束するのか? GAMBEROTTOガンベロット Amore!...愛!… BURALICCHIOブラリッキオ Poverino!可愛そうな男だ! ERNESTINAエルネスティーナ Consiglierò il mio core.私は私の心に進言するだろう。 GAMBEROTTOガンベロット Il core!...心!… BURALICCHIOブラリッキオ Va benino.なかなか良いじゃないか。 GAMBEROTTOガンベロット (addit[ando] la testa di Buralicchio)(ブラリッキオの頭を指し[ながら]) Che testa è questa, o stelle!これは何という頭なことか、ああ星々よ! Cornelio equal non l'ha.コルネーリオは彼と同じものを持っていない【=コルネーリオはそんな頭はしていない】。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma se son bagatelleだがもし彼らが取るに足らぬ者たちだったら Non me ne importa un a.私には少しも気にならない。 ERMANNOエルマンノ Da quelle luci belleあれらの美しい眼から Spero felicità.私は幸せを期待している。 ROSALIAロザーリア Parole sono quelleあれらは言葉だ Che sospettar fan già.それは既に疑わしくさせている【=それらは疑いを掻き立てる言葉だ】。 ERNESTINAエルネスティーナ Le dolci tue favelle君の優しい言語は Mi destano pietà.私に哀れみを目覚めさせる。 |
Sul gusto di Parì. ボローニャを含むエミーリア=ロマーニャ地方の方言(エミーリア=ロマーニャ語)では、フランスの首都パリを Parì と言う Cornelio equal non l'ha. この コルネーリオ Cornelio が誰を指すのか、またこの文が何を意味にしているのか、良く分からない。あるいは新約聖書に登場するコルネリウスのことかもしれない。 なお筆写譜によってはここの歌詞は più dura non si dà これより固いもの【=石頭】はない という意味になる。Wildbadのロッシーニ祭での上演ではこちらを採用している |
Allegro 4/4 E-flat Major |
GAMBEROTTOガンベロット (facendosi avanti)(自らを前に進ませて) Prole d'un padre equivoco,どちらとも取れる父の子よ、 Nata fra zucche, e cavoli,カボチャの間で生まれた、そしてキャベツの、 I miei mandati, ed ordini私の命令を、そして指図が Si eseguono così?このようにして遂行されるのか? ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ Qual improvviso fulmine何という思いがけない雷撃が Oh ciel m'incenerì!ああ天よ 私を灰にしたことか! ROSALIA, GAMBEROTTO E BURALICCHIOロザーリア、ガンベロットとブルラッキオ Qual improvviso fulmine何という思いがけない雷撃が Oh ciel l'incenerì!ああ天よ 彼を灰にしたことか! |
||
(Allegro) 4/4 E-flat Major |
[giunge un Capitano con Soldati][兵士たちを伴った隊長が到着する] CAPITANO E CORO DI SOLDATI隊長と兵士たちの合唱 (ad Ernestina)(エルネスティーナに) Per ordine supremo至上の【=上官の】命令によって Con noi or marcerete.私たちといっしょに今 行進しなさい。 Voi prigioniera siete,あなたは囚人である、 Pensate ad ubbidir.言うことを聞くよう考えなさい。 BURALICCHIOブラリッキオ (giubilando da sé)(独りで喜びながら) (L'affare andò benissimo,(事態は極めてうまく行った、 Or non v'è più che dir.)今は言うことはもうない。) ERNESTINAエルネスティーナ Qual insulto! Perché mai?何という無礼! いったいなぜ? (al Capitano)(隊長に) Signor, in che mancai?貴殿よ、私は何において過失を犯したのか? CORO合唱 Non più: tutto saprai,もうよい:君はすべてを理解するだろう、 Per or pensa a venir.今は来ることについて考えろ。 |
||
Allegro deciso 4/4 E-flat Major |
ROSALIA, ERNESTINA, ERMANNO, GAMBEROTTO E BURALICCHIOロザーリア、エルネスティーナ、エルマンノ、ガンベロットとブラリッキオ (Questo colpo inaspettato(この予期しなかった打撃は Non poteasi preveder.予見されることができなかった。 Resta ognuno senza fiato各々は呼吸のないままでおり【=息もできないでいる】 E che far non può saper.そして何をするのか分かることができない。 Così ratto qualche voltaこのように時々急に Dalle nubi il fulmin scende,雲から雷が落ちる、 Ed i slanci non comprendeすると【雷の】衝撃を理解しないのだ L'atterrito passaggier.)恐怖を抱かされている旅人は。) (Partono tutti, ed Ernestina fra i Soldati)(全員立ち去る、そして兵士たちの間にエルネスティーナ) |
||
[Recitativo] Dopo il Quintetto | 4/4 (C Major) |
SCENA Ⅹ第10場 (Frontino, e Rosalia, che ritorna)(フロンティーノ、そしてロザーリア、その者は戻って来る) FRONTINOフロンティーノ La padrona in arresto?...お嬢様が逮捕されたのか? ROSALIAロザーリア Sì, in arresto.そう、逮捕された。 FRONTINOフロンティーノ La sarebbe pur bella彼女にとってそれ【=che節】は結構であるにしても Che il signor Buralicchio,ブラリッキーノ氏が、 Credendo alla fandonia, che inventai,作り話を信じて、それ【=作り話】を私が考え出した、 L'avesse denunziata!彼女を告発した! 【↑↑】ことは【=ブラリッキオが私の考えた作り話を信じてエルネスティーナを告発したことは彼女にとって結構なことであるにしても、】 Oh questa cosa non l'avrei pensata.【しかし】ああ このこと【=エルネスティーナが逮捕されること】は私は思いもしなかったのだが。 ROSALIAロザーリア Perciò pria d'intraprendere qualche affareだから何らかの仕事に着手する前に Bisogna preveder le conseguenze結果を予見する必要がある Che derivar ne possono.それら【=結果】はそのことから生じる可能性がある【=仕事から起こりうる結果を予見せねばならない】。 FRONTINOフロンティーノ Dico che un indovino私は言う 占い師は Preveder nol poteva niente affatto.そのことをまったく何も予見できなかった 【↑】ことを。 ROSALIAロザーリア Pensa al rimedio, ora che il male è fatto.対策について考えなさい、悪いことが引き起こされた今となっては。 (partono)(退場する) SCENA ⅩⅠ第11場 Buralicchio indi Gamberottoブラリッキオそれからガンベロット BURALICCHIOブラリッキオ Oh che bel colpo è questo! in capponaraああ これは何と素晴らしい一撃なことか! 鶏舎に Sta chiusa la pollastra;雌の若鶏が閉じ込められている; Così s'ingrasserà, ma in conclusioneそうしてそれは太るだろう、しかし結局 La credono gallina, ed è un cappone.彼らは彼女を雌鳥と信じる、そして彼女は去勢雄鶏なのだ。 GAMBEROTTOガンベロット Fermati turcimano, e tu permetti止まれ通訳官め、そして君は認めている Che la mia figlia vada私の娘が In arresto, e con tanta indifferenza拘留に 【↑】なるであろうことを、そしてたくさんの無関心で Vedi partir la sposa君は見ている 許婚が去るのを Senza sentirne un'ombra di disgusto?嫌悪感の影も感じることなく【=少しも嫌な気持ちにならずに】? BURALICCHIOブラリッキオ La sposa... ah! ah! mi fate許婚… ああ! ああ! あなたは私を Ridere più di quel che voi pensate.笑【↑】わせる あなたが思っているよりも。 Non sapete che ioあなたは知らないのか 私が La ripudio, la lascio, e la divorzio?彼女を認めず、彼女と別れ、そして彼女を縁を切った 【↑】ことを。 GAMBEROTTOガンベロット Perché?なぜだ? BURALICCHIOブラリッキオ Perché di leiなぜなら彼女に関しては Non so che cosa farne, padron mio.彼女について何をするのか私は分からない 【↑】からだ【=彼女をどうしたらよいのか分からないからだ】、私の主人よ。 Intendami chi può, che m'intend'io.【私を理解することが】できる人は私を理解するであろう、私が私を理解しているのだから。 GAMBEROTTOガンベロット Povera figlia mia! E hai tal coraggio?可愛そうな私の娘よ! そして君はそれ程の度胸を持っているのか【そんな大胆なことができるのか】? BURALICCHIOブラリッキオ E che vuoi che ci faccia? buon viaggio.そして君はそのことで私がするであろう何を求めているのか【=君はそれについて私にどうしてほしいというのだ】? 良い旅を。 GAMBEROTTOガンベロット Ah! mascalzon!...ああ! 悪党め! BURALICCHIOブラリッキオ (Ma che briccone! Vedete(しかし何という小悪党なことか! 見なさい Come la finge bene.)いかに巧妙に装っているか。) GAMBEROTTOガンベロット Il mio germoglio私の新芽【=子】が Prigione? Astri bricconi,囚人だと? 意地の悪い天体め、 E lo soffrite? E ancor non fulminateお前たちはそれを我慢しているのか? そしてお前たちはもう雷撃しないのか Cinque, o sei temporali5つ、あるいは6つの雷雨を Contro il perfido autor di tanti mali?これほどたくさんの悪事の悪意ある作り手に対して? |
in capponara / Sta chiusa la pollastra; capponara = capponia 鶏舎。なお capponare という動詞は 雄鶏を去勢する の意で、capponara はこれと掛けられているかもしれない Fermati turcimano, turcimano = trucimanno,同義語 dragomanno は、トルコやアラブ諸国の大使館における通訳のこと。間に入って仲介する役目から、転じて 周旋業,客引き,女衒 のような悪い意味でも用いられるようになった。この場合もそうした言葉として用いられている |
N. 16 Aria Gamberotto Gamberotto |
Moderato 4/4 C Major |
GAMBEROTTOガンベロット Il mio germe, che di Pallade私の芽【=娘】は、それはパッラーデ【=パラス,ギリシャ神話のアテナ】の È il più ricco sublimato,もっとも豊かに昇華された者、 Soffrirà d'un astro ingrato苦しむのであろうか 恩知らずの星の Così fiera crudeltà?このように残忍な残酷さに。 Numi rei senza coscienza良心のない罪のある神々よ Quest'oprar sì impertinenteこのこれほどに無礼な振る舞いは Caro assai vi costerà!とても高くあなた方に代償を招くだろう! Una satira pungente辛辣な当てこすりを La mia figlia vi farà.私の娘はあなたがたにするだろう。 Correrà la China, e l'Asia,中国が参加するだろう、そしてアジアが、 Correrà la Tartaria;タタール地方が参加するだろう; La vezzosa figlia mia愛らしい私の娘を Metteranno in libertà.彼らが解放するだろう。 |
Soffrirà d'un astro ingrato d'un は di un とも da un とも採れる。ここでは後者を採った |
Un poco più mosso 4/4 C Major |
(Buralicchio sbuffa dalle risa)(ブラリッキオは笑いに喘ぐ) No, non rider mamalucco,いや、笑うでない マムルーコ【=間抜け】め、 Che per te sta riserbata君のために保存されているのだから La più barbara sassataもっとも粗野な石の投げ付けを Della mia paternità.私の父親であることの【=私の父性は極めて荒っぽく君に石を投げつけようと用意をしているのだから】。 (parte)(退場する) |
||
[Recitativo Dopo l'Aria Gamberotto] | 4/4 (C Major) |
BURALICCHIOブラリッキオ Se io non fossi certoもし私が自信を持っていないのならば Della certezza di questo accidente,この災難の確実性を、 Crederia le sue ciarle certamente.私は彼の無駄話を確かに信じるだろうに。 (parte)(退場する) SCENA ⅩⅡ第12場 (Antica prigione con finestroni altissimi, da' quali riceve lume)(とても高い大窓々のある古い牢獄、それらから【牢獄は】明かりを採っている) (Ernestina, indi Ermanno)(エルネスティーナ、それからエルマンノ) ERNESTINAエルネスティーナ In sì funesto, e tenebroso locoこのこのように不吉な【=恐ろしい】、そして暗い場所に Sola rinchiusa, e senza libri, oh Dio!独り閉じ込められ、そして本もなしに、ああ神よ! Cosa farò? Mi lasci,私は何をするであろうというのか? 君は私を放置するのか Protettrice Minerva, in questo stato?守護者ミネルヴァ【=ローマ神話の知恵の女神】よ、この状況に? Sapessi almeno in che ho mancato!私が何において過失を犯したのか せめて私が分かれば! ERMANNOエルマンノ (Ermanno dall'alto d'un finestrone, dal quale scende coll'aiuto d'una fune, avendo sotto il braccio un involto di panni)(大窓の高いところにエルマンノ、そこからロープの助けを用いて降りる、腕の下に衣服の【入った】包みを持ちながら) Ernestina! Ernestina!エルネスティーナ! エルネスティーナ! ERNESTINAエルネスティーナ Tu qui? come potesti?...君がここに? どうやってで来たのか?… ERMANNOエルマンノ Tutto può amor.愛がすべてを可能にした。 (consegnando ad Ernestina l'involto)(エルネスティーナに包みを手渡す) Raccogli queste vesti.この衣服を受け取りなさい。 Furtivo m'introdussi密かに私は忍び込んだ Nell'oscura prigion.暗い牢獄に。 ERNESTINAエルネスティーナ Ah! dal contento,ああ! 満足から、 Amico, io quasi manco in tal momento!友よ、私はこのような瞬間にほとんど気を失っている! (siede esaminando l'involto portato da Ermanno, che contiene un'uniforme, sino alla fine della cavatina di Ermanno)(エルマンノによって持って来られた包みを調べながら座る、それ【=包み】は軍服を含んでいる、エルマンノのカヴァティーナの終わりまで【座る】) ERMANNOエルマンノ Nella stanza, ch'è sopra ove dimora部屋には、それは上の方にありそこに住んでいる Del custode la moglie,守衛の妻が、 T'abbiglierai con esse, e passeremo君はそれらで盛装するだろう【=君はその服を着て変装するのだ】、そして通過するだろう Del castello le soglie: intanto avremo城の敷居【=城門】を: その間に私たちは持つだろう Campo di esaminar d'onde derivaどこから発しているのか調べる余裕を Il cenno rio, che libertà ti toglie;悪質な指示が、それは君の自由を取り去っている; E poi, mia vita, e poi,そしてそれから、私の命の人よ、そしてそれから、 Degno se pur ne son, premiar mi puoi.たとえ私が相応しくないにしても、君は私に報いることができる。 |
Crederia le sue ciarle certamente. crederia credere の条件法現在一人称単数形および三人称単数形の詩形、つまり credei および crederebbe と同じ。この場合は一人称 |
N. 17 Cavatina [Ermanno] Ermanno |
Andante 2/4 A Major |
ERMANNOエルマンノ D'un tenero ardore優しい熱情の Accetta le prove,証を受け取りなさい、 E lieto il mio core,そうすれば私の心は、喜ぶ Mio bene, sarà.だろう、いとしい人よ。 (Ernestina si alza, ed Ermanno con essa; salgono sul finestrone per mezzo della stessa fune colla quale è disceso)(エルネスティーナは立ち上がる、そしてエルマンノは彼女と共に【立ち上がる】、彼らはそれを用いて降りたのと同じロープを通じて大窓の上に昇る) |
|
N. 18 Rcitativo e Rondò con Cori Ernestina Ernestina Coro |
Allegro 4/4 D Major |
(SCENA ⅩⅢ)第13場 (Villaggio attiguo al castello con varie case dalle quali sortiranno vari Soldati)(城に隣接した村 様々な家を伴っておりそれ【=家】から様々な兵士たちが外に出るだろう) (Ernestina vestita da militare, ed Ermanno)(兵士の服を着たエルネスティーナ、そしてエルマンノ) ERNESTINAエルネスティーナ Il periglio passò; fra poco io sono危険は過ぎ去った; 間も無く私は Alfine in libertà. Quanto mai devoやっと自由に 【↑】なる。この上なく私は Al tuo coraggio, alla tua fé, mio caro!君の勇気の 【↑】おかげである、君の信頼の【おかげである】、いとしい人よ! Di vero amor novello esempio, e raro.真の愛の新たに生まれた手本だ、そして稀な【手本だ】。 |
|
Rondò Tempo marziale 4/4 E Major |
Se per te lieta ritorno君によって私が喜ばしく再び戻るからには L'aure aperte a respirar,戸外の微風を呼吸することに【=君のおかげで私は再び外の空気を喜んで吸うことがでるのだから】、 Grata sempre a te d'intorno【私は】君にこれからもずっと感謝して 【君の】周囲に Tu m'avrai, mio dolce amor.君は私を持つだろう【=私はずっと君の傍にいるだろう】、私の甘い愛の人よ。 |
||
Allegro 4/4 E Major |
CORO DI SOLDATI兵士たちの合唱 Allegri, compagnoni,陽気に、仲間たちよ、 Fra poco marceremo.間も無く私たちは行進するだろう Le palle, ed i cannoni弾丸に、そして大砲に Andremo ad affrontar.私たちは立ち向かいに行く。 Beviamo, e la vittoria飲もう、そして勝利を Si corra ad affrettar.早めるために急いで向かうように。 ERNESTINAエルネスティーナ Stimoli anch'io di gloria私もまた栄光の鼓舞を Sento nel petto mio.私の胸の中に感じている。 Dite come dich'io:私が言うように言いなさい: Viva la guerra, e amor.戦争万歳、そして愛。 CORO DI SOLDATI兵士たちの合唱 Bravo! ragazzo mio.いいぞ! 私の青年! Viva la guerra, e amor.戦争万歳、そして愛。 |
||
(Allegro) 4/4 E Major |
ERNESTINAエルネスティーナ (Vicina al termine delle sue pene,(その苦悩の終わりに近づいて、 Di gioia l'impeto più non sostiene歓喜の爆発をもはや支えては【=抑えては】いない Quest'alma misera piena d'ardor.)熱情に満ちたこの哀れな魂は。) CORO DI SOLDATI兵士たちの合唱 Che caro giovine pieno di spirito!霊感に満ちた何と気持ちの良い若者なことか! Oh come l'agita marziale ardor!ああ何と彼は戦争の熱情を刺激することか! (partono)(退場する) |
||
[Recitativo] Dopo il Rondò | 4/4 (C Major) |
(SCENA ⅩⅣ)(第14場) (Salone in casa di Gamberotto)(ガンベロットの家の大広間) (Frontino, e Buralicchio)(フロンティーノ、そしてブラリッキオ) FRONTINOフロンティーノ Avete fatto male.あなたは悪いことをした。 BURALICCHIOブラリッキオ Come male?どのような悪いことを? FRONTINOフロンティーノ A far la spia al comandante. Questa司令官に告げ口をして。これは È una vendetta indegna相応しくない復讐だ D'un'alma generosa; se la gente寛大な魂には; もし人々が Saprà che voi soffiate così bene,知るであろうなら あなたがこのように首尾よく告げ口をしていることを、 Vi aggiusterà ben bene un dì le rene.彼らはある日あなたの腎臓を完全に修理する【=打ちのめす】だろう。 BURALICCHIOブラリッキオ M'aggiusti ciò che vuole:彼らがやりたいように私を修理すればいい: Ma pigliarmi così per un burattinoだが指人形【=言いなりになる人】としてこのように私を扱うことは Non mi par una cosa私には事とは思われない Che abbi della coscienza,それは【=事】は持っているであろう いくらかの良心を Della creanza, e della convenienza.いくらかの躾を、そしていくらかの礼儀を【=私を操り人形のように扱うことは、礼儀正しいこととは私には思えない】。 FRONTINOフロンティーノ Vi consiglio a scappar, perché qui tutti私はあなたに逃走するよう勧める、なぜならここでは皆が S'armano contro [di] voi, e il maggior pezzoあなたに対して武器を取っているからだ、そしてもっとも大きな部分 Che resteravvi è il naso.それをあなたに残っているだろう は鼻だ【=あなたに残されるであろう最大の部位は鼻だ】。 BURALICCHIOブラリッキオ Sarebbe veramente un brutto caso.それは本当に酷いことかもしれない。 |
che voi soffiate così bene, ROF の上演では soffiate ではなく cantate を用いてる。この場合の cantare は 白状する の意 |
N. 19 Finale Secondo ROSALIA ERNESTINA FRONTINO GAMBEROTTO BURALICCHIO Coro |
Allegro 4/4 B-flat Major |
BURALICCHIOブラリッキオ Scapperò: questo mi pare私は逃げよう: これは 私には思われる Un bravissimo espediente.とても優れた方策だと。 FRONTINOフロンティーノ Io di scorta immantinente,私は即座に付添いを、 Se volete, vi farò.もしあなたが望むならば、あなたにするだろう。 FRONTINO E BURALICCHIO Ma mi par vien gente:だが私には思われる 人々が来ることが: Imbrogliato adesso sto.私は今 欺かれている。 (si nasconde)(隠れる) (SCENA ULTIMA)(最終場) (Gamberotto con Villani armati di bastoni, poi Ermanno, ed Ernestina, indi tutti a suo tempo)(棒で武装した村人たちを伴ったガンベロット、それからエルマンノ) GAMBEROTTOガンベロット (ai Villani)(村人たちに) Giro a dritta, mi seguite.私は右に曲がる、私について来なさい。 Se troviam quello spioneもし私たちがあの告げ口屋を見つけるのなら Li vogliamo un po' il giubbone私たちは彼に少しばかり上着を Per benino accomodar.入念に修理して 【↑】ほしい。 CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Ogni lato, ogni cantone,どの側も、どの隅も Sì signor, vogliam fiutar.はい ご主人様、私たちは嗅ぎ分けたい。 (parte Gamberotto coi Villani)(ガンベロットは村人たちと退場する) BURALICCHIOブラリッキオ Oh cospetto! il fatto è serio.ああこれは驚いた! 事態は深刻だ。 Tremo, oimè! dallo paura!私は 震えている、ああ! 恐怖で! ERMANNOエルマンノ Vieni pur, qui sei sicura;どうぞ来なさい、ここでは君は安全だ。 Caro bene non tremar!いとしい最愛の人よ 震えないで。 ERNESTINAエルネスティーナ Ah! mi opprime lo spavento,ああ! 不安が私を圧迫する Posso appena respirar!私はやっと息をすることができる! BURALICCHIOブラリッキオ [sortendo][外に出ながら] Cosa vedo! voi siete uscita?私は何を見ているのだ! あなたは脱出したのか? ERNESTINAエルネスティーナ Sì, crudele, per tuo dispetto.はい、酷い人よ、君の悔しさによって【=君は悔しいだろうが】。 ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ Ed il dolce nostro affettoそして私たちの甘い情愛が Voi vedrete consolar.安堵するのをあなたは見るだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Se lo goda, se lo prenda,彼を享受するであろうと、彼を得るであろうと、 Non m'oppongo in verità.私は本当に異を唱えない。 (tornano i Villani con Gamberotto)(ガンベロットと共に村人たちが戻る) CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Egli è qui: or su quel dorso彼はここだ: そらあの背中に (minacciando Buralicchio)(ブラリッキオを脅しながら) Il bastone pioverà.棒が降りかかるだろう。 ERNESTINAエルネスティーナ Ah! fermate, che v'importa?ああ! 止めなさい、何が君たちに気に掛かるというのか? Purché vada via di qua.もし彼がここから立ち去るであろうならば。 BURALICCHIOブラリッキオ Leviamoci la benda,目隠しを取り払おう、 Che se non parlo io schiatto.もし私が【=事情を】話さなければ私は爆発する。 |
Li vogliamo un po' il giubbone / Per benino accomodar. おそらく accomodare giubbone 上っ張りを修理する で何らかの意味を成すと思われるが不明。前述の通り accomodar に 打ちのめす の意味があるので、そういった意味合いだと思われる。per benino きちっと,入念に Se lo goda, se lo prenda, ブラリッキオの言う lo 彼を は、当然、エルネスティーナのこと |
Più mosso 4/4 B-flat Major |
(ad Ermanno)(エルマンノに) Lo sposi, se lo prenda,彼と結婚しなさい、もし彼を得るのなら、 Non me ne importa affatto,そのことについて私にはまったく気にならない、 Perché questa materia,なぜならこの物質は、 (accenna Ernestina)(エルネスティーナを示す) Che voi chiamate femmina,その者を君たちは女性と呼んでいる、 Amici cari, è un musico.親愛なる友たちよ、彼はムジコ【=カストラート歌手】だ。 ROSALIA, ERNESTINA, FRONTINO, GAMBEROTTO E CORO DI VILLANIロザーリア,エルネスティーナ,フロンティーノ,ガンベロットと農夫たちの合唱 Ah! ah! ah! ah! ah! ah!ハ! ハ! ハ! ハ! ハ! ハ! Che bestia! oh Dio! che bestia!何という獣【=愚か者】だ! ああ神よ! 何という獣だ! L'eguale non si dà!同じような者はいないだろう! BURALICCHIOブラリッキオ Frontino me l'ha detto.フロンティーノが私にそれを言った。 FRONTINOフロンティーノ Frontino, sì signore.フロンティーノが、はい、貴殿よ。 ERNESTINAエルネスティーナ Frontino non sarà.フロンティーノではないだろう GAMBEROTTOガンベロット Frontino traditore,フロンティーノの裏切り者め、 Perché tal novità?なぜそのような変なことを? FRONTINOフロンティーノ Per sciogliere quel nodo,あの絆を解くために、 Per far legarne un altro,それを他の男と結ばせるために、 Immaginai da scaltro私は抜け目なく考案した Quest'ingegnoso error.この巧妙な思い違いを。 ERNESTINAエルネスティーナ Come?何だって? ERMANNOエルマンノ Perdona, cara,許してくれ、いとしい人よ、 Un temerario amore;向こう見ずな愛【ゆえのことだから】; Indegno del tuo core,君の心に、 Anima mia, non sono.私の魂の人よ、私は 【↑】相応しくなくは ない。 (a Gamberotto)(ガンベロットに) Chieggo da voi perdono私はあなたから許しを求める A un labbro mentitor.嘘吐きの唇に。 GAMBEROTTOガンベロット Sposala pur, figliuolo,どうぞ彼女と結婚しなさい、せがれよ、 Il ciel vi benedica.天が君たちを祝福するように。 BURALICCHIOブラリッキオ Ed io qui resto solo?それで私はここに独りで残るのか? GAMBEROTTOガンベロット Pazienza, caro amico.辛抱だ、親愛なる友よ。 BURALICCHIOブラリッキオ Non me ne importa un fico,私にとってそれについてイチジクを気にすることはない【=私にはどうでもいいことだ】、 Degna di me non è.彼女は私には相応しくない。 |
Non me ne importa un fico, この場合の fico は つまらないもの/こと の意 |
|
Allegro 2/4 B-flat Major |
Tutti全員 Che dolce momento! che giorno felice!何という甘美な瞬間! 何という幸せな日! La gioia, il contento brillare ci fa.歓喜が、満足が私たちを輝かせている。 L'equivoco è sciolto, ritorna la calma,誤解は解けた、平静が戻っている、 Amore d'ogn'alma trionfo sarà.愛はあらゆる魂の勝利になるだろう【=愛はどんな魂でも勝利するだろう】。 |
||
APPENDICE | |||
Sinfonia used in Full Score in manuscript in Paris | Sinfonia | Andante 4/4 D Major |
パリのフランス国立図書館に収蔵されている筆写譜に据えられた序曲。 明らかにロッシーニらしさに乏しく、幕が上がってからの音楽とバランスが悪い |
Allegro moderato 4/4 D Major |
|||
Più mosso 4/4 D Major |
参考資料
Ricciardo e Zoraide / Gioachino Rossini / The autograph from Biblioteca del Conservatorio "S.Pietro a Majella" di Napoli / IMSLP #108130 & #108131
Ricciardo e Zoraide / Gioachino Rossini / Vocal score, published by Schott, Meinz, Germany, about 1821 / IMSLP #107713
Ricciardo e Zoraide / Gioachino Rossini / Full score, Garland Publishing, New York and London, 1980, reprint from full score published by Ratti, Cencetti, Roma, Italy, ca 1828
Ricciardo e Zoraide / Programma di Sala / Rossini Opera Festival, Pesaro, Italy, 1990
Ricciardo e Zoraide / Programma di Sala / Rossini Opera Festival, Pesaro, Italy, 1996
Dizionario Rossiniano / Eduardo Rescigno /
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|