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最新更新 2024年07月13日
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GIOACHINO ROSSINI
L'EQUIVOCO STRAVAGANTE
初演 1811年10月26日 ボローニャ,コルソ劇場
First performance 26 October 1911, Teatro del Corso, Bologna
台本作家 ガエターノ・ガズバッリ
Librettist Gaetano Gasbarri
原作
Original
ロッシーニの《ひどい誤解》は、《結婚手形》に続くロッシーニの実質2作目にして、初の長尺オペラである。ロッシーニは2作目にして大きな成長を見せ、後の傑作を予告する音楽で溢れている。残念ながら台本の問題で初演3公演だけで上演禁止になってしまい、その悪い話ばかりが有名になってオペラそのものは忘れられかけてしまい、今日でも知名度が低いままだが、《ひどい誤解》の音楽には若きロッシーニの才気が漲っている。21世紀になって休息に評価され上演が増えている。
題名の日本語訳について
L'equivoco stravagante の日本語訳は専ら《ひどい誤解》で、また《とてつもない誤解》も用いられている。
equivoco は台本中にも用いられおり、フロリンドがブラリッキオに、エルネスティーナが去勢された男だと『誤解』させるという意味で間違いない。
一方 stravagante は台本中では用いられていない。stra- 『過剰な,限度を超えた』+vagare 『さまよう』の現在分詞 という成り立ちのこの語は、枠を超えてフラフラ出て行った状態を指し、『風変わりな,奇抜な』の意味がある。
ここでの場合は、ブラリッキオにエルネスティーナが男であると誤解させた結果、彼が官憲に訴えてエルネスティーナを逮捕させるという予期せぬ事態になったことまでを含んでいると思われる。つまりここでの stravagante は『度を越えた,やりすぎた』の意味で、したがって《度が過ぎた誤解》 というのがもっとも近いと思われる。
ここでは定着している《ひどい誤解》のままにしておくが、物語の展開上、エルネスティーナを去勢された男だと誤解させたことのみならず、それによって彼女が逮捕連行されるという想定しなかった出来事が起きたことも重要であることは覚えておきべきだろう。
作曲
《ひどい誤解》の制作に関する資料のうち、ロッシーニの作曲に関するものは非常に乏しい。他都市での上演であればロッシーニは母アンナに何かしら手紙で情報を知らせるのだが、家族のいるボローニャで作曲された《ひどい誤解》ではそうした手紙もなかった。
したがって《ひどい誤解》の作曲については、当時の状況から推測しかない。
ロッシーニ一家は1804年にボローニャに引っ越して以降この地で暮らしており、若きロッシーニはボローニャでの様々な音楽活動に関わっていた。
1810年11月3日、ヴェネツィアのサン・モイゼ劇場で彼の実質初のオペラ《結婚手形》が初演され、成功を収めた。これによりボローニャでも若き天才ロッシーニに新作をオペラを書かせようという機運が高まったと思われる。
さてコルソ劇場の1811年の秋のシーズンが9月に告知された時、ロッシーニの名前はマエストロ・アル・チェンバロ maestro al cembalo(歌唱指導など上演の音楽の準備全般に携わる)と合唱指導として載っていただけだった。
シーズンの最初の演目は、当時の大人気作、ステーファノ・パヴェージ《マルカントーニオ氏 Ser Marcantonio》で、これは結果的に9月21日から10月23日まで24回も上演された。
さて先の告知で、《マルカントーニオ氏》の下に小さく、
IL SECONDO DA DESTINARSI
とある。つまりシーズン第2作が予定されている(がまだ詳細は決まっていない)といった意味である。この第2作をどの時点でロッシーニに託すことになったのかは分からないが、結果的にこれがロッシーニの新作オペラ《ひどい誤解》になる。
台本作家に選ばれたのはガエターノ・ガズバッリ 1770頃―1844。今日ではほぼこの《ひどい誤解》の台本を手掛けたことでのみ知られている。彼は一応台本作家としてそこそこの実績はあるのだが、彼の台本は、詩句に二重の意味を持たせてきわどい表現をするという品のなさで知られていた。ガズバッリはフィレンツェ在住だったが、しかしこの上演のためにボローニャには来ることはなく、ロッシーニと会うことはなかったようだ。
9月のうちにガズバッリが新作オペラの台本をボローニャの警察の劇場監督局に郵送すると、内容のひどさから即座に不許可になってしまった。
とはいえ既にシーズン開幕間近、シーズン2作目の新作を制作するにはもはや時間がない。劇場監督局は劇場に台本の修正を指示し、劇場側で台本の詩句を大幅に修正することになった。特に第2幕の修正が多かったのは内容的に当然だろう。
大幅に修正された台本をは、ちょうど前任者の辞任によって就任したばかりの、臨時監査官ピエロト・ランディという人物に託された。ランディは、既に作曲がかなり進んでいる事情を考慮して、自ら少しばかり台本に修正を加えて、結果、10月7日に第1幕、10月16日に第2幕に許可を出した。
ランディの報告から、ロッシーニはガズバッリの台本が届いてすぐに作曲に取り掛かっていたことが分かる。これはつまり、台本が修正されるとそれに合わせて楽譜も手直ししなくてはならないことを意味する。前述のようにロッシーニは多忙な中、二度手間と言える厄介な仕事をしなくてはならなかった。
作曲期間は1か月強、しかも繰り返される《マルカントーニオ氏》の上演と、10月11日にはアッカデミア・デイ・コンコルディによる演奏会もあり、19歳の駆け出し作曲家には厳しい日程だったろう。
これだけ時間がなかったにもかかわらず、ロッシーニは驚嘆すべき素晴らしい音楽を書きあげたのである。
初演
《ひどい誤解》の初演は、1811年10月26日、ボローニャのコルソ劇場で行われた。
ErnestinaMaria Marcolinicontralto
GamberottoDomenico Vaccanibasso
BuralicchioPaolo Rosichbasso
ErmannoTommaso Bertitenore
RosaliaAngiola Chiessoprano
FrontinoGiuseppe Spiritotenore
マリア・マルコリーニ(この時の出版台本では マリエッタ・マルコリーニ Marietta Marcolini と記載されている) 1780頃―1855 が筆頭歌手だった。彼女は1810年代前半のロッシーニと関りが深い歌手で、この《ひどい誤解》 1811 ボローニャ のエルネスティーナ 、《バビロニアのチーロ》 1812 フェラーラ のタイトルロール、《試金石》 1812 ミラノ のクラリーチェ、《アルジェのイタリア女》 1813 ヴェネツィア のイザベッラ、《シジスモンド》 1814 ヴェネツィア のタイトルロールを創唱した。卓越したコントラルトだったのはロッシーニが彼女のために書いた音楽だけでもよく分かる。男装役を得意とし、《ひどい誤解》と《試金石》では軍服姿になって歌う。
ドメニコ・ヴァッカーニは、中部イタリアで活躍したバス。ブッファを得意とし、前述のコルソ劇場での1811年秋のシーズンのパヴェージ《マルカントーニオ氏 》でタイトルロールを歌って大成功を収めていた。一方セリアのドメニコ・プッチーニ《クイント・ファヴィオの勝利》では評判を得られなかったことが知られている。
パオロ・ロジク 1780―? はスペイン生まれのバス。本名はパブロ・ロジク Pablo Rosich。バッソブッフォとして有名で、ロッシーニのオペラでは、この《ひどい誤解》のブラリッキーノと、《アルジェのイタリア女》のタッデーオを創唱したことで知られている。もう一つロッシーニ絡みでは、1816年にフィレンツェで《セビリアの理髪師》が上演された際に、第1幕のバルトロのアリア A un dottor della mia sorte の代わりにピエトロ・ロマーニ Pietro Romani という作曲家が書いた差し替えアリア Manca un foglio を歌ったのがロジクである。当然これら以外にもロッシーニのバッソブッフォ役で活躍した。1825年以降は米国でも活動した。
トンマーゾ・ベルティは、あまり高名なテノールではなかったが、ロッシーニのオペラの初演には3回絡んでいる。この《ひどい誤解》のエルマンノ、《成り行き泥棒》 1813 ヴェネツィア のアルベルト伯爵、《ブルスキーノ氏》 1812 ヴェネツィア のフロルヴィッレ。いずれの役も難易度は高くない。
公演は、初日が10月26日、2日目が27か28日、3日目が29日に行われた。評判は上々だった。10月29日付の Redattore di Reno 紙でフランチェスコ・トニェッティ Francesco Tognetti がこのように伝えている。
音楽は喝采で迎えられた、すべて上演で 観客は舞台にロッシーニを呼んだのである以上は、そしてこの晩は五重唱と、第2幕のマルコリーニ夫人のアリアが繰り返された。
La musica è stata accolta con plauso, giacché in ognuna delle rappresentazioni il publico ha chiamato sul parco scenico il sig. Rossini, e in questa sera sono state replichate il Quintetto, e l'aria della signora Marcolini nel secondo atto.
しかし3日目の後、《ひどい誤解》は上演禁止になってしまった。
ボローニャからミラノの警察長官に台本を送付したところ、
ひどい誤解と題された劇は[…]あまりに良俗に反するので[…]そのさらなる上演を阻止することが、最善策であり、また いかなる私の認可にも相応しかった【≒ 私には 最も妥当な判断だと思われた】。
Il dramma, che ha per titolo L'equivoco stravagante [...] è così contrario alla pubblica decenza, che ottima cosa, e degna d'ogni mia approvazione fu l'impedirne l'ulteriore rappresentazione.
と通告されたのだ。
問題となったのはやはりエルネスティーナを去勢された男性と信じ込ませることだった。つまり、いかに詩句を改変したところで、元の台本の性格は変わっておらず、当時のイタリア(ナポレオン支配下で法が厳しかったことも影響している)では通らなかったのだろう。
突然の上演中止は、ロッシーニはもちろん、劇場関係者や観客にも衝撃だったに違いない。この後秋のシーズンは、既にさんざん上演されてしまった《マルカントーニオ氏》を続演することでなんとか凌いだ。
初演後
※普請中※
音楽
序曲
《ひどい誤解》は、自筆譜が行方不明なことから、序曲に問題が生じている、つまり各地に伝わっている筆写譜で序曲がマチマチなのである。
パリのフランス国立図書館が所蔵している筆写総譜では、序曲はよく言えばサッパリした、悪く言えば個性に乏しい音楽で、およそロッシーニらしくない、これを序曲に据えてしまうと、若くしてロッシーニらしさが発揮されている本体の音楽とのバランスが悪い。
一方、ラヴェンナのジュゼッペ・ヴェルディ財団の図書館には《ひどい誤解》の序曲とされるオーケストラパート譜が所蔵されている、これは前作《結婚手形》の序曲とほぼ同じものである(トロンボーン2つが追加されている)。
その他にも様々な例があるが、クリティカルエディションでは、前述の台本の問題から《ひどい誤解》の作曲期間が非常に短かったことから、ロッシーニは前作《結婚手形》の序曲を更生した可能性が高いと推測、ジュゼッペ・ヴェルディ財団所蔵の楽譜を採用している。
第1幕
第1番 導入 は、まずエルマンノの甘く切ない短い歌 Andantino 4/4 ト長調 Si cela in quelle mura で始まる。農夫たちの合唱 Allegro brillante 6/8 ト長調 Allegri, compagnoni! は、金管の活躍する快活な音楽で、既にこうした音楽におけるロッシーニの原型ができがっていたことが分かる。ガンベロットの歌は、一応緩 Moderato / 急 Allegro vivace の二部構成のアリアの作りにはなっているが、緩 は語り口調、急 はアンサンブル主体になっている。
第2番 ブラリッキオのカヴァティーナは二部構成だが、Allegro giusto と Un po' piu mosso なので緩(カンタービレ) / 急(カバレッタ)とは異なる、短く一気呵成の勢いのあるアリア。Allegro giusto の音楽は、後に《イタリアのトルコ人》第1番 導入 での詩人の登場の音楽に更生されて知られている。。
第3番 小二重唱 Moderato 4/4 ヘ長調 Ah vieni al mio seno は、2本のホルンと控えめな弦群だけの伴奏で、二人のバッソブッフォが滑稽に歌い合って、とても面白い。この曲をロッシーニは他のオペラには更生していないだろう。
第4番 エルネスティーナのカヴァティーナは、ロッシーニが初めて書いた大アリアということになる。合唱を前においた 緩(カンタービレ) / 急(カバレッタ) の二部形式のアリア。まず序奏と続く合唱の音楽のしっとりとした美しさに驚かされる。そのまま素材を受け継いでエルネスティーナが緩(カンタービレ)を情感豊かに歌う。続くテンポ・ディ・メッゾ(中間部)が Allegro で、エルネスティーナがかなり歌う。それに対して急(カバレッタ)は Più lento と Primo Tempo(つまり Allegro)の2段構え(カバレッタが2段構えになる例は少なからずある)、そして通常カバレッタはこの倍の長さになるところだが、ここでは短い。後年のロッシーニの大アリアでは構成をもっと単純にして歌手の魅力を際立たせているが、ここではそこまでには至っていない。
※普請中※
更生
まず《ひどい誤解》への更生から。
《ひどい誤解》はロッシーニの実質2番目のオペラだが、既に既存作からの更生が見られる。
序曲に関しては、もし初演で本当に《結婚手形》の序曲が用いられたのならば、ロッシーニの序曲の更生の第1弾ということになる、ちなみにこれ自体、ボローニャ音楽院の学生時代の1809年に書いた シンフォニア 変ホ長調 の更生、後に手直しの上《ブルグントのアデライデ》の序曲に用いられた。
第1幕 第2番 ブラリッキーノのカヴァティーナ Allegro giusto 4/4 ハ長調 は、《結婚手形》 第3番 スロックのカヴァティーナ Allegro grazioso 4/4 ハ長調 を手直ししての更生。
[第6番] 四重唱 Andante maestoso 4/4 ハ長調 のうち、ガンベロットとブラリッキーノの滑稽なやり取り Non ha il prato tante rape... は、《結婚手形》 第4番 三重唱 のうちの Ma perché ciò, spiegatevi. の音楽を発展させて更生している。
第2幕 第15番 五重唱のうちの、非常に印象的なアンサンブル Allegro deciso 4/4 変ホ長調 Questo colpo inaspettato は、《デメートリオとポリービオ》第2幕 第11番 四重唱のうち Allegro 2/2 変ホ長調 All'armi, o fidi miei. を更生したものだが、ずっと手の込んだものになっている。
次いで《ひどい誤解》からの更生、
3回で上演禁止になった《ひどい誤解》からは、様々な音楽がロッシーニの後の多くのオペラに更生されている、部分的な更生も含めると膨大な例になるので、以下主だったものだけ取り上げる。
2か月強後に初演された《幸運な策略》には多くの《ひどい誤解》の音楽が更生されている、主なものは、
第1幕 [第6番] 四重唱 のうち Allegro deciso 4/4 ハ長調 Per la gioia in me destando が、《幸運な策略》 三重唱のうち Vivace 4/4 ハ長調 Qual voce! Quali accenti! に更生されている。
前述の 第2幕 第15番 五重唱のうちの Allegro deciso 4/4 変ホ長調 Questo colpo inaspettato は、《幸運な策略》 第6番 二重唱 のうちの Presto 4/4 ヘ長調 (Sta’ pur duro quanto vuoi, に更生。
《試金石》では 第2幕 第14番 五重唱が 《ひどい誤解》第2幕 第15番 五重唱 を丸ごと更生したもの、ただし書き写したのではなく、ロッシーニが記憶を頼りに新たに楽譜を書いており、様々に相違はあるものの、概要は同じである。
《試金石》ではもう一つ、第12番の狩人たちの合唱 A caccia, o mio Signoreが、《ひどい誤解》第1幕の導入の農夫たちの合唱 Allegri, compagnoni! を、同様にほぼ丸ごと更生している。
もちろん部分的な更生は他にもみられる。
《イタリアのトルコ人》第1番 導入 の印象的な詩人の登場の音楽は、《ひどい誤解》第1幕 第2番 ブラリッキーノのカヴァティーナから更生されている。
※普請中※
蘇演と新校訂譜
《ひどい誤解》の蘇演は、ロッシーニのオペラにしばしばあるように、二段階を経ている。
蘇演は1965年9月7、9日、イタリア、キジアーナでのキジアーナ週間 Settimana Chigiana での上演。アルベルト・ゼッダの公式サイトの年代順記録における省略された記録を、クリティカルエディション総譜の解説の記述など他の情報で補足すると、エルネスティーナがマルゲリータ・リナルディ Margherita Rinaldi、ガンベロットがカルロ・バディオーリ Carlo Badioli、ブラリッキオがパオロ・ペダーニ Paolo Pedani。エルマンノがピエトロ・ボッタッツォ Pietro Bottazzo、ロザーリアがエレナ・バチス Elena Barcis、フロンティーノがフロリンド・アンドレオッリ Florindo Andreolli、合唱はコーロ・デイ・カントーリ・ピサーネ Coro dei Cantori Pisane、オーケストラ キジアーナ音楽院管弦楽団 Orchestra dell'Accademia Musicale Chigiana、指揮はアルベルト・ゼッダ Alberto Zedda。会場はシエナのリンヌオヴァーティ劇場 Teatro dei Rinnuovati. Siena。海賊LPで発売されたことがある。
この上演のためにヴィート・フラッツィ Vito Frazzi 校訂の楽譜が作られた。これはカットや改変が多く、またエルネスティーナがコロラトゥーラソプラノ役にされるなど、ロッシーニの本来の楽譜からかけ離れた改竄譜だった。これは後にOTOS社から出版されて、《ひどい誤解》の1980年代までの上演ではこの問題のある楽譜が用いられた。
1968年にはアイルランドのウェクスフォード・オペラ・フェスティヴァルで上演されている。出演者はリンク先を。またウェクスフォード・オペラ・フェスティヴァルのブログでこの上演についての記述がある。エルネスティーナを歌ったネリー・プラガンツァ Nelie Praganza(直前の代役だったという) もソプラノである。 全曲録音がYouTubeに上がっている。
1969年にはスイス、ルガーノのスイス・イタリア語放送で放送用録音が行われた。英国、BBCの放送記録によると、エルネスティーナがジョヴァンナ・サンテッリ Giovanna Santelli、ガンベロットがマーリオ・ダンナ Mario D'Anna、カルロ・バディオーリ Carlo Badioli、ブラリッキオがジャンカルロ・モンタナ―ロ Giancarlo Montanaro、エルマンノがアミルカーレ・ブラッファルド Amilcare Blaffard、ロザーリアがステッラ・コンドスターティ Stella Condostati、フロンティーノがアドリアーノ・フェッラーリオ Adriano Ferrario。合唱とオーケストラは Men's Chorus and Orchestra of Italian - Swiss Radio、指揮はブルーノ・リガッチ Bruno Rigacci。BBCの記録にあるように抜粋での放送で、番組が16時35分から17時45分までの70分枠だった。おそらくこの放送を基にしたと思われる1時間強の録音がYouTubeに上がっている。
1973年6月14日、スイスのベルン放送がドイツ語による放送用録音を行った。この録音は2022年にスイスのReliefからCDで発売された ⇒ 参考資料。出演者などもそちらを。
1974年6月8日、イタリア、ナポリでRAIナポリの放送用録音があった、この録音は1990年代中頃にCDになった ⇒ 参考資料。
フラッツィによる改竄譜での上演が続く中、《ひどい誤解》をより本来の姿に近付ける試みがドイツ・ロッシーニ協会によって始められた。NAXOSのBlu-ray Disc(2018年、ヴィルトバートでのロッシーニ での上演)のレート・ミュラー Reto Müller による解説によると、1993年にドイツ、バート・ヴィルトバートでの ヴィルトバートでのロッシーニ で《ひどい誤解》が上演される(ドイツ語訳詞 Die Verrückte Verwechslung での上演)ことになった際、指揮を担当するリュディガー・ボーン Rüdiger Bohnと、音楽学者のグイド・ヨハネス・イェルク Guido Johannes Joerg によって新しい上演譜が作られた、彼らはフィレンツェから筆写譜をマイクロフィルムで取り寄せて楽譜を大きく修正したが、1993年の上演では歌手の関係でエルネスティーナはソプラノのままだった、公演は1993年7月8日から5回、エルネスティーナがハイディ・ヴォルフ Heidi Wolf、ガンベロットがミハイル・ランスコイ Mikhail Lanskoi、ブラリッキオがヘルマン・イトゥラルデ Hernan Iturralde、エルマンノがレジナルド・ピネイロ Reginaldo Pinheiro、ロザーリアがソーニャ・マルタ Sonia Malta、フロンティーノがマティアス・クリンク Matthias Klink、指揮はリュディガー・ボーン、演出はトルステン・クライシヒ Thorsten Kreissig、この上演は大成功を収めたという。
1994年、前年の成功を受けて、ヴィルトバートでのロッシーニ で《ひどい誤解》が再演されることになった(今回はイタリア語上演)、この時はブリュッセルにある筆写譜も参考にしてさらに楽譜の見直しを進め、またエルネスティーナをメッゾソプラノのハイディ・ブルンナー Heidi Brunner に託している、ガンベロットがマルク・ホラント Mark Holland、エルマンノがオマール・ヤラ Omar Jara、フロンティーノがアレクサンダー・ユデンコフ Alexander Judenkov、その他は指揮者、演出家含め1993年と同様だったようだ、1994年7月19日から3回の上演。
この流れを汲んで、ドイツ・ロッシーニ協会は、マルコ・ベゲッリ Marco Beghelli とステーファノ・ピアーナ Stefano Piana による新校訂譜を作成した。これを用いて2001年7月14、16日、ドイツのバート・ヴィルトバートでの ヴィルトバートでのロッシーニ音楽祭 で《ひどい誤解》が上演された。指揮はアルベルト・ゼッダ。この上演はSWRによって収録され、それをNAXOSがCDにした。出演者などは ⇒ 参考資料 を。
なおアルベルト・ゼッダの公式サイトによると、ゼッダは翌2002年の7月21日にも ヴィルトバートでのロッシーニ音楽祭 でこの作品を指揮していることになっているが、詳細は分からなかった。
2か月後の2001年9月20、21、22日、初演の地ボローニャで《ひどい誤解》がベゲッリとピアーナの新校訂譜を用いた上演された。エルネスティーナがオリガ・ヴォツネセンスカヤ Olga Voznessenskaia / Olga Voznesenskaya(9月20、22日)およびグローリア・モンタナーリ Gloria Montanari(9月21日)、ガンベロットがダヴィデ・パルトレッティ Davide Paltretti(9月20、22日)およびカルロ・モリーニ Carlo Morini(9月21日)、ブラリッキオがアントーニオ・マラーニ(9月20、22日)およびルチアーノ・ミオッティ Luciano Miotto、、エルマンノがピエトロ・ピコーネ(9月20、22日)およびヴィート・マルティー Vito Martino、ロザーリアがドーラ・ディ・ナターレ Dora Di Natale(9月20、22日)およびシルヴィア・ヴァイェンテ Silvia Vajente、フロンティーノがダニエレ・マニスカルキ Daniele Maniscalchi。合唱はピアチェンツァ・フィラルモニコ合唱団 Coro Filarmonico di Piacenza、オーケストラはボローニャ“G.B.マルティーニ”音楽院管弦楽団 Orchestra del Conservatorio di Musica "G. B. Martini" di Bologna、指揮はカルミネ カッリージ Carmine Carrisi。演出、舞台装置と衣装はフランチェスコ・エスポージト Francesco Esposito、照明はダニエレ・ナルディ Daniele Nardi。ボローニャ市立劇場 Teatro Comunale di Bologna。
このボローニャでの上演は10月5日にモデナ市立劇場 Teatro Comunale di Modena でも上演されており、その時に収録されてCDとDVDで発売された。出演者などは ⇒ 参考資料 を。
ベゲッリとピアーナは、結局、ロッシーニ財団のクリティカルエディションの校訂者にもなった。ただし、前述のミュラーの解説によると、ドイツ協会の楽譜とロッシーニ財団の楽譜は微妙に異なっているそうで、前者が初演時つまり修正やカットの入った筆写譜に基づいているのに対し、後者はそれよりも前の状態を伝えていると思われるパリの筆写譜を基にしているという。
ともかく、ロッシーニ財団のクリティカルエディションを用いて、2002年8月10、13、16、19、22日にロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで初めて上演された、出演者など詳細はリンク先を。
2年後の2004年9月9、13日、ほぼ同様な歌手で、しかし指揮者がアルベルト・ゼッダに代わって、ドイツ、ベルリンのドイッチェオーパー・ベルリンで準舞台上演が行われた。アルベルト・ゼッダの公式サイトの準備中の年代記 によると、エルネスティーナがシルヴィア・トロ・サンタフェ Silvia Tro Santafe、ガンベロットがブルーノ・プラティコ Bruno Praticò、ブラリッキオがロレンツォ・レガッツォ Lorenzo Regazzo、、エルマンノがアントニーノ・シラグーザ Antonino Siragusa、ここまでは2002年のROF上演の出演者と同じ。ロザーリアがアンディオン・フェルナンデス Andion Fernandez、フロンティーノが ヴァルター・パルリチュ Walter Pauritsch。ドイッチェオーパー・ベルリン管弦楽団 Orchester der Deutschen Oper Berlin。
ゼッダは2006年4月にもベルリンで準舞台上演で《ひどい誤解》を上演している。ベルリン新聞 Berliner Zeitung の記事によると、上演は2006年4月22、25、27日。インターネット上には出演者についての情報が乏しいが、初日の公演を見た指揮者の 松岡究(日本初演の指揮者)の2006年4月23日 (日)付のブログに記述がある。それによると、エルネスティーナはマリーナ・プルデンスカヤ Marina Prudenskaya、ガンベロットは、ブルーノ・プラティコが予定されていたが病気降板、代役はブルーノ・タッディア Bruno Taddia、ブラリッキオはマルコ・ヴィンコ Marco Vinco、エルマンノがアントニーノ・シラグーザ Antonino Siragusa、ロザーリアはアンディオン・フェルナンデス Andion Fernandez、フロンティーノはブルクハルト・ウルリッヒ Burkhard Ulrich。
2002年のROFのプロダクションは2008年に再演された、出演者など詳細はリンク先を、この上演は映像収録されてDVDで発売された ⇒ 参考資料。
ヴィルトバートでのロッシーニ音楽祭 では2018年に新制作で再び上演された。これはBlu-ray discとDVDになった。
ROFでは2019年に新制作上演され、これは2024年に再演される予定である。
この他にも《ひどい誤解》はいくつかの都市で上演されているが、同じベゲッリとピアーナによる新校訂譜でありながら、ドイツ協会の楽譜を用いる場合とロッシーニ財団の楽譜を用いる場合があることになり、使用楽譜の告知がないとどちらによるものか分かりづらい。
なお日本初演は、一応、 2005年1月14、15日、東京オペラ・プロデュースによる公演、新国立劇場中劇場。東京オペラプロデュースのサイトの上演記録しかし、既に新校訂譜による上演が定着しつつある頃だったにもかかわらず、この上演ではOTOS譜が用いられ、エルネスティーナもソプラノだった。
新校訂譜を用いた《ひどい誤解》の上演は日本ではまだない。
あらすじ
第1幕
とある古城、その前をエルマンノがうろついている、彼は成金の農夫ガンベロットの娘エルネスティーナに恋しており(彼女は彼をまだ知らない)、どうにかして彼女に会うために、召使いフロンティーノとロザーリアの協力を仰ぐ。
農夫たちの合唱に続いて、ガンベロットがいかにも成金らしい態度で現れる、フロンティーノはエルマンノをエルネスティーナの新しい家庭教師に勧め、承諾を得る、安堵するエルマンノだが、フロンティーノとロザーリアから、エルネスティーナにブラリッキオという金持ちの若者が求愛していることを知る。
ブラリッキオがキザで自惚れた態度で現れる、彼はガンベロットと大仰に滑稽に挨拶し合う、ガンベロットは彼を娘に紹介することにする。
蔵書室、エルネスティーナは読書では物足りず、何か自分を苦しめる熱情ががあることに気付く、ガンベロットが彼女にブラリッキオとエルマンノを紹介する、彼女は二人の若い男の登場に喜び、エルマンノに「精神」を、ブラリッキオに「物質(≒ 肉体)」を期待する、しかし気持ちの高ぶったエルマンノが彼女の手に熱烈なキスをするので、ブラリッキオは怒り出す、この状況にガンベロットは怒り出す。
フロンティーノとロザーリアはエルマンノを案じている。
エルネスティーナと二人きりになったエルマンノは、苦労しつつ彼女に愛を打ち明ける、二人は喜び合う。
ブラリッキオはガンベロットに、エルネスティーナへの疑念を打ち明けるが、ガンベロットは娘は純潔だと反論し、さらにエルネスティーナもブラリッキーノの妄想が過ぎると詰る、ガンベロットの手ほどきでブラリッキオはエルネスティーナに奇妙な求愛をする(ガンベロットは彼に彼女の足を嗅がせる)、その様子を見ていたエルマンノは絶望し、隠れて見ていたエルネスティーナーナは彼を心配する、エルマンノが自殺を装うと、エルネスティーナがそれを止めようとして彼の手を取り、エルマンノがそれにキスをする、そこにガンベロットとブラリッキオが現れ、怒ってエルマンノを追い出す。
第2幕
部屋、フロンティーノは農夫たちに事の次第を説明する、彼はロザーリアに、エルマンノを助けるために偽の手紙を用いると明かす、彼が放り投げた手紙を、ブラリッキオがを拾うと、エルマンノがそれを取り返そうとする、案の定ブラリッキオは手紙を読むのだが、そこにはエルネスティーナが実は去勢された男で、脱走兵のエルネストだと書いてあった、すっかり信じ込んでしまったブラリッキオは、エルネスティーナに冷淡な態度を取る、怒りの収まらないブラリッキオは、軍の司令官にこの件を報告することにする。
ガンベロットはエルマンノに報酬を払って追い払う、エルマンノは絶望する、その様子を見ていたエルネスティーナは、彼を引き戻して、彼に愛を打ち明ける、ところがそれを陰からガンベロットとブラリッキオが見ており、そして現場に踏み込む、そこに突然(ブラリッキオが呼び出した)隊長と兵士たちが現れ、理由も述べずにエルネスティーナを連行してしまう。
フロンティーノとロザーリアは、自分たちの計略が予期せぬ事態になったことを嘆く。
ガンベロットは、ブラリッキオが許婚の逮捕に冷淡でいることを非難する。
牢獄、嘆き悲しむエルネスティーナの元にエルマンノが救出に現れる、彼は彼女に兵士の服を与え、それを着たエルネスティーナは喜ぶ。
ガンベロットの家の大広間、フロンティーノはブラリッキオの仕打ちを非難し、皆が彼に武器を持って襲うだろうと警告する、逃げようとするブラリッキオだったが、ガンベロットが武装した農夫たちを引き連れてやって来る、慄くブラリッキオ、そこにエルネスティーナとエルマンノが戻って来て、彼女はブラリッキオを襲わんとする農夫たちを止める、彼は二人の仲を認めるが、フロンティーノに騙されていたことを知る、エルマンノはガンベロットに結婚の許可を求め、彼は認める、ブラリッキオは、彼女は自分には相応しくないと諦める、一同の喜びで幕となる。
対訳付き音楽設計図
登場人物
エルネスティーナ
ERNESTINAガンベロットの娘、読書家を気取る
figlia del Gambertto, ch affetta letteraturaコントラルト
ガンベロット
GAMBEROTTO貴族に叙された農夫
villano nobilitatoバッソブッフォ
ブラリッキオ
BURALICCHIO若い金持ち、そしてエルネスティーナの馬鹿な婚約者
giovane ricco, e sciocco promesso sposo di Ernestinaバス
basso
エルマンノ
ERMANNOエルネスティーナの若く貧しい恋人 【注】
giovane povero amante di Ernestinaテノール
tenmore
ロザーリア
ROSLIAエルナスティーナの侍女
cameriera di Ernestinaソプラノ
soprano
フロンティーノ
FRONTINOガンベロットの 狡猾な従者、そして エルマンノの腹心の友
cameriere astuto di Gamberotto, e confidente d'Ermannoテノール
tenmore
注 第1幕第9場でのフロンティーノの台詞によると、破産した商人の息子。
日本語訳は極力文学的色づけをしない直訳にしてある。
歌詞とト書きは、マルコ・ベゲッリ Marco Beghelli とステーファノ・ピアーナ Stefano Piana によるクリティカルエディション総譜に基づいている。
※左右対訳に表示されない場合は、ブラウザの幅を広げるか、文字サイズを小さくするか。
Sinfonia |
Andante maestoso 4/4 E-flat Major |
前作《結婚手形》の序曲 パリのフランス国立図書館に収蔵されている筆写譜に据えられた序曲(ロッシーニらしさに乏しい)については補遺を参照 |
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Allegro vivace 2/4 E-flat Major |
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ATTO PRIMO | |||
N. 1 Introduzione Rosalia Ermanno Frontino Gamberotto Coro |
Andantino 4/4 G Major |
SCENA Ⅰ第1場 (Esteriore di un antico castello, con portone praticabile, che ad esso introduce)(古い城の外側、通行可能な表門を伴っている、それ【=表門】はそれ【=城(内)】へと引き入れている) (Ermanno, indi Frontino, e Rosalia, poi Gamberotto preceduto da vari Villani dalla parte del castello)(エルマンノ、それからフロンティーノ、そしてロザーリア、それから城の方からの様々な村人たちに先導されたガンベロット) ERMANNOエルマンノ Si cela in quelle muraこの城壁の中に 身を隠している il ben, che tanto adoro,いとしい人は、その者を 私は とても 熱愛している、 che per fatal sventuraその者は 宿命的な不運によって i voti miei non sa.私の願いを 知らない。 Facciamo il segno usato,いつもの合図をしよう、 (fa un fischio)(口笛を 鳴らす) vediam se v'è Frontino;フロンティーノが いるかどうか 見てみよう; se può del mio destinoもし 彼ができるのであれば 私の運命の calmar la crudeltà.むごたらしさを 抑えることが。 |
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Allegro 4/4 G major |
[sortono Rosalia e Frontino][ロザーリアとフロンティーノが【城内から】外に出る] FRONTINOフロンティーノ Foste davver sollecitoあなたは本当に熱心だった più di quel ch'io credeva.私が信じていたよりも。 ROSALIAロザーリア Del gallo il tien più vigile彼は 雄鶏よりも 警戒して 保持している quell'amorosa idea.あの愛に関する 着想を。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ D'un'altra Dulcineaもう一人のドゥルチネーア【=ド・キホーテが愛するドゥルシネア】に È degno un tanto ardor.たくさんの熱情は 相応しい。 ERMANNOエルマンノ Lasciam le digressioni,私を 話の脱線から 解放してくれ。 parliam di ciò che importa.重要なことについて 話し合おう。 (accennando la porta del castello)(城の扉を示して) Si passa quella porta?あの扉は 通過されるか【≒あの扉を通って中に入ることはできるのか】? ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Si passa, sì signor.通過される、そうだ、貴君よ。 ERMANNOエルマンノ Vedrò l'amato bene?私は 愛するいとしい人を 見るだろうか? ROSALIAロザーリア Vedrete, oh sì, vedrete.あなたは 見るだろう、ああそうだ、あなたは見るだろう。 ERMANNOエルマンノ Con lei par...彼女と 話… FRONTINOフロンティーノ Parlerete.君は 話すだろう。 ERMANNOエルマンノ Accanto...【彼女の】傍に… ROSALIAロザーリア Resterete.君は 留まるだろう。 ERMANNOエルマンノ Ah! che non credo veroああ! なんと 私は 本当には 信じられないことか il mio contento ancor!まだ 私の満足を! ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Progressi io ben lo spero私は とても 期待している それ【=満足】を farete nel suo cor.あなたが 【↑】向上 させることを その心の中で。 (Vedendo uscir de' Villani dal castello, si ritirano)(城から農夫たちが出てくるのを見て、去る) |
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Allegro brillante 6/8 C Major |
CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Allegri, compagnoni!陽気に、仲間たちよ! Il nostro padronissimo,私たちの主人が。 padrone de' padroni主人たちの主人が levossi, e vien di qua.起き上がった、そしてここに来ている。 sorte Gamberottoガンベロットが出てくる (affollandosi intorno a Gamberotto)(ガンベロットの 周りに 押し寄せて) Illustre... no... illustrissimo,名高い… いや… 極めて名高い男よ、 buon giorno, e sanità.おはよう、そして健康を。 |
Levossi, e vien di qua. levossi = si levò < levarsi 起き上がる の一人称単数遠過去形 |
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4/4 C Major |
GAMBEROTTOガンベロット Mentre stavo a testa ritta私が頭をまっすぐ立てている間に riposando sul sofà,ソファで 寛いで、 |
ad libitum。 | |
Moderato 4/4 C Major |
osservando la soffitta,天井を 観察して、 numerando i travicelli,梁を 数えて【≒ 私がソファに座って天井を見上げて梁を数えていると】、 certi insetti mattarelli何匹かの 気の狂ったかのような【≒ 鬱陶しい】、 昆虫たちが senza usar con me rispetto私に 敬意を払うことなく m'hanno rotto il conto retto,私の 正確な【梁の】計算を 中断させて、 che imperfetto restò là.それ【=計算】は そこで不完全に 残った。 Queste bestie irrazionaliこれら 理性のない昆虫たちは far non soglion distinzione.【身分の】区別をするする 習慣がない。 un villano, un re, un barone農夫は、王は、男爵は o sia in alto, o in basso posto,高い身分であろうが、低い地位であろうが、 deve stare sottoposto従属させられているのだ alla lor bestialità.彼ら【=昆虫たち】の動物性に。 CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Se ne faccia un bell'arrosto,美味しい 炙り肉が なされるように、 e di lor si sbrigherà.そうすれば 彼ら【=昆虫たち】から解放されるだろう。 FRONTINOフロンティーノ (avanzandosi con Rosalia, ed Ermanno)(ロザーリアと共に 前に進んで、そして エルマンノ【と共に】) Che gran testa! che parole!何という偉大な頭! 何という言葉! ROSALIAロザーリア Che saper profondo, e raro!何という深い知識、そして 卓越した【知識】! GAMBEROTTOガンベロット Se in tal punto non imparoもし このような時に私が 身をもって 知らなければ quando mai dovrò imparar?いったい いつ 私は 身をもって 知らなくてはならないのだろうか? |
Certi insetti mattarelli mattarelli < mattarello = di matto 気が狂ったかのように、なお mattarello には名詞で 麺棒 という意味もあるが明らかに異なる Queste bestie irrazionali bestie < bestia 一般的には 動物,獣 だが、蝿のように煩くまとわりつく虫を指すこともある |
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Allegro vivace 6/8 C Major |
CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Viva, viva, padron caro,さあ、さあ、親愛なる主人よ、 è un portento in verità.それは 本当に 奇跡だ! GAMBEROTTOガンベロット (ad Ermanno)(エルマンノに) Chi siete lei?あなたは 誰だね? FRONTINOフロンティーノ Quella persona...あの人物は… GAMBEROTTOガンベロット che a' cenni miei...どんな私の指示で… FRONTINOフロンティーノ per la padrona...お嬢様【=エルネスティーナ】のために… da precettore...個人教師として… GAMBEROTTOガンベロット Da precettore?個人教師として? (esamina Ermanno)(エルマンノを調べる) Bravo! Bravo! Atto mi par.素晴らしい! 素晴らしい! 適格と 私には思われる。 ERMANNOエルマンノ Se mi destina un tanto onoreもし あなたが 私を 大きな名誉に 指名するのなら saprò la scelta giustificar.私は 選択を 正しいと 証明する ことができるだろう。 GAMBEROTTOガンベロット Se mi giustifica con la giustiziaもし あなたが 正義にかなった行為でもって 私に 正当であることを 証明するならば saprò i suoi meriti giustziar.私は あなたの価値が 正しいと 証明する ことができるだろう。 ROSALIA ED FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Bel giorno è questo! Più lieta auroraこれ【=この日】は素晴らしい日だ! より喜ばしい夜明けの光が Non vidi ancora per lui spuntar.彼に向かって姿を現したことを私はまだ見たことはない。 ERMANNOエルマンノ Bel giorno è questo! Più lieta auroraこれは素晴らしい日だ! より喜ばしい夜明けの光が Non vidi ancora per me spuntar.私に向かって 姿を現したことを 私は まだ見たことはない。 GAMBEROTTOガンベロット Bel giorno è questo di maraviglia,これは 驚くべき 素晴らしい日だ! Vedrò mia figlia filosofar.私は 私の娘が 哲学的に考えるのを 見るだろう。 CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Come dai villici si piantan cavoli田舎者たちによってキャベツの種が蒔かれて le scienze piantansi così in città.街ではこのようにして学問の種が蒔かれる。 perciò germogliano scoperte nuove,だから新しい発見が芽生え、 che il terren bagnasi si sa se piove,雨が降れば土地が濡れることは知られている、 si sa distinguere l'uom dalla femmina,女性から男性を区別することは知られている、 e tante simili curiosità.そして多くの同様の好奇心が。 (i Villani partono)(農夫たちは 去る) |
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[Recitativo] Dopo l'Introduzione | 4/4 (C Major) |
GAMBEROTTOガンベロット Nei tempi in cui la zappa io maneggiava私が 鍬 くわ を 操っていた頃は non si filosofava; oggi, che a forza人は 哲学的に 考えなかった; 今日、 di sudori, e di calli汗の 【↑】おかげで、そして【指の】 たこの【おかげで】 un signor diventai, giacché nell'alto私は 高貴な人間に なった 【↑↑】ので、 Rango in cui son salito私が伸し上がった 【↑】高い 身分 【↑】において impera il filosofico prurito,哲学の痒み【≒ むずむずするような欲求】が 支配している 【↑↑↑】からには、 vo' che alla figlia mia私は望んでいる、私の娘に (ad Ermanno)(エルマンノに) voi insegnate la filosofia.あなたが 哲学を 教えることを。 ERMANNOエルマンノ Farò quel che potrò.私が できるであろうことを 私はするでしょう。 GAMBEROTTOガンベロット Frontino poi,さて フロンティーノは、 Ch'è un bravo cuoco, e un servitor migliore,その者は 腕の良い料理人で、そして 傑出した 召使だ、 avendovi proposto per maestro,あなたを 教師に 推薦したので io me ne fido alle parole sue,私は 彼の言葉を 信頼した、 mentre il naso ch'egli ha non è di bue.彼が 持っている 鼻は 牛の【鼻】では ないのだが。 ERMANNOエルマンノ Signore, troppa bontà. Se il genio incontro貴君よ、とてもたくさんの親切を【ありがたく思う】、もし 私が 出会ったら della gentil sua figliaあなたの愛らしい娘の 【↑】 才能に 出会ったら i voti miei saranno私の願いは appagati abbastanza.かなり 満たされる 【↑】でしょう。 GAMBEROTTOガンベロット Per appagarla avete che ne avanza.彼女を満たすために あなた はそれについて 必要以上に あるものを持っている【≒ あなたは十分過ぎるものを持っている】。 taglia svelta, bel colore, occhio vivace,すらりとした身の丈、美しい血色、生き生きとした両目、 forte in gambe, robusto:足は 力強く、逞しい: un filosofo tal le darà gusto.そのような 哲学者が 彼女に 楽しみを与えるだろう【≒ 彼女に気に入られるだろう】。 parte去る SCENA Ⅱ第2場 (Ermanno, Frontino, e Rosalia)(エルマンノ、フロンティーノ、そしてロザーリア) FRONTINOフロンティーノ Il colpo è fatto; ad Ernestina adesso一撃は 成された; エルネスティーナに 今すぐ ei vi presenterà. Di compir l'opra彼はあなたを 紹介するだろう、仕事を 達成するために sono tanto desioso,私は とても望んでいる、 che, giuro al ciel, voi le sarete sposo.天に誓う、あなたが 彼女の夫になることを。 ERMANNOエルマンノ A voi m'affido. Il povero mio stato私は あなたを 信頼している、私の 哀れな状態は era ostacol sì grande al compimento完遂への まことに 大きな障害だった del desiderio mio,私の希求の、 che senza voi che mai potea far io?君たちなしで 私が 何をできる というのだろうか? ROSALIAロザーリア L'attacco incominciando, i nostri sforzi攻撃を 始めながら、私たちの努力を diriger noi dobbiam contro il futuro私たちは 向けなくてはならない 未来の 【↓】夫 に対して sposo alla signorina destinato.令嬢に 運命付けられた。 ERMANNOエルマンノ Chi è costui?その男は誰だ? FRONTINOフロンティーノ Un certo Buralicchio,ブラリッキオとかいう il cui merto consisteその者の長所は nell'esser ricco.金持ちであるということに 【↑】ある。 ERMANNOエルマンノ E ti par poco!そして 君には 彼は不十分と 思われるのだな! FRONTINOフロンティーノ Ebben!ええとだな! sia pure un Dario, un Creso,彼がたとえダーリオ【= ダレイオス】であっても、クレーゾ【= クロイソス】であっても、 distor mai non potrà quant'ho intrapreso.彼は 私が着手したことを 決して 覆す ことはできないだろう (entrano nel castello)(城の中に 入る) |
Sia pure un Dario, un Creso, Dario はペルシャのダレイオス1世、Creso はリュディアの王クロイソス。 |
N. 2 Cavatina Buralicchio Buralicchio |
Allegro giusto 4/4 C Major |
(SCENA Ⅲ)(第3場) (Buralicchio)(ブラリッキオ) BURALICCHIOブラリッキオ Occhietti miei vezzosi,私の 愛らしい 小さな両目よ、 che state a lampeggiar,それらは 閃光を 発している、 lasciate ch'io riposi私が 休む がままにさせてくれ lo spesso scintillar.頻繁に 眩しく 光ることを【≒ 私が輝きを抑えることをを許してくれ】。 Perché da quel fulgore,なぜなら その輝きから che avvampa, accende e scotta,それは 火が点き、燃えてそして熱くなる、 può nascere una botta一撃が 生まれる ことができるからだ al sesso assai fatal.性に 大いに 致命的な【≒ その輝きは燃え上がって女性に強い衝撃を与えかねないからだ】。 Si accende la bellina,美女は 燃え上がり、 si scalda ancor la brutta.醜女も 熱くなる。 Questa un sospiro erutta,この女は 一つの溜め息を吐き、 quella di là trabocca;あの女は 向こうで 溢れている【≒ 感極まっている】; chi stringesi la bocca,ある人は 自らの口を 閉じ、 il naso chi si turaある人は自らの鼻を塞ぐ perché per sua naturaなぜなら 本来 il foco è assai bestial.火は 非常に 野獣のようだ【≒ 恐ろしい,おぞましい】からだ。 |
Quella di là trabocca; trabocca < traboccare tra- 超える bocca 出口 という成り立ちで、出口を越える≒ 溢れる という意味になる、この場合は、人の感情が一杯になって限界を超える という意味合いで、すなわち 感極まる という意味になる |
Un po' più mosso 4/4 C Major |
Calmate, eterni dei,鎮めなさい、永遠の神々よ、 un simil magnetismo,そのような磁力【≒ 魅力】を、 o in tanto fanatismoさもなければ これほどたくさんの 熱狂の中で porgete ai voti miei私の願いに 差し出しなさい la forza che vorrei私が 欲しがっている力を per tutte contentar.すべての女を 満足させるために。 |
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[Recitativo] Dopo la Cavatina Buralicchino | 4/4 (C Major) |
BURALICCHIOブラリッキオ ch'io sia bello convengono私が 美男であることを 認めている tutti i scrittori greci, e ormai la famaすべての ギリシャの作家は、そして 今や 評判は vola da Trabisonda fino a Vicchioトラブゾンから ヴィッキオまで 素早く 伝わっている della rara beltà di Buralicchio.ブラリッキオの 世にも稀な 美しさの 【評判は】。 Se la sposa mi regge al primo lampoもし 花嫁が 私の最初の稲光に 耐えるなら la vita è assicurata; in caso opposto命は 保証されている; 逆の場合 per non veder penarla彼女が 苦しむのを 見ないために vedovo resterò pria d'impalmarla.彼女を娶る めとる 前に 私は 男やもめに なるだろう |
Vola da Trabisonda fino a Vicchio Trabisonda トラブゾン トルコ北東部の黒海沿岸の都市、中世のトレビゾンド帝国の首都。 Vicchio ヴィッキオ イタリア、トスカーナ州の都市。 なおROFの上演でもヴィルトバートでの上演でも da Trabisonda a Casalicchio で歌われている。カザリッキオと呼ばれる都市はいくつかあるが、たとえば南イタリア、サレルノ近郊のカザール・ヴェリーノが現地方言でこう呼ばれている、どちらにしても、イタリアの小都市にまで、という意味合い |
N. 3 Duettino di Gamberotto, e Buralicchio Gamberotto Buralicchio |
Moderato 4/4 F Major |
(SCENA Ⅳ)第4場 (Gamberotto, e detto)(ガンベロット、そして 前の場の男【= ブラリッキオ】) GAMBEROTTOガンベロット Ah vieni al mio senoああ 私の胸【の中】に 来なさい amato mio genero.私の 愛する 娘の夫よ。 Un osculo tenero,優しいキスを deh prendi da me.ああ 私から 受けなさい、 BURALICCHIOブラリッキオ Ah padre! mi stringi,ああ 義父よ! 私を 抱き締めなさい di amplessi mi cingi.抱擁で 私を 包みなさい。 Dividi quei stimoliその刺激【≒ 興奮,高揚】を 分けなさい che sento per te.それを 私は あなたに 感じている。 GAMBEROTTOガンベロット (piangendo)(泣いて) Ahi! ahi! che già gocciolo...ああ! ああ! 私は 既に それ【= 涙】を 垂らしている… BURALICCHIOブラリッキオ (imitandolo)(彼を 真似して) Ahi! ahi! che già verso...ああ! ああ! 私は 既に それ【= 涙】を 流している… GAMBEROTTOガンベロット gocciolo... io verso...私は 垂らしている… 私は 流している… BURALICCHIOブラリッキオ Oh Dio... io gocciolo... ああ 神よ… 私は 垂らしている… GAMBEROTTO E BURALICCHIOガンベロットとブラリッキオ Di gioia in un pelago喜びの 大海の中に mi trovo già immerso.私は 私が 既に 沈んでいることを見出している【≒ 私は 自分が 既に 沈んでいるような 気分だ】。 Protegga la sorte運命が 守るように sì tenera fé.これほどの 優しい真心を。 |
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[Recitativo] Dopo il Duettino | 4/4 (C Major) |
BURALICCHIOブラリッキオ Che fa la cara sposa?いとしい花嫁は 何を しているのか? Ernestina che fa?エルネスティーナは 何を しているのか? GAMBEROTTOガンベロット È piena...彼女は いっぱいで… BURALICCHIOブラリッキオ Piena?いっぱい? GAMBEROTTOガンベロット Di contentezza, già vedendo giunto満足で、既に 来たのを 見たことで quel per le donne interessante punto.その女性たちにとって 興味深い点が。 BURALICCHIOブラリッキオ Benché non la conosca in materiale,私は 彼女を まだ 身体的には 知らないかもしれないけれども、 in astratto però mi son ben noteしかし観念的には 私に よく 知られている tutte le sue qualità corporee,すべての 彼女の 肉体的な高品質は、 e preparata ho già per lei la nicchia,そして 私は 既に 彼女のために 適所【≒ 居心地の良い場所】を 用意している、 papà caro, in quest'alma buralicchia.いとしい 父さんよ、この ブラリッキオの 魂の中に。 GAMBEROTTOガンベロット Parli molto purgato.君は とても 清められて 話している【≒ 洗練された言葉遣いで 話している】 BURALICCHIOブラリッキオ Eh! noi signoriええ! 私たち 高貴な者たちは che l'intelletto abbiam di dotte tempreその者たちは 博学な 気質の知性を 持っている、 pria di parlar ci purghiamo sempre.【私たち高貴な者たちは】話をする前に いつも 自身を 清めている【≒ 上品な振る舞い、身なりをしている】。 GAMBEROTTOガンベロット Ancor io qualche volta私も 時々 tento purgarmi, ma, malgrado i miei自身を 清めようとしている、だが 私の sforzi spropositati ho sempre in corpo途方もない努力 【↑】 にもかかわらず 私は 常に 体の中に 持っている il sugo della zappa鍬 くわ の精髄を【≒ 私は 骨の髄から 農民だ】 che succhiai col succhiare della pappa.それをまんまのすすりと共に 私は 吸収した【≒ それを私が幼児食を食べるのと同時に吸い込んだ,それは幼い頃に身に染み付いた】。 BURALICCHIOブラリッキオ Bastino ormai le dissertazioni.今は 議論は 十分だ。 Veniamo a quel che importa: a lei vorrei重要であることに 行こう: 彼女に 私は presentarmi, marchese Gamberotto.自己紹介を 【↑】したい、ガンベロット侯爵よ。 GAMBEROTTOガンベロット T'insinuerò. Vedrai nel suo bel viso私は 君を 忍び込ませるだろう、君は 見るだろう 彼女の美しい顔の中に tanta vaghezza, e tanta leggiadria,あまりの優美さを、そしてあまりの愛らしさを、 ch'io credo a stento che sia figlia mia.私が 彼女が 私の娘だと やっと 私が 信じるほどの【≒ 娘の顔は とても優美で 愛らしく、私ですら 自分の娘だとは ほとんど 信じられないほどだ】。 (partono)(去る) |
Che l'intelletto abbiam di dotte tempre この場合の tempre < tempra は temperamento 体質,気質,気性 の意で採った |
N. 4 Cavatina Ernestina Ernestina Coro |
Andante non tanto 6/8 E-flat Major |
(SCENA Ⅴ)(第5場) (Magnifica libreria)(立派な 蔵書室) (Ernestina appoggiata ad un tavolino meditando sopra vari libri, che andrà osservando or l'uno, or l'altro con una lorgnette, vari letterati, che osservano, e sottovoce diranno il seguente Coro)(様々な本の前で 考えに耽って 小机に置かれている【≒ 腰掛けている】エルネスティーナ、それら【=本】を 彼女は 手持ち眼鏡を持って 時には ある一冊、時には 別の一冊を じっと 見続けている、様々な読書家たち、彼らは 【彼女を】 じっと見て、次の合唱を 声を潜めて 言う) CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Oh come tacita osserva, e medita!ああ 何と 物静かに 彼女は じっと見て、そして 彼女は じっくり考えている ことか! Calmò il mercurio che in sé nasconde!彼女は 自身の中に 潜んでいる 移り気な性格を 静めた! Non ci risponde... che mai sarà?彼女は 私たちに応えない… 彼女は いったい どうなるのだろうか? |
合唱を前においた 緩(カンタービレ) / 急(カバレッタ) の二部形式のアリア。 合唱。 Calmò il mercurio che in sé nasconde! mercurio は 水銀 の意、水銀の性質が変わりやすいことから、移り気を意味するようになった |
(Andante non tanto) 6/8 E-flat Major |
ERNESTINAエルネスティーナ (alzandosi)(立ち上って) Nel cor un vuoto io provo心の中に 空きを 私は感じている che non so dir cos'è:それが どんなものなのか 私には 言えない: 私は mi veggo, e mi ritrovo私は 私を見て、そして 私に 気付いている mancarmi un non so che.何だか分からないものが 私に欠けていることを。 Colleghi miei dottissimi,極めて 博学な 私の仲間たちよ、 vuota son io: perché?私は 【心の中が】空いている: どうしてなのか? |
緩。 速度、拍子、調性とも前から変化はないが、ここで合唱とエルネスティーナのアリアの緩(カンタービレ)が分かれるので、区切りを入れた。 |
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Allegro 4/4 E-flat Major |
CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Vuota se adesso sei,もし 今 君が 【心の中が】 空いているとしても più vuota non sarai:君は もう 空 から では なくなるだろう: col tempo troverai時が 経つにつれて 君は 見付けるだろう un gaz, un imfiammabileガスを、火の点きやすいものを o un qualche vegetabileあるいは 何か 成長するものを pallon ti renderà.【そういったものが】 君を ボールにするだろう【≒ 君を いっぱいに 満たすだろう】。 ERNESTINAエルネスティーナ Talor serpeggia celereある時には 急速に 蛇行する Il sangue nelle vene;血が 静脈【≒ 血管】の中で; Talor mi sento accendereある時には 私は 燃え付いている ように感じる ognor da un vivo ardore, oimè!絶えず 激しい 熱情によって、ああ! né so di certe peneそれでも 私は 何か 苦悩の trovar la causa in me.原因を 私の中に 見つける ことが 【↑】できない。 CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Il punto è metafisico点【≒ 論点,重要点】は 形而上学的だ del vuoto che ti senti;君が 感じている 【心の中の】 空きの【点は】; vedrassi fra momenti,すぐ 分かるだろう ma adesso non si può.けれど 今は できないだろう di quell'ardor...その熱情の… ERNESTINAエルネスティーナ Tacete:黙りなさい: ben io ve lo dirò.私が 君たちに それを うまく 言おう。 |
テンポ・ディ・メッゾ(中間部)。 Vedrassi fra momenti, vedrassi = si vedrà ヴィルトバートでの上演では冒頭の合唱の歌詞が異なる。 Triste se adesso sei più triste non sarai: col tempo troverai chi ti consolerà. もし 今 君が 寂しくても 君は さらに 寂しくは ないだろう: 時と共に 君は 見付けるだろう 君を 慰めるであろう 人を。 |
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Più lento 4/4 E-flat Major |
Ah! che la colpa è amore,ああ! 愛は 何と 罪なことか、 che strazia questo core,それは 何と この心を 痛めつけていることか、 che fa penar quest'anima,それは 何と この魂を 苦しめさせていることか、 che delirar mi fa!それは 何と 私を 錯乱させていることか! |
急(カバレッタ)の前半。 |
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Primo Tempo 4/4 E-flat Major |
CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Che donna! che mercurio!なんという 女性だ! なんという 移り気な性格だ! che gran sagacità.なんという機敏さだ。 ERNESTINAエルネスティーナ Ah! che la colpa è amore,ああ! 愛は 何と 罪なことか、 che strazia questo core,それは 何と この心を 痛めつけていることか、 che fa penar quest'anima,それは 何と この魂を 苦しめさせていることか、 che delirar mi fa!それは 何と 私を 錯乱させていることか! |
急(カバレッタ)の後半。 |
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[Recitativo] Dopo la Cavatina Ernestina |
4/4 (C Major) |
ERNESTINAエルネスティーナ Miei letterati, figli di Mercurio,私の読書家たちよ、メルクリウスの息子たちよ、 voi che siete il collegio君たち その者たちは 団体だ d'ogni meravigliosa meraviglia,あらゆる 驚くべき 驚きの、 puntellate, vi prego,支えなさい、君たちに 私は 懇願する la mia filosofia convalescente,私の病み上がりの哲学を 【支えなさい】、 leggete voi per me. Da questi autori君たちが 私の代わりに 読書しなさい、これらの著者たちから raccogliete i rimedi per curarla,それを 治療するための 治療法を 集めなさい、 pensate voi come ricuperarla.君たちは どうやって それを 回復させるか 考えなさい。 Ariosto, il Lasca, il Rosa, ed altri libriアリオスト、イル・ラスカ、イル・ローザ、そして他の morali, che compongono道徳的な 【↑】本たちは、それらは形成している la biblioteca mia,私の図書室を、 tentano invan tormi l'ipocondria.【道徳的な本たちは】 私の心気症を 取り除こうと 無駄に 試みている。 |
Ariosto, il Lasca, il Rosa, ed altri libri Ariosto = Ludovico Ariosto ルドヴィーコ・アリオスト(1474―1533)、『狂えるオルランド』の作者として有名 il Lasca = Antonio Francesco Grazzini アントーニョ・フランチェスコ・グラッツィーニ(1503―1584)、lasca とは魚のウグイのこと il Rosa おそらく画家で詩人のサルヴァトール・ローザ Salvator Rosa(1615―1673)ではないかと思われる。 |
[N. 5] Coro dopo la Cavatina Ernestina Coro |
Allegro 4/4 B-flat Major |
CORO DI LETTERATI読書家たちの合唱 Andrem, vedrem, faremo,私たちは 行くだろう、見るだろう、するだろう、 Il tutto scopriremo,私たちは すべてを 見付けるだろう、 E al nostro microscopioそして 私たちの顕微鏡に Natura s'offrirà.自然が 身を捧げるだろう。 (partono i Letterati)(読書家たちは 去る) |
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[Recitativo] Dopo il Coro |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅵ第6場 Gamberotto, ed Ernestinaガンベロット、そしてエルネスティーナ GAMBEROTTOガンベロット Figlia!娘よ! ERNESTINAエルネスティーナ Mio generante!私を 儲けた人よ【≒ 私の父よ】! GAMBEROTTOガンベロット Aspettan fermi断固として 待っている due soggetti lì fuori i cenni tuoi.二つの対象が その外で 君の指示を。 Di', se ti par, se farli entrar tu vuoi.言いなさい、君に 思われるか どうか、もし 君が 彼らを 入場させる ことを望むのなら。 ERNESTINAエルネスティーナ Chi sono quest'enti?これらの存在【≒ その人たち】は 誰なのですか? GAMBEROTTOガンベロット L'uno一人 è di filosofia bravo maestroは 哲学の 素晴らしい教師 che ho affittato a dieci paoli al mese.その者は 月に 10パオーロ【(お金の単位)】で 借りられた【≒ 雇われた】。 L'altro... oh poi l'altro... è un più grazioso arnese.もう一人は… ああ それで もう一人は…より 趣味の良い奴だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Un arnese grazioso!趣味の良い奴と! Chi sarà mai?いったい 誰なのだろうか? GAMBEROTTOガンベロット Crepa di gioia: il sposo.喜びで はちきれそうになりなさい: 花婿だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Oh Dio! in quai momenti!ああ神よ! なんという時に! la mia toelette è disorganizzata!私の身繕いは 乱れている! Non sono accinta.私は 準備ができていない。 GAMBEROTTOガンベロット Accinta, oppur succinta,準備が できていても、あるいは 服をたくし上げていても、 è tutt'uno. Preparati,すべては 一つだ【≒ どちらでも 同じだ】、支度をしなさい、 che ad introdurli io vado, o figlia amata.彼らを 引き合わせるために 私は 行く、ああ 最愛の娘よ。 ERNESTINAエルネスティーナ Li ricevo seduta, o sollevata?私は 彼らを 座って 迎えるのか、それとも 上げられて【≒ 立ち上がって】? GAMBEROTTOガンベロット Purché tu li riceva tutti e due,君が 彼らを 全員にして 二人を 迎えるというのならば、 fa' pur come tu vuoi; hai tal talentoどうぞ 君の 望むようにしなさい; 君は 才能を 持っている da poter star a fronte a un reggimento.一連隊の最前線に 立つことができる 【↑】ほどの。 (parte)(去る) ERNESTINAエルネスティーナ Ah celibe Minerva! immergi in questoああ 独身のミネルヴァよ! 浸しなさい【≒ 染めなさい】 この istante interessante興味を引く瞬間 【↑】の際に il virgineo pudor nel mio sembiante.私の外見【=顔】に 処女の恥じらいを。 |
Mio generante! generante < generare (子を)儲ける,(子孫を)作る の現在分詞、そのまま訳すなら 子を儲けている(人) で、つまり男性形なら 父 という意味になる L'altro... oh poi l'altro... è un più grazioso arnese. arnese は本来は 道具 の意 Accinta, oppur succinta, succinta '< succingere 長い服の胸元を紐で縛ってたくし上げる という意味。あくまで語呂合わせだが。 |
[N. 6] Quartetto Ernestina Ermanno Gamberotto Buralicchio |
Andante maestoso 4/4 C Major |
(SCENA &$8550;)(第7場) (Gamberotto, che introduce Buralicchio, ed Emanno, e detta)(ガンベロット、その者は ブラリッキオを 招き入れる、そして エルマンノを、そして 前の場の女【= エルネスティーナ】) GAMBEROTTOガンベロット Ti presento a un tempo istesso私は 君に 同時に 紹介する due mortali, o prole augusta:二人の人間を、ああ 高貴な子よ: slarga pur la bocca angustaどうか 狭い口を 広くしなさい【≒ 結んだ口を開きなさい】 allo sposo, al precettor.花婿に、個人教師に。 ERNESTINAエルネスティーナ (osservando Ermanno)(エルマンノをじっと見て) Nuovo Plato io già ravviso私は 既に 新しいプラート【≒ プラトン】を 認識している in quel volto oltramontanoあの山の向こうの【≒ 外国の】顔つきに (a Buralicchio)(ブラリッキオに) e Imeneo col cereo in manoそして 手に蝋燭【≒ 松明 たいまつ】を持った イメネーオ【= ヒュメナイオス,結婚の神】を veggo in te mio dolce amor.私は 君の中に 見ている 私の 甘い 愛の人よ。 ERMANNOエルマンノ (a Ernestina)(エルナスティーナに) Presso voi di sasso restaあなたの傍で 呆然としている sbalordito un professor!仰天とした先生は! BURALICCHIOブラリッキオ (piano a Gamberotto)(ガンベロットに小声で) (Resto qui di carta pesta,(私は ここに 弱々しく 留まっている di parlar non ho valor!)私は 話をする 勇気がない!) GAMBEROTTOガンベロット (piano a Buralicchio)(ブラリッキオに小声で) (Di' con me, che dici bene, e non temer)(私と 一緒に 言いなさい、君が 巧く 言えるから、そして 恐れるでない) (insinuandoli sottovoce il complimento)(彼らに 小声で 褒め言葉を 挟んで) Non ha il prato tante rape...草原【≒ 畑】は それほどたくさんの蕪 かぶ を持っていない… BURALICCHIOブラリッキオ Come? rape! non ci cape.何だって? 蕪だって! それは分からない。 GAMBEROTTOガンベロット Non ha l'orto tante zucche...野菜畑は それほどたくさんの カボチャを 持っていない… BURALICCHIOブラリッキオ Non vi son tante parrucche...それほど多くの かつらはない… GAMBEROTTOガンベロット non ha il campo tante fave...畑は それほど多くの 蚕豆 そらまめ を持っていない… ERNESTINAエルネスティーナ Oh che frasi belle, e brave!ああ なんと 美しい詩句、そして 優れた【詩句】! Bravo!素晴らしい! ERMANNOエルマンノ (Quasi quasi io riderei.)(私は ほとんど 笑いたいくらいだ。) (Nel mirar quel volto, oh dei!(あの顔を 見詰める時、ああ神々よ! palpitando io resto, oimé.)私は 心臓が 拍動したままでいる、ああ。) ERNESTINAエルネスティーナ (pavoneggiandosi)(気取って歩いて) (Gli han colpiti i vezzi miei:(私の愛らしさは 彼らを 射抜いた: qual trionfo, o ciel, per me.)なんという勝利なことか、ああ天よ、私にとって。) GAMBEROTTO E BURALICCHIOガンベロットとブラリッキオ quanti son gli ossequi miei私の敬意であるものすべては che ossequioso ossequio a te.君に対する 恭しい 敬意である。 |
Resto qui di carta pesta, carta pesta = cartapesta 紙張り子、di cartapesta で 張り子の、転じて 弱い の意 |
Moderato 3/4 E-flat Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Su via depongasi l'alta etichetta.さあ 古い礼儀作法は 捨てられるように。 Presto mi dicano in forma schiettaあなた方が すぐに 私に 率直な表現で 言うように che cosa ammirano di grande in me?あなた方が 私において 何を 大いに 見惚れているのか? ERMANNOエルマンノ Quell'occhio tenero.その優しい目だ。 BURALICCHIOブラリッキオ Quel ciglio morbidoその柔らかい眼 まなこ だ、 GAMBEROTTOガンベロット Quel volto argenteo come ha papà.父さんが持っているような その銀色に輝く顔だ。 BURALICCHIOブラリッキオ come ha papà.父さんが 持っているような。 ERNESTINAエルネスティーナ Ed io che economa non fui giammai,そして かつて 倹 つま しくなかった 私は、 saprovvi rendere contenti assai.君たちを とても 満足させる ことができるだろう。 (ad Ermanno)(エルマンノに) Tu avrai lo spirito,君は 精神を 受け取るだろう。 (a Buralicchio)(ブラリッキオに) tu la materia君は 物質を che contentissimi vi renderà.それは 君たちに この上ない 満足を 与えるだろう。 ERMANNO, GAMBEROTTO E BURALICCHIOエルマンノ,ガンベロットとブラリッキオ Che profondissima profondità.なんという この上なく深い 深遠さ。 ERNESTINAエルネスティーナ Io sarò il fiore, l'api sarete.私は 花になるだろう、君たちは 蜂になるだろう。 ERMANNOエルマンノ Al vago odore ci aggireremo.優しい匂いの 周りを 私たちは グルグル回るだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Vi succhieremo come che va.もちろん 私たちは あなたを 吸うだろう。 |
エルネスティーナはエルマンとブラリッキオの二人を、始めのうち二人称複数の敬称 loro あなた方 で呼んで、二人から距離を置いているたが、すぐに 親称で呼ぶようになる | |
Allegro deciso - Più mosso 4/4 C Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Per la gioia in me destando私の中で 目覚めつつある喜びによって gran tumulto già si va.大きな動揺が 既に 広がりつつある。 Sento il cor che va balzando私は 心を 感じている それは 次第に 高鳴って行く per la troppa ilarità.あまりの上機嫌によって。 Agitata dal timore不安に 掻き乱されては più non sono in tal momento,私は もはや いない このような瞬間に、 sol le voci del contento満足の声だけを in me sento a rimbombar.私は 聞いている 私の中で 轟いているのを ERMANNO, GAMBEROTTO E BURALICCHIOエルマンノ,ガンベロットとブラリッキオ Per la gioia in me destando私の中で 目覚めつつある喜びによって gran tumulto già si va.大きな 動揺が 既に 広がりつつある。 Sento il cor che va balzando私は 心を 感じている それは 次第に 高鳴って行く per la troppa ilarità.あまりの上機嫌によって。 Agitato dal timore不安に掻き乱されては più non sono in tal momento,私は もはやいない このような瞬間に、 sol le voci del contento満足の声だけを< in me sento a rimbombar.私は 聞いている 私の中で 轟いているのを (Gamberotto parte)(ガンベロットは 去る) |
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[Recitativo] Dopo il Quartetto |
4/4 (C Major) |
ERNESTINAエルネスティーナ Le macchine corporee人体の機構を in linea curva adattinoあなた方が 曲線に 適合させるように su due comodità.二つの快適さの上で。 BURALICCHIOブラリッキオ Come?何だって? ERNESTINAエルネスティーナ Due sedie,二つの椅子、 secondo il basso volgo.卑しい庶民の言うところでは。 Aspettan questi待ち構えている これらの alberi lavorati加工された 木々は da voi l'onore di essere ammaccati.あなた方によって 名誉が 傷つけられることを。 BURALICCHIOブラリッキオ (seggono)(二人は 座る) Bella lingua!立派な舌【≒ 言葉】だこと! ERNESTINAエルネスティーナ I miei voti私の願いは son contenti una volta: i vacillanti一度で 満ち足りた: ぐらつく passi che di Sofia歩み それを ソフィア【=知恵の女神】の sull'imbattuta via guidar volevo不敗の道の上で 私は 導きたかった trovo al fin chi dirige, e l'incertezza私はついに 【ぐらつく歩みを】導く人を 見付けた、そして 不安は ormai non mi scombussola,今は もう 私を 掻き乱しはしない、 trovando un uom, che mi regoli la bussola.一人の男性を 見つけることで、その者が 私の方針を 律するだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Oh sì, lo troverete, cara mia...ああそうだ、あなたは 彼を 見付けている、私のいとしい人よ… ERNESTINAエルネスティーナ Tacete, o uom senza filosofia.黙りなさい、ああ 哲学のない男よ。 ERMANNOエルマンノ Quest'alpestre sentieroこのアルプス山脈の小道を non farò spianar, se a quel ch'io scorgo私は 平坦にさせることは ないだろう、もし 私が 見付けたものに il varco è a lei già aperto,それ【=(1行下の)頂上】への 抜け道が 既に 開かれているならば、 che alla vetta conduce un uom di merto.それは 頂上へと 功労のある男を 導いている。 ERNESTINAエルネスティーナ Della vaga Eloisa, il di cui nome美しいエロイーザ【≒ エロイーズ】の、その名前 celebre è tanto nella storia gallica...はゴール【≒ フランス】の物語の中で とても 有名だ… BURALICCHIOブラリッキオ (Qui si parla di gallico!)(ここで ゴール語についいて 語るとは!) ERNESTINAエルネスティーナ io seguirò l'esempio私は 例に 倣うだろう sebben con passo tardo.遅い歩みではあるけれど。 ERMANNOエルマンノ Ed io seguiterò quel di Abeilardo.そして 私は アベイラルド【≒ アベラール】のそれ【=例】を 辿るだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ (Anche la malva?(あの 気力のない奴もか? Che pasticcio è mai questo?)これはいったい 何のパイ【≒ ごたごた】なのか?) ERNESTINAエルネスティーナ i dogmi vostriあなたの教義は m'innaffieranno in guisa tal lo spirito,そのようにして 私の精神に 水を 与えている、 che degna allor sarò di alloro, e mirto.それは その時には 月桂樹【≒ 栄誉】に 値するだろう、そしてギンバイカ【≒ 愛】【に】 ERMANNOエルマンノ (baciandole la mano con ardore)(彼女の手に 熱烈に キスして) Oh cara! qual portento!ああ いとしい人よ! なんという奇跡! Oh Dio! non reggo più. (Trattienti o core.)ああ 神よ! 私は もう 耐えられない、(堪えなさい ああ心よ。) ERNESTINAエルネスティーナ (baciando la mano ad Ermanno)(エルマンノの手に キスして) Degna sarò d'un tanto precettore.これほど重要な 個人教師に 私は 値するだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ A che gioco si gioca, il mio signore?何の遊戯を 遊んでいるのか、私の貴君よ? Mi par, per quanto io sento,私には思われる、私が 聞いた限りでは、 che già sorte dal suo dipartimento.彼は 既に 彼の領域から 外に出ている。 Egli vendemmia, ed io彼は 【葡萄を】摘み、そして 私は qui raccolgo i granelli.ここで 種を 集めている。 ERNESTINAエルネスティーナ Io feci il patto私は 協定を 結んでいる di darvi metà della macchina.機能の半分を あなたに与えると。 BURALICCHIOブラリッキオ Che metà? Gamberotto mi promise何の半分だと? ガンベロットは 私に 約束した Che mi ti dava tutta.私に 君を すべて 与えることを。 ERNESTINAエルネスティーナ Alma venale!金で動く魂だこと! Non ti dissi che all'uno私は 君に 言わなかったか 一人の男性に lo spirito concedeva,私は 精神を譲る、 e all'altro la materia?そして 別の男性に 物質を と? BURALICCHIOブラリッキオ La materia物質を mi par che goda lui, e non già io,私には 思われる 彼は 享受しているであろうと、そして 決して 私ではない、 che son digiuno del maestro a fronte.その者は 教師と比較して 欠けている。 D'aria non vivo qual camaleonte.私は 霞を 食べて 生きてはいない カメレオンのように、。 SCENA &$8551;第8場 (Gamberotto, Frontino, Rosalia, e detti)(ガンベロット,フロンティーノ,ロザーリア,そして前の場の人たち) FRONTINOフロンティーノ Che fu?何があったのか? GAMBEROTTOガンベロット Cos'è quel chiassoあの騒ぎは どうしたのだ che mi rompe il timpano dell'auricola?それは 私の耳介の鼓膜を 破いている? BURALICCHIOブラリッキオ Fu che colui... costei... ove son giunto!それは あの男が… この女が… 私は どこにたどり着いたのか! Parlar non so... che brutto punto!私は 話すことができない… なんという 酷い状況だ! |
Della vaga Eloisa, il di cui nome / Ed io seguiterò quel di Abeilardo. 中世フランスの修道女エロイーズ(1092頃―1164)と、哲学者、神学者のピエール・アラベール(1079―1142)のこと、二人は熱烈な恋の末に子を儲けたことと、その後手紙を交わしたことで知られている |
[N. 7] Aria Gamberotto Gamberotto Buralicchio |
Maestoso 4/4 D Major |
GAMBEROTTOガンベロット Parla, favella, e poi話なさい、言いなさい、そしてそれから vedrò da' detti tuoi私は理解するだろう 君の言葉から il torto da chi sta.誰による過ちなのか。 |
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Allegro 4/4 D Major |
BURALICCHIOブラリッキオ Questa...この女性が… GAMBEROTTOガンベロット È la nostra figlia:彼女は 私たちの娘だ: la nona meraviglia,第9の奇跡だ、 che fe' madre naturaその者を 母なる自然が 作った di peso, di misura重さにおいても、寸法においても e di ampia qualità.そして 質においても 豊かに。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 BURALICCHIOブラリッキオ Quello...あの男が… GAMBEROTTOガンベロット È un dottor di lettere彼は 文学の学者だ che il bianco in men d'un atomoその者は 白を 微小の間に【≒ 一瞬で】 dal nero sa distinguere,黒から 区別する、 e il maschio dalla femminaそして 女性から 男性を senza difficoltà.困難なく 【区別する】。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma io...しかし私は… GAMBEROTTOガンベロット Tu sei quell'albero君は あの木【のようなもの】だ d'onde germoglierannoそこから 発芽するだろう per forza matematica正確な力によって sei germi in men d'un anno6つの芽が 一年経たない内に con gran felicità.大きな幸せと共に。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 BURALICCHIOブラリッキオ Papà, siete una bestia.父さん、あなたは 獣だ【≒ とんでもないことを言っている】。 Si sa, si sa, si sa.周知の通り、周知の通り、周知の通り。 ERNESTINAエルネスティーナ Egli mi offende, o stelle!彼は 私の感情を 害している、ああ星々よ! per certe bagatelle.何か つまらないことによって。 GAMBEROTTOガンベロット Talpa in mortale ammanto,肉体で 包まれた【≒ 人間の皮を被った】 モグラめ、 uom senza testa in testa,頭の中に 頭のない【≒ 頭に知性のない】男め、 la nostra figlia è questa,この女性は 私たちの娘だ、 freno i sospetti, olà!疑いを 抑えなさい、さあ! |
Di peso, di misura / E di ampia qualità. ampia < ampio が peso、misura、qualità の3つすべてに掛かると採り、これを副詞的に訳した。 Si sa, si sa, si sa. si sa は 当然分かっていることだが という意味合い、ここでは、皆が知っていること と言いながら、ブラリッキオに対して 君も理解しなさい と言っている。 Tu sei quell'albero albero には 家系図 の意味合いがあり、発芽に喩えて、10ヶ月後には6人の子が生まれる、と言っている Papà, siete una bestia. ブラリッキオはここでガンベロットを二人称敬称で呼び、距離を置いている |
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(Allegro) 4/4 D Major |
o al fulminar del brandoああ 剣の雷撃【≒ 攻撃】をしようと di Brandimarte, e Orlando,ブランディマルテの、そしてオルランド【の】 【剣の雷撃を しようと】、 vedrai balzarmi in campo君は 戦場で 私が 飛び跳ねているのを見るだろう col Mongibello in mano,手にモンジベッロ【≒ エトナ山】を持って【≒ 手から 炎を 上げて】 e qual Enea troianoそしてトロイアのエネア【= アイネイアス】のように il mare incenerir.【私が】 海を 灰にするのを 【君は 見るだろう】。 |
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Più mosso 4/4 D Major |
vedrai il mare incenerir.君は 見るだろう 海を灰にするのを。 (partono Ernestina, Gamberotto, Ermanno, Buralicchio)(エルネスティーナ、ガンベロット、エルマンノ、ブラリッキオは 去る) |
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[Recitativo] Dopo l'Aria Gamberotto |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅸ第9場 Rosalia, Frontinoロザーリア、フロンティーノ ROSALIAロザーリア Non vorrei che tradito私は 望んでいないのだが 明かして Ermanno già si fosse.しまったことを エルマンノが 既に 正体を【≒ エルマンノが 既に 正体を 明かしていなければ いいのだが】。 FRONTINOフロンティーノ Eh, così scioccoうーん、それほどの間抜けだと crederlo non potrei... Così presto?...私は 彼を 信じる ことができないのだが… これほど 早くに? oh via, non è possibile.ああそら、それは不可能だ。 ROSALIAロザーリア L'amore愛は qualche volta fa scordar la prudenza.時々 慎重さを 忘れさせる。 Che siasi già scoperto alla padrona?彼が 既に 雇い主【≒ エルネスティーナ】に 正体を明かしてしまったのだろうか? FRONTINOフロンティーノ Mi spiacerebbe assai: faria sbagliareそれは私には 残念に思われるのだけれども: 彼は 外すかもしれない un gran colpo in mia fé; mi toglierebbe大きな標的を 私の信頼において【≒ 彼は 私の信頼を 大きく 損ねるかもしれない】; 彼は 私から 取り除くかもしれない la via di dimostrar表す術 すべ を la mia riconoscenza a tanto bene,たくさんの善行に対する 私の 感謝の気持ちを che dalla sua famiglia ho ricevuto.それ【=善行】は 彼の家族から 私が 受け取った。 ROSALIAロザーリア Forse, chi sa: non si sarà perduto.たぶん、おそらく: 彼は 破滅しはしないだろう。 FRONTINOフロンティーノ Figlio d'un negoziante ch'è fallito,【彼は】 破産した商人の息子、 le circostanze sue sono ben critiche;彼の状況は 十分に 危機的だ; e il matrimonio colla padroncinaそして 雇い主の娘との結婚は sarebbe ai mali suoi gran medicina.彼の不運に対して 大きな薬に なるかもしれない。 ROSALIAロザーリア Dagli un po' di lezion, che si contenga彼に 少しの 授業を 与えなさい、彼が 振舞うように con prudenza, e ritegno;慎重さをもって、そして 自制【をもって】; altrimenti se sbagliasi l'affareさもないと もし 彼が ことを 間違えたなら mal per lui, mal per noi può diventare.それは 彼にとって 悪く、私たちにとって 悪くなることもあり得る。 |
faria sbagliare faria = farebbe < fare の条件法現在三人称単数形 の古形 |
[N. 8] Aria Rosalia Rosalia |
Allegretto 3/4 F Major |
ROSALIAロザーリア Quel furbarel d'amoreあの 愛の小狡さを se noi celiam nel petto,もし 私たちが 胸の中に 隠すのならば、 a nostro gran dispetto私たちの 大きな反対にもかかわらず【≒ 私たちの意に 大きく 反して】 vuol sempre venir su.それ【=愛の小狡さ】は常に 上に 行き【≒ 胸の中から外に出】たがる。 Nei labbri ora s'affaccia,それは 今は 唇に 姿を現し、 talor negli occhi appare,時々 両目に現れ、 rossor se lo discaccia,もし 赤面【≒ 恥ずかしさ】が それを 追い払って、 sen va, ma suol tornare,それが 消え去っても、けれども戻ってくるのが常、 e tenta mille vieそして 千の方策を 試みる per farsi palesar.自らの正体を 明かさせるために。 Ditelo, o donne care,そのこと【=次の行の se 節】を 言いなさい、親愛なる女性たちよ、 S'è vero il mio parlar.私の発言が 真実かどうか。 (partono)(去る) |
Quel furbarel d'amore furbarel < furbarello おそらく furbaro という形容詞に縮小接尾語が付いたもの(の名詞化)だと思われるが、furbaro もまず伊語辞書には載っていない、インターネット上のある詩の伊英訳に、furbarello が roguish 悪党のような,人を平気でだます / いたずらっぽい で訳されていたので、ここでは ずる賢い で採った。 A nostro gran dispetto a suo dispetto は nonostante la sua opposizione と同じ意味になる ―の反対にもかかわらず、この場合は 意に反して という意味合い。 |
[Recitativo] Dopo l'Aria Rosalia |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅹ第10場 Ernestina ed Ermannoエルネスティーナとエルマンノ ERNESTINAエルネスティーナ Che ne dite, maestro, un sì gran tortoそれについて 君は 何を 言うのか、教師よ、これほどの 大きな過ちを può Ernestina soffrir? Crudele! io l'amo...エルネスティーナは 耐える ことができるだろうか? 残酷な人よ! 私は 彼を 愛している… ERMANNOエルマンノ L'amate?あなたは 彼を 愛していると? ERNESTINAエルネスティーナ Almen lo credo:少なくとも 私は それを信じている: subito che dev'essere il mio sposo彼は すぐに 私の花婿に ならなければならないのだから vuol l'etichetta, ch'io l'adori almen礼儀作法が 求めている、私が 彼を 熱愛することを 少なくとも per mezza settimana.半週間は。 Quest'almeno è il buon tuon che è in uso adesso.少なくとも これは 今日 慣わしになっている 良い格式だ。 ERMANNOエルマンノ Di darvi una lezion mi sia concesso.あなたに 授業を 与えることを あなたが 私に 認めるように。 E potreste feliceそして あなたは 幸せに scorsa la settimana一週間が 過ぎ去って【≒ 一週が過ぎる間】 viver con un che non v'ha tocco il core?あなたの心に 触れない男と 生きる 【↑↑↑】ことができるだろうか? ERNESTINAエルネスティーナ E perché no, garbato precettore?それでは どうして 違うのか、親切な 個人教師よ? In Sparta era proscrittoスパルタでは 禁止されていた un affetto eccedente un giorno intero.丸一日を越える情愛は。 Abolì il gran Licurgo di Strasburgo,ストラスブールの 偉大な リクルゴは 止めた、 che nacque in Brandeburgo, o Pietroburgo,その者は ブランデンブルクで生まれた、あるいは ペテルブルグ【で生まれた】、 questa molle passione, e concentrandoこの柔らかい熱情を【止めた】、そして 集中することで tutti gli amori in quello della patriaすべての愛を 祖国のそれ【= 愛】の中に volle a lei sol soggettiそれ【= 祖国(女性名詞)】だけに 従うよう 求めた di madri, spose, e figlie i vari affetti.母たちの、妻たちの、そして娘たちの 様々な情愛を。 ERMANNOエルマンノ (Quali massime oh Dei!) Ed il cor vostro(なんという主義だ ああ神々よ!) そして あなたの心は con il labbro si accorda? Ed il bisogno唇【≒ 言葉】に 一致しているのか? そして 必要を ei non sente di amar?それ【=唇(男性名詞)】は 感じていないのか 愛するという? ERNESTINAエルネスティーナ Per dirvi il veroあなたに 本当のことを 言うと sento qualche bisogno ancora io,私は なんらかの 必要を まだ 感じている、 ma sottopor conviene il genio mio.しかし 私の好みを 従わせる 必要がある。 ERMANNOエルマンノ Come a dir?と言うと? ERNESTINAエルネスティーナ L'interesse損得が dettò a mio padre un simil matrimonio.そのような結婚を 私の父に 強いている。 ERMANNOエルマンノ E voi per l'interesseそして あなたは 損得のために non badate se possa questo sposo注意していないのか この花婿が rendervi, o no, contenta?あなたに 満足を与える 【↑】ことができるであろうか 否か? ERNESTINAエルネスティーナ Il vostro, o caro,あなたの、ああいとしい人よ、 ragionamento è scaltro;講義は 抜け目がない; ma a farmi tal potrei trovar un altro?けれど 私を そのように【≒ 幸せに】する 別の男性を 私は 見つける ことができるかもしれないのか? |
Abolì il gran Licurgo di Strasburgo, il gran Licurgo di Strasburgo については不明 |
[N. 9] Duetto Ernestina, e Ermanno Ernestina Ermanno |
Andante 4/4 A Major |
ERMANNOエルマンノ Sì, trovar potrete un altroそうだ、あなたは 他の男を 見つける ことができるだろう Di quel cor più degno assai,その心に より ずっと 相応しい 【他の男を】、 Che vicino a' quei bei raiその者は あの美しい眼差しの傍で Sol d'amor respirerà.愛だけに 息をするだろう。 ERNESTINAエルネスティーナ Se una speme così caraもし それほどに いとおしい希望を Voi destate nel mio seno,あなたが 私の胸の中に 呼び起こす のならば Per pietà mi dite almenoお願いだから せめて 私に 言いなさい Quest'oggetto chi sarà.誰が この対象で あろうかを。 ERMANNOエルマンノ (con foco)(熱を込めて) Nominarlo, oh Dio! non lice,彼【の名を】 口にするのは、ああ神よ! 許されない、 Troppo ei nacque, oimè! infelice.彼は 生まれた、ああ! あまりにも不幸に。 ERNESTINAエルネスティーナ (fissandolo)(彼を見据えて) Infelice non è mai決して 不幸ではない Chi interesse può ispirar.関心を 生じさせる者は。 ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ (Ah! quegl'occhi han detto assai(ああ! あの両目は あまりに 物を言っている Per poterne dubitar.)そのことを 疑うには【≒ あの目が あまりに 雄弁だったので、私は そのことを 疑う ことができない】) ERNESTINAエルネスティーナ Seguite...続けなさい… ERMANNOエルマンノ Ah no, non posso.ああ だめだ、私は できない。 ERNESTINAエルネスティーナ (con tenerezza)(愛情を込めて) Parlate per pietà.お願いだから 話しなさい。 |
quegl'occhi han detto assai / Per poterne dubitar. assai... per 動詞の不定詞 ―するにはあまりにも…である,あまりにも…なので―できない |
Allegro agitato 4/4 A Major |
ERMANNOエルマンノ (inginocchiandosi)(跪いて) Quell'infelice io sono私が その 不幸な者だ Che chiede a voi perdonoその者は あなたに 許しを 乞うている Di sua temerità.彼の向こう見ずで。 ERNESTINAエルネスティーナ Chi? tu?...誰が? 君が?… ERMANNOエルマンノ Son io.私だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Che sento!私は 何を 聞いているのだ! ERMANNOエルマンノ Potrei...私が できるのなら… ERNESTINAエルネスティーナ Che ardire!なんという 厚かましさ! ERMANNOエルマンノ Oh Dio!ああ 神よ! ERNESTINAエルネスティーナ con forza(力を込めて) Fuggi dagl'occhi miei私の両目から 立ち去りなさい (con passione)(情熱をもって) Fuggi per carità.お願いだから 逃げなさい (con tenerezza)(愛情を込めて) |
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(Allegro agitato) 4/4 A Major |
ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ (Oh Dio! di nuovo palpito(ああ神よ! 新たな心臓の拍動の Qual moto è questo insolito!これは なんという ただならぬ動きなことか! Se non è questo amore, oh Dio!もし これが 愛で なければ、ああ 神よ! Che cosa mai sarà!)いったい どうなるというのだ!) (partono)(去る) |
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[Recitativo] Dopo il Duetto [Ernestina, e Ermanno] |
4/4 (C Major) |
SCENA ⅩⅠ第11場 Gamberotto, e Buralicchio, indi Ernestinaガンベロット、そしてブラリッキオ、それからエルネスティーナ GAMBEROTTOガンベロット No, signor Buralicchio, il nostro germeいいや、ブラリッキオ氏よ、私たちの芽【≒ 子 =エルネスティーナ】は no, che non è capace d'intaccareいいや、その者は傷つけることはできない di mia stirpe il decoro,私の家柄の誇りを ch'ebbe sindaci sette in concistoro.それ【≒ 家柄】は教皇枢密会議で7人の市長を擁した。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma le prove...だが証拠が… GAMBEROTTOガンベロット Quai prove?どんな証拠かね? BURALICCHIOブラリッキオ Ho qui disposta私はこの点で準備した ragionata querela.理にかなった告訴を。 GAMBEROTTOガンベロット Ebben: ti voglioそれでは: 私は 君を legalmente legar.法律に基づいて縛り上げ 【↑】たい。 (siede con gravità)(威厳をもって座り) Sia questo il buco.ここが穴ならば。 BURALICCHIOブラリッキオ Che buco?何の穴だって? GAMBEROTTOガンベロット Oh talpa! Il foroああモグラめ! 法廷だ dove esaminerò gli appelli tuoiそこで私は君の告訴を調べ上げるだろう per formalmente giustiziarti poi.結局 正式に君を裁くために。 ERNESTINAエルネスティーナ (sortendo)(出て来て) Mio genitor...私の父親よ… GAMBEROTTOガンベロット Olà, sta' zitta, e taci,そら、黙っていなさい、そして静かにしていなさい、 finché di tua innocenza君の潔白の non è la prova appien giustificata証拠が十分に認められる 【↑】までは da un dubbio genitor sei scapolata.疑いを抱いている父親から君は免れている。 ERNESTINAエルネスティーナ Sassificata, o genitore, io resto石に、ああ父よ、私はなった da tal linguaggio, il qualeそのような言葉によって、それは offende poi la candidezza mia.要するに私の純潔を侮辱している。 GAMBEROTTOガンベロット Che prove adduci di tua biancheria?君の純白についてのどんな証拠を君は提示するのか? BURALICCHIOブラリッキオ È biancheria apparente, ma in sostanza彼女は見せかけの純白だ、しかしつまるところ chi sa che cosa ha sotto.彼女が下に何を持っているのか誰が知っているのだ。 Giustiziatemi voi, sor Gamberotto.あなたは私を正当に認めなさい、ガンベロットさん。 ERNESTINAエルネスティーナ con caricata gravità大げさな威厳をもって D'umor geloso egl'ha impastata l'alma彼はやきもち焼きの気性のこびり付いた魂を持っている che travasando per le fibre, e arterieそれ【=魂】は繊維【≒ 血管】を通って流れている、そして動脈を【通って流れている】 produce nell'occipite【彼の魂は】後頭部の中で生み出している della sua fantasia彼の幻想から una tal qual fantasmagoria;奇想天外な思い付きのようなものを quindi di veder credeだから彼は見ていると信じている ciò che creder non deve, e amalgamando信じてはいけないものを、そして結びつけることで i spirti sparsi al nervo,乱れた精神を神経に、 che ottico si appella,それは視覚の【神経 ≒ 視神経】と呼ばれている、 un topo gli rassembra una vitella.彼にとってはネズミが雄子牛に似ているのだ【≒ 乱れた精神が視神経に結び付いて彼にはネズミが子牛のように見えるのだ】。 Potreste, o padre, esser così protervoあなたはできるというのか、ああ父よ、このように傲慢になることが contro di me pel vaneggiar d'un nervo?私に対して 神経の譫妄によって? GAMBEROTTOガンベロット Non più, figlia, non più, che tu m'imbalsami.もうよい、娘よ、もうよい、君は私を防腐処理している【≒ ミイラにしている】から。 (a Buralicchio, indicando Ernestina)(ブラリッキオに、エルネスティーナを指差して) Vedi, vedi che pezzo filosofico見なさい、見なさい、何の哲学のものを Ardisci d'insultar?君は勇敢にも侮辱しようとしているのか? Buttati su in ginocchio跪いて下に身を投げなさい Avanti a lei,彼女の前で、 (obbligandolo ad inginocchiarsi)(彼に跪かさないといけないようにして) o che ti cavo un occhio.さもなければ私は君の片目を引き抜くぞ。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma io...しかし私は… GAMBEROTTOガンベロット Così, così. Di' quel che dico,このように、このように、私が言うことを言いなさい、 Bestia più che marito.夫というよりも獣だ。 ERNESTINAエルネスティーナ Il gran trionfo mio ecco compito.私の大きな勝利がここに達成した。 |
Sia questo il buco. buco は 穴 で、後でガンベロットが言い直す foro は 穴 の意と 法廷,裁判所 の意の両方がある、ガンベロットは 法廷 のつもりで、穴違いの buco と言ってしまい、ブラリッキオが理解できなかったのだ Giustiziatemi voi, sor Gamberotto. giustiziate < giustiziare は 処刑する の意だが、この場合は fare giustizia 正当に認める の意で用いられていると思われる |
[No. 10] Finale Primo Ernestina Ermanno Gamberotto Buralicchio |
Allegro 4/4 D Major |
GAMBEROTTOガンベロット (Buralicchio ripeterà tutto ciò che dirà Gamberotto)(ブラリッキオは ガンベロットが 言うであろうこと すべてを 繰り返すだろう) Volgi le amabili向けなさい かわいらしく BURALICCHIOブラリッキオ Volgi le amabili向けなさい かわいらしく GAMBEROTTOガンベロット pupille elasticheしなやかな瞳を BURALICCHIOブラリッキオ pupille elasticheしなやかな瞳を GAMBEROTTOガンベロット a questa bestiaこの獣に BURALICCHIOブラリッキオ a questa bestiaこの獣に GAMBEROTTOガンベロット senza giudizio,判定なしに【≒ 決め付けずに この獣に かわいらしく しなやかな 瞳を 向けなさい】、 BURALICCHIOブラリッキオ senza giudizio,判定なしに、 GAMBEROTTOガンベロット figliola equivoca曖昧な娘 BURALICCHIOブラリッキオ figliola equivoca曖昧な娘 GAMBEROTTOガンベロット d'un semideo,半神の BURALICCHIOブラリッキオ d'un semideo,半神の GAMBEROTTOガンベロット d'un Mardocheo,マルドケオ【≒ モルデカイ】の BURALICCHIOブラリッキオ d'un Mardocheo,マルドケオの GAMBEROTTOガンベロット di nostra età.私たちの時代の【≒ 半神の、現代のモルデカイの(どちらもガンベロットを指す) 謎めいた 娘よ】。 BURALICCHIOブラリッキオ di nostra età.私たちの時代の。 ERNESTINAエルネスティーナ (dando un piede a Buralicchio)(片足を ブラリッキオに 差し出して) Di mia clemenza eccoti un segno,ここに あなたへの 私の寛大さの印 しるし が、 benché non degno sei di pietà.君は 哀れみに 値しないけれども。 GAMBEROTTOガンベロット Bacialo, annasalo.それに キスしなさい、それの臭いを 嗅ぎなさい。 BURALICCHIOブラリッキオ Che odore io sento!なんという匂いを 私は 感じていることか! GAMBEROTTOガンベロット Fra poco attento più in su si va気を付けなさい もうすぐ もっと 上に行く finché alla mano s'arriverà.手に 届くまで。 BURALICCHIOブラリッキオ Che strano evento! che caso strano!なんという 見妙な 出来事な ことか! なんという 奇妙な 状況な ことか! Ah dunque dammela, per carità.ああ そういうわけで 私に それを 与えなさい、お願いだから。 GAMBEROTTOガンベロット Ah figlia, dagliela, senti a papà.ああ 娘よ、彼に それを 与えなさい、父さん【の言うこと】を 聞きなさい。 ERNESTINAエルネスティーナ (sollevandolo)(彼を 安心させて) Ecco la destra di pace in segno:ここに 和平の印の 右手が: ritorna degno del mio perdono私の許しに 値するように 戻りなさい e un tanto dono sappi prezzar.そして たくさんの贈り物を 評価しなさい【≒ ありがたく思いなさい】。 GAMBEROTTOガンベロット Ah caro genero.ああ いとしい 娘の花婿よ。 BURALICCHIOブラリッキオ Ah! mio Mercurio.ああ! 私のメルクーリオ【=メルクリウス】よ。 |
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Un poco più mosso 4/4 D Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Mi brilla l'anima per il contento,私の魂は 満足【≒ 喜び】によって 光り輝いている、 non so resistere al movimento私は 【心の】動きに 抗える ことはできない che tutta m'agita, mi fa saltar.それは 私をすっかり 掻き乱し、私を 跳ね上がらせる。 GAMBEROTTO E BURALICCHIOガンベロットとブラリッキオ Mi brilla l'anima per il contento,私の魂は 満足【≒ 喜び】によって 光り輝いている、 non so resistere al movimento私は 心の動きに 抗えない che tutto m'agita, mi fa saltar.それ【≒ 心の動き】は 私を すっかり 掻き乱し、私を 跳ね上がらせる。 (partono abbracciati)(抱き合って 去る) |
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Allegro 3/4 B-flat Major |
(SCENA ⅩⅡ(第11場) (Ermanno, Frontino, Rosalia, poi Ernestina)(エルマンノ、フロンティーノ、ロザーリア、それから エルネスティーナ) ERMANNOエルマンノ (osservando di dietro è trattenuto da Frontino)(後ろで じっと見て フロンティーノによって 引き留められている) Che vedo, oh stelle!私は 何を 見ているのだ、ああ 星々よ! FRONTINOフロンティーノ Son bagatelle.彼らは 取るに足りない人たちだ。 ERMANNOエルマンノ Non so reprimere la gelosia私は 嫉妬を 抑制する ことができない che l'alma mia struggendo va.それ【= 嫉妬】は 私の魂を だんだん溶かしていっている。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Zitto, giudizio, per carità.静かに、分別を、お願いだから。 ERMANNOエルマンノ Qual freddo tremito tutto m'assale!なんという 冷たい震えが すっかり 私を 襲い掛かっている ことか! Ah! mi vien male, non reggo più.ああ! 私は 【気分が】 悪くなって来た、私は もう耐え【られ】ない。 (siede svenuto)(気を失って座る) ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ È vero, è vero. Ma quanto primaそれは 本当だ、それは 本当だ、しかし できるだけ早く finirla spero,それが 終わることを 私は 期待している、 e tante scene non vedrò più.そうすれば 私は もう 多くの場面を 見ないだろう。 |
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Andantino 4/4 E-flat Major |
ERMANNOエルマンノ Infelice il mio destino!不幸な 私の運命よ! ERNESTINAエルネスティーナ (stando indietro per non essere veduta)(見えないように 後方にいて) Ei mi adora poverino!かわいそうな人 彼は 私を 熱愛している! Contentarlo io ben vorrei,私は 彼を 十分に 満足させたいのだが、 ma il decor de' ranghi mieiしかし 私の身分の名誉を mi convien di sostener.私は 支え なくてはならない。 |
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Primo tempo 3/4 E-flat Major |
ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ (fingendo di non vedere Ernestina)(エルネスティーナを 見ない 振りをして) Questo spirito odorosoこの 香りの良い酒は vi darà conforto, e lena.あなたに 慰めを 与えるだろう、そして活力を【与えるだろう】。 ERMANNOエルマンノ Io mi reggo appena appena;私は かろうじて かろうじて こらえている; ma la vita a me non cale:しかし 命は 私には 気にかからない: sol la morte un tanto maleただ 死だけが これほど 大きな苦しみを di fermare avrà il poter.止める力を 持っているだろう; (fingendo di volersi ammazzare)(自殺する 振りをして) ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Gente aiuto!誰か 助けて! ERMANNOエルマンノ Mi lasciate.私を 放っておきなさい。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Ah soccorso!ああ 救援を! ERMANNOエルマンノ Non sperate.期待するでない。 ERNESTINAエルネスティーナ Che si tenta? Fermi, olà!彼は 何を 試みたのか? 止めなさい、そら! |
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Moderato maestoso 4/4 C Major |
Del disperato eccesso絶望の行き過ぎの tanto trasporto frena,大きな爆発を 抑えなさい、 deh non accrescer penaああ 苦悩を 増やすでない al mio dolente cor.私の 苦しんでいる 心における。 (prende per mano con tenerezza Ermanno che bacia quella di Ernestina)(エルマンノの手を 優しさをもって 掴む その者は エルネスティーナのそれ【=手】に キスする) |
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Allegro deciso 4/4 D Major |
(SCENA ⅩⅢ(第13場) (Buralicchio che sorprende li suddetti, e Gamberotto, e coro [di Servitori])(上述の者たちを 不意打ちするブラリッキオ、そして ガンベロットと [召使たちの]合唱) BURALICCHIOブラリッキオ Alme infide! or vo' finirla.不誠実な魂たちめ! 今こそ 私は それを 終わらせたい。 GAMBEROTTOガンベロット (ad Ermanno)(エルマンノに) Se ne vada quel signore,この先生は 立ち去れ、 se ne vada via di qua.ここから 立ち去れ。 ERMANNOエルマンノ Perché mai?いったいなぜ? GAMBEROTTOガンベロット Vada via.失せろ。 BURALICCHIOブラリッキオ Bricconaccio!小悪党め! ERNESTINAエルネスティーナ Qual furore!なんという激怒! ROSALIAロザーリア Padron caro...親愛なる主人よ… GAMBEROTTOガンベロット Così voglio: ei partirà.このように 私は求めている: 彼は 去るだろう。 CORO DI SERVITORI召使たちの合唱 [entrano i Servitori di Gamberotto][ガンベロットの召使たちが登場する] Una colonna mobile機動隊列が di militar vien qua.軍の ここに来ている。 ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ (a Gamberotto e Buralicchio)(ガンベロットとブラリッキオに) Deh frenate quello sdegno.ああ その怒りを 抑えなさい。 GAMBEROTTOガンベロット (a Ermanno)(エルマンノに) Carognaccia!人でなしめ! ROSALIAロザーリア (a Buralicchio)(ブラリッキオに) Via fermate.さあ 止めなさい。 FRONTINOフロンティーノ (a Gamberotto)(ガンベロットに) Riflettete...反省しなさい… BURALICCHIOブラリッキオ Do di piglio or ora a un legno.私は たった 今 材木を 掴んでいる。 GAMBEROTTOガンベロット (a Ermanno)(エルマンノに) Marcia via.あっちへ 行進しろ【≒ 行ってしまえ】。 ERNESTINAエルネスティーナ (a Buralicchio)(ブラリッキオに) Ma sentite...しかし 聞きなさい… BURALICCHIOブラリッキオ Non ascolto.私は 聞かない。 ROSALIA E FRONTINOロザーリアとフロンティーノ Deh fermate, ma sentite...ああ 止めなさい、しかし 聞きなさい… Ascoltate... per pietà.耳を貸しなさい… お願いだから。 ERNESTINA E ERMANNO Deh fermate quello sdegno, ああ その怒りを 抑えなさい、 su tacete per pietà.そら お願いだから 黙って。 GAMBEROTTOガンベロット Su, va' via, carognaccia!さあ、立ち去れ、人でなしめ! or l'ammazzo in verità.今こそ 私は 彼を本当に殺す、 Via partite, piglio un legno,去れ、私は 材木を掴んでいる、 e vi batto come va.そして 君たちを 然るべく 打つ。 BURALICCHIOブラリッキオ Or or do di piglio a un legno,私はたった今 材木を 掴んでいる、 e ti aggiusto come va.そして 君を 然るべく 打ちのめす。 Via partite, piglio un legno,され、私は材木を持っている、 e vi batto come va.そして君たちを然るべく打つ。 |
E ti aggiusto come va. aggiusto < aggiustare は 修理する,調整する の意だが、同義語の accomodare と同様、転じて 打ちのめす の意で使われることがある |
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Più presto 4/4 D Major |
TUTTI全員 Alto! alto! qui il tamburo,止まれ! とまれ! ここに 太鼓が、 e la guardia s'avvicina,そして 警備隊が 近づいている、 se ci trova una rovina,もし それが 私たちの崩壊を 見つけたら、 un scompiglio nascer può.それは 大騒ぎが 生まれるかもしれない。 |
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ATTO SECONDO | |||
[N. 11] Introduzione Atto Secondo Frontino Coro |
Allegro brillante 2/4 F Major |
(SCENA Ⅰ)第1場 (Camera)(部屋) (Frontino, e contadini)(フロンティーノ、そして 農夫たち) CORO DI CONTADINI農夫たちの合唱 Perché sossopra, diteci un po',どうして ひっくり返ったのか、私たちに ちょっと 言ってくれ、 nel bel dell'opra la cosa andò?上手く行っていた 行為の 状況が? Nel bel dell'opra l'affare andò?上手く行っていた行為の事柄が? Lo sposo strepita; la signorina花婿は 喚き散らす; お嬢様は minaccia, e fulmina rumor, rovina,威嚇しており、そして 騒音を 浴びせかけ、破壊している、 la signorina , lo sposo ancor.お嬢様は、【そして】花婿もまた。 Se il matrimonio così principiaもし 結婚が このように 始まるのなら chi sa qual termine aver potrà?誰が 分かるだろうか それ【=結婚】が どのような 終わりを 持つことができるであろうかと? FRONTINOフロンティーノ Carini miei, la gelosia私の親愛な人たちよ、嫉妬は per simpatia tai cose fa.共鳴によってそうしたことをする。 CORO DI CONTADINI農夫たちの合唱 E pur dicevano tal malattiaそしてけれども彼らはそうした病気を表現していた ch'ebbe l'esilio dalla città.それは町からの追放を持ったと【≒ そんな【嫉妬の】病は町から追い払われたと言われているのだが】。 FRONTINOフロンティーノ Vero verissimo ma qualche volta本当だ極めて本当だ しかし時々 la gente stolta sorprender sa.愚かな人々は【嫉妬で人を】驚かせることができる。 CORO DI CONTADINI農夫たちの合唱 Dice benissimo. Ci ha presto scioltaあなたはとても良く言っている、あなたはすぐに私たちから解いた la nostra solita curiosità.私たちのいつもの好奇心を。 (partono i Contadini)(農夫たちは 去る) |
Per simpatia tai cose fa. simpatia には 同情,共感 の意もあるが、この場合の per simpatia は 一つの嫉妬が 別の嫉妬に 共鳴して 増大して行く様を 述べていると理解した |
[Recitativo] Dopo l'Introduzione Atto Secondo |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅱ第2場 Frontino, e Rosaliaフロンティーノ、そしてロザーリア FRONTINOフロンティーノ Il progetto eseguiscasi,計画が 実行されるように、 che meditando sto.それ【=計画】を 私は まさに 立案しているところだ。 ROSALIAロザーリア Frontino! Ebbene,フロンティーノ! それで、 che si pensa? Il padrone何が考えられているのか【≒ 何を考えているのか】? ご主人様は scacciò di casa Ermanno,家から エルマンノを 追い出した、 il tuo raccomandato, e te ne stai君の被保護者だ、そして君は収めていて qui colle mani in tasca, e nulla fai?ここで 両手を ポケットの中に【≒ 手をこまねいて】、そして 君は 何も しないのか? FRONTINOフロンティーノ Queste contrarietà metton più al puntoこれらの反対は さらに 点に置く【≒ 核心へと導く】 la nostra abilità: vedrai fra poco私たちの能力を: 間も無く 君は 見るだろう rompersi il matrimonio,結婚が 壊れ【=破談になり】、 partir lo sposo, ed altre cose belle.花婿が 去るのを、そして 何か 他の素敵なことを。 ROSALIAロザーリア Capace sei di tante bagatelle?君は それほど 多くの 取るに足らぬこと【≒ 面倒な手間】の 能力があるのか? FRONTINOフロンティーノ Vedi qua questa lettera?君は ここにある この手紙を 見ているか? (cavandola di tasca)(それ【= 手紙】を ポケットから 引き抜いて) Questa tutto farà.これが すべてを するだろう。 ROSALIAロザーリア Come? curiosaどうやって? Sono di saper la cosa.私は 事情を 知りたくて 【↑】たまらない。 FRONTINOフロンティーノ No: la vedrai col fatto.いや: 君は それを 行為で 見るだろう。 ROSALIAロザーリア Negar non so, che tu non sia gran matto.私は 否定する ことをできない、君が 立派な 狂人であることを。 |
Negar non so, che tu non sia gran matto. che節の non は冗語として理解した |
[N. 12] Aria Frontino Frontino |
Allegro 4/4 D Major |
FRONTINOフロンティーノ Vedrai fra poco nascere君は 見るだろう 間も無く 生じるのを scompigli, e precipizi;混乱と、そして 破滅が; Vedrai se questa lettera君は 見るだろう この手紙が Lo sposo partir fa.花婿を 去らせるか 否か。 V'è dentro un certo equivoco,中には ある種の 誤解がある、 un certo che di magico,魔法の 何かが、 che può produr nell'animoそれは 生み出す ことができる 魂の中に d'un uom piuttosto sempliceかなり 単純な男の un dubbio che incredibileある疑いを それは 信じられない Per tutti ognor sarà.であろう 皆にとって これからも ずっと【≒ 手紙に書いてある誤解は、誰にも信じられそうにないようなある疑いを 騙されやすい男の心の中に植えつけることができる】。 |
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[Recitativo] Dopo l' Aria [Frontino] |
4/4 (C Major) |
FRONTINOフロンティーノ (vedendo a venir Buralicchio)(ブラリッキオが 来るのを 見て) Ei vien da quella parte: eccoci, il fosso彼が あちらの方から 来る: さあ 私たち【の出番】だ、掘割が si cominci a scavar. Vedrai l'effetto掘り始められるように、君は 見るだろう 効力を se fia nuovo e stupendo.もし それが 今までにない そして 素晴らしい 【効力】で あろうならば。 (getta in terra la lettera)(地面に 手紙を 放り投げる) ROSALIAロザーリア Che diamine ingarbugli io non comprendo.君が いったい 何を 混乱させているのか 私は 分からない。 (Rosalia parte, e Frontino si mette in disparte dietro una porta)(ロザーリアは 去る、そしてフロンティーノは 門の後ろの脇に 身を置く) SCENA Ⅲ第3場 (Buralicchio, e Frontino da parte(ブラリッキオ、そして 離れて フロンティーノ) BURALICCHIOブラリッキオ Oh! posso dire alfineああ! ついに 私は 言うことができる che ho una moglie intera al mio comando.私は すっかり 私の命令【≒ 要望】通りの 妻を 得ていることを。 Il cacciar via di casa quel maestroあの教師を 家から 追い払うことは era una cosa troppo necessaria:たいへんに 必要なことだった: or la mia proprietà sarà plenaria.今や 私の所有権は 完全だろう【≒ すべては私のものだ】。 (avvedendosi della lettera la prende)(手紙に 気付いて それを 手に取る) Ma una lettera è qui...ところで ここに 手紙がある… sarà cascataそれは 落とされたのだろうか a qualcuno di casa.家の 誰かに 宛てて。 FRONTINOフロンティーノ (correndo affannato)(息切れして 駆け付けて) Oimè!... oimè!... Signore...ああ!… ああ!… 貴君よ… dite: avreste trovata言いなさい: あなたは見つけた のかもしれないのか per avventura in terra qualche lettera?偶然にも 地面に 何か 手紙を? BURALICCHIOブラリッキオ Perché stai sì convulso? Eccola.どうして 君は そのように 引き攣っているのか? ここに それが。 FRONTINOフロンティーノ Oh stelle!ああ星々よ! Datela per pietà... racchiuder deveお願いだから それを 【私に】 与えなさい… それ【=手紙】は 収めている に違いない un affar d'importanza.重要な事柄を。 BURALICCHIOブラリッキオ Che cosa è mai? mi metti in convulsione.それはいったい何だ? 君は 私に 引き付けを おこさせる。 L'aprirò, cospettone.私は それを 開けよう、そら。 FRONTINOフロンティーノ Ah no, non fate:ああ だめだ、しては いけない: è diretta al padrone.それは ご主人様に 宛てられたものだ。 BURALICCHIOブラリッキオ Cosa m'importa.何が 私に 重要だというのだ【≒ 私にはどうでもいいことだ】 Fra suocero, e fra genero義父との 間で、そして 娘の花婿 との間で non vi sono segreti.秘密は 存在しない。 FRONTINOフロンティーノ Tutto è scoperto.すべてが 見出される【≒ 暴かれてしまう】。 BURALICCHIOブラリッキオ Cosa?何だって? (leggendo)(読んで) "Amico Gambero...“友ガンベロよ… FRONTINOフロンティーノ Gamberotto dirà.彼は ガンベロットと 言っているのだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Giunge in cotesteこの 【↓】あたりに 到達する parti di minotauri...ミノタウロ【= ミノタウロス】たちの… FRONTINOフロンティーノ Di militari.軍隊の。 BURALICCHIOブラリッキオ una colonna nobile...高貴な隊列が… FRONTINOフロンティーノ Mobile.機動【隊列が】。 BURALICCHIOブラリッキオ per sorprendere現場で 取り押さえるので qualunque sia deserto...見捨てられた人は 誰であれ… FRONTINOフロンティーノ Disertore.脱走兵【は 誰であれ】。 BURALICCHIOブラリッキオ Io ve lo avverto私は あなたに そのことを 警告する acciò mettiate in salsa...あなたが ソースの中に 置くであろうために… FRONTINOフロンティーノ In salvo.救いの中に 【置くであろうために ≒ 救うであろうために】。 BURALICCHIOブラリッキオ il vostro caro figlio Ernestoあなたの かわいい息子 エルネストを che da donna vestitoその者は 女性の服を 着ており finor sì bene avete custodito."これまで かように うまく あなたが 保護している。” Come? che sento! parla...何だって? 私は 何を聞いているのか! 言いなさい… FRONTINOフロンティーノ Ma...しかし… BURALICCHIOブラリッキオ Su viaさあ di tacer ti prometto.私は 黙っていることを 君に 約束する。 FRONTINOフロンティーノ Il mio padrone私のご主人様が sapete che in Abruzzo nacque...アブルッツォで 生まれたことを あなたは知っている… BURALICCHIOブラリッキオ Sollo.私は そのことを 知っている。 FRONTINOフロンティーノ ove il fiero costumeそこでは 残酷な習慣が regnava anticamenteかつて 支配していた di mutilare i teneri bambini幼い【男の】赤子たちを切断する【≒ 去勢する】という per farli poi (oh desiderio strano!)そうして彼らを (ああ風変わりな欲求だ!) da contralto cantar, o da soprano.コントラルトとして 歌 【↑】わせる ために、あるいは ソプラノとして。 BURALICCHIOブラリッキオ Avanti.先に 【≒ 話を続けて】。 FRONTINOフロンティーノ Gamberotto, uom miserabileガンベロットは、惨めな男【≒ 貧乏な者】 com'era allora, Ernesto sottoposeだったので その時、エルネストに 受けさせた a quella operazione;その手術を; ma poi pensier cangiò,しかし それから 彼は 考えを 変えて né più al teatro il figlio destinò.もう 劇場に 息子を 運命付けなかった【≒ 息子を カストラート歌手に させようとはしなかった】。 BURALICCHIOブラリッキオ Pezzo di birbantaccio!ペテン師の奴め! Volea darmi per moglie un castrataccio!彼は 私に 妻として カストラートなんぞを 与えようとしたのだ! Segui pur.さあ 続けて。 FRONTINOフロンティーノ In appresso il fe' soldato;その後 彼【=ガンベロット】は 彼を 兵士にさせた; poi, ricco essendo, il feceそれから、金持ちになったので、彼は 彼を dal corpo disertar, e sotto il nome部隊から 脱走させた、そして 名前の下 もと で d'Ernestina, qual donnaエルネスティーナの、女性として lasciò questi i calzon, prese la gonna.彼は これらのズボンを放棄し、スカートを取った【≒ 穿いた】のだ。 BURALICCHIOブラリッキオ Vo' mandare il tutto a foco, a sacco.私は すべてを 火に送りたい【≒ 何もかも 燃やしてしまいたい】、袋に 【すべてを送りたい ≒ 何もかも略奪したい】。 FRONTINOフロンティーノ Ahimè!... ma la promessaああ!… しかし 約束は che di tacer mi deste?黙るという それを あなたは 私に 与えた【≒ あなたは口外しないと私に約束したのでは】? BURALICCHIOブラリッキオ Dunque...それでは… FRONTINOフロンティーノ Parmi,私には思われる、 che sia d'abbandonarla a un tratto il meglio,最善は 突然 彼女を 捨てることだと、 d non dir nulla. Ah! resterà di stucco.そして 何も言わない【ことだと】、 ああ! 彼女は 漆喰 しっくい のようになる【≒ 呆気に取られる】だろう BURALICCHIOブラリッキオ Va' via.行ってしまえ。 FRONTINOフロンティーノ (Se l'ha bevuta il mamalucco.)(マムルーク【≒ 間抜け】は それを 飲んだ【≒ 信じ込んだ】か否か。) (parte)(去る) BURALICCHIOブラリッキオ Corpo di Belzebù! se di sposarlaベルゼブ【≒ ベルゼブブ,悪魔の頭】の体【≒ こんちくしょう】! avea la voglia pazza【もし】 私が 【彼女と結婚するという】 狂おしい欲求を 持っていたならば facevo in verità la brutta razza.私は 本当に 惨めな 人種になった【≒ ひどい目に遭うところだった】。 (per partire, vede giungere Ernestina)(退場しようとして、エルネスティーナが 来るのを 見る) SCENA Ⅳ第4場 (Buralicchio, ed Ernestina)(ブラリッキオ、そしてエルネスティーナ) BURALICCHIOブラリッキオ (Eccolo qui l'eunuco.)(そら ここに あの去勢された男が。) ERNESTINAエルネスティーナ Mia metà, ti perdono私の半分【≒ 配偶者,連れ合い】よ、私は 許す 君の le scorse offese, e giacché Tito先だっての侮辱を、そしてティート【≒ ローマ皇帝ティトゥス】が ebbe a un tempo di grande, e di clemente il nome,偉大さの、そして 慈悲の名を 同時に持っていた 【↑】からには、 Ernestina il suo esempio adesso imita:エルネスティーナは その【前】例を 今 真似る: abbia ancor l'età nostra la sua Tita.私たちの時代が 再び その【= 私の時代の】ティータを 持つように。 BURALICCHIOブラリッキオ (Ora lo prendo a schiaffi.)(今こそ 私は 彼に 平手打ちを 喰らわせてやる) ERNESTINAエルネスティーナ (tenera)(優しく) Ma il ciglio volgi altroveしかし 君は 眼を 別なところに 向けている del mio tenero amor prefissa meta!私の 甘い愛という 予め 定められた 目標とは【≒ 君の目は 私の甘い愛に 向くよう 定められていたのに、君は そっぽを 向いている】! BURALICCHIOブラリッキオ Scusi, quest'oggi voglio far dieta.許しなさい、この今日 私は 減食をしたい。 ERNESTINAエルネスティーナ Ti accosta qua: vo' dartiここに 近づきなさい: 私は あなたに 与えたい di mia sincera fé tenero pegno.私の真心の篭った 信頼の甘い証を。 BURALICCHIOブラリッキオ Che dar mi puoi, se un pezzo sei di legno?君は 私に 何を 与えられるのか、もし 君が 木の一片【≒ 鈍感】ならば? ERNESTINAエルネスティーナ Ti vo' cantare un'ariettina tenera.私は 君に 甘いアリエッタを 歌いたい。 BURALICCHIOブラリッキオ Per questo poi lo credo, e ci scommetto,そのために 要するに 私は それを 信じている、そして それについて 私は 賭ける puoi cantarmi al più al più qualche mottetto.君は この上なく 何かモテットを 私に 歌うことができる【ことを】 (Mi burla l'assassino...)(人殺しが 私を からかっている…) ERNESTINAエルネスティーナ Ed orba ancorそして なおも 盲人に de' tuoi vezzi mi fai?君の愛らしさの 君は 私を させるのか【≒ 君は 君の魅力で なおも 私を盲目に させるのか】? Caro, t'accosta a me: dimmi, cos'hai?いとしい人よ、私に 近づきなさい: 私に 言いなさい、君が 何を 持っているか【≒ 君はどうしたというのか】? |
Giunge in coteste coteste < cotesto = codesto この場合は指示形容詞 その。 (Se l'ha bevuta il mamalucco.) mamalucco もしくは mammalucco マムルーク イスラーム社会における奴隷階級(あるいはそれから解放された)の騎兵、イタリア語ではこの語は(特に女性形で) 馬鹿 の意味で用いられることがある。 Corpo di Belzebù! corpo di diavoli と同じ意味だろう。 Scusi, quest'oggi voglio far dieta. dieta は 減食,つまりダイエットの意だが、禁欲 の意もあり、おそらくここではそちらの意で用いられていると思われる se un pezzo sei di legno? esser un pezzo di legno 鈍感である。 |
[N. 13] Duetto [Ernestina - Buralicchio] Ernestina Buralicchio |
Andantino 4/4 F Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Vieni pur, a me t'accosta:どうか 来なさい、私に 近付きなさい: qual condotta è questa qua?これはどのような態度なのか? Darti vo' novella prova私は 君に 新しい証拠を 与えたい della mia sincerità.私の誠実の【証拠を】 BURALICCHIOブラリッキオ (Più lo guardo, più l'osservo,(彼を 見つめるほどに、彼を 観察するほどに、 più l'eunuco in lui ravviso;私は 彼に 去勢された男を 認める; femminin non è quel visoあの顔は 女性のものでは なく ha un tantin d'umanità.それ【≒ 顔】は 少量の 人間性を 持っている。 ERNESTINAエルネスティーナ Se non vieni verrò io...もし 君が 来ないのなら 私が 行くだろう… BURALICCHIOブラリッキオ Non si accosti al fianco mio.私の横に 近付くな。 ERNESTINAエルネスティーナ Vorrei dirti: amato bene...私は 君に 言いたいのだが: 愛する いとしい人よ… BURALICCHIOブラリッキオ Deh, risparmi le sue pene.ああ、あなたの苦悩を 節約しなさい【≒ 減らしなさい】。 ERNESTINAエルネスティーナ E perché? Saper si può?それで なぜ? 知る ことができるのか? BURALICCHIOブラリッキオ Perché... perché... te lo dirò.なぜなら… なぜなら… 私は それを 君に 言うだろう。 Perché se fossi miaなぜなら もし 君が 私のもので ある ならば grande saria l'imbroglio:それは 大きな 詐欺だろう: perché pavento un scoglioなぜなら 私は 岩礁を 恐れるから entrando in alto mar.【私が】深い海に 入るなら。 ERNESTINAエルネスティーナ Frenetico delirio狂乱した 妄想だ d'un pensator pigmeoピグミーの 思索家の che vuol da cicisbeoチチスベオ【≒ 付き添い騎士】から Catone diventar.カトーネ【≒ カト】に なろうと 【↑】 望むことは。 BURALICCHIOブラリッキオ Che pezzo magistrale!なんという 教育的な 一節なことか! ERNESTINAエルネスティーナ Che pezzo d'animale!なんという 動物の 一節なことか! BURALICCHIOブラリッキオ Guardate che bel viso!美しい顔を 見なさい! ERNESTINAエルネスティーナ Ecco il pastor d'Anfriso.ここに アンフリソスの羊飼いが。 BURALICCHIOブラリッキオ Mi burli?君は 私を からかっているのか? ERNESTINAエルネスティーナ Mi deridi?君は 私を 嘲笑しているのか? |
緩―急の二部構成の二重唱。 緩。 Non si accosti al fianco mio. risparmi le sue pene. どちらも二人称単数敬称の lei に対する命令形、ただしここでのブラリッキオはエルネスティーナに対して二人称単数親称の tu も用いており、ぶれている。 Che vuol da cicisbeo チチスベオとは、18世紀のイタリアで貴婦人にその夫の公認の上で付き添う騎士のこと Catone diventar. 平民から伸し上がったカト・ケンソリウス、いわゆる大カト(234 BC―149 BC)のことだろうか。 Ecco il pastor d'Anfriso. アンフリソスは、ギリシャ中部、テッサリア地方を流れる川。 |
Allegro 4/4 F Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Se mi rammento d'esser villana...私が 農民【の娘】であることを 記憶している以上は… BURALICCHIOブラリッキオ Se per un uomo io ti ravviso私が 君を 男だと 認知した 以上は ERNESTINA E BURALICCHIOエルネスティーナとブラリッキオ t'aggiusto il viso ma come va.私は 君の顔を 相応しいように 調整する。 Se non parti ti scapiglio,もし 君が 去らないならば 私は 君【の髪】をくしゃくしゃにする、 se non parti ti scompiglio,もし 君が去らないならば 私は 君を 混乱させる、 faccio proprio un parapiglia,私は 適切に 突然の大混乱を 巻き起こし、 su quel grugno ti do un pugno君の その鼻先に 拳骨 げんこつ を与え e t'aggiusto come va.そして 私は 君を 相応しいように調整する。 (Ernestina parte)(エルネスティーナは 去る) |
急 | |
[Recitativo] Dopo il Duetto [Ernestina - Buralicchio] |
4/4 (C Major) |
SCENA Ⅴ第5場 Buralicchio soloブラリッキオ独り BURALICCHIOブラリッキオ Che briccone! al vederloなんという 小悪党だ! 彼を 見ると sembra proprio una donna tale, e quale!まさに 女性に 見える そうした、そして ああした【まさに女性のように見える】! Ma voglio vendicarmi.だが 私は 私の仕返しを したい。 Corro dal comandante私は 司令官のところへ 急いで向かい della colonna mobile機動隊列の【司令官のところに】 che qui alloggiato sta,それは ここに 宿営している、 e lo vo' accomodar come va.そして 私は 彼に 然るべく 解決してほしい。 Di desertor si tratta.彼が 脱走兵であることが 問題だ。 Lo condurran fra poco in casa matta.間も無く 彼らは 彼を 砲台へ 連れて行くだろう。 (parte)(去る) SCENA Ⅵ第6場 Gamberotto, ed Ermannoガンベロット、そしてエルマンノ ERMANNOエルマンノ Ma signore, il cacciarmiけれども 貴君よ、私を 追い払うことは di casa in questa guisa家から このようにして fa troppo disappunto al mio decoro,私の誇りにとって あまりにも 失望を させており e a quel di vostra figlia.そして あなたの娘の それ【= 誇り】にとって。 GAMBEROTTOガンベロット Ma da me che volete, se lo sposoだが あなたは 私から 何を 望んでいるのか、たとえ 花婿が è per gelosia tanto geloso?嫉妬から とても 嫉妬深いとしても? Concertatevi seco, e se vi accorda彼と 力を 合わせなさい【≒ 彼と和解しなさい】、そして もし 彼が 認めるなら あなたの il passaporto, io non mi oppongo un zero.パスポートを【≒ 彼が あなたの出入りを 認めるなら】、私は まったく 反対しない。 ERMANNOエルマンノ Possibile non è, né io lo spero.それは 不可能だし、私は それを 期待しない。 GAMBEROTTOガンベロット Già so che tutto il male私は 既に 分かっている 損害のすべては consiste in voi nel perder la pensione.あなたに おいて恩給【≒ 報酬】を 失うことにある。 Via, vi vo' contentar: voglio il salarioそら、私は あなたを 満足させたい: 私は 給料を pagarvi d'una settimana intera.丸一週間の あなたに 支払い 【↑】たい。 Ecco due paoli e mezzo, e andate via.ここに パオロ銀貨 2枚半が、そして 立ち去りなさい。 Dal dono impara il donator qual sia.贈り物から どの人が 寄贈者であるか 覚えなさい。 ERMANNOエルマンノ Quest'è un avvilimento.これは落胆だ。 GAMBEROTTOガンベロット Quando mia figlia poi sarà sposata,ところで 私の娘が 結婚する であろう時には、 se volete rientrarvi nel servizioもし あなたが 勤めに 戻りたい のであれば siete sempre il padrone.あなたは いつでも 自由にできる。 Pagherovvi tre soldi ogni lezione.私は あなたに 授業毎に 3ソルド 支払うだろう。 (parte)(去る) |
Lo condurran fra poco in casa matta. casa matta = casamatta 砲台。 |
[N. 14] Recitativo strumentato ed Aria Ermanno Ermanno |
Allegro 4/4 g minor |
N. 14 (SCENA Ⅶ)(第7場) Ermanno solo(エルマンノ 一人) ERMANNOエルマンノ E mi lascia così? Son disperato!そして 彼は このように 私を 置いて行くのか? 私は 絶望している! La ragion mi vacilla!私の理性は ぐらついている! Ecco perduto tuttoここで 私は 失った すべて di tante cure il desiato frutto.多くの入念さの 切望された収穫物を【≒ 用意周到の上で 切望していた成果を すっかり 取り逃した】。 Restar?... non mi convien. Partir?... mel vieta残るのか?… 私には 必要は ない、出発するのか?… 私に それを 禁じている quel l'ardor, che m'accende.あの熱情が、それは 私を 燃やしている。 Del mio crudele affanno私のつらい苦悩に quando sazio sarai, destin tiranno?お前は いつ 厭きるだろうというのか、暴虐な運命よ? |
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Allegro 4/4 B-flat Major |
Sento da mille furie私は 感じている 千のフーリエ【≒ 復讐の女神たち】によって tutta agitarmi l'anima!私の魂が すっかり揺らいでいるのを! Cosa dovrà risolvere何が 解決するはずであろうか questo mio cor non sa.この 私の心は 知らない。 |
急 / 緩 / 急の三部構成のアリア。 急。 終盤に2回 oh Dio! が挿入されている。 Sento da mille furie / Tutta agitarmi l'anima! = Sento agitarmi tutta l'anima da mille furie! |
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Andante 4/4 B-flat Major |
Del mio rival felice私の 幸せな恋敵の I giorni troncherei,日々【≒ 命】を 私は 打ち砕き たいものだ、 ma la ragion mi dice,しかし 理性が 私に 言う、 che colpa, oh Dio! non ha.過ちの責任を、ああ神よ! 彼は 持っていないと。 |
緩。 調性は♭2つの変ロ長調だが、ホ音にことごとく臨時記号のナチュラルが付き、ヘ長調に響いている |
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Primo Tempo 4/4 B-flat Major |
Sento da mille furie私は 感じている 千のフーリエによって tutta agitarmi l'anima!私の魂が すっかり 揺らいでいるのを! Cosa dovrà risolvere何が 解決するだろうか questo mio cor non sa.この 私の心は 知らない。 |
経過区。 この箇所はパリの筆写譜でのみ伝わっており、おそらく初演前に削除されてしまったのだと思われる。そのためヴィルトバートでの上演ではここは採用していない。 |
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(Primo Tempo) 4/4 B-flat Major |
Qual gel soffr'io, qual palpito!なんという 酷い寒さに 私は 苦しんでいるのだ、なんという 心臓の 拍動に! Quai veggio orrende larve!なんという 恐ろしい亡霊を 私は見ているのだ! Come in un tratto sparve何と突然 消えたことか la mia felicità.私の幸せは。 (parte)(去る) |
急 |
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[Recitativo] Dopo l'Aria Ermanno | 4/4 (C Major) |
SCENA Ⅷ第7場 (Ernestina, e Rosalia escono dalla parte opposta a quella per ov'è partito Ermanno, di Ermanno)(エルネスティーナ、そして ロザーリアが エルマンノが 去った側とは 反対の側から 出て来る) ERNESTINAエルネスティーナ Miralo Rosalia! Ei fugge: in volto彼を 見なさい ロザーリア! 彼は 逃げている: 顔に come si legge la disperazione!なんと 絶望が 読めることか! Fermalo, e lo conduci a me d'appresso.彼を 止めなさい、そして 彼を 私の傍へと 連れて来なさい。 ROSALIAロザーリア Con tutto il mio piacer私の喜びの すべてをもって la servo adesso.今 あなたに 仕える。 (parte, indi ritorna con Ermanno)(去る、その後 エルマンノと共に 戻る) ERNESTINAエルネスティーナ Mi fa pietà! conosco彼は 私に 哀れみを 感じさせる! 私は 知っている de' miei vezzi la forza convulsiva.私の愛らしさの 痙攣性の力を。 Se Giove mi vedesseもし ジョーヴェ【=ユピテル,ジュピター】が 私を 見たならば quando vado in carrozza in vago arnese,私が 優美な 服装で 馬車に 乗って行く時に、 trasformariasi in un cavallo inglese.彼は イングランドの馬に 変身するだろうに。 ROSALIAロザーリア (conducendo Ermanno)(エルマンノを連れて来る) Eccolo il moribondo.ここに 瀕死の男が。 ERNESTINAエルネスティーナ Non fuggir, pargoletto逃げないで、若者よ nell'arte di Cupido, ascolta primaクピード【=クピドゥス,恋愛の紙】の術の中にある【若者よ】、まず 聞きなさい quanto puoi, quanto valeどれほど 君は 力を 持っているのか、どれほど 役に立っているのか il talento muliebre,女の手腕は、 e poi inarca le ciglia, e le palpebre.そして それから 眉毛を 湾曲させて、そして まぶたを。 ERMANNOエルマンノ Che mai potete dir? come tranquillaあなたがいったい 何を 言えるのか? どうやって 落ち着いた【状態に】 render quest'alma mia?この 私の魂を する【ことができる】のか? ERNESTINAエルネスティーナ (a Rosalia)(ロザーリアに) Adesso,今、 Porta un neccesario, e via.必要なものを 持って来て、そして 去りなさい。 ROSALIAロザーリア Che cos'è il necessario?必要なものは 何だ? ERNESTINAエルネスティーナ Il neccesario denota sedia in senso letterario.必要なものは 文学的な意味では 椅子を 示す。 ROSALIAロザーリア (Rosalia accosta due sedie)(ロザーリアは2脚の椅子を並べる) (Mi tratterò alla porta,(私は 扉のところに 私を 片付けるだろう【≒ 下がっているだろう】、) se mai viene qualcuno, a far la scorta.)万が一 誰かが 来た時に、警備を するために (si ritira)(下がる) SCENA Ⅸ第9場 (Ernestina, ed Ermanno seduti, indi Gamberotto, Buralicchio, e Rosalia da parte, e finalmente un Capitano con soldati)(エルネスティーナ、そして エルマンノ 【二人とも】座っている、それから ガンベロット、ブラリッキオ、そして 傍らに ロザーリア) ERNESTINAエルネスティーナ Tu mi ami dunque?ところで 君は 私を 愛しているのか? ERMANNOエルマンノ E il domandate?それで あなたは それを 尋ねるのか? ERNESTINAエルネスティーナ E qualeそれで どのような oggetto ha questo amor bramo sentire.目的を この愛が 持っているのか 私は 聞くことを 熱望している。 ERMANNOエルマンノ D'essere corrisposto, oppur morire.【愛が】 報いられること、さもなければ 死ぬ。 ERNESTINAエルネスティーナ Morir? Come? non sai,死ぬ? どうして? 君は 知らないのか、 figliuolo di Sofia, che vuol dir morte?ソフィア【=知恵の女神】の息子よ、死が 何を 言おうとしているのか【≒ 死が 何を 意味しているのかを】? ERMANNOエルマンノ Vuol dir finir le pene.それは 苦悩を 終わらせることを 言おうとしている【≒ 意味している】。 In altra guisa io noi saprei descrivere.他の仕方では 私は 叙述できない。 ERNESTINAエルネスティーナ Sbagli. Morte vuol dir cessar di vivere.君は 間違っている、死は 生きることを 止めることだと 言おうとしている【≒ 意味している】 Quanti fogli osservai!何と 多くの紙を 私は 観察したことか【≒ 何と 多くの本を 私は 読んだことか】! Quanti volumi sviscerai!何と 多くの書物を 私は 徹底的に調査したことか! Sudai, mi affaticai私は 汗をかいた、私は 精を出した per superare ogni difficoltà,あらゆる困難を 乗り越えるために、 finché scoprii questa gran verità.この 素晴らしい真実を 見出すまで。 ERMANNOエルマンノ Mi deridete forse?あなたは もしかして 私を 嘲笑しているのか? ERNESTINAエルネスティーナ Oibò! non sonoああ! 私は letterata grottesca,おかしな 文学好き 【↑】では ない、 nacqui d'un'altra pasta,私は 別の気質で 生まれた、 son letterata seria, e tanto basta.私は 真面目な 文学好きで、そして それで もう 十分だ。 ERMANNOエルマンノ Dunque che far degg'io?それでは 私は 何をし なくてはならないのか? ERNESTINAエルネスティーナ (con enfasi)(強調して) Scusate, o Muse, se contro il voler vostroすまない、ああ ムーゼ【=ムーサ,芸術を司る9女神】よ、もし あなたの意思に 反するなら tutto quel che ho celato ora gli mostro.私が 隠していたもの すべてを 今こそ 私は 彼に 見せる。 |
Trasformariasi in un cavallo inglese. 標準イタリア語では trasformare に trasformaria という活用形はないが、条件法現在の trasformerebbe と同じと理解した。 E poi inarca le ciglia, e le palpebre. ciglia なのでこの場合の ciglio はそのまま 睫毛。 |
N. 15 Quintetto Rosalia Ernestina Ermanno Gamberotto Buralicchio |
Moderato maestoso 4/4 E-flat Major |
ERNESTINAエルネスティーナ Speme soave ah scenda甘い希望が ああ 下りて来るように in te come un profluvio,君へと 溢れる流れのように、 e immerso in un diluvioそして 【↓】喜びの 洪水に 浸かった di gioia io ti vedrò.君を 私は 見るだろう。 ERMANNOエルマンノ Son legge i cenni tuoi,君の指示は 法律だ、 se tu lo vuoi vivrò.もし 君が 私が 生きるであろうことを 望むなら。 ROSALIAロザーリア Signo...お嬢さ… (Rosalia entra per avvertire Ernestina dell'arrivo di Gamberotto, che giunge con Buralicchio, ma Gamberotto le tura la bocca, e restano tutti in disparte ad osservare)(ロザーリアが ガンベロットの到着を エルネスティーナに 警告するために 入る、その者【= ガンベロット】は ブラリッキオを 伴って 到達する、しかし ガンベロットは 彼女の口を ふさぎ、そして 全員【= ガンベロット、ブラリッキオ、ロザーリア】は 監視するために 傍らに 留まる) GAMBEROTTOガンベロット Sta zitta bestia...静かにしていなさい 獣め【≒ 馬鹿者め】… Come? colui sta qua?どうしたことか? あの男が ここに いるとは? Ah! razza di pettegola!ああ! お喋り好きな女の類め! Figlia di chi sa chi!誰であるかを 知っている者の娘め! BURALICCHIOブラリッキオ Lasciateli, lasciateli,彼らを 放っておきなさい、彼らを 放っておきなさい、 facciano il loro comodo,彼らが 彼らの都合の 良いようにするように、 per me son uom pacifico私に関しては 私は 平和を好む男だ sul gusto di Parì.パリの好みに則って。 ROSALIAロザーリア La cosa si fa seria,事態は 深刻になっている、 finisce male il dì.一日が 悪く 終わる。 ERMANNOエルマンノ Mi promettete amore?あなたは 私を 愛すると 約束するのか? GAMBEROTTOガンベロット Amore!...愛!… BURALICCHIOブラリッキオ Poverino!可愛そうな男だ! ERNESTINAエルネスティーナ Consiglierò il mio core.私は 私の心に 進言するだろう。 GAMBEROTTOガンベロット Il core!...心!… BURALICCHIOブラリッキオ Va benino.なかなか 良いじゃないか。 GAMBEROTTOガンベロット (addit[ando] la testa di Buralicchio)(ブラリッキオの頭を指し[て]) Che testa è questa, o stelle!これは なんという 頭なことか、ああ 星々よ! Cornelio equal non l'ha.コルネーリオは 彼と 同じものを 持っていない【≒ コルネーリオは そんな頭は していない】。 BURALICCHIOブラリッキオ Ma se son bagatelleだが もし 彼らが 取るに足らぬ者たち だとしても non me ne importa un a.私には 少しも 気にならない。 ERMANNOエルマンノ Da quelle luci belleあれらの 美しい眼から spero felicità.私は 幸せを 期待している。 ROSALIAロザーリア Parole sono quelleあれらは 言葉だ che sospettar fan già.それは 既に 疑わしく させている【≒ それらは 疑いを 掻き立てる 言葉だ】。 ERNESTINAエルネスティーナ Le dolci tue favelle君の 優しい言語は mi destano pietà.私に 哀れみを 目覚めさせる。 |
Sul gusto di Parì. ボローニャを含むエミーリア=ロマーニャ地方の方言(エミーリア=ロマーニャ語)では、フランスの首都パリを Parì と言う Cornelio equal non l'ha. この コルネーリオ Cornelio が誰を指すのか、またこの文が何を意味にしているのか、よく分からない。 なお筆写譜によってはここの歌詞は più dura non si dà これより固いもの【≒ 石頭】はない になっている。ヴィルトバートの上演ではこちらを採用している |
Allegro 4/4 E-flat Major |
GAMBEROTTOガンベロット (facendosi avanti)(自らを 前に 進ませて) Prole d'un padre equivoco,どちらとも取れる父の子よ、 nata fra zucche, e cavoli,カボチャの間で生まれた、そしてキャベツの【間で】、 i miei mandati, ed ordini私の命令を、そして 指図が si eseguono così?このようにして 遂行されるのか? ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナとエルマンノ Qual improvviso fulmineなんという 思いがけない 雷撃が oh ciel m'incenerì!ああ 天よ 私を 灰にしたことか! ROSALIA, GAMBEROTTO E BURALICCHIOロザーリア、ガンベロットとブルラッキオ Qual improvviso fulmineなんという 思いがけない 雷撃が oh ciel l'incenerì!ああ 天よ 彼を 灰にしたことか! |
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(Allegro) 4/4 E-flat Major |
[giunge un Capitano con Soldati][兵士たちを伴った 隊長が 到着する] CAPITANO E CORO DI SOLDATI隊長 と 兵士たちの合唱 (ad Ernestina)(エルネスティーナに) Per ordine supremo至上の【≒ 上官の】命令によって con noi or marcerete.私たちといっしょに 今 行進しなさい。 Voi prigioniera siete,あなたは 囚人である、 pensate ad ubbidir.言うことを 聞くよう 考えなさい。 BURALICCHIOブラリッキオ (giubilando da sé)(独りで 喜んで) (L'affare andò benissimo,(事態は 極めて うまく行った、 or non v'è più che dir.)今は 言うことはもうない。) ERNESTINAエルネスティーナ Qual insulto! Perché mai?なんという無礼! いったい なぜ? (al Capitano)(隊長に) Signor, in che mancai?貴君よ、私は 何において 過失を 犯したのか? CORO合唱 Non più: tutto saprai,もうよい:君は すべてを 理解するだろう、 per or pensa a venir.今は 来ることについて 考えなさい。 |
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Allegro deciso 4/4 E-flat Major |
ROSALIA, ERNESTINA, ERMANNO, GAMBEROTTO E BURALICCHIOロザーリア、エルネスティーナ、エルマンノ、ガンベロットとブラリッキオ (Questo colpo inaspettato(この 予期しなかった打撃は non poteasi preveder.予見されることが できなかった。 Resta ognuno senza fiato誰もが 呼吸のないままでおり【≒ 息もできないでいる】 e che far non può saper.そして 何を するのか 分かる ことができない。 Così ratto qualche voltaこのように 時々 急に dalle nubi il fulmin scende,雲から 雷が 落ちる、 ed i slanci non comprendeすると 【雷の】衝撃を 理解しないのだ l'atterrito passaggier.)恐怖を 抱かされている旅人は。) (Partono tutti, ed Ernestina fra i Soldati)(全員 立ち去る、そして 兵士たちの間に エルネスティーナ) |
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[Recitativo] Dopo il Quintetto | 4/4 (C Major) |
SCENA Ⅹ第10場 (Frontino, e Rosalia, che ritorna)(フロンティーノ、そして ロザーリア、その者は 戻って来る) FRONTINOフロンティーノ La padrona in arresto?...お嬢様が 逮捕されたのか? ROSALIAロザーリア Sì, in arresto.そうだ、逮捕された。 FRONTINOフロンティーノ La sarebbe pur bella彼女に とって それ【= che節】は 結構であるにしても che il signor Buralicchio,ブラリッキーノ氏が、 credendo alla fandonia, che inventai,作り話を 信じて、それ【= 作り話】を 私が 考え出した、 l'avesse denunziata!彼女を 告発した! 【↑↑】ことは【≒ ブラリッキオが 私の考えた 作り話を 信じて エルネスティーナを 告発したことは 彼女にとって 結構なことであるにしても、】 Oh questa cosa non l'avrei pensata.【しかし】ああ このこと【= エルネスティーナが 逮捕されること】は 私は 思いもしなかったのだが。 ROSALIAロザーリア Perciò pria d'intraprendere qualche affareだから 何らかの仕事に 着手する 前に bisogna preveder le conseguenze結果を 予見する 必要がある che derivar ne possono.それら【=結果】は そのことから 生じる 可能性がある【≒ 仕事から 起こりうる結果を 予見せねば ならない】。 FRONTINOフロンティーノ Dico che un indovino私は言う 占い師は preveder nol poteva niente affatto.そのことをまったく何も予見できなかった 【↑】ことを。 ROSALIAロザーリア Pensa al rimedio, ora che il male è fatto.対策について 考えなさい、悪いことが 引き起こされた 今となっては。 (partono)(去る) SCENA ⅩⅠ第11場 Buralicchio indi Gamberottoブラリッキオそれからガンベロット BURALICCHIOブラリッキオ Oh che bel colpo è questo! in capponaraああ これは 何と 素晴らしい 一撃なことか! 鶏舎に sta chiusa la pollastra;雌の若鶏が 閉じ込められている; così s'ingrasserà, ma in conclusioneそうして それは 太るだろう、しかし 結局 la credono gallina, ed è un cappone.彼らは 彼女を 雌鳥と 信じる、そして彼女は 去勢雄鶏なのだ。 GAMBEROTTOガンベロット Fermati turcimano, e tu permetti止まれ 通訳官め、そして 君は 認めている che la mia figlia vada私の娘が in arresto, e con tanta indifferenza拘留に 【↑】なるであろうことを、そして たくさんの無関心で vedi partir la sposa君は 見ている 許婚が 去るのを senza sentirne un'ombra di disgusto?嫌悪感の 影も 感じることなく【≒ 少しも 嫌な気持ちに ならずに】? BURALICCHIOブラリッキオ La sposa... ah! ah! mi fate許婚… ああ! ああ! あなたは 私を ridere più di quel che voi pensate.笑【↑】わせる あなたが 思っているよりも。 non sapete che ioあなたは 知らないのか 私が la ripudio, la lascio, e la divorzio?彼女を 認めず、彼女と 別れ、そして 彼女と 縁を切った 【↑】ことを? GAMBEROTTOガンベロット Perché?なぜだ? BURALICCHIOブラリッキオ Perché di leiなぜなら 彼女に関しては non so che cosa farne, padron mio.彼女について 何を するのか 私は 分からない 【↑】からだ【≒ 彼女を どうしたら よいのか 分からないからだ】、私の主人よ。 Intendami chi può, che m'intend'io.【私を 理解することが】できる人は 私を 理解するであろう、私が 私を 理解しているのだから。 GAMBEROTTOガンベロット Povera figlia mia! E hai tal coraggio?可愛そうな 私の娘よ! そして 君は それ程の度胸を 持っているのか【≒ そんな 大胆なことが できるのか】? BURALICCHIOブラリッキオ E che vuoi che ci faccia? buon viaggio.そして 君は そのことで 私がする 何を求めているのか【≒ 君は それについて 私に どうしてほしいというのだ】? 良い旅を。 GAMBEROTTOガンベロット Ah! mascalzon!...ああ! 悪党め! BURALICCHIOブラリッキオ (Ma che briccone! Vedete(しかし なんという 小悪党なことか! 見なさい Come la finge bene.)いかに巧妙に 装っているか。) GAMBEROTTOガンベロット Il mio germoglio私の新芽【≒ 子】が prigione? Astri bricconi,囚人だと? 意地の悪い 天体め、 e lo soffrite? E ancor non fulminateお前たちは それを 我慢しているのか? そして お前たちは もう 雷撃しないのか cinque, o sei temporali5つ、あるいは6つの 雷雨を contro il perfido autor di tanti mali?これほどたくさんの 悪事の 悪意ある作り手に対して? |
in capponara / Sta chiusa la pollastra; capponara = capponia 鶏舎、なお capponare という動詞は 雄鶏を去勢する という意味。 Fermati turcimano, turcimano = trucimanno,同義語 dragomanno は、トルコやアラブ諸国の大使館における通訳のこと、間に入って仲介する役目から、転じて 周旋業,客引き,女衒 のような悪い意味でも用いられるようになった、この場合もそうした言葉として用いられている。 |
N. 16 Aria Gamberotto Gamberotto |
Moderato 4/4 C Major |
GAMBEROTTOガンベロット Il mio germe, che di Pallade私の芽【≒ 娘】は、それは パッラーデ【=パラス,ギリシャ神話のアテナ】の è il più ricco sublimato,もっとも 豊かに 昇華された者、 soffrirà d'un astro ingrato苦しむのであろうか 恩知らずの星の così fiera crudeltà?このように 残忍な 残酷さに? Numi rei senza coscienza良心のない 罪のある神々よ quest'oprar sì impertinenteこのこれほどに 無礼な 振る舞いは caro assai vi costerà!とても 高く あなた方に 代償を 招くだろう! Una satira pungente辛辣な 当てこすりを la mia figlia vi farà.私の娘は あなたがたに するだろう。 Correrà la China, e l'Asia,中国が 参加するだろう、そして アジアが【参加するだろう】、 correrà la Tartaria;タタール地方が 参加するだろう; la vezzosa figlia mia愛らしい 私の娘を metteranno in libertà.彼らが 解放するだろう。 |
Soffrirà d'un astro ingrato d'un は di un とも da un とも採れる、ここでは後者で採った |
Un poco più mosso 4/4 C Major |
(Buralicchio sbuffa dalle risa)(ブラリッキオは 笑いに 喘ぐ) No, non rider mamalucco,いや、笑うでない マムルーコ【≒ 間抜け】め、 che per te sta riserbata君のために 保存されているのだから la più barbara sassataもっとも粗野な石の投げ付けを della mia paternità.私の父親であることの【≒ 私の父性は 極めて荒っぽく 君に 石を 投げつけようと 用意をしているのだから】。 (parte)(去る) |
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[Recitativo Dopo l'Aria Gamberotto] | 4/4 (C Major) |
BURALICCHIOブラリッキオ Se io non fossi certoもし 私が 自信を 持っていない のならば della certezza di questo accidente,この災難の 確実性を、 crederia le sue ciarle certamente.私は 彼の無駄話を 確かに 信じるだろうに。 (parte)(去る) SCENA ⅩⅡ第12場 (Antica prigione con finestroni altissimi, da' quali riceve lume)(とても高い 大窓々のある 古い牢獄、それらから 【牢獄は】 明かりを 採っている) (Ernestina, indi Ermanno)(エルネスティーナ、それから エルマンノ) ERNESTINAエルネスティーナ In sì funesto, e tenebroso locoこのこのように 不吉な【≒ 恐ろしい】、そして 暗い場所に sola rinchiusa, e senza libri, oh Dio!独り 閉じ込められ、そして 本もなしに、ああ 神よ! cosa farò? Mi lasci,私は 何を するであろうというのか? 君は 私を 放置するのか protettrice Minerva, in questo stato?守護者ミネルヴァ【≒ ローマ神話の 知恵の女神】よ、この状況に? Sapessi almeno in che ho mancato!私が 何において 過失を 犯したのか せめて 私が 分かれば! ERMANNOエルマンノ (Ermanno dall'alto d'un finestrone, dal quale scende coll'aiuto d'una fune, avendo sotto il braccio un involto di panni)(大窓の高いところに エルマンノ、そこから ロープの助けを 用いて 降りる、腕の下に 衣服の【入った】 包みを 持って) Ernestina! Ernestina!エルネスティーナ! エルネスティーナ! ERNESTINAエルネスティーナ Tu qui? come potesti?...君が ここに? どうやって 来たのか?… ERMANNOエルマンノ Tutto può amor.愛が すべてを 可能にした。 (consegnando ad Ernestina l'involto)(エルネスティーナに包みを手渡す) Raccogli queste vesti.この衣服を 受け取りなさい。 Furtivo m'introdussi密かに 私は 忍び込んだ nell'oscura prigion.暗い 牢獄に。 ERNESTINAエルネスティーナ Ah! dal contento,ああ! 満足【≒ 喜び】から、 amico, io quasi manco in tal momento!友よ、私は このような瞬間に ほとんど 気を失っている! (siede esaminando l'involto portato da Ermanno, che contiene un'uniforme, sino alla fine della cavatina di Ermanno)(エルマンノによって 持って来られた 包みを 調べて 座る、それ【= 包み】は 軍服を 含んでいる、エルマンノのカヴァティーナの終わりまで 【座る】) ERMANNOエルマンノ Nella stanza, ch'è sopra ove dimora部屋には、それは 上の方に あり そこに 住んでいる del custode la moglie,守衛の妻が、 t'abbiglierai con esse, e passeremo君は それらで 盛装するだろう【≒ 君は その服を 着て 変装する】、そして 通過するだろう del castello le soglie: intanto avremo城の敷居【≒ 城門】を: その間に 私たちは 持つだろう campo di esaminar d'onde derivaどこから 発しているのか 調べる 余裕を il cenno rio, che libertà ti toglie;悪質な指示が、それは 君の自由を 取り去っている; e poi, mia vita, e poi,そして それから、私の命の人よ、そして それから、 degno se pur ne son, premiar mi puoi.たとえ 私が 相応しくないにしても、君は 私に 報いることができる。 |
Crederia le sue ciarle certamente. crederia credere の条件法現在一人称単数形および三人称単数形の詩形、つまり credei および crederebbe と同じ、この場合は一人称 |
N. 17 Cavatina [Ermanno] Ermanno |
Andante 2/4 A Major |
ERMANNOエルマンノ D'un tenero ardore優しい 熱情の Accetta le prove,証を 受け取りなさい、 E lieto il mio core,そうすれば 私の心は、喜ぶ Mio bene, sarà.だろう、いとしい人よ。 (Ernestina si alza, ed Ermanno con essa; salgono sul finestrone per mezzo della stessa fune colla quale è disceso)(エルネスティーナは 立ち上がる、そして エルマンノは 彼女と共に 【立ち上がる】、彼らは それを用いて 降りたのと同じロープを通じて 大窓の上に 昇る) |
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N. 18 Rcitativo e Rondò con Cori Ernestina Ernestina Coro |
Allegro 4/4 D Major |
(SCENA ⅩⅢ)第13場 (Villaggio attiguo al castello con varie case dalle quali sortiranno vari Soldati)(城に 隣接した 村 様々な家を 伴っており それ【≒ 家】から 様々な兵士たちが 外に出るだろう) (Ernestina vestita da militare, ed Ermanno)(兵士の服を 着た エルネスティーナ、そして エルマンノ) ERNESTINAエルネスティーナ Il periglio passò; fra poco io sono危険は 過ぎ去った; 間も無く 私は alfine in libertà. Quanto mai devoやっと 自由に 【↑】なる、この上なく 私は al tuo coraggio, alla tua fé, mio caro!君の勇気の 【↑】おかげである、君の信頼の 【おかげである】、いとしい人よ! di vero amor novello esempio, e raro.真の愛の 新たに生まれた 手本だ、そして稀な 【手本だ】。 |
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Rondò Tempo marziale 4/4 E Major |
Se per te lieta ritorno君によって 私が 喜ばしく 再び戻るからには l'aure aperte a respirar,戸外の 微風を 呼吸することに【≒ 君のおかげで 私は 再び 外の空気を 喜んで吸う ことがでるのだから】、 grata sempre a te d'intorno【私は】 君に これからもずっと 感謝して 【君の】周囲に tu m'avrai, mio dolce amor.君は 私を 持つだろう【≒ 私は ずっと 君の傍に いるだろう】、私の 甘い 愛の人よ。 |
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Allegro 4/4 E Major |
CORO DI SOLDATI兵士たちの合唱 Allegri, compagnoni,陽気に、仲間たちよ、 fra poco marceremo.間も無く 私たちは 行進しよう。 Le palle, ed i cannoni弾丸に、そして 大砲に andremo ad affrontar.立ち向かいに 行こう。 Beviamo, e la vittoria飲もう、そして勝利を si corra ad affrettar.早めるために 急いで向かおう。 ERNESTINAエルネスティーナ Stimoli anch'io di gloria私も また 栄光の鼓舞を sento nel petto mio.私の胸の中に 感じている。 Dite come dich'io:私が 言うように 言いなさい: viva la guerra, e amor.戦争万歳、そして愛【万歳】。 CORO DI SOLDATI兵士たちの合唱 Bravo! ragazzo mio.いいぞ! 私の青年よ! viva la guerra, e amor.戦争万歳、そして愛【万歳】。 |
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(Allegro) 4/4 E Major |
ERNESTINAエルネスティーナ (Vicina al termine delle sue pene,(その苦悩の 終わりに 近づいて、 di gioia l'impeto più non sostiene歓喜の爆発を もはや 支えては【≒ 抑えては】 いない quest'alma misera piena d'ardor.)熱情に 満ちた この哀れな 魂は。) CORO DI SOLDATI兵士たちの合唱 Che caro giovine pieno di spirito!霊感に 満ちた なんと 気持ちの良い 若者だ! Oh come l'agita marziale ardor!ああ なんと 彼は 戦争の熱情を 刺激することか! (partono)(【全員】 去る) |
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[Recitativo] Dopo il Rondò | 4/4 (C Major) |
(SCENA ⅩⅣ)(第14場) (Salone in casa di Gamberotto)(ガンベロットの家の 大広間) (Frontino, e Buralicchio)(フロンティーノ、そして ブラリッキオ) FRONTINOフロンティーノ Avete fatto male.あなたは 悪いことを した。 BURALICCHIOブラリッキオ Come male?どのような 悪いことを? FRONTINOフロンティーノ A far la spia al comandante. Questa司令官に 告げ口をして、これは è una vendetta indegna相応しくない 復讐だ d'un'alma generosa; se la gente寛大な魂には; もし 人々が saprà che voi soffiate così bene,知るであろうなら あなたが このように 首尾よく 告げ口を していることを、 vi aggiusterà ben bene un dì le rene.彼らは ある日 あなたの腎臓を 完全に 修理する【≒ 打ちのめす】だろう。 BURALICCHIOブラリッキオ M'aggiusti ciò che vuole:彼らが やりたいように 私を 修理すればいい: Ma pigliarmi così per un burattinoだが 指人形【≒ 言いなりになる人】として このように 私を 扱うことは non mi par una cosa私には 事とは 思われない che abbi della coscienza,それ【≒ 事】は 持っているであろう いくらかの 良心を della creanza, e della convenienza.いくらかの躾を、そして いくらかの 礼儀を【≒ 私を 操り人形のように 扱うことは、礼儀正しいこととは 私には 思えない】。 FRONTINOフロンティーノ Vi consiglio a scappar, perché qui tutti私は あなたに 逃走するよう 勧める、なぜなら ここでは 皆が s'armano contro [di] voi, e il maggior pezzoあなたに対して 武器を 取っている からだ、そして もっとも 最大の部分は che resteravvi è il naso.それは あなたに 残るであろう 鼻だ【≒ あなたに 残されるであろう 最大の部位は 鼻だ】。 BURALICCHIOブラリッキオ Sarebbe veramente un brutto caso.それは 本当に 酷いこと かもしれない。 |
che voi soffiate così bene, ROF の上演では soffiate ではなく cantate を採用している。この場合の cantare は 白状する の意味。 |
N. 19 Finale Secondo ROSALIA ERNESTINA FRONTINO GAMBEROTTO BURALICCHIO Coro |
Allegro 4/4 B-flat Major |
BURALICCHIOブラリッキオ Scapperò: questo mi pare私は 逃げよう: これは 私には 思われる un bravissimo espediente.とても 優れた 方策だと。 FRONTINOフロンティーノ Io di scorta immantinente,私は 即座に 付添いを、 se volete, vi farò.もし あなたが 望むならば、あなたに するだろう。 FRONTINO E BURALICCHIOフロンティーノ と ブラリッキオ Ma mi par vien gente:だが 私には 思われる 人々が 来ることが: imbrogliato adesso sto.私は 今 欺かれている。 (si nasconde)(隠れる) (SCENA ULTIMA)(最終場) (Gamberotto con Villani armati di bastoni, poi Ermanno, ed Ernestina, indi tutti a suo tempo)(棒で武装した村人たちを伴ったガンベロット、それからエルマンノ) GAMBEROTTOガンベロット (ai Villani)(村人たちに) Giro a dritta, mi seguite.私は 右に 曲がる、私に ついて来なさい。 Se troviam quello spioneもし 私たちが あの告げ口屋を 見付けるならば li vogliamo un po' il giubbone私たちは 彼に 少しばかり 上着を per benino accomodar.入念に 修理する 【↑】ことを望む。 CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Ogni lato, ogni cantone,どの側も、どの隅も sì signor, vogliam fiutar.はい ご主人様、私たちは 嗅ぎ分けたい。 (parte Gamberotto coi Villani)(ガンベロットは 村人たちと 去る) BURALICCHIOブラリッキオ Oh cospetto! il fatto è serio.ああ これは 驚いた! 事態は 深刻だ。 Tremo, oimè! dallo paura!私は 震えている、ああ! 恐怖で! ERMANNOエルマンノ Vieni pur, qui sei sicura;どうぞ 来なさい、ここでは 君は 安全だ; caro bene non tremar!いとしい 最愛の人よ 震えないで! ERNESTINAエルネスティーナ Ah! mi opprime lo spavento,ああ! 不安が 私を 圧迫する、 posso appena respirar!私は やっと 息をする ことができる! BURALICCHIOブラリッキオ [sortendo][出て] Cosa vedo! voi siete uscita?私は 何を 見ているのだ! あなたは 脱出したのか? ERNESTINAエルネスティーナ Sì, crudele, per tuo dispetto.そうだ、酷い人よ、君の悔しさに【≒ 君には 悔しいことに】。 ERNESTINA ED ERMANNOエルネスティーナ と エルマンノ Ed il dolce nostro affettoそして 私たちの 甘い情愛が voi vedrete consolar.安堵するのを あなたは 見るだろう。 BURALICCHIOブラリッキオ Se lo goda, se lo prenda,彼を 享受するであろうと、彼を 得るであろうと、 non m'oppongo in verità.私は 本当に 異を唱えない。 (tornano i Villani con Gamberotto)(ガンベロットと共に 村人たちが 戻る) CORO DI VILLANI農夫たちの合唱 Egli è qui: or su quel dorso彼は ここだ: そら あの背中に (minacciando Buralicchio)(ブラリッキオを 脅して) il bastone pioverà.棒が 降りかかるだろう。 ERNESTINAエルネスティーナ Ah! fermate, che v'importa?ああ! 止めなさい、君たちに 何が 重要なのか? Purché vada via di qua.彼が ここから 立ち去るというなら。 BURALICCHIOブラリッキオ Leviamoci la benda,目隠しを 取り払おう、 che se non parlo io schiatto.もし 私が【≒ 事情を】 話さなければ 私は 爆発する。 |
Li vogliamo un po' il giubbone / per benino accomodar. おそらく accomodare giubbone 上っ張りを修理する で 何らかの意味を成すと 思われるが 不明、前述の通り accomodar に 打ちのめす の意味があるので、そういった意味合いだと思われる。 per benino きちっと,入念に Se lo goda, se lo prenda, ブラリッキオの言う lo 彼を は、当然、エルネスティーナのこと |
Più mosso 4/4 B-flat Major |
(ad Ermanno)(エルマンノに) Lo sposi, se lo prenda,彼と 結婚しなさい、もし 彼を 得るのなら、 non me ne importa affatto,そのことについて 私には まったく 気にならない、 perché questa materia,なぜなら この物質は、 (accenna Ernestina)(エルネスティーナを 示す) che voi chiamate femmina,その者を 君たちは 女性と 呼んでいる。 amici cari, è un musico.親愛なる友たちよ、彼は ムジコ【≒ カストラート歌手】だ。 ROSALIA, ERNESTINA, FRONTINO, GAMBEROTTO E CORO DI VILLANIロザーリア,エルネスティーナ,フロンティーノ,ガンベロットと農夫たちの合唱 Ah! ah! ah! ah! ah! ah!ハ! ハ! ハ! ハ! ハ! ハ! Che bestia! oh Dio! che bestia!なんという 獣【≒ 愚か者】だ! ああ神よ! なんという 獣だ! l'eguale non si dà!同じような者は いないだろう! BURALICCHIOブラリッキオ Frontino me l'ha detto.フロンティーノが 私に そのことを 言った。 FRONTINOフロンティーノ Frontino, sì signore.フロンティーノが、はい、貴君よ。 ERNESTINAエルネスティーナ Frontino non sarà.フロンティーノでは ないだろう GAMBEROTTOガンベロット Frontino traditore,裏切り者の フロンティーノめ、 perché tal novità?なぜ そのような 変なことを? FRONTINOフロンティーノ Per sciogliere quel nodo,あの絆を 解くために、 per far legarne un altro,それを 他の男と 結ばせるために、 immaginai da scaltro私は 抜け目なく 考案した quest'ingegnoso error.この 巧妙な 思い違いを。 ERNESTINAエルネスティーナ Come?何だって? ERMANNOエルマンノ Perdona, cara,許してくれ、いとしい人よ、 Un temerario amore;向こう見ずな愛が; indegno del tuo core,君の心に、 anima mia, non sono.私の魂の人よ、私は 【↑】 値しなくは ない。 (a Gamberotto)(ガンベロットに) chieggo da voi perdono私は あなたから 許しを 求める a un labbro mentitor.嘘吐きの唇に。 GAMBEROTTOガンベロット Sposala pur, figliuolo,どうぞ 彼女と 結婚しなさい、せがれよ、 il ciel vi benedica.天が 君たちを 祝福するように。 BURALICCHIOブラリッキオ Ed io qui resto solo?それで 私は ここに 独りで 残るのか? GAMBEROTTOガンベロット Pazienza, caro amico.辛抱だ、親愛なる友よ。 BURALICCHIOブラリッキオ Non me ne importa un fico,そのことについて イチジクは 私には 重要ではない【≒ そんなことは 私には どうでもいいことだ】、 Degna di me non è.彼女は 私には 相応しくない。 |
Non me ne importa un fico, この場合の fico は つまらないもの/こと という意味。 |
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Allegro 2/4 B-flat Major |
Tutti全員 Che dolce momento! che giorno felice!なんという 甘美な瞬間! なんという 幸せな日! la gioia, il contento brillare ci fa.歓喜が、満足が 私たちを 輝かせている。 L'equivoco è sciolto, ritorna la calma,誤解は 解けた、平穏が 戻っている、 amore d'ogn'alma trionfo sarà.愛は あらゆる魂の 勝利に なるだろう【≒ 愛は どんな魂にも 勝利するだろう】。 |
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APPENDICE | |||
Sinfonia used in Full Score in manuscript in Paris | Sinfonia | Andante 4/4 D Major |
パリのフランス国立図書館に収蔵されている筆写譜に据えられた序曲。 明らかにロッシーニらしさに乏しく、幕が上がってからの音楽とバランスが悪い |
Allegro moderato 4/4 D Major |
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Più mosso 4/4 D Major |
参考資料
GIOACHINO ROSSINI L'EQUIVOCO STRAVAGANTE a cura di Marco Beghelli e Stefano Piana / FONDAZIONE ROSSINI PESARO / 2015
L'EQUIVOCO STRAVAGANTE / Programma di Sala / Rossini Opera Festival, Pesaro, Italy / 2002
L'EQUIVOCO STRAVAGANTE / Programma di Sala / Rossini Opera Festival, Pesaro, Italy / 2008
L'EQUIVOCO STRAVAGANTE / Programma di Sala / Rossini Opera Festival, Pesaro, Italy / 2019
GIOACHINO ROSSINI LETTERE E DOCUMENTI VOLUME Ⅰ / FONDAZIONE ROSSINI PESARO / 1992
GIOACHINO ROSSINI LETTERE E DOCUMENTI VOLUME Ⅲa / FONDAZIONE ROSSINI PESARO / 2004
Dizionario Rossiniano / Eduardo Rescigno / Biblioteca Universale Rizzoli / 2002 / ISBN 88-17-12894-5 / 9788817128940
ErnestinaAntonella Colaiannimezzosoprano GamberottoGiulio Mastrototarobasso BuralicchioEmmanuel Francobasso ErmannoPatrick Kabongotenore RosaliaEleonora Belloccisoprano FrontinoSebastian Montitenore Gorecki Chamber Choir ChorleitungMateusz Prendota Orchestra Virtuosi Brunenses DirettoreJose Miguel Perez-Sierra RegiaJochen Schönleber Scene e CostumiSandra Li Maennel Saavedra LichtOliver Porst 26 and 29 July 2018 Konigliches Kurtheater, Bad Wildbad, Germany |
バート・ヴィルトバートでの ヴィルトバートでのロッシーニ における2018年7月26、29日の上演の映像。上演は7月13、 18、 22、 26、29日、ケーニヒリッヒェス・クアテアタラー Königliches Kurtheater で催された。なおこのヨッヘン・シェーンレバー演出の舞台は、ヴィルトバートでの上演の前の5月11日にブルガリア最北部、ドナウ川沿いの町ルセのルセ国立歌劇場で上演されたという。
ErnestinaMarina Prudenskajamezzosoprano GamberottoBruno De Simonebasso BuralicchioMarco Vincobasso ErmannoDmitry Korchaktenore RosaliaAmanda Forsythesoprano FrontinoRicardo Mirabellitenore Coro da Camera di Praga Maestro del CoroPavel Vanek Orchestra Haydn di Bolzano e Trento DirettoreUmberto Benedetti Michelangeli RegiaEmilio Sagi SceneFrancesco Calcagnini CostumiPepa Ojanguren |
2008年のロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでの上演の収録、上演は8月10、13、16、19、22日に行われた、これは2002年制作の再演。
ロシア、サンクトペテルブルク生まれでドイツ、ベルリンを拠点に活躍するメッゾソプラノ、マリーナ・プルデンスカヤは、あまりロッシーニのイメージがないが、十分しっかり歌っている、ロベルト・デ・シモーネとマルコ・ヴィンコはROF常連らしく安定感があり、前年からROFの上演の主役を受け持つようになったディミトリ・コルチャクも良い、ウンベルト・ベネデッティ・ミケランジェリの指揮が今一つ。
エミリオ・サヒ(日本ではSagi を サージと表記することが多いが、スペイン人なので サヒ と読む)の演出は、ガンベロットを成功した野菜輸入業者にして近代化を図っている。フランチェスコ・カルカニーニの舞台装置が少々派手派手しいが、全体としてはこの突拍子もない台本を楽しめるように仕立てている。
CD |
ErnestinaPetia Petrovamezzosoprano GamberottoMarco di Felicebaritone BuralicchioMarco Vincobasso ErmannoDario Schmuncktenore RosaliaMonica Minarellisoprano FrontinoEduardo Santamariatenore Czech Chamber Chorus Chorus masterPavel Baxa Czech Chamber Soloists ConductorAlberto Zedda 14, 16 July 2001 Kursaal, Bad Wildbad, Germany |
2001年7月14、16日、バード・ヴィルトバートでの ヴィルトバートでのロッシーニ での上演のライヴ録音。
ロッシーニの神様、アルベルト・ゼッダの指揮に、
CD
DVD |
ErnestinaOlga Voznessenskaiamezzosoprano GamberottoCarlo Morinibaritono BuralicchioLuciano Miottobasso comico ErmannoVito Martinotenore RosaliaSilvia Vajentesoprano FrontinoDaniele Maniscalchitenore Coro Filarmonico di Piacenza Orchestra del Conservatorio di Musica "G. B. Martini" di Bologna Maestro concertatore e DirettoreCarmine Carrisi Regia, progetto scenografico e costumiFrancesco Esposito LuciDaniele Nardi October 2001 Teatro comunale Modena, Italy |
2001年、モデナ市立劇場での上演のライヴ収録、ベゲッリとピアーナの新校訂譜を用いた初めての収録だった、先にCDが発売され、数年後に同じ上演の映像がDVDで発売された、《ひどい誤解》の当時最先端の上演の記録ということになるのだが、演奏も舞台も冴えない上演で、見て聞いて楽しめるものではない。
CD |
ErnestinaMargherita Guglielmimezzosoprano GamberottoSesto Bruscantinibasso BuralicchioRolando Paneraibasso ErmannoGiuseppe Barattitenore RosaliaElena Ziliosoprano FrontinoCarlo Gaifatenore Coro da camera della RAI Orchestra "Alessandro Scarlatti" di Napoli della RAI DirettoreBruno Rigacci Napli, Italy 8 June 1974 |
古い放送用録音を基にしているとはいえ、《ひどい誤解》の初めてのCDで、次のモデナでの上演が刊行されるまではこれが《ひどい誤解》の唯一の音源だった、1974年にしては音の状態は良くなくAM放送並、またOTOSの楽譜を用いている、それでもマルゲリータ・グリエルミ、セスト・ブルスカンティーニ、ローランド・パネライと名歌手の歌はそれなりに楽しめる。
CD |
ErnestinaKrisztina Lakimezzosoprano GamberottoMorris Morganbasso BuralicchioRichard Bedelbasso ErmannoWilliam Pirietenore RosaliaElvira Lorenzisoprano FrontinoGunter Elmertenore Herrenchor des Stadttheaters Bern Berner Stadtorchester DirigentEwald Körner 14 June 1973 Radio-Studio Bern, Bern, Swizzerland |
1973年6月14日、スイスのベルン放送によるドイツ語歌唱の放送用録音、2022年になってCDで発売された。