ロッシーニ御殿 ホームページ
オペラ御殿 旧御殿のメインメヌー

最新更新 2023年7月22日

無断転載 厳禁

GIOACHINO ROSSINI

EDUARDO E CRISTINA

暫定版

《エドゥワルドとクリスティーナ》は、まだクリティカルエディションが刊行されておらず、またロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでの上演プログラムもなく、極めて資料が限られており、この項は現状利用できる資料を用いた暫定版である。
元にした資料は、参考資料 の項を見てほしい。

今後クリティカルエディションが刊行された場合、大幅な修正が予想されることを承知していただきたい。

2幕の音楽のためのドランマ
Dramma per musica in due atti

初演 1819年4月24日 ヴェネツィア サンベネデット劇場
First performance 24 April 1819, Teatro San Benedetto, Venezia

台本作家 アンドレア・レオーネ・トットラ と ゲラルド・ベヴィラックワ・アルドブランディーニ
Libretto Andrea Leone Tottola and Gherardo Bevilacqua Aldobrandini

原作 ステーファノ・パヴェージ《オドアルドとクリスティーナ》(1810年12月1日,ナポリ)のためのジョヴァンニ・シュミットの台本
Original libretto by Giovanni Schmid for the opera Odoardo e Cristina (1 December 1810, Napoli) , music by Stefano Pavesi.

《エドゥワルドとクリスティーナ》は、ロッシーニの全オペラの中で最も上演頻度の低い作品である。というのも、この作品は実際にはロッシーニ自身によるチェントーネ(詩において既存の自作多作からの寄せ集めで作られた作品を指す)ないしはパスティッチョ(自作多作様々な作品の部分を組み合わせて作り上げられた劇作品を指す)であり、やはりロッシーニ自身の既存作品から多くを再利用して作られた《新聞》と同様、19世紀後半以降特に20世紀には評価されずにいた。2023年にようやくROFで上演されることになったが、それまで上演されたのは、バート・ヴィルトバートでのロッシーニ・フェスティバルでの2度の上演(1997年と2017年)の2回だけである。

作曲

ロッシーニは、1818年3月5日にナポリのサンカルロ劇場で《エジプトのモゼ》を初演すると、4月15日に、既に恋仲だったイザベッラ・コルブランと一緒にナポリを発ち、両親のいるボローニャに向かった。二人は4月半ばから8月末までずっとボローニャで過ごした。
ロッシーニがボローニャに到着して早々に、ジュゼッペ・コルテージ Giuseppe Cortesi という人物が彼を訪れた。コルテージは1818―1819年にヴェネツィアのサンベネデット劇場で興行主を務めることになっており、ロッシーニに新作を書いてもらいに交渉に来たのだった【注1】。4月17日に、翌1819年春のシーズンに、ロッシーニがサンベネデット劇場に新作を書くという合意がなされた。
この契約は10月23日に正式に結ばれた。この契約書は現存しており、《エドゥワルドとクリスティーナ》に関するあまり多くない資料の中で貴重なものである。重要な点を書き出すと、1819年の春のシーズンに2幕のオペラ完全な新作のセリアを書く、第1幕を2月に、第2幕を3月に、ナポリで書いて興行主のコルテージに郵送する、初日は復活祭の翌日の(1819年)4月12日、ロッシーニは3月を期限に(≒ 3月31日までに)ヴェネツィアにいること、すべての練習に参加すること、最初の3回の公演にはチェンバロ(当時は実際にはピアノであってもチェンバロと呼ばれた)に着くこと、等々【注2】。

時を戻して、ロッシーがナポリを発つ直前の4月7日、彼はポルトガルのリスボン向けのファルサ《アディーナ》の契約を結んだ。《アディーナ》はボローニャ滞在の前半、つまり4月半ばから5月にかけて書かれたと推測されている。
また、この年の秋のシーズンにナポリ、サンカルロ劇場で初演される予定の新作オペラ《リッチャルドとゾライデ》の制作も既に始まっており、ロッシーニはその第1幕の台本をボローニャに携えていた。第2幕の台本も追ってボローニャに届けられる予定で、ロッシーニは《アディーナ》を仕上げ次第、《リッチャルドとゾライデ》の作曲に着手するつもりだったと思われる。
ところがそうはならなかった。6月10日、ロッシーニは故郷のペーザロで、新たに建てられたヌォーヴォ劇場(今日のロッシーニ劇場)のこけら落としとして《泥棒かささぎ》を上演(いくらかの調整が成された)、これは大成功を収めたのだが、その直後からロッシーニは深刻な体調不調に陥った。あまりの容体に悪かったことから、不確かな情報を基にしてナポリの両シチリア新聞が7月7日にロッシーニの訃報を出したほどだった(2日後に誤報であると訂正された)。

9月初旬にロッシーニはナポリに戻るが、《リッチャルドとゾライデ》はまだ完成には程遠く、初演予定(おそらく9月26日)は延期された。ロッシーニは9月22日付で母アンナに宛てた手紙で、健康が完全に回復したこと、2つのオペラの制作で多忙を極めていること、そして《リッチャルドとゾライデ》の初演は10月末の見込みであること、を伝えている。しかし実際には《リッチャルドとゾライデ》の初演はさらに1か月程後の12月3日までずれ込んだ。

この後もロッシーニは多忙だった。おそらく《リッチャルドとゾライデ》初演の直後から《アルミーダ》(1817年11月9日、ナポリ、サンカルロ劇場で初演)を2幕に短縮改訂する作業に取り掛かっている。上演は1819年1月と推測されている。1819年2月20日には、カンタータ《謹んで呈された敬意 Omaggio umiliato》【注3】を初演(初演は1月12日に予定されていたが、王室の服喪で延期された)。3月7日には、《エジプトのモゼ》(1818年3月5日、ナポリ、サンカルロ劇場で初演)の第3幕を改訂した新しい稿を初演。3月27日には極めて野心的な《エルミオーネ》が初演。また同じ3月27日、オーストリア皇帝フランツ1世(= 神聖ローマ皇帝フランツ2世)の来訪を祝うカンタータ《1819年5月9日の晩に演奏されるためのカンタータ》【注4】の歌詞が検閲を通っているので、ロッシーニはこれを概ね4月に作曲に当たらなくてはならなかった(初演は5月9日)。

このように、1818年6月の深刻な体調不良の結果、ナポリで様々な作品の制作がすべて押してしまい、ロッシーニは1819年3月末になっても極めて多忙な状態から脱せられず、そのため4月のヴェネツィアのサンベネデット劇場への新作を書く時間がなかったと思われる。
そのためロッシーニは、完全な書下ろしの新作でも、部分的な更生や第三者による代筆を含む新作でもなく、ほとんどが既存作からの曲の使いまわしで出来たチェントーネを作ることにしたのだろう。
《エドゥワルドとクリスティーナ》の主の台本作家、アンドレア・レオーネ・トットラはナポリの王立劇場群の事業監督であり、座付きの詩人である。彼はこの時期上演された《エジプトのモゼ》と《エルミオーネ》の台本作家であるので、ロッシーニとは密に関わっていたはずである。彼は1810年12月1日にナポリのサンカルロ劇場で初演されたステーファノ・パヴェージの《オドアルドとクリスティーナ》のためのジョヴァンニ・シュミットの台本を、ロッシーニのた既存の音楽に当て嵌まるように(あるいは元の詩句をそのまま移して)《エドゥワルドとクリスティーナ》の台本を制作している。

ロッシーニが用いた既存の音楽は、詳細は後述するが、主として《ブルグントのアデライデ》 1817年12月17日 ローマ アルジェンティーナ劇場で初演 と《エルミオーネ》 1819年3月27日 ナポリ サンカルロ劇場で初演が用いられた。さらに部分的に《リッチャルドとゾライデ》 1818年12月3日 ナポリ サンカルロ劇場で初演、《エジプトのモゼ》 1818年3月5日、ナポリ、サンカルロ劇場で初演、そして台本の原作であるパヴェージ《オドアルドとクリスティーナ》の曲も使われている。
《ブルグントのアデライデ》 の初演は不評でしばらく再演はなかった【注5】。《エルミオーネ》は、初演は完全な失敗に終わったが、そうでなくてもヴェネツィアで上演される予定はなかった。。つまりどちらの作品もヴェネツィアでは知られておらず、チェントーネの素材にするには打って付けだった。

肝心の《エドゥワルドとクリスティーナ》の作曲に関する情報はほとんどない。ロッシーニがいつ頃《エドゥワルドとクリスティーナ》を書いたのかすらよく分かっていない。
鍵となるのは《エルミオーネ》である。この作品がある程度出来上がっていなければ、この作品からの更生することもできない。とはいえ初演の3月27日の後に《エドゥワルドとクリスティーナ》の制作に取り掛かっては間に合わない。つまり、《エルミオーネ》が概ね出来上がった段階で《エドゥワルドとクリスティーナ》の制作に取り掛かっていたと考えられる。
《エルミオーネ》の作曲時期は、残された手紙から概ね推測できる。
1818年11月30日付でナポリのロッシーニがボローニャの母アンナに宛てた手紙。
私はアンドローマカの題になる別のオペラも書き始めました。
同年12月30日の関係者会議で内務省が提出した、四旬節までのサンカルロ劇場での上演予定演目。
(《エルミオーネ》は)ロッシーニ氏が書いているところである
Che sta scrivendo il Sig. Rossini。

年が明けた1819年1月19日付の母アンナへ宛てた手紙
私は私のエルミオーネについて十分に捗っているところです[…]今や私は それはやっと仕上がったと言えます。
Sto abbastantemente avanzato colla mia Ermione [...] ormai posso dire che è fatto il becco all'Oca.』。


これら3通の手紙から、ロッシーニが《エルミオーネ》を1818年11月末頃から1819年1月末頃に作曲したと仮定することができる。これに基づくと、ロッシーニが《エドゥワルドとクリスティーナ》を作曲したのは、大雑把に、2月から3月上旬にかけてと推測できる。2月20日に初演された《謹んで呈された敬意》は、おそらく本来初演が予定された1月12日よりも前に書き上げられていただろうし、《エジプトのモゼ》の改訂はあまり大がかりな手直しではない。両作に時間を取られても、《エルミオーネ》初演の準備が始まるまでであれば、ロッシーニにはチェントーネを作るくらいの余裕はあっただろう。

さて契約ではロッシーニは3月末までにヴェネツィア入りしなくてはならなかったが、その3月31日にナポリを発ち、4月9日にヴェネツィアに到着した。当然初演もずれ込むことになる。

注1 コルテージの訪問の直後の1818年5月2日、ヴェネツィアのサンベネデット劇場でロッシーニのカンタータ《ディドーネの死》が初演された。このカンタータはソプラノのエステル・モンベッリ(1794―1860頃)のために書かれたもので、作曲時期は、彼女の父親ドメニコ・モンベッリの一座のために書かれた《デメートリオとポリービオ》と同時期、つまり1810年頃だと推測されている。サンベネデット劇場での《ディドーネの死》の初演ではエステル・モンベッリ自身が歌った。コルテージがボローニャのロッシーニを訪れたのは、《ディドーネの死》の上演と関連しているかもしれない。

注2 GIOACHINO ROSSINI LETTERE E DOCUMENTI VOLUME 1 340-341p に全文が掲載されている。

注3 正式な名称は《サンカルロ劇場の芸術家たちによって陛下に謹んで呈された敬意、彼の極めて幸運な回復の後 前述の王立劇場に陛下が列席した機会に Omaggio umiliato a Sua Maesta dagli artisti del Real Teatro S. Carlo, in occasione di essere per la prima volta la M.S. intervenuta in detto Real Teatro dopo la sua felicissima guarigione》。 陛下とは両シチリア王国の王フェルディナンド1世のこと。

注4 正式な名称は《1819年5月9日の晩に演奏されるためのカンタータ、王のそして教皇の皇帝陛下フランチェスコ1世、オーストリア皇帝、等々々が、初めて王立サンカルロ劇場に臨席の名誉を与える機会に Cantata da eseguirsi la sera del dì 9 maggio 1819, in occasione che Sua Maesta Cesarea Reale ed Apostolica Francesco I, imperatore di Austria, ecc. ecc. ecc., onora per la prima volta di sua augusta presenza il Real Teatro S. Carlo》

注5 ヴェネツィアで《ブルグントのアデライデ》が上演されたのは、1820年の春のシーズン、サンルカ劇場でのこと。

初演

初演は、1819年4月24日、ヴェネツィアのサンベネデット劇場で行われた。

カルロ
Carlo
エリオドーロ・ビアンキ
Eliodoro Bianchi
テノール
tenore

クリスティーナ
Cristina
ローザ・モランディ
Rosa Morandi
ソプラノ
soprano

エドゥワルド
Eduardo
カロリーナ・コルテージ
Carolina Cortesi
コントラルト
contralto

ジャコモ
Giacomo
ルチアーノ・ビアンキ
Luciano Bianchi
バス
basso

アトレイ
Atlei
ヴィンチェンツォ・フラカリーニ
Vincenzo Fracalini
バス
basso

グスターヴォ
Gustavo
不詳
N. N.
黙役
mimo

養育係
La governante
不詳
N. N.
黙役
mimo


コンサートマイスター 兼 指揮者
Primo violino e capo d'orchestra
アレッサンドロ・ダ・ポンテ
Alessandro da Ponte


クリスティーナのローザ・モランディ 1782―1824 が最も著名な歌手だった。中部イタリア、アドリア海沿いのアンコーナ近郊のセニガッリアの生まれ。1805年頃からイタリア各地で活躍し、1807年にミラノのスカラ座、次いでローマやヴェネツィアで歌った。彼女はロッシーニの事実上の最初のオペラ《結婚手形》の初演 1810年11月3日 ヴェネツィア サンモイゼ劇場 でファンニを歌ったことで名高い。

エリオドーロ・ビアンキ 1773―1848 は、ベルガモ近郊のチヴィダーテ・アル・ピアーノの生まれ。ナポリで歌を学び、1793年にテノール歌手としてデビュー。以来北イタリアを中心に1835年まで40年以上活躍した。数々のオペラの初演に出演しており、ロッシーニでは《バビロニアのチーロ》初演 1812年3月14日 フェッラーラ 市立劇場 でバルダッサーレを歌った。

エドゥワルドのカロリーナ・コルテージ 生没年不詳 は、興行主ジュゼッペ・コルテージの娘であり、彼女を活躍させるために父がロッシーニに新作を依頼したと推測されている。カロリーナについてはあまり情報がなく、活動期間も1820年前後の数年だったと思われる。

なお、モランディ、コルテージ、ビアンキと、ジャコモを歌ったルチアーノ・ビアンキ、アトレイを歌ったヴィンチェンツォ・フラカリーニは、いずれも《エドゥワルドとクリスティーナ》から2か月後の6月26日に同じサン・ベネデット劇場で初演されたマイヤベーア《ロクスバラのエンマ》にも出演している。

初演は大成功を収めた。初演の3日後の4月27日付のヴェネツィア特権新聞 Gazzetta privilegiata di Venezia は、かなり長文の熱の篭った評で初演の成功を伝えている。この評は《エドゥワルドとクリスティーナ》の当時の評価を理解するのに大変重要な資料で、全文紹介したいほどだが、ごく一部のみ紹介する。

彼の卓越した音楽は 心を奪い、うっとりさせ、幸福に浸らせた; 誰もが彼の最高の音楽の抗し難い力を感じ、誰もが自らの熱狂を解き放つ圧倒的な力に屈した; 劇場にはまず優美な旋律が鳴り響き、それから鳴りやまない喝采の大音響が轟いた、
l'eccellente sua musica incanta, trasporta, bea; tutti senntono la forza irresistibile della sua maggia, tutti cedono al prepotente impulso di sprigionare il proprio entusiasmo; il teatro risuona prima alla soavita delle sue melodie, rimbomba quindi allo strepito altitonante degli incessanti applausi,v

初演の大成功を受けて、《エドゥワルドとクリスティーナ》はしばらくの間たいへん頻繁に上演された。大雑把に言って、1820年代半ばまでは北イタリアを中心年に十数の劇場が取り上げていた。
ドイツ・ロッシーニ協会が刊行したエドゥワルドとクリスティーナについての本の中に、トム・カウフマンの編纂した《エドゥワルドとクリスティーナ》の初演以降の興行記録が掲載されている。精度に疑問もあるのであくまで参考程度だが、これによると、1820年には15の興行(上演数ではなく)が、1821年には10、1822年には12、1823年には7、1824年には11、その後は徐々に興行数は減るものの、上演は1830年まで続き、さらにその後は散発的に上演されている。記録に残る最後の上演は、1840年の聖ロレンツォの市 いち Fiera di S. Lorenzo のシーズン(8月か)、ウーディネの貴族劇場 Nobile Teatro di Udine でのもの。
《エドゥワルドとクリスティーナ》は20年もの長命を保った。

ヴェネツィアの筆頭劇場、フェニーチェ劇場の上演記録がインターネットで閲覧できる。初演からおよそ10か月後の1820年1月15日に、モランディ、コルテージ、L.ビアンキの創唱者を引き継いで上演が始まり、2月5日までに12公演あったことがわかる。
ちなみにヴェネツィアでは複数の劇場によって《エドゥワルドとクリスティーナ》が何度も上演されており、この後もサンベネデット劇場およびサンルカ劇場で1830年まで何度か舞台に掛けられた。

このように《エドゥワルドとクリスティーナ》の興行、上演は多かったが、そのほとんどは北イタリアで、南イタリアでの上演は少ない。《エルミオーネ》が初演されたナポリやその近郊では上演はみられない。これはナポリでの《エルミオーネ》の大失敗が尾を引いていたかもしれない。
《ブルグントのアデライデ》が初演されたローマでは、1828年頃にアポッロ劇場で上演があった。

北イタリアでの大人気の一方で、《エドゥワルドとクリスティーナ》はイタリア外ではあまり上演が盛んでなかった。
ドイツ語圏では、
1820年10月16日、ウィーン、アン・デア・ウィーン劇場。ドイツ語上演。
1821年、ミュンヘン、王立劇場
などがあったが、いまのところベルリンなど北ドイツでの上演は確認されていない。

新大陸到達、南米初演は、1830もしくは31年、チリのサンティアゴ。マリオ・カネパ・グスマン Mario Cánepa Guzmán の (サンティアゴ)市立劇場 苦しみと輝きの125年 El Teatro Municipal en sus 125 años de Sufrimentos y Esplendor およびサンティアゴ市のサイトの記事によると、イタリアの巡業歌劇団がペルーでの公演に向かう途中、チリの港町ヴァルパライソで1830年4月26日にロッシーニの《幸福な間違い》を上演したところ大成功、そのまま歌劇団は内陸のサンティアゴに移って、1830年6月から1831年2月にかけてプリンシパル劇場で興行を催し、その演目(9演目のうち6つがロッシーニのオペラだった)の中に《エドゥワルドとクリスティーナ》があったという。
北米初演はさらに遅く、1834年11月25日、ニューヨーク。

スタンダール『ロッシーニ伝』での逸話

ロッシーニマニアとして名高いスタンダールは、その著『ロッシーニ伝』の中で、《エドゥワルドとクリスティーナ》について面白い話を紹介してる。

『ピアンカとファンリェーロ』作曲の前年に、ロッシーニはヴェネツィアの興行主をひどいべテンにかけたことがある。
[中略]
 ようやく初演の九日前になってロッシーニが姿を現わした。上演がいよいよ始まり、オペラは熱狂的な喝采を受ける。ところがあいにく平土間席にナポリの商人がいて、歌手より前に全部の曲のテーマを歌ってみせる。周囲の客が肝をつぶす。どこでこの新曲を聞いたのかと尋ねる。すると答えて、「だってこれは『リッチャルドとゾライデ』に『エルミオーネ』ですぞ。どちらも半年前にナポリで喝采されたオペラですよ。気になるのはなぜ題名を変えたのかということだけですがね。『リッチャルド』のニ重唱で最も美しいフレーズ、

ああ、本当に私たちは生まれつき
Ah! nati è ver noi siamo

をもとにして、ロッシーニはみなさんの新しいオペラのカヴァティーナをこしらえましたな。歌詞さえ変更せずに」
 幕合いとバレエの最中に、この不吉なニュースはまたたくまにカフェへ伝わった。そのカフェではヴェネツィア有数の音楽通が腰をすえて、このオペラの素晴らしさを論じ合っていたのだ。ミラノなら国民的自惚れが傷つけられ、怒り狂ったことだろう。ヴェネツィアではみんなげらげら笑い出した。[…]致命的な噂のせいで破産しかねない興行主は憤激して、ロッシーニを探す。見つけると、ロッシーニは落ち着き払ってこう答えた。「私がどんな約束をしましたかな。公衆に受ける音楽を提供することでしょうが。この音楽は成功した、<それで十分>(e tant basta)。[…]」

(スタンダール「ロッシーニ伝」山辺雅彦訳 みすず書房刊 304‐305ページより抜粋)

逸話そのものは愉快なものだが、あくまで信憑性の低い笑い話である。《エルミオーネ》は《エドゥワルドとクリスティーナ》初演のほぼ1か月前であるなど、不正確な記述が散見されるし、なにより、先のヴェネツィア特権新聞の初演の公演評には、《ブルグントのアデライデ》についても《エルミオーネ》につていもまったく触れられていない。もし休憩中に、あるいは終演後に、この作品がチェントーネであるという噂が広まっていたのならば、それは評の筆者の耳にも届いたに違いないと思われるのだが。

それでもこの逸話は、《エドゥワルドとクリスティーナ》が生き長らえている時には、誇張されてはいるものの、この作品がチェントーネであるということを分かりやすく伝える意味は合ったろう。
しかし《エドゥワルドとクリスティーナ》が埋もれてしまい名のみ知られるようになってしまうと、このスタンダールの逸話が一人歩きをしてしまい、《エドゥワルドとクリスティーナ》がでたらめな作品だという予断を植え付けることになってしまった。《エドゥワルドとクリスティーナ》が復活するためには、その予断を払拭しなくてはならない。

蘇演

《エルミオーネ》も《ブルグントのアデライデ》も長く埋もれたのだから、《エドゥワルドとクリスティーナ》が堂々と上演されてもおかしくなさそうだが、前述の通り1840年のウーディネでの上演を最後に(既にその前から上演は稀になっていたが)、《エドゥワルドとクリスティーナ》は上演が途絶えた。
20世紀後半にロッシーニ再発見が進む中でも《エドゥワルドとクリスティーナ》はほとんど黙殺されていて、上演の機会がなかった。近年の上演の機会はたった2回、どちらもドイツの ヴィルトバートでのロッシーニ でのもの。近代蘇演は、1997年7月16,19,24,26日 。そしてその20年後の2017年7月14,16,21日。どちらも録音されてCD化されている(⇒ 参考資料)。
2023年8月、ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルがようやく初めて《エドゥワルドとクリスティーナ》を上演することになった

ロッシーニの全オペラの中でなぜ《エドゥワルドとクリスティーナ》がこれほどに復活が遅れたのかは、想像するしかない。
劇場運営の立場で考えるならば、結局、半分は《エルミオーネ》であれば、現代の好みからすると《エルミオーネ》を上演した方がずっと好ましい、ということではないか。
逆に言うと、古めかしい筋書きのオペラであるにもかかわらず、至難な《エルミオーネ》の音楽を歌えるだけの歌手を揃えなくてはならないのは、現代において合理的ではないのだろう。特にカルロには《エルミオーネ》のピッロを歌える力量が求められ、今日のロッシーニテノールでも技術的に特に優れた人を起用しなくては上演が揺らぎかねない。

音楽

《エドゥワルドとクリスティーナ》はチェントーネであるので、まずは更生の概要を見てみる(個々の詳細は音楽設計図を)。

序曲序奏は《リッチャルドとゾライデ》序曲の序奏を。
主部は《リッチャルドとゾライデ》と《エルミオーネ》の素材を利用。

第1幕
第1番 導入《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第1番 導入

第2番 行進曲、合唱とエドゥアルドのカヴァティーナ《ブルグントのアデライデ》 第2幕 第15番 合唱、シェーナとオットーネのアリア
第3番 合唱とクリスティーネのカヴァティーナ《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第6番 アデライデのカヴァティーナの前の合唱[と]アデライデのカヴァティーナ
第4番 シェーナとクリスティーナとエドゥアルドの二重唱《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第7番 アデライデとオットーネの二重唱
第5番 合唱<《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第4番 合唱
第6番 シェーナとカルロのアリアシェーナとアリアの 緩 を除き、《エルミーネ》 第1幕 第6番 ピッロの アリア
第7番 第1幕フィナーレ合唱は 《リッチャルドとゾライデ》 第2幕 第15番 合唱、ゾライデの大シェーナ と 第2幕フィナーレ から 合唱
Andante は 《エルミオーネ》 第7番 第1幕フィナーレ から Andantino
Allegro は、《エルミオーネ》 第7番 第1幕フィナーレ から Allegro

第2幕
第10番 ジャコモのアリア台本の原作であるパヴェージ《オドゥアルドとクリスティーナ》のジャコモのアリア
第11番 クリスティーナとカルロの二重唱シェーナを除き、《エルミオーネ》 第1幕 第3番 エルミオーネとピッロの二重唱
第12番 合唱、シェーナとエドゥワルドのロンドから Meno mosso(カバレッタ)《エルミオーネ》 第1幕 第4番 オレステのカヴァティーナの Allegro(カバレッタ)
第13番 大シェーナとクリスティーナのアリア と二重唱 Andanteは、《エルミオーネ》 第2幕 第9番 エルミオーネの大シェーナ から Andantino
二重唱 Allegro molto は 《リッチャルドとゾライデ》 第2幕 第11番 ゾライデとリッチャルドの二重唱 から (Allegro)

第14番 戦い《エジプトのモゼ》 第3幕 第12番 祈りとフィナーレ から 紅海横断の音楽
第16番 第2幕フィナーレ《リッチャルドとゾライデ》 第2幕 第15番 第2幕フィナーレ

大雑把に見て、第1幕の大半が《ブルグントのアデライデ》、その後は《エルミオーネ》の音楽が更生されており、第2幕の終盤になってから《リッチャルドとゾライデ》と《エジプトのモゼ》の音楽が用いられている。
ロッシーニのオペラの中ではだいぶ保守的な《ブルグントのアデライデ》と、ロッシーニのオペラの中でも特に実験的、先進的な《エルミオーネ》が接げられているので、カルロがグスターヴォ(クリスティーナとエドゥワルドの秘密の息子)を見付けるところで雰囲気がガラリと変わってしまう。
おそらくこれはロッシーニの設計、あるいは作戦だろう。古めかしく刺激の少ない《ブルグントのアデライデ》の音楽から始めて、悲劇性が高まるところでロッシーニが力を入れた《エルミオーネ》の音楽に切り替えて、観客を引っ張ろうとしたのではないだろうか。
更生された《ブルグントのアデライデ》の音楽にしても、第1幕の導入に続くのは第2幕フィナーレの大団円の音楽、当然どちらも充実た音楽だ。 それでも《エドゥワルドとクリスティーナは、基本的には《エルミオーネ》が核になっているチェントーネと言える。第1幕のカルロのアリア、第1幕フィナーレ、第11番のクリスティーナとカルロの二重唱、シェーナとエドゥワルドのロンドなどは、《エルミオーネ》の中でも飛び切りの名曲ばかりで、さらに言えばロッシーニの全作品中でも際立って個性的な音楽ばかりだ。ナポリで観客から拒絶されてしまった《エルミオーネ》を、半分程度とはいえヴェネツィアで生き返らせて、ロッシーニは満足だったろう。
とはいえチェントーネゆえの問題は、もちろん、あちこちにある。

※普請中※

あらすじ

第1幕
スウェーデンの王宮。人々がロシアとの戦いに勝利して帰還する司令官エドゥワルドを待っている。しかし王カルロの娘クリスティーナだけは不安気な様子で、彼女を愛するスコットランドの王子ジャコモが心配する。実はクリスティーナはエドゥワルドと密かに愛し合い、息子まで儲けていた。この中でそれを知っているのは、近衛兵隊長でエドゥワルドの友人アトレイだけである。クリスティーナは、1年前に亡くなった母のことをまだ悲しんでいると誤魔化すが、カルロに怪しまれる。
エドゥワルドが誇らしげに凱旋し、カルロに勝利を報告する。彼はクリスティーナの様子に気付き、彼女を励ます。エドゥアルドは勝利の褒美にクリスティーナとの結婚を願い出るつもりでいたが、カルロは娘とジャコモの婚約を発表する。クリスティーナが父に結婚の延期を願い出ると、カルロは不機嫌になる。絶望するエドゥアルドをアトレイが宥める。
クリスティーナの部屋。クリスティーナを侍女たちが慰めている。彼女は自分自身のみならず、夫と息子の行く末を案じている。アトレイがエドゥワルドを連れて来る。エドゥワルドはクリスティーナとの再会に喜び、さらに息子グスターヴォにも再会して、束の間の喜びに浸る。
しかし王たちがやって来る。クリスティーナは息子を秘密の扉の中に隠し、エドゥワルドはアトレイに促されて立ち去る。カルロはクリスティーナに、ジャコモと結婚するためすぐに教会に行くよう命じる。母が亡くなったことを理由に延期を願うクリスティーナに、カルロは何か秘密があると疑う。王が彼女の手を掴んで引っ張って行こうとして、彼女が声を上げると、思わず息子が飛び出して母の元に駆け付ける。仰天したカルロは、護衛兵の一人に子供を殺すよう命じる。慌てたクリスティーナはその子が自分の息子であることは認めるが、父親は決して明かそうとしない。怒り狂ったカルロは、クリスティーナを裁判にかけると引っ立てさせる。
アトレイは不安が的中したことを嘆いている。ジャコモは彼に事情を尋ねようとし、アトレイは王子にクリスティーナを救うよう頼む。
裁判で、クリスティーナは秘密を明かさず死を選ぼうとする。そこにエドゥワルドが押し入り、自分が夫であると告白、自分が死ぬので妻と息子の命は助けてほしいと訴える。しかし逆上したカルロは、エドゥワルド、クリスティーナ、グスターヴォの三人とも死ぬよう命じる。三人は別々に引っ立てられる。

第2幕
廷臣たちが嘆き悲しんでいる。友である英雄が一転して死を宣告されたことにアトレイは動揺するが、彼を救うことを決意する。
クリスティーナを愛するジャコモは、カルロにクリスティーナの助命を嘆願する。カルロは娘に、ジャコモと結婚するなら命を助けると告げるが、彼女は自分はエドゥワルドの妻だと断る。カルロは彼女を牢獄に戻す。クリスティーナを愛するジャコモは、彼女を救えず落胆する。そこに、ロシア軍が町を急襲しているとの報せが入る。ジャコモが軍を率いて戦うことになる。アトレイは、この機に乗じてエドゥワルドを牢獄から救出することを思いつく。
牢獄。エドゥワルドの仲間が彼を案じている。エドゥワルドは、自分の死で王が満足し、妻と息子の命が救われるよう天に祈る。そこにアトレイと兵士たちがやって来て、ロシアに襲われたスウェーデン軍を率いて戦うよう求められる。エドゥワルドは奮い立ち、戦いに向かう。
塔に閉じ込められたクリスティーナは、エドゥワルドが処刑される夢にうなされている。目を覚ました彼女は、夫と息子を亡くしたら死を願うばかりだと嘆く。大砲の音が近付き、塔の壁が崩落する。エドゥワルドたちが彼女を解放に現れる。二人は喜び合い、塔を抜け出す。 ロシア軍との戦いの中、ジャコモはカルロを見失ってしまった。戦いは激しさを増す。敗走していたカルロをジャコモは見つけ、劣勢だったスウェーデン軍を解放されたエドゥワルドが救ったことを伝える、再び祖国の危機を救ったエドゥワルドにカルロの怒りも溶け、彼を許し、クリスティーナとの結婚を認める。ジャコモだけは残念がっているものの、一同の喜びで幕となる。

対訳付き音楽設計図

登場人物
カルロ
CARLO,
スウェーデンの王
re di Svezia
テノール
tenore

クリスティーナ
CRISTINA,
カルロの娘、エドゥワルドの隠された妻
regina di Palmita, amante di
ソプラノ
soprano

エドゥワルド
EDUARDO,
スウェーデン軍の司令官
duce delle armi di Svezia
メッゾソプラノ
mezzosoprao

ジャコモ
GIACOMO,
スコットランドの王子
principe reale di Scozia
バス
basso

アトレイ
ATLEI,
近衛兵の隊長、エドゥワルドの友人
capitano delle guardie reali, amico d'Eduardo
テノール
tenore

グスターヴォ
GUSTAVO,
エドゥワルドの そして クリスティーナの幼い息子
piccolo figlio d'Eduardo e di Cristina
黙役
non parla

日本語訳は極力文学的な色づけをせず、分析的な直訳にしてある。
《エドゥワルドとクリスティーナ》はまだクリティカルエディションが刊行されておらず、この対訳付き音楽設計図は、現状利用できる資料を用いた暫定版である。
音楽は、1826年頃刊のフランス、パリのCarli社のピアノ伴奏譜、およびオーストリア、ウィーンのSauer & Leidesdorf社のピアノ独奏用編曲譜(どちらもIMSLPでダウンロードできる)に基づいているが、どちらもかなり不備がある。そのため、ドイツ・ロッシーニ協会刊の《エドゥワルドとクリスティーナ》についての本(⇒ 参考文献)によって多くの情報を補っている。
台本は、2017年7月にドイツ、バート・ヴィルトバートでのロッシーニ祭、ヴィルトバートでのロッシーニ の上演された際のもの(この時の台本がライヴ録音のCDの資料としてダウンロードできる)に準じているが、初演時の印刷台本も多く参照している。
ともかく、正確なところはクリティカルエディションの刊行を待つことにしたい。

Sinfonia Moderato
2/4
d minor
序奏付きの展開部を欠いたソナタ形式。
序奏。
《リッチャルドとゾライデ》 序曲 から Largo を手直しして更生。

Allegro brillante
4/4
D major
主部。
第2主題は《リッチャルドとゾライデ》第2幕 第11番 ゾライデとリッチャルドの二重唱 の Allegro の更生。

提示部と再現部の小結尾(コデッタ ロッシーニクレッシェンドの箇所)は、《エルミオーネ》の序曲の小結尾の更生。

ATTO PRIMO
N. 1
Introduzione

Cristina
Carlo
Giacomo
Coro
Andante mosso
3/4
F major
SCENA PRIMA第1景
Atrio magnifico, adorno di trofei, dipendente dalla reggia, e contiguo ad una piazza. Trono da un lato.立派な玄関広間、戦利品で飾られている、王宮に従属している【≒ 王宮の一部である】、そして 広場に 隣接している。一方の側に玉座。
Atlei, cavalieri, dame, guardie reali nell'atrio; popolo spettatore nella piazza.アトレイ、騎士たち、貴婦人たち、近衛兵たち 玄関広間に; 目撃者の人々【≒ 見物人たち】 広場に。

CORO合唱
Giubbila, o patria, omai:歓喜しなさい、ああ 祖国よ、今こそ:
cessò del ciel lo sdegno.天の怒りは 止んだ。
Finor gemesti assai:今まで お前は 呻いていた:
trionfa o sveco regno;勝ち誇りなさい ああ スウェーデンの王国よ;
ritorna a questo lidoこの岸【≒ 国】に 戻る
l'eroe di nostra età.私たちの時代の 英雄が。
Vittoria a lui disserra勝利は 彼に 開けている
le vie d'amica sorte;友好的な運命の道を;
per contrastargli in guerra戦いで 彼に 対抗しても
braccio non v'ha sì forte;これほどに強い腕は ない;
di lui perfino il vinto打ち負かされた男でさえ 彼の
ammirator si fa.賛美者になる。


SCENA SECONDA第2景
Carlo, Giacomo seguiti da nobile corteggio. I precedenti.カルロ、ジャコモ 高貴な従者によって ついて来られて。前の景の人たち。

GIACOMOジャコモ
Dopo tanti e tanti affanni,たくさんの そして たくさんの 不安の後、
pace riede a queste mura.平和が この城塞に 笑っている。
Lieto giorno! omai sicura喜ばしい日だ! 今は 無事に
la corona al crin ti sta.王冠は 君の頭髪に ある。

ATLEIアトレイ
(Torni, amico, trionfante...(君は 戻る、友よ、勝利を収めて…
Io pavento quell'istante私は その瞬間を 恐れている
che fra noi ti renderà.)それは 私たちの中に 君を 返すであろう。)

ATLEI E GIACOMOアトレイ と ジャコモ
(a' cavalieri)(騎士たちに)
Già Cristina a noi s'appressa.クリスティーナが もう 私たちに 近づいている。

CORO合唱
Oh ben degna principessa!ああ 大いに立派な 王女だ!

GIACOMOジャコモ
Qual virtude! qual beltà!何という美徳! 何という美しさ!
合唱を前に置いた 急/緩/急 の三部形式のアリアからなる 導入。
合唱。

《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第1番 導入 から Andante、
Misera patria oppressa
の更生。

第1番 導入 全体が、《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第1番 導入 の更生である。

Allegro moderato
4/4
B-flat major
SCENA TERZA第3景
Cristina, dame e cavalieri. I precedenti.クリスティーナ、貴婦人たち と 騎士たち。前の景の人たち。

CRISTINAクリスティーナ
(Misera! innanzi al padre(哀れな女だ! 父の前で
più fiero è il mio tormento,私の苦悩は もっと激しい、
tutto del fallo io sento私は すっかり 感じている
ahi fiero rimorso in me.)ああ 【↑】罪の 激しい後悔を 私の中に。

GIACONMOジャコモ
(a Cristina)(クリスティーナに)
Di gioia ognun s'accende,誰もが 歓喜に 燃え上っている、
benigna stella splende,善良な星が 輝いている、
e in sì propizio giornoそして これほどに 恵まれた日に
solo è mestizia in te.悲しみが ただ 君に だけ ある。

CARLOカルロ
Ah! quando, amata figlia,ああ! いつ、愛する娘よ、
serene avrai le ciglia?君は 晴れ晴れとした眼を 持つのか?
Tutto qui brilla intorno:ここの 周囲では すべてが 輝いている:
tempo di duol non è.悲しみの時ではない。

CRISTINAクリスティーナ
(Come celarvi mai,(いったい どうやって お前たち【= 次行の 心臓の鼓動】を 隠すのだ、
palpiti di dolore!)悲しみの心臓の鼓動よ!)

GIACONMOジャコモ
Al duol donasti assai:君は 大いに 悲しみに 【身を】委ねた:
giubili omai quel core.今こそ その心が 歓喜するように。

CARLOカルロ
In te il confin, l'affanno君の中の 限界を、苦悩は
oltrepassando va.次第に 超えて行きつつある【≒ 君の苦悩は 次第に 度が過ぎつつある】
急。

《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第1番 導入 から Allegro、
Lasciami: in te del padre
の更生。

In te il confin, l'affanno / oltrepassando va.
初演時の印刷台本では
Oltre il confin, l'affanno / in te passando va.
限界を超えて、君の中の苦悩は/次第に 行き過ぎつつある。
となっており、in te は l'affanno に掛かると理解した方が納得できる。いずれにせよ、クリスティーナの苦悩が、死んだ母を悼む様子とは異なっていることに父王は気付いたのである。

Andante
4/4
A-flat major
CRISTINAクリスティーナ
(Ciel, che vedi a qual cimento天よ、それは 見ている どのような危険に
mi riduce il mio tormento,私の苦悩が 私を 変えているか【≒ 私が 苦悩によって どれほど 窮地に 陥っているか 見ている 天よ、】
qualche raggio omai ridesta今こそ 何らかの光を 再び起こしなさい
di clemenza e di pietà.)慈悲の そして 哀れみの【光を】

GIACOMO E CARLOジャコモ と カルロ
(Quai sospiri in tal momento!(何という溜め息だ このような瞬間に!
Qual dolor! qual turbamento!何という苦悩だ! 何という動揺だ!
Un sospetto in me si desta,疑いが 私の中で 目を覚ましている、
che tremar, penar mi fa.)それは 私を 震え【させ】、苦しませる。)
Allegro
4/4
F major
(strumenti militari in distanza.)軍隊の楽器【≒ 軍楽隊の音楽】が 遠くから。

CARLOカルロ
Ma la schiera vincitriceところで 勝利を収めた隊列【≒ 軍隊】
alla reggia s'avvicina.王宮に 近付いている。

CRISTINAクリスティーナ
(Tremo... Oh istante!... Il cor mi dice(私は 震えている… ああ 【何という】瞬間だ!… 心が 私に 言っている
ch'altro duol mi si destina.)別の苦悩が 私に 運命付けられている と。)

CARLOカルロ
Giunge il prode.勇者が 到着する。

CRISTINAクリスティーナ
(Amato sposo!(愛する夫よ!
Io ti bramo e per te peno.)私は 君を 熱望している そして 君によって 私は 苦しんでいる。)

GIACONMOジャコモ
(Altra fiamma asconde in seno:(彼女は 別の炎を 胸の中に 隠している:
turba amore il suo riposo.)愛の神が 彼女の安らぎを 掻き乱している。)


《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第1番 導入 から Andante 、
(Dio, che m'armi in tal cimento
の更生。

(Allegro)
4/4
F major
CRISTINAクリスティーナ
(Coniugal, materno amore,夫婦の、母の愛よ、
non tradir questo mio core,この私の心を 裏切るでない、
ch'altra speme or più non ha.)それ【= 私の心】は 今 他の希望を 持っていないのだから。)

CARLO E GIACOMOカルロ と ジャコモ
(La cagion di quel dolore(あの苦悩の原因を
a momenti al genitore,たちまち 父親に、
suo malgrado, svelerà.)彼女の意に反して、彼女は 明かすだろう。)

CRISTINAクリスティーナ
Tremo.私は 震えている。

CORO合唱
(Geme, oppressa dal dolore...(彼女は 呻いている、苦悩に 圧迫されている)
Giusto ciel, che mai sarà?公正な天よ、いったい どうなるのだろうか?


《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第1番 導入 から Allegro、
Io t'aborro nell'amore.
の更生。

Recitativo


CARLOカルロ
Delle lagrime tue君の涙の
la sorgente verace,本当の源が、
che al genitor sia nota è tempo omai.父親に よく知られることが 今こそ 時間だ。

CRISTINAクリスティーナ
Signor, come!... non sai貴君よ、どうして!… 君は 知らないのか
quanto costommi, oh dio!どれほど 私に 要したか、ああ 神よ!
quella perdita amara,あの つらい喪失が【?】
che te pur tanto oppresse?それは 君にもまた 大いに 圧迫した?

CARLOカルロ
Or compie l'anno今や 1年を 完了している
che a me la sposa, a te la genitrice私から 妻を、君から 母親を
morte involò. Si pianse, e giusto il pianto,死が かすめ取ったことは【≒ 私の妻が、君の母親が、死んでから もう 1年が経った】。私たちは 泣いた、そして 涙は 正し 【↓】かった、
figlia, era in noi; ma di ragione il lume娘よ、私たちにとって; だが 理性の光を
dà il tempo alfin. I limiti del duolo時が 最後には 与えるだろう。悲嘆の限度を
la tua mestizia eccede,君の悲しみは 超えている、
perch'io presti al tuo labbro intera fede.私が 君の唇に 完全な信頼を 与えるには【≒ 君の悲しみは 苦悩の度を超えているので、私は 君の言葉を 信用できない】

CRISTINAクリスティーナ
(Oimè!)(ああ!)

ATLEIアトレイ
Signor! S'avanza il duce.貴君よ、指揮官が どんどん近付いている。

CARLOカルロ
Siedi,座りなさい、
Principessa, al mio fianco, e pensa intanto王女よ、私の傍に、そして その間に 考えなさい
che in sì bel giorno è intempestivo il pianto.これほどに素晴らしい日には 涙は 時をわきまえていない と。

Carlo va sul trono; Cristina siede a dritta del medesimo sopra un sedile più basso; Giacomo, al cenno del re, siede dalla parte opposta; ognuno del corteggio si situa secondo il suo grado. Frattanto vedonsi sfilare sulla piazza le truppe condotte da Eduardo.カルロは 玉座の上に 行; クリスティーナは 同じ男【= カルロ】の右側に 座る より低い座席の上に; ジャコモは、王の指示で、反対側に座る; それぞれの従者は 地位に従って 位置付けられている。そうしている間に エドゥワルドによって 連れて来られた 軍隊が 広場で 行進しているのが 見える。く

ATLEIアトレイ
Inno di gloria alto risuoni.栄光の賛歌が 高らかに 響くように。

CRISTINAクリスティーナ
(Ciel! Ben prevede il mio cor(天よ! 私の心は 予見している
il più fiero [dolor [d'ogni] dolore.)あらゆる苦悩の中で もっとも残忍な苦悩を。)
I limiti del duolo / la tua mestizia eccede, / perch'io presti al tuo labbro intera fede.
この文は troppo... perchè + 接続法 の構文と同様に ―するにはあまりにも…だ,あまり…すぎて―できない の意味。
この場合の duolo は 哀悼 の意味合いが強い。

N. 2
Coro, Scena e Cavatina Eduardo

Eduardo

Cristina
Carlo
Giacomo
Coro
Marcia
4/4
C major
CORO合唱
Serti intrecciar le vergini乙女たちは 花冠を 編む
de' più pregiati fiori;最も 高貴な 花々で;
ordir corone i giovani若者たちは 冠を 織る
di sempre verdi allori常に 緑の ゲッケイジュで
quando a battaglia intrepido,決戦に 勇敢に、
Duce, volgesti il piè.指揮官よ、君が 足を 向けた 【↑】時に。
(vedesi comparire Eduardo.)(エドゥワルドが 現れるのが 見える。)


SCENA QUARTA第4景
Eduardo, che sarà stato incontrato da' grandi sull'ingresso. I precedenti.エドゥワルド、その者は 入口で 高位高官たちによって 出迎えられるだろう。前の景の人たち。

CORO合唱
Più belli in fronte ridanoより美しく 笑う【≒ 輝く】ように
al vincitor i fiori,花々が 勝者の 【↑】額で、
più belli al crin verdegginoより美しく 青々とするように
di tanto eroe gli allori,大いなる英雄の 【↑】頭髪で ゲッケイジュは、
a lui che della gloria彼に その者は 栄光の
seguace ognor si fè.崇拝者に 常に なった【≒ その者は 栄光を 常に 追い求めて来た】

(durante questo coro Eduardo vien condotto appiè del trono.)(この合唱の間に エドゥワルドは 玉座の下に 来る。)
《ブルグントのアデライデ》 第2幕 第15番 合唱、シェーナとオットーネのアリア から 合唱 Serti intrecciar le vergini の更生。
第2番は、レチタティーヴォの部分を除いて、《ブルグントのアデライデ》 第2幕フィナーレの音楽をそっくり更生している。

Allegro
4/4
C major
EDUARDOエドゥワルド
D'un potente nemico強力な敵の
il domator felice, ecco al tuo piede.幸運な勝利者が、この通り 君の足元に。
(s'inginocchia; il re gli fa cenno d'alzarsi.) (跪く; 王は 彼に 立ち上がるよう 指示をする。)
Sire, se di mia fede, in questo giorno,陛下、もし、この 【↓】最高に幸せな 日に、
per la Svezia beato,スウェーデンのために
darti prove novelle ancor poss'io...私が 君に 【↑↑】 私の忠誠の 新たな証を また再び 与えることが できる 【↑】ならば…
imponi: è la tua gloria il dover mio.命じなさい: 君の栄光は 私の義務だ。
Sire, se di mia fede, in questo giorno, / per la Svezia beato,
beato は男性形なので、女性名詞の Svezia ではなく、前の行の giorno を修飾している。

Maestoso
4/4
C major
Vinsi, ché fui d'eroi私は 勝った、私が 英雄たちの
avventuroso duce;幸運な指揮官 【↑】だった からだ;
perché i vessilli tuoiなぜなら 君の軍旗が
la gloria ognor conduce,常に 栄光に 導いている 【↑】からだ、
perché di Carlo al nomeなぜなら カルロの名に
trema il nemico ognor.敵は いつでも 震えあがる 【↑】からだ、
(guardando furtivamente Cristina.)(密かに クリスティーナを 見詰めて)
(Vinsi alfin, perché quel volto(私は ついに 勝った、あの顔
sol mi rese vincitor.)だけが 私を 勝利者に した。)

CRISTINAクリスティーナ
(Or che il vedo, che l'ascolto,彼を 見ている 今、彼【の声】を聞いている 今、
più s'accresce il mio dolor.)私の苦悩は さらに大きく 増している。)

CARLO E GIACOMOカルロ と ジャコモ
Giovin prode, è in te raccolto若い勇者よ、君に 集められている
tutto il pregio del valor.あらゆる 勇敢さの美点が。

(Carlo scende dal trono, e tutti si alzano.)(カルロは 玉座から 降りる、そして 全員が 立ち上がる。)
《ブルグントのアデライデ》 第2幕 第15番 合唱、シェーナとオットーネのアリア(第2幕フィナーレ) から Maestoso、Vieni: tuo sposo e amante, を更生。

Allegro
4/4
E-flat major
EDUARDOエドゥワルド
Regna lieta omai,今こそ 喜ばしく 君臨しなさい、
e giubili quest'alma.そして その魂を 歓喜させなさい。
(guardando Cristina.)(クリスティーナを 見詰めて。)
(Vedo in que' mesti rai(私は 見ている あの 悲し気な 眼差しに
la sua perduta calma.彼女の 失われた平静を。
Pace ti brilla intorno,平和が 君の周りで 輝いている、
ma guerra è in questo cor.)だが 戦いが あの心の中に ある。)

CRISTINAクリスティーナ
(Ti cela in petto, fiero dolor.)【私の】胸の中に 隠れなさい、残酷な苦悩よ。)
(Cristina, sebbene procuri di sfuggire l'incontro de' furtivi sguardi d'Eduardo, non può celare al padre ed agli altri i suoi sospiri, ancorché faccia forza a sé stessa per reprimerli.)クリスティーナは、エドゥワルドの 密かな視線との 出会いを 避けようと務めている にもかかわらず、父親に そして 他の人々に 彼女の溜め息を 隠すことができない、たとえ それら【= 溜め息】を こらえるために 自分の感情を抑えているにもかかわらず。)

CARLO E GIACOMOカルロ と ジャコモ
(Il mio sospetto si fa maggior.)(私の疑いは より大きくなっている。)
《ブルグントのアデライデ》 第2幕 第15番 合唱、シェーナとオットーネのアリア(第2幕フィナーレ) から Allegro、Al trono tuo primiero の更生。

Regna lieta omai, / e giubili quest'alma.
この2行は文脈からすると王カルロに向けて言っているように思われるが、しかし lieta が女性形なのは合わない。実際、初演時の印刷台本では
Tu regni lieto omai, / e giubbila quest'alma.
と lieto が男性形になっている。一方でこの2行がクリスティーナに向けての言葉だとすると、この2行と続く括弧入りの4行の辻褄が合わない。この件はクリティカルエディションで解明されることを期待する。

Meno mosso
4/4
C major
EDUARDOエドゥワルド
(fingendo maraviglia nel veder Cristina in tanta mestizia, lentamente se le avvicina, inchinandosi.)(クリスティーナが たくさんの悲しみにあるのを見て 驚きを装って【≒ クリスティーナが ひどく 悲しんでいる様子を見て 驚いた 振りをして】、ゆっくりと 彼女に 近付き、跪く。)
Serena il ciglio, real donzella;眼を 明るくしなさい、王の若い娘【≒ 王女】よ;
ogni periglio omai cessò.どの危険も 今や 終わった。
(poi sottovoce e di nascosto.)(それから 小声で そして こっそりと)
Deh! frena i palpiti; forse una stellaどうか! 心臓拍動を 抑えなさい; たぶん
per noi sì propizia nel ciel spuntò.私たちのために とても 情け深い 【↑】星が 天に 姿を現した。

CORO合唱
Ogni periglio omai cessò.どの危険も 今や 終わった。
《ブルグントのアデライデ》 第2幕 第15番 合唱、シェーナとオットーネのアリア(第2幕フィナーレ) から (Allegro)、D'Imene il talamo の更生。

Recitativo


CARLOカルロ
Duce, per te respira指揮官よ、君によって 息をついている【≒ ほっとしている】
lo sveco suolo, e respirar tu deiスウェーデンの国は、そして 君は 息をつか【≒ ほっとし】なくてはならない
del riposo nel seno.胸の中に 休息で。
I tuoi sudori omai君の汗【≒ 骨折り,苦労】は 今こそ
han d'uopo di mercé; chiedi: l'avrai.褒美を 必要としている。要求しなさい; 君は それを 手に入れるだろう。

EDUARDOエドゥワルド
Generoso mio re!... che dici?... Ah! dunque寛大な 私の王よ!… 君は 何を 言ったのか?… ああ! それでは
posso... (che fò?) posso al tuo cor... (che tento?)私は できる… (私は 何を するのか?) 君の心に 私はできる… (私は 何を 試みるのか?)


CARLOカルロ
Tutto puoi.君は すべてを してよい。

EDUARDOエドゥワルド
(Su coraggio: ecco il momento.)(さあ 勇気を出せ: そら 瞬間だ【≒ 今こそ その時だ】

CARLOカルロ
Voglio ciascun felice;私は 各人が 幸せであることを 望んでいる;
prova questa ne sia:これが そのことについて 証しであるように;
(a Giacomo)(ジャコモに)
Prence, bramasti王子よ、君は 切望した
la mia figlia in consorte,私の娘を 配偶者に、
e tua sarà.それでは 彼女は 君の女に なるだろう。

CRISTINAクリスティーナ
(Stelle! il previdi.)(星々よ! そのことを 私は 予想していた。)

GIACONMOジャコモ
Oh sorte!ああ 運命よ!

EDUARDOエドゥワルド
(Cielo!)(天よ!)

(Atlei, vicino ad Eduardo, lo avverte di contenersi.)(アトレイは、エドゥワルドの近くで、彼に 自制するように 警告する)

CRISTINAクリスティーナ
(Che fiero colpo!)(何という 残酷な 打撃だ!)

ATLEIアトレイ
(Oh! sventurati, qual destin v'aspetta!)(ああ! 不幸な人たちよ、何という運命が 君たちを 待ち受けているのだ!)

CARLOカルロ
Cessi omai lo stupor, figlia diletta.今は 驚きを 止めなさい、最愛の娘よ。

CRISTINAクリスティーナ
(Oimè!)(ああ!)

EDUARDOエドゥワルド
(Crudel ambascia!)(つらい苦悩だ!)

CARLOカルロ
Che! non rispondi?何と! 君は 返事しないのか?

CRISTINAクリスティーナ
Ah! genitor...ああ! 父よ…
Lascia ch'io possa私が できるように させなさい
dalla sorpresa estrema甚だしい驚きから
gli spirti rinfrancar... Deh! mi concedi精神を 再び勇気づける【≒ 回復させる】ことが… どうか! 私に 認めなさい
spazio a pensar...考える期間を…

CARLOカルロ
(severo)(厳しく)
Che sento!私は 何を 聞いているのだ!

CRISTINAクリスティーナ
(Oh dio!)(ああ 神よ!)

CARLOカルロ
Figlia...娘よ…

GIACONMOジャコモ
Signore,貴君よ、
deh! l'appaga. (Lo dissi: ama quel core.)どうか! 彼女の 要望をかなえなさい。(私は そのことを言った: あの心は 愛している【≒ 思った通りだ: 彼女の心は 誰かを 愛している】

CARLOカルロ
(dopo qualche pausa, a Giacomo)(いくらかの休止の後、ジャコモに)
Tu il vuoi? M'arrendo.君が そのことを 望むのか? 私は 譲歩する。
(a Cristina)(クリスティーナに)
Alle tue stanze riedi,君の部屋に 引き返しなさい、
e in breve ti disponiそして 短い間に 心の準備をしなさい
al paterno comando.父親の命令に。

CRISTINAクリスティーナ
(È un prodigio s'io reggo a duol sì fiero.)(もし 私が これほどに残忍な苦悩に 耐えるならば それは 奇跡だ。)

CARLOカルロ
Prence, mi segui. (Omai scoprasi il vero.)王子よ、私に 付いて来なさい。(今こそ 真実を 見出そう。)

(partono tutti, fuorché Eduardo e Atlei.)(全員 退場する、エドゥワルドと アトレイ を除いて。)


SCENA QUINTA第5景
Eduardo, Atlei.エドゥワルド、アトレイ。

EDUARDOエドゥワルド
Amico!友よ!

ATLEIアトレイ
Sventurato!不幸な男よ!

EDUARDOエドゥワルド
Ove son io!私は どこに いるのだ!
Soccorrimi...私を 助けてくれ…

ATLEIアトレイ
Che puote何を することができるのか
impossente amistà?無力の友情が?

EDUARDOエドゥワルド
Dunque altro scampo,それでは 別の救済手段は、
fuorché morte, per togliermi d'ambascia,死を除いて、私から 苦悩を 取り除くための、
non v'è?ないのか?

ATLEIアトレイ
Che dici? Ah! lascia君は 何を 言っているのか? ああ! 放棄しなさい
così funesta idea. Pensa alla sposa,そのような 不吉な考えを。考えなさい 妻のことを、
all'innocente figlio,無邪気な息子のことを、
e, celando il tuo duol, fuggi il periglio.そして 君の苦悩を隠して、危険を 逃れなさい。
Ma vanne: alcun potrebbeそれはそうと ここから 行きなさい: 誰かが
sospettar nel vederti.君を見て 疑う 【↑】ことができるかもしれない

EDUARDOエドゥワルド
E se, costrettaそれで もし、強要されて
dal genitor, la sposa...父親から、妻が…

ATLEIアトレイ
Fia mia cura私の世話だろう
d'invigorir la debil sua costanza.彼女の 弱い 意志の強固を 元気づけるのは。

EDUARDOエドゥワルド
Perdei, me sventurato! ogni speranza.私は失った、不幸な私よ! あらゆる希望を。
(parte)(退場する)
prova questa ne sia:
ne = di ciò そのことについて。この場合は 各人が幸せであってほしい ということの。

N. 3
Coro e Cavatina Cristina

Cristina
Coro
Andante mosso
6/8
G major
SCENA SESTA第6景
Gabinetto.【クリスティーナの】私室。
Ancelle.侍女たち。

CORO合唱
O ritiro, che soggiornoああ 隠居所【≒ 隠れ家】よ、それは 滞在地
fosti un tempo del dolor,だった 昔 苦悩の、
ah! ti cangia in questo giornoああ! 変わりなさい この日に
in asilo dell'amor.愛の避難所に。
A-B-Aの三部形式の合唱。

《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第6番 アデライデのカヴァティーナの前の合唱[と]アデライデのカヴァティーナ から Andante mosso、合唱、O ritiro che soggiorno の更生。
合唱全体が、歌詞も半分程度同じまま更生されている。

Gabinetto.
この場合の gabinetto は 私的な小さな部屋,私室(これが本来の意味)。

(Andante mosso)
6/8
G major
L'adorata principessa熱愛された王女は
dall'affanno cesserà.苦悩から 退くだろう【≒ 抜け出すだろう】
Il momento già s'appressa瞬間が 既に 近付いている
della sua felicità.彼女の 幸福の。
dall'affanno cesserà.
この場合の cessare は 退く,遠ざかる

(Andante mosso)
6/8
G major
CORO合唱
O ritiro, che soggiornoああ 隠居所【≒ 隠れ家】よ、それは 滞在地
fosti un tempo del dolor,だった 昔 苦悩の、
ah! ti cangia in questo giornoああ! 変わりなさい この日に
in asilo dell'amor.愛の避難所に。
《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第6番 アデライデのカヴァティーナの前の合唱[と]アデライデのカヴァティーナ から Andante mosso、合唱、O ritiro che soggiorno の更生。
Maestoso
4/4
D major
SCENA SETTIMA第7景
Cristina e dette.クリスティーナ と 前の景の人たち。

CRISTINAクリスティーナ
È svanita ogni speranza,あらゆる希望が 消え失せた、
giunse al colmo il mio martir.私の苦悩は 頂点に達した。
Sventurata! non mi avanza不幸な女だ! 私には 残っていない
altro scampo che il morir.死より 他の救済手段は。
《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第6番 アデライデのカヴァティーナの前の合唱[と]アデライデのカヴァティーナ から Maestoso、È svanita ogni speranza, の更生。

Andante mosso
6/8
G major
CORO合唱
Per pietà, ti rasserena.後生だから、晴れやかになりなさい【≒ 元気を 出しなさい】

CRISTINAクリスティーナ
Troppo grave è il mio dolor.私の苦悩は あまりにも 重い。

CORO合唱
Abbia calma la tua pena.君の心痛が 落ち着きを 手に入れるように。

CRISTINAクリスティーナ
Lacerar mi sento il cor.私は 私の心が 引き裂かれるのを 感じている。
Deh lasciatemi, deh fuggite,お願いだから 私を 放っておきなさい、お願いだから 急いで立ち去りなさい、
per me in ciel non v'è pietà.天には 私への 哀れみはない。

CORO合唱
Stella forse un dì più miteおそらく ある日 もっと穏健な星が
per te in cielo risplenderà.君へと 天で 輝くだろう。

(il coro parte)(合唱は 退場する)
《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第6番 アデライデのカヴァティーナの前の合唱[と]アデライデのカヴァティーナ から Andante mosso、合唱、O ritiro che soggiorno を拡大して更生。
Recitativo



CRISTINAクリスティーナ
Del mio crudel destino私の残酷な運命の
si compie omai l'orribile minaccia.恐ろしい脅しが 今こそ 終了するように。
Ma di voi,だが 君たちは、
sposo, figlio, che fia,夫よ、息子よ、どうなるのだろうか、
adorabili oggetti all'alma mia?私の魂にとって 愛らしい対象たちよ?
Che miro... è desso... Ah! fuggi... fuggi... trema.私は 何を 見詰めているのだ… 彼だ… ああ! 急いで立ち去りなさい… 急いで立ち去りなさい… 震えなさい。


SCENA OTTAVA第10景
Eduardo, Atlei e Cristina.エドゥワルド、アトレイ と クリスティーナ。

CRISTINAクリスティーナ
Involati al rigore姿を消しなさい 手厳しさから
del fiero genitore...残酷な父の…
(Atlei rimane sull'ingresso.)(アトレイは 入口に 留まる。)

EDUARDOエドゥワルド
Amata sposa!最愛の妻よ!
calmati: inosservato落ち着きなさい: 気付かれずに
qui volgo i passi. È lungi il re, celarmiここに 私は 足を 向けている。王が 遠くに いれば、
colà posso a mia voglia向こうで 私は 私の欲求で【≒ 自分の意思で】 【↑】隠れる ことができる
nel sen di quella soglia.あの敷居の懐の中に【≒ この私室の奥に】

CRISTINAクリスティーナ
Alfine... ahi lassa!ついに…ああ 不幸な!
Alfin... fremo d'orror!... giunse quel giorno,ついに… 私は 恐怖に 震えている!… その日が 来た、
tanto per noi tremendo,私たちにとって 凄まじく 恐ろしい、
giorno fatal di morte!... ed io l'attendo.死の 不吉な日が!… そして 私は それを 待っている。
colà posso a mia voglia
colà は かなたで という副詞。この場合は nel sen di quella soglia を指していると理解した。

N. 4
Scena e Duetto Cristina ed Eduardo

Cristina

Eduardo
Allegro moderato
4/4
G major
EDUARDOエドゥアルド
Deh! quel pianto raffrena;お願いだから! その涙を 抑えなさい;
nel soccorso del cielo天の援助を
sperar ti giovi...頼りにすることを 君が 利用するように…

CRISTINAクリスティーナ
Ah! no: sperar non deveああ! いいや: 頼りにする ことはできない
chi al genitor fu infida.父親に 不実だった 者は【≒ 父親に 子供が生まれたことを 隠していた者は】

EDUARDOエドゥアルド
Per quel soave oggetto,その甘美な物体のために、
pegno del nostro affetto,私たちの情愛の証 あかし 【のために】
dal tuo pensier le immagini d'orrore君の考えから 恐怖の像を
disgombra, per pietà...Deh! sposa amata,一掃しなさい、後生だから… お願いだから! 愛する妻よ、
fa che bearmi io possa私が 喜びに浸る ことができる ことを させなさい
negl'innocenti sguardi無邪気な視線に
del mio Gustavo.私のグスターヴォの。

CRISTINAクリスティーナ
Oh sposo! in qual momentoああ 夫よ! どのような瞬間に
rivederlo tu brami.君は 彼と 会うことを 切望しているのか。

EDUARDOエドゥアルド
Va, lo reca al mio sen: vanne, se m'ami.行きなさい、彼を 私の胸に 運びなさい: ここから 行きなさい もし 君が 私を 愛しているなら。
(Cristina si accosta alla parete di prospetto, fa un concertato segno, ed apresi una porta segreta, ch'essendo ricoperta dal parato è invisibile a tutti.)(クリスティーナは 正面の壁に 近付き、申し合わせた合図をする、すると秘密の扉が開く、それは 掛け布によって再び覆われると 皆の目に見えない)
Allegro
4/4
E major
SCENA NONA第9景
Gustavo, dall'accennata porta, condotto dalla sua governate. I precedenti.グスターヴォ、合図された扉から、彼の養育係の女たちによって 連れて来られて。前の景の人たち。
(Eduardo corre a lui, e lo colma di baci.)(エドゥワルドは 彼に 駆け付けて、そして 彼に キスを 大量に与える。)


CRISTINAクリスティーナ
In que' soavi sguardiあの甘美な眼差しに
quest'alma vedi impressa;この【私の】魂が 刻まれているのを 君は 見ている;
ecco l'immago istessaほら ここには 同じ姿が
di chi m'avvinse il cor.その者の私の心を 引き付けた者の【≒ あの面影は 私の心を 魅了した 人の 生き写しだ】

EDUARDOエドゥアルド
Compensa in parte almeno,埋め合わせなさい 少なくとも 一部分は、
o figlio, i nostri affanni;ああ 息子よ、私たちの苦悩を【≒ ああ 息子よ 君が 私たちの苦悩の いくらかの 埋め合わせになるように】
per te gli dei tiranni君には 暴虐な神々は
sospendono il rigor.手厳しさを 中断している。

CRISTINAクリスティーナ
I crudi miei sospiri私の酷い溜め息を
confondo a' suoi lamenti.私は 彼【= エドゥワルド】の呻き声【= 嘆き】に 混ぜ合わせている

EDUARDOエドゥアルド
(a Cristina)(クリスティーナに)
Raffrena il tuo dolor.君の苦悩を 抑えなさい。


CRISTINA ED EDUARUDOクリスティーナ と エドゥアルド
(Pietade, o Ciel, deh! senti(哀れみを、ああ 天よ! お願いだから! 感じなさい
d'un sventurato amor.)不幸な愛に。)
《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第7番 アデライデとオットーネの二重唱 から Allegro、Mi dai corona e vita, の更生。ただし、《ブルグントのアデライデ》ではホ長調→ホ短調/ト長調→ホ長調と転調するが、《エドゥワルドとクリスティーナ》ではホ長調のままで、ホ短調/ト長調の部分は臨時記号を用いて改めている。
この二重唱全体が、《ブルグントのアデライデ》 第7番の二重唱の更生。

o figlio, i nostri affanni;
2017年のヴィルトバートでの上演では
o figlio, i nostri danni;
ああ 息子よ、私たちの損害の;
と歌っている。

Maestoso
3/4
B major
EDUARDOエドゥアルド
A dispetto d'empio fato,逆運にもかかわらず、
sarò teco ognor, mia vita.私は 常に 君と一緒に いよう、私の命よ。

CRISTINAクリスティーナ
Dal mio sen, consorte amato,私の胸から、愛する配偶者よ
ogni speme è omai bandita.あらゆる希望は 今や 追いやられた。

CRISTINAクリスティーナ
Ah! che sempre la fortunaああ!何と 運命は いつまでも
fiera, avversa a noi sarà.残忍で、私たちに 敵対する 【↑】ことか。

EDUARUDOエドゥアルド
Ah! non sempre la fortunaああ! 運命は いつまでも
fiera, avversa a noi sarà.残忍で、 私たちに 敵対しないだろう。
《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第7番 アデライデとオットーネの二重唱 から Maestoso、Vieni al tempio, ah! vieni, o cara, の更生。

A dispetto d'empio fato,
この場合の empio は形容詞 逆運の、fato は名詞 逆運。empio fato で 逆運の逆運 と重複するので 逆運 にまとめた。

Allegro
4/4
E major
Tu che i puri e dolci affetti,君よ その者は けがれのない そして 甘い 情愛に、
santo Amor, nell'alme accendi,聖なる愛の神よ、魂の中の 火を点けている【≒ 私の魂の けがれのない そして 甘美な 情愛に、火を点けている 君よ 聖なる愛の神よ】
tu proteggi, tu difendi君は 保護しなさい、君は 守りなさい
(accennando il figlio.)(息子を 示して)
innocenza e fedeltà.純真と 誠実さを。
《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第7番 アデライデとオットーネの二重唱 から Allegro、Tu che i puri e casti affetti の更生。歌詞も多少変更されただけで概ねそのまま更生されている。

Recitativo



EDUARDOエドゥアルド
Amato figlio, oh quanto愛する息子よ、ああ なんと
questo momento il padre tuo bramava!この瞬間を 君の父は 切望したことか!
Or senti.今こそ 聞きなさい。
Al mal che ci sovrasta, altro riparo災難に それは 私たちに 差し迫っている、別の隠れ場所は
non v'è che d'involarci a queste mura...ない この壁々【≒ 部屋】に 姿を消す 他は。

CRISTINAクリスティーナ
Che mi proponi!君は 何を 私に 提案しているのだ!

EDUARDOエドゥアルド
L'unico a tanto mal rimedio estremo.それほどたくさんの災難への 唯一の 最後の対策だ。

CRISTINAクリスティーナ
Ah! che solo in pensarlo agghiaccio e tremo.ああ! たとえ そのことを 考えるだけでも 私は 凍り付き そして 震える。

ATLEIアトレイ
(avanzandosi)(進み出て)
Oh stelle! a questa voltaああ 星々よ! この時に
il corteggio real inoltra il passo...王の従者が 足を 差し向けている…
Forse il re... Dividetevi...ことによると 王が… 【(クリスティーナとエドゥワルドに)】立ち去りなさい…
(ritorna sull'ingresso, e subito retrocede.)(入口に戻る、そしてすぐに 退く)

EDUARDOエドゥアルド
Deh vanne.お願いだから ここから 行きなさい、
(alla governate che prende il fanciullo, ed entra nella porta segreta.)(養育係の女たちに その者たちは 子供を 捕まえて、そして 秘密の扉の中に 入る)
Il cela.彼を 隠しなさい。

CRISTINAクリスティーナ
Ahi sposo! ahi figlio!...ああ 夫よ! ああ 息子よ!

EDUARDOエドゥアルド
(a Cristina)(クリスティーナに)
Resta...留まりなさい…

ATLEIアトレイ
Vieni... Non più...来なさい… もう【時間が】ない…
(Eduardo va per entrare nella porta segreta, ma non è in tempo essendo i grandi quasi sull'ingresso. Atlei lo tira in disparte.)(エドゥワルドは 秘密の扉の中に入るために行く、しかし 間に合わない 高位高官たちが すんでに 【私室の】入口に いるので。アトレイは 彼を 離れて【≒ 離れた場所へと】 引っ張る。)

CRISTINAクリスティーナ
Fatal periglio!致命的な 危険だ!


SCENA DECIMA第10景
Cavalieri. I precedenti.騎士たち。前の景の人たち。
(nell'avanzarsi de' cavalieri, Eduardo ed Atlei, passando dietro a' medesimi, non veduti escono.)(騎士たちのどんどん近付いて来る時、エドゥワルドとアトレイは、同じ人たち【= 騎士たち】の後ろを通り過ぎて、見られずに 【私室の外に】出る)
N. 5
Coro

Coro
Moderato
6/8
B-flat major
CORO合唱
Vieni al tempio, o principessa;聖堂に来なさい、ああ 王女よ;
là t'invita il genitor.そこで 父親が 君を 呼び集めている。
Il momento già s'appressa瞬間は 既に 近付いている
sacro a Imene ed all'amor.イメーネ【≒ ヒュメン,ヒュメナイオス,結婚式の神】に聖なる【瞬間が】、そして 愛の神に【聖なる 瞬間が】
《ブルグントのアデライデ》 第1幕 第4番 合唱 Allegro、Viva Ottone, il grande, il forte, の更生。原曲のイロルドの独唱部分は合唱に取り込まれている。

Recitativo



SCENA UNDICESIMA第11景
Carlo, Giacomo. I precedenti.カルロ、ジャコモ。前の景の人たち。

CARLOカルロ
Al tempio, sì; non lice聖堂に、そうだ; 許されない
dello sposo, del padre,夫の、父の、
del popolo che attende人々の その者たちは 待っている
le brame differir... Che vedo!... Accolto熱望を 延期することは 【許されない】… 私は 何を 見ているのだ!…
tutto mostri nel volto,君は 顔に 【↑】集められた すべてを 見せている 、
misto al duol, lo spavento...苦悩の混じった、恐怖【の混じった】
Che fia?... Mi fai tremar.どうなるのだろうか?… 君は 私を 震えさせる。

CRISTINAクリスティーナ
(Fatal momento!)(宿命的な瞬間だ!)
(con voce tremula.)(震える声で)
Signor... credimi... solo貴君よ… 私を 信じなさい… ただ
cagion di giusto duolo正当な悲しみの理由 【↑】だけが
in cor mi sta... la madre...私の心に ある… 母が…
(dandosi anima.)(活力を 自分に 与えて【≒ 勇気を 奮い起こして】)
Or come vuoi今 どうして 君は 望むのか
ch'io pensi a regie nozze,私が 王に属する【≒ 王室の】結婚式について 考えることを、
mentre solo per leiただ 彼女【= 母】について だけ
mi favellano in sen gli affetti miei?私の情愛は 私の胸の中で 話している 【↑】のに?

CARLOカルロ
(Ben ti comprendo.) E il padre(私は よく 君を 理解している。)それでは 父は
sopra gli affetti tuoi君の情愛の上に
non ha possanza?権力を 持っていないのか?

CRISTINAクリスティーナ
(tremante)(震えて)
È vero...それは 真実だ…

CARLOカルロ
Quale ascondi mistero?... Errante il guardoどのような謎を 君は 隠しているのか?… 落ち着きなく 視線を
intorno giri... Invan t'infingi: io scorgo君は 周囲に 回している【≒ 君は そわそわした目つきで 辺りを 見まわしている】… 君は 無駄に 見せかけている【≒ 誤魔化そうとしても 無駄だ】: 私は 見分けている
alta disperazion su quel sembiante...その顔に 大きな絶望を…
Parla.話しなさい。

CRISTINAクリスティーナ
(Misera me.)(哀れな私よ。)

CARLOカルロ
Che! Non rispondi?何と! 君は 答えないのか?
Ebben, taci a tua voglia:それでは、君の欲求のゆえに 黙りなさい【≒ 黙っていたいのなら 黙っていなさい】
ma pensa ad obbedirmi.だが 私に 従うことを 考えなさい。

CRISTINAクリスティーナ
Al nuovo sol...新しい陽【≒ 明日】に…

CARLOカルロ
Non odo私は 聞かない
che il mio voler. Vieni.私の 意志の他には。来なさい。

CRISTINAクリスティーナ
(Che angustia, oh dio!)(何という 不安だ、ああ 神よ!)

CARLOカルロ
Al tempio.聖堂に。

CRISTINAクリスティーナ
Al tempio!聖堂に!

CARLOカルロ
(prendendola per mano)(彼女を 手によって 捕らえる【≒ 彼女の手を掴む】)
Sì.そうだ。

CRISTINAクリスティーナ
Deh padre mio!...ああ 私の父よ!…
N. 6
Scena ed Aria Carlo

Carlo

Cristina
Giacomo
Atlei
Coro
Scena

Agitato
4/4
(F major)
SCENA DODICESIMA第12景

Gustavo, nel sentire la voce di Cristina, esce dalla porta segreta e corre verso la madre, che sbigottisce, e cade quasi tramortita sul sofà. La governante, che lo ha seguito, vedendo il re fugge spaventata, senza che nessuno se ne accorga, per la porta comune.グスターヴォが、クリスティーナの声を聞いて、秘密の扉から出て そして 母親の方に 駆け付ける、その者【= クリスティーナ】は 唖然とし、そして ほどんど気絶して 長椅子の上に倒れる。養育係は、その者は 彼【= グスターヴォ】の 後を追った、王を見て びっくりして 急いで立ち去る、誰も 彼女に 気付くことなく、共通の扉を通って。)
I precedenti, poi Atlei.前の景の人たち、それから アトレイ。

CRISTINAクリスティーナ
(Stelle!)(星々よ!)

CARLOカルロ
Che miro!... Qual mai varco ignoto?私は 何を 見詰めているのだ!… いったい どのような 未知の通路が?
Questo bambin chi fia?...この子供は 誰なのだろうか?…
(Oh ciel! darsi potria!... Langue costei...)(ああ 天よ! 起こりうるというのか【≒ まさか】!)
Figlia, palesa, spiega娘よ、明らかにしなさい、説明しなさい
di quel fanciul...この子供について…

GIACONMOジャコモ
Favella.話しなさい。


ATLEIアトレイ
(Oh vista! oh affanno!)(ああ 【何という】光景だ! ああ 【何という】不安だ!)

(Cristina, nel massimo sbigottimento, non ardisce alzar gli occhi.)(クリスティーナは、非常に大きな恐怖で、思い切って 目を 上げない【≒ 目を 上げる 勇気がない】 )

CARLOカルロ
Sapere il vò.私は そのことを 知りたい。

GIACONMOジャコモ
Chi è mai?彼は いったい 誰なのか?

ATLEIアトレイ
(fingendo di voler fare la stessa interrogazione a Cristina, se le accosta e di nascosto le dice:)(クリスティーナに 同じ 説明要求を する ことを望む ふりをして、【彼女に】近付いて そして こっそりと 彼女に 言う:)
Non iscoprir lo sposo.夫を 公表するでない。

GIACONMOジャコモ
Ah! sì, tu il sai.ああ! そうだ、君は そのことを 知っている。

CARLOカルロ
Obbedisci... Ricusi?従いなさい… 君は 拒むのか?

CRISTINAクリスティーナ
(Morir mi sento!)(私は 私が 死ぬのを 感じている【≒ 私は 死にそうだ】!)

CARLOカルロ
E taci ancora?...それで 君は まだ 黙っているのか?…
(ad un uffiziale delle guardie.)(護衛兵たちの士官に)
Osmondo,オズモンドよ、
snuda quel ferro. (Al veroその剣を 鞘から抜きなさい。(真実のために
si squarci omai la benda)今こそ 目隠しを 引き裂こう)
e sul capo al fanciullo in alto penda.そして それ【= 剣】が 子供の 頭の上に 高く かぶさるように【≒ 剣を 子供の頭上に 振りかざしなさい】
(l'uffiziale eseguisce, afferrando per un braccio Gustavo.)(士官は 遂行する、グスターヴォを 手によって 掴んで【≒ グスターヴォの手を 掴んで】)

CRISTINAクリスティーナ
(si alza e va verso il bambino.)(立ち上がり そして 子供の方に 行く)
Fermati... Osmondo, vibra止めなさい… オズモンドよ、振り降ろしなさい
nel mio sen quella spada.私の胸に その剣を。

ATLEIアトレイ
(Oh ciel!)(ああ 天よ!)

CARLOカルロ
Perché?なぜだ?

CRISTINAクリスティーナ
D'ascondere il mio fallo私の過ちを 隠す
più non è tempo. In me tu vedi, o padre,時では もはや ない【≒ もう 私は 自分の過ちを 隠す ことはできない】。私に 君は 見ている
una perfida figlia: io son sua madre.不実な娘を: 私は 彼の 母親だ。

(sorpresa generale.)(全員の驚き)

CARLOカルロ
Qual fulmine improvviso何という 予期せぬ 雷撃が
piomba sul capo mio!...私の頭の上に 突然襲い掛かっていることか!…
Ascolto il vero?... Oimè!... sogno?... son desto?...私は 真実を 聞いているのか?… ああ! 夢か… 私は 目を覚ましているのか?
Oh me infelice!... È questoああ 不幸な私よ!… これが
dunque l'orrendo arcanoそれでは 身の毛もよだつ 秘密なのか
che racchiudevi in sen?それを 君は 胸の中に 閉じ込めた?

CRISTINAクリスティーナ
(precipitandosi a' piedi di Carlo)(カルロの足元に 身を投げて)
Ah!...ああ!…

CARLOカルロ
(respingendola)(彼女を 撥ね付けて)
Fuggi, indegna,急いで立ち去れ、恥ずべき女め、
orror mi fai... Ma d'un iniquo amore君は 私を 憎悪させる【≒ 私は 君に 強い嫌悪を感じている】
il complice dov'è? dove s'asconde?共謀者は どこに いるのか? 彼は どこに 隠れている?

GIACONMOジャコモ
Deh! lo palesa.どうか! それを 明らかにしなさい。

CRISTINAクリスティーナ
Ah! non mai. Se un'empia figliaああ! 決して【明らかにはし】ない。たとえ 邪悪な娘で 【↓】あった としても
io fui, non deggio almen私が、ともかくも 私は
esser empia consorte.邪悪な配偶者に なる つもりはない。

CARLOカルロ
Cangerai di favella in faccia a morte.君は 言語【≒ 言葉,発言】を 変えるだろう 死の前で。
シェーナを前に置いた急/緩/急の三部形式のアリア。
シェーナ。

Allegro
4/4
B-flat major
D'esempio all'alme infide,不実な魂の手本に、
perfida, or cadrai...不実な女よ、今や 君は 落ちるだろう…
(La rabbia mi divide(怒りが 分割する 私の
in mille brani il cor.)心を 千の小片に【≒ 怒りが 私の心を 引き千切る】。)
Solo in quell'empio sangue,ただ その 邪悪な血で のみ、
solo in mirarti esangueただ 君が 血を大量に失ったのを 見詰めることで のみ
estinguerò lo sdegno,私は 怒りを 消そう、
e placherò il furor.そして 激情を 和らげよう。

CRISTINAクリスティーナ
M'uccidi.私を 殺しなさい。

GIACONMOジャコモ
(Oh fier momento!)(ああ 残酷な瞬間だ!)

ATLEIアトレイ
(Tutto in quest'alma sento(この魂の中で すっかり 私は 感じている
quel duol, che ognor mi destiあの苦悩を、それは 常に 私に 引き起こしている
pura amistade, e fé.)純粋な友情を、そして 忠実を。)


CARLOカルロ
A sì crudel affanno,これほどに 残酷な 苦悩に
oh fier destin tiranno,ああ 残酷な 暴虐な運命よ、
perché serbar volestiなぜ お前は わざわざ残しておくことを 望んだのだ
un genitore, un re?父を、王を?

ATLEI, GIACOMO E COROアトレイ、ジャコモ と 合唱
(Il/Quel cor omai di pace/あの 心は 今や
capace più non è.)もはや 【↑】平安を 収容できない【≒ 今は あの心は もはや 平安を 持てない】。)

急。

《エルミーネ》 第1幕 第6番 アリア ピッロ、Allegro、Balena in man del figlio の更生。

この第6番のアリアのうち、両Allegro は《エルミーネ》のピッロのアリアの更生だが、中間の緩は異なる。

Andantino
4/4
D-flat major
CARLOカルロ
(All'eccesso della pena,苦悩の行き過ぎに
giusto ciel, io reggo appena!公正な天よ、私は かろうじて 持ち堪えている!
(gettandosi sul sofà.)(長椅子の上に 身を投げる)
No, che un padre sventuratoいいや、不幸な父親は
più di me non si può dar.)私よりも もっと いるはずがない。)
Carlo rimane alquanto pensieroso; poi, vedendo Cristina abbracciare il figlio e piangere con lui, mostra qualche tenerezza d'animo; ma, scuotendosi ad un tratto, si alza, dicendo:カルロは しばらく 考え込んだままでいる; それから、クリスティーナが息子を抱き締めて そして 彼と一緒に泣いているのを 見て、いくらかの 心の優しさを 見せる; しかし、彼は 突然 びくっとして、立ち上がり、そして 言って:
緩。

Allegro
4/4
B-flat major
Ah sgombrate da me bassi affettiああ お前たち【= 2行下の Ira, sdegno, furor, crudeltade, 怒り、憤慨、激情、残酷さ】は 私から 一掃している 取るに足らぬ情愛を
di clemenza e paterna pietade.慈悲の そして 父の哀れみの【情愛を】
Ira, sdegno, furor, crudeltade,怒りよ、憤慨よ、激情よ、残酷さよ、
tutti uniti vi bramo con me.私は お前たちが すべて 私と 結ばれることを 切望している【≒ 怒り、憤慨、激情、残酷さが 私と 一つになるがいい】
(alle guardie.)(護衛兵たちに)
L'avvincete di crude ritorte.彼女を 残酷な縄で 縛り付けなさい。
Morte a lei fia condegna mercé.死が 彼女に見合った報酬だろう。

ATLEI E GIACOMOアトレイ と ジャコモ
(Più non regge al suo barbaro affanno;(彼女は もはや 耐えていない 彼女の残酷な苦悩に:
per quell'alma più pace non v'è.)あの魂に もはや 平安は ない。)

CORO合唱
(Più consiglio, più freno non senteもはや 慎重さ【≒ 冷静さ】を、もはや抑制を 感じていない
l'ira ardente di padre e di re.)父の そして 王の 激しい怒りは。)
Carlo parte con Giacomo, i grandi lo seguono. Cristina, col fanciullo, va fra le guardie.)(カルロは 退場する ジャコモと共に、高位高官たちは 彼に ついて行く。クリスティーナは、子供と一緒に、行く、護衛兵たちの間で【≒ 護衛兵たちに囲まれて 退場する】)
急。

《エルミーネ》 第1幕 第6番 アリア ピッロ から Allegro、Non pavento: quest’alma ti sprezza: の更生。

Recitativo



SCENA TREDICESIMA第13景
Atlei.アトレイ。

ATLEIアトレイ
Tremendo caso!... Orribil dì!... Pur troppo物凄い状況だ!… 恐ろしい日だ!… けれども
fosti presago, o core,お前【= 心】は 予感していた、ああ 心よ、
di sì fatal dolore. Or non ti restaこれほどに 死に至らせる苦難を。今は お前には 残っていない
che pianto d'amistade.友愛の涙の他には【≒ 心は 友愛の涙を 流すしか できない 】
(in atto di partire.)(退場する最中に。)


SCENA QUATTRODICESIMA第14景
Giacomo, Atlei.ジャコモ、アトレイ。

GIACONMOジャコモ
Atlei, t'arresta.アトレイよ、待ちなさい。

ATLEIアトレイ
(inchinandosi.)(お辞儀をして。)
Signor...貴君よ…

GIACONMOジャコモ
Vedesti?... O ciel!君は 見たか?… ああ 天よ!

ATLEIアトレイ
Che dirti posso私が 君に 何を 言う ことができるだろうか
se non gemer con te?もし 君と 呻くのでなければ【≒ 君と 一緒に 嘆く 他に】

GIACONMOジャコモ
Ma chi poteaしかし 誰が できるのか
render Cristina rea?クリスティーナを 邪な女に?

ATLEIアトレイ
Chi? Amor ch'è sempre誰だって? 愛の神だ その者は 常に
cagion di mille affanni.千の苦悩の 原因だ。

GIACONMOジャコモ
Ma il seduttor?...だが 誘惑する者は?

ATLEIアトレイ
Chi sa? Forse respira誰が 知っているだろうか? ことによると 息をしている
lungi da questo suol.この地から 遠くで。

GIACONMOジャコモ
Come il supponi?...どうして 君は そのことを 推測するのか?…

ATLEIアトレイ
Io mel figuro... In questa reggia almeno私は そのことを 想像している… この王宮では 少なくとも
alma ardita cotantoあれほど大胆な魂を
ritrovar non saprei. Tutti a me noti私は 見付け【られ】ないのだろう。私には 全員 良く知られて
i grandi sono; esperienza è mecoいる 高位高官たちは; 経験が 私と共に ある【≒ 私には 実感がある】
e di ciascun la fede appieno io vedo.そして すべての人の 完全な誠実さを 私は 見ている。

GIACONMOジャコモ
Ma Cristina il dirà.だが クリスティーナは そのことを 言うだろう。

ATLEIアトレイ
Lo voglia il cielo.天が そのことを 望んでいる。

GIACONMOジャコモ
Misera! Il padre irato,哀れな女だ! 怒った父親は、
i suoi giudici aduna in quest'istante.この瞬間に 彼女の【≒ 彼女を 裁く】裁判官たちを 集めている。
E perirà tanta beltade?そして あれほどの美女が 死ぬのだろうか?

ATLEIアトレイ
Ah prence,ああ 王子よ、
segui i moti del core: prega e piangi心の動きに 従いなさい: 祈りなさい そして 泣きなさい
a pro dell'infelice;不幸な者のために;
deh la togli al rigor di cruda stella.どうか 彼女を 残酷な星の手厳しさから 取り除きなさい。
Degna è d'alma real pietà sì bella.そのように 美しい哀れみは 王【子】らしい魂に 相応しい。

GIACONMOジャコモ
Che non farei? Ma temo私が 何を しないであろうか?【≒ 私は 何でも しよう。】 だが 私は 恐れている
vana qualunque opra pietosa, e gemo.どんな 哀れみ深い厚意でも 無駄になることを、そして 私は 呻く。
(parte con Atlei.)(退場する アトレイと共に)
N. 7
Finale Ⅰ










Maestoso
2/4
c minor
SCENA QUINDICESIMA第15景
Ampia Sala.広々とした広間。
Carlo, grandi del regno, guardie.カルロ、王国の高位高官たち、護衛兵たち。
(il re è seduto a destra d'una tavola con recapito da scrivere; i grandi sono parimente seduti attorno alla stessa.)(王は 卓の右側に 座っている 【卓は】記入するための書類のある ; 高位高官たちは 等しく 同じもの【= 卓】の周りに 座っている)

CORO DI GRANDI高位高官たちの合唱
(A che, spietata sorte,(何に、無慈悲な運命よ、
ne riducesti mai!いったい 私たちを 変えたのだ!
Astro fatal di morte死の 宿命的な星が
sull'etra balenò.天空の上で ぴかっと光った。
Parea che lieti i rai喜ばしく 光線を
l'apportator del giorno日をもたらす者が
a noi vibrasse intorno...私たちの周りに 投げた 【↑↑】ように思われた…。
Ahi! speme c'ingannò.)ああ! 期待は 私たちを 裏切った。)
《リッチャルドとゾライデ》 第2幕 第15番 合唱、ゾライデの大シェーナ と 第2幕フィナーレ から 合唱 Maestoso、Qual giorno, ahimè! d'orror! の更生。

初演時の印刷台本ではここでの合唱は、CORO DI GRANDI 高位高官たちの合唱 ⇒ PARTE DEL CORO 合唱の一部 ⇒ ALTRE PARTE 別の一部 ⇒ TUTTI 全員 と4部分に分けられているが、ロッシーニはそれに従っていない。

con recapito da scrivere
この場合の recapito は 書類。判決書と思われる。

(Recitativo)

(Allegro)
4/4
(C major)
SCENA SEDICESIMA第16景
Cristina fra le guardie; Giacomo, dal lato opposto, rimanendo indietro. I precedenti.クリスティーナ 護衛兵の間に; ジャコモ 反対側から、後方に 留まって。

CARLOカルロ
T'avanza. Il re tu vedi進み出なさい。君は 王を 見ている
fra tuoi giudici, o donna. È tempo omai君の裁判官たちの間に、ああ 女よ。今こそ 時だ
che di tua colpa orrenda君の 身の毛もよだつ罪の
il complice sia noto.共謀者が 周知になる。
Invan restarsi ignoto無駄に 自らを 未知のままにする ことができるだろう
potria l'infame seduttor: il cielo,恥ずべき誘惑する者は【≒ 恥ずべき誘惑者が 身を隠し通そうとしても 無駄なことだ】: 天が、
punitor de' malvagi,悪者たちの 罰する者が、
la verità discopre.真実を 明らかにする。

CRISTINAクリスティーナ
Il ciel punisca天が 罰するように
una perfida figlia,不実な娘を、
non me ne lagno: morte私は それについて 嘆かない: 死は
è dovuta al mio fallo, e in suon tremendo,私の過ちのせいだ、そして 物凄い音の中で、
ministri delle leggi, ecco, l'attendo.法の行政官たちよ、ほら、私は それ【= 死】を 待っている。

Allegro moderato
4/4
C major
CORO DI GRANDI高位高官たちの合唱
Svela il reo.邪な男を 明らかにしなさい、

CRISTINAクリスティーナ
Ah! fulminateああ! 浴びせかけなさい
sul mio capo omai la pena;私の頭の上に 今こそ 刑罰を;
ma ch'io parli non sperate:しかし 私が 話すことを 期待するでない:
frena il labbro un fido amor.誠実な愛が 私の口を 抑制している。

CARLOカルロ
E tant'osi al mio cospetto?それで 君は それほど 【私に】 立ち向かうのか 私の面前で?
E ostinata ancor non cedi?そして なおも 強情に 屈しないのか?
Alma infida, invan tu credi不実な魂め、君は 無駄に 信じている
farti scudo a un traditor.裏切者の盾になることを【≒ 君が 裏切者を かばおうと 思っても 無駄ことだ】

CORO合唱
(Infelice!)(不幸な人だ!)

GIACONMOジャコモ
(Sventurata!(不幸な女だ!
Chi non geme al suo dolor?)誰が 彼女の苦悩に 呻かないのか【≒ 彼女の苦悩を 嘆かない者は いない】?)

CORO合唱
All'impero della legge法律の権限で
contrastar di più non dei.君は さらに 異論を唱えることができない。

CRISTINAクリスティーナ
Vi son noti i sensi miei.あなた方に 私の気持ちは 知られている。

CARLOカルロ
Ah! fra poco, scellerata,ああ! 間もなく、邪悪いな女よ、
men costanza avrà quel cor.その心は より少なく 意志の強固を 持つだろう【≒ すぐに 君の心も 強情で いられなくなるだろう】

GIACOM E COROジャコモ と 合唱
(Che insoffribile tormento!(何という 耐え難い苦悩だ!
Che momento di terror!)何という 恐ろしい瞬間だ!)


SCENA DICIASETTESIMA第16景
Eduardo, facendo forza ad Atlei, che vuole impedirgli il passo. I precedenti.エドゥワルド、アトレイに圧力をかけて、その者は 彼の歩みを 阻止することを 欲している【≒ エドゥワルドを押し留めようとしているアトレイを全力で押し除けて】。前の景の人たち。

EDUARDOエドゥアルド
Ah!... mi lascia... In me ravvisaああ!… 私を 放しなさい… 私に 認めなさい
della figlia il seduttor.娘の 誘惑する男を。

CORO合唱
(sorpresa generale.)(全員の驚き。)
Ah!ああ!
Ah! fulminate sul mio capo omai la pena;
この場合の fulminare は (罰や呪いを)浴びせかける

All'impero della legge
この場合の impero は 権限。potere や autorità と同義。

Andante
2/4
A-flat major
CRISTINAクリスティーナ
Oh dio!...ああ 神よ!…

CARLOカルロ
Fia ver?...それは 本当だろうか?

CRISTINAクリスティーナ
Tu stesso...君自身が…

CARLOカルロ
Ei stesso...彼自身が…

ATLEIアトレイ
(Oimè!)(ああ!)

EDUARDOエドゥアルド
(al re)(王に)
Signor...貴君よ…

CRISTINA, CARLO, GIACOMO E ATLEIクリスティーナ、カルロ、ジャコモ と アトレイ
(Oh ciel!)(ああ 天よ!)


CRISTINA ED EDUARUDOクリスティーナ と エドゥアルド
(Fatal momento!)(致命的な瞬間だ!)

GIACONMOジャコモ
(Oh eccesso!(ああ 行き過ぎたこと【≒ 見境のない行為】だ!
Oh istante il più crudel!)ああ 最も残酷な瞬間だ!)

CRISTINA, CARLO, GIACOMO E ATLEクリスティーナ、カルロ、ジャコモ と アトレイ
(Che fiero stato è il mio!(私の【状況】は なんと 残酷な状況だ!
Che far, che dir non so...何をする【べき】か、何を 言う【べき】か 私は 分からない…
Sì crudo affanno, oh dio!これほどに 厳しい苦悩を、ああ 神よ!
come soffrir si può?)どのように 耐えることが できるのだろうか?
《エルミオーネ》 第7番 第1幕フィナーレ から Andantino、(Sperar... poss'io!)の更生。

Allegro
4/4
F major
CARLOカルロ
Vil vassallo!邪悪な臣下め!

EDUARDOエドゥアルド
Morte io chiedo.私は 死を 求めている。
Salva il figlio, lei che adoro,息子の 命を助けなさい、彼女の【命を助けなさい】 その者たちを 私は 熱愛している、
ed appien contento io moro;そうすれば 私は すっかり 満足して 死ぬ;
altra brama il cor non ha.私の心は 他の切望を 持っていない。

CARLOカルロ
No, fellon! per te fian pocoいいや、裏切り者め! 君には 不十分だろう
il supplizio, l'ora estrema.責め苦【≒ 死刑】は、最後の時【≒ 死】は。
Olà!そら!
(parte una guardia.)(護衛兵が 退場する)
Il figlio... indegno, trema,息子を 【連れて来なさい】… 恥ずべき男よ、震えなさい、
colla madre perirà.彼は 母親と一緒に 死ぬだろう。


SCENA DICIOTTESIMA第18景
Gustavo, condotto dalla suddetta guardia. I precedenti.グスターヴォ、前述の護衛兵に案内されて。前の景の人たち。


EDUARDOエドゥアルド
(accorrendo)(駆け付けて)
Stelle!星々よ!

CRISTINAクリスティーナ
Il figlio!息子よ!

CARLOカルロ
Sian divisi.彼らが 引き離されるように。
(le guardie eseguiscono.)(護衛兵たちは 遂行する)

CRISTINA, EDUARDO, GIACOMO, ATLEI E COROクリスティーナ、エドゥワルド、ジャコモ、アトレイ と 合唱
Deh! pietade...どうか! 哀れみを…

CARLOカルロ
Non ascolto.私は 耳を貸さない。
Quel furor ch'ho in sen raccoltoあの怒りを それを 私は 胸の中に 集めた
chi frenar in me potrà?誰が 私の中で 抑える ことができるだろうか?

GIACOMO, ATLEI E COROジャコモ、アトレイ と 合唱
(Quel furor che ha in sen raccolto(あの怒りを それを 彼は 胸の中に 集めた
chi frenar omai potrà?)誰が 今 抑える ことができるだろうか?)
Allegro
4/4
C major
CRISTINA ED EDUARUDOクリスティーナ と エドゥアルド
(accennando il fanciullo che piange.)(子供を 示して その者は 泣いている。)
Signor, deh! moviti貴君よ、どうか! 心を動かしなさい
al suo tormento;【= グスターヴォ】の苦悩に;
età sì teneraこれほどに幼い年齢は
merta pietà.哀れみに 値する。

CARLOカルロ
Sgombrate, o perfidi:遠ざかりなさい、ああ 不実な者どもよ:
pietà non sento.私は 哀れみを 感じていない。
Mi deste esempio君たちは 私に 与えた 見本を
di crudeltà.残酷さの。

CRISTINAクリスティーナ と エドゥアルド
Ah! pria di perderti,ああ! 君を失う前に、
o figlio amato,ああ 愛する息子よ、
tua madre esanime君の母が 死んで
cader dovrà.倒れ なくてはならないだろう。

EDUARUDOクリスティーナ と エドゥアルド
Ah! pria di perderti,ああ! 君を失う前に、
o figlio amato,ああ 愛する息子よ、
tuo padre esanime君の父が 死んで
cader dovrà.倒れ なくてはならないだろう。

(facendo forza alle guardie.)(護衛兵たちに 圧力をかけながら【≒ 立ち向かいながら】。)

GIACOMO, ATLEI E COROジャコモ、アトレイ と 合唱
(Tremenda folgore恐ろしい雷電を
l'ira del fato宿命の怒りが
sopra que' miseriこれらの 哀れな者たちの上に
scagliando va.)投げつけて 来ている。)

CRISTINA, EDUARUDO, CARLO, GIACOMO, ATLEI E COROクリスティーナ、エドゥワルド、カルロ、ジャコモ、アトレイ と 合唱
(Come resitere(どうやって 耐える
può il cor straziato?ことができるのか 酷く苦しめられた心は?
Oh inesorabileああ 情け容赦しない
avversità!)逆境だ!)
(Le guardie strascinano a forza Eduardo verso l'ingresso, e dalla parte opposta conducono Cristina. Gustavo, preso in braccio dalla guardia che lo ha condotto, si divincola per andare verso i genitori, i quali inutilmente si sforzano per giungere al figlio. In fine tutti tre son condotti altrove. Carlo parte seguito dagli altri.)護衛兵たちは エドゥワルドを 力づくで 入口の方に 引きずって行く そして 彼らは 向かい側から クリスティーナを 連れて行く。グスターヴォは、護衛兵の腕の中に 抱えられている その者は 彼を 連れて行った、両親の方に行こうと もがいている、その者たちは 息子に 達するために 無益に 精いっぱい努力している。最終的には 3人すべてが 別なところに 連れて行かれる。カルロは 退場する 他の者たちに ついて来られて。)
《エルミオーネ》 第7番 第1幕フィナーレ から Allegro、Pirro, deh serba mi の更生。

Sgombrate, o perfidi:
sgombrare は他動詞 片付ける,遠ざかる だが、ここでは自動詞 遠ざかる で用いられているようだ。

ATTO SECONDO
N. 8
Coro d'Introduzione

Coro
Moderato
3/4
d minor
SCENA PRIMA第1景
Sala come nell'atto primo.広間 第2幕と同様の。
Cortigiani in aspetto mesto.廷臣たち 悲しげな様子で。

CORO合唱
Giorno terribile恐ろしい日だ
di duol, d'affanno,悲しみの【日だ】、苦悩の【日だ】
d'amare lagrime!苦い涙の【日だ】
Giorno d'orror!恐怖の日だ!
Sempre de' miseri常に 不幸な者たちの
congiuri a danno,打撃に お前は 陰謀を企てる【≒ お前は いつだって 不幸な者たちに 打撃を与えようと 企んでいる】
destin crudel!残忍な運命め!
Godi: si svenano心から喜べ: 出血多量で死ぬのだc、
due care vittime,二人の いとしい 犠牲者が、
beltà, valor.美しさが、勇敢さが。
Chi mai può reggere決して 耐える ことができない 人は
a duol sì barbaroこれほどに残酷な 悲しみを
non vanta un'anima魂を 誇らないい
dono del ciel.天の授かり物を。
A-B-A'の三部形式の合唱。

この曲はロッシーニが書いたものではないかもしれない。

non vanta un'anima / dono del ciel.
意味としては
魂が 天からの授かり物だと 誇らない。
のように思われるが、文法の裏付けができなかったので、並列的に訳した。
なお独訳、英訳はどちらもかなり誤魔化して訳している。

Recitativo



SCENA SECONDA第2景
Atlei. I precedenti.アトレイ。 前の景の人たち。

ATLEIアトレイ
(Il comun duolo, in ogni volto espresso,(共通の【≒ 皆の】苦悩が、【それは】どの顔にも 表わされている、
Amico sventurato!不幸な友よ!
mi palesa il tuo fato.) Dunque il prode君の宿命を 私に 明らかにしている。) それでは 勇敢な
difensor della patria,祖国の防衛者は、
una real donzella【家】の若い娘は
preda di morte?... Oh dio!...死の餌食に?… ああ 神よ!…
A tanto annunzio regger mai poss'io!これほどたくさんの【≒ これほどに酷い】告知を 私は 決して 耐えられない!
N. 9
CORO

Coro
Maestoso
4/4
D major
CORO合唱
Impera severa厳正に 支配している
la legge possente,力強い法律は、
nè sente pietà.それは 哀れみを 感じない。
i cortigiani partono.廷臣たちは 退場する。
単一形式の合唱。

この曲はロッシーニが書いたものではないかもしれない。

Recitativo







SCENA Ⅲ第3景
Atlei.アトレイ。

ATLEIアトレイ
Dunque spenta ogni speme?...それでは あらゆる希望は 消滅したのか?…
Ah! no, che se non bastaああ! いいや、もし 十分でないならば
a risvegliar l'altrui pietade quanto他の人の哀れみを 呼び起こすのに
puote in alma gentile amistà vera,真の友情が 高貴な魂に できる 【↑】ほどには【≒ もし 真の友情が 優しい心に 哀れみを 呼び起こす ほどには そうではない人の哀れみを 呼び起こすことが できないのであれば】
altro mezzo si tenti, e poi si pera.別の手段を 試みよう、そして それから 死のう。
(parte.)(退場する。)


SCENA Ⅳ第4景
Carlo, Giacomo, guardie.カルロ、ジャコモ、護衛兵たち。

CARLOカルロ
Non più. L'onor del tronoもう よい。玉座の名誉は
vendicato sarà. Favola al mondo仕返しをするだろう。世間の笑い種に
un perfido vassallo, un'empia figlia裏切りの臣下は、邪悪な娘は
fecer di me. Tutte le mie speranze私を した。すべての 私の希望を
se perdei, sventurato, almen vogl'io私が 失った以上は、不幸な男【= カルロ】よ、少なくとも 私は 望む
vendicar col mio sangue il sangue mio.私の血で 私の血【筋】の 復讐をすることを。

GIACONMOジャコモ
Dunque...それでは…

CARLOカルロ
La coppia rea邪な一対は
perir dovrà.死ななくてはならないだろう。

GIACONMOジャコモ
M'ascolta.【の言うこと】を 聞きなさい。
Se ad intera pietadeもし 全面的な哀れみに
piegar te non poss'io, la figlia almeno私が 君を 説得する ことができない 【↑】ならば、せめて 娘を
da sì crudele scempio...これほどに残酷な 虐殺【≒ 処刑】から…

CARLOカルロ
No; d'ingiustizia allor darei l'esempio.いいや; 私は 彼女に 不正の見せしめを 与えたい。

GIACONMOジャコモ
Ti rammenta, signor, che a me promessa思い出しなさい、貴君よ、私に 約束
fu da te la sua mano;された 【↑】ことを 君によって 彼女の【右】手は;
or la reclamo a te. Vedova e madre,今こそ 私は 彼女を 君に 要求する。未亡人が そして 母親が、
esser mi può consorte私にとって 配偶者に なり得る
chi nol potè donzella. Ah! del tuo sangueその者 【≒ 配偶者】に 若い娘は 【なり】 得なかった 【≒ 若い娘が 私の妻に なる ことは できないが、未亡人かつ母親が 私の妻になることは できる】。ああ! 君の血の
l'unico avanzo in lei,唯一の 残りを 彼女に、
sire, conserva, e appaga i voti miei.陛下よ、残しなさい、そして 私の願いを 叶えなさい。

CARLOカルロ
Tanto può tua virtude!...君の徳は 非常に 力を有している!…
Vieni, stringimi al seno. A me la figlia.来なさい、私の胸を 抱き締めなさい。【(護衛兵たちに)】私のところに 娘を。

(partono alcune guardie.)(何人かの護衛兵たちが 退場する。)

Tu mi rendi la vita君は 私に 命を 元に戻している
colla pace del cor, ch'era smarrita.心の平安と共に、それは 見失われた。
Ardito di proporti io non avrei私は 思い切って 君に 申し出る ことは なかったろうに
quanto proponi a me. Sappia l'ingrata君が 私に 申し出たことを。忘恩の女が 知るように
da te qual alma nutri generosa.君が 自ら どのような 寛容な魂を 胸に育んでいるか。

GIACONMOジャコモ
No, tanto il labbro mio, signor, non osa.いいや、私の口は、陛下よ、それほど 思い切ってしない【≒ 私の口から それほどのことは 言えない】
Per me le parli il padre.私の代わりに 父親が 彼女に 言うように。
Deh! tu pensa frattantoお願いだから! そうしている間に 君は 考えなさい
a mitigarle il grave duolo e il pianto.彼女の 深刻な苦悩を そして 涙を 鎮めることを。
che se non basta / a risvegliar l'altrui pietade quanto / puote risvegliar amistà vera in un'alma gentile,
= se amistà vera non basta a risvegliar l'altrui pietade quanto (amistà vera) puote risvegliar pietade in un'alma gentile,
この節は non tanto... quanto -(英語の not as... as -) の構文と同様に ―ほど…でない の意味。
che se... もし…ならば を用いる場合には動詞は接続法を用いるのが原則だが、ここでは直接法現在を用いている。

da te qual alma nutri generosa.
ここでの da + 人称代名詞補語 は 自身で,自ら。

N. 10
Aria Giacomo

Giacomo
Andante mosso
4/4
F marjo
GIACONMOジャコモ
Questa man la toglie a morte,この手が 彼女から 死を 取り去り、
questa man le rende un figlio;この手が 彼女に 息子を 返す;
ma non salva il suo consorte,しかし それは 彼女の配偶者を 救わない、
tempra solo il suo dolor.ただ それは 彼の悲しみを 和らげる だけだ。
Se recarle non poss'ioもし 私が 彼女に もたらす ことができない ならば
quel conforto che vorrei,私が 慰めを それを 私が 望む、
non ardisce il labbro mio私の口は 思い切って
dirle i voti del mio cor.私の心の願いを 彼女に 言いは 【↑】しない。
(parte.)(退場。)
台本の原作であるステーファノ・パヴェージの《オドゥワルドとクリスティーナ》のジャコモのアリアをそのまま更生。
Recitativo



SCENA Ⅴ第5景
Carlo, guardie.カルロ、護衛兵たち

CARLOカルロ
Oh giusto ciel! respiroああ 公正な天よ! 私は 息をついている【≒ ほっとしている】
quando meno il credea.私は そのことを より少なく 信じていた のに【≒ 娘の命を救うことを あまり 考えていなかったのだが】
Principe generoso!... Ecco la rea.寛大な王子よ!… そら 邪な女が。


SCENA Ⅵ第6景
Cristina fra le guardie. Carlo.クリスティーナ 護衛兵たちの間に。カルロ。

Cristina
(Oimè! vieppiù quel volto a me palesa(ああ! あの顔は ますます 私に 明らかにしている
l'ira del cor.)心の怒りを。)

CARLOカルロ
T'inoltra.進みなさい。

CRISTINAクリスティーナ
Padre...父よ…

CARLOカルロ
Non proseguir... nome sì sacroつづけるでない… それほどに 神聖な名は
mal ti convien.君に 拙く 似合っている【≒ そのような神聖な名を 君が口にするのは 許されない】

Cristina
(Misera me!)(哀れな私よ!)

CARLOカルロ
Già sai既に 君は 知っている
qual destino t'aspetta.どのような運命が 君を 待っているかを。

CRISTINAクリスティーナ
La morte. A me l'affretta.死が。それを 急いでしなさい。
Ma il figlio, ma lo sposo...しかし 息子は、しかし 夫は…

CARLOカルロ
Quest'abborrito nomeその 憎悪された名前が
più non t'esca dal labbro. Odimi: pende二度と 君の口から 出ないように。私【の言うこと】を聞きなさい: 掛かっている
da un sol mio cenno la tua vita e quella私のたった一つの指示に 君の命は そして それ【= 命】
del tuo Gustavo.君のグスターヴォの。

CRISTINAクリスティーナ
Di mio figlio!... Ah! parla.私の息子の!… ああ! 話しなさい。

CARLOカルロ
Fian brevi i detti miei. Brami salvarti?私の言葉は 間もなくだろう。君は 君を 守ることを 切望するのか?
Brami salvarlo?君は 彼を 守ることを 切望するのか?

CRISTINAクリスティーナ
Ah! non per me: pel figlioああ! 私にではなく: 息子のために
vita ti chiedo, e per...私は 君に 命を 求める、そして…
quando meno il credea.
credea = credevo。オペラの歌詞ではおなじみ。

N. 11
Scena e Duetto

Cristina
Carlo
Coro
Scena


4/4
(E major)
CARLOカルロ
Non più... quel mostro,もう たくさんだ… あの怪物は、
quel suddito rubello avrà la morte.あの 不従順な臣下は 死を 受け取るだろう。
A te la stessa pena,君に 同じ刑罰を
traditrice del tuo real onore,【家】の名誉の 裏切者の女よ、
a ragion riserbava il genitore.父は 裁きに 保存している【≒ 同様に 死刑を 言い渡す 用意がある】
Ma un alma grande... chi potea pensarlo?だが 偉大な魂は… 誰が そのことを 考えられた だろうか?
renderà, se lo vuoi, se di rimorsi【偉大な魂は】 返すだろう、もし それを 君が 望み、もし 後悔を
il tuo core è capace,君の心が 可能 【↑】である ならば、
a te l'onore, e al genitor la pace.君に 名誉を【返すだろう】、そして 父に 平安を【返すだろう】

CRISTINAクリスティーナ
Chi potria tanto oprar?誰が それほど ふるまう ことができるであろうか?

CARLOカルロ
Di Scozia il prence.スコットランドの王子が。

CRISTINAクリスティーナ
Ed in qual modo?それで どのような やり方で?

CARLOカルロ
Oggi consorte a lui...今日 彼の 配偶者に…

CRISTINAクリスティーナ
(con impeto)(激情を持って【≒ 猛然と】)
Ah! d'Eduardo io son...ああ! 私は エドゥワルドのものだ…

CARLOカルロ
Obblia costui.その男は 忘れなさい。

a ragion riserbava il genitore.
この場合の ragione は 審判,裁き と思われる。

Allegro moderato
4/4
A major
CRISTINAクリスティーナ
Ahi qual orror!... oh stelle!ああ 何という恐怖だ!… ああ 星々よ!
Mi si divide il core...私の心は 分裂している【≒ 引き裂かれている】
Ah! troppo, o genitore,ああ! あまりに多い量が、ああ 父よ、
troppo si vuol da me.あまりに多い量が 私から 望まれている【≒ 私への要求は 過大だ】

CARLOカルロ
Che re son io rammenta;私が 王であることを 思い出しなさい;
pensa all'onor del soglio.玉座の名誉について 考えなさい。
Tempo non è d'orgoglio:【今は】 慢心する時ではない:
cerca ottener mercé.慈悲を 受けようと 努力しなさい。

CRISTINAクリスティーナ
Cielo...天よ!

CARLOカルロ
Irritar nol dei.君は それ【= 天 cielo】を いらいらさせては いけない。

CRISTINAクリスティーナ
Pietà!哀れみを!

CARLOカルロ
Non ode i rei.それは 邪な者たちを 聞かない【≒ 天は 邪な者どもの 言うことを 聞きはしない】

CRISTINAクリスティーナ
Più barbaro tormentoさらに残酷な 苦悩を
chi mai potria provar?いったい 誰が 体験する ことができるというのだろうか?

CARLOカルロ
Pensa che in un momento考えなさい 一瞬で
può il fato tuo cangiar.私が 君の運命を 変えられる 【↑】ことを。
《エルミオーネ》 第1幕 第3番 二重唱 [エルミオーネ―ピッロ] から Allegro、Non proseguir! comprendo, の更生。

Andantino
2/4
C major
CRISTINAクリスティーナ
(Appaga, avversa sorte,(満足させなさい、敵意のある運命よ、
il tuo rigor appieno.お前の手厳しさを 完全に。
Squarciami, o morte, il seno;引き裂きなさい、ああ 死よ、私の胸を;
dà fine al mio dolor.)私の苦悩に 終わりを 与えなさい。)

CARLOカルロ
(Sfogasti, avversa sorte,(漏らしなさい【≒ ぶちまけなさい】、敵意のある運命よ、
il tuo rigor appieno.お前の手厳しさを 完全に。
Fa' che di calma in senoしなさい 胸の中に 落ち着きいて
io torni a respirar.)私が 再び 息をし始める 【↑】ように。)
《エルミオーネ》 第1幕 第3番 二重唱 [エルミオーネ―ピッロ] から Andantino、(Ah! m'odia già l'ingrato! の更生。

Allegro vivace
4/4
f-sharp minor
SCENA Ⅶ第7景
Cortigiani. I precedenti.廷臣たち。前の景の人たち。

CORO合唱
Signor, di Scozia il prence貴君よ、スコットランドの王子が
il suo destino attende.彼の運命を 待っている。

CARLOカルロ
Udisti!君は 聞いたな!

CRISTINAクリスティーナ
Udii.私は 聞いた。

CORO合唱
Dipende【↓】君 次第だ
da te il salvarti, o misera.免れるのは、ああ 哀れな女よ。
Deh! cedi al genitor.お願いだから! 父親に 屈しなさい。

CARLOカルロ
Per te, lo vedi, ogni anima君のために、君は そのことを 見ている、どの魂も
s'ingombra di terror.恐怖に 占められている。

CRISTINAクリスティーナ
(Oh come il cor mi palpita(ああ 何と 私の心臓は どきどきしていることか
di coniugale amor!)夫婦の愛で!

CARLOカルロ
Sei risoluta?君は 決心したか?

CRISTINAクリスティーナ
Il sono:私は それである:
chiedo la morte in dono;私は 死を 求める 授かり物に【≒ 私は 死を 私に 与えるように 求める】
ti vendica, signor.君の 恨みを晴らしなさい、貴君よ。

CARLOカルロ
Se sprezzi il mio perdono,もし 私の赦免を 君が 軽蔑するのならば、
ben merti il mio fuor.君は 私の怒りに 十分 値する。

(al cenno di Carlo, le guardie si avanzano.)(カルロの指示で、護衛兵たちが 近付いて来る。)

CRISTINA E CARLOクリスティーナ と カルロ
(Più lacerata un'alma【↓】もっと さらに 引き裂かれた魂が
dove si vide ancor!)どこで 見られるというのだ!)

CORO合唱
(Di quante rie vicende(どれだけの悪質なできごとの
tu sei cagione, Amor.)お前は 原因であることか、愛の神よ。)
《エルミオーネ》 第1幕 第3番 二重唱 [エルミオーネ―ピッロ] から Allegro vivace、Sul lido di Agamennone
Allegro vivace
4/4
A major
CRISTINAクリスティーナ
Sol morte a me dia calma,死だけが 私に 平静を 与えるように、
mi tolga a tanto orror.私から これほどたくさんの恐怖を 取り去るように。

CARLOカルロ
Fuggì la dolce calma穏やかな平静が 過ぎ去った
m'uccide il mio dolor.私の苦悩は 私を 殺している。

CRISTINA E CARLOクリスティーナ と カルロ
(A pena così barbara(これほどに残酷な 刑罰に
no, più non puoi resistereいいや、お前は もはや 耐える ことはできない
mio disperato cor.)私の 絶望した心は。)

CORO合唱
(Di quante rie vicende(どれだけの悪質なできごとの
tu sei cagione, Amor.)お前は 原因であることか、愛の神よ。)

Carlo parte furibondo, seguito dai cortigiani; Cristina, nell'estrema desolazione, circondata dalle guardie, va dalla parte opposta.カルロは 退場する 怒り狂って、廷臣たちに ついて来られて; クリスティーナは、甚だしい悲嘆の中で、護衛兵たちに囲まれて、行く 反対側から。
《エルミオーネ》 第1幕 第3番 二重唱 [エルミオーネ―ピッロ] から (Allegro vivace)、Perché, soave calma, の更生。

Recitativo



SCENA Ⅷ第8景
Giacomo.ジャコモ。

GIACONMOジャコモ
Al carcer suo sen torna彼女の牢獄に 戻っている
Cristina sventurata. in preda all'ira不幸なクリスティーナは。怒りの犠牲に
il re sen va... Questo, purtroppo! è il segno王は 行ってしまっている【≒ 王は 怒りに 取りつかれてしまっている】…これは、残念ながら!、兆しだ
ch'ella sdegna ogni offerta, e uscir di vita彼女が あらゆる申し出を 退けて、そして 命を 失せる【≒ 死ぬ】ことを
brama allo sposo unita.切望している 夫と一緒に。
Oh mie lusinghe vane, oh inutil cura!ああ 私の 虚しい 甘い期待よ、ああ 役に立たない気遣いよ!
Miseri affetti miei!私の 哀れな情愛よ!
E vederla potrei sul palco infameそれで 私は 見る ことができるであろうか 悪名の高い台【≒ 死刑台】の上で
l'alma esalar?... Oh immagine d'orrore!彼女が 魂を 発散する【≒ 息を引き取る】のを?… ああ 恐怖の像だ!
Deh! tu, pietoso cielo,お願いだから! お前は、慈悲深い天よ、
a pro dell'infelice apri una via...不幸な者のために 道を 開きなさい…


SCENA Ⅸ第9景
Carlo frettoloso, Giacomo.カルロ 慌ただしく、ジャコモ

CARLOカルロ
Oh giorno! oh infausto giorno! oh sorte ria!ああ 【何という】 日だ! 死をもたらす日だ! ああ 悪質な運命だ!


GIACONMOジャコモ
Dunque la principessa...それでは 王女は…


SCENA Ⅹ第10景
Atlei, i precedenti.アトレイ、前の景の人たち。

ATLEIアトレイ
Oh mio signor,ああ 私の貴君よ、
de' perfidi l'ardire悪意のある者たちの厚かましさは
giunse tant'oltre, che, dov'ha confineたいへんに もっと向こうへ 届いたので 、境界を 持つ ところで
col porto la città, s'impossessaro町が 港と、彼らは 占拠した
delle guardate mura.警備された城壁を【≒ ならず者たちの 厚かましさは あまりにも常軌を逸しており、町と港の境になっている 警備された城壁を 彼らは 陥落させた】
Ah! ripara, signor, tanta sventura.ああ! 取り除きなさい、貴君よ、これほどの不幸を。

CARLOカルロ
(a Giacomo)(ジャコモに)
Amico, a te m'affido,友よ、私は 君を 信頼する【≒ 君が 頼りだ】
anima tu le schiere, corri, vola...君が 部隊【≒ 軍隊】に 活気を与えなさい、走りなさい、飛ぶように速く走りなさい…

GIACONMOジャコモ
Vado...私は 行く…

CARLOカルロ
Punisci i rei;邪悪な人たちを 罰しなさい;
vendica, prence amato, i torti miei.仇を討ちなさい、愛する王子よ、私の過ちの。
(partono.)(退場する)


SCENA ⅩⅠ第11景
Atlei.アトレイ

ATLEIアトレイ
Che risolvo? che fo?... Mi schiude il cielo私は 何を 決心するのか? 私は 何を するのか?… 天が 私に 開いている
opportuno un sentiero好都合なことに 道を
per salvar colla sposa anche Eduardo...救出するために 妻と共に エドゥワルドもまた…
Vadasi: saria colpa ogni ritardo.行こう: どんな遅延も 過ちだ。
(parte.)(退場する)
de' perfidi l'ardire / giunse tant'oltre, che, dov'ha confine / col porto la città, s'impossessaro / delle guardate mura.
tanto... che - の構文。
giunse tant'oltre 同じく oltre を用いた andare troppo oltre で 行き過ぎる,常軌を逸する の意味があり、ここでも同様と思われる。

Ah! ripara, signor, tanta sventura.
この場合の riparare は (不幸や災いを)取り除く。

N. 12
Coro, Scena e Rondò Eduardo

Eduardo



Coro
Maestoso
4/4
E-flat major
SCENA ⅩⅡ第12景
Atrio contiguo alle carceri dov'é rinchiuso Eduardo.玄関広間 牢獄に隣接した そこに エドゥワルドが 閉じ込められている。
Alcuni amici d'Eduardo rivolti verso la sua prigione.何人かの エドゥワルドの友人たち 彼の監獄に 身体を向けて。

CORO合唱
Nel misero tuo stato,君の 哀れな状況に
lagrime di dolore,悲しみの涙を、
sospiri di pietà,哀れみの溜め息を、
amico sventurato!不幸な友よ!
Qual ciglio mai, qual cor frenar potrà?いったい どんな眼が、どんな心が 抑える ことができるだろうか?
Miratelo... oh terror!彼を 見詰めなさい… ああ 恐怖だ!
Del suo tremendo fato彼の 恐ろしい運命の
ad ascoltar sen va tutto il rigor.手厳しさを 彼は 聞きに 行ってしまっている。
Amico!友よ!
(approssimandosi a lui.)(彼に 近付いて。)

4/4
(E-flat major)
SCENA ⅩⅢ第13景
Eduardo fra le guardie, traversando l'atrio.エドゥワルド 護衛兵たちの間に、玄関広間を横切って
I precedenti.前の景の人たち。

EDUARDOエドゥアルド
(fermandosi)立ち止まって
Ah chi sa dirmiああ 誰が 言う ことができるのか
se la sposa, se il figlio妻を、息子を
rispettò della morte il fero artiglio?死の 残忍な かぎ爪が 尊重している【≒ 大事にする】 【↑】かどうか【≒ 妻と息子が 死の手から 逃れているかどうか】

CORO合唱
Sì, respirano entrambi aure di vita.そうだ 【そう言うことができる】、二人とも 命の呼気を 呼吸している【≒ 生きている】

EDUARDOエドゥアルド
E fia vero!... Oh contento!...それで それは 真実なのだろうか!… ああ 満足【≒ 喜び軍隊】だ!…
Credervi poss'io?私は 君たちを 信じて よいのか?

CORO合唱
Sì, ti rassicura.そうだ 【信じてよい】、安心しなさい。

EDUARDOエドゥアルド
Oh ciel, prendine cura,ああ 天よ、彼らの面倒を 見なさい、
salvali, o Ciel. Sul capo mio soltanto彼らを 救出しなさい、ああ 天よ。私の頭の上 だけに
vibra i fulmini tuoi. Con più coraggioお前の雷を 投げなさい。もっと大きい勇気で
il decreto di morte a udir men vado.死の通達を 聞きに 私は 行く。
Teneri amici, appiè del soglio andate.優しい友たちよ、玉座の足元に 行きなさい。
Per la sposa implorate,妻のために 懇願しなさい、
e per Gustavo innocenteそして 無邪気なグスターヴォのために 【懇願しなさい】
del mio re la pietà. Sol questo chiede私の王の 哀れみを。それだけを 頼んでいる
quell'Eduardo che serbogli il trono;あのエドゥワルドが その者は 彼の玉座を 守った;
la mia morte gli basti, e pago io sono.私の死が 彼に 十分であるように、そうすれば 私は 満足だ。
Oh ciel, prendine cura,
ne = di loro。prendere cura di - で ―の世話をする,面倒を見る

serbogli
serbò + gli。serbare は元々 貯蔵する,取っておく の意味だが、オペラの台本ではしばしば 守る の意味でも用いられる。

Andante
2/4
G major
La pietà che in sen serbate哀れみが それを 君たちは 胸の中に 持ち続けている
or vi guidi al mio signor;【哀れみが】 今こそ 君たちを 私の殿様に 案内するように;
deh! correte, ed implorateお願いだから! 駆け付けなさい、そして 懇願しなさい
la clemenza del suo cor.彼の心の慈悲に。
Giusto cielo! in tal periglio,公正な天よ! このような危険の中で、
in tal giorno di terror,このような 恐怖の日に、
per la sposa e il caro figlio妻のために そして 愛しい息子【のために】
solo invoco il tuo favor.私は ただ お前の恩寵を 懇願する だけだ。

CORO合唱
Per la sposa e il caro figlio妻のために そして 愛しい息子【のために】
Sì, t'affida al suo favor.そうだ、その【= 天の】恩寵に 頼りなさい。
Allegro
4/4
(C major)
SCENA ⅩⅣ第14景
Atlei, seguito da molti soldati e da popolo.アトレイ、ついて来られて 大勢の兵士たちに そして 人々に。

CORO合唱
(di dentro)(内部から【≒ 舞台裏から】)
Viva Eduardo!エドゥワルド万歳!

CORO合唱
(in scena)(舞台で)
Quai voci!どんな【≒ 何の】声だ!

CORO合唱
(venendo fuori)(外に 来て【≒ 舞台に 出て】)
Viva!万歳!
Duce, la patria vieni a salvar.司令官よ、祖国を救いにに 来なさい。

CORO合唱
Come!...何だって!…

EDUARDOエドゥアルド
Che sento!私は 何を 聞いているのだ!

ATLEI E COROアトレイ と 合唱
Vieni: ravviva来なさい: 活気づけなさい
le sveche schiere; vieni a pugnar.スウェーデンの部隊【≒ 軍隊】を: 戦いに 来なさい

EDUARDOエドゥアルド
Amico, ah! parla...友よ、ああ! 話しなさい…

ATLEIアトレイ
Il Russo audace厚かましい ロシアが
di questo suol turba la pace.この国の平和を 掻き乱している。
(porgendogli una spada.)(彼に 剣を 手渡して)
Prendi.取りなさい。

EDUARDOエドゥアルド
Stupisco... Sogno? son desto?私は 驚いている… 夢か? 私は 目を覚ましているのか?

CORO合唱
Andiam...行こう…

EDUARDOエドゥアルド
Ma pria lasciatemi respirar.だが その前に 私に 息をつかせなさい。

CORO合唱
Viva Eduardo!エドゥワルド万歳!

EDUARDOエドゥアルド
Che giorno è questo!...これは 何という日だ!…

CORO合唱
Duce, la patria vieni a salvar.司令官よ、祖国を救いにに 来なさい。
《エルミオーネ》 第2幕 第9番 エルミオーネの大シェーナ から [Allegro]、Il tuo dolor ci affretta... を大幅に手直しして更生。

合唱は、前の景からいる合唱と、知らせをもたらしに来た合唱と、2群に分かれている。
Meno mosso
4/4
G major
EDUARDOエドゥアルド
Come rinascere何と 【↓】お前たちが 蘇っているのを
vi sento in core,私は 心の中で 感じていることか、
primieri palpitiかつての興奮を
di gloria e onore!栄光の そして 名誉【の】
Come quest'anima何と この魂が
brillando va!どんどん 輝きつつあることか!

CORO合唱
Provino i perfidi悪意のある者たちが 体験するように
il tuo rigore;君の手厳しさを;
per te la patria君によって 祖国は
trionferà.勝利を収めるだろう。
(partono.)(退場する)
《エルミオーネ》 第1幕 第4番 オレステのカヴァティーナの Allegro(カバレッタ) Ah! come nascondere の更生。

primieri palpiti
palpito は本来 心臓の鼓動 の意味だが、この場合は 感動,興奮 のような、鼓動が激しく高まるような感情を意味している。

N. 13
Gran scena ed Arie Cristina [e Duetto]

Cristina

Eduardo
Atlei
Coro
Maestoso
4/4
c minor
SCENA ⅩⅤ第15景
Interno di una torre.塔の内部。
Notte.夜。
Cristina, dormendo sopra un sasso.クリスティーナ、石の上に寝て

CRISTINAクリスティーナ
(sognando)(夢を見ながら)
Arresta il colpo... arresta...打撃を 止めなさい… 止めなさい…
Vibralo a me... Rispetta, o disumano,私に それを 振り降ろしなさい… 尊重しなさい、ああ 非人間的な男よ、
quell'adorata vittima... M'attendi...その 熱愛された 犠牲者を【≒ 愛する犠牲者を 傷つけるでない】… 私【の言うこと】を 聞きなさい…
Già cadde!...もう 彼は 死んだ!…
(si desta improvvisamente spaventata, si alza e vacillando cammina.)(目を覚ます 突然に 驚いて、立ち上がる そして ふらつきながら 歩く)
Ove son io?...私は どこに いるのか?…
Egli morì... sparì... Fu sogno il mio.彼は 死んだ… 彼は この世を去った… それは 私の 夢だった。
(respirando e dopo lunga pausa.)(息をついて【≒ ほっとして】 そして 長い中断の後に。)
Andante
6/8
A-flat major
Ah no, non fu riposo!ああ いいや、それは 眠りではなかった!
Di ria visione un velo悪質な幻覚の覆いが
svenati e figlio e sposo,出血多量で死なせられた そして 息子を そして 夫を、
ahi, contemplar mi fa.ああ、私に 見 させた。
Per me deh senti, oh cielo,お願いだから 私に 感じなさい、ああ 天よ、
se non amor, pietà.愛でないのならば、哀れみを。
《エルミオーネ》 第2幕 第9番 エルミオーネの大シェーナ から Andantino、Ah no, non fu riposo! の更生。歌もオーケストラも多少手直ししている。
Recitativo


4/4
(A-flat major)
Ah! ch'io vaneggio... No; forse avveratiああ! 私が とりとめもないことを口走るなんて… いいや; ことによると 現実化された
sono i presagi miei; forse il disprezzoのだ 私の予感が: ことによると 侮蔑が
ch'io mostrai della vita,命の それを 私は 示した【≒ 私が 自分が生きていることへの蔑みを 表したことが】
l'altrui morte affrettò. Se madre e sposa,他の人の死を 早めたのだ。もし 母で そして 妻で、
misera! io più non sono,哀れな! 私が もはや ないの 【↑】であれば、
o se mi è tolto il donoあるいは もし 私の授かり物が 取り除かれるならば
d'esalar l'alma mia lungi dal figlio,私の魂を 発散する という【授かり物が】 息子から 遠く離れて、
divisa dal consorte,配偶者から 引き離されて【≒ 息子から 遠く離れて、夫から 引き離されて 息を引き取ることが なくなるのであれば】
vieni, più non tardar, t'invoco o morte.来なさい、さらに遅れることなく、私は お前を 呼んで祈る【≒ 呼び求める】 ああ 死よ。
Andante mosso
4/4
C major
Vieni pur: terror non haiどうか 来なさい: お前【= 死】は 恐怖を 持っていない
per quest'alma desolata;この 悲嘆に暮れた魂に;
t'offro il sen, ferisci omai:私は お前に 胸を 献上する、今こそ 傷つけなさい:
il ritardo è crudeltà.遅延は 残酷さだ。
(sparo di cannone in distanza.)(大砲の発射 遠くで)
Allegro molto
4/4
a minor
Ma che sento!... Ah! forse è questoだが 私は 何を 聞いているのだ!… ああ ことによると これは
il fatal segno tremendo死をもたらす 恐ろしい合図
che mi dice: Infelice,それは 私に 言っている: 不幸な者よ、
per te speme più non v'ha.君には もはや 希望はない と。
(replicato sparo di cannoni più da vicino.)(繰り返された 大砲の発射 もっと近くから。)

一部に 《エルミオーネ》 第2幕 第9番 エルミオーネの大シェーナ から [Allegro]、Il tuo dolor ci affretta... の素材を用いている。

Allegro molto
4/4
a minor
Raddoppia il fragore...大音響が 増大している…
L'annunzio è di guerra...戦いの知らせだ…

(le cannonate percuotono la torre.)(砲撃が 塔に 激しく当たる)

M'uccida il furore...激情が 私を 殺す…
M'inghiotta la terra...大地が 私を 飲み込む…

(cade parte del muro in prospetto.)(風景で【≒ 舞台の情景で】 壁の一部が 崩落する)

La tomba alla morte死の墓が
preceda per me...私の前に来ている…

(precipita gran parte della parete, ed offre la vista del mare con alcune navi russe, in atto di bombardare la città. Vedesi nel tempo stesso gettare a terra la porta del carcere.)(壁の大部分が 壊滅する、そして いくらかの ロシアの船のある 海の光景を 提供する、町を 爆撃している最中の。同時に 見られる 牢獄の扉を 地面に 投げるのが。)


SCENA ⅩⅥ第16景
Eduardo, Atlei e molti svedesi armati, alcuni de' quali portano delle faci, vengono dalla porta atterrata, ed altri dall'apertura fatta del cannone.エドゥワルド、アトレイ と 多くの武装したスウェーデン人たちが、その者たちの何人かは 松明を 持って来ている、倒された扉から 来る、そして 他の者たちは 大砲で作られた 穴から。
Cristina.クリスティーナ。

EDUARDOエドゥアルド
Respira, consorte...息をつきなさい【≒ ほっとしなさい ≒ 安心しなさい】、配偶者よ…

ATLEI E COROアトレイ と 合唱
Salvarti vogliamo...私たちは 君を 救出する ことを望んでいる…

CRISTINAクリスティーナ
Che vedo! Ah! mio bene...私は 何を 見ているのだ! ああ! 私の 最愛の人だ…

CORO合唱
Difesa arrechiamo.私たちは 保護を もたらしている。

CRISTINAクリスティーナ
Tu vivi!君は 生きてるのか!

EDUARDOエドゥアルド
Per te.君のために。

CRISTINAクリスティーナ
Soavi mie pene!快い 私の苦悩よ!
(restano abbracciati.)(【二人は】 抱擁された ままでいる。)

EDUARDOエドゥアルド
Mi segui...私に ついて来なさい…

ATLEI E COROアトレイ と 合唱
T'invola;消え去りなさい;
s'accresce il periglio...危険は 増している…
T'affretta...急ぎなさい…

CRISTINAクリスティーナ
Ma il figlio...けれども 息子が…

EDUARDOエドゥアルド
È salvo.彼は 無事だ。

CRISTINAクリスティーナ
Oh contento!ああ 満足だ!
Più lieto momentoもっと 喜ばしい瞬間は
di questo non v'è!これよりも ない!

CORO合唱
Si colga il momento,瞬間を 掴もう【≒ 機を 逸しないように】
più tempo non v'è.もう 時間が ない。
Si colga il momento, / più tempo non v'è.
この合唱の歌詞2行は、初演時の印刷台本にはない。

Allegro molto
4/4
C major
CRISTINA ED EDUARUDOクリスティーナ と エドゥアルド
Ah nati in ver noi siamoああ! 私たちは 生まれた 本当に
sol per amarci ognor!ただ 常に 愛し合うため だけに!
Ciò che tu brami io bramo,君が 熱望する ことを、私は 熱望する、
noi non abbiam che un cor.私たちは 一つの心の ほかは 持っていない【≒ 私たちは ただ一つの心だけを 持っている】

CORO合唱
Vieni, a pugnar ti chiama来なさい、戦いに 君を 呼んでいる
il raro tuo valor.君の 類稀な 勇敢さが。
(escono tutti in fretta per la porta indicata.)(全員が 出て行く 急いで 指し示された扉を抜けて。))
《リッチャルドとゾライデ》 第2幕 第11番 ゾライデとリッチャルドの二重唱 Ah nati inver noi siamo の更生。

Recitativo



SCENA ⅩⅦ第17景
Atrio.玄関広間。
Giacomo con alcuni seguaci.ジャコモ 何人かの従者たちと共に。

GIACONMOジャコモ
Della città, del porto, e della reggia町の、港の、王宮の
ogni recesso, ogn'angolo, ogni viaどの隅 すみ も、どの【街】角も、どの道も
dunque finora investigammo invano,さて 今まで 無駄に 跡をつけた、
del monarca le tracce君主の痕跡を【≒ 王を 捜したが 見付けられなかった】
dunque nessun ne addita?いったい 誰も 私たちに 指し示さないのか【≒ 王の足取りを (君たちの)誰も 示すことはないのか】
O peggior d'ogni morte infausta vita!ああ 不幸をもたらす生は どんな死よりも なおいっそう悪い!
Ma il tumulto rinforza,それはそうと 騒乱が 勢いを増している、
il periglio s'accresce... Ah ravvivate危険が 増している… ああ 認めなさい
amici il vostro ardir! ché s'è deciso友たちよ 君たちの 向こう見ずなことを【≒ 君たちの勇気を 奮い起こしなさい】! 決定されたのだから
l'eccidio universal, da forti almeno全面的な 大殺戮が、力強く
si resista, si pugni, e poi si mora:抵抗しよう、戦おう、そして それから 死のう:
ché un bel morir tutta la vita onora.素晴らしい死は 生に すっかり 栄光を授けるのだから。
(partono.)(退場する)
N. 14
Battaglia


Allegro
4/4
C major / c minor
SCENA ⅩⅧ第18景
Piazza.広場
Notte.夜。
Fra il rimbombo dei tamburi e lo scoppio dell'artiglieria sempre più d'ogn'intorno cresce l'ostinato alternare del più fiero combattimento, che gradatamente si va approssimando. Alcuni fuggitivi attraversano di tratto in tratto la piazza finché con poco seguito Carlo da una parte, Giacomo dall'altra s'incontrano.太鼓の轟きと 大砲の爆発音の中で あらゆる周りに 最も荒々しい戦いの執拗な交替が ますます 増大している、それは 次第に 近付きつつある【≒ 周囲はどこも 極めて激しい戦いが 代わる代わる 勢いを増している】。時折 何人かの逃亡者が 広場を 横切る 少数の従者の一行とともに カルロが 一方の側から、ジャコモが 別の側から 出くわすまで。
《エジプトのモゼ》 第3幕 第12番 祈りとフィナーレ から 紅海横断の音楽 の更生。

Recitativo e Scaramuccia



CARLOカルロ
Ove corro, ove fuggo? Ah di salvezza私は どこに 走っているのか、私は どこに 逃げているのか? ああ 逃れることの
non v'è per noi più speme!希望は 私たちには もはや ない!

GIACONMOジャコモ
Ah, non m'inganno!ああ、 私は 間違っていない!
Ti trovo alfin, mio re.ついに 私は 君を 見付けた、私の王よ。

CARLOカルロ
Ma qual mi trovi,だが どうやって 君は 私を 見付けているのだ、
principe sventurato!不運な王子よ!

GIACONMOジャコモ
Per noi tutto cangiò, sei vendicato.私たちにとって すべてが 変わった、君は 仕返しをしている。

CARLOカルロ
Come! Che dici?何と! 君は 何を 言っているのか?

GIACONMOジャコモ
Ai cenni tuoi fedele君の指示に 君の忠実な
tutti raccolsi i prodi,勇者たちが 皆 集まった、
ma li raccolsi invan. L'immensa pienaしかし 君は 彼らを 無駄に 集めた【≒ 彼らが 集まっても 役に立たなかった】。莫大な群れは
dei ribelli cattivi邪悪な反逆者たちの【≒ 邪悪な敵の大群は】
fu maggior d'ogni sforzo,【私たちの】どの軍隊よりも より優れていた、
oppresse ogni valor. Quando improvvisoどの勇敢さも 圧迫した。するとその時 突然
tolto ai ceppi Eduardo足枷の解放された エドゥワルドが
sostenne il forte, e ravvivò il codardo.【我々の中の】強者を 援助し、そして 臆病者を 元気付けた。

CARLOカルロ
Eduardo!エドゥワルドが!

GIACONMOジャコモ
Alle schiere Atlei lo rese.部隊【≒ 軍隊】に アトレイが 彼を 返した。
Per te ei pugnò, vinse per te.君のために 彼は 戦った、君のために 彼は 勝利を得た。

CARLOカルロ
Fia vero?...本当だろうか?…
Ma intanto va crescendoだが そうしている間に 増大している
d'ogni parte il tumulto...あらゆる側で 騒乱が…

GIACONMOジャコモ
Ah, non temere.ああ、心配するでない。
Vinti i perfidi son.悪意のある者たちは 打ち負かされた。

CARLOカルロ
Stelle! che intendo?星々よ! 私は 何を 聞いているのか?

(si rinforza lo strepito della pugna, quando, improvvisamente incalzati da tutte le parti si raccolgono i vinti nella gran piazza, ed ivi sopraffatti cedono al vincitore.)(戦いの大音響が 強まり、その時、突然 すべての側から 打ち負かされた者たちが 大広場に 急き立てられ、そして そこで 打ち負かされた者たちは 勝者に 降参する。)
Eduardo alla testa de' suoi al chiarore delle faci fa cenno che si arresti la strage; indi scorgendo Carlo si precipita alle sue piante.エドゥワルドは 彼の者たち【≒ 彼の兵士たち】の先頭で 松明 たいまつ の薄明りで 指示をする 大虐殺を 止めることを; それから カルロに気付いて 彼の足の裏【≒ 足元】 に 急いで行く。

EDUARDOエドゥアルド
Sire! Al tuo piè l'acciar, che vinse, io rendo.陛下よ! 君の足元に 剣を それが 勝利を得た、私は 返す。
Per noi tutto cangiò, sei vendicato.
vendicare の受動態の essere vendicato で再帰動詞の si vendicare と同様の意味になる。仕返しをする。

N. 15
Duettino





Coro
Maestoso
4/4
A major
CARLOカルロ
Come! tu sei?...何と! 君が?…

EDUARDOエドゥアルド
Son io.私が…。
Per vendicarti armata.君の仕返しをするために 武装して。

CARLOカルロ
E osasti?...それで 君は 立ち向かったのか?…

EDUARDOエドゥアルド
Il braccio mio私の腕は
ministro è sol del fato.ただ 宿命の使者な だけだ【≒ 私の腕は 運命に 従っているだけだ】

CARLOカルロ
Confonde il mio consiglio私の意思を 混乱させている
sì generoso ardir.それほどに寛容な大胆【≒ 心の広い勇気】は。

EDUARDOエドゥアルド
Salvami e sposa, e figlio,命を助けなさい 私の妻の、そして 息子の、
e lasciami morir.そして 私を 死なせなさい。

CARLOカルロ
Nel debellar quei perfidiあれらの 悪意のある者たちを 打ち負かして
vincesti il mio rigore:君は 私の手厳しさに 勝った;
tanta virtù e valoreそれほどたくさんの 徳と 勇気は
no che non dee perir.死ぬべきでないほかない。

EDUARDOエドゥアルド
Ah mio signor! Quest'animaああ 私の貴君よ! この魂は
tanto sperar non osa:多くのことを 思い切って 希望しない:
salvami e figlio e sposa,命を助けなさい 私の息子の そして 妻の、
e lasciami morir.そして 私を 死なせなさい。

CARLOカルロ
Prendi un reale amplesso.王の抱擁を 受けなさい。

EDUARDOエドゥアルド
Oh di clemenza eccesso!ああ 慈悲の過度【≒ 過分な慈悲】だ!

CARLOカルロ
T'abbraccio e ti perdono.私は 君を 抱擁する そして 私は 君を 赦免する。

EDUARDOエドゥアルド
Ah che confuso io sono!ああ 私は 何と 当惑していることか!

CARLOカルロ
Dopo i sofferti guai苦しめられた苦境の後に
premio, qual merti, avrai;君に 相応しい ところの、褒美を、君は 受け取るだろう;
maggior del tuo periglio君の危険よりも 大きく
diventi il tuo gioir.君の栄光は なる。

EDUARDOエドゥアルド
Ah mi richiama in vitaああ 私を 命に 引き戻している
la tua bontà infinita:君の 果てしない善意は:
Rendimi e sposa e figlio,私に 妻を 返しなさい そして 息子を、
e mi vedrai gioir.そうすれば 君は 見るだろう 私が とても喜ぶのを。
Recitativo



CARLOカルロ
Non più: tutto il passatoさらに多くではない【≒ もう よい】: すべての 過去は
si ricopra d'obblio. Srai... Sì ... Vieni.忘却で 覆おう。君は… そうだ… 来なさい。
(vedendo comparire Cristina.)(クリスティーナが 現れるのを 見て)


SCENA ULTIMA最終景
Cristina, Gustavo, seguito e detti.クリスティーナ、グスターヴォ、従者の一行 と 前の景の人たち。

CARLOカルロ
(a Cristina)(クリスティーナに)
Amalo: a te lo rendo.彼を 愛しなさい: 君に 彼を 私は 返す。

CRISTINAクリスティーナ
Ah! padre mio!ああ! 私の父よ!

EDUARDOエドゥアルド
Ah sire, e puoi?...ああ 陛下よ、それで 君は できるのか?…

s'inginocchiano.【二人とも】 跪く。

CARLOカルロ
Sorgete: or tutto oblio.立ちなさい: 今こそ 私は すべてを 忘れる。
Figlia, sia quest'amplesso娘よ、この抱擁が
segno del mio perdono;私の赦免の印 【↑】であるように;
mi parla in sen pietà: sì, padre io sono.私の胸に 哀れみが 語っている: そうだ、私は 父親だ。

CRISTINAクリスティーナ
Scordo i passati affanni,過去の苦悩を 私は 忘れる、
se il tuo paterno amoreもし 君の 父に相応しい愛が
la sua felicità rende al mio core.その幸福を 私の心に 返す 【↑】ならば。

ATLEIアトレイ
(a Eduardo)(エドゥワルドに)
Cessano i tuoi tormenti.君の苦悩は 終わる。

GIACONMOジャコモ
(a Cristina)(クリスティーナに)
Cessano le tue pene.君の苦悩は 終わる。
(Soffri mio cor... no, godi all'altrui bene.)(苦しみなさい 私の心よ…いいや、他の愛を 得なさい。)

EDUARDOエドゥアルド
Tanta pietà confondeたくさんの哀れみが 当惑させている
un infido vassallo. Ah! il mio delitto不忠の臣下を。ああ! 私の恥ずべき行為は
sincera fé riparerà, tel giuro.誠実な忠誠を 元どおりに戻すだろう【≒ 】 、私は 君に それを 誓う。。

CRISTINAクリスティーナ
Felici miei sospiri!幸せな 私の溜め息よ!

CARLOカルロ
Omai tranquillità per tutto spiri.今や あらゆるところで 平安が 発散するように。
(Carlo abbraccia il piccolo Gustavo.)(カルロは 小さなグスターヴォを 抱き締める。)
N. 16
Finale Ⅱ







Andante
2/4
F major
CARLOカルロ
A voi dolci intorno al core君たちの 心の周りに 甘く
stringe amor le sue catene,愛の神は 彼の鎖を 縛り付けている、
più soave delle pene苦悩から もっと快い
ei fa sorgere il piacer.喜びを 彼【= 愛の神 】 は 湧き上がらせている。

GIACOMO E COROジャコモ と 合唱
Più soave delle pene苦悩から もっと快い
or fa sorgere il piacer.喜びを 彼は 湧き上がらせている。

EDUARDOエドゥワルド
Or più dolci intorno al core今や もっと甘く 心の周りに
stringe amor le sue catene,愛の神は 彼の鎖を 縛り付けている、
più soave delle pene苦悩から もっと快い
ei fa sorgere il piacer.喜びを 彼【= 愛の神 】 は 湧き上がらせている。

GIACOMO E COROジャコモ と 合唱
Più soave delle pene苦悩から もっと快い
ei fa sorgere il piacer.喜びを 彼【= 愛の神 】 は 湧き上がらせている。

CRISTINAクリスティーナ
Or più dolci intorno al core今や もっと甘く 心の周りに
stringe amor le sue catene,愛の神は 彼の鎖を 縛り付けている、
più soave delle pene苦悩から もっと快い
ei fa sorgere il piacer.喜びを 彼【= 愛の神 】 は 湧き上がらせている。

GIACOMO E COROジャコモ と 合唱
Più soave delle pene苦悩から もっと快い
ei fa sorgere il piacer.喜びを 彼【= 愛の神 】 は 湧き上がらせている。

CRISTINA, EDUARDO, CARLO, GIACOMO E COROクリスティーナ、エドゥワルド、カルロ、ジャコモ と 合唱
Ei fa sorgere il piacer.【= 愛の神 】 は 喜びを 湧き上がらせている。
《リッチャルドとゾライデ》 第2幕 第15番 第2幕フィナーレ Or più dolci intorno al core の更生。

参考資料

Partizione di Eduardo e Cristina Musica di G. Rossini Ridotta per Pian-Forte / Carli Editeur, Paris / about 1825 / available on IMSLP #107838

Eduardo e Cristina Opera Seria in due atti musica del Sig.n. Maestro Rossini ridotto per Cembalo solo da Maximilian Joseph Leidesdorf / Vienna: Sauer & Leidesdorf / available on IMSLP #107718

Rossinis Eduardo e Cristina / Herausgegeben von Reto Müller und Bernd-Rüdiger Kern / Deutsche Rossini Gesellschaft / 1997 / ISBN 3-931922-71-5
下記1997年7月のバート・ヴィルトバートでの近代蘇演に際してドイツ・ロッシーニ協会が編纂した《エドゥワルドとクリスティーナ》の研究本、ドイツ語。非常に詳細な内容で、作品理解に大いに役立つ。

NAXOS
8.660466-67

CarloKenneth Tarvertenore
CristinaSilvia Dalla Benettasoprano
EduardoLaura Polverellimezzosoprano
GiacomoBaurzhan Anderzhanovbasso
AtleiXiang Xutenore

Camerata Bach Choir, Poznań
Ania Michalak, Chorus Master

Virtuosi Brunensis
Gianluigi Gelmetti

14, 16 & 21 July 2017
Trinkhalle, Bad Wildbad, German
Live Recording

ドイツ、バート・ヴィルトバートでの ヴィルトバートでのロッシーニ での上演のライヴ録音。ヴィルトバートでの2度目の上演。
第2幕のジャコモのアリア Questa man la toglie a morte,(パヴェージのアリアの更生)は上演で削除されている。
ジャンルイージ・ジェルメッティのダイナミックな指揮が素晴らしい。歌手では、《エルミオーネ》由来の至難なテノール役を軽々とこなすケニス・ターヴァーが良い。ラウラ・ポルヴェレッリは男装女声英雄役にしては少々力強さに欠ける。クリスティーナのシルヴィア・ダッラ・ベネッタは今一つ。
マイクの位置が悪かったようでところどころで歌手の声が遠く感じられるのが残念。

BONGIOVANNI
GB 2205/6-2
CarloOmar Jaratenore
CristinaCarmen Acostasoprano
EduardoEliseda Dumitrumezzosoprano
GiacomoKonstantin Gornybasso
AtleiJorge Orlando Gomeztenore

Coro da camera di Czechia
Pavel Baxa

I Virtuosi di Praga
Francesco Corti

16 & 19 July 1997
Kursall Bad Wildbad, Wildbad, German
Live Recording

近代蘇演のライヴ録音。歌手がかなり弱い。