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最新更新 2023年9月1日

無断転載 厳禁

GIOACHINO ROSSINI

AURELIANO IN PALMIRA

2幕の音楽のためのドランマ・セリオ
Dramma serio per musica in due atti

初演 1813年12月26日 ミラノ スカラ座
First performance 26 December 1813, Milano, Teatro alla Scala

台本作家 ジュゼッペ・フェリーチェ・ロマーニ
Libretto Giuseppe Felice Romani

原作
Original

《パルミラのアウレリアーノ》は、ロッシーニがミラノのスカラ座のために書いた初のオペラセリアである。初演は失敗に終わったが、しかしその後多くの再演があり、また序曲を始めとする多くの音楽が《エリザベッタ》や《セビリアの理髪師》など後の作品で更生され、隠れた傑作と言ってもよいオペラである。

作曲

ミラノのスカラ座の1813/1814年のカーニヴァルシーズンで新作オペラを書く予定だったのは、本来はオーストリアの作曲家、ヨーゼフ・ヴァイグル Joseph Weigl 1766―1846 だった。1813年6月30日の公共音楽新聞 Allgemeine musikalische Zeitung の記事によると、ヴァイグルはセリアとブッファを1作ずつ書く予定だった。
しかし1813年のヨーロッパは、前年の1812年にナポレオンのフランスによるロシア侵攻が失敗に終わったことから、政治的に非常に不安定だった。
北イタリアは1707年(正式には1714年)以来オーストリアの支配下にあったが、1797年にナポレオン率いるフランス軍がオーストリア支配を打ち破り、北イタリアをフランスの支配下に置いた。ミラノは1813年時点では、ナポレオンを国王とするイタリア王国 1805―1814 の首都だった。しかしオーストリアは、フランスの敗戦以降、プロイセンに歩調を合わせ、北イタリアを奪還する機会を窺っていた。
この緊張関係によって、4月にはヴァイグルはミラノに来ることが不可能と分かった。
そしてヴァイグルの代わりに選ばれたのが、2か月前の2月6日にヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演された《タンクレーディ》の大成功で一躍イタリアオペラ界の風雲児となったロッシーニだった。彼は1812年9月26日の《試金石》初演でミラノのスカラ座に初めて新作を提供、大成功を収めていた。そのロッシーニがスカラ座に始めて新作セリアを書き上げることになった。

ロッシーニの《パルミラのアウレリアーノ》の最も古い記録は、台本の検閲に関するものである。劇場から台本を受け取った内務省の上級官僚、パオロ・デ・カピターニは、1813年6月13日にこれを検閲に回し、すぐに問題なしと許可が下りた連絡を受け取った。デ・カピターニは6月23日付で付で王立劇場群の監督、ガエターノ・メルツィに台本を返却し、検閲を通過したことを知らせる。
この台本は、後にベッリーニの台本作家として有名になるフェリーチェ・ロマーニがスカラ座のために初めて書いたものである。なお、後述するが、ロマーニはこの台本では G. F. R. というイニシャルしか記さなかった。

1813年10月頭にミラノ入りしたロッシーニは、4日付で母アンナに宛てた手紙で作曲をしていることを伝え、さらに2週間後の10月19日に母に宛てた手紙で

私はデビューにオペラセリアを書いています。
Io scrivo l'Opera Seria al Debutto

と書いている。前述の通りロッシーニはスカラ座には既に《試金石》を書いているので、スカラ座への新作セリアを初めて書く、という意味である。当時はオペラ興行で最も重要なカーニヴァルシーズンの開幕公演に新作セリアを提供することは、オペラの作曲家にとって大きな名誉であった。
この後ロッシーニは、10月27日付と11月12日付の母アンナに宛てた手紙でも作曲をしていることを伝え、そして12月4日付の手紙で

私のオペラはもう終わりました
La mia Opera è di già finita

と書いている。di già には 早くも の意味がある。
ロッシーニの記述を信用するならば、《パルミラのアウレリアーノ》は1813年10月、11月の2か月間で書かれたということになる。

ジョヴァンニ・ダヴィドの降板

初演に向けて順調に準備が進んでいると思われた《パルミラのアウレリアーノ》だったが、おそらく11月の末頃、タイトルロールに予定されていたテノールのジョヴァンニ・ダヴィド Giovanni David 1790―1864 が病気(天然痘とされる)で降板を余儀なくされてしまった。
ジョヴァンニ・ダヴィドは、高名なテノールだった父ジャコモ・ダヴィド Giacomo David 1750―1830 の息子で、当時23歳、1808年にデビューしてまだ5年ほどの若手だったが、既に名声を高めていた。幸い彼は病気から回復し、同じくスカラ座で初演された《イタリアのトルコ人》1814年8月14日 でドン・ナルチーゾを歌った。さらに彼は、ロッシーニがナポリに移った翌年の1816年に、ナポリの王立歌劇場群の興行主だったドメニコ・バルバイアと契約してナポリに移り、ここでロッシーニのオペラの初演にいくつも出演することになる。
代役アウレリアーノは、後述する通り、ルイージ・マーリ Luigi Mari というテノールだった。初演の1か月ほど前の交替なので、直前の緊急避難的な代役というわけではないが、これが《パルミラのアウレリアーノ》の運命を大きく変えてしまった。

初演

初演は、1813年12月26日、ミラノのスカラ座で行われた。

アウレリアーノ
Aureliano
ルイージ・マーリ
Luigi Mari
テノール
tenore

ゼノービア
Zenobia
ロレンツァ・コレア
Lorenza Correa
ソプラノ
soprano

アルサーチェ
Arsace
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴェッルーティ
Giovanni Battista Velluti
カストラート
castrato

プブリア
Publia
ルイージャ・ソレンティーニ
Luigia Sorrentini
ソプラノ
soprano

リチーニオ
Licinio
ピエトロ・ヴァゾーリ
Pietro Vasoli
バス
basso

オラスペ
Oraspe
ガエターノ・ポッツィ
Gaetano Pozzi
テノール
tenore


Gran Sacerdote

Vincenzo Botticelli

basso

ルイージ・マーリ Luigi Mari 1781―? はマントヴァの生まれ。スカラ座には、1813―14年、1823―24年、1831年と出演している。マーリの名は、1813年10月23日に付でスカラ座の興行主 フランチェスコ・ベネデット・リッチ Francesco Benedetto Ricci が、ボローニャのロッシーニの父ジュゼッペに宛てた手紙の中に現れており、ということはそれなりに知名度のある歌手だったと思われる。実際後年にはロッシーニの《オテッロ》のタイトルロールも手掛けと伝わっており、決して脇役級の歌手ではなかったはずだが、しかし皇帝アウレリアーノ役には力不足だったようだ。

ロレンツァ・コレア 1773―?、スペイン、マラガ生まれのソプラノ。本来の姓は ヌニェス Núñezで、代父の姓 Correa を芸名に用いた。両親とも俳優で、また姉妹も後に俳優として知られる演劇一家の生まれで、少女の時から子役として舞台に立った。1788年頃から歌手として活動を始め、まずスペイン国内で活躍。結婚後の1803年(つまり30歳頃)にイタリアに渡り歌を学び直して、イタリア各地で活動したのち、1811年にミラノのスカラ座に初主演、1816年までこの劇場のプリマドンナとして活躍する。1818年にスペインに戻ってなお歌手として活躍。1831年以降の消息は残されていない。ロッシーニのオペラの初演に関わったのはこの《パルミラのアウレリアーノ》のゼノービアだけだが、《セビリアの理髪師》のロジーナなどいくつかのロッシーニのオペラのヒロインを得意としたことが知られている。

ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴェッルーティ 1780―1861 は、オペラの舞台の第一線で活躍した最後のカストラート歌手として名高い。中部イタリア、モントルモ(Montolmo、後にパウズーラ Pausula を経て、現在はコッリドーニア Corridonia となる)の生まれ。1800年、フォルリでデビュー。すぐに名声を高め、1803年にナポリのサンカルロ劇場に初出演、1808年にミラノのスカラ座に初出演。1825年には英国ロンドンでのマイヤベーア《エジプトの十字軍》の英国初演(1825年6月3日 女王陛下劇場)に出演、既にカストラート歌手を忘れかけていたロンドン市民に衝撃を与えた。1829年に英国を離れ、帰国後ほどなくして引退、長い余生を過ごした。当時貴重なカストラート歌手だったため、多くの作品の初演に出演した。上記マイヤベーア《エジプトの十字軍》 1824年3月7日 ヴェネツィア のアルマンドもその一つ。ロッシーニのオペラの初演に関わったのはこの《パルミラのアウレリアーノ》だけだが、カンタータ《真の敬意 Il vero omaggio》初演 1822年12月3日 ヴェローナ フィラルモニコ劇場 でアルチェオを歌った。

ルイージャ・ソレンティーニは、《パルミラのアウレリアーノ》の他には、この1813/1814年のカーニヴァルシーズンに続く春のシーズンに、ファリネッリ(カルロ・ブロスキ)の《アッティラ》でオノーリア(ローマ皇帝ヴァレンティニアーノの妹)を歌ったことが知られているだけである。この上演にはヴェッルーティ(フランク王ロターリオ)、病気から復帰したダヴィド(アッティラ)、コレア(その妻イダリア)も出演していた。

初演は、完全な失敗ではなかったが、観客の期待に応えるものではなかった。1813年12月29日付の Corriere milanese に落胆の評が載っている。

ロッシーニには多くの期待が寄せられたのだが、彼は今回はホメロスのように寝てしまった【注1】、ギリシャの詩人が時々休息したの対して、ペーザロ生まれの作曲家は長い時間眠りこけていたという違いはあるが。[…] 《タンクレーディ》は私たちの時代において最も美しい音楽作品である; 《アウレリアーノ》は、結果としては、ロッシーニの作品のようには思われない: 片や心を奪い魅了する; 片や私をうんざりさせ退屈させる; […]
Rossini, in cui stanno riposte tante speranze, ha dormito questa volta come il buon padre Omero, colla differenza per altro che il cantor greco riposa di tempo in tempo, e che il compositor pesarese si è addormentato per lunga pezza. [...] Tancredi in Siracusa è il più bel componimento musicale dei nostri giorni; Aureliano per riguardo all'effetto, non par opera di Rossini; L'uno rapiscee e incanta; l'altro mi stanca e mi annoia; [...]

この筆者は歌手についても触れており、ヴェッルーティはスターに相応しい強い印象を与えなかった、マーリは鼻に掛かった声でセリアには合わない上演技力に欠ける、コレアは美声だが芸術性に乏しい、と評している。

公演評は他にも残されており、いずれも不評を伝えている。また同時上演された2つのバレ(当時はオペラの幕の間にバレが上演されるのが普通だった)、ガエターノ・ジョイア Gaetano Gioia の《アルジノネとテレマコ Arsinone e Telemaco》と《ワラキアの鉱員たち I minatori valacchi》の方が好評だったと伝えるものもある。

このように初演の不評が伝えられているとはいえ、《パルミラのアウレリアーノ》は1月16日までに14回の上演があった(22日間で14回、およそ3日に2回)ので、興行としては失敗どころか上々の結果を残した。
公演評と上演の実績の差には、何か理由がありそうだ。
たしかに、《パルミラのアウレリアーノ》の台本が時代遅れで新味に欠けること、それによってロッシーニの音楽に霊感が乏しかったこと、代役のタイトルロールが力不足だったこと、スターのヴェッルーティが今一つだったこと、などはたしかに落胆の要因だったろう。
しかし《パルミラのアウレリアーノ》が期待外れに受け止められた最大の理由は、評でも触れられているように、《タンクレーディ》によってロッシーの新作オペラセリアへの期待があまりに高まってしまったからだろう。
実はスカラ座で《パルミラのアウレリアーノ》が初演されるより8日前の1813年12月18日、同じミラノで中規模劇場、レ劇場 Teatro Re【注2】が開場し、そのこけら落としに《タンクレーディ》がミラノ初演され(アルジーリオの2つのアリアが共に差し替えられるなど、いくらか手直しされている)、これも成功を収めている。もちろん《タンクレーディ》のヴェネツィア初演の大成功の報はミラノにも伝わっていたろうから、そのロッシーニが自分たちの町の筆頭劇場であるスカラ座に、しかもカーニヴァルシーズンの開幕演目としてオペラセリアを書くとなれば、否が応でも期待が高まっていて、それをレ劇場の上演がさらに後押ししたことになる。つまり、観客の過剰な期待こそが、《パルミラのアウレリアーノ》への失望の最大の理由だと思われる。

実際、期待外れという点を除けば、《パルミラのアウレリアーノ》は十分及第点を与えられるオペラである。その証拠に、初演の後の上演はかなり多い。クリティカルエディション総譜の解説によると、1814年から1832年までに興行数は90を数える。最後の上演は1832年のモンテヴィデオの上演となっているが、これは裏付けが取れなかった。最後から2番目、1831年の聖人の市 いち La fiera del Santo のシーズン(6月)にパドヴァのヌォーヴォ劇場で上演されたことは確実である。《パルミラのアウレリアーノ》はおよそ19年も長命した。
特筆すべきは、この間で上演がなかった年は1815年だけで(これについては後述)、上演が途切れず継続したことにある。《パルミラのアウレリアーノ》はしばしばロッシーニの失敗作として扱われるが、上演記録を見る限り、失敗作どころか十分人気作だったとすら言える。

新大陸初演は、1820年4月24日、ブラジル、リオ・デ・ジャネイロのサン・ジョアン王立劇場。リオ・デ・ジャネイロでは1826,27,28年にも上演されている。

注1 ホメロスにさえ眠いところがある という諺に基づいた文。偉大な詩人でも時には眠くて失敗作を作る、といった意味。

注2 カルロ・レ Carlo Re が経営する劇場なのでこの名がある。王立劇場ではない。この1813年に新築、開場され、そのこけら落とし公演が12月18日の《タンクレーディ》だった。

蘇演

《パルミラのアウレリアーノ》の復活は比較的早かった。

近代蘇演は、1980年9月11日、フェスティヴァル・デッロペラ・ジョコーサの催しでイタリア、ジェノヴァのジェノヴァ多目的ホール Politeama Genovese での舞台上演。アウレリアーノが パオロ・バルバチーニ Paolo Barbacini、ゼノービアが ルチア―ナ・セッラ Luciana Serra、アルサーチェが ヘルガ・ミュラー=モリナーリ Helga Müller-Molinari、プブリアが アンナ・マリア・ピッツォリ Anna Maria Pizzoli、オラスペが ベルナルディーノ・トロッタ Bernardino Trotta、リチーニオが ジャンカルロ・トージ Giancarlo Tosi、大祭司が オラーツィオ・モーリ Orazio Mori。ジャコモ・ザーニ Giacomo Zani 指揮 ジェノヴァ・オペラ・ジョコーサ劇場管弦楽団,合唱団。指揮者のザーニが校訂した楽譜を使用。
さらに同年11月にラ・スペーツィアとサヴォナでも上演された。指揮が フランチェスコ・マリア・マルティーニ Francesco Maria Martini に、ゼノービアが マリア・ルイーザ・チョーニ Maria Luisa Cioni に、アルサーチェが マルティーヌ・デュピュイ Martine Dupuy に代わった。
この9月11日の上演のライヴ録音が海賊LPで発売されたことがある他、YouTubeには全曲の映像もアップされている。
上演とほぼ同じ歌手で、大祭司だけが カルロ・カーヴァ Carlo Cava に代わった録音がなされており、LPでそしてCDで発売された(⇒ 参考資料)。録音は1981年に行われたとされる。

1991年9,10月、ルッカのジーリオ劇場で上演(⇒ 参考資料。出演者もそちらを)。インターネット上に上演記録は見つからなかったが、CDに表記された収録日は1991年9月28―30日,10月2日になっている。

2010年10月23日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールRoyal Festival Hall で演奏会形式上演。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とOpera Raraの共催で、Opear RaraからCDで発売された(⇒ 参考資料。出演者もそちらを)

2011年7月15,17日、マルティーナ・フランカのイトリアの谷音楽祭で上演。映像収録されDVDで発売された(⇒ 参考資料。出演者もそちらを)。

2014年8月12,15,18,22日、イタリア、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで上演(出演者はリンク先を参照)。ウィル・クラッチフィールド校訂のクリティカルエディションによる初の上演。映像収録されBlu-ray DiscとDVDで発売された(⇒ 参考資料)。

2016年7月16日、米国、ニューヨーク州、カトナの クラムールでベルカント Bel Canto at Caramoor で米国初演。アウレリアーノが アンドルー・オーウェンズ Andrew Owens、ゼノービアが ジョージア・ジャーマン Georgia Jarman、アルサーチェが タマラ・マンフォード Tamara Mumford。指揮は2014年のROFと同じ、クリティカルエディション校訂者のウィル・クラッチフィールド Will Crutchfield、オーケストラはセントルーク管弦楽団

2017年7月14,22日、ドイツ、バート・ヴィルトバートでの ヴィルトバートのロッシーニ で演奏会形式上演(⇒ 参考資料。出演者もそちらを)。総練習を含めて編集されたたライヴ録音がCDで発売された。

2023年8月12,15,18,21日、イタリア、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで上演予定。

史実の人々

パルミラの女王ゼノビアやローマ皇帝アウレリアヌスについて、こではオペラを理解する上で最小限の情報を紹介するに留める。

パルミラは、現在のシリアのちょうど中央辺りに置する。英語で椰子を意味する palm と近い名前から分かる通り、砂漠の中のオアシスの都市であった。そのため砂漠を渡るキャラバンの中継地として栄え、文化的にはアラブとローマの両方から影響を受けた。

さて3世紀のローマ帝国は不安定な動乱の時代だった。限界を超えて拡大した帝国は、東方のペルシャ帝国(ササン朝)、北方のゲルマン民族から度々侵入を受けていたが、あまり広大な国土のために本質的な対処ができずにいた。
加えてこの時代は、皇帝が乱立したことで内政も混乱した。
この状況で、軍の発言力が強大になったため、軍人出身の有力者が相次いで皇帝に就いた。これを軍人皇帝といい、235年から285年のローマ帝国は軍人皇帝時代と呼ばれる。

253年に皇帝に就いたヴァレリアヌス(オペラでのプブリアの父親)は非軍人の皇帝だった。彼は、息子ガリエヌスを共同皇帝に据えて帝国を任せると、自らは懸案のペルシャ帝国討伐に向かった。しかし260年、ローマ軍はエデッサ(現在のトルコ南西部シャンルウルファ)でペルシャに大敗、ウァレリアヌスはペルシャ軍の捕虜となった。その後の消息は不明である。
皇帝が捕虜になるという前代未聞の事件によって、ローマ帝国の威信は大いに失墜し、周辺地域では皇帝を僭称して独自の帝国を主張するものが次々に現れた。たとえばガリア属州(現代のフランス近辺)は僭称皇帝が立って、260年、ガリア帝国としてローマから独立した。

同様のことがローマ帝国の東でも起きた。エデッサの戦い以降東部属州ではやはり僭称皇帝が乱立した。しかしガリエヌスを支持するパルミラの有力者オダエナトゥスがこれを平定、ガリエヌスの信頼を得てローマ帝国東部の実質的支配者となった。ローマ帝国としてはパルミラがペルシャ帝国の侵攻を悔い止める盾になるので、オダエナトゥスのパルミラ統治を容認していた。この時点では両者はまだ良好な関係にあった。

このオダエナトゥスの後妻がゼノビアである(258年に結婚)。彼女の出自は謎が多いが、教養が高く、またオダエナトゥスに付き従って戦地を回るなど勇猛な女だった。
267年、オダエナトゥスとその前妻との間の息子が親族に殺害されると、彼女は自分自身と彼女とオダエナトゥスの間の息子を共同統治者に宣言し、実質的なパルミラの女王となった。ゼノビアは、ローマ帝国が北や西の問題で東にまで手が回らないことをいいことに、パルミラ周辺を次々と屈服させ、270年、ついにはエジプトまでも支配下に組み込んだ。さらにアンカラまで領土を広げると、ゼノビアは息子と共に皇帝を称し、彼女の領土はパルミラ帝国と呼ばれるようになって、ローマ帝国から独立状態になった。

この時点でローマ帝国は、西のガリア帝国、東のパルミラ帝国と、国が三分割されてしまい、加えて北方から侵入にも悩まされるという、大きな国難にあった。

アウレリアヌスは214年、現在のセルビアに生まれた。兵卒から成りあがって(ヴァレリアヌスに取り立てられた)270年に皇帝にまで上り詰めた典型的な軍人皇帝である。
アウレリアヌスは、まずゲルマン民族を押し戻した後、パルミラの問題を解消すべく、272年、進軍を開始する。ローマ軍はパルミラ軍を3度撃破し、パルミラの町を包囲した。ゼノビアはペルシャの支援を得るべく逃亡を図ったがすぐに捕らえられた。彼女は戦利品としてローマに送られ、とはいえ処刑されることもなくここで余生を過ごした。

次にアウレリアヌスはガリア帝国にも勝利し(もっともガリア帝国は既に衰退しておりローマと戦う気はなかった)ローマ帝国に再び組み入れ、ローマ帝国の分裂状態の解消に成功した。

275年、アウレリアヌスは残った懸案であるペルシャと帝国との戦いに向かうが、その途上で秘書の陰謀で暗殺された。61歳。皇帝就任期間は5年ほどだった。ローマ帝国にとってアウレリアヌスの予期せぬ死は、極めて大きな痛手となって後の時代にまで影響を及ぼすことになる。

陥落後、パルミラはすっかり衰退し砂漠の中の廃墟になってしまった。かつての栄光を伝える遺跡も、2015年、過激派組織ISによって神殿や凱旋門などが破壊され、甚大な被害を受けた。

台本

パルミラの女王ゼノービアは18世紀のイタリアオペラでは人気のある題材だった。
アポストロ・ゼーノ Apostolo Zeno 1668―1750とピエトロ・パリアーティ Pariati Pietro 1665―1733 による《パルミラのゼノービア Zenobia in Palmira》の台本や、ピエトロ・メタスタージオ Pietro Metastasio 1698―1782 による《ゼノービア》の台本は、何人もの作曲家によってオペラにされた。特にメタスタージオの台本は、ジョヴァンニ・バッティスタ・ボノンチーニ Giovanni Battista Bononcini 1670―1747 1737年8月28日にウィーンのファヴォリータ離宮で初演 のために書かれたものだが、以来30近いオペラで用いられたという。ただし少なくともメタスタージの台本は、ロッシーニのものとは展開がかなり異なる。

この流れを汲んで、ガエターノ・セルトル Gaetano Sertor 1760頃―1805 が《パルミラのゼノービア Zenobia in Palmira》の台本を書いている。これはパスクワーレ・アンフォッシ 1727―1797 のために書かれたもので、1789年12月26日、ヴェネツィアのサン・ベネデット劇場で初演された。このオペラ自体が好評でこの後10年間フィレンツェ、ボローニャなどイタリア各地、またマドリッドやロンドンなどでも上演された。またセルトルの台本を用いて、ジョヴァンニ・パイジェッロ Giovanni Paisiello 1740―1816が《パルミラのゼノービア Zenobia in Palmira》を作曲しており、これは1790年5月30日にナポリサン・カルロ劇場で初演された。

ロマーニが基にしたのがセルトルの台本であるのは明らかだ。たとえばゼノービアがアウレリアーノにアルサーチェの解放を求めた時のアウレリアーノの台詞は

セルトルの台本(パイジェッロのオペラでの)では

AURELIANOアウレリアーノ
Poco i Romaniほとんど ローマ人たちは
noti a te son: se sciogliere io volessi君には 良く知られて 【↑】いない【≒ 君は ローマ人のことを ほとんど 分かっていない】: もし 私が 解くことを 望むならば
d'Arsace i ceppi, inutili, o Regina,アルサーチェの拘束を、役に立たない、ああ 女王よ、
Quei tesori saran, che offrirsi a noi:あの宝物 ほうもつ は、それを 君は 私たちに 提供している:

一方ロマーニの台本では

AURELIANOアウレリアーノ
Poco, o regina,ほとんど、ああ 女王よ、
Roma conosci, e me: dove accordassi君は ローマを 心得て 【↑】いない、そして 私を: もし 私が 許可するならば
la libertà d'Arsace,アルサーチェの自由を、
mi recheresti invano i doni tuoi...君は 虚しく 君の進物を 持って来るだろうに【≒ 私が アルサーチェの解放を 認めるには、進物は 役に立たない】

と、言葉や表現は変えていても、言っていることはほぼ同じである。

このように、ロマーニはセルトルの台本を焼き直したことが明確で、それゆえ彼は台本に自分の名前を載せず、『G.F.R.』というイニシャルだけ記載したのだろう。
このイニシャルは、初演の直後から誤解の元となった。場合によって印刷台本に ジャン・フランチェスコ・ロマネッリ Gian Francesco Romanelli と記載されることもあって、近年まで混乱が残った。
ちなみに ロマネッリ Romanelli という人物は、ロマーニより3世代上でやはりスカラ座の台本作家として長く活動していた、そしてロッシーニの《試金石》の台本作家でもある ルイージ・ロマネッリ Luigi Romanelli 1751―1839 から連想されたと思われる。
一方、ロマーニの妻エミーリア・ブランカ Emilia Branca が、夫が亡くなってから17年後に刊行したロマーニの回想では、ロマーニがロッシーニのために書いた台本として、《イタリアのトルコ人》と《ビアンカとファッリエーロ》と並んで《パルミラのアウレリアーノ》を挙げていた。ブランカの文章は間違いが非常に多いのだが、この点については信用してよさそうだ。

更生

《パルミラのアウレリアーノ》というと、序曲が後に《セビリアの理髪師》の序曲に更生されたことが有名である。実際、《パルミラのアウレリアーノ》からは、部分的なものや素材を含めると、多くの音楽が後の作品に更生されている。 後の作品への更生ばかりが取沙汰されるが、ロッシーニの既存の作品から《パルミラのアウレリアーノ》への更生もいくつかある。まずそちらを見てみる。

第1幕 第1番 導入から Andantino
Sposa del grande Osiride,
《試金石》 第1幕 第3a番 伯爵のアリア(差し替えアリア) から
Aure soavi e placide
第1幕 第3番bis (補遺) Andantino
Torna o prence al sen di Roma
アリア《栄光の声に Alle voci della gloria》 から
Da te lungi, o mio tesoro
第1幕 第5番 合唱、シェーナ、ゼノービアのアリア から Andantino
Cedi, cedi: a lui t'arrendi...
《タンクレーディ》 第2幕 第17番a(フェラーラ稿)
Muore il prode
第2幕 第9番 アルサーチェの大シェーナ から (Allegro)
Non lasciarmi in tal momento,
アリア《栄光の声に Alle voci della gloria》 から (Allegro)
Vieni amico, tu che sei
第2幕 第13番 高位高官たちの合唱 Allegro
Nel tuo core unita sia
《タンクレーディ》 第2幕 第16番
Solamir d'Amenaide

一方、後の作品への更生は部分的なものも含めると非常に多いが、主なもの以下の通り。

序曲《エリザベッタ》序曲(いくらかの手直しをした上で)
《セビリアの理髪師》序曲

第1幕
第1番 導入 から Andantino
Sposa del grande Osiride
《セビリアの理髪師》 第1幕 第1番 導入 から Largo
Ecco ridente al cielo

第4番 合唱 Moderato
Possan Zenobia e Cesare
《エリザベッタ》 第1幕 第3番 合唱
Vieni, o prode, qui tergi i sudori;

第2幕 第11番 三重唱 から (Allegro)、
(Il pianto s'asconda
《テーティの、そしてペレオの結婚式》から (Allegro vivace)
Io nume degl'astri

第2幕 第8番 レチタティーヴォと二重唱 から(Andante)、(Prima costanza mia《オテッロ》 第1幕 第4番 小二重唱 から Andante の後半、
Quanto son fieri i palpiti

また上述の、アリア《栄光の声に》 の (Allegro)、Vieni amico, tu che sei に基づく、第2幕 第9番 アルサーチェの大シェーナ から (Allegro)、Non lasciarmi in tal momento, は、さらに《エリザベッタ》 第1幕 第2番 合唱とエリザベッタのカヴァティーナ から [Allegro]、Questo cor ben lo comprende,になり、さらに《セビリアの理髪師》 第1幕 第5番 ロジーナのカヴァティーナ から Io sono docile と更生されている。

音楽

《パルミラのアウレリアーノ》は、全体としては十分よく出来たオペラだと思われるが、一方で前述の通り、初演のおよそ1か月前にアウレリアーノ役に予定されていたジョヴァンニ・ダヴィドが病気降板となり、代役のルイージ・マーリのためにアウレリアーノの音楽を手加減せざるを得ず、それによってアウレリアーノ役の比重が低くなってしまっているという本質的な欠点があることは否めない。

序曲は、前述の通り、後に《セビリアの理髪師》に更生され、まったく同じものである。《理髪師》の制作期間が短すぎたので、最初からこの序曲を使うつもりだったのだろう。序奏を前に置いた 展開部を欠いたソナタ形式。序奏は、第2幕 第9番 アルサーチェの大場面 の Maestoso の音楽から採られている。展開部と再現部のコデッタ(小結尾 ここではロッシーニ・クレッシェンドになっているところ)は、第1幕 第6番 第1幕フィナーレから Più allegro 4/4 ニ長調 の後半、Ancora un addio... / Quest'ultimo addio から取られている。
失敗に終わった初演の際でも、この序曲だけは好評だったと伝えられている。

第1番 導入 は、開幕の合唱/大祭司と合唱の場面/シェーナ/ゼノービアとアルサーチェの二重唱の緩(カンタービレ/テンポ・ディ・メッゾ(中間部)/二重唱の急(カバレッタ)から成っている。開幕の合唱 Sposa del grande Osiride, は、前述の通り、《セビリアの理髪師》導入のアルマヴィーヴァ伯爵の Ecco ridente al cielo に更生された。 ゼノービアとアルサーチェの二重唱のカンタービレ(緩) Se tu m'ami, o mia regina, Andantino 2/4 変ホ長調 は、かなり型通りの手堅い作りながら、それでも陶酔的な美しさに満ちている。カバレッタ(急) (Allegro) 4/4 ハ長調 は、勇ましいのは良いとしてもあまり魅力的ではない。

第2番 大祭司のアリアは、A-B-A'の三部形式のアリア。脇役アリアとしては決して悪い音楽ではない。ただ、導入の直後という早い段階にこうしたアリアが置かれるのは、せっかく導入で盛り立てた感興を殺ぎかねない。

第3番 行進曲と アウレリアーノのカヴァティーナは、アウレリアーノの登場のアリア。行進曲、合唱、レチタティーヴォを前に置いた 緩(カンタービレ)/急(カバレッタ)の二部形式のアリア。
主役の英雄の登場のアリアという聞かせどころのはずなのだが、緩(カンタービレ) Andante 4/4 ハ長調 も、急(カバレッタ) (Allegro) 4/4 ハ長調 どちらもロッシーニにしては無難に終わっている印象。音域的にも(記譜の最高音はイ音)技術的にも難易度が高くないので、マーリの力量に合わせて手加減したのだろう。

この後本来は、N. 3 bis アルサーチェとアウレリアーノの二重唱 が続くはずだったが、おそらく初演直前に外されてしまった。急―緩―急 の三部形式の二重唱。急 Allegro 4/4 イ長調 はやはり少々手加減が窺えるが、緩 Andantino 3/4 イ長調 では二人の歌の絡みが美しく、急 Allegro 2/2 イ長調 ではロッシーニらしい華やかでスリルのある音楽が味わえる。この箇所のアウレリアーノの音楽がマーリには難し過ぎて外されてしまったのではないだろうか。
この二重唱は、随所にロッシーニの個性が光る佳曲で、そのため今日の上演ではほとんどの場合で採用されている。

第5番 合唱、シェーナとゼノービアのアリアは、合唱、シェーナ、緩(カンタービレ)/急(カバレッタ)の二部形式のゼノービアのアリアから成っている。
合唱 Andantino 3/4 イ短調 Cedi, cedi: a lui t'arrendi... は、前述の通り、《タンクレーディ》 フェラーラ稿の悲劇的幕切れで書き改められた合唱 Muore il prode を更生している。
シェーナの後半は Allegro の激しい音楽でゼノービアのローマへの憎しみが描かれている。
アリアのカンタービレ La pugnai; la sorte arrise Maestoso 4/4 変ホ長調 は特にこれといったものではないが、続くテンポ・ディ・メッゾ Allegro 4/4 変ホ長調 がカバレッタかと思うほど激しく驚かされる。本当のカバレッタ、No, non piangete, o sventurati, Più lento 4/4 変ホ長調(途中 Più mosso でテンポが上がるがあまり変化はない)は、ゼノービアの歌は装飾歌唱を多用した華やかなもの、つまりあくまで強気な女王の姿を描いている一方で、続く捕虜たちの合唱はひどく憂いが濃い。その対比の強さが、パルミラの置かれた厳しい状況を浮かび上がらせる。

第6番 第1幕フィナーレ は、シェーナ、アルサーチェのアリエッタ、シェーナ、ゼノービアとアルサーチェの二重唱の緩、二重唱の急、シェーナ、アウレリアーノが加わった三重唱、経過区、コンチェルタート、ストレッタ、という大規模なもの。
アルサーチェのアリエッタ Chi sa dirmi, o mia speranza, Andantino 6/8 ハ長調 は、ゼノービアとを思って感極まったアルサーチェの悲しみが6/8拍子のゆったりした音楽で広がっていく。
ゼノービアとアルサーチェの二重唱、緩(カンタービレ) Va': m'abbandona, e serba Moderato 4/4 ヘ長調 も、急(カバレッタ) Che barbara stella Allegretto 2/4 ヘ長調、そしてアルサーチェが加わった三重唱 Serena i bei rai, Andantino 3/4 変イ長調 は、いずれも水準に達してはいるものの、ロッシーニにしては豊かな情感が今一つ。コンチェルタートはかなり手が込んだ音楽で、盛り上がりを見せる。


※普請中※

《パルミラのアウレリアーノ》の政治性

《パルミラのアウレリアーノ》はしばしば、当時のミラノの政治状況が重ねられていることが指摘される。
前述の通り、当時の北イタリアは、1797年からフランスの傀儡国になり、1805年からナポレオンを国王、彼の義理の息子ウジェーヌ・ド・ボアルネを副王とするイタリア王国になっていた。イタリア王国は1814年4月に終焉を迎え、翌1815年にオーストリア皇帝が国王のロンバルド=ヴェネト王国が成立することになるのだが、《パルミラのアウレリアーノ》が初演された1813年暮れのミラノはまだナポレオンが国家元首の王国の首都だった。
イタリア王国末期の不安定な状況下で、ナポレオンを賛美をする狙いが《パルミラのアウレリアーノ》の台本にあったことは、十分あり得る。オペラにはしばしば君主賛美が込められる。オペラにおいてアウレリアーノが圧倒的に強いのは、彼がナポレオンと重ねられているからである。
また初演から間もなくの1815年には《パルミラのアウレリアーノ》の上演記録はまったく見当たらないのも、もしかしたら、イタリア王国崩壊直後の政治的に不安定な時期に、ナポレオン賛美と捉えられかねない作品の上演を控えていたのかもしれない。

アウレリアーノがナポレオンであるならば、ペルシャの王子アルサーチェは誰だろうか。
アルサーチェには、かつてローマ帝国と同盟していたがパルミラ側に寝返った、という設定がある。実はこれに合致する人物がいる。それは5年後にスウェーデン国王カール14世ヨハン 在位1818―1844 となるカール・ヨハン 1763―1844 である。
カール・ヨハンは本来フランスとスペイン国境のピレネー山脈のフランス側の麓、ポーに生まれた平民フランス人ジャン・ベルナドットで、フランス革命で頭角を現し出世し、元帥にまで上り詰めたフランス軍人である。ナポレオンの部下であり同士であるのだが、しかしナポレオンとベルナドットは若い頃から互いに反目しており、ナポレオンはベルナドットを苦々しく思っていた。とはいえ、何度か左遷こそしたが、極めて有能なベルナドットを失脚させたり粛清するようなことはなかった。
スウェーデンとは何の関係のないベルナドットは、しかしフランス、スウェーデンそれぞれの政治的思惑から、1810年にスウェーデンに王太子として迎えられた。
彼はナポレオンの没落を予見しており、1812年に反フランスに転じて、かつての盟友に反旗を翻す。そして1814年のナポレオン退位、失脚の立役者の一人になった。このように1813年のフランスおよびその傀儡国から見れば、ヨハンはまさにアルサーチェだろう。

ローマ帝国と敵対するパルミラのゼノービアは、フランス傀儡のイタリア王国にとっては、ハプスブルク家のオーストリアということになる。1813年当時の皇帝はフランツ2世 1768―1835 神聖ローマ帝国皇帝を含めて在位1792―1835。もっともスウェーデンとオーストリアはさして蜜月の関係にはなかったが。

こうした点を踏まえると、幕切れでアウレリアーノがゼノービアとアルサーチェに 永遠の忠誠を誓えば赦免し統治を認める と皇帝の寛大さを示す行為は、ナポレオンの思惑そのものだと分かるだろう。

もっとも、前述の通り《パルミラのアウレリアーノ》の台本は既存のものを下敷きにしており(アルサーチェの設定も元の台本のままである)、政治状況に見合った台本を選んだだけとも言えるだろう。台本をよく読んでも、主要3役に関しては設定以上に踏み込んだ政治性発信は乏しい。
しかしだからこそ、1815年にナポレオンが百日天下に失敗してセントヘレナ島への流刑され、ロンバルド=ヴェネト王国の体制が安定した1816年以降、《パルミラのアウレリアーノ》はまた普通に上演が可能になったのだろう。

政治的発信を担っているのは、主役たちより、脇役である大祭司である。大祭司はセルトルの原作台本には存在せず、ロッシーニのオペラのために書き加えられた役である。
第1番の導入における不吉な予兆や、続くアリアにおける破滅(パルミラもアルサーチェも)の予感は、ナポレオンの敵の運命を暗示している。そしてアリアの最後の「敵対する宿命に対して英雄は戦うことはできない」という台詞には、明らかに政治的発信が込められているだろう。

あらすじ

第1幕

パルミラのイシスの大神殿。ローマ軍が迫り来る不安の中、パルミラの人々はイシスに祈る。だが祭壇が揺れ神殿が暗くなり、大祭司と人々は恐怖に慄く。そこにパルミラの女王ゼノービアとペルシャの王子アルサーチェが現れ、人々を励ます。二人の愛がイシスの慈悲を引き出すことを願う。将軍オラスペが、ローマ軍がユーフラテス川に達していると報告、アルサーチェは出陣し、ゼノービアは町を守ることになる。大祭司は、もしアルサーチェがパルミラと滅亡の運命を共にしたならば、後世の人々は英雄ですら運命には歯向かえないことを知るだろう、と嘆く。
戦場。勝利を収めたローマ皇帝アウレリアーノは、兵士たちを労い、捕虜たちには寛大に処すと告げる。アウレリアーノは捕らえられたアルサーチェを呼び出し、彼がゼノービアを愛してローマを裏切ったことを非難する。しかしアルサーチェは、ローマに脅されて同盟しただけで、自分はゼノービアを愛し彼女に忠実だと反論する。アウレリアーノはアルサーチェを裁きにかけことにし、彼は連行される。
アウレリアーノの大天幕。先の皇帝ヴァレーリオ(ヴァレリアヌス)の娘プブリアは、アルサーチェを密かに愛している。パルミラの将軍、オラスペが現れ、ゼノービアが皇帝への謁見を求めていると告げる。ゼノービアは貴重な進物を持って来て、アルサーチェの解放を求める。しかしアウレリアーノはそれを拒み、彼を解放するのなら進物は役に立たない、とゼノービアがアウレリアーノの屈するよう求める。ゼノービアはそれを拒みつつ、アルサーチェとの面会を願い、皇帝はこれを認める。皇帝がゼノービアに破滅が近いと警告すると、彼女は怒り、かつてパルミラがローマに勝利したこもあることを思い出しなさいと言い返し、皇帝に折れるよう願う捕虜たちを鼓舞する。彼女が去ると、そのあまりの頑固さにアウレリアーノは呆れつつ、しかし彼女の美しさに魅了される。プブリアは、アウレリアーノがゼノービアの愛を得ることで、アルサーチェが自分になびくことを期待する。
アルサーチェの牢獄の古城。アルサーチェはゼノービアにもう会えないと絶望している。アウレリアーノが約束したとおりゼノービアがアルサーチェの面会に訪れる。二人は過酷な運命を嘆く。アウレリアーノがやって来て、アルサーチェにゼノービアを諦めるなら解放すると迫る。アルサーチェはそれを拒絶し、アウレリアーノは激怒する。パルミラとローマは再び戦いをすることが避けられなくなる。

第2幕
パルミラの地下広間。ゼノービア率いるパルミラ軍は敗北し、娘たちや高位高官たちは地下広間に逃れている。ゼノービアも逃れて来て、死を望む。アウレリアーノがゼノービアを追ってやって来て、本来ならば戦利品としてローマに連れ帰るところだが、しかし彼女がアルサーチェを放棄するならば彼女に愛と栄光を与えると申し出る。ゼノービアはきっぱり断る。そこにプブリアとリチーニオが駆け付け、オラスペがアルサーチェを奪還したと知らせる。ゼノービアは喜び、アウレリアーノは彼女に警告し、アルサーチェを追って出て行く。
ユーフラテス河岸の丘。羊飼いたちは戦火と無縁の穏やかな生活を喜んでいる。ここまで敗走したアルサーチェはこの穏やかな地でゼノービアと過ごせたらと、王子に生まれた運命を嘆く。一人の羊飼いが彼を見付け、パルミラが陥落したことを告げる。羊飼いたちは彼がアルサーチェと気付く。オラスペがアルサーチェを見付け、ゼノービアがアウレリアーノの手中に落ちたことを告げる。アルサーチェは、羊飼いたちが引き留めるのも聞かず、またも戦いへと向かう。
王宮。プブリアは、アルサーチェがパルミラ軍の残党を束ねて再び戦いに臨むつもりだとアウレリアーノに警告するが、皇帝はそれを気にせず、ゼノービアが手元にいるだけで満足している。しかしリチーニオが、アルサーチェたちがパルミラに駐留するローマ軍を急襲して甚大な被害を及ぼしていると伝える。アウレリアーノは、アルサーチェを思って涙を流すゼノービアに心を動かされつつも、迎え撃ちに出陣する。戦いの音が王宮に近づく。オラスペがなんとかゼノービアの元に辿り着き、戦況は悪いと彼女と共に王宮を抜け出す。
王宮近く。奮闘虚しくアルサーチェはまたも敗走している。王宮を脱出したオラスペとゼノービアがアルサーチェに出会い、二人は再会を喜ぶ。だがアウレリアーノが近付く気配に、二人は共に死ぬことを選ぶ。だが彼らはローマ軍に捕らえられてしまう。皇帝は、二人には死ではなく、ローマでさらし者になる恥辱が待っていると告げる。ゼノービアとアルサーチェはお互いに相手に生き長らえるよう願う。アウレリアーノは、二人の不屈の精神に感心しつつも、それぞれ牢獄へと引っ立てさせる。
王宮。プブリアは、アルサーチェの命が救われるならば自分の愛を断念してもかまわないと決意し、皇帝にアルサーチェを愛していることを告白し、彼を助命する徳を見せるよう願う。パルミラの高位高官たちが慈悲を乞いにやって来る。アウレリアーノはゼノービアとアルサーチェを呼び出し、ローマに忠誠を誓えば赦免しパルミラ統治を認めると申し渡す。二人は皇帝の寛大さを感謝し、永遠の忠誠を誓う。一同の喜びで幕となる。

対訳付き音楽設計図

登場人物
アウレリアーノ
AURELIANO,
ローマの皇帝
imperatore di Roma
テノール
tenore

ゼノービア
ZENOBIA,
パルミラの女王,アルサーチェを愛している
regina di Palmita, amante di
ソプラノ
soprano

アルサーチェ
ARSACE
ペルシャの王子
principe di Persia
アルト・カストラート
今日ではメッゾソプラノ もしくは カウンターテノール
alto castrato
today mezzosoprao or counter tenor

プブリア
PUBLIA,
[ローマ皇帝]ヴァレリアーノの娘、アルサーチェを密かに愛している
figlia di Valeriano, amante segreta di Arsace
ソプラノ
soprano

リチーニオ
LICINIO,
行政官
tribuno
バス
basso

オラスペ
ORASPE,
パルミラの将軍
generale de' Palmireni
テノール
tenore

大祭司
GRAN SACERDOTE,
イシスの
d'Iside
バス
basso

羊飼い
UN PASTORE

バス
basso


祭司たちの合唱
CORO di SACERDOTI



パルミラの娘たちの合唱
CORO di DONZELLE palmirene



パルミラの戦士たちの合唱
CORO di GUERRIERI palmireni



ペルシャの戦士たちの合唱
CORO di GUERRIERI persiani



ローマの戦士たちの合唱
CORO di GUERRIERI romani



羊飼いの男たちの合唱
CORO di PASTORI



羊飼いの女たちの合唱
CORO di PASTORELLE



ローマの兵士たちの合唱
CORO di SOLDATI romani



パルミラの兵士たちの合唱
CORO di SOLDATI palmireni



ペルシャの兵士たちの合唱
CORO di SOLDATI persiani



日本語訳は極力文学的な色づけをせず、分析的な直訳にしてある。
音楽部分と歌詞は、基本的に ダニエレ・カルニーニとウィル・クラッチフィールドによる校訂のクリティカル・エディション総譜の記載に従っている。

Sinfonia Andante maestoso
4/4
E major
序奏付きの展開部を欠いたソナタ形式。
序奏は、第2幕 第9番 アルサーチェの大場面 の Maestoso の音楽からほとんどそのまま採られている。

コデッタ(小結尾部)(いわゆるロッシーニ・クレッシェンドの部分)は、
Allegro con brio
4/4
e minor / G major
[Allegro con brio]
4/4
E major
Più mosso
4/4
E major
ATTO PRIMO
[N. 1]
Introduzione

Zenobia
Arsace
Gran Sacerdote
Coro
Andantino
4/4
C major
(SCENA Ⅰ)(第1景)
(Gran tempio d'Iside con simulacro a destra)イジデ【= イシス】の大神殿 右に神像のある)
(Sacerdoti che fanno i sacrifici, Donzelle, Guerrieri e Popolo prostrati alla statua del nume. Gran Sacerdote)(祭司たち その者たちは 捧げものをしている、若い娘たち、兵士たち と 人々 神の像に 平伏した)

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI E DI SACERDOTI乙女たちの合唱,兵士たちと祭司たちの合唱
Sposa del grande Osiride,偉大なオジリデ【= オシリス】の妻よ、
madre d'Egitto e diva,エジプトの母よ そして 女神よ、
o che ti piaccia scendere君に 降りることが 気に入るのであれ
sovra l'inachia riva,イナコス川の岸の上に、
o in mezzo al Nil settemplice七重のナイル川の中央で
ti giovi il crin lavar,君が 君の髪を 洗うことが 好都合である 【↑】のであれ【≒ イナコス川の岸に 降臨したいのであれ、7つに分かれた ナイル川の真ん中で 髪を洗うのが良いにしても】
mira pietosa il popolo哀れみ深く 人々を 見なさい
steso al tuo santo altar.君の聖なる祭壇に 横たわっている【≒ 祭壇の前で 平伏している】【人々を】

CORO DI SACDERDOTI祭司たちの合唱
A te devoti svenano君に 敬虔に 出血させている
vittime i Sacerdoti:【生き物の】犠牲を 祭司たちは。

CORO DI VERGINI乙女たちの合唱
Le palpitanti Vergini乙女たちは 心臓を激しく鼓動させながら
t'appendon fiori e voti.君に 花と 供物を 奉納している。

CORO DI GUERRIERI兵士たちの合唱
Invoca te la supplice君に 請願を 希求している
guerriera gioventù:戦闘的な青年は【≒ 戦いに臨む若者たちは 君の加護を 求めている】

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI E CORO DI SACDERDOTI乙女たちの合唱、兵士たちの合唱 と 祭司たちの合唱
salvi il tremante popolo震える人々を 守るように
l'eterna tua virtù.【= イジデ = イシス】の 不滅の徳が。
Madre di questo regnoこの王国の母よ
accorda a noi sostegno.私たちに 支援を 与えなさい、
Il tuo tremante popolo君の 震える人々を
salva da tanto orror.守りなさい これほどたくさんの恐怖から。
この導入は大雑把に言って、開幕の合唱、大祭司と合唱の場面、ゼノービアとアルサーチェの二重唱から成っている。
開幕の合唱。

12小節から19小節まで、省略化記号 Vi--de あり。

(Gran tempio d'Iside con simulacro a destra)
Iside イシス、古代エジプトの神話における豊穣の女神。

Sposa del grande Osiride,
Osiride オシリス、古代エジプトの神話における冥界の神。イシスの兄であり夫である。

sovra l'inachia riva,
inachia イナコス川。ギリシャのペロポネソスの都市アルゴスを流れアルゴリコス湾に注ぐ。

o in mezzo al Nil settemplice
ナイル川は古代には大三角州地帯で7つの派川に分かれていた。

Allegro
4/4
a minor
GRAN SACERDOTE大祭司
(spaventato)(恐怖に満ちて)
Ah! L'ara si scuote,ああ! 祭壇が 揺れている、
il tempio s'oscura;神殿が 暗くなっている;
la dea ci percuote女神が 私たちを 苦しめている
con nuova sciagura;新たな災難で;
non miro, non sento,私は 見詰めていない、私は 聞いていない、
che pianto, e lamento,涙の他は、そして 呻き声【の他は】
che stragi e ritorte,大虐殺の他は そして 縄【≒ 束縛】【の他は】
che morte, che orror.死の他は、恐怖の他は。

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI E CORO DI SACDERDOTI乙女たちの合唱、兵士たちの合唱 と 祭司たちの合唱
Oh diva tremenda,ああ 恐ろしい女神よ、
pietade ti prenda君が 哀れみを 覚えるように
del nostro dolor.私たちの苦悩の。
大祭司と合唱の場面。

調性はかなり揺れる。

[Maestoso]
4/4
E-flat major
(SCENA Ⅱ)(第2景)
(Zenobia con seguito da una parte, ed Arsace dall'altra.(ゼノービア 従者の一行を伴って 一方の側から、そして アルサーチェ 別の側から)
(Appena escono, tutti gli circondano spaventati; Arsace e Zenobia li rassicurano)(彼らが 出て来ると すぐに、皆が 彼らを 取り巻く 恐怖に満ちて; アルサーチェとゼノービアは 彼らを 安心させる)

ZENOBIAゼノービア
Coraggio o figli...勇気を ああ 息子たちよ…

ARSACEアルサーチェ
Ahi quale,ああ 何という、
qual debolezza è questa!これは 何という無力だ!

ZENOBIAゼノービア
Zenobia ancor vi resta.ゼノービアが まだ 君たちには 残っている。

ARSACEアルサーチェ
vi resta Arsace ancor.君たちには まだ アルサーチェが 残っている。

ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
vi resta Arsace ancor.君たちには まだ アルサーチェが 残っている。

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI E CORO DI SACDERDOTI乙女たちの合唱、兵士たちの合唱 と 祭司たちの合唱
Ah! Se per noi pugnateああ! もし 私たちのために 君たちが 戦うならば
vinti non siamo ancor, no.私たちは まだ 負かされていない。
ゼノービアとアルサーチェの シェーナを前に置いた 緩(カンタービレ)/急(カバレッタ)の二部形式の二重唱。
シェーナ。

Andantino
2/4
E-flat major
ARSACEアルサーチェ
Se tu m'ami, o mia regina,もし 君が 私を 愛しているならば、ああ 私の女王よ、
tornerò di te più degno:私は 再び 君に 相応しく 戻ろう:
sola in Asia avrai tu regno,君だけが アジアにおいて 王権を 持つだろう
come regni sul mio cor.君が 私の心に 君臨するのと 同様に。

ZENOBIAゼノービア
Ah! soltanto il ciel, che invoco,ああ! ただ 天が、それに 私は 祈願している、
te conservi, o mio guerriero;君を 保護するように、ああ 私の戦士よ;
perderò corona, e impero,私は 失おう 王冠を、そして 帝国を
purché a me tu resti ognor.もし 君が これからもずっと 私に 残るのならば。

ARSACEアルサーチェ
Dea pietosa, o ciel, rimira哀れみ深い女神よ、ああ 天よ、見詰めなさい
così pura, e bella face:これほどに純粋な、そして 美しい顔を:
placa il fato di Palmira,パルミラの宿命を 落ち着かせなさい、
rendi a noi la prima pace,私たちに 最初の【≒ かつての】平和を 返しなさい。
e sorridi al nostro amor.そして 私たちの愛に 微笑みなさい。

ZENOBIAゼノービア
Così pura, e bella face:これほどに純粋な、そして 美しい顔を:
placa il fato di Palmira,パルミラの宿命を 落ち着かせなさい、
rendi a noi la prima pace,私たちに 最初の【≒ かつての】平和を 返しなさい。
e sorridi al nostro amor.そして 私たちの愛に 微笑みなさい。
カンタービレ(緩)。

Allegro
4/4
C major
(Musica guerriera)(戦闘的な音楽【≒ 軍楽隊の音楽】)

ZENOBIAゼノービア
Senti... ahimè!聞きなさい… ああ!

CORO DI VERGINI乙女たちの合唱
Qual suon lontano!何という 遠くの音だ!

ARSACEアルサーチェ
Suon di guerra...戦いの音だ…

CORO DI GUERRIERI戦士たちの合唱
Oraspe arriva.オラスペが やって来る。

ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
Che fia mai?いったい どうなるのだろうか?

CORO DI SACDERDOTI祭司たちの合唱
Ci assisti oh diva!私たちを 援助しなさい ああ 女神よ!

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI E CORO DI SACDERDOTI乙女たちの合唱,戦士たちの合唱 と 祭司たちの合唱
Ah! favella...ああ! 話しなさい…


(SCENA Ⅲ)(第3景)
Oraspe frettoloso con Soldati, e dettiオラスペ 慌ただしく 兵士たちと共に、そして 前の景の人たち

ORASPEオラスペ
Già l'insegne d'Aureliano既に アウレリアーノの軍旗が
dell'Eufrate sono in riva,ユーフラテス川の岸に ある、
e l'esercito romanoそして ローマ軍は
già minaccia la città.既に 町を 脅かしている。

ARSACEアルサーチェ
Voliamo al campo. Addio.私たちは 戦場に 【行くことを】 望む。さようなら。

ZENOBIAゼノービア
Ti seguo, o caro, anch'io.君に ついて行く、ああ いとしい人よ、私も。

CORO DI VERGINI乙女たちの合唱
(Prostrandosi tutti a Zenobia)(ゼノービアに向かって 皆 平伏し)
Chi salverà Palmira?誰が パルミラを 救うのだろうか?

CORO DI SACDERDOTI祭司たちの合唱
Resta: la dea m'inspira.留まりなさい: 女神が 私に 霊感を与える。

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI E CORO DI SACDERDOTI乙女たちの合唱,戦士たちの合唱 と 祭司たちの合唱
Difendi la città.町を 守りなさい。

ARSACEアルサーチェ
Resta,留まりなさい、
テンポ・ディ・メッゾ(中間部)。

(Allegro)
4/4
C major
resta, e mi sia partendo留まりなさい、そして 出発するので 私に
stringerti al sen concesso;【↑】されるように 胸に 君を 抱きしめることを;
maggiore a questo amplessoこの抱擁によって より大きく
il mio valor si fa.なる 私の勇気は。

ZENOBIAゼノービア
Resto; ah! mi sia restando留まりなさい; ああ! 留まるので 私に
stringerti al sen concesso;【↑】されるように 胸に 君を 抱きしめることを;
maggiore a questo amplessoこの抱擁によって より大きく
il mio timor si fa.なる 私の心配は。

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI E CORO DI SACDERDOTI乙女たちの合唱,戦士たちの合唱 と 祭司たちの合唱
Compagni, all'armi, all'armi;仲間たちよ、武器を取れ、武器を取れ;
Guerrieri, al campo, al campo;戦士たちよ、戦場に、戦場に;

CORO DI VERGINI乙女たちの合唱
de' vostri acciari al lampo君たちの剣のきらめきに
Roma tremar dovrà.ローマは 震え上がるに違いないだろう。

ORASPEオラスペ
All'armi, al campo, all'armi.武器を取れ、戦場に、武器を取れ。

CORO DI GUERRIERI [E CORO DI SACDERDOTI]戦士たちの合唱 [と 祭司たちの合唱]
de' nostri acciari al lampo私たちの剣のきらめきに
Roma tremar dovrà.ローマは 震え上がるに違いないだろう。

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI [E CORO DI SACDERDOTI]乙女たちの合唱、戦士たちの合唱 [と 祭司たちの合唱]
all'armi, al campo.武器を取れ、戦場に。
カバレッタ(急)。

Più mosso
4/4
C major
ZENOBIAゼノービア
maggiore a questo amplessoこの抱擁によって より大きく
il mio timor si fa.なる 私の心配は。

ARSACEアルサーチェ
maggiore a questo amplessoこの抱擁によって より大き
il mio valor si fa.なる 私の勇気は。

CORO DI VERGINI, CORO DI GUERRIERI [E CORO DI SACDERDOTI]乙女たちの合唱、戦士たちの合唱 [と 祭司たちの合唱]
All'armi, al campo;武器を取れ、戦場に;
Roma tremar dovrà.ローマは 震え上がるに違いないだろう。

(Partono Zenobia da un lato, ed Arsace dall'altro col loro seguito)(退場する ゼノービアは 一方の側から、そして アルサーチェは もう一方の側から 彼らの随員と共に)
ストレッタ。

[Recitativo] Dopo l'Introduzione

4/4
(C major)
(SECENA Ⅳ)(第4景)
GRAN SACERDOTE大祭司

GRAN SACERDOTE大祭司
Secondino gli dei,神々が 好意を示すように、
principe generoso, il tuo valore!寛大な王子よ、君の勇気に!
E se scritto è nel cielo,そして もし 天に 書き記されているならば、
che alla sorte di Romaローマの運命に
debba Palmira soggiacer, tua famaパルミラが 服従しなくてはならない 【↑】ことが、君の名声は
sarà eterna fra noi; dolce pensiero私たちの間で 不滅になるだろう; 【↓】すべての東方諸国の 甘い考え【≒ 思い出】
sempre sarai dell'Oriente intero.君は これからもずっと なるだろう。
[N. 2]
Aria [Gran] Sacerdote

Gran Sacerdote
Allegro
4/4
E-flat major
GRAN SACERDOTE大祭司
Stava, dirà la terra,世界が 【後の時代に】 言うだろう
contro Palmira il fato:宿命は パルミラに 敵対して 【↑】いた と:
in sua difesa armatoその防御に 武器を持って
Arsace sol pugnò.アルサーチェだけが 戦った と【≒ 逆運から パルミラを守るために戦ったのは アルサーチェだけだった】
Se nella sua rovinaもし その廃墟の中に
restò l'eroe sommerso,英雄が 覆い隠された ままだったならば、
fu, che col fato avversoそれは、敵対する宿命に対して
pugnar l'eroe non può.英雄が 戦うことはできない 【↑】ということだった【≒ アルサーチェですら 崩壊したパルミラに埋もれたのならば、それは 英雄は 敵対する運命に歯向かうことは出来ないことを意味する】 と。
(parte con tutti i sacerdoti)(退場する すべての祭司たちと共に)
A-B-A'の三部形式のアリア。

未来ではこう言われるだろう、と物語の現在を半過去形、遠過去形で言い表している。

[N. 3]
[Marcia e] Cavatina Aureliano

Coro
Marcia
4/4
C major
(SCENA Ⅴ)(第5景)
(Vasto campo, tutto in disordine, dopo sanguinosa battaglia, nella quale i Persiani sono rimasti sconfitti. Al fondo della scena si scorge l'Eufrate, e di là dal fiume la città di Palmira)(広い戦場、すべて乱雑である、血なまぐさい戦いの後で、その【= 戦いの】中で ペルシャ人たちは 敗北になった。舞台の奥に ユーフラテス川が 見付けられる、そして 川の向こう側に パルミラの町)
(Aureliano sopra una biga trionfale. Guerrieri vinti e prostrati. Licinio e soldati romani)(アウレリアーノ 祝勝の二輪戦車の上で。負かされた戦士たち と 平伏した【戦士たち】。リチーノ と ローマの兵士たち)
行進曲、合唱、レチタティーヴォを前に置いた 緩(カンタービレ)/急(カバレッタ)の二部形式のアウレリアーノのアリア。
行進曲。

Allegro
3/4
C major
CORO DI ROMANIローマ人たちの合唱
Vivi eterno, o grande Augusto,永遠に 生きなさい、ああ 偉大な皇帝よ、
all'Impero, al mondo intero;帝国で、全世界で;
e rispetti i lauri tuoiそして 敬意を表するように 君のゲッケイジュ【≒ 栄光】
ogni gente, ed ogni età.あらゆる人々が、そして あらゆる年齢が。
Al tuo crine il vinto Eufrate君の頭髪に 負かされたユーフラテス川が
nuove palme aggiungerà.新しいヤシ【の葉】を 付け加えるだろう。
合唱。

Recitativo


4/4
(C major)
AURELIANOアウレリアーノ
(sostenuto da' suoi scende dal carro)(彼の【兵士たち】に 支えられて 戦車から 降りる)
Romani, a voi soltantoローマ人たちよ、ただ君たちだけに
debbo i trionfi miei, spetta a voi tutto私は 私の勝利を 負っている、君たち全員に属している
di cotanta vittoria il pregio, e il frutto.これほど多くの勝利の価値【≒ 名誉】は、そして【これほど多くの勝利の】成果は。
Come in battaglia prodi,戦いで 勇敢だったように、
pronti l'ire a depor, se cessan l'armi,怒りを 脇に置く 用意をしなさい、戦闘が終わる時には、
(fa alzare i Prigionieri)(捕虜たちを 立たせる)
il vinto si risparmi,敗者が 容赦されるように、
e si faccia per voi noto alla terra,そして 君たちによって 世界に 周知させられるように、
che Roma è grande in pace, e grande i guerra.ローマが 平和おいて 偉大であることを、そして 戦争【においても】 偉大で【あることを】
レチタティーヴォ。

途中 Allegro 4/4 C major のオーケストラの合いの手が2回(2小節と1小節)挟まれる。

Andante
4/4
C major
Cara patria! il mondo trema,いとしい祖国よ! 世界は 震える、
se coll'armi abbatti i troni,もし お前が 戦闘で 王権を 打倒するならば、
ma t'adora allor che doniしかし それ【= 世界】は お前を 崇める お前が 贈る時には
pace ai vinti, e libertà.敗者たちに 平和を、そして 自由を。
緩(カンタービレ)。

Allegro
4/4
C major
CORO DI ROMANIローマ人たちの合唱
Sì, la terra, in pace, e in guerra,そうだ、平和において【も】、そして 戦争において【も】、世界に、
sempre Roma vincerà.いつでも ローマは 勝つだろう。
経過区。
(Allegro)
4/4
C major
AURELIANOアウレリアーノ
A pugnar mi accinsi, o Roma,私は 戦う 準備をした、ああ ローマよ、
col tuo nome impresso in cor.お前の名前で 心に 刻印されて【≒ お前の名前を 心に 深く刻んで】
Porgi i lauri alla mia chioma,ゲッケイジュ【≒ 月桂冠】を 私の頭髪に 与えなさい、
e ritorno vincitor.そうすれば 私は 勝利を収めて 戻る。

CORO DI ROMANIローマ人たちの合唱
Porgi i lauri alla sua chioma,彼の頭髪に ゲッケイジュ【≒ 月桂冠】を 与えなさい、
ei ritorna vincitor.そうすれば 彼は 勝利を収めて 戻る。
急(カバレッタ)。

Recitativo

4/4
(C major)
AURELIANOアウレリアーノ
Olà: venga, e s'ascoltiそら、来るように、そして 聞こう
il prence prigionier.捕らわれた王子が/を。


(SCENA Ⅵ)(第6景)
(Arsace [tra le Guardie] ed Aureliano)(アルサーチェ [衛兵たちの間に] そして アルレリアーノ)
(Esce Arsace, Aureliano li va incontro)(アルサーチェが 出る【≒ 登場する】、アウレリアーノは 彼の方に 行く)

AURELIANOアウレリアーノ
Stretto in catene鎖に 締め付けられて
eccoti Arsace: invan la Persia interaそら ここに アルサーチェが: 無駄に 全ペルシャに
armasti contro me: fur le tue schiere君は 武器を持たせた 私に対して: 君の部隊は
dal romano valor vinte e fugate,ローマの勇敢さに 負かされて そして 追い払われた、
in riva dell'Oronte, e dell'Eufrate.オロンテス川の岸で、そして ユーフラテス川の【岸で】

ARSACEアルサーチェ
Della fortuna avversa敵対する運命の
non rammentarmi in van lo sdegno estremo;甚だしい怒りを 虚しく【≒ 意味もなく】 私に思い出させるでない;
io son tuo prigionier; lo veggo, e fremo.私は 君の捕虜だ; 私は そのことを 理解している、そして 私は 【そのことに】 身震いしている。
Che se giustizia solaというのも もし ただ 公正さだけが
assistesse al pugnar, in lacci avvinto戦いに 立ち会うならば【≒ 運命が 戦いを 公正に 見守るならば】、罠【≒ 縛り縄】に 縛り付けられた
oggi Aurelian vedreiアウレリアーノを 今日 私は 見ているだろうに
al piede di Zenobia, e ai piedi miei.ゼノービアの足元に、そして 私の足元に。

AURELIANOアウレリアーノ
Principe, un folle amore王子よ、狂気の愛が
oh come ti cambiò! nemico a Romaああ 何と 君を 変えたことか! ローマの敵に
per Zenobia ti festi...君は なった ゼノービアのために…
Dovrei punirti; ma pietà mi desti.私は 君を 罰しなくてはならないだろう; しかし 君は 私に 哀れみを 引き起こしている。

ARSACEアルサーチェ
La tua pietà? conosce il mondo appieno君の哀れみだと? 世界は 十分に 心得ている
il Tebro ed Aureliano.テヴェレ川【≒ ローマ】を そして アウレリアーノを。
Non alberga pietade in cor romano.哀れみは 宿っていない ローマ人の心には。

AURELIANOアウレリアーノ
Fiero sei tanto! e che saria se vinto君は 非常に 大胆だ! それで 私は どうなるというのか もし
da te foss'io?君によって 私が 【↑】負かされたならば?

ARSACEアルサーチェ
L'Asia dolente ascolta,苦しんでいるアジアに 耳を傾けなさい、
l'Asia tel dirà.アジアは 君に そのことを【≒ そのように】 言うだろう。

AURELIANOアウレリアーノ
Custodi, al mio cospetto守衛たちよ、私の面前から
si tolga: io t'abbandono alla tua sorte.彼が 立ち退くように: 私は 君を 君の運命に 委ねる。

ARSACEアルサーチェ
Da forte io vissi, e morirò da forte.私は 強者らしく 生きた、そして 強者らしく 死のう。
(partono. Aureliano entra nelle tende. Arsace è condotto via tra le Guardie)(【両者とも】 退場する。アウレリアーノは 天幕の中に 入る。アルサーチェは 連れ去られる 衛兵たちに囲まれて)


(SCENA Ⅶ)(第7景)
(Licinio)(リチーニオ)
(Intanto le truppe si vanno ritirando, quando parte Licinio, la scena resta vuota)(その間に 群衆は 後ろに下がりつつある、リチーニオが退場する時に、舞台は 空になる)

LICINIOリチーニオ
Giorno di gloria è questo,これは 歓喜の日だ、
Roma, per te. Fu vendicato assaiローマよ、お前にとって。大いに 仕返しされた
tanto sangue latinoローマ人の 大量の血は
onde l'Asia rubella ancor rosseggia.反逆するアジアが もう一度 赤くなる【≒ 赤面する】ために。
Nell'infedele reggia不忠な王宮で
tremi Zenobia, e nel destin d'Arsaceゼノービアは 震え上がるがいい、そして アルサーチェの運命に
legga qual sorte acerba彼女が 何らかの つらい運命を 読み取るがいい
fra poco il Tebro punitor le serba.間もなく 罰するテヴェレ川が 彼女に 取っておいている【≒ ゼノービアは アルサーチェの運命から 罰を与えるローマが 彼女に残している 過酷な運命を 悟るがいい】
parte退場する

cambia scena場面が変わる


(SCENA Ⅷ)(第8景)
(Interno d'un magnifico padiglione, che s'apre a destra e a sinistra)(立派な大天幕の内部、それは 開いている 右に そして 左に)
(Aureliano e Publia, indi Licinio, in ultimo Oraspe)(アウレリアーノ と プブリア、それから リチーニオ、最後に オラスペ)

AURELIANOアウレリアーノ
Vincemmo, o Publia; ma ci resta ancora私たちは 勝利を得た、ああ プブリアよ; だが 私たちには まだ 残っている
Palmira a soggiogar. Finché Zenobiaパルミラを 征服することが。ゼノービアが
nella forte città chiusa rimane強固な町の中に 閉鎖されて居残っている【≒ 閉じ篭っている】 【↑】限り
sfida impunita l'aquile romane.彼女は 処罰されずに ローマの鷲 わし たちに 挑戦している。

PUBLIAプブリア
(con premura)(慎重に)
E il prince prigionier!..それで 捕らわれた王子は!…

AURELIANOアウレリアーノ
Purché nemicoもし 彼が
di Zenobia ritorni, io gli perdono,ゼノービアの 【↑】敵に 戻る 【↑】ならば、私は 彼を 容赦し、
sciolgo i suoi lacci e lo ripongo in trono.彼の縄【≒ 縛り縄】を 解き そして 彼を 王位に 戻す。

LICINIOリチーニオ
(esce)(出る)
De' Palmireni il duce, Augusto, chiedeパルミラの司令官が、皇帝よ、求めている
di presentarsi a te.君に 出頭【≒ 面会】することを。

AURELIANOアウレリアーノ
Venga.彼が 来るように。

PUBLIAプブリア
(Che fia?)(彼は どうなるのだろうか?)

LICINIOリチーニオ
(fa avanzare Oraspe)(オラスペを 進ませる)

ORASPEオラスペ
Zenobia ad Aurelian salute invia.ゼノービアが アウレリアーノに 挨拶を 送っている。
Di favellarti brama, ove ti piaccia彼女は 君と話すことを 切望している、君に気に入る場所で
che venir possa illesaそこに 彼女は 損害を受けずに 来ることができる
dalle guardate mura警護された城塞から
al tuo campo, e partir.君の陣営へと、そして 去る【ことができる】

AURELIANOアウレリアーノ
Venga: è sicura.彼女が 来るがいい: 彼女は 安全だ。

ORASPEオラスペ
(parte)(退場する)

AURELIANOアウレリアーノ
De' Persi prigionieri,ペルシャの捕虜たちの、
al manco lato左側に、
della tenda, si tragga天幕の、移動するように、
il numeroso stuol, e qui si schieri多数の一団が【≒ ペルシャの捕虜たちの一団を、天幕の左側に 移送させるように】、そして ここに 配置されるように
il drappel de' Tribuni e de' Guerrieri.行政官たちの一行を そして 戦士たちの【一行を】

PUBLIAプブリア
Sul proprio fato incerta彼女自身の 不確かな宿命に関して
forse pace sospira.おそらく 彼女は 平和を 請い願う【だろう】

AURELIANOアウレリアーノ
È troppo altera,彼女は あまりにも 尊大だ、
onde s'esponga all'onta身を晒すには
della ripulsa mia. Pensar conviene私の拒否の 【↑】恥辱に。考える必要がある
che alta cagion la mova.高い【≒ 立派な ≒ もっともな】口実を 彼女の心を動かす

PUBLIAプブリア
Ella già viene.彼女は 既に 来ている。
※ 注 ※
初演直前に削除されたと思われる N. 3bis アルサーチェとアウレリアーノの二重唱 は、一番下に補遺として掲載している。今日での上演では一般的にこの二重唱が採用される。

in riva dell'Oronte, e dell'Eufrate.
オロンテス川はトルコ南部からシリア西部を流れ地中海に注ぐ川。古代都市アンティオキア(現在のアンタキヤ)を貫いて流れる川としても知られる。パルミラはユーフラテス川とオロンテス川の中間地点に位置する。

[N. 4]
Coro

Coro
Moderato
4/4
C major
(SCENA Ⅸ)(第9景)
(S'apre il padiglione a sinistra, ove si scorge Zenobia sopra un magnifico carro con tutto il suo seguito, parte del quale porta ricchi doni. Aureliano si pone sopra una sedia elevata)(大天幕が 左に 開く、そこには ゼノービアが 認められる 立派な馬車の上に 彼女の従者の一行全員と共に、その【= 従者の一行の】一部は 豪華な進物を 運んでいる。アウレリアーノは 高い【ところにある】椅子の上に身を置いている)
(Coro di Guerrieri romani e di Donzelle palmirene. Oraspe, Licinio e Publia)(ローマ人の戦士たちの合唱 と パルミラの娘たちの【合唱】。オラスペ、リチーニオ と プブリア)

(Durante il canto del Coro, Zenobia scende dal carro ed entra nel padiglione con Oraspe)(合唱の歌の間に、ゼノービアは 馬車から 降りる そして 大天幕の中に 入る オラスペと共に)

CORO DI DONZELLE PALMIRENEパルミラの娘たちの合唱
Possan Zenobia e Cesareゼノービアと 皇帝が
depor lo sdegno antico;過去の怒りを 脇に置く【≒ 捨てる,水に流す】 【↑】ことができるように;
si stringa in nodo amico抱き締め合うるように 友情で結ばれた絆に
belleza col valor.美が 勇敢さと。

CORO DI ROMANIローマ人たちの合唱
Venga Zenobia, o Cesare,ゼノービアが 来るように、ああ 皇帝よ、
e da te pace implori.そして 彼女が 君に 平和を 哀願するように。
Venga, e in Augusto onori彼女が 来るように、そして 皇帝に 彼女が 栄誉を授けるように
dell'Asia il domator.アジアの征服者の。
合唱。

e da te pace implori.
implorare ql.co. da qlcu. 人に物を哀願する

[Recitativo] Dopo il Coro

4/4
(C major)
ZENOBIAゼノービア
Cesare, a te mi guida皇帝よ、君に 私を 案内している
gratitudine, e amor. De' Persi il prence感謝の気持ちが、そして 愛が。ペルシャの王子が
per me pugnò: vinto rimase, e dura私のために 戦った: 彼は 負かされた、そして 辛い
nel roman campo servitù sostiene:拘束を ローマの野営地で 持ちこたえている:
vengo a scioglier, signor le sue catene.私は 解きに来ている、貴君よ 彼の鎖を。

PUBLIAプブリア
(Ah! lo previdi.)(ああ! 私は そのことを 予見した。)

AURELIANOアウレリアーノ
Invan chiedi, regina,君は 虚しく 求めている、女王よ、
la libertà d'Arsace: egli di Romaアルサーチェの自由を; 彼は ローマの
si è fatto traditor; né invendicato裏切者になった; 【彼が】 罰を受けずに
Roma lasciar può mai cotanto oltraggio.ローマが それほど大きな冒涜を 放置することは 決して でき 【↑】ない。
(Che sembianza gentil!)(何という 優美な顔付きだ!)

ZENOBIAゼノービア
(Alma, coraggio!)(魂よ、勇気を出せ!)
(mostra i doni che ha recato)(進物を 見せる それを 彼女は 持って来た)
Prezzo d'Arsace, io t'offroアルサーチェの代価を、私は 君に 提供する
quanto l'Asia produceアジアが 生み出している
di più raro per noi; se quel tesoro,私たちにとって 最も稀の 【↑】ものを; もし その宝物が、
che in dono a te recai,それを 私は 進物として 君に 持って来た
poco ti sembra, altro maggior n'avrai.それが 不十分だと 君には 思われるならば、それについて 君は 他の より多い【進物】を 受けるだろう。

ORASPEオラスペ
(Che risponder potrà?)(彼は 何と 答えることができるだろうか?)

AURELIANOアウレリアーノ
Poco, o regina,ほとんど、ああ 女王よ、
Roma conosci, e me: dove accordassi君は ローマを 心得て 【↑】いない、そして 私を: もし 私が 許可するならば
la libertà d'Arsace,アルサーチェの自由を、
mi recheresti invano i doni tuoi...君は 虚しく 君の進物を 持って来るだろうに【≒ 私が アルサーチェの解放を 認めるには、進物は 役に立たない】
Dona Aurelian, non vende, i servi suoi.アウレリアーノは 進呈する、売るのではない、君の奴隷たちを。

ZENOBIAゼノービア
Forse avverrà, che il ferro,ことによると、剣が、
più che i tesori miei, porga a lui scampo.私の宝物よりも、彼に 逃走手段を 与える 【↑】こともあるだろう。

AURELIANOアウレリアーノ
Dunque guerra tu vuoi?では 君は 戦争を 望んでいるのか?

ZENOBIAゼノービア
T'invito in campo.私は 君を 戦場に 招く。

(s'apre la tenda dalla parte destra, e si vedono prostrati tutti i Prigionieri)(右側の天幕が開く、そして 捕虜たち全員が 平伏しているのが 見られる)

AURELIANOアウレリアーノ
Pria di partir: mira, e contempla in loro立ち去る前に: 見詰めなさい、そして 凝視しなさい 彼らに
il tuo destin: cedi Zenobia, e tutti君の運命を: 屈しなさい ゼノービアよ、そうすれば 皆
a te li dono, ed a te rendo Arsace.彼らを 私は 君に 進呈する、そして 私は 君に アルサーチェを 返す。

ZENOBIAゼノービア
No: di viltà non è il mio cor capace.いいや: 私の心は 卑怯な行為は できない。
[N. 5]
Coro, Scena ed Aria Zenobia

Zenobia

Coro
Coro

Andantino
3/4
a minor
CORO DI PRIGIONIERI捕虜たちの合唱
(stendendo le braccia a Zenobia)(ゼノービアに腕を差し伸べて)
Cedi, cedi: a lui t'arrendi...屈しなさい、屈しなさい: 彼に 従いなさい…
Senti, o Dio, di noi pietà!聞きなさい、ああ 神よ 私たちの哀れみを!
Ah! regina, a noi tu rendiああ! 女王よ、私たちに 君が 返すように
pace, patria e libertà.平和、祖国 と 自由を。
合唱、シェーナ、緩(カンタービレ)/急(カバレッタ)の二部形式のゼノービアのアリア。
合唱。

[Scena]

Recitativo


4/4
(C major)
ZENOBIAゼノービア
(interrompe con sdegno)(遮って 怒りをもって)
Ah no: voi lo sperate invano.ああ いいや:君たちは そのことを 虚しく 期待している。
Giacché tanto Aurelianoアウレリアーノが あれほど
seppe negar, che il prigioniero io veda拒むことができる 【↑】以上は、私が 捕虜 【= アルサーチェ】に 会うことを
permetta almen; per pochi istanti il chiedo.彼が せめて 許すように; 僅かな瞬間【≒ 束の間でも】 私は そのことを 要求する。

PUBLIAプブリア
(Che pretende?)(彼女は 何を 強く求めているのか?)

LICINIOリチーニオ
(Che vuole?)(彼女は 何を 望んでいるのか?)

AURELIANOアウレリアーノ
Io tel concedo.私は 君に そのことを 認める。
Ti fia scorta Licinio. Ah pensa in pria,君には リチーニオが 付添いになるだろう。ああ まず 考えなさい
che ti prepari la rovina estrema.君が 極度の破滅を 準備していることを。
Mira il perglio in cui t'avvolgi, e trema.危険を 見詰めなさい その中に 君が 巻き付いている、そして 震えなさい。
シェーナ。

Allegro
4/4
E-flat major
ZENOBIAゼノービア
Tremar Zenobia? ah! finché resta un brando,ゼノービアが 震えるだと? ああ! 剣が 残っている 間に、
tremar degg'io? non è fecondo私が 震えなくてはならないのか? 多産なのではない
il Tebro sol d'eroi:テヴェレ川だけが 英雄を【≒ ローマだけが 英雄を 輩出しているのではない】
si sa morir da forte anche fra noi.強者らしく【≒ 勇敢に】 死ぬことができる 私たちの間で【も】
E son mortali anche i Romani, e sannoそして ローマ人たちも また 人間である、そして 彼らは 知っている
quai piaghe e stragi fannoどのような切り傷を そして 大虐殺を なすことが 【↑】できるのか
le palmirene spade, e, se noi purパルミラの剣が、そして、私たちも また
vincer sapemmo in prima,以前に 勝つことができた 【↑】のであれば、
ne sia fede il fatal campo di Tima.ティマの 死の戦場が それについて【= パルミラの剣がなしたことについて】 証明【≒ 証人】であるように。
シェーナの続きだが、激しさが増している。

54小節から63小節まで、省略可記号 Vi- -de が付けられている。

ne sia fede il fatal campo di Tima.
ティマ Tima は、おそらくエジプト中部、主要都市であるアシュートからさらにナイル川を遡った西岸の都市を指すと思われる。ここで具体的にどのような戦いがあったのかについては調査中。

Aria Zenobia

Maestoso
4/4
E-flat major
ZENOBIAゼノービア
Là pugnai; la sorte arriseあそこで 私は 戦った; 運命は 微笑んだ
a Palmira, e al braccio mio:パルミラに、そして 私の腕に:
[quel gran] giorno non oblio,[あの素晴らしい]日を 私は 忘れない、
quel gran giorno ancor verrà.あの素晴らしい日は また 来るだろう。

CORO DI PRIGIONIERI捕虜たちの合唱
Senti oh Dio! pietà d'Arsace,感じなさい ああ 神よ! アルサーチェの哀れみを、
senti oh Dio! di noi pietà.感じなさい ああ 神よ! 私たちの哀れみを。

CORO DI ROMANIローマ人たちの合唱
Se non vuoi da Roma pace,君が ローマによる平和を 望まないならば、
ceppi e morte a te darà.それ【= ローマ】は 足枷と 死を 君に 与えるだろう。
ゼノービアのアリアの緩(カンタービレ)。

74小節から100小節まで、省略可記号 Vi- -de が付けられている。

Allegro
4/4
c minor
ZENOBIAゼノービア
Palpito insieme o Dio!私は 心臓がどきどきしている ああ 神よ! 同時に
e di furore avvampo.そして 私は 激情に かっとなっている。
(ai Prigionieri)(捕虜たちに)
Voi rimanete: addio:君たちは 留まりなさい; さようなら:
(ai Romani)(ローマ人たちに)
Voi m'attendete al campo, addio:君たちは 戦場で 私を 待ちなさい、さようなら:
un dio mi sprona all'armi:神が 私を 戦闘へと 励ましている:
un dio mi reggerà.神が 私を 支えるだろう。
Addio, all'armi.さようなら、戦闘に。

CORO DI PRIGIONIERI捕虜たちの合唱
Senti oh Dio! pietà d'Arsace,感じなさい ああ 神よ! アルサーチェの哀れみを、
senti oh Dio! di noi pietà.感じなさい ああ 神よ! 私たちの哀れみを。
テンポ・ディ・メッゾ(中間部)。

Più lento
4/4
E-flat major
ZENOBIAゼノービア
No, non piangete, o sventurati,いいや、泣くでない、ああ 不運な人たちよ!
in catene è ver gemete;君たちが 鎖に繋がれて 呻いている それは 本当だ;
ma fratelli e figli avreteだが 君たちは 兄弟たちと 息子たちを 持つだろう
per donarvi libertà.君たちに 自由を 与えるために。
急(カバレッタ)。

Più mosso
4/4
E-flat major
Non piangete, o sventurati,泣くでない、ああ 不運な人たちよ、
in catene è ver gemete;君たちが 鎖に繋がれて 呻いている それは 本当だ;
ma fratelli e figli avreteだが 君たちは 兄弟たちと 息子たちを 持つだろう
per donarvi libertà.君たちに 自由を 与えるために。

CORO DI ROMANI E CORO DI PRIGIONIERIローマ人たちの合唱 と 捕虜たちの合唱
Cedi, cedi; il fato istesso屈しなさい、屈しなさい; 宿命でさえ
tutti, tutti opprimerà.皆を、皆を 虐げるだろう。

ZENOBIAゼノービア
Voi rimanete: addio:君たちは 留まりなさい; さようなら:
voi m'attendete in campo:君たちは 戦場で 私を 待つように:
un dio mi sprona all'armi:神が 私を 戦闘へと 励ましている:
un dio mi reggerà.神が 私を 支えるだろう。
Addio, all'armi.さようなら、戦闘に。

CORO DI PRIGIONIERI捕虜たちの合唱
Senti oh Dio! pietà d'Arsace,感じなさい ああ 神よ! アルサーチェの哀れみを、
senti oh Dio! di noi pietà.感じなさい ああ 神よ! 私たちの哀れみを。
急(カバレッタ)の続き。

Più lento
4/4
E-flat major
ZENOBIAゼノービア
No, non piangete, o sventurati,いいや、泣くでない、ああ 不運な人たちよ、
in catene è ver gemete;君たちが 鎖に繋がれて 呻いている それは 本当だ;
ma fratelli e figli avreteだが 君たちは 兄弟たちと 息子たちを 持つだろう
per donarvi libertà.君たちに 自由を 与えるために。
Più mosso
4/4
E-flat major
Non piangete, o sventurati,泣くでない、ああ 不運な人たちよ、
in catene è ver gemete;君たちが 鎖に繋がれて 呻いている それは 本当だ;
ma fratelli e figli avreteだが 君たちは 兄弟たちと 息子たちを 持つだろう
per donarvi libertà.君たちに 自由を 与えるために。

CORO DI PRIGIONIERI E DI ROMANI捕虜たちの合唱 と ローマ人たちの
Cedi, cedi; il fato istesso屈しなさい、屈しなさい; 宿命でさえ
tutti, tutti opprimerà.皆を、皆を 虐げるだろう。
Più mosso
4/4
E-flat major
ZENOBIAゼノービア
All'armi: un dio mi reggerà.戦闘に: 神が 私を 支えるだろう。

CORO DI PRIGIONIERI E DI ROMANI捕虜たちの合唱 と ローマ人たちの
Sì, tutti noi opprimerà.そうだ、それは 私たち 皆を 虐げるだろう。

ZENOBIAゼノービア
(parte scortata da Licinio, indi Oraspe e seguaci)(退場する リチーニオに付き添われて、それから オラスペと 従者が 【退場する】)
ゼノービアのアリアのストレッタ。

[Recitativo] Doppo l'Aria di Zenobia

4/4
(C major)
(SCENA Ⅹ)(第10景)
(Aureliano e Publia)(アウレリアーノと プブリア)

AURELIANOアウレリアーノ
Chi mai creduto avriaいったい 誰が 思ったろうか
tanta costanza in lei,彼女の あれほどたくさんの意志の強固【≒ あれほどに強い意志】を、
e sì rara beltà? Quasi io cedea;そして あれほどに 滅多にない美しさを?
e s'ella in atto umileそして もし 彼女が 恭順な態度で
chiesto pietà m'avesse, in quell'istante.私に 哀れみを 求めたならば、あの瞬間に、
forse io poteva...ことによると 私は できたかも…

PUBLIAプブリア
(Ah! fosse Augusto amante!)(ああ! 皇帝が 愛人になるなら【≒ 恋に落ちるなら】!)
Troppo Zenobia è altera,ゼノービアは あまりにも 尊大だ、
onde possa al tuo piè giammai prostrataだから 彼女は 決して 君の足元に 平伏して
chieder pietade e pace.哀れみ と 和平を 請うことが 【↑】できなかったのだろう。

AURELIANOアウレリアーノ
La sventura d'Arsaceアルサーチェの不運は
e il suo stesso periglio a questo passoそして 彼女自身の危険は この歩みでは【≒ この調子だと】
forse la ridurrà: potrebbe il prenceおそらく 彼女を 縮小するだろう【≒ 彼女の気勢を 殺ぐだろう】。王子は できるかもしれない
in lei temprare quell'orgolio insano.彼女の あの正気でない高慢さを 和らげ 【↑】ることが。

PUBLIAプブリア
Voglian li dei che tu non speri invano!神々が 望むように 君が 虚しく 期待しないことを【≒ 君の期待が 無駄にならないことを】

AURELIANOアウレリアーノ
Ma se non cede, e sfidaだが もし 彼女が 屈しなかったならば、そして 立ち向かうならば
il mio rigor, per sé, per lui paventi;私の手厳しさに、自分のために、彼のために 恐れるがいい;
non tradirò di Roma私は 傷つけることはないだろう ローマの
la gloria mai, né tradirò la mia:栄光を 決して、【そして】 私は 私の【栄光】を 裏切ることもないだろう:
m'avrà qual più desia,彼女は 私を させるだろう 彼女が より 望むように、
generoso o crudele; o in questo giorno寛容に あるいは 残酷に【≒ 私が 寛容になるのも 残酷になるのも 彼女次第だ】; あるいは この日に
chiede la mia pietade,彼女は 私の哀れみを 請う 【↑】か、
o coll'amante suo Zenobia cade.あるいは 彼女の恋人と共に ゼノービアは 倒れるか。
(parte)(退場する)


(SCENA ⅩⅠ)(第11景)
Publia solaプブリア一人

PUBLIAプブリア
Se Zenobia s'arrende, amante Augustoもし ゼノービアが 屈するならば、皇帝は 愛人に
potrebbe divenir: potrebbe Arsaceなることができるかもしれない【≒ ゼノービアと 恋に落ちるようになるかもしれない】: アルサーチェは
amarmi forse un dì. Da voi mi vieneことによると そのうちに 私を 愛する 【↑】ことができるかもしれない。 君たち【= 神々 2行下】から 私に 来る
così dolce conforto,これほどに 甘い 慰めが、
numi, da voi; ma per pietà non sia神々よ、君たちから; しかし 後生だから
poscia tradita la speranza mia.後で 私の期待が 裏切られることが 【↑】ないように。
(parte)(退場する)
m'avrà qual più desia, / generoso o crudele
ここでの avere は使役(avere + qu.cu.+ 形容詞 人を―にさせる)と理解した。ここでの quale は ―のように。come と同義。

[N. 6]
Finale Ⅰ










Maestoso
4/4
a minor
(SCENA ⅩⅡ)(第12景)
(Interno d'un antico castello che serve di prigione ad Arsace)(古い城の内部 それは アルサーチェの牢獄に 役立っている【≒ 利用されている】)
(Arsace mestamente seduto sopra un sasso, e Zenobia di dentro)(アルサーチェ 打ち沈んで 石の上に座って、そして ゼノービア 内部【≒ 舞台裏】から)

ARSACEアルサーチェ
Eccomi, ingiusti numi,そら ここに私が、不公平な神々よ、
oppresso e prigionier! Come in un sol giorno抑圧されて そして 捕らわれて! 何と たった一日で
la sorte mia cangiò!私の運命は 変わったことか!
シェーナ、アルサーチェのアリエッタ、シェーナ、ゼノービアとアルサーチェの二重唱の緩、二重唱の急、シェーナ、アウレリアーノが加わった三重唱、経過区、コンチェルタート、ストレッタからなる第1幕フィナーレ。
シェーナ。

Sostenuto
4/4
C major
soffrir costante常に 苦しむことが
potrei tutto l'orror de' mali miei...私は できるのだが すべての 私の不運の嫌悪を【≒ 私は 自分の不運を嘆いて 苦しみ続けることもできるのだが】
Ma Zenobia...だが ゼノービアは…
シェーナの続き。

Adagio
4/4
C major
Zenobia!... io ti perdei.ゼノービアよ!… 私は 君を 失った。
シェーナの続き。

Andantino
6/8
C major
Chi sa dirmi, o mia speranza,誰が 私に 言うことができるのか、ああ 私の希望【の人】よ、
se mai più ti rivedrò?私が もう 二度と 君に 再会しないだろう かどうか?
Ah! la vita che m'avanzaああ! 命を それは 私に 残っている
te chiamando io perderò.君を 呼びながら 私は 失うだろう。
アルサーチェのアリエッタ。

Recitativo


4/4
(C major)
ZENOBIAゼノービア
di dentro内部【≒ 舞台裏】から
Arsace... Arsace mio...アルサーチェよ… 私のアルサーチェよ…

ARSACEアルサーチェ
Qual voce!あの声は!


(SCENA ⅩⅢ)(第13景)
Zenobia scortata da Licinio che parteゼノービア リチーニオに付き添われて その者は 退場する

ZENOBIAゼノービア
Arsace!..アルサーチェよ!…
Vieni, caro, al mio sen.来なさい、いとしい人よ、私の胸に。

ARSACEアルサーチェ
Zenobia! o Dio!ゼノービアが! ああ 神よ!
Sei pur tu? ti riveggo? ah! qual mi trovi?もしかして 君なのか? 私は 君に 再会しているのか? ああ! 君は 私に どんなものを 見出しているのか【≒ 君には 私が どのように 見えているのか】
Qual m'è forza lasciarti!何と 君と 別れることは 私には 避けられないことなのか!

ZENOBIAゼノービア
Ah! tutto io sentoああ! 私は すっかり 感じている
in sì fiero momentoこれほどの厳しい瞬間に
l'orror del mio destin...私の運命の恐怖を…

ARSACEアルサーチェ
Cara! io formaiいとしい人よ! 私は 育成した【≒ 育んでいた】
quest'unico desire...この唯一の願いを…
rivederti una volta e poi morire.君と もう一度 再会して そして それから 死ぬことを。
シェーナ。

Sei pur tu? ti riveggo? ah! qual mi trovi?
疑問詞の quale は基本的に選択を求める言葉で、この qual mi trovi? は、アルサーチェがゼノービアに、自分がどの状態(喜んでいる、悲しんでいる、などの)にあると見ているのか、と尋ねている。

Allegro
4/4
(C major)
ZENOBIAゼノービア
No, no: non morrai:いいや、いいや: 君は 死なないだろう:
シェーナの続き。

Presto
4/4
(C major)
tutto a versar son pronta私は すっかり 流す 用意ができている
il sangue mio pur che tu viva... ah! spera:私の血を 君が 生きる【ために】ならば… ああ! 期待しなさい!
per te combatto, avrò vittoria intera.私は 君のために 戦い、私は 全面的な勝利を 得るだろう。

ARSACEアルサーチェ
Ah! non voler mia spemeああ! 望むでない 私の希望【の人】
avventurar tuoi giorni: io ti scongiuro...君の日々【≒ 命】を 危険に晒すことを: 私は 君に 懇願する…
salvati per pietà: l'empio nemico身を守りなさい 後生だから: 無慈悲な敵が
di tua sconfitta aver non possa il vanto.君の敗北の功績を 得られないように。
シェーナの続き。

Adagietto
4/4
(C major)
ZENOBIAゼノービア
Deh! taci, ahimè!.. parlar mi vieta il pianto.ああ! 黙りなさい、ああ!… 涙が 私に 話すことを 禁じる。
シェーナの続き。

Duetto

Moderato
4/4
F major
ARSACEアルサーチェ
Va': m'abbandona, e serba行きなさい: 私を 捨てなさい、そして 取っておきなさい
i tuoi bei giorni o cara,君の 素晴らしい日々【≒ 命】を ああ いとしい人よ、
deh! vivi, e meno amaraお願いだから! 生きなさい、そうすれば もっと少なく つらい【≒ それほどつらくはない】
sarà la morte a me.だろう 私にとって 死は。

ZENOBIAゼノービア
No: non ti lascio: io moroいいや: 私は 君を 置いていかない: 私は 死ぬ
se a te non vivo unita.もし 私が 君と一緒に 生きないならば。
Dipende la mia vita私の命は
idolo mio da te.私の偶像よ 君 【↑】次第だ。

ARSACEアルサーチェ
Solo rammenta almenoただ せめて 思い出しなさい
dell'amor nostro i dì.私たちの愛の日々を。

ZENOBIAゼノービア
Mi strappi il cor dal seno君は 私の胸から 心臓を 引き抜いている
nel favellar così.そのように話して。

ARSACEアルサーチェ
Va': m'abbandona.行きなさい: 私を 捨てなさい。

ZENOBIAゼノービア
No: non ti lascio.いいや: 私は 君を 置いていかない。
ゼノービアとアルサーチェの 緩(カンタービレ)/急(カバレッタ)の二部構成の二重唱。
緩(カンタービレ)。
Allegretto
2/4
F major
ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
Che barbara stella何と 残酷な星が
mirò la mia cuna!私の揺り籠を 見詰めたことか【≒ 何と 残酷な星によって 生まれた時に 狙いを定められてしまったことか】
Se coppia sì bellaこれほどに素晴らしい恋人同士を
divide fortuna!運命が 引き離すなんて!
Ah! solo al doloreああ! 苦しみのためだけに
l'amore ci unì.愛の神は 私たちを 結び付けた。

ARSACEアルサーチェ
Va', va': m'abbandona, sì, ah!行きなさい、行きなさい: 私を 捨てなさい、そうだ、ああ!

ZENOBIAゼノービア
Non ti lascio, no, no: no, ah!私は 君を 置いていかない、いいや、いいや: いいや、ああ!
急(カバレッタ)。

278小節から323小節まで、省略可記号 Vi--de が付いている。

mirò la mia cuna!
ここでの mirare は、自動詞での意味である 狙いを定める の意味に近い。生まれた時から不幸な運命にある、という意味。

Moderato
4/4
C major
(SCENA ⅩⅣ)(第14景)
(Aureliano con seguito, e detti)(アウレリアーノ 従者の一行と共に、そして 前の景の人たち)

AURELIANOアウレリアーノ
(alle Guardie che tolgono le catene ad Arsace)(衛兵たちに その者たちは アルサーチェから 鎖を 外す)
Eseguite. Arsace, ascolta,遂行しなさい。アルサーチェよ、聞きなさい、
sento ancor di te pietà.私は 再び 君に 哀れみを 感じている。
ad offrirti un'altra voltaもう一度 君に 提供するために
vita io vengo e libertà.私は 来ている 命を そして 自由を。

ZENOBIAゼノービア
Oh! gioia!ああ! 歓喜だ!

ARSACEアルサーチェ
(a Zenobia)(ゼノービアに)
Ah! mia tu sei!ああ! 君は 私のものだ!

AURELIANOアウレリアーノ
Ma la regina...だが 女王は…

ARSACEアルサーチェ
Parla.話しなさい。

AURELIANOアウレリアーノ
Abbandonar la dei.君は 彼女を 放棄しなくてはならない。

ZENOBIAゼノービア
Che sento?私は 何を 聞いているのか?

ARSACEアルサーチェ
Abbandonarla!彼女を 放棄するだって!

AURELIANOアウレリアーノ
Il voglio.私は そのことを 望んでいる。

ARSACEアルサーチェ
A questo prezzoこの代償での
la libertà disprezzo,自由を 私は 軽蔑する、
morte terror non ha.死は 恐怖を 持っていない【≒ 死は 私には 恐怖を 呼び起こさない】

AURELIANOアウレリアーノ
E il beneficio mio...では 私の恩恵【≒ 恩赦】は…

ARSACEアルサーチェ
Io lo ricuso.私は それを 拒否する。

AURELIANOアウレリアーノ
Indegno!恥ずべき男め!

ZENOBIAゼノービア
(accorrendo ora all'uno ora all'altro)(駆け寄って 時に 一方に 時に 他方に)
Arsace... Augusto... oh Dio!アルサーチェよ… 皇帝よ… ああ 神よ!
(ad Aureliano)(アウレリアーノに)
Calmati!落ち着きなさい!

AURELIANOアウレリアーノ
Piombi su te lo sdegno...怒りが 君【= アルサーチェ】の上に 急に落ちるように…

ZENOBIAゼノービア
Io lo difendo.私が 彼を 守る。

AURELIANOアウレリアーノ
(rivolgendosi a Zenobia)(ゼノービアの方に 向き直って)
Trema.震えなさい。
S'appressa l'ora estrema...最後の時が 近付いている…
L'audace...大胆な者め。

ZENOBIAゼノービア
Ahimè!ああ!

AURELIANOアウレリアーノ
Morrà.彼は 死ぬだろう。

(pausa. Aureliano li contempla con furore. Arsace e Zenobia restano addolorati, indi corrono ad abbraciarsi)(休止。アウレリアーノは 彼らを 激情をもって 凝視する【≒ 激怒して 睨み付けている】。アルサーチェと ゼノービアは 深く悲しんだままでいる、それから 抱き合いに駆け付ける)
Piombi su te lo sdegno...
アウレリアーノの次のト書きに
(rivolgendosi a Zenobia)
(ゼノービアの方に 向き直って)
とあるので、この台詞はアルサーチェに対して言っている。

Andantino
3/4
A-flat major
ZENOBIAゼノービア
Serena i bei rai,美しい眼差しを 明るくしなさい、
morire mi fai.【さもないと】 君は 私を 死なせる【だろう】
In nostra difesa私たちの守護のために
amore pugnerà...愛の神が 戦うだろう…

AURELIANOアウレリアーノ
Ah! sento che assaiああ! 私は 感じている 大いに
lo sdegno frenai.私が 怒りを 抑えた 【↑】ことを。
In ambi l'offesa二人とも 侮辱は
punita sarà...罰せられるだろう…

ARSACEアルサーチェ
Serena i bei rai,美しい眼差しを 明るくしなさい、
morire mi fai.【さもないと】 君は 私を 死なせる【だろう】
In nostra difesa私たちの守護のために
amor pugnerà...愛の神が 戦うだろう…

ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
Quel barbaro coreあの野蛮な心は
orrore mi fa.私に 恐怖を 引き起こす。

AURELIANOアウレリアーノ
ma calma il rigoreだが 手厳しさを 静める
amore e pietà.愛と 哀れみが。
ゼノービア、アルサーチェ、アウレリアーノの三重唱。

Seguito del Finale

Allegro
4/4
D major
(SCENA ULTIMA)(最終景)
Licinio e Coro di Romani; Oraspe e coro di Palmireni con tutto il seguito di Zenobia; gli uni rivolgendosi a Zenobia, gli altri ad Aureliano.リチーニオ と ローマ人たちの合唱; オラスペ と パルミラ人たちの合唱 ゼノービアの従者の一行全員と共に; ある人たち ゼノービアの方に 向き直って、他の人たち アウレリアーノに 【向き直って】。

ORASPE, LICINIO, CORO DI ROMANI E DI PALMIRENIオラスペ,リチーニオ,ローマ人たちの合唱 と パルミラ人たちの【合唱】
Vieni all'armi: i tuoi guerrieri武器を取りに 来なさい: 君の戦士たちは
di novello ardor son pieni.新たな熱情で 満ちている。
Vieni all'armi; al campo vieni武器を取りに きなさい; 戦場に 来なさい
a pugnar e a trionfar.戦いに そして 勝利しに。

ZENOBIAゼノービア
(ad Arsace)(アルサーチェに)
Vado: addio;私は 行く: さようなら;
(ad Aureliano)(アウレリアーノに)
colà t'aspetto.向こうで 私は 君を 待つ。

AURELIANOアウレリアーノ
Si dividano.彼らが 別れるように。

([Zenobia e Arsace] son divisi)([ゼノービア と アルサーチェは] 分けられる【≒ 引き離される】)

ARSACEアルサーチェ
O tormento!ああ 苦悩だ!
Mia regina!私の女王よ!

ZENOBIAゼノービア
Mio diletto!私の 愛する男よ!

ORASPE, LICINIO, CORO DI ROMANI E DI PALMIRENIオラスペ,リチーニオ,ローマ人たちの合唱 と パルミラ人たちの【合唱】
Vieni: corrasi: al cimento.来なさい: 行こう: 試練に。

CORO DI DONZELLE PALMIRENEパルミラの娘たちの合唱
(Le donzelle di Zenobia la circondano supplichevoli)(ゼノービアの若い娘たちは 彼女を 取り囲む 嘆願するように)
Va': tu sola Arsace e il regno行きなさい: 君だけが アルサーチェを そして 王国を
puoi difendere e salvar.守ることができる そして 救う【ことができる】

ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
(correndo di nuovo ad abbracciarsi)(再び 抱き合いに 駆け寄って)

ZENOBIAゼノービア
Caro amante nel lasciartiいとしい愛する人よ 君と 別れる時
io mi sento il cor gelar.私は 私の心臓が 凍り付くのを 感じる。

ARSACEアルサーチェ
Cara amante nel lasciartiいとしい愛する人よ 君と 別れる時
io mi sento il cor gelar.私は 私の心臓が 凍り付くのを 感じる。

AURELIANOアウレリアーノ
O mio cor, per vendicartiああ 私の心よ、お前の 恨みを晴らすためには
devi l'ira soffocar.お前は 怒りを 抑制しなくてはならない。
経過区。
Più allegro
4/4
D major
ORASPE, LICINIO, CORO DI ROMANI E DI PALMIRENIオラスペ,リチーニオ,ローマ人の合唱 と パルミラ人の【合唱】
All'armi...武器を取れ…
Di nostra vendetta私たちの復讐の
è giunto il momento.瞬間が 来た。
Deh! vieni... t'affretta...ああ! 来なさい… 急ぎなさい…
All'armi... al cimento.武器を取れ… 試練に。

ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
Ancora un addio...もう一度 別れを…
mancare mi sento...私は 私がぐったりしているのを 感じている…
coraggio cor mio...元気を出せ 私の心よ…
All'armi, al cimento武器を取れ、試練に。

AURELIANOアウレリアーノ
(a Zenobia ed Arsace)(ゼノービアに そして アルサーチェ【に】)
Quest'ultimo addioこの最後の別れが
vi accresca tormento...君たちの苦悩を 増大させるように…
(ai Romani)(ローマ人たちに)
Vendetta desio:私は 復讐を 欲している:
All'armi... al cimento.武器を取れ… 試練に。
andiamo all'armi.戦闘に 行こう。

ORASPE, CORO DI DONZELLE PALMIRENE E CORO DI PALMIRENIオラスペ,パルミラの娘たちの合唱 と パルミラ人たちの合唱
(ad Aureliano)(アウレリアーノに)
Tu vinto sarai.君は 負かされるだろう。
[a Zenobia][ゼノービアに]
Con noi vincerai.私たちと共に 君は 勝利を得るだろう。
All'armi... al cimento.武器を取れ… 試練に。
su presto andiam,さあ 急いで 行こう、
saprem di quel perfido私たちは あの不実な男の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

LICINIO E CORO DI ROMANIリチーニオ と ローマ人たちの合唱
(a Zenobia)(ゼノービアに)
Tu vinta sarai.君は 負かされるだろう
[ad Aureliano][アウレリアーノに]
Con noi vincerai.私たちと共に 君は 勝利を得るだろう。
All'armi... al cimento.武器を取れ… 試練に。
su presto andiam,さあ 急いで 行こう、
saprem della perfida私たちは 不実な女の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。
コンチェルタートの導入。

(Più allegro)
4/4
D major
ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
Ancora un addio...もう一度 別れを…
mancare mi sento...私は 私がぐったりしているのを 感じている…

AURELIANOアウレリアーノ
Quest'ultimo addioこの最後の別れが
vi accresca tormento...君たちの苦悩を 増大させるように…

ORASPE E LICINIOオラスペ と リチーニオ
All'armi, al campo.武器を取れ… 試練に。

ORASPE, CORO DI DONZELLE PALMIRENE E CORO DI PALMIRENIオラスペ,パルミラの娘たちの合唱 と パルミラ人たちの合唱
Deh! vieni... t'affretta...ああ! 来なさい… 急ぎなさい…
All'armi... al cimento.武器を取れ… 試練に。
Tu vinto sarai.君は 負かされるだろう。
Con noi vincerai,私たちと共に 君は 勝利を得るだろう。
saprem di quel perfido私たちは あの不実な男の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

LICINIO E CORO DI ROMANIリチーニオ と ローマ人たちの合唱
Deh! vieni... t'affretta...ああ! 来なさい… 急ぎなさい…
All'armi... al cimento.武器を取れ… 試練に。
Tu vinto sarai.君は 負かされるだろう。
Con noi vincerai,私たちと共に 君は 勝利を得るだろう。
saprem della perfida私たちは あの不実な女の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

AURELIANOアウレリアーノ
All'armi, si vada.武器を取れ… 試練に。
(saprò di quei perfidi(私は あの不実な者どもの
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させ 【↑】よう。

ARSACEアルサーチェ
All'armi, andiamo, addio,武器を取れ、行こう、さようなら、
saprai di quel perfido君は あの不実な男の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

ZENOBIAゼノービア
Al campo, coraggio, all'armi, al camo.武器を取れ… 試練に。
Tu vinto sarai.君は 負かされるだろう。
コンチェルタート。

Più mosso
4/4
D major
ZENOBIAゼノービア
Andiam, 行こう、
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【ことができるだろう】
saprai di quel perfido君は あの不実な男の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

ARSACEアルサーチェ
Andiam, 行こう、
saprai di quel perfido君は あの不実な男の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

AURELIANOアウレリアーノ
Andiam, 行こう、
(saprò di quei perfidi私は あの不実な者たちの
l'orgoglio domar.)傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。)

ORASPEオラスペ
Andiam, 行こう、
saprem di quel perfido私は あの不実な男の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

LICINIOリチーニオ
Andiam, 行こう、
saprem della perfida私は あの不実な者たちの
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

CORO DI DONZELLE PALMIRENEパルミラの娘たちの合唱
Andiam, 行こう、
saprem di quel perfido私たちは あの不実な者たちの
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

CORO DI ROMANIローマ人たちの合唱
Andiam, 行こう、
saprem della perfida私たちは あの不実な女の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。

CORO DI PALMIRENIパルミラの人々の合唱
Andiam, 行こう、
saprem di quel perfido私は あの不実な者の
l'orgoglio domar.傲慢さを 屈服させる 【↑】ことができるだろう。
ストレッタ。

653小節から665小節まで、省略可記号 Vi--deが付けられている。

ATTO SECONDO
[N. 7]
Introduzione [Atto Secondo]

Coro
Allegro vivace
3/4
d minor
(SCENA PRIMA)(第1景)
(Vaste stanze sotterranee, dove Zenobia avrà riposto i suoi tesori; scala tortuosa che vi dà l'accesso, e diverse altre entrate)(広い地下の部屋、そこに ゼノービアが 彼女の宝物を 隠したであろう; 曲がりくねった階段 それは そこに【≒ 地下の部屋に】 近づくことを許している、そして様々な他の入り口)
(Donzelle e Grandi del regno in attitudine di spavento e di estrema agitazione)(若い娘たち と 王国の高位高官たち 不安の身構え【≒ 様子】で そして 甚だしい動揺の【身構えで】)

CORO DI GRANDI高位高官たちの合唱
Del Ciel, ahi! miseri!天の、ああ! 惨めな者たちよ!
piombata è l'ira:怒りが 落ちた:

CORO DI DONZELLE若い娘たちの合唱
Vinta è Zenobia.ゼノービアは 負かされた。
Cadde Palmira:パルミラは 倒れた:

CORO DI GRANDI E DI DONZELLE高位高官たちの合唱 と 若い娘たちの【合唱】
ceppi e ritorte,足かせと 縛り縄を、
rovina e morte,破滅と 死を、
il fato barbaro残酷な宿命が
ci preparò.私たちに 用意した。

CORO DI GRANDI高位高官たちの合唱
O dei! ricoveroああ 神々よ! 避難所は
più non rimane, no:もはや 残っていない、いいや:

CORO DI DONZELLE若い娘たちの合唱
Per tutto innondanoあらゆる所に なだれ込んでいる
l'armi romane:ローマの軍隊が:

CORO DI GRANDI E DI DONZELLE高位高官たちの合唱 と 若い娘たちの【合唱】
ed il furoreそして 怒りは
del vincitore勝者の
forse in Zenobiaおそらく ゼノービアに
si consumò.消費された【≒ すべて 使い果たされた】【≒ アウレリアーノの怒りは おそらく 完全に ゼノービアに 向けられた】

CORO DI GRANDI高位高官たちの合唱
Dolente popolo,苦しんだ人民よ、
chi ti mantiene!誰が 君を 守るのだ!

CORO DI DONZELLE若い娘たちの合唱
Cadente patria,倒れそうな祖国よ、
chi ti sostiene!誰が お前を 援助するのだ!
[Recitativo] Dopo l'Introduzione [Atto Secondo]

4/4
(C major)
(SCENA Ⅱ)(第2景)
(Zenobia senz'elmo, tutta dimessa, comparisce sulla sommità delle scale, e discende)(ゼノービア 兜無しの、すべて中止して、階段の頂点の上に現れる、そして 【階段を】 降りる)

ZENOBIAゼノービア
Tutto è perduto. Per Augusto e Romaすべてが 失われた。皇帝と ローマに【対して】
il ciel si dichiarò. Cadde Palmira,天は 自分の意思を表明した。パルミラは 倒れた、
ed alla sua caduta invan sostegnoそして その陥落に 虚しく 支えに
l'Asia intera si fece: in un sol giornoなった 全アジアが【≒ 全アジアが パルミラを 陥落から もちこたえさせようとしたが 叶わなかった】: たった一日で
l'Asia intera fu vinta... oh pena! oh scorno!全アジアが 負かされた… ああ 苦悩だ! ああ 恥辱だ!
(rivolgendosi ai Grandi e alle donzelle che la circondano)(向き直って 高位高官の方に そして 若い娘たちの方に その者たちは 彼女を 取り囲む)
Miseri... ahimè! non resta哀れな者たちよ… ああ!  存続していない
patria per voi... la patria è serva, e servi祖国は 君たちには… 祖国は 屈従している、そして 奴隷だ
i figli vostri... unica speme è morte...君たちの息子は… 唯一の希望は 死だ…
Nulla d'amaro ha questa,これは 苦味はぜんぜん 持っていない【≒ 死は まったく つらくはない】
quando toglie all'infamia... ed io... ma parmiそれ【= 死】【私たちを】 汚名から 取り除く時には… そして 私は… ところで 私には 思われる
udir d'armati e d'armi聞こえるように 兵士たちの そして 武器の
lo strepito appressar... giunge Aureliano...騒音が 近づくのが… アウレリアーノが 着く…
Ove fuggo?.. ogni via私は どこに 逃げようか?… どの道も
chiusa al mio scampo io miro...私の逃げ道には 閉鎖されているのを 私は 見詰めている…
Lassa! dove mi celo? ove m'aggiro?惨めな女だ! 私は どこに 隠れるのか? 私は どこを 歩き回るのか?


(SCENA Ⅲ)(第3景)
(Esce Aureliano: tutti si affollano supplichevoli innanzi a lui)(アウレリアーノが 出る: 皆が 押し寄せる 嘆願するように 彼の前に)
(Aureliano fa cenno a loro d'alzarsi e di partire, indi si volge a Zenobia, la quale sarà in disparte, disdegnosa, ecc)(アウレリアーノは 指示をする 彼らに 起き上がるように そして 去るように、それから ゼノービアの方を 向く、その者は 傍らにいるであろう、蔑むように、などなど

AURELIANOアウレリアーノ
Invan, Zenobia, in queste虚しく 、ゼノービアよ、この
remote stanze il tuo rossor nascondi:人里離れた部屋部屋 【↑】に 君は 君の赤面を 隠している【≒ 君が この人目につかない場所で 君の恥辱を隠そうとしても 無駄だ】
ti segue in ogni lato君を 追跡している あらゆる面で
l'ira di Roma, e in pochi istanti fiaローマの怒りは、そして 僅かな瞬間で【≒ すぐに】
pubblico il tuo rossore e l'ira mia.すべての人に知られる 【↑】だろう 君の赤面と 私の怒りが。

ZENOBIAゼノービア
Vincesti, Augusto: è giunta君は 勝った、皇帝よ: 達した
Palmira in tuo poter: l'Asia sconfittaパルミラは 君の権力の中に【≒ パルミラは アウレリアーノの手中に 落ちた】: 打ち破られたアジアは
piega la fronte incatenata e doma;額を 下げている 鎖につながれて そして 屈従して;
ma per Augusto e Romaだが 皇帝と ローマに対して
il maggiore a domare nemico avanza...服従させるべき 最大の敵が 残っている…

AURELIANOアウレリアーノ
Un nemico? e qual è...敵だと? それで それは どの人だ?

ZENOBIAゼノービア
La mia costanza.私の意志の強固だ。

AURELIANOアウレリアーノ
Audace! e che pretendi? esci, e d'intorno大胆な者め! それで 君は 何を 思い上がっているのか? 去れ、そして 周囲を
mira in un breve giorno眺めなさい 短い日に【≒ たった一日で】
quanta strage de' tuoi fece il mio brando:どのくらいの君の【兵士たちの】大虐殺を 私の剣が したか
quando in catene, e quando【君が】鎖につながれている時には、そして
strascinata sarai sul Campidoglio,君が カンピドーリオの丘の上に 引きずって行かれる 【↑】時には、
allor superba deporrai l'orgoglio.その時には 尊大な女よ 君は 高慢さを 下に置く【≒ 放棄する】だろう。

ZENOBIAゼノービア
Lieve impresa non è: poche finoraそれは 容易な企てではない: これまで
d'Asia regine de' romani duciアジアの女王たちは ローマの指導者たちの
il trionfo adornar: l'odio nel mondo勝利を 【↑↑】ほとんど 飾っていない【≒ 引き立たせていない】: 世界では 憎しみは
contro il Tebro oppressor vive tutt'ora:専制的なテヴェレ川に対しての すべての時間を 過ごしている【≒ ローマへの 世界の憎しみは いつの時代も 変わらない】
vi son Cleopatre e Sofonisbe ancora.クレオパトラたちと ソフォニスバたちは まだ いる。
il maggiore a domare nemico avanza...
ここでの avanzare は 残る,余る。

vi son Cleopatre e Sofonisbe ancora.
クレオパトラとフォソニスバは共にローマに屈することを拒んで自殺した女性。前者については有名なので省略。ソフォニスバは、第二次ポエニ戦争時のカルタゴの将軍、ハスドルバル・ギスコの娘。彼女は東ヌミディア(マッシュリ)の王子マシニッサの許婚だったが、西ヌミディア(マサエシュリ)の王シュファクスの妃になった。西ヌミディアはやがて東ヌミディアを併合、マシニッサはローマ側に協力して、カルタゴ・ヌミディア同盟に勝利を収める。そしてマシニッサはかつての許婚ソフォニスバと結婚しようとするが、ローマはカルタゴの将軍の娘であるソフォニスバを認めず、結果彼女は毒を呷って自害した。

[N. 8]
Recitativo e Duetto [Zenobia - Aureliano]

Zenobia
Aureliano
Recitativo


4/4
(C major)
AURELIANOアウレリアーノ
Se udir volessi, ingrata,もし 私が 聞き入れるならば、恩知らずの女よ、
la maestà di Roma, in pochi istantiローマの尊厳を、僅かな瞬間で【≒ すぐに】
dovrei punirti; ma per te mi parla私は 君を きっと罰するだろう; けれども 君について 話している 私の
un'altra voce più soave al core:心に 別の声が より甘美に:
puoi disarmar, regina, il mio furore.君は 静めることができる、女王よ、私の怒りを。
Duetto

Andante
6/8
D major
AURELIANOアウレリアーノ
Se libertà t'è cara,もし 自由が 君にとって 大切ならば、
se brami regno e paceもし 君が 王国と 平和を 熱望するのなら
cedi, abbandona Arsace:屈しなさい、アルサーチェを 放棄しなさい:
io t'offro gloria e amor.私は 君に 栄光と 愛を 提供する。

ZENOBIAゼノービア
Taci: è mia gloria sola黙りなさい: 私の唯一の栄誉だ
d'Arsace il puro affetto:アルサーチェの純粋な情愛が:
se vivo in quel bel pettoもし 私が あの【アルサーチェの】立派な胸の中で 生きているならば
sono regina ancor.私は まだ 女王だ。

AURELIANOアウレリアーノ
Lo fosti.君は それ【= 女王】だった。

ZENOBIAゼノービア
Ancor lo sono.私は まだ それ【= 女王】だ。

AURELIANOアウレリアーノ
Tutto perdesti.君は すべてを 失った。

ZENOBIAゼノービア
Il trono.玉座を【≒ わたしは 玉座を 失っただけだ】

AURELIANOアウレリアーノ
Insana! e che t'avanza?正気でない女め! それで 君は 何が 君に 残っているのか?

ZENOBIAゼノービア
Gloria, virtude, e cor.栄誉が、徳が、そして 心が。

AURELIANOアウレリアーノ
Insana!正気でない女め!
(Andante)
6/8
D major
(Prima costanza mia(私の早期の意思の強固よ【≒ 私のかつての意志の固さよ】
non ti partir dal cor:【私の】心から 離れるでない:
benché crudel mi sia彼女は 私に つらいけれども
mi piace il suo rigor.)彼女の手厳しさは 私に 気に入っている。)

ZENOBIAゼノービア
(Prima costanza mia(私の早期の意思の強固よ【≒ 私のかつての意志の固さよ】
non ti partir dal cor:【私の】心から 離れるでない:
benché fatal mi sia彼は 私に 致命的だけれども
non curo il suo rigor.)私は 彼の手厳しさを 気にしない。)
Vivace
3/8
D major
(SCENA Ⅳ)(第5景)
(Publia e Licinio frettolosi, e deti)(プブリア と リチーニオ 慌てて、そして 前の景の人たち)

LICINIOリチーニオ
Corri Augusto,急いで向かいなさい 皇帝よ、

PUBLIAプブリア
Arsace è sciolto.アルサーチェが 解放された。

PUBLIA E LICINIOプブリア と リチーニオ
Arsace è sciolto.アルサーチェが 解放された。

AURELIANOアウレリアーノ
Per qual mano?... oh ciel!... che ascolto?どの手によって?… ああ 天よ!… 私は 何を 聞いているのか?

PUBLIA E LICINIOプブリア と リチーニオ
Improvviso Oraspe armato突然 武装したオラスペが
di gran turba secondato大群衆に 後に続かれて【≒ 大勢の人たちを 引き連れて】
il suo carcere assalì.彼の牢獄を 襲った。

AURELIANOアウレリアーノ
Ed il prence?それで 王子は?

ZENOBIAゼノービア
(con gioia)(喜びをもって)
Oh dei!ああ 神々よ!

PUBLIA E LICINIOプブリア と リチーニオ
Fuggì!彼は 逃げた!

AURELIANOアウレリアーノ
Accorrete, la fuga impedite, s'ì.駆けつけなさい、逃亡を 阻止しなさい、そうだ。
non perdete, Guerrieri, un istante, no.無駄にするでない、戦士たちよ、一瞬を、そうだ。

ZENOBIAゼノービア
Santi dei, l'opra vostra compite,聖なる神々よ、君たちの行為を 成し遂げなさい、
ed in salvo guidate l'amante.そして 恋人を 安全な場所に 案内しなさい。
Il favore degli astri clementi情け深い星々の恩寵は
al tuo sdegno sottrarlo saprà.【= アウレリアーノ】の怒りから 彼を 逃れさせることが できるだろう。

AURELIANO, PUBLIA E LICINIOアウレリアーノ,プブリア と リチーニオ
Non sperarlo, fra pochi momentiそのことを 期待するでない、僅かな瞬間の間【≒ すぐに】
a' suoi lacci ritorno farà.彼は 彼の罠【≒ 縄】に 戻されるだろう。

AURELIANOアウレリアーノ
accorrete, Guerrieri, non perdete un istante,駆けつけなさい、戦士たちよ、一瞬を無駄にするでない、
(Vivace)
3/8
D major
AURELIANOアウレリアーノ
Non sperar che si cangi tua sorte;期待するでない 君の運命が 変わることを;
sarà breve il tuo folle contento:君の 熱狂的な満足【≒ 喜び】は 短いだろう:

ZENOBIAゼノービア
Ah! compensa l'acerba mia sorteああ! 厳しい 私の運命を 埋め合わせている
questo nuovo improvviso contento:この新たな 突然の満足【≒ 喜び】が。

AURELIANOアウレリアーノ
quanto scende il castigo più lento,より遅く 罰が 下りるほど
trema ingrata, più crudo sarà.慄きなさい 恩知らずの女よ、それ【= 罰】は より残酷になるだろう。

ZENOBIAゼノービア
venga pure l'estremo momento,最後の瞬間が どうぞ 来るがいい、
men crudele la morte sarà.私の死は より 残酷でなくなるだろう。

PUBLIA E LICINIOプブリア と リチーニオ
Non sperarlo, fra pochi momentiそのことを 期待するでない、僅かな瞬間の間【≒ すぐに】
a' suoi lacci ritorno farà.彼は 彼の罠【≒ 縄】に 戻されるだろう。


(partono)(【全員】) 退場する
(Licino parte con Guerrieri)(リチーニオは 退場する 戦士たちと共に)
[N. 9]
Gran Scena d'Arsace

Arsace



Coro
Moderato
6/8
G major
(SCENA Ⅴ)(第5景)
(Amena collina alle sponde dell'Eufrate: al fondo varie montagne scoscese con cadute d'acqua che si perdono nel fiume. Varie capanne di Pastori sparse qua e là)(快適な丘 ユーフラテス川の岸の: 奥に 様々な険しい山々 水の落下【≒ 滝】のある それは 川の中に 消える。様々な羊飼いたちの小屋 あちこちに散らばった)
(Pastori e pastorelle a gruppi sparsi per la scena, in festa e in gioia)(羊飼いたちと 羊飼いの娘たち 群れを成して 舞台に散らばって【≒ 舞台のあちこちに 集団で】、お祭り騒ぎで【≒ 楽し気に】 そして 喜びで)

CORO DI PASTORELLE E PASTORI羊飼いの若い娘たち と 羊飼いたちの合唱
L'Asia in faville è volta,アジアは 火の粉に 包まれた、
combattono i possenti,権力者たちは 戦っている、
sol tra Pastori e armenti羊飼いたちと 家畜の群れの中にだけは
discordia entrar non sa.不和は 入ることができない。
O care selve, o careああ いとしい森よ、ああ いとしい
stanze di libertà.自由の部屋【≒ 住処 すみか】よ。
Non fia che ferro ostileないだろう 敵意のある鉄【≒ 剣】
brillar fra noi si veda, 私たちの間で 輝くのが 見られることは、
che non alletta a preda餌食へと 唆さないからだ
la nostra povertà.私たちの貧困は【≒ 貧しい私たちでは 食い物にならないからだ】
Tranquilli il sol ci lascia太陽は 私たちを 落ち着かせる
allor che si ritira.それが 撤退する時には【≒ 日没時には】
tranquilli il sol ci mira太陽は 私たちが 落ち着いているのを 見詰める
quando ritorno fa.帰ることをする時には【≒ 日出時には】
(si allontanano tutti, e si vedono di tempo in tempo in distanza come occupati a qualche campestre lavoro)(全員が 遠ざかる、そして 時々 遠くで 何か 農村の仕事で 忙しいように 見られる)
63小節から67小節まで、省略可記号 Vi--deが付けられている。

Maestoso
4/4
E-flat major
(SCENA Ⅵ)(第6景)
(Arsace discende da una strada montuosa avviandosi all'amena collina)(アルサーチェは 山道から 下りる 快適な丘へと向かって)

ARSACEアルサーチェ
Dolci silvestri orrori, amiche sponde!穏やかな 森の暗がりよ、親しげな岸々よ!
Come è soave dopo tanti affanni何と快いことか たくさんの苦悩の後に
l'aura che da voi spira! Ohimè! lontano微風が それは お前たちから 吹いて来る! ああ! 遠く離れて
dalle umane vicende in seno a voi人間の浮沈【≒ 波乱の多い人生】から お前たちの懐の中に
volentieri trarrei私は 喜んで 過ごしたいものだ
i pochi giorni miei; ma più possente,私の僅かな日々を; だが より強力に、
amor mi sprona all'armi,愛の神は 私を 戦闘へと 拍車をかけている【≒ 扇動している】
Dolci silvestri orrori, amiche sponde!
この場合の orrore は oscurità と同義で、暗がり,闇 の意味。
なお英訳ではこの orroriを crags 絶壁 や ravines 峡谷 と訳しているものもあるが、これは orrore に近い語である orrido の持つ意味である。調べた限り orrore に 絶壁 や 峡谷 の意味は見当たらなかった。

volentieri trarrei / i pochi giorni miei;
この場足の trarre は (時間を)過ごす。

Allegro
4/4
E-flat major
e a voi m'involaそして お前たちから 私を 持ち去っている
colei che nel mio seno imperio ha sola.私の胸の中に 帝権を 持っている 唯一の女性が【≒ 私の心を 支配している ただ一人の女が 私を お前たち【= 森の陰や川岸】】から 引き離している
Andantino
3/4
G major
Perché mai le luci aprimmo,いったい どうして 私たちは 目を 開けたのか、
caro bene, in regia cuna,いとしい最愛の人よ、王の揺り籠の中で【≒ いったい どうして 私たちは 王家に 生まれたのだろうか】
se ci toglie la fortunaもし 運命が 私たちから 奪っているならば
quanto a noi promise amor?愛の神が 私たちに 約束したものを?
Più felice in mezzo ai boschiより 幸福に 森の真ん中で
al tuo fianco oh Dio! vivrei:君の隣で ああ 神よ! 私は 生きたいものだ:
nel tuo core regno avrei,私は 君の心の中に 王国を 持ちたいものだ、
tu l'avresti nel mio cor.君は それを 私の心の中に 持ってくれるだろう。
184小節から192小節まで、省略可記号 Vi--de が付けられている。
212小節から215小節まで、省略可記号 Vi--de が付けられている。

[Moderato]
6/8
C major
Qual lieto suono!..あの 喜ばしい音は!…
[Recitativo]
4/4
(C major)
(SCENA Ⅶ)(第7景)
(I pastori che si erano dispersi entrano di nuovo in iscena)(羊飼いたちが その者たちは 散会した【≒ 散り散りに 消え去った】 新たに【≒ 再び】 舞台に 登場する)

ARSACEアルサーチェ
Ah! son Pastori... Ah! voiああ! 彼らは 羊飼いたちだ… ああ! 君たち
fortunate famiglie! almen son puri幸運な家族たちよ! 少なくとも 純粋だ
tra questi ameni chiostriこの 心地よい 人里離れた場所で
come l'onda tranquilla i giorni vostri!穏やかな波のように 君たちの日々【≒ 人生】は!
(Al vedere un guerriero i Pastori restano sbigottiti, Arsace di un cenno li rassicura)(戦士を見て 羊飼いたちは 唖然となる、アルサーチェは 彼らを 合図で 安心させる)

UN PASTORE羊飼い
Ah! che vedo? Un guerrier! O tu che in questoああ! 私は 何を 見ているのか? 戦士が! ああ 君は その者は この
solingo albergo arrivi, e mostri in volto人里離れた宿泊所【≒ 滞在地 ≒ 場所】 【↑】に やって来ている、そして 顔に 見せている
sembianze di pietà, quali novelle哀れみの顔付きを; 【君は】 どのような 【↓】パルミラの 知らせを
rechi a noi di Palmira?私たちに 運んでいるのか

ARSACEアルサーチェ
Infauste nove...不幸をもたらす知らせを…
Tutto è perduto...すべては 失われた…

UN PASTORE羊飼い
E Arsace?それで アルサーチェは?

ARSACEアルサーチェ
O buon Pastore!ああ 善良な羊飼いよ!
non chiedermi di lui...彼について 私に 尋ねるでない…

UN PASTORE羊飼い
Tu gemi... Ah! parla...君は 呻いている… ああ! 話しなさい…
(avvicinandosi ad Arsace, e ravvisandolo)(アルサーチェに 近づいて、そして 彼を 認知して)
Dimmi... Che miro?.. qual aspetto... oh! Dio!言いなさい… 私は 何を 見詰めているのか?… あの顔つき… ああ! 神よ!
di quella voce il suono...あの声の音は…
ah! prence...ああ! 王子よ…

ARSACEアルサーチェ
No, non t'inganni. Arsace io sono.そうだ、君は 間違っていない。私は アルサーチェだ。
Sì, vinto e fuggitivoそうだ、負かされて そして 逃亡した
vedi di Persia il prence...ペルシャの王子を 君は 見ている…

UN PASTORE羊飼い
A' piedi tuoi君の足元に
ci prostriamo, signor.私たちは 平伏する、貴君よ。

CORO DI PASTRELLE E PASTORI羊飼いの若い娘たち と 羊飼いたちの合唱
Resta fra noi.私たちの間に 留まりなさい。
tra questi ameni chiostri
chiostro は本来、修道院などにおける回廊に囲まれた中庭を意味する。転じて山などに囲まれて閉鎖された孤独な場所、つまり 人里離れた地 を意味することもある。

Andante
2/4
E major
ARSACEアルサーチェ
Ah! non posso: al mio tesoroああ! 私は できない: 私の宝の人に
sacri sono i giorni miei,私の日々【≒ 命】は 捧げられている、
e ch'io spiri appresso a leiそして 私が 彼女の近くで 息を引き取ることを
vuole amore, il vuole onor.愛の神が 望んでいる、そのことを 名誉が 望んでいる。

CORO DI PASTRELLE E PASTORI羊飼いの若い娘たち と 羊飼いたちの合唱
Resta fra noi.私たちの間に 留まりなさい。
274小節から287小節まで、省略可記号 Vi--de が付けられている。

al mio tesoro / sacri sono i giorni miei,
この場合の sacro は sacrato もしくは consacrato の意味と理解した。

Allegro
4/4
E major
(SCENA Ⅷ)(第8景)
(Oraspe con gran numero di Palmireni e Persiani)(オラスペ 大勢のパルミラ人たちと ペルシャ人たちと共に)

ORASPE E CORO DI GUERRIERIオラスペ と 戦士たちの合唱
Vieni, o prence: è già compita来なさい、ああ 王子よ: 既に 成し遂げられた
di Palmira la rovina:パルミラの崩壊は:
cadde, oh! Dio, la tua regina落ちた、ああ! 神よ、君の女王は
in poter del vincitor.勝者の力に

ARSACEアルサーチェ
Ah! che sento... ahimè, che pena!ああ! 私は 何を 聞いているのだ… ああ、何という苦悩だ!
Ah! si corra... o cor costanza!ああ! 駆けつけよう… ああ 心よ 意志の強固を【≒ 私の心よ しっかりしろ】
Perché darmi o ciel speranza,なぜ 私に 与えるのだ ああ 天よ 希望を、
e piombarmi in nuovo orror!それから 私を 新たな恐怖に 急に落とすのだ!

CORO DI PASTORI羊飼いたちの合唱
Resta, o prence: contro il fato留まりなさい、ああ 王子よ: 宿命に対して
non ha forza uman valor.人間の勇気は 力を持っていない。

CORO DI GUERRIERI戦士たちの合唱
Vinceremo e Roma e il fato,私たちは そして ローマに そして宿命に 勝利を得るだろう、
se ci guida il tuo valor.もし 君の勇気が 私たちを 導くならば。
(Allegro)
4/4
E major
ARSACEアルサーチェ
Non lasciarmi in tal momento,私を 捨てるでない このような瞬間に
bel pensier di gloria e amore.歓喜と愛の 美しい考え【≒ 素晴らしい思い】よ 。
Se mi segui nel cimentoもし お前【= 美しい考え】が この試練の中にあって 私に ついて来る【≒ 私と 共にある】ならば
lieto in sen mi balza il cor.心は 私の胸の中で 喜ばしく 跳ね上がる【だろう】

CORO DI PASTORI羊飼いたちの合唱
Ah! se ritorni in campoああ!もし 君が 戦場に 戻るならば
forse non hai più scampo,ことによると 君は もはや 逃げ道を 持っていない、
e con Zenobia perdiそして ゼノービアと共に 君は 失う【だろう】
i tuoi bei giorni ancor.また再び 君の美しい日々【≒ 素晴らしい人生】を。

CORO DI GUERRIERI戦士たちの合唱
Ah! sì, ci guida in campo,ああ! そうだ、私たちを 戦場に 導きなさい、
trovi Zenobia scampo,ゼノービアが 逃げ道を 見出すように、
e colla patria restiそして 祖国と共に
libera l'Asia ancor.アジアが ずっと 自由な 【↑】ままでいるように。

ARSACEアルサーチェ
(volgendosi ai Guerrieri)(戦士たちに 体を向けて)
A seguitarmi in campo戦場へと 私に ついて来る
ognun di voi s'appresti,準備をするように 君たちの皆それぞれが、
al campo,戦場に、
バスのためのアリア 栄光の声に Alle voci della gloria おそらく1813年 から Allegro、Vieni, amico, tu che sei fida を手直して更生。

lieto in sen mi balza il cor.
初演時の印刷台本では、
lieta è l'alma, e balza il cor.
魂は 喜ばしく、そして 心は 跳ね上がる。
となっている。

Allegro
4/4
E major
CORO DI GUERRIERI戦士たちの合唱
E colla patria restiそして 祖国と共に
libera l'Asia ancor.アジアが ずっと 自由な 【↑】ままでいるように。

CORO DI PASTORI羊飼いたちの合唱
E con Zenobia perdiそして ゼノービアと共に 君は 失う【だろう】
i tuoi bei giorni ancor.また再び 君の美しい日々【≒ 素晴らしい人生】を。

ARSACEアルサーチェ
Salva Zenobia resti,ゼノービアが 安全なままでいるように、
e forse l'Asiaそして おそらく アジアが
si tolga a Roma ancor.また再び ローマから 解放されるように。

(Arsace parte con Oraspe e col seguito; i Pastori si ritirano e si disperdono)(アルサーチェは 退場する オラスペと共に そして 従者の一行と共に; 羊飼いたちは 引っ込み そして 消散する)
[Recitativo] Dopo il Rondò di Arsace

4/4
(C major)
(SCENA Ⅸ)(第9景)
(Atrio della reggia abitata dal vincitore)(王宮の中庭 勝者【= アウレリアーノ】によって 住まわれている)
Aureliano, Pubilaアウレリアーノ,プブリア


PUBLIAプブリア
La sicurezza tua, perdona Augusto,君の安全は、許しなさい 皇帝よ、
esser potria fatale. È manifesto致命的であるかもしれない。明らかである
al popol tutto omai,今や すべての人々にとって、
che Arsace i vinti aduna, e tu nol sai!アルサーチェが 敗者たちを集めていることは、それでも 君は そのことを 知らない!

AURELIANOアウレリアーノ
Gli aduni pur; che fia perciò? qual ponnoどうぞ 彼【= アルサーチェ】が 彼ら【= 敗者たち】を 集めるがいい; それで どうなるというのか? どんな【↓】力で
forza opporre al destin le genti dome?屈従した人々が 運命に 対抗することができるのか?

PUBLIAプブリア
Molta, o signore: il lor coraggio.たいへんな【力だ】、ああ 貴君よ: 彼らの勇気だ。

AURELIANOアウレリアーノ
E come?それで どうやって?
Non fugge Arsace! oh! fugga pur: mi basta,アルサーチェは 逃げていない! ああ! 彼は どうぞ 逃げるがいい: 私には 十分である、
che a me resti Zenobia. Io l'amo, o Publia,私に ゼノービアが 残ることが【≒ ゼノービアが 手元に残れば 私には十分だ】。私は 彼女を 愛している、ああ プブリアよ、
e se consente amarmi,そして もし 彼女が 私を愛することに 同意すれば、
il braccio punitor fia che disarmi.彼女は 罰する腕を 宥めることになるだろう。

PUBLIAプブリア
Ecco Zenobia...ほら ここに ゼノービアが…

AURELIANOアウレリアーノ
Su quel core si tentiあの心に 試みよう
l'ultimo sforzo.最後の努力を。


(SCENA Ⅹ)(第10景))
(Zenobia, indi Licinio, e detti)(ゼノービア、それから リチーニオ、そして 前の景の人たち)

AURELIANOアウレリアーノ
È tuo, Zenobia, ancoraまた再び 君のものだ、ゼノービアよ、
questo trono, se il vuoi; placati, e meco,この玉座は、もし 君が そのことを 望むならば; 落ち着きなさい、そして 私と共に、
a regnar sulla terra...地上で 統治するために…

LICINIOリチーニオ
Piomba Arsace, signor, a nuova guerra.アルサーチェが 突然襲い掛かっている、貴君よ、新たな戦いに。

PUBLIAプブリア
(ad Aureliano)(アウレリアーノに)
(Non tel dicea?)(私は 君に そのことを 言わなかったか?)

AURELIANOアウレリアーノ
(Che sento!)(私は 何を 聞いているのだ!)

ZENOBIAゼノービア
(Io spero ancora.)(私は また再び 期待している。)

AURELIANOアウレリアーノ
Senza frappor dimora遅れを 間に置くことなく
va', Licinio, a punir la nuova offesa.行きなさい、リチーニオよ、新たな侮辱を 罰しに。

LICINIOリチーニオ
Ardua è, signor, l'impresa:困難だ、貴君よ、企て【≒ 戦い】は:
de' fuggitivi Persi逃亡するペルシャ人たちの
adunò le falangi, e forti schiere群衆を 彼は 集めた、そして 強力な部隊が
s'accompagnar per via. Come torrente一緒になっている 途中で。奔流のように
che soverchia la sponda,それは 岸を 乗り越える、
urta i Romani, e la cittade inonda.ローマ人たちに 衝突している、そして 町に 押し寄せている。

PUBLIAプブリア
(Oh periglio!)(ああ 危険だ!)

AURELIANOアウレリアーノ
(Oh furor!)(ああ 怒りだ!)

ZENOBIAゼノービア
(Oh gioia!)(ああ 歓喜だ!)

LICINIOリチーニオ
Avanti【↓】彼の 前に
il popolo gli corre, e freme, e seco人々は 駆け付けている、そして 震えている【≒ 武者震いしている】、そして 彼と共に
armato entra in Palmira; all'improvviso武装して パルミラに 入っている; 不意に
colte le tue legioni, oppor difesa君の軍団は 急襲されて、彼らは 身を守ろうと
tentaro invan, volte ne andaro in fuga.虚しく 試みた、【そして】 彼らは そこから 逃げ出して行った。
Estremo è il danno, e il braccio tuo richiede.損害は 甚だしく、そして 君の腕を 必要としている。
colte le tue legioni, oppor difesa
opporre difesa = difendersi 身を守る。

tentaro invan, volte ne andaro in fuga.
tentaro = tentarono。andaro = andarono。volgere in fuga 逃げ出す。

[N. 10]
Recitativo ed Aria Aureliano

Aureliano

Publia
Licino
Coro
Allegro
4/4
F major
AURELIANOアウレリアーノ
Corrasi... Io fremo... A me rapirti ei crede?駆け付けよう… 私は 身震いしている… 彼は 私から 君【= ゼノービア】を 強奪する【ことができる】と 信じているのか?
Fuggia quel vile! bramerà ben tostoあの卑怯な者が 逃亡しただと! 彼は 切望するだろう とても すぐさま
che al mio furor nascosto私の怒りから
l'avessero per sempre永遠に 彼を 【↑】隠したならば 【↑】
i libici deserti... Oh! qual gli apprestoリビアの砂漠が… ああ! 私は 彼に 支度をしていることか 何という
supplizio atroce!... Ultimo oltraggio è questo.冷酷極まる 責め苦を!… これが 【彼の】最後の侮辱だ。
アウレリアーノのレチタティーヴォ付きの 急/緩/急の三部形式のアリア。
レチタティーヴォ。

Aria

Allegro
4/4
F major
Più non vedrà quel perfidoあの裏切り者は もはや 見ることはないだろう
del nuovo giorno i rai:新しい日の光線【≒ 明朝の夜明けの光】を:
altro che il freddo cenere,冷たい灰の他には
barbara, non avrai,残酷な女よ、君は 受け取らないだろう、
il tuo dolor da pascere,君の悲しみに糧を与えるための、
il tuo fatale amor.君の 死に至る愛に【≒ 君が受け取るのは アルサーチェの冷たい遺灰だけだ、それを 君は 悲しみの、致命的な愛の 糧とするのだ】

(Zenobia rimane spaventata; Aureliano la guarda e comincia ad intenerirsi)(ゼノービアは 恐怖に満ちた【≒ 怯えた】 ままでいる; アウレリアーノは 彼女を 凝視し そして 感動し【≒ 不憫に思い】始める)
急。

Andantino
3/4
A-flat major
Ma tu piangi! ah! sì, lo vedo,だが 君は 泣いている! ああ! そうだ、私は そのことを 分かっている、
di placarmi hai tempo ancor.君は まだ 私を 宥める 時間を 持っている。
I suoi giorni a te concedo,私は 彼の日々【≒ 命】を 君に 譲る、
se mi doni il tuo bel cor.もし 君が 私に 君の美しい心を 贈るならば。
緩。

Allegro vivace
4/4
F major
(Odesi gran tumulto di dentro e voci che confusamente gridano)(内部の【≒ 舞台裏からの】大きな騒乱が 聞こえる そして声が 【聞こえる】 それを 混乱して 彼ら【= ペルシャ人たち】が 大声を出している)

CORO合唱
Arrestate... olà... vendetta...止まれ… おい… 復讐だ…
Che spavento!... che timor!何という 恐怖だ!… 何という不安だ!

PUBLIA E LICINIOプブリア と リチーニオ
Senti... Augusto... va'... ti affretta;聞きなさい… 皇帝よ… 行きなさい… 急ぎなさい;
forse Arsace è vincitor.ことによると アルサーチェが 勝者だ。


AURELIANOアウレリアーノ
Sì, vendetta! assai d'inciampoそうだ、復讐だ! 大いに 邪魔に
fu l'indegna al mio valor...なっていた 恥ずべき女が 私の勇気にとって…
経過区。

(Allegro vivace)
4/4
F major
Trema... attendi, smanio, avvampo,震えなさい… 待ちなさい、私は 興奮し、燃え上っている、
mille furie sento in cor.私は 千の怒りを 心に 感じている。
(parte minaccioso con Licinio)(退場する ひどい剣幕で リチーニオと共に)
急。

[Recitativo] Dopo l'Aria di Aureliano

4/4
(C major)
(SCENA ⅩⅠ)(第11景)
PUBLIA E ZENOBIAプブリア と ゼノービア

PUBLIAプブリア
Vedesti! oh come irato君は 見たな! ああ 何と 怒って
parte Aureliano da noi; per te pavento,アウレリアーノが 私たちから 去る ことか; 私は 君のために 恐れ、
e tremo per Arsace.そして 私は アルサーチェのために 震える。

ZENOBIAゼノービア
Avvi nel cielo天には いる
un nume, che combatte神が、その者は 戦っている
degli oppressi a favor contro Aureliano.虐げられた人々のために アウレリアーノに敵対して。


PUBLIAプブリア
Nume non v'ha contro il destin romano.ローマの運命に 敵対する 神は いない。
Ma!.. s'appressa alla reggiaところで!… 王宮に 近づいている
d'armi fragor!..戦闘の大音響が!…

4/4
(C major)
喇叭の音。3小節。

Allegro
4/4
(C major)
ZENOBIAゼノービア
Suono guerrier s'ascolta...戦闘的な音【≒ 戦いの物音】が 聞こえる…
Non tradirmi una volta私を 裏切るでない 一度
oh speranza fallace!ああ はかない【≒ 当てにならない】希望よ!

PUBLIAプブリア
Corrasi; ah! forse è già vicino Arsace.駆け付けよう; ああ! おそらく アルサーチェは もう 近い。
(parte)(退場する)


(SCENA ⅩⅡ)(第12景)
Zenobia, indi Oraspeゼノービア、それから オラスペ

ZENOBIAゼノービア
Già manca il dì: numi, che imploro, ah! fate既に 日が 欠けている【≒ 日が 暮れている】: 神々よ、その者たちに 私は 懇願する、ああ! しなさい
che quest'orribil notteこの恐ろしい夜が
l'ultima sia de' mali miei...私の不幸の 最後【の夜】である 【↑】ように 【しなさい】
Allegro
4/4
(C major)
più pressoより 近くに
il tumulto si fa... che stato è il mio!...なっている 騒乱が… 何という状態だ 私の【状態】は !
Che orror!... ma... veggo, oh Dio!何と 恐ろしい!… だが… 私は 見ている、ああ 神よ!
sbigottiti fuggir veggo i custodi...茫然とした門番たちが 逃げているのを…
Un guerrier s'avvicina...戦士が 近づいている…
Oraspe...オラスペだ…

ORASPEオラスペ
Ah! ti ritrovo, o mia regina!...ああ! 私は 君に 再び会っている、ああ 私の女王よ!…
(Recitativo)


4/4
(C major)
Fuggi, vien con me.逃げなさい、私と一緒に 来なさい。

ZENOBIAゼノービア
Dimmi... d'Arsace私に 言いなさい… アルサーチェにおいて
che fu?何が 起きたのか【≒ アルサーチェは どうだったのか】

ORASPEオラスペ
Combatte ancor, ma la vittoriaまだ 戦っている、だが 勝利を
cerca invano afferrar; io disperato彼は 虚しく 捕らえようとしている; 私は 絶望的に
infino a te la via m'apersi; ah vieni...【の元】にまで 私の道を 開いた; ああ 来なさい…
pria, che tutto si perda, i giorni tuoiすべてが 無くなる、前に、君の日々【≒ 命】
salva, e ti serba a miglior fato.守りなさい、そして 君に より良い宿命を 取っておきなさい。

ZENOBIAゼノービア
Oh pena!ああ 苦悩だ!

ORASPEオラスペ
T'affretta...急ぎなさい…


ZENOBIAゼノービア
Ove fuggir!... Mi reggo appena.どこに 逃げるのだ!… 私は やっとのことで 立っている。
[(partono)][(【二人とも】退場する)]
[N. 11]
Terzetto

Zenobia
Arsace
Aureliano
Allegro agitato
4/4
c minor
(SCENA ⅩⅢ)(第13景)
(Luogo remoto presso la reggia. Notte con luna)(人里離れた場所 王宮の近くの。夜 月のある)
(Arsace, indi Zenobia ed Oraspe)(アルサーチェ、それから ゼノービア と オラスペ)

ARSACEアルサーチェ
Inutil ferro!.. che fai meco?.. Io sono役に立たない剣め!… お前は 私と共に 何をしているのか【≒ お前は 私の 何の役に立ったのか】?… 私は
un'altra volta fuggitivo, e vinto.もう一度 逃亡して 【↑】いる、そして 負かされて【いる】
Ah! fossi almeno estintoああ! できれば 私が 死ぬならば
oh Zenobia, per te!ああ ゼノービアよ、君のために!
楽曲区分は単純に 三重唱 Terzetto だが、シェーナ、二重唱、シェーナ、三重唱 緩、経過区、三重唱 急 という構成をしている。
シェーナ。

Andante mosso
4/4
c minor
Notte funesta,不吉な夜よ、
addensa i veli tuoi: lume di giorno君のヴェールを 濃厚にしなさい: 昼の光が
mai più risplenda alla mia trista vita,二度と 光り輝かないように 私の 哀れな人生に、
se Zenobia è per sempre a me rapita.もし ゼノービアが 永久に 私から 強奪されるならば。
Primo Tempo
4/4
c minor
Alcun si appressa... Ah! fui scoperto...誰か 近づいている… ああ! 私は 見付けられた…
(si ritira in disparte)(撤退する 離れて【≒ 離れたところに 下がる】)

(Esce Zenobia con Oraspe.)(ゼノービアが 出て来る オラスペと共に)

ORASPEオラスペ
Al mio私の
braccio ti reggi.腕に 掴まりなさい。

ZENOBIAゼノービア
Ove mi guidi?君は 私を どこに 案内するのか?
Adagio
4/4
c minor
ORASPEオラスペ
In salvo,安全な場所に、
se lo concede il ciel.もし それを 天が 許すならば。
[Primo Tempo]
4/4
c minor
ZENOBIAゼノービア
Tremante e incerta震え そして ためらって
fra quest'ombre m'aggiro.私は この陰の中で 歩き回っている。

ARSACEアルサーチェ
Qual voce il cor mi scosse!あの声は 私の心を 揺すった!

ZENOBIAゼノービア
(appresandosi)(近づいて)
Ah! qual sospiro!ああ! あの溜め息は!

ARSACEアルサーチェ
Zenobia!ゼノービアよ!

ZENOBIAゼノービア
Arsace!アルサーチェよ!

ARSACEアルサーチェ
(correndo a lei con gioia)(彼女に 駆けつけて 歓喜をもって)
È dessa...彼女だ…

ZENOBIAゼノービア
Oh! gioia!ああ! 歓喜だ!

ARSACEアルサーチェ
(Intanto Oraspe si aggira in fondo alla scena come per esplorare e si perde)(その間に オラスペは 舞台の奥で 歩き回る 調べるためのように そして 彼は 消える)
Alfineついに
ti stringo a questo petto.私は 君を この胸に 抱き締めている。

ZENOBIAゼノービア
Pur t'abbraccio una volta o mio diletto.私も 君を もう一度 抱擁している ああ 私の最愛の人よ。
Andantino
3/4
G major
Mille sospiri e lagrime千の溜め息と 涙を
conforta un sol contento.たった一つの満足【≒ 喜び】が 慰めている。
Per così bel momentoこのように素晴らしい瞬間のために
si può soffrire ancor.ずっと 苦しむ【≒ 苦しみに 耐える】ことができる。

ARSACEアルサーチェ
Cari mi sono i gemiti私には 呻きは いとしい
sparsi da te, lontano.君から 流される【呻きは】、遠くで。
Ah che non piansi invano,ああ 私は 無益に 泣かなかった【≒ 私が泣いたのは 無意味ではなかった】
se a te mi rende amor.愛の神が 君を 私に 返したのなら。

ZENOBIAゼノービア
Dolce notte!甘美な夜よ!

ARSACEアルサーチェ
Amiche tenebre!親切な【≒ 私たちに味方してくれる】闇よ!

ZENOBIAゼノービア
Sempre insieme!いつまでも一緒だ!

ARSACEアルサーチェ
Teco ognor!ずっと 君と一緒だ!

ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
Se la tua bella immagineもし 君の美しい姿が
sfidar mi fé la sorte,私に 運命に対して 勇敢に立ち向かわせたのならば、
io sfiderò la morte私は 死に 勇敢に挑もう
or che ti stringo al cor.今 私が 君を 心【≒ 胸】に 抱き締めているからには。
二重唱。

157小節から180小節まで、カット可記号Vi--deが付いている。

Allegro
4/4
C major
(si sente strepito d'armi. I due amanti corrono ansiosi a vedere, e ritornano)(戦闘の騒音が 聞こえる。二人の恋人たちは 不安げに 見に駆けつける、そして 戻って来る)


ZENOBIAゼノービア
Giunge Augusto...皇帝が 来る…

ARSACEアルサーチェ
(per avviarsi alla sinistra)(左の方に 向かって)
Un'altra via...別の道を…

ZENOBIAゼノービア
Vien Licinio...リチーニオが 来る…

ARSACEアルサーチェ
(disperato)(絶望的に)
Il brando ho ancora...私は まだ 剣を持っている…
(raccogliendo la spada)(剣を 掴んで)

ZENOBIAゼノービア
Ah! che fai?ああ! 君は 何を しているのか?

ARSACEアルサーチェ
Morire in pria...まず 死ぬことを…。

ZENOBIAゼノービア
Teco io moro...君と一緒に 私は 死ぬ…

ARSACEアルサーチェ
(per ferirla)(彼女に 傷を負わせようとして)
Ebben si mora...よしそれでは 死のう…
Ah! che tento!.. ora funesta!ああ! 私は 何を 試みているのだ!… 死をもたらす時だ!
(allontanandosi precipitoso)(大急ぎで 遠ざかって)

ZENOBIAゼノービア
Vibra il colpo.一撃を 振り下ろしなさい。

ARSACEアルサーチェ
(per ferirsi)(傷つこうとして)
Io solo...私だけが…


(SCENA ⅩⅣ)(第14景)
Aureliano, [Licinio,] e dettiアウレリアーノ、[リチーニオ] と 前の景の人たち

(Aureliano e Licinio sopravvengono seguiti da numeroso drappello con faci. Arsace è trattenuto)(アウレリアーノと リチーニオが 突然現れる たくさんの一行によって 後を追われながら 松明をもった。あるシャーちぇは 押さえておかれる)

AURELIANOアウレリアーノ
T'arresta.待ちなさい。
Si disarmi il traditore.裏切り者は 武器を取り上げられるように。

(Arsace è disarmato)(アルサーチェは 武器を取り上げられる)

Poca pena, indegni, è morte:不十分な処罰だ、恥ずべき者たちめ、死は:
voi vivrete in pianto amaro:君たちは つらい涙に 生きるだろう:
del rossor che vi preparo赤面【≒ 恥辱】の それを 私は 君に 準備している
sarà il Tebro spettator.目撃者に テヴェレ川【≒ ローマ】は なるだろう

ZENOBIAゼノービア
Per pietà...後生だから…

AURELIANOアウレリアーノ
Pietà non sento.私は 哀れみを 感じていない。

ARSACEアルサーチェ
Morte io voglio...私は 死を 望んでいる…

AURELIANOアウレリアーノ
No: vivrai.いいや: 君は 生きるだろう。

ARSACEアルサーチェ
L'onta mia tu non vedrai.私の恥辱を 君は 見ないだろう。

ZENOBIAゼノービア
Non godrai del mio rossor.君は 私の赤面を 面白く味わいはしないだろう【≒ 君が 私の恥を楽しむようなことを 私はさせない】
シェーナ。

[Andante]
3/4
E-flat major
ZENOBIAゼノービア
【(アルサーチェに)】
Vivi: e saran nostr'anime生きなさい: そうすれば 私たちの魂は
esempio al mondo e a Roma;世界に そして ローマに 模範と 【↑】なるだろう;
tutto non resta al barbaro残酷な男に すべて 留まらない
l'onor dell'Asia doma,屈従したアジアの名誉は【≒ 屈服させられても アジアの名誉を 残酷なアウレリアーノに すべて 渡しはしない】
no, quando non ha timor,いいや、【私の心が】 恐れを 持たない時には、
quando il mio cor non palpita.私の心臓が 動悸を打たない時には。

ARSACEアルサーチェ
【(ゼノービアに)】
Vivi: e saran nostr'anime生きなさい: そうすれば 私たちの魂は
esempio al mondo e a Roma;世界に そして ローマに 模範と 【↑】なるだろう;
tutto non resta al barbaro残酷な男に すっかり 留まらない
l'onor dell'Asia doma,屈従したアジアの名誉は【≒ 屈服させられても アジアの名誉を 残酷なアウレリアーノに すべて 渡しはしない】
no, quando il mio cor non palpita,いいや、私の心臓が 動悸を打たない時には、
quando non ha timor.【私の心が】 恐れを 持たない時には。

AURELIANOアウレリアーノ
Ah! perché mai quell'animeああ! いったい どうして あれらの魂が
nate non sono in Roma!ローマで 生まれなかったのだ!
Cori sì grandi intrepidiこれほどに 非常に 恐れを知らない心を
invidio all'Asia doma,屈従したアジアの【恐れを知らない心を】 私は 羨ましいと思う
e mille ignoti palpitiそして 千の 知られていない動悸【≒ 今まで感じたことのない 心臓の鼓動】
calmano il mio rigor.私の手厳しさを 静めている。
三重唱 緩。

no, quando non ha timor,
生きている限り恐れることなくローマに抵抗することを意味している。

Cori sì grandi intrepidi / invidio all'Asia doma,
invidiare ql.co. a qlcu. 人の何か物を羨ましいと思う

Allegro
4/4
C major
AURELIANOアウレリアーノ
Entro carcere distinto別々の牢獄の中へと
li traete, o fidi miei.彼らを 連行しなさい、ああ 私の忠実な者たちよ。

ARSACEアルサーチェ
Infierir tu sai nel vinto,君は 負かされた者に 残忍にふるまうことを 知っている、
sei romano...君は ローマ人だ…

ZENOBIAゼノービア
Augusto sei.君は 皇帝だ。

AURELIANOアウレリアーノ
Alme audaci!向こう見ずな魂め!
(a Zenobia)(ゼノービアに)
Parti,立ち去りなさい、
(a Arsace)(アルサーチェに)
va'.行きなさい、

ARSACEアルサーチェ
Io parto... (oh dolore!)私は 去る… (ああ 苦悩だ!)

ZENOBIAゼノービア
(Oh dolore!)(ああ 苦悩だ!)

AURELIANOアウレリアーノ
(Cotanto valore(これほど大きな勇敢さは
sorpreso mi tiene.)私を 驚かす。)
経過区の前半。

(Allegro)
4/4
C major
ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
M'abbraccia mio bene.私を 抱擁しなさい 私の最愛の人よ。
Deh! scemi l'orroreああ! 恐怖を 弱めるように
di nostre catene,私たちの鎖の【恐怖を】
l'amor, che seguace愛の神よ、その者は
d'entrambi sarà...両者の 【↑】信奉者に なるだろう…

AURELIANOアウレリアーノ
Aggravi l'orrore恐怖を 増すように
di vostre cattene君たちの鎖の【恐怖を】
l'idea che la pace考えが 平和が
giammai vi unirà...決して 君たちを 結びつけないだろう 【↑】という。
経過区の後半。
小三重唱のようになっている。

(Allegro)
4/4
C major
ZENOBIAゼノービア
(Il pianto s'asconda(涙が 隠れるように
che il seno m'innonda,それは 私の胸を 溢れさせている、
che freno non ha.それは 抑制を 持っていない【≒ その涙は 抑えが効かない】

AURELIANOアウレリアーノ
(La nova s'asconda(隠れるように
che il seno m'innondaそれは 私の胸を 溢れさせている
ingiusta pietà.【↑↑】新たな 不当な【≒ 】哀れみが。

ARSACEアルサーチェ
(Il pianto s'asconda(涙が 隠れるように
che il seno m'innonda,それは 私の胸を 溢れさせている、
che freno non ha.それは 抑制を 持っていない【≒ その涙は 抑えが効かない】

AURELIANOアウレリアーノ
Va', parti.行きなさい、立ち去りなさい。

ZENOBIAゼノービア
Sì parto...そうだ、私は 立ち去る…


AURELIANOアウレリアーノ
Alme audaci!向こう見ずな魂め!

ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
(Oh dolore!)(ああ 苦悩だ!)M'abbraccia mio bene.私を 抱擁しなさい 私の最愛の人よ。

AURELIANOアウレリアーノ
(Cotanto valore sorpreso mi tien.)(これほど大きな勇敢さは 私を 驚かす。)
三重唱 急。
テンポは Allegro のままだが、曲想からここでテンポが一段上がることが多い。
Più allegro
4/4
C major
ZENOBIA E ARSACEゼノービア と アルサーチェ
che freno non ha,それは 抑制を 持っていない【≒ その涙は 抑えが効かない】
Il pianto s'asconda涙が 隠れるように
che il seno m'innonda,)それは 私の胸を 溢れさせている、)

AURELIANOアウレリアーノ
che il seno m'innondaそれは 私の胸を 溢れさせている
ingiusta pietà.)不当な【≒ 】哀れみが。

(partono)(【三人とも】 退場する)
三重唱のストレッタ。

[Recitativo] Dopo il Terzetto

4/4
(C major)
(SCENA ⅩⅤ)(第15景)
(Atrio come sopra)(上述の【王宮の】中庭)
Publia solaプブリア一人

PUBLIAプブリア
E' deciso il destino運命は 決まった
di Zenobia, e dell'Asia. Oh! Arsace! o caro,ゼノービアの【運命は】、そして アジアの【運命は】。ああ! アルサーチェよ! ああ いとしい、
e sventurato Arsace!そして 不幸な アルサーチェよ!
Quanto ti costa il tuo funesto amore!何と 君に 代償を招いているのか 君の 不幸をもたらす愛は!
Zenobia il tuo bel coreゼノービアは 君の美しい心を
a me rapisce, a te la vita invola...私から 強奪している、君から 命を かすめ取っている…
Posso salvarti io sola,私だけが 君の命を助けることができる、
e salvarti vogl'ioそして 私は 君の命を助けたい
col sacrificio d'ogni affetto mio.私のあらゆる情愛の犠牲をもって。
[N. 12]
Aria Publia

Publia
Allegro
4/4
E-flat major
PUBLIAプブリア
Non mi lagno che il mio bene私は 不平を言わない 私の最愛の人を
doni ad altra, amor tiranno;お前が 他の女に 与えても、暴虐な愛の神よ;
ma soffrir non so l'affannoしかし 私は 苦悩を 苦しむ【≒ 苦しみに 耐える】ことはできない
di vederlo, oh Dio! spirar.彼が、ああ 神よ! 息を引き取るのを 見るという。
Goda pur di quella pace彼が その平安に どうか 満足するように
che godere a me non lice;それ【= 平安】は 私には 心から喜ぶことが許されていない。
pur che viva io son felice,彼が 生きてくれれば 私は 幸せだ、
saprò tutto sopportar.私は すべてを 耐えられよう。

[(parte)][(退場する)]
[Recitativo] Dopo l'Aria di Publia






Coro

4/4
(C major)
(SCENA ⅩⅤ)(第15景)
(Aureliano con gran seguito, Publia, che ritorna, indi Licinio)(アウレリアーノ 大きな【≒ 大勢の】従者の一行と共に、プブリア、その者は 戻る、それから リチーニオ)

AURELIANOアウレリアーノ
(Scacciar mi è forza alfine(ついに 私から 追い出さざるをえない
questo malnato amor... Solo si ascoltiこの 悲惨な愛を… 聞こう ただ
l'offesa maestà: della superba尊大な女の 侮辱された威厳 【↑】だけを。
si abbassi omai l'orgoglio,【ゼノービアの】傲慢さが 今ではもう 衰えている【≒ 弱まっている】ように、
mi segua con Arsace al Campidoglio.)彼女が アルサーチェと共に カンピドーリオの丘へと 私の後を追うように。)

PUBLIAプブリア
(Coraggio, o cor; è necessario il passo,(勇気を出しなさい、ああ 心よ; 一歩を踏み出すことが 必要だ
se lo comanda amor.)もし それを 愛の神が 命令するならば。)
(per inginocchiarsi)(跪いて)
A' piedi tuoi君の足元に
vedi Augusto...見なさい 皇帝よ…

AURELIANOアウレリアーノ
(trattenendola)(彼女を 引き留めて)
Che fai? Publia! che vuoi?君は 何を しているのか? プブリアよ! 君は 何を しているのか?

PUBLIAプブリア
La tua clemenza imploro;私は 君の慈悲を 懇願している;
di Persia il prence adoro【↓】私は ペルシャの王子を 熱愛している
senza speranza io pur; ma non poss'ioたとえ 希望はなくとも; しかし 私は できない
soffrir, che il tuo rigore苦しむ【≒ 耐える】ことが、君の手厳しさが
morte o infamia l'appresti. Al mondo e a lui死を あるいは 汚名を 彼に 与える 【↑】ことは。世界に そして 彼に
sommo di tua virtute esempio dona,君の徳の最高の模範を与えなさい、
ogni oltraggio ti scorda, e li perdona.どんな侮辱も 忘れなさい、そして 彼らを 許しなさい。

LICINIOリチーニオ
Tutti, o signore, di Palmira i Grandiああ 貴君よ、パルミラの高位高官たち全員が
sul destino tremanti運命に 慄いて
della vinta città, vengon pietade負かされた町の【運命に】、来ている 哀れみを
ad implorar da te.君に 哀願するために。

PUBLIAプブリア
Placati, Augusto.落ち着きなさい、皇帝よ。
Tu non rispondi!... e che ti costa mai君は 答えない!… それで いったい 君に 何を 要するのか
un atto di virtù perché i miei voti,徳の行為が 私の願いを、
e d'un popolo intero il pianto sdegni?そして 全人民の涙を 君が 軽蔑する 【↑】とはいえ【≒ 君が 私の願いや、すべての人々の涙に 目もくれないとはいえ 徳を積むことに 君は どんな苦労を要するというのか】

AURELIANOアウレリアーノ
Son quegli audaci di perdono indegni.あの厚かましい者たちは 赦免に値しない。
e che ti costa mai / un atto di virtù perché i miei voti, / e d'un popolo intero il pianto sdegni?
この場合の perché は ―とはいえ。
この文は perché の前で切って2つの疑問文として理解されることもあるが、初期の印刷台本では(そしてクリティカルエディション総譜でも)一文である。

[N. 13]
CORO DI GRANDI





Coro
Allegro
4/4
B-flat major
(SCENA ULTIMA)(最終景)
(Escono i Grandi del regno: addolorati e supplichevoli si prostrano ad Aureliano, indi Arsace, Zenobia ed Oraspe fra le Guardie)(王国の高位高官たちが 出て来る: 深く悲しんで そして 嘆願するように アウレリアーノの前に跪く、それから アルサーチェ、ゼノービア と オラスペ 衛兵たちの間に)

CORO DI GRANDI高位高官たちの合唱
Nel tuo core unita sia君の心の中で 結び付くように
la clemenza col valor!慈悲が 勇敢さと!
Siam tuoi figli. Augusto oblia私たちは 君の息子たちだ。皇帝よ 忘れなさい
che sei nostro vincitor.君が 私たちの勝者であることを。
Augusto oblia / che sei nostro vincitor.
台本では(そしてクリティカルエディション総譜でも)この文は切れ目のない一文だが、Augusto が呼びかけで、oblia が命令法現在二人称単数で採って理解した。

[Recitativo] Dopo il Coro [di Grandi]







4/4
(C major)
AURELIANOアウレリアーノ
(alle guardie, che partono)(衛兵たちに、その者たちは 退場する)
I prigionieri a me.捕虜たちを 私のところに。

CORO DI GRANDI高位高官たちの合唱
(Che mai risolve?)(彼は いったい 何を 決心するのか?)

PUBLIAプブリア
(Che mi lice sperar?)(私に 何を 期待することが 許されるのか?)

AURELIANOアウレリアーノ
(Onta non faccia(侮辱しないように
un estremo rigore al nome mio.甚だしい手厳しさが 私の名前を【≒ 過度に厳しくすることで 私の名前が 不名誉を被ることのないように】
Degna vendetta è un generoso oblio.)寛大な忘却が 復讐に相応しい。)
(escono Arsace, Zenobia ed Oraspe)(アルサーチェ、ゼノービア と オラスペが 出て来る
Mirate; ognun per voi perdono implora:見詰めなさい: 皆それぞれが 君たちのために 赦免を 懇願している:
e d'ottenerlo ancoraそして それを 得る
speme vi resta. Eterna fede a Roma希望は 君たちに 残っている。ローマに 永遠の忠誠を
in faccia al vinto e al vincitor giurate;敗者の面前で そして 勝者の【面前で】 誓いなさい;
liberi siete, ed a regnar tornate.【そうすれば】 君たちは 自由だ、そして 君たちは 統治することに 戻る。

ZENOBIAゼノービア
(Oh generoso!)(ああ 寛大な!)

ARSACEアルサーチェ
(Oh grande!)(ああ 偉大な!)

PUBLIAプブリア
(O magnanimo eroe!)(ああ 度量の大きい英雄だ!)

ZENOBIAゼノービア
Vincesti. A Roma君は 勝った。ローマに
giuro salda amistà.不変の友好を 私は 誓う。

ARSACEアルサーチェ
Giuro in tua mano君の手に 私は 誓う
pace al Tebro, e tributo ad Aureliano.テヴェレ川【≒ ローマ】に対する平和を、そして アウレリアーノへの義務を。
(Onta non faccia / un estremo rigore al nome mio
fare onta a qlcu. 人を侮辱する。

pace al Tebro, e tributo ad Aureliano.
tributo は納税 あるいは 献納,捧げもの といった意味があるが、この場合は (果たすべき)義務 と理解した。

[N. 14]
Finale Secondo

Zenobia
Publia
Oraspe
Aureliano
Licinio
Coro
Moderato
2/4
G major
AURELIANOアウレリアーノ
Copra un eterno obblio永遠の忘却が 覆う【≒ 包み隠す】ように
ogni passato errore:あらゆる過去の過ちを:
vi stringa a noi l'amore,愛が 君たちを 私たちに 結ぶように
che le vostr'alme unì.それ【= 愛】は 君たちの魂を 結び付ける。

PUBLIA, ORASPE, LICINIO E COROプブリア,オラスペ,リチーニオ と 合唱
Torni sereno a splendere再び 晴れ晴れと 輝くように
all'Asia afflitta il dì.苦しんだアジアに 太陽が。

ZENOBIAゼノービア
Il giuramento mio私の誓いを
porterò sempre in core;常に 心に 持っていよう;
lo custodisca amore,それ【= 誓い】を 愛が 保護するように、
che le nostr'alme unì.それ【= 愛】は 私たちの魂を 結び付ける。

PUBLIA, ORASPE, LICINIO E COROプブリア,オラスペ,リチーニオ と 合唱
Torni sereno a splendere再び 晴れ晴れと 輝くように
all'Asia afflitta il dì.苦しんだアジアに 太陽が。

ARSACEアルサーチェ
Amico a te son io,私は 君の 友だ、
sarò Romano in core:私は 心の中で ローマ人に なろう。
serbi il gran voto amore,愛が 大きな誓いを 守るように、
che le nostr'alme unì.それ【= 愛】は 私たちの魂を 結び付ける。

PUBLIA, ORASPE, LICINIO E COROプブリア,オラスペ,リチーニオ と 合唱
Torni sereno a splendere再び 晴れ晴れと 輝くように
all'Asia afflitta il dì.苦しんだアジアに 太陽が。
APPENDICI
[Recitatico] Dopo la Cavatina Aureliano per introdurre il [N. 3bis] Duetto [Arsace-Aureliano], Atto Primo
Recitativo

4/4
(C major)
AURELIANOアウレリアーノ
Olà: venga, e s'ascoltiそら、来るように、そして 聞こう
il prence prigionier.捕らわれた王子が/を。


(SCENA Ⅵ)(第6景)
(Arsace [tra le Guardie] ed Aureliano)(アルサーチェ [衛兵たちの間に] そして アルレリアーノ)
(Esce Arsace, Aureliano li va incontro)(アルサーチェが 出る【≒ 登場する】、アウレリアーノは 彼の方に 行く)

AURELIANOアウレリアーノ
Stretto in catene鎖に 締め付けられて
eccoti Arsace: invan la Persia interaそら ここに アルサーチェが: 無駄に 全ペルシャに
armasti contro me: fur le tue schiere君は 武器を持たせた 私に対して: 君の部隊は
dal romano valor vinte e fugate,ローマの勇敢さに 負かされて そして 追い払われた、
in riva dell'Oronte, e dell'Eufrate.オロンテス川の岸で、そして ユーフラテス川の【岸で】

ARSACEアルサーチェ
Della fortuna avversa敵対する運命の
non rammentarmi in van lo sdegno estremo;甚だしい怒りを 虚しく【≒ 意味もなく】 私に思い出させるでない;
io son tuo prigionier; lo veggo, e fremo.私は 君の捕虜だ; 私は そのことを 理解している、そして 私は 【そのことに】 身震いしている。
Che se giustizia solaというのも もし ただ 公正さだけが
assistesse al pugnar, in lacci avvinto戦いに 立ち会うならば【≒ 運命が 戦いを 公正に 見守るならば】、罠【≒ 縛り縄】に 縛り付けられた
oggi Aurelian vedreiアウレリアーノを 今日 私は 見ているだろうに
al piede di Zenobia, e ai piedi miei.ゼノービアの足元に、そして 私の足元に。

AURELIANOアウレリアーノ
Principe, un folle amore王子よ、狂気の愛が
oh come ti cambiò! nemico a Romaああ 何と 君を 変えたことか! ローマへの敵に
per Zenobia ti festi...君は なった ゼノービアのために…
Dovrei punirti; ma pietà mi desti.私は 君を 罰しなくてはならないだろう; しかし 君は 私に 哀れみを 引き起こしている。

ARSACEアルサーチェ
La tua pietà? conosce il mondo appieno君の哀れみだと? 世界は 十分に 心得ている
il Tebro ed Aureliano.テヴェレ川【≒ ローマ】を そして アウレリアーノを。
Non alberga pietade in cor romano.哀れみは 宿っていない ローマ人の心には。

AURELIANOアウレリアーノ
E se pietà non fosse di te che fia!では もし 哀れみが 【ローマ人の心に】 ないならば 君は どうなるというのだ!
Cambia consiglio, fuggi la superba nemica,意思を 変えなさい、尊大な敵の女を 避けなさい、
torna di Roma all'amistade antica.ローマの以前の友愛に 戻りなさい。

ARSACEアルサーチェ
Invan lo chiedi: eterno amore, e fede君は そのことを 虚しく 求めている: 永遠の愛を そして 【永遠の】忠誠を
a Zenobia giurai e non seppi私は ゼノービアに 誓った そして できなかった
spergiuro esser giammai.決して 誓いに背くことは。
N. 3 bis Duetto [Arsace - Aureliano], Atto Primo
[N. 3bis]
Duetto [Arsace - Aureliano]

Arsace
Aureliano
Allegro
4/4
A major
AURELIANOアウレリアーノ
Pensa che festi a Roma考えなさい 君が ローマに したことを
tal giuramento in pria,そのような誓いを 以前に、
che il Tebro lo sentiaテヴェレ川【≒ ローマ】は そのことを 聞いたことを
né il Tebro lo scordò. テヴェレ川【≒ ローマ】は そのことを 忘れていないことを。

ARSACEアルサーチェ
Roma rammenti ancoraローマが まだ 覚えているように
come l'ottenne, e quando.どうやって それ【= 誓い】を 手に入れたか、そして いつ。
Lo domandò col brando,それ【= テヴェレ川 ≒ ローマ】は それ【= 誓い】を 剣で 要求した、
col sangue lo segnò. 血で それ【= 誓い】を 書き留めた。

AURELIANOアウレリアーノ
Dunque tu vuoi...それでは 君は 望んでいるのか…

ARSACEアルサーチェ
Serbarmi fido a Zenobia ancora.私が ゼノービアの信奉者であることを 守ることを【≒ 私は ゼノービアに 忠実であり続けたい】

AURELIANOアウレリアーノ
Ma il tuo destin...だが 君の運命は…

ARSACEアルサーチェ
Si mora, dolce e per lei morir.死のう、彼女のために死ぬことは 快い。

AURELIANOアウレリアーノ
Il suo parlar m'offende彼の話は 私の感情を害している
crudel con lui mi fa. それは 彼に対して 残酷にさせる。

ARSACEアルサーチェ
L’amor che il sen m'accende愛が それは 私の胸を 燃やしている
costanza al cor mi dà.私の心に 意志の強固を与えている。
急―緩―急 の三部形式の二重唱。
急。

98小節から102小節まで、省略可記号 Vi--de が付いている。

Andantino
3/4
A major
AURELIANOアウレリアーノ
Torna o prence al sen di Roma戻りなさい ああ 王子よ ローマの懐に
a punirti omai vicina,今や 君を 罰するに近い【≒ すぐにでも 君を 罰っしようとしている(ローマの懐に)】
e la barbara reginaそして 蛮族の女王を
abbandona al suo rigor.その【= ローマの】手厳しさに 委ねなさい。

ARSACEアルサーチェ
Ah, non posso, ognor costanteああ、私は できない、いつでも 誠実
a me fu nei dì beati,だった 彼女は 私に 幸せな日々には、
fido a lei ne' sfortunati逆境の【日々】【↓】もまた 彼女に 信頼できる
voglio anch’io serbar il cor. 心を 私は 持ち続けたい。
緩。

112小節(この部分の冒頭)から118小節まで、省略可記号 Vi--de が付いている。
127小節から130小節まで、省略可記号 Vi--de が付いている。
139小節から142小節まで、省略可記号 Vi--de が付いている。
160小節から167小節まで、省略可記号 Vi--de が付いている。

Allegro
4/4
A major
AURELIANOアウレリアーノ
Io saprò... 私は できよう…

ARSACEアルサーチェ
Giammai cangiarmi. 決して 私を 変えはしない。

AURELIANOアウレリアーノ
La tua morte... 君の死が…

ARSACEアルサーチェ
Non può farmiそれ【= 死】は できない 私を
un istante vacillar.一瞬【でも】 揺ら 【↑】がせることは。
経過区。
Allegro
2/2
A major
AURELIANOアウレリアーノ
Va’ ti cela al mio cospetto,行け 私の面前から 身を隠せ【≒ 消え失せろ】
al tuo fato io t’abbandono,私は 君の宿命に 君を 委ねる、
come pronto nel perdono赦免における 迅速のように
sarò pronto in condannar.私は 有罪の判決を下すにおいて 迅速だろう【≒ 私は すぐに 許しを与えるが 処刑を宣告する時にも 私は 迅速だろう】

ARSACEアルサーチェ
Ah! per lei ch'io porto in pettoああ! 彼女のために それを 私は 胸に 持っている
il mio capo t'abbandono,私は 私の頭を 君に 委ねる【≒ 首を 預ける】
come sprezzo il tuo perdono 私が 君の赦免を 無視するのと 同じ様に
l'ira tua saprò sfidar. 私は 君の怒りを 物ともしないことができよう。

(partono. Aureliano entra nelle tende. Arsace è condotto via tra le Guardie)(【二人とも】 退場する。アウレリアーノは 天幕の中に 入る。アルサーチェは 衛兵たちに囲まれて 連れ去られる)



【第1幕 第7景 のリチーニオのレチタティーヴォに戻る】
急。

il mio capo t'abbandono,
abbandonare il capo で 頭 こうべ を垂れる という意味があるが、この場合は 首を 預ける の意味だと理解した。

N. 5a Aria Zenobia, Atto Primo
[N. 5a]
Aria Zenobia

Zenobia

Coro
Maestoso
4/4
E-flat major
ZENOBIAゼノービア
Là pugnai; la sorte arriseあそこで 私は 戦った; 運命は 微笑んだ
al mio braccio, al valor mio:パルミラに、そして 私の腕に:
quel gran giorno non oblio,あの素晴らしい日を 私は 忘れない、
quel gran giorno ancor verrà.あの素晴らしい日は また 来るだろう。
Aggitato
4/4
E-flat major
Palpito insieme o Dio!私は 心臓がどきどきしている ああ 神よ! 同時に
e di furore avvampo.そして 私は 激情に かっとなっている。
(ai Prigionieri)(捕虜たちに)
Voi rimanete: addio:君たちは 留まりなさい; さようなら:
(ai Romani)(ローマ人たちに)
voi m'attendete in campo, addio,君たちは 戦場で 私を 待つように、さようなら:
un dio mi sprona all'armi:神が 私を 戦闘へと 励ましている:
un dio mi spronerà all'armi:神が 私を 戦闘へと 励ますだろう:
un dio mi reggerà.神が 私を 支えるだろう。
Addio, all'armi.さようなら、戦闘に。

CORO DI PRIGIONIERI捕虜たちの合唱
Senti oh Dio! pietà d'Arsace,感じなさい ああ 神よ! アルサーチェの哀れみを、
senti oh Dio! di noi pietà.感じなさい ああ 神よ! 私たちの哀れみを。

ZENOBIAゼノービア
No, non piangete, o sventurati,いいや、泣くでない、ああ 不運な人たちよ!
in catene è ver gemete;君たちが 鎖に繋がれて 呻いている それは 本当だ;
ma fratelli e figli avreteだが 君たちは 兄弟たちと 息子たちを 持つだろう
per donarvi libertà.君たちに 自由を 与えるために。
Più mosso
4/4
E-flat major
Un dio mi sprona all'armi:神が 私を 戦闘へと 励ましている:
un dio mi reggerà.神が 私を 支えるだろう。
all'armi.さようなら、戦闘に。
(Zenobia parte scortata da Licinio, indi Oraspe e seguaci)(退場する リチーニオに付き添われて、それから オラスペと 従者が 【退場する】)

参考資料

NAXOS
CD
8.660448-50
AurelianoJuan Francisco Gatelltenore
ZenobiaSilvia Dalla Benettasoprano
ArsaceMarina Viottimezzosoprano
PubliaAna Victoria Pittssoprano
LicinioZhiyuan Chenbasso
OraspeXiang Xutenore
Gran SacerdoteBaurzhan Anderzhanovbasso
Un Pastore

Camerata Bach Choir, Poznań
Ania Michalakark Hindely, Chorus-master

Virtuosi Brunensis
Jose Miguel Peres-Sierra

12, 14 and 22 July 2017
Trinkhalle, Bad Wildbad, Germany

バート・ヴィルトバートでの ヴィルトバートのロッシーニ での演奏会形式上演のライヴ録音。上演記録によると公演は7月14,22日。12日は総練習だろう。

ALTHAUS MUSIK
Blu-ray Disc
109074
AurelianoMichael Spyrestenore
ZenobiaJessica Prattsoprano
ArsaceLena Belkinamezzosoprano
PubliaRaffaela Lupinaccimezzosoprano
LicinioSergio Vitalebasso
OraspeDempsey Riveratenore
Gran SacerdoteDimitri Pkhaladzebasso
Un PastoreRaffaele Costantinibasso

Ccoro del Teatro Comunale di Bologna
Andrea Faidutti, Maestro del Coro

Orchestra sinfonica G. Rossini
Will Crutchfield, direttore

DirectorMario Martone
Set DesignerSergio Tramonti
Costume DesignerUrsula Patzak
Lighting DesignerPasquale Mari

August 2014
Teatro Rossini, Pesaro, Italy

2014年のロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでの上演の収録。上演記録によると、公演は2014年8月12,15,18,22日。ウィル・クラッチフィールド校訂のクリティカルエディションによる初の上演だった。
アウレリアーノのマイケル・スパイアーズがたいへん素晴らしく、ゼノービアのジェシカ・プラット、アルサーチェのレナ・ベルキナも上々。校訂者のウィル・クラッチフィールド自身が指揮をしているが、やや緩め。
マーリオ・マルトーネの演出は総じて素直な舞台なのだが、幕切れの大団円に「物語はこうだが史実では…」といった注釈を字幕で付けている。ご都合的幕切れに我慢がならなかったのだろうが、演出家が言葉で注釈を入れるのは興覚め。

BONGIOVANNI
DVD
AB 20022
AurelianoBogdan Mihaitenore
ZenobiaMaria Aleidasoprano
ArsaceFranco Fagiolicounter tenor
PubliaAsude Karayavuzsoprano
Licinio森雅史 Masashi Moribasso
OraspeMert Süngütenore
Gran SacerdoteLuca Tittotobasso
Un Pastore

Coro Slovacco di Bratislava
Pavel Procházka, Maestro del Coro

Orchestra Internazionale d'Italia
Giacomo Sagripanti, Direttore d'orchestra

RegiaTimothy Nelson
SceneTiziano Santi
CostumiMichelle Cantwell
Movimenti correograficiNikos Lagousakos

July 2011
Plazzo Ducale, Martina Franca, Italy

イタリア、マルティーナ・フランカでの イトリアの谷音楽祭 での上演の収録。公演プログラム冊子によると、公演は7月15,17日。使用楽譜は Edizioni Peters London とのこと。
アルサーチェ役にカウンターテノールのフランコ・ファジョーリを起用している。

Opera Rara
CD
ORC46
AurelianoKenneth Tarvertenore
ZenobiaCatriona Smithsoprano
ArsaceSilvia Tro Santafemezzosoprano
PubliaEzgi Kutlusoprano
LicinioVuyani Mlindebasso
OraspeJulian Alexander Smithtenore
Gran SacerdoteAndrew Foster-Williamsbasso
Un Pastore

Geoffrey Mitchell Choir
Renato Balsadonna, Chorus Director

London Philharmonic Orchestra
Maurizio Benini, conductor

October 2010
Henry Wood Hall, London, UK

Opera Raraによる商業録音。収録日は明記されていないが、同月23日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで演奏会形式上演が行われており(⇒ 蘇演)、おそらくその前にリハーサルを兼ねて収録したのではないだろうか。

BONGIOVANNI
CD
GB 2201/2-2
AurelianoDonald Georgetenore
ZenobiaTatjana Korovinasoprano
ArsaceAngelo Manzottisopranista
PubliaElisabeth Canismezzosoprano
LicinioAlexander Alnicollibasso
OraspeVincent Ordanneuatenore
Gran SacerdoteAlexander Alnicollibasso
Un Pastore

Coro da Camera di Czechina (Czech Chamber Chorus)
Pavel Baxa, Maestro del Coro

I Virtuosi di Prag Francesco Corti, direttore

18 & 20 July 1996
Kursaal, Bad Wildbad, German

ドイツ、バート・ヴィルトバートでの ヴィルトバートのロッシーニ での公演のライヴ録音。
ゼノービアのタチアーナ・コロヴィナはコロラトゥーラを得意とする軽めのソプラノで、第1幕のゼノービアのアリアのカバレッタなど軽やかに捌いている。アウレリアーノのドナルド・ジョージは、あまりロッシーニテノールらしい歌い方ではないが、無難にこなしている。アルサーチェをソプラニスタ(ソプラノ音域を歌えるカウンターテノール) アンジェロ・マッゾッティが受け持っているが、ロッシーニを歌うにはかなり厳しい。

NUOVA ERA
CD
7069/70
AurelianoEzio Di Cesaretenore
ZenobiaDenia Mazzolasoprano
ArsaceLuciana D'Intinomezzosoprano
PubliaNicoletta Cilientosoprano
LicinioPaolo Orecchiabaritono
OraspeFerrero Poggitenore
Gran SacerdoteAntonio Maranibasso
Un Pastore

Artisti del Coro Associati
Marco Bargagna, Chorus Master

Orchestra Lirico-Sinfonica del Teatro del Giglio di Lucca
Giacomo Zani

28-30 Semtepnber, 2 October 1991
Teatro Giglio, Lucca, Italy

ルッカのジーリオ劇場での上演のライヴ録音。
アウレリアーノのエツィオ・ディ・チェーザレは、一般的にはロッシーニテノールとは認識されていないだろうが、昔気質のイタリアの声でありながら意外に健闘している(アウレリアーノの音域があまり高くないのが彼に幸いしたろう)。ゼノービアのデニア・マッゾーラは大柄な歌い口は良いとしても、高音がぶら下がり気味なのが気になる。アルサーチェのルチアーナ・ディンティーノは1990年代ニロッシーニメッゾとして活躍したメッゾソプラノ。悪くはないが、ロッシーニメッゾの水準が格段に向上した後では今一つに感じられる。

ARS NOVA
CD
ACDAN 3164
AurelianoPaolo Barbacinitenore
ZenobiaLuciana Serrasoprano
ArsaceHelga Müller-Molinarimezzosoprano
PubliaAnna Maria Pizzolisoprano
LicinioGiancarlo Tosibasso
OraspeBernardino Trottatenore
Gran SacerdoteCarlo Cavabasso
Un Pastorebasso

Coro Gregorio Magno
Mauro Trombetta, Maestro del Coro

Orchestra del Teatro dell'Opera Giocosa di Genova
Giacomo Zani, direttore

1981
Politeama Genovese, Genova, Italy

ジェノヴァでの近代蘇演(⇒ 蘇演)とほぼ同キャストによる録音。
当時としては優れたロッシーニ歌手を集めており、特に34歳のルチアーナ・セッラの歌うゼノービアが素晴らしい。パオロ・バルバチーニのアウレリアーノも悪くない。ヘルガ=ミュラー・モリナーリのセストは技術的には悪くないが、少々素っ気ない。
1980年代前半にこの録音がLPで発売された時、日本の会員制の 珍品オペラレコード愛好会 が解説・台本の伊日対訳を付けて頒布した。後にCD化された時に、当CDに同内容の日本語解説・対訳冊子を付けたものが国内盤として発売された(ANF 0335ARA3)。ただし対訳の精度は今一つ。
なおYouTubeには1980年9月11日の蘇演の映像もアップされている。

Giovanni Paisiello: Zenobia in Palmira

BONGIOVANNI
CD
GB 2488/89-2
AurelianoLeonardo Cortellazzitenore
ZenobiaRosanna Savoiasoprano
ArsaceTonia Langellamezzosoprano
PubliaSonia Cianisoprano
LicinioBlagoj Nacoskitenore
OraspeRosa Bovemezzosoprano

Orchestra del Teatro di San Carlo
Francesco Ommassini

22 & 24 May 2016 Teatro San Carlo, Napoli, Italy

原作であるガエターノ・セルトルの台本を用いたジョヴァンニ・パイジェッロの《パルミラのゼノービア》のCD。