ロッシーニ御殿 ホームページ
オペラ御殿 旧御殿のメインメヌー
最新更新 2024年05月17日
無断転載 厳禁
GIOACHINO ROSSINI
ADELAIDE DI BORGOGNA
暫定版
《ブルグントのアデライデ》はまだクリティカルエディションが刊行されていないので、この項は現状利用できる資料を用いた暫定版である。
台本は、2011年にROFで上演された際のプログラム冊子に掲載されているものに基づいている。
楽譜は、1850年頃にRICORDI社が刊行したピアノ伴奏譜(大英図書館に収蔵されているものの画像が公開されており、google booksでダウンロードできる)に基づいている。
したがって、将来クリティカルエディションが刊行された後に大幅な修正が予想されることを承知していただきたい。
初演 1817年12月17日 ローマ アルジェンティーナ劇場
First performance Roma Teatro Algentina 17 December 1817
台本作家 ジョヴァンニ・シュミット
Librettist Giovanni Schmidt
《ブルグントのアデライデ》は、ロッシーニがローマ向けに書いた新作オペラの中で唯一のオペラセリアである。
題名訳について
Adelaide di Borgogna の Borgogna は、イタリア語でブルゴーニュを指す言葉なので、 題名は ブルゴーニュのアデライデ と訳されることが多い。
しかし、今日日本で ブルゴーニュ と言った場合、ブルゴーニュワインで有名なフランスの旧ブルゴーニュ地域圏(2016年に東に隣接する フランシュ=コンテ地域圏 と統合され、現在は ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏 となっている)を指すことが多い。
一方でオペラ Adelaide di Borgognaは、史実のオットー大帝の後妻のアデルハイト、英語で Adelaide of Burgundy、ドイツ語で Adelheid von Burgund と呼ばれる人物のイタリア語での名である。この場合の Borgogna、Burgundy、Burgund は彼女の出身王家を指している。日本ではこの王国をドイツ語読みで ブルグント王国(あるいはアルル王国 933―1378) と呼ぶことが一般的で、それを受けて彼女はドイツ語読みで アデルハイト・フォン・ブルグント と呼ばれるのが一般的である。
また物語の舞台は北イタリアのレッジョエミリア地方のカノッサ(オペラではカノッソと呼ばれている)で、フランスのブルゴーニュ地方とは関係がない。
なお人名なので アデライデ・ディ・ブルグント と表記することもできるが、独伊混合がかなり不自然に思われる。
以上を勘案して、ここでは Adelaide di Borgognaを ブルグントのアデライデ と表記することにする。
Adelaide のアクセントは -lai- のa音に入るので、アデラーイデのようになり、アデライーデの表記は誤り。ここでは音引き無しのアデライデとする。
作曲
《ブルグントのアデライデ》の作曲について、残された情報はかなり少ないが、幸いなことにロッシーニがローマの興行主、ピエトロ・カルトーニに契約書を送った際の手紙が残っている。
ピエトロ・カルトーニ Pietro Cartoni 1779―1837は、1809年から1829年にかけてローマのアルジェンティーナ劇場やヴァッレ劇場で興行主として活動していた。カルトーニとロッシーニは単なる興行主と作曲家の仕事上の関係ではなく、1815年秋(ロッシーニは《イタリアのトルコ人》の上演のためローマに滞在していた)に知り合って以降、とても親しい関係にあった。ロッシーニがローマに来た時は、パラッツォ・カプラニカ(パンテオンからほど近い)のカルトーニの家(彼はここで食料雑貨店を営んでいた)に滞在した。1816年2月2日にはロッシーニがカルトーニの娘ソフィアの洗礼の際に代父になっていることからも、二人が強い信頼関係にあったことが伺える。
カルトーニはロッシーニの《ラ・チェネレントラ》初演(1817年1月25日 ヴァッレ劇場)の際の興行主であり、おそらくこの頃からカルトーニはロッシーニに次シーズンのカーニヴァルシーズンの開幕公演用の新作を求めていたのではないだろうか。ただしカルトーニがアルジェンティーナ劇場の興行主に就いたのは1817年11月12日のことである。
10月26日付でナポリのロッシーニはカルトーニに署名入りの契約書の写しを郵送、その際に手紙を同封した。
※普請中※
台本
※普請中※
史実の人物たち
《ブルグントのアデライデ》に登場する主要人物たちは、いずれも実在の人たちである。
ある。
アデルハイト・フォン・ブルグント 931―999 は、ブルグント王ルドルフ2世の娘で、ブルグント王国の領土だった現在のスイス最西部の都市、オルブの生まれ。947年、イタリア王ロターリオ2世(? - 950、在位945 - 950)と結婚。しかし950年にロターリオ2世は亡くなり(ベレンガリオ2世に毒殺されたという噂が広まった)、若くして未亡人になってしまった。亡夫がイタリア王で、かつ彼女の祖父がイタリア王ウーゴだったことから、彼女は強い王位継承権を持っており、そのためにイタリア王を狙っていたベンガリオ2世から彼の息子アダルベルト2世との結婚を強要される。その要求を拒んだことで、彼女はコモに幽閉されたが、密かに脱出しレッジョエミリア地方のカノッサのカノッサ城に逃亡。しかしここもベレンガリオに包囲される。アデルハイトは何とかオットー1世に救出を要請し、951年、救出される。同年二人は結婚。しかし973年にオットー1世が亡くなって以降は彼女の地位は不安定になる。999年、アルザスで亡くなりった。それからおよそ100年後の1097年に、彼女は聖人に列せられた。
オットー1世 912―973は、東フランク王国の国王 在位936―973で、また神聖ローマ帝国の初代皇帝 在位962―973。オットー大帝という呼び名も一般的。父ハインリヒ1世は弱体化していた東フランク王国を復興させ、オットーがそれをさらに発展させた。951年、アデルハルトからの救出要請によって北イタリアに南進してベレンガリオ2世とアダルベルト2世の親子を押さえつけ、オットーはアデルハルトと結婚して大国の基礎を作った。962年にはローマ法王ヨハネス12世の要請で再びベレンガリオ親子を駆逐し、その功績によって教皇からローマ皇帝の地位を与えられ、神聖ローマ帝国の初代皇帝となった。
ベレンガリオ2世 900頃―966
イヴレア辺境伯から身を起こし、950年にロターリオ2世亡くなる(ベレンガリオ2世が暗殺したという噂が広まった)とイタリア王の座に付き、ロターリオ2世の未亡人アデルハイトに息子アダルベルト2世の妻になるよう強要する。しかし951年、アデライデを救出しようとするオットー1世に敗北。その後親子はオットーへの恭順を誓い、厳しい処罰はなかった。しかし960年以降、親子は度々教皇領に手を伸ばし、法王ヨハネス12世がオットー1世の介入を要請、963年に再びオットー1世に敗北し降伏。ベレンガリオ2世はドイツに連行され、966年にバンベルクで亡くなった。
アダルベルト2世 936頃―971
ベレンガリオ2世の息子。父とともにイタリア王を兼任した。971年、ブルゴーニュのオータンで亡くなった。
初演
初演は1817年12月27日、ローマ、アルジェンティーナ劇場で行われた。
オットーネ
Ottoneエリザベッタ・ピノッティ
Elisabetta Pinottiコントラルト
contralto
アデライデ
Adelaideエリザベッタ・マンフレディーニ・グワルマーニ
Elisabetta Manfredini Guarmaniソプラノ
soprano
ベレンガーリオ
Berengarioアントーニオ・アンブロージ【注】
Antonio Ambrosiバス
basso
アデルベルト
Adelbertoサヴィーノ・モネッリ
Savino Monelliテノール
tenore
エウリーチェ
Euriceアンナ・マリア・ムラトーリ
Anna Maria Muratoriメッゾソプラノ
mezzosoprano
イロルド
Iroldoルイーザ・ボッテージ
Luisa Bottesiソプラノ
soprano
エルネスト
Ernestoジョヴァンニ・プリエスキ
Giovanni Puglieschiテノール
tenore
注 初演時の印刷台本にはベレンガーリオ役は ジョアッキーノ・シャルペッレッティGioacchino Sciarpelletti になっているが、実際にはアントーニオ・アンブロージが、おそらく初演直前に交代して、歌った。近年の作品解説でも誤っている場合があるので注意。
エリザベッタ・ピノッティ ?―? はイタリアのコントラルト。男装役を得意とし、1810年前後にミラノのスカラ座、ナポリのサンカルロ劇場、ローマの諸劇場など、イタリア各地で活躍したが、あまり詳しいことは伝わっていない。
エリザベッタ・マンフレディーニ・グワルマーニ 1780―? は、ボローニャ生まれのソプラノ。父は作曲家のヴィンチェンツォ・マンフレディーニ 1737―1799。彼女の生年はしばしば1790年などとされるが、ボローニャ大司教総文書庫に保管されていた洗礼記録によって1780年6月2日生まれと判明した。プロの歌手としてのデビューは1810年と当時の女性歌手としてはかなり遅めだが、すぐに北イタリアを中心に広く活動するようになる。彼女はロッシーニのオペラ4作の初演に出演した。《バビロニアのチーロ》初演 1812年3月14日 フェラーラ 市立劇場 アミーラ。《タンクレーディ》初演 1813年2月6日 ヴェネツィア フェニーチェ アメナイデ。《シジスモンド》初演 1814年12月26日 ヴェネツィア フェニーチェ劇場 アルディミーラ 。そしてこの《ブルグントのアデライデ》初演のタイトルロール 1817年12月27日 ローマ アルジェンティーナ劇場。《タンクレーディ》の爆発的人気により、彼女はアメナイデ役を当たり役として各地で歌い、またロッシーニの他のオペラのヒロインも頻繁に歌った。もちろんや他の作曲家のオペラにも数多く出演した。
アントーニオ・アンブロージ 1786―? は、1810年代から1830年代半ばまでイタリア各地で活躍した優れたバス。特にナポリでは1819年以降非常に人気があった。彼もロッシーニと関わりが深い歌手で、オペラ4作の初演に出演した。《泥棒かささぎ》初演 1817年5月31日 ミラノ スカラ座 代官。《ブルグントのアデライデ》初演 1817年12月27日 ローマ アルジェンティーナ劇場 ベレンガーリオ。《マティルデ・ディ・シャブラン》初演 1821年2月24日 ローマ アポッロ劇場 ジナルド。《ゼルミーラ》初演 1822年2月16日 ナポリ サン ポリドーロ。
サヴィーノ・モネッリ 1784―1836 は、フェルモ生まれのテノール。1806年から1830年までイタリア各地とバルセロナで活躍した。彼は《泥棒かささぎ》初演 1817年5月31日 ミラノ スカラ座 のジャンネットとして名高い。
初演は、大きな期待に反して、失敗に終わった。初演の5日後の12月31日付でヴェネト新観察者 Nuovo Osservatore Veneto で報じられた公演評が初日の落胆の様子を伝えている。
シュミットの台本による《ブルグントのアデライデ》は、アルジェンティーナ劇場で同じ晩に生まれて死んだ。このロッシーニの新作オペラは、たくさんの打楽器や様々な行進曲を用いたにもかかわらず失敗した。プリマドンナのマンフレディーニ、プリモムジコ【筆頭男装女性歌手】のエリザベッタ・ピノッティ、卓越したテノールのサヴィーノ・モネッリといった歌手たちの全力の健闘とあまねく知られた力量をもってしてもこの著名な作曲家の評判を支えるには役立てなかった。このオペラでは彼の才能は眠りこけていたようだ。
Adelaide di Borgogna, poesia di Schmidt, si vide vivere e morire nella stessa sera nel Teatro Argentina. Questo spartito originale di Rossini fece naufragio ad onta dei tamburi, delle grancasse e di varie marce. Gli attori cantanti, signore Manfredini, prima donna, Elisabetta Pinotti, primo musico, ed il sig. Savino Monelli, distinto tenore, non valsero con tutta la loro premura e nota abilita a sostenere la reputazione del celebre maestro, il di cui genio in quest’opera sembra addormentato
年が明けて1818年1月9日付の その日のニュース Notizia del giorno 紙にも厳しい評が載っている。
上述の劇場の素晴らしい舞台で、マエストロ・ロッシーニによって特別に音楽が付けられたドランマセーリオ《ブルグントのアデライデ》が続演されている。もし高い名声が上演を十分救えるのであれば(観客が満足しない時ですら)、間違いなくマエストロ・ロッシーニは欲しいものだけを手に入れたろう。運の悪いことにそのことは十分でなかった。それが、この輝かしい町の別の機会でいくつもの月桂冠を頭に頂いた彼が それを集められなかった理由だ。彼の才能は束の間眠りこけていたようだ; 時折(このオペラの最中でも)彼は何か素晴らしい創意で目を覚ますのだが、しかしそれ以上に、彼が【《ブルグントのアデライデ》の作者ではなく】《アルジェのイタリア女》や《ラ・チェネレントラ》等々の作者であることを思い出させるのだ。
Si continua a rappresentare sulle nobili scene del suddetto Teatro il Dramma serio Adelaide di Borgogna, espressamente messo in musica dal Maestro Rossini. Se una gran riputazione bastasse a salvare una produzione (anche quando non sodisfa al genio del Pubblico) certo che il Maestro Rossini non avrebbe avuto che desiderare. Sgraziatamente cio non basta, ragione per cui non ha raccolto quegli allori che tanta copia gli cinsero la fronte, in altri incontri, in questa illustre Citta. Sembra che il suo genio si sia per un momento addormentato; di tratto in tratto (nel corso del dramma) egli si risveglia con qualche bella novita, ma piu sovente per dar a conoscere essere l'Autore dell'Italiana in Algeri, della Cenerentola ec. ec.
ちなみにこの評者はオットーネ役のピノッティを最も称賛しており、マンフレディーニとモネッリも評価しつつ、彼らにはアルジェンティーナ劇場は大き過ぎた(つまり声量が足りない)と保留をつけている。
とはいえ、《ブルグントのアデライデ》はカーニヴァルシーズンの次の作品が舞台に掛けられる1月半ばまで上演されたので、本当の意味での失敗というわけではないだろう。ローマに 《セビリアの理髪》、《ラ・チェネレントラ》と大傑作新作を提供した偉大なロッシーニのセリアの新作が、あくまで期待外れだったという程度であろう。
初演直後の1817年12月30日付で、ロッシーニは母アンナへの手紙で《ブルグントのアデライデ》についてこう報告している。
僕のオペラは まあまあ良く行きました、そして それについて 満足しています。
La mia Opera è andata benino, e me ne contento.
19世紀の上演
《ブルグントのアデライデ》は少ないながらもしばらくは上演が続いた。
1820年 春のシーズン,フィレンツェ,ペルゴラ劇場
1820年 春のシーズン,ヴェネツィア,サンルカ劇場
1822年 聖人の市のシーズン(おそらく6月),パドヴァ,ヌオーヴォ劇場
1822年10月25,26,27日 ポルトガル,リスボン,サンカルロス劇場
1826年、春のシーズン,リヴォルノ,カルロ・ロドヴィーコ劇場
この他に1822年にルーゴ(ロッシーニの父の故郷)で上演があったという。
このように《ブルグントのアデライデ》は散発的な上演だけで10年持たずに埋もれてしまったわけだが、一方でこの作品の半分程度をごっそり更生した《エドゥワルドとクリスティーナ》が1819年4月24日にヴェネツィアのサンベネデット劇場で初演されて、大人気作となって各地で上演されていたので、《ブルグントのアデライデ》は形を変えて生き残ったとは言えるだろう。
蘇演
早々に埋もれてしまった《ブルグントのアデライデ》だが、そうしたオペラにしては近代の復活はわりと早かった。
演奏会形式による近代蘇演は、1978年11月19日、英国、ロンドン、エリザベス女王ホール。オットーネがデッラ・ジョーンズ Della Jones、アデライデがアイドウェン・ハーリ Eiddwen Harrhy、ベレンガーリオがロデリック・アール Roderick Earle、アデルベルトがエルネスト・パラシオ Ernesto Palacio、エウリーチェがペネロピ・ウォーカー Penelope Walker、イロルドとエルネストがアーミステッド・ウィルキンソン Armistead Wilkinson。指揮はレスリー・ヘッド Leslie Head。オーケストラと合唱はプロ・オペラ管弦楽団,合唱団 Pro Opera Orchestra and Chorus。この上演は、おそらく会場内で私的に録音され、直後にそれを基に海賊LPで発売され、この作品を初めて世に伝えるものとなった。
舞台上演の蘇演は、1984年8月4,6,9日、マルティーナ・フランカのイトリアの谷音楽祭、パラッツォ・ドゥカーレ。初日の録音がLPとCDになった(⇒ 参考文献。出演者もそちらを)。アルベルト・ゼッダの指揮、アデライデをマリエッラ・デヴィーアが歌ったこともあり、これが一般的に《ブルグントのアデライデ》を広く紹介するものとなった。
1988年5月15日(あるいは他日もあるかもしれない)にフランス、パリ、サルプレイエルで演奏会形式上演。主要歌手はイトリアの谷音楽祭公演と多く共通しており、アデルベルトのみエルネスト・パラシオに交替している。他に、エウリーチェが エレヌ・ペラギン Hélène Perraguin、イロルドがジャン=リュク・ヴィアラ。これも録音があり、YouTubeで聞くことができる。
1992年2月9日、ベルギー、リエージュのワロン王立歌劇場で演奏会式上演。これもアルベルト・ゼッダの指揮で、アルベルト・ゼッダの公式サイトの1990―1999の上演記録に記載があるが、出演歌手が簡略化されている。主要4役の歌手は、アデライデが キム・へジン Hyejin Kim,オットーネが チャン・ヒョンジュ Chang Hyun-joo、ベレンガーリオが コスタンティン・ドゥミトル Costantin Dumitru、アデルベルトが レイナルド・マシアス Reinaldo Macias(キューバ系米国人)。その他は推測になるが、メッゾソプラノの クリスティーヌ・ソロス Christine Solhosse はおそらくエウリーチェだろう。テノールの マルセル・アルポツ Marcel Arpots はイロルドがエルネストか。Mathieu については調べがつかなかった。ワロン王立歌劇場管弦楽団,合唱団。
1999年11月11,12,14日、ミラノのアウディトリウム・ディ・ミラノでやはりアルベルト・ゼッダの指揮で演奏会形式上演が行われる予定だったが、少なくとも初日の11日はオットーネ役のダニエラ・バルチェッローナが直前に不調になり、オットーネ無しの抜粋公演+他のロッシーニの作品で穴埋め、という残念なことになってしまったという(他2日も同様だろう)。アデライデが ロジータ・フリザーニ Rosita Frisani、ベレンガーリオが マルチェッロ・リッピ Marcello Lippi、アデルベルトがフアン・ディエゴ・フローレス Juan Diego Florez、イロルドが マウリツィオ・ダレーナ Maurizio Dalena。ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団,合唱団。
2005年8月15日、英国、スコットランド、エジンバラのアッシャーホールで、エジンバラ・インターナショナル・フェスティヴァルの催しとして演奏会形式上演。これは Opera Rara が録音しCDで発売した(⇒ 参考文献。出演者もそちらを)。
2006年8月17日、ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで演奏会形式上演、BPAパラス 第2劇場。出演者はリンク先を。8月20日にも上演が予定されていたが、アデライデのパトリツィア・チョーフィが不調でキャンセルになった。またこの公演はCD用に収録されていたが、17日もチョーフィがギリギリで歌っていたためか、お蔵入りになった。
2011年8月10,13,16,19,23日、ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで舞台上演、ロッシーニ劇場。出演者はリンク先を。
なお、使用楽譜は、1984年のマルティーナ・フランカでの公演の以降はすべてアルベルト・ゼッダとガブリエーレ・グラヴァーニャによる上演譜が用いられている。ロッシーニ財団のクリティカルエディションはまだ刊行されていないが、ゼッダとグラヴァーニャの楽譜が基になっているはずである。
音楽
※普請中※
イロルドは男声役か女声役か
初演のイロルドが ルイーザ・ボッテージ Luisa Bottesi という脇役ソプラノ(実際にはメッゾソプラノだったかもしれないが)が男装して歌ったことが分かっているにもかかわらず、近年の上演ではイロルドはほとんどの場合でテノールが受け持っている。近年の上演でイロルドがソプラノないしはメッゾソプラノに宛てられているのは、2011年のROFの上演だけである。2023年の上演でもテノールが予告されている。
実は、上記19世紀の上演のうち、1820年のフィレンツェのペルゴラ劇場での上演では イロルド役が ジョヴァンニ・フランキーニ Giovanni Franchini、同じ年のヴェネツィアのサンルカ劇場での上演では ジョヴァンニ・バッティスタ・カザリーニ Giovanni Battista Casalini と、それぞれ男声が歌っていることが分かっている(他の上演ではイロルド役が明らかになっていないか、あるいは役が削除されていたかもしれない)。
さらに1850年頃にRICORDI社が刊行したピアノ伴奏譜の配役では、イロルドは脇役テノール Secondo Tenore と明記されている。
ロッシーニの自筆譜が失われている現状では、ロッシーニがイロルドを男装女性役に想定していたのか、あるいはテノールで想定していたがローマの初演では何らかの事情で女声に歌わせることになったのか、断定できない。
一般的に言って、少なくとも1810年代前半においては、主人公の友人や近しい部下などの脇役は、男装女声歌手(ソプラノ,メッゾソプラノ)の場合も、脇役テノールの場合もあった。
たとえばロッシーニ《タンクレーディ》のロッジェーロは、1813年2月6日、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場での初演の際は女声が受け持ったが、同じ年の暮れ、1813年12月18日、ミラノのレ劇場での上演の際はテノールに変わっており、ロッジェーロのアリアも新たな曲に差し替えられた。
そしてイタリアオペラにおける男装女声役は19世紀半ばに向けて急速に流行が後退しており、主役であっても男装女声役がテノールなどに置き換えられることが普通になる。それより前から、正式なアリアもない脇役を男装女声歌手でなくテノールが歌うようになるのは、時代の流れだったろう。
あらすじ
第1幕
カノッソの要塞。ベレンガーリオの軍勢に征服され、市民達が嘆いている。ベレンガーリオの兵士たちは、アデライデが従うのも時間の問題とベレンガーリオを讃える。ベレンガーリオはイタリアの王座を手にできると喜んでいる。一方、イロルドは、オットーネでも助けにならないだろうと絶望している。アデライデは、ベレンガーリオとその息子アデルベルトに対して不快感を露にする。アデルベルトはアデライデに結婚を迫るが、アデライデはこれを拒み、神に救いを祈る。ベレンガーリオは彼女を連行させる。
アデルベルトは、オットーネが近づいていると警告、そこに戦場から駆けつけたエウリーチェが、オットーネが既にガルダ湖近辺にいることを報告する。ベレンガーリオは、一旦和平を結ぶと見せかけて油断させる作戦を取ることにする。
オットーネの兵士たちが、イタリアの地に挨拶をし、民衆の解放を誓う。 オットーネはアデライデを救い、彼女の苦しみを幸せに変えるのだと誓う。 アデルベルトの訪問が告げられる。警戒するオットーネに対し、アデルベルトが和平を申し出るので、オットーネは拍子抜けする。アデルベルトはさらに、アデライデは被害者を装っている、と彼女を悪者に仕立てあげようとする。 しかしオットーネはその思惑には乗らず、アデライデに王座を返すつもりであり、彼女と面会する必要がある、と答える。アデルベルトは、口では和平を唱えつつ、心中では腹を立てている。一方のオットーネも、和平を受け入れつつ、心中は穏やかでない。アダルベルトはオットーネに、カノッソで館を提供すると申し出、オットーネはそれに感謝する。
カノッソの要塞。ベレンガーリオがオットーネとアデルベルトの帰りを待っている。その様子を見て、エウリーチェは何か不安を感じる。実はベレンガーリオは、和平を信じて少ない兵で訪れたオットーネを襲う計画なのだ。
オットーネが到着し、人々が歓迎する。ベレンガーリオは歓迎を装うことにする。人々は、オットーネをアデライデを救った者と称える。オットーネの足元に、アデライデがひれ伏す。オットーネは彼女を起こすと、事情を語るよう言う。アデライデはロターリオが殺され、王国が奪われたことを語り、救いを願う。オットーネはアデライデの願いを受け入れ、二人は立ち去る。人々が讃える中、オットーネは去る。
アデルベルトは、黙って見守るばかりのベレンガーリオに不満をぶつけるが、ベレンガーリオは、自分は王座を狙っているのに、お前は愛にしか目がない、と皮肉る。ベレンガーリオは、オットーネの大軍が近づいていることから慎重に振舞っていたが、もう少ししたらオットーネを亡きものにすると言う。
アデライデの部屋。侍女たちがアデライデの解放を喜んでいるぶ。 アデライデはオットーネへの愛を喜ぶ。イロルドが祝宴の準備ができたと告げる。アデライデは、ベレンガーリオ親子が何かしでかすのでは、と心配する。イロルドは、オットーネを歓迎する市民の中では何もできないだろう、と答える。オットーネが部屋にやって来る。 オットーネは彼女との結婚を望み、もし愛が拒まれたなら他の国へと去ろう、と言う。アデライデは、自分の心を愛する人に捧げます、と答える。オットーネはアデライデを神殿へと誘う。
カノッソの広場。人々が歓呼している。ベレンガーリオ親子はオットーネの油断をほくそえんでいる。アデライデとオットーネが現れる。オットーネはイタリアの市民を歓迎し、アデライデは、オットーネが夫となる喜びを神に感謝する。二人が手を握り合い至福の時に浸っていると、武装したベレンガーリオ親子が押し入る。オットーネは剣を抜くが、少数の兵士しか伴わせていないので防戦で精一杯。その間にアデライデがベレンガーリオの兵に捕まってしまう。激しい混乱で幕となる。
第2幕
カノッソの要塞。ベレンガーリオとアデルベルトの兵士たちが、不意をつかれて逃げ去ったオットーネを嘲笑っている。 アデルベルトが母エウリーチェにオットーネを退散させた成りゆきを話し、エウリーチェも喜ぶ。
アデルベルトはアデライデに、夫と王国のどちらも手にできるのだぞ、と迫るが、アデライデは彼らが夫ロターリオ殺害の首謀者だと信じているので、申し出を突っぱねる。そこに兵士たちが慌てて駆けつけ、オットーネが反撃、ベレンガーリオが破れ捕らわれたと知らせる。アデルベルトはうろたえ、アデライデは喜ぶ。アデルベルトは再度アデライデに結婚を迫るが、アデライデは、命を奪うことはできても、決して妻にはならない、と反発する。 エウリーチェは、ベレンガルドを救うにはアデライデと交換すべきだと主張、しかしアデライデを失いたくないアデルベルトは、母の強い説得にもまだ決断しかねる。
ベレンガーリオの兵士たちが、主君が捕らわれたことを嘆いている。 アデルベルトは、父の解放と自分の愛の間に挟まれ、悩んでいる。 エルネストが、アデルベルトに、アデライデとベレンガーリオの交換の要求をしたことをオットーネに告げる。捕らわれのベレンガーリオが連れてこられる。オットーネは彼の裏切りを非難する。交渉に来たアデルベルトは交換に応じると答えるが、しかしベレンガーリオは、アデライデを引き渡す代償にインスーブリア(概ね今日のロンバルディア州)の領土を求める。オットーネがこれに応じようとする。その矢先に、エウリーチェによって解放されたアデライデが現れ、オットーネは喜ぶ。アデルベルトは父の釈放を求める。ベレンガーリオは妻の行為に憤りつつも、カノッソに戻ったら再度戦いをしでかそうと考える。オットーネはベレンガーリオの魂胆を察し、決戦の覚悟をする。
オットーネの天幕。オットーネは決戦を前に兵士たちを鼓舞する。そして不安に駆られるアデライデを安心させるが、しかしベレンガーリオと決着を付けなければならない。 アデライデはオットーネとの別れを惜しみ、
アデライデは、自分のヴェールをオットーネに巻きつけて勝利を祈る。オットーネは出陣する。アデライデは涙を堪える。やがてオットーネの勝利が伝わり、アデライデは歓喜する。
カノッソ。人々がオットーネを歓迎している。オットーネは、王冠よりもアデライデが大事だといい、アデライデの頭に冠を載せ、自らはローマ帝国皇帝となり、共同で国を治めようと提案する。一同の喜びで幕となる。
対訳付き音楽設計図
登場人物
日本語訳は極力文学的色づけをしない分析的に訳にしてある。
《ブルグントのアデライデ》はまだクリティカルエディションが刊行されていないので、この対訳付き音楽設計図は現状利用できる資料を用いた暫定版である。
台本の詩句は、2011年にROFで上演された際のプログラム冊子に掲載されているものに基づいている。
楽譜は、1850年頃にRICORDI社が刊行したピアノ伴奏譜(大英図書館に収蔵されているものの画像が公開されており、google booksでダウンロードできる)に基づいている。
Sinfonia | Andante mosso 4/4 E-flat major |
序奏付きの 展開部を欠いたソナタ形式の序曲。 《結婚手形》の序曲を手直しして再利用している。 |
|
Allegro 2/4 E-flat major |
|||
ATTO PRIMO | |||
N. 1 Introduzione Adelaide Berengario Iroldo Coro |
Andante 3/4 F major |
SCENA PRIMA第1場 Interno della fortezza di Canosso, ingombra da macchine di guerra.カノッソの要塞の内部、戦争の機械【≒ (古い時代の)兵器】で 溢れている。 Il popolo è sparso per la scena in attitudine del più amaro dolore. Iroldo è confuso nella folla, afflitto e spaventato. Berengario co' suoi guerrieri è in atto di chi entra trionfante in città nemica.人々が 舞台に 散らばっている 最もつらい苦悩の姿勢で【≒ 極めて堪え難い悲しみの様子の人々が 舞台に 散らばっている 】。イロルドは 群衆の中で 混乱している、悲嘆に暮れて そして 恐怖に満ちて。ベレンガーリオは 彼の戦士たちと共に 勝ち誇って 敵方の町に 入る者の身振りで いる。 CORO DI POPOLO人々の合唱 Misera patria oppressa悲惨な 虐げられた 祖国よ chi ti darà sostegno?誰が お前に 支援を 与えるのだろうか? Tradita principessa,裏切られた王妃よ、 speme non hai di regno.君は 王権の希望を 持っていない【≒ 君には 王位を継承する望みは なくなった】。 In sì fatal sciaguraこのように 致命的な災難に qual dio ci assisterà?どの神が 私たちを 援助するのだろうか? GUERRIERI DI BERENGARIOベレンガーリオの戦士たち (a Berengario)(ベレンガーリオに) Aprì la chiusa terra閉ざされた地【≒ 町】は 開けた al tuo valor le porte.門を 君の勇敢さに。 A contrastarti in guerra戦争で 君に対抗する braccio non v'ha sì forte;それほどに 強い腕は【≒ 戦いで 君に 立ち向かえるほど 強力な腕は】 ない; vinta Adelaide, al fine,負かされたアデライデは、ついに、 a te piegar dovrà.君に 服従しなくてはならないだろう。 BERENGARIOベレンガーリオ Pur cadeste in mio potere,やっと お前たちは 私の力に 落ちた、 suol nemico, infide mura;敵の国よ、信用のおけない城壁よ; lieto giorno, omai sicura喜ばしい日だ、ついに 確かに la corona al crin mi sta.王冠が 私の頭髪に ある。 IROLDOイロルド (Infelice in tal cimento(不幸な人よ、このような危険において più speranza, oh Dio! non hai,君は もう 希望を、ああ 神よ! 持っていないし、 né salvarti Otton potrà.)オットーネが 君を 救出することも できないだろう。) BERENGARIO E IROLDOベレンガーリオ と イロルド Adelaide a noi s'appressa.アデライデが 私たちに 近づいて来る。 CORO DI POPOLO人々の合唱 (Sventurata principessa!)(不幸な王女よ!) BERENGARIOベレンガーリオ (Simular mi converrà.)(ふりをしなければ ならないだろう。) |
Interno della fortezza di Canosso, 史実ではアデルハイトが逃げ込んだのは北イタリア、レッジョ・エミリア地方のカノッサ(レッジョ・エミリアから南西に25Kmほど)のカノッサ城とされている。したがってこの台本における Canosso は カノッサ を意味していると思われるのだが、それを踏まえた上でここではあえて台本にあるまま カノッソ と訳すことにする。 Tradita principessa, ここでの principessa は、小君主国の妃を意味する。 |
Allegro 4/4 B-flat major |
SCENA SECONDA第2場 Adelaide vestita a lutto, seguita da Adelberto, e detti.アデライデ 喪服を着た、アデルベルトに後を追われて、そして 前の場の人たち ADELAIDEアデライデ (ad Adelberto)(アデルベルトに) Lasciami: in te del padre私を 放っておきなさい: 君の中に 父【= ベレンガーリオ】の vedo il reo core espresso.邪悪な心を 私は はっきりと 見ている。 (a Berengario)(ベレンガーリオに) Vieni: il secondo eccesso来なさい: 第二の行き過ぎ【≒ 犯行】を compi, tiranno, in me.遂行しなさい、暴君よ、私に。 BERENGARIOベレンガーリオ O sempre a me nemica!ああ 常に 私に対して 敵意があるのだな! Non accusarmi, e cedi.私を 非難するでない、そして 屈しなさい。 La mia discolpa vedi:私の弁明を 見なさい【≒ 私の言い分を 聞きなさい】: tutta ho l'Italia al piè.私は 全イタリアを 足元に 持っている【≒ 全イタリアは 私の足の下にある】。 ADELBERTOアデルベルト Ah! non voler che duriああ! 望むでない 続くことを eterno in noi lo sdegno.私たちの間に 永久に 怒りが。 Dammi la destra: il regno私に 右手を 与えなさい: 王権を dividerò con te.私は 君と 分かち合おう。 ADELAIDEアデライデ Era pur mio quel trono;あの玉座は ずっと 私のものだった; esser ancor può mio.それは まだ 私のもので あって 当然である。 BERENGARIOベレンガーリオ Offrir lo posso in dono;私は それを 贈り物に 提供する ことができる; perderlo non poss'io.私は それを 失うことは できない。 ADELBERTOアデルベルト Né te giammai con quello決して 君を それ【≒ 玉座】と共に rapirmi Otton potrà.私から 奪うことは オットーネ【↑】も できないだろう |
esser ancor può mio. ここでの potere は 当然である。 Offrir lo posso in dono; / perderlo non poss'io. ベレンガーリオはアデライデから王権を奪っておきながら、彼女が息子の嫁になれば王権(の一部)を与えることはできるが、それでも自分が王権を手放すことはない、と言っている。この後もベレンガーリオの王権への執着はしばしば見かけられる。 |
|
Andante 4/4 A-flat major |
ADELAIDEアデライデ (Dio, che m'armi in tal cimento(神よ、その者は 私に このような危険において 武装させている di costanza e di valore,意志の強固で そして 勇敢さで、 l'invocato difensore祈願された防衛者【≒ 私が 助けを求めた 私を 守ってくれる人】を non negarmi, per pietà.)私に 拒むでない、後生だから。 BERENGARIO E ADELBERTOベレンガーリオ と アデルベルト (La superba in tal cimento(尊大な女は このような危険において copre invano il suo timore.彼女の恐れを 虚しく 覆っている【≒ 不安を 隠そうとしているが 無駄だ】。 L'invocato difensore祈願された防衛者【≒ 彼女が 助けを 求めた 彼女を 守る人】を spera ancor; ma non l'avrà.)彼女は まだ 期待している; しかし 彼女は 彼を 手に入れないだろう。) |
||
Allegro 4/4 F major |
ADELBERTOアデルベルト Ah! crudel, non lusingartiああ! 酷い人よ、幻想を抱くでない ch'io ti lasci ad altri in braccio.私が 君を 他の男たちに 腕の中へと 放す と。 ADELAIDEアデライデ Taci... fuggi; al sol mirarti,黙りなさい… 急いで立ち去りなさい; 君を 眺める だけで、 traditor d'orror agghiaccio.裏切者よ 私は 憎悪に 凍る。 BERENGARIOベレンガーリオ E pretendi...それで 君は 主張するのか… ADELAIDEアデライデ Odiarti ancnoraずっと 君を 憎むことを 【主張する】 finché spirto avrò di vita.私が 命の息を持つであろう 間は【≒ 生きて 息をしている 限り】。 BERENGARIOベレンガーリオ Insensata! insulti ancora?無分別な女め! 君は また再び 侮辱するのか? Guardie, olà! sia custodita.護衛兵たちよ、そら! 彼女が 監視されるように。 Le guardie s'avvano.護衛兵たちは 近付く。 |
finché spirto avrò di vita. spirto = spirito 精神 だが、ここでは古い意味にある 息,呼吸 で採った。 |
|
Allegro 4/4 F major |
ADELAIDEアデライデ (ad Adelberto)(アデルベルトに) Io t'aborro nell'amore.私は 愛において 君を 憎悪している。 (ad Berengario)(ベレンガーリオに) Ti disprezzo nel furore;私は 怒りにおいて 君を ものともしていない l'alma mia timor non ha.私の魂は 恐れを 持っていない。 BERENGARIO E ADELBERTOベレンガーリオ と アデルベルト Se da noi ricusi amore,もし 君が 私たちから 愛を 拒むならば、 donna audace, il mio furore向こう見ずな婦人よ、私の怒りが sul tuo capo piomberà.君の頭の上に 突然襲い掛かるだろう。 ADELAIDEアデライデ Fuggi! taci!急いで立ち去りなさい! 黙りなさい! CORO合唱 Cedi, o donna, e senti in core屈しなさい、ああ 婦人よ、そして 心に 感じなさい di te stessa almen pietà.ともかくも 君自身に 哀れみを。 Adelaide parte fra le guardie.アデライデは 退場する 衛兵たちの間で SCENA TERZA第3場 Berengario, Adelberto, poi Eurice frettolosa.ベレンガーリオ、アデルベルト、それから エウリーチェ 慌ただしく。 |
||
[Recitativo] Dopo l'Introduzione |
4/4 (C major) |
BERENGARIOベレンガーリオ Nostra è l'Italia. Or, via, che temi?イタリアは 私たちのものだ。さて、そら、君は 何を 心配しているのか? ADELBERTOアデルベルト È voce声が ある che Otton fu visto del Tirolo i gioghiオットーネが 見られた という チロルの峠を con grand'oste varcar. Che fia s'ei giunge?大軍勢と共に 超えているのが。どうなるのだろうか もし 彼が 着くと? La nostra gente è lunge.私たちの軍隊は 遠くにいる。 Deboli siam...私たちは 弱い… BERENGARIOベレンガーリオ Chi vedo?私は 誰を 見ているのか? ADELBERTOアデルベルト Eurice arrivaエウリーチェが 到着している dal nostro campo.私たちの陣地へ。 BERENGARIOベレンガーリオ A noi che reca?私たちに 何を 持って来ているのか? EURICEエウリーチェ In grave重大な periglio siamo.危険 【↑】の中に 私たちは いる。 BERENGARIOベレンガーリオ Ebben?それで? EURICEエウリーチェ In questo puntoこの【時】点で presso il Lago di Garda Ottone è giunto.オットーネは ガルダ湖の近くに 着いた。 BERENGARIOベレンガーリオ O ciel! che ascolto!ああ 天よ! 私は 何を 聞いたのだ! ADELBERTOアデルベルト Io tel diceva: opporsi,私は 君に そのこと【= コロンの後の内容】を 言った: 【オットーネに】 立ち向かうこと、 disperati pugnar...死に物狂いで 戦うこと… BERENGARIOベレンガーリオ Usar l'inganno,策略を 用いる non la forza conviene.必要がある、力ではなく。 ADELBERTOアデルベルト E qual?それで どのように? BERENGARIOベレンガーリオ D'Ottoneオットーネの addormentar, con finto 【↓】用心深い眼差しを 眠らせること、偽りの desìo di pace, il vigil guardo. Al campo,平和の願い 【↑】で。【オットーネの】陣営に、 Adelberto, ne andrai. Tutto il disegnoアデルベルトよ、君は ここから 行くだろう。すべての計画を aperto io ti farò; nulla perdiamo,私は 君に 開かれさせよう【≒ 明かそう】; 【その計画によって】 私たちは 何も 失わない。 seguimi, ed opra a mio voler.私に 付いて来なさい、そして 私の意志のために【≒ 私の考えに従って】 働きなさい。 ADELBERTOアデルベルト Andiamo.行こう。 Partono.【二人とも】 退場する |
che Otton fu visto del Tirolo i gioghi ここでの giogo は、特にアルプス地方の 峠,山間の道 を意味している。 なおオットーネは、インスブルックからボルツァーノ、トレントを経てヴェローナに至る街道を南進していると思われる。 La nostra gente è lunge. lunge = lungi 遠くに。 史実でのベレンガーリオは北イタリアを拠点としており、アデルハイトはガルダ湖畔のガルダで幽閉されていたところから逃亡してカノッサに逃れた。オペラでは、アデライデを連れ戻すためにカノッソには少数の軍勢だけを伴っていて、主力軍は地元に残しているという意味だろう。 presso il Lago di Garda Ottone è giunto. ガルダ湖はヴェローナの北西に位置する、イタリアで最大の湖。実際にはカノッサからはまだ距離がある。 Io tel diceva: opporsi, / disperati pugnar... 第6場でアデルベルトが言っている通り、彼らはオットーネがアルプスを越えてカノッソに進軍して来ることを察知しており、アデルベルトはその際にはオットーネ軍を全力で迎え撃つことをベレンガーリオに進言していた、ということ。 この場合の disperato は 必死に,死に物狂いに。複数形なので 二人とも― の意味である。 |
N. 2 Coro, Scena e Cavatina Ottone Coro |
Allegro 4/4 G major |
SCENA QUARTA第4場 Veduta del Lago di Garda: in lontano la fortezza di Canosso. I soldati alemanni si accampano, e piantano le tende.ガルダ湖の景色: 遠くに カノッソの要塞。ドイツ人の兵士たちが 野営している、そして テントを 据えている。 CORO DI SOLDATI兵士たちの合唱Salve Italia un dì regnante幸いあれ イタリアよ かつて 支配していた dall'occaso ai lidi Eoi,西から 東の国々まで、 genitrice degli eroi,英雄たちの母よ、 ogni cor s'inchina a te.どの心も 君に 敬意を表している。 Sorgi, sorgi: al Ciel chiedesti立ち上がりなさい、立ち上がりなさい: 君は 天に 求めた un sostegno, e il Ciel lo diè.支援を、そして 天は それを 与えた。 Tornerai regina ancora君は もう一度 また再び a mostrarti assisa in soglio,玉座に 座る 【↑】女王 の姿を 見せ 【↑】始めるだろう、 come fosti in Campidoglio,君が カンピドーリオの丘で そうだったように、 nell'antica maestà,昔の威厳で、 ché di spada e di loricaというのも 剣で そして 胴鎧で un possente t'armerà.強力な者が 君を 武装させる 【↑】から。 |
Tornerai regina ancora / a mostrarti assisa in soglio, = (tu = italia) tornerai a mostrarti regina assisa in soglio, お前は もう一度 お前が 玉座に座った女王であるという 姿を見せ始めるだろう。自動詞の tornare + a + 不定詞 で 再び―し始める。つまり regina は tornare の補語ではない。 |
4/4 G major |
SCENA QUINTA第5場 Ottone con seguito, e detti.オットーネ 従者の一行と共に、そして 前の場の人たち。 OTTONEオットーネ Oh sacra alla virtù, sacra al valore,ああ 徳において神聖な、勇敢さにおいて神聖な、 terra augusta, ti premo. Ah! quante all'alma,聖なる地よ、私は お前を 押している【≒ 踏んでいる】。ああ! 魂に 何と多くの quali solenni memorie! Aura si desta何か 厳かな記憶を 【呼び覚ませることか】! 微風が 起きる che a magnanime imprese il core accende.それは 度量の大きな企て【≒ 偉業】へと 心に 火を点ける。 Di tue crude vicende君の 険しい【人生の】浮沈の l'aspro tenor pietà m'ispira all'alma.厳しい状態は 私の魂に 哀れみを 生じさせている。 Io di Lotario estinto私は 死んだロターリオの la vedova dolente a' suoi tiranni悲痛な未亡人を 彼女の暴君たちから ho giurato involar. Tergi, deh tergi,持ち去ることを 誓った。拭いなさい、お願いだから 拭いなさい、 sventurata Adelaide, il pianto omai:不運なアデライデよ、今こそ 涙を。 salva, lo giura Otton, salva sarai.守られる、そのことを オットーネは 誓う、君は 守られるだろう。 |
||
Maestoso 4/4 E-flat major |
Soffri la tua sventura君の不運を 耐えなさい per pochi istanti ancora.なお 僅かな瞬間の間【≒ もう少しだけ】。 Questo mio labbro il giura,この私の口が そのことを 誓う、 sì, l'oppressor cadrà.そうだ、圧制者は 倒れるだろう。 Fia pari al mio trionfo私の勝利と 対 つい に なるだろう la tua felicità.君の幸せは |
Fia pari al mio trionfo pare = paio |
|
Allegro 4/4 E-flat major |
Amica speme好意的な希望が al cor mi dice私の心に 言っている che alfin feliceついに 幸せに teco sarò.私は なるだろう 君と共に 【↑】と。 Ch'ogni tuo palpitoあらゆる 君の戦慄が in un momento一瞬で in bel contento素晴らしい満足【≒ 喜び】に cangiar vedrò.変わる 【↑↑↑】のを 私は 見るだろう。 |
Ch'ogni tuo palpito この場合の palpito は 戦慄。恐ろしさに身体が震えること という意味で、fremito と同義。 |
|
[Recitativo] Dopo la Cavatina Ottone |
4/4 (C major) |
SCENA SESTA第6場 Ernesto, Ottone, seguito; indi Adelberto.エルネスト、オットーネ、従者の一行; それから アデルベルト。 ERNESTOエルネスト Signor, al campo è giunto貴君よ、陣地に 着いている il principe Adelberto. Un sol momento王子アデルベルトが。一瞬だけ favellarti desìa;彼は 君と 話すことを 望んでいる; lo stesso Berengario a te l'invia.ベレンガーリオ自身が 彼を 君に 遣わしている。 OTTONEオットーネ Venga. Che dir potrà! Più che la forza,彼が 来るように。彼は 何を 言うことができるというのだ! 力よりも もっと多く、 giova ad essi l'inganno. Io non pavento欺瞞 ぎまん が 彼らには 役に立つ。私は 恐れない il nemico che armato a me si svela;敵を その者は 私に対して 武装していると 明らかにされている【≒ 私に対して 武器を持っていることが 明らかな 敵を】; ma paventar degg'io quel che si cela.だが 私は 恐れなくてはならない 隠されているものを。 ADELBERTOアデルベルト Benché di tante schiere多くの部隊【≒ 軍隊】に cinto arrivi, o signor,囲まれて 君が 到着している 【↑】にもかかわらず、ああ 貴君よ、 e intorno gridi verace famaそして 君が 周辺に 真実の知らせを 広報している 【↑↑】にもかかわらず perché vieni a noi,なぜ 君が 私たちのところに 来るのか【≒ 君が 周辺の国に なぜ 君が 私たちのところに 来るのか という 真の情報を 広く知らせている にもかかわらず】、 pace rechiamo a te, se pace vuoi.私は 君に 平和を 再び請うている、もし 君が 平和を 望むならば。 OTTONEオットーネ Pace vogl'io. Chi può negarla? Io bramo私は 平和を 望んでいる。誰が それを 拒むことができるだろうか? 私は 切望している a questo suol donarla, e l'armi io vestoこの地に それ【≒ 平和】を 提供することを、そして 私は 武器を 身に着けている per sì nobil desìo. Se il vero a voiこのように 気高い欲求のために【≒ 私は 平和をもたらすという 高い志を持って 武装してやって来た】。もし 真実を 君たちに fama parlò, nulla più dir poss'io.知らせが 語ったのであれば、私は さらに 言うことはできない【≒ もし 君たちが 情報から 本当のことを 知ったのであれば、私が 付け加えることは ない】。 ADELBERTOアデルベルト Molto ascolta, signor, dal labbro mio.多くのことを 聞きなさい、貴君よ、私の口から。 Fissa il popolo tutto全ての人々【≒ 全国民】が 定めている lo sguardo in te. Che de' suoi regi a danno視線を 君に。彼の【= 国民の】王たちの損害に ti movevi sapea prima che i monti君が 身を動かしていた 【↑】ことを 彼【= 国民】は 知っていた 山々を varcassi armato; non s'oppose, e sai君が 武装して 越えた よりも前に【≒ 君が ベレンガーリオとアデルベルトに 制裁を加えようと 行動を起こしていたことを 我が国の人民は 君が アルプス越えをする前から 分かっていた】; 彼は【= 国民は】 立ち向かわなかった、そして 君は 知っている quanto opporsi potea. Grido si spandeどれほど 彼が【= 国民が】 【君に】 立ち向かうことができたか を。評判が 広まっている che giusto al par che grande偉大であるのと 同じくらい 公正であるのだから d'Ottone è il cor, che ti saresti accortoオットーネの心は、君は 気付くだろうに と che alcun t'inganna, e che t'armasti a torto.誰かが 君を 欺いていることに、そして 君が 間違って 武装していることに【≒ オットーネは 偉大な心の持ち主というのみならず 的確な心の持ち主なので、彼は 誰かに 騙されていることを、そして 誤解に基づいて 挙兵していることに 気付くだろうに という噂が広まっている】。 OTTONEオットーネ E qual per nobil coreでは 気高い心にとって どのような ragion più giusta, che a salvar gli oppressiさらに正当な理由が 【あるというのか】、虐げられた人々を 救出するために cinger la spada? D'Adelaide il pianto,剣を 身に着けること よりも? アデライデの涙が、 l'usurpata corona, a tradimento簒奪された王位が、卑劣なやり方で il buon Lotario spento殺された 善良なロターリオが han gridato vendetta, ed in brev'ora...復讐を 叫んでいる、そして 短い時間に【≒ 間もなく】… ADELBERTOアデルベルト Ah! che Adelaide non conosci ancora.ああ! 君が まだ アデライデを 知らない とは! OTTONEオットーネ Qualunque sia, voglio vederla. Io venniそれが どうであれ、私は 彼女に 会いたい。私は 来た suo difensor, e della gran contesa彼女の 防衛者として、そして 重大な紛争の il giudice sarò.裁判官に 私は なろう。 ADELBERTOアデルベルト Giudice farti裁判官になることが tra quel che in fronte ha la corona e quello額に 王冠を 持っている者と che corona non ha, signor, potrai?王冠を持っていない 【↑】者の 【↑】間で、貴君よ、君は できるのか? OTTONEオットーネ Difendo il dritto; chi lo vanta il sai.私は 【正当な】権利を 守る; それを 主張している者 それを 君は 知っている。 |
Che de' suoi regi a danno a danno a ql.cu. には ―に損害を与えて,―を傷つけて,―に迷惑をかけて,―を犠牲にして といった意味がある。この場合は、(ロターリオを暗殺して王位を簒奪した)王たちを オットーネが 懲らしめようと という意味。regi は rege 王 の複数形。ベレンガーリオとアデルベルトの二人を指している。 Benché [...]/ e intorno gridi verace fama / perché vieni a noi, Benché + 接続法 ―だけれども,―にもかかわらず の文。fama は、一般的に 名声,評判 の意味で用いられるが、元々は 広く知られること の意味で、ここでは notizia と同義の 知らせ,報道。またこの場合の gridare は他動詞 広報する で、したがって gridare fama で 知らせを広報する,(情報を)広く知らせる という意味になる。intorno 辺りに,周囲に は、ここでは ベレンガーリオの支配地域の 周辺国,近隣国 を指しているのだろう。 つまり、オットーネはカノッソに進軍するに当たって、近隣国に本当のこと(ベレンガーリオがイタリア王を暗殺し、その未亡人を息子と結婚させて、イタリア王位を簒奪しようとしている)を、さらにオットーネはそれを阻止しに進軍する、という情報を広く流した にもかかわらず、といった意味になる。 Giudice farti / tra quel che in fronte ha la corona e quello / che corona non ha, signor, potrai? 先の regi から分かる通り、王冠を戴いている者がベレンガーリオないしアデルベルト、王冠を戴いていない者がアデライデを指している。 |
N. 3 Duetto [Ottone-Adelberto] |
Allegro 4/4 F major |
OTTONEオットーネ Vive Adelaide in pianto:アデライデは 涙に 生きている: tu sei felice in soglio.君は 玉座で 幸福である【≒ ぬくぬくと 玉座に 腰掛けている】。 Basta: vederla io voglio;もう結構: 私は 彼女に 会いたい; non puoi celarla a me.君は 私から 彼女を 隠すことはできない。 ADELBERTOアデルベルト Sì, la vedrai. Ma senti:そうだ、君は 彼女に 会うだろう。だが 聞きなさい: non ti fidar cotanto.それほどに 信用するでない。 Giunge di donna il pianto女の涙は ad ingannare un re.王を 欺き 【↑】さえする。 OTTONEオットーネ (O mio furor ti frena,(ああ 私の怒りよ 自制しなさい、 cedi a prudenza il loco.)用心深さに 場所を 譲りなさい。) ADELBERTOアデルベルト (O mio furor ti frena,(ああ 私の怒りよ 自制しなさい、 cedi a prudenza il loco.)用心深さに 場所を 譲りなさい。) OTTONEオットーネ Conoscerò fra poco間もなく 私は 見極めるだろう l'ingannator qual è.どの人が 人を騙す人であるのか【≒ 私を 欺いているのが 誰であるのか】。 ADELBERTOアデルベルト Conoscerai fra poco間もなく 君は 見極めるだろう l'ingannator qual è.どの人が 人を騙す人であるのか【≒ 私を 欺いているのが 誰であるのか】。 |
|
Andante 3/4 A-flat major |
Noi deponiamo il brando,私たち【= アデルベルト と ベレンガーリオ】は 剣を 下に置こう、 pace t'offriam, se vuoi.平和を 君に 提供しよう、もし 君が 望むなら。 Fra la regina e noi王妃 と 私たちの間で chi ti potrà ingannar?誰が【≒ どちらが】 君を 欺く ことができるだろうか? (Ah! trattar potendo l'armi,(ああ! 武器を 使う ことができるのに、 quanto costa il simular!)どれほどたくさん ふりをすることを 要することか【≒ 本心を隠すのに 何と多くの 苦労を要することか】!) OTTONEオットーネ Depongo io pure il brando,私は 剣を ずっと 下に置く、 pace sia pur fra noi.私たちの間に ずっと 平和が あるように。 Fra la regina e voi王妃 と 君たちの間で ondeggio in giudicar.審判することに 私は 迷っている。 (Ah! trattar potendo l'armi,(ああ! 武器を 使う ことができるのに、 quanto costa il simular!)どれほどたくさん ふりをすることを 要することか【≒ 本心を隠すのに 何と多くの 苦労を要することか】!) |
||
Allegro 4/4 F major |
ADELBERTOアデルベルト Amico ricetto友よ 隠れ家【≒ 宿泊所】を io t'offro in Canosso.カノッソに 私は 君に 提供する。 OTTONEオットーネ L'amico ricetto親切な 隠れ家【≒ 宿泊所】は m'è grato in Canosso.カノッソにおける 私にとって ありがたい。 (Dell'alma il sospetto(魂の疑いを celare non posso.)私は 隠す ことができない) ADELBERTOアデルベルト (Dell'alma il dispetto(魂の苛立ちを frenare non posso.)私は 抑える ことができない。) Eterna, verace,永遠に、真に、 ci unisca la pace.平和が 私たちを 結び付けるように。 OTTONE E ADELBERTOオットーネ と アデルベルト E nodo ci stringaそして 絆が 私たちを 縛るように di salda amistà.堅固な友情の【絆が】。 (L'indegna lusinga(恥ずべき はかない希望は tradita sarà.)裏切られるだろう。) (partono)(【二人とも】 退場する) |
||
[Recitativo] Dopo il Duetto Ottone-Adelberto |
4/4 (C major) |
SCENA SETTIMA第7場 Vestibolo.玄関の間。 Berengario ed Eurice.ベレンガーリオ と エウリーチェ BERENGARIOベレンガーリオ Cadde nel laccio Ottone: il nostro intentoオットーネは 罠に 落ちた; 私たちの目論みを Adelberto compì. Fra pochi istantiアデルベルトが 成し遂げた。僅かな瞬間の間【≒ すぐに】 giunge col figlio nostro Ottone stesso.私たちの息子と一緒に オットーネ自身が 着く。 EURICEエウリーチェ Da mille dubbi oppresso千の疑いに 圧迫されて【≒ 無数の疑念に 苦しめられて】 mi batte il core e incerto il mio pensiero私の心臓は 鼓動している そして 確信が持てず 私の考えは fidar non sa. Che speri mai?信ずることができない。君は いったい 何を 望んでいるのか? BERENGARIOベレンガーリオ Che spero?私が 何を 望んでいるのかだと? Vedi: in Canosso ei viene見なさい: カノッソに 彼【= オットーネ】が 来ている solo o con pochi; la possente armata一人で あるいは 少数【のお供】と共に; 強力な軍が mentre lungi si sta da queste mura,この城塞から 遠く離れている 時に、 alto disegno il mio pensier matura.大きな企みを 私の思考は 考え抜いている。 [S'odono suoni festosi][陽気な音が 聞こえる] Odi come l'arrivo聞きなさい どのようにして si festeggia d'Otton... Miralo: ei giunge...オットーネの 【↑】到着が 歓迎されるか… 彼を 眺めなさい: 彼が 着く。 EURICEエウリーチェ L'accompagna gran popolo...大勢の人々が 彼に 随行している… BERENGARIOベレンガーリオ Ti calma.落ち着きなさい。 Fingi, e nascondi il tuo rancor nell'alma.ふりをしなさい、そして 魂の中の 君の恨みを 隠しなさい。 |
|
N. 4 Coro e Cavatina Iroldo Iroldo Coro |
Allegro 6/8 B-flat major |
SCENA OTTAVA第10場 Popolo che precede Ottone. Ottone con Adelberto; seguito d'Alemanni e di soldati di Berengario, il quale va incontro con Eurice ad Ottone.人々 その者は オットーネに 先立っている。オットーネ アデルベルト共に; ドイツ人たちの従者の一行 そして ベレンガーリオの兵士たちの一行、その者は 進む エウリーチェと共に オットーネに向かって。 IROLDO E COROイロルド と 合唱 Viva Ottone, il grande, il forte,オットーネ万歳、偉大な者、強者、 nostra gloria e nostro onor.私たちの栄光 そして 私たちの誉。 Adelaide in te ravvisiアデライデが 君に 認めるように degli oppressi il difensor.虐げられた人々の防衛者を。 |
|
[Recitativo] Dopo il Coro e Cavatina Iroldo |
4/4 (C major) |
BERENGARIOベレンガーリオ Vedi, signor? Non fra nemici tuoi君は 見ているか、貴君よ? 君の敵の中で giungi in Canosso. Ognun t'inchina. Io bramoカノッソに 君は 着いて 【↑】いない【≒ カノッソに到着しても 君は 敵に 囲まれているわけではない】。誰もが 君に お辞儀をしている。私は 熱望している che del popolo il plauso a te palesi人々の称賛が 君に 明らかにすることを quanto noi siamo ad onorarti intesi.どれほど 私たちが 君に敬意を表することを 目指しているか。 OTTONEオットーネ Udisti il nome che fra plausi e canti君は 名前を 聞いたか それを 称賛と 歌の中で la gente pronunziò? Dov'è Adelaide?人々が 発言した? Dove misera soffre i mali suoi?どこで 哀れな女は 彼女の不幸を 苦しんでいるのか? SCENA NONA;第9場 Adelaide (sempre vestita a lutto) e detti.アデライデ(常に 喪服を 来ている) と 前の場の人たち ADELAIDEアデライデ (prostrandosi)(平伏して) Ecco quell'infelice a' piedi tuoi.ほら その不幸な者が 君の足元に。 OTTONEオットーネ Adelaide!... sei tu!... Sorgi... (qual vista!アデライデ!… 君なのか!… 立ち上がりなさい…(何という 容貌だ! Qual ferita al mio cor!...) Oh di Lotario何という傷が 私の心に!…) ああ ロターリオの vedova sventurata! Ah qual ti mostri不幸な未亡人よ! ああ 何と 君は 姿を見せていることか allo sguardo d'Ottone!オットーネの眼差しに! Sorgi: parla; delitti alcun t'appone.立ち上がりなさい: 話しなさい; 誰かが 君に 罪を 着せている。 ADELAIDEアデライデ Delitti!... Il Ciel mi vede, Il Ciel, che invoco罪を!… 天が 私を 見ている、天が、それに 私は 祈願している scudo a' mali ch'io soffro. Hai tu sentito不幸の盾を それを 私は 苦しんでいる。君は 聞いたか di Lotario tradito欺かれたロターリオの la morte raccontar? Della sua sposa死を 語るのを? 彼の妻の la dolente, affannosa悲痛な、つらい vita peggior di morte? Io quella sono.人生は 死よりも もっと悪くないだろうか? 私が その女だ。 Signor, quella son io;貴君よ、私が その女だ; implorare vendetta è il fallo mio.私の過ちは 復讐を 切に願うことだ。 Se vale il pianto; se innocenza vale,もし 涙が 役に立つならば; もし 潔白が 役に立つならば、 dal periglio fatale,致命的な危険から、 ch'io cercai d'evitar, salvami, oh Dio!それを 私は 避けようと 務めている、私を 救出しなさい、ああ 神よ! e ti mova pietà del pianto mio.そして 私の涙の哀れみが 君を動かすように【≒ 私の涙に 君が 同情するように】。 OTTONEオットーネ La mia pietà hai tutta,私の哀れみを 君は すっかり 受け取っている、 impareggiabil donna; io l'ascoltai無比の女性よ; 私は それを 聞き入れた【≒ 私は 哀れみを 感じた】 dal dì che cominciai日から 私が a saper tue sventure, e l'Alpi ascesi.君の不幸を 知り 【↑】始めた【日から】、そして アルプスに 昇った【日から】。 Cessa dal pianto; intesi:涙を 止めなさい; 私は 理解した: vendicata sarai. Trono più grande君は 恨みを晴らされるだろう。より大きな玉座を ti prepara il mio cor, vinto da tanta私の心が 君に 用意している、【私の心は】 それほどたくさんの sovrumana virtù. Popolo, ascolta:超人的な徳に 【↑】によって 【↑】負かされて。人々よ、聞きなさい: Tua futura grandezza in lei riposa.君の未来の偉大さは 彼女に 立脚している【= 君たち人民の未来の栄光は 彼女に かかっている】。 La rispetti la terra: ella è mia sposa.国土【≒ 国】が 彼女に 敬意を表するように: 彼女は 私の妻だ。 (parte con Adelaide e seguito.)(退場する アデライデ と 従者の一行 と共に) |
implorare vendetta è il fallo mio. 台本ではこの後、アデライデがベレンガーリオとアデルベルトと激しく応酬する箇所があったのだが、オペラでは採用されなかったため、この implorare vendetta è il fallo mio. の意味が分かりづらくなっている。ロターリオの死後、アデライデはベレンガーリオとアデルベルトに対して憎悪と敵意を増大させ、しかしそれによって彼らがアデライデを捕らえる口実を与えてしまった、という意味。 |
[Replica del Coro e Cavatina Iroldo] Iroldo Coro |
Moderato 6/8 B-flat major |
IROLDO E COROイロルド と 合唱 Plauda il mondo in sì bel giorno,世界が 称賛する様に これほどに素晴らしい日に、 d'Adelaide al difensor.アデライデの防衛者を。 Solo echeggino d'intorno周囲に 鳴り響くように lieti cantici d'amor.喜ばしい 愛の賛歌 【↑】だけが Trista idea d'affanni, e pene不安の 哀れな思いが、そして 心配【の 哀れな思いが】が più non turbi il nostro cor,もう 私たちの心を かき乱さないように、 or che premia un dolce imene愛情の篭った結婚に 報いているからには la bellezza ed il valor.美と 勇気が。 (partono dietro Ottone)(退場する オットーネに続いて) |
|
[Recitativo dopo la Replica del Coro e Cavatina Iroldo]o |
4/4 (C major) |
SCENA DECIMA第10場 Adelberto e Berengario.アデルベルト と ベレンガーリオ。 ADELBERTOアデルベルト Tacer! sempre tacer! tanta costanza,黙っている! ずっと 黙っている! それほどたくさんの意志の強固を、 padre, io non ho. Come! Aspettar tu vuoi父よ、私は 持っていない【≒ 私には それほどの 忍耐は ない】。何ということだ! 君は 待つ つもりなのか forse che in faccia a noiことによると 私たちの面前で la conduca all'altare e di sua mano彼が 彼女を 祭壇に 導く 【↑】のを そして 彼女の 【右】手の ci strappi il serto? Omai soffrire è vano.花冠を 彼が 私たちから 剥ぎ取る 【↑↑】のを? 今は 我慢することは 無駄だ。 BERENGARIOベレンガーリオ Folle! sì presto obblii馬鹿者め! それほどに早く 君は 忘れたのか Berengario chi sia? Credi ch'io vogliaベレンガーリオが 誰であるか? 君は 信じているのか 私が vilmente soggiacer? Desìo più grande,卑怯に 【≒ 卑屈に】 服従している 【↑】と? もっと大きな欲求が、 più cocente del tuo mi strugge il core,もっと激烈な【欲求が】 君の【欲求】よりも 私の心を 苦しめている、 io bramo un regno, e tu, codardo, amore.私は 王国を 切望している、そして 君は、意気地無しめ、愛を 【切望している】。 ADELBERTOアデルベルト Ma che costava alla regina avantiしかし どんな 代償を招いただろうか 王妃の前で stringere un ferro e qui svenarlo?鉄【= 剣】を 握り締めて そして ここで 彼を 出血多量で死なせることが? BERENGARIOベレンガーリオ E poiそして その後に chi da tanti guerrieri,誰が 大勢の【オットーネの軍の】戦士たちから、 chi salvarci potea? Piena vendetta誰が 私たちを 救助できたというのか? 完全な仕返しを avremo e tosto. Numerosa gente,私たちは 持てるだろう そして すぐに。たくさんの人々が、 che in soccorso chiamai, già ver Canossoその者たちを 私は 救援に 呼んだ、既に カノッソの方に ascolto che s'invia... Taci: ingannato派遣された と 私は 聞いている… 黙りなさい: 欺かれて l'esercito nemico敵の軍は da falsa sicurtà, nutrir sospetto偽の安全によって、疑いを 心に抱く non può se fidar vede Ottone stesso;ことができない もし 彼【= 敵の軍隊 l'esercito nemico = オットーネの軍隊】が オットーネ自身が 【ベレンガーリオたちを】 信頼しているのを 見るならば; lasciami, non temer; ei cadrà oppresso.私から 去りなさい【≒ ここから 行きなさい】、心配するでない; 彼は 圧迫されて【≒ 打ちのめされて】 倒れるだろう。 |
|
N. 5 Aria Berengario Berengario |
Allegro giusto 4/4 A major |
BERENGARIOベレンガーリオ Se protegge amica sorteもし 好意的な運命が 後援する【≒ 援護する】ならば pochi istanti il mio disegno,僅かな瞬間【≒ ほんの少しの間だけ】 私の企みを、 perderà la vita, e il regno命を 失うだろう、そして 王国を【失うだろう】 questo prode vincitor.あの勇ましい勝利者は。 |
三部形式のアリア。 速度指示に変化はなく、調性だけ変化している。 このベレンガーリオのアリアはロッシーニの書いたものではないと推測されている。 |
(Allegro giusto) 4/4 C major |
Mirerò con ciglio asciutto私は 眺めるだろう 乾いた眼で dell'indegna i prieghi, e il pianto,恥ずべき女の 懇願を、そして 涙を、 sia mia gloria, e sol mio vanto私の栄光であるように、そして 私の 唯一の 名誉で【あるように】 la vendetta, ed il furor.復讐が、そして 激情が。 |
||
(Allegro giusto) 4/4 A major |
Se protegge amica sorteもし 好意的な運命が 後援する【≒ 援護する】ならば pochi istanti il mio disegno,僅かな瞬間【≒ ほんの少しの間だけ】 私の企みを、 perderà la vita, e il regno命を 失うだろう、そして 王国を【失うだろう】 questo prode vincitor.あの勇ましい勝利者は。 |
このベレンガーリオアリアの後に、エウリーチェのレチタティーヴォ L'amor del figlio, ed il desio di regno とアリア Vorrei distruggere が置かれていることがあるが、この曲はパリのフランス国立図書館に収蔵されている筆写総譜でのみ伝えられており(印刷台本にはいくつか掲載されている)、1820年頃に第三者の手によって書き加えられたものだと推測されている。したがってここでは採用しない。 |
|
N. 6 Coro avanti la Cavatina Adelaide [e] Cavatina Adelaide Adelaide |
Andante mosso 6/8 G major |
SCENA UNDICESIMA第11場 Gabinetto. Adelaide abbigliata riccamente. Coro di damigelle.【アデライデの】私室。アデライデ 豪華に 盛装された。侍女たちの合唱。 CORO DI DAMIGELLE侍女たちの合唱 O ritiro che soggiornoああ 隠居所【≒ 隠れ家】よ それは fosti un tempo del dolorかつて 悲しみの 【↑】滞在地だった ah! ti cambia in questo giornoああ! それは 変化している この日に in asilo dell'amor.愛の隠れ家へと。 |
A-B-Aの三部形式の合唱。 Gabinetto. この場合の gabinetto は 私的な小さな部屋,私室(これが本来の意味)。 |
(Andante mosso) 6/8 G major |
L'adorata principessa敬愛する王妃は consolata alfin sarà.ついに 安心させられる【≒ 安堵する】ただろう。 Si gioisca: il dì s'appressa楽しもう: 日が 近付いている della sua felicità.彼女の幸福の【日が】。 |
||
(Andante mosso) 6/8 G major |
O ritiro che soggiornoああ 隠居所【≒ 隠れ家】よ それは fosti un tempo del dolorかつて 悲しみの 【↑】滞在地だった ah! ti cambia in questo giornoああ! それは 変化している この日に in asilo dell'amor.愛の隠れ家へと。 |
この合唱と続くアデライデのアリアのカンタービレの間に、アデライデのシェーナ E fia pur ver, che tanti affanni が置かれることがあるが、19世紀半ばの出版ピアノ伴奏譜にはなく、また2011年のROFの上演でも用いられていない。《ブルグントのアデライデ》はまだクリティカルエディションが刊行されていないので詳しいことは分からないが、この対訳付き音楽設計図では採用しない。 |
|
4/4 (G major) |
ADELAIDEアデライデ Occhi miei piangeste assai;私の両眼よ お前たちは 大いに 泣いた; tempo è alfin di respirar.【今は】 ついに 息をする【≒ ほっとする】時だ。 Contemplate un raggio omai今こそ 凝視しなさい di contento a noi brillar.満足【≒ 喜び】の 【↑】光線が 私たちに 輝いているのを。 Ah! che tutto è lieto intorno;ああ! 周りの すべてが 喜ばしいのだから; io comincio a respirar.私は 息をし始めている。 |
||
Allegretto 3/8 G major |
Oh cara immagineああ いとしい面影よ ch'io porto in petto,それを 私は 胸に 持っている、 tu sola all'animaお前【= 面影】だけが 私の魂に puoi dar diletto,喜びを 与える ことができる、 le mie sventure私の不幸を puoi terminar.お前【だけ】が 終わらせる ことができる。 |
||
[Recitativo] Dopo la Cavatina Adelaide |
4/4 (C major) |
SCENA DODICESIMA第12場 Iroldo, Adelaide, indi Ottone.イロルド、アデライデ、それから オットーネ。 IROLDOイロルド Pur mi lice una volta,やっと 私に 許された 【もう】一度 augusta principessa,高貴な王妃よ、 vederti in libertà! Già si prepara君に 自由に 会うことが! 既に 用意されている solenne festa, al tempio alzata è l'ara.厳かな祝宴が、聖堂【≒ 教会】には 祭壇が 上げられている【≒ 作られている】。 ADELAIDEアデライデ E Berengario ed Adelberto?それで ベレンガーリオと アデルベルトは? IROLDOイロルド In core心の中で ben fremon quelli; ma chi mai s'opponeその者たちは とても 【怒りに】震えている; だが いったい 誰が 立ち向かうだろうか quando il popolo grida e parla Ottone?人々が オットーネ【の名】を 大声で呼び そして 口に出している 時に? Eccolo; ei viene.ほら ここに 彼が; 彼が 来る。 (si ritira)(引っ込む) OTTONEオットーネ Principessa, al fine王妃よ、ついに più dei tiranni tuoi temer non dei.もう 君は 君の圧制者たちを 恐れる 必要はない。 Un'altra volta seiもう一度 君は in questo suol regina. Otton feliceこの国の 女王だ。オットーネは 幸福に del trono che ti diede,玉座の それを 彼は 君に 与えた、 tranne la destra tua, mercé non chiede.君の右手のほかは 褒美を 求めていない【≒ オットーネは 喜んで 君に 与えた 玉座の 褒美には 君の右手だけを 求めている】。 ADELAIDEアデライデ Signor, io la promisi貴君よ、私は そのことを 誓った quando il soccorso tuo chieder osai;私が 君の救援を 求めることを 思い切ってした 時に; La fede manterrò che ti donai.私は 信頼を 維持しよう それを 私は 君に 提供した。 OTTONEオットーネ Ah! se del tuo sembianteああ! もし 君の顔に e delle tue virtù preso il mio core,そして 君の徳に 私の心が 捕まえ 【↓】られない 【↑↑】ならば【≒ 私の心が 奪われない ならば】 principessa, non fosse, io la tua destra王妃よ、私は 君の右手を chiederti non vorrei; ma sento, oh Dio!求めることを 望まないだろうに; しかし 私は 感じている、ああ 神よ! che lieto senza te più non son io.私は 君無しでは もはや 幸せではない ことを。 ADELAIDEアデライデ Ah! Signor...ああ! 貴君よ… OTTONEオットーネ Che vuoi dirmi?... Il popol tutto君は 私に 何を 言いたいのか?… すべての人々が le tue nozze desia: parla, io son pronto,君の結婚式を 切望している: 言いなさい、私は 準備ができている se d'amarmi ricusi, a girne altrove,もし 君が 私を愛することを 拒むならば、ここから よそへ 歩き回る【≒ どこかに 行ってしまう】ように と、 a celarti, se il brami, il mio dolore.もし 君が そのことを 熱望するのならば、私の悲しみを 隠すようにと 【言いなさい】。 ADELAIDEアデライデ Ah! no; son tua; t'offro la destra e il core.ああ! いいえ; 私は あなたのもの; 私は 君に 右手を 提供する そして 心を。 |
|
N. 7 Duetto Adelaide e Ottone Adelaide Ottone |
Allegro 4/4 E major |
ADELAIDEアデライデ Mi dai corona e vita,君は 私に 王冠を 与える そして 命を 【与える】、 mio difensor t'onoro;私の防衛者よ 私は 君を 敬愛する; sposa mi vuoi, t'adoro,君は 私を 妻に 望んでいる、私は 君を 熱愛している、 dell'alma mia signor.私の魂の 主人よ。 |
|
(Allegro) 4/4 e minor / G major |
OTTONEオットーネ Che difensor ti sono私が 君にとって 防衛者で ある ことを spargi, mio ben, d'oblio;忘却に 流しなさい【≒ 忘れ去りなさい】、私のいとしい人よ; che amante tuo son io私が 君の 恋人であること 【↓】だけ を sol ti rammenta ognor.常に 覚えていなさい。 ADELAIDEアデライデ Te solo il core adora.君だけを 心は 熱愛している。 OTTONEオットーネ L'idolo mio sei tu.君は 私の偶像だ。 |
||
(Allegro) 4/4 E major |
ADERAIDE E OTTONEアデライデ と オットーネ Me lo ripeti ancora,私に そのことを また再び 繰り返しなさい、 e non mi dir di più.そして 私に もっと多く 言うでない【≒ それ以上 言わないでおくれ】。 |
||
Maestoso 3/4 E major |
OTTONEオットーネ Vieni al tempio, ah! vieni, o cara,聖堂【≒ 教会】に 来なさい、ああ! 来なさい、ああ いとしい女よ、 al mio sen per sempre unita.私の胸に 永遠に 結ばれて。 ADELAIDEアデライデ T'amerò, qual t'amo all'ara,私は 君を 愛そう、祭壇で 私が 君を 愛するように、 finché il ciel mi serba in vita.天が 私を 生命の中に 取っておく間は【≒ 私が 生きている限り】。 ADERAIDE E OTTONEアデライデ と オットーネ Sempre altare ov'io t'adori,いつでも 【心は】 祭壇【になるだろう】 私が 君を 崇める時、 sempre tempio il cor sarà.いつでも 心は 聖堂になるだろう。 |
||
Allegro 4/4 E major |
Tu che i puri e casti affetti君よ その者は けがれのない そして 純潔な 情愛に dolce amor nell'alma accendi,甘美な愛の神よ 魂の中の 火を点けている【≒ 私の魂の けがれのない そして 純潔な 情愛に 火を点けている 君 甘美な愛の神よ】、 tu proteggi, tu difendi君は 保護しなさい、君は 守りなさい così bella fedeltà.これほどに 素晴らしい 誠実さを。 (partono)(【二人とも】 退場する) |
Tu che i puri e casti affetti / dolce amor nell'alma accendi, amor は 愛の神 で、これを tu で呼び掛けていると理解した。 |
|
N. 8 Finale Primo Adelaide Ottone Coro |
Allegro 4/4 C major |
SCENA TREDICESIMA第13場 Piazza di Canosso; edifizj maestosi intorno.カノッソの広場; 周囲に 堂々たる建築物 。 Popolo, indi Berengario, Adelberto, Eurice e seguito di guerrieri, parte de' quali si spargono per la scena.人々、それから ベレンガーリオ、アデルベルト、エウリーチェ と 戦士たちの一行、それらの者たちの一部は 舞台をあちこちと 散らばる。 CORO合唱 Schiudi le porte, o tempio扉を 開きなさい、ああ 聖堂よ del sacro liminare.聖なる敷地の【≒ 教会よ】。 T'infiora o santo altare花で飾られなさい ああ 聖なる祭壇よ in così lieto dì.これほどに 喜ばしい日に。 Augusta al par di questaこれ【= 次行の 夫婦 coppia】と 同じくらい 堂々たる coppia giammai s'unì.夫婦は いまだかつて 結ばれなかった。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ Riposa in canti, in gioia休んでいる【≒ 寛いでいる ≒ 楽しんでいる】 歌に、歓喜に tutto il nemico campo;すべての 敵の陣営は; al gran disegno inciampoそれ【= 敵の陣営】は 大きな企みにとって 障害に non si farà così.だから ならないだろう。 SCENA QUATTORDICESIMA第14場 Ottone, Adelaide, Iroldo, seguito.オットーネ、アデライデ、イロルド。 ADELBERTOアデルベルト (al padre)(父に) Ecco Adelaide e Ottone.ほら ここに アデライデと オットーネが。 BERENGARIOベレンガーリオ A finger segui e taci.ふりをすることを続けなさい そして 黙りなさい。 CORO合唱 (ora all'uno, ora all'altra)(ある時は ある人に、【また】ある時は 別の人に) Queste di fior corone,これらの 花の冠【≒ 花輪】は、 queste brillanti faci,これらの 松明 たいまつ の輝きは、 a te composte sono,君のために 作られた splendono accese a te.君のために 燃え 輝いている。 Il ciel vi accordi in dono天が 君たちに 贈り物として 与えるように quanto concede ai re.王たちに 授けるところのものを。 |
del sacro liminare. ここでの liminare は limine 敷居 と理解した。limine 単独でも教会などの敷地を指すことがあり、tempio del sacro liminare 聖なる敷地の聖堂 で 教会 を意味している。 non si farà così. この場合の così は、接続詞 だから,そんなわけで。 |
Allegro 4/4 E-flat major |
OTTONEオットーネ O degl'itali regnanti,ああ イタリアの君主たちの、 caro germe, amato pegno,いとしい子孫よ、愛する証 あかし よ、 vieni al tempio, vieni al regno聖堂に 来なさい、王国に来なさい dell'Italia e del mio cor.イタリアの そして 私の心の。 ADELAIDEアデライデ Specchio illustre de' regnanti,君主たちの 令名高い 鑑よ、 generoso mio sostegno,高潔無比な 私の防衛者よ maggior lustro acquista il regno王国は より大きな栄誉を 手に入れる se pietà lo adorna e amor.もし 敬愛の情が それ【= 王国】を 飾るならば そして 愛が。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ (fra loro in disparte)(彼らの間で 傍らで) Ah! componi il tuo sembiante,ああ! 君の顔を 作りなさい【≒ 顔に 君の内心を 出さないようにしなさい】、 non traspiri il gran disegno;大きな企てを 漏らすでない; |
se pietà lo adorna e amor. この場合の pietà は概ね 祖国愛 の意味だが、ドイツ生まれのオットーネにとってイタリアは祖国ではないので、敬愛の情 を採る。 |
|
(Allegro) 4/4 E major |
Non è vostro ancora il regno,王国は もはや 君たちのものではない、 stringo, o folli, il brando ancor.私は また再び 剣を 握り締めている。 ADERAIDE E OTTONEアデライデ と オットーネ Cara man, ch'io stringo e premo,いとしい手よ、それを 私は 握り締め そして 押し付けている【≒ 掴んでいる】、 pegno tenero d'amore,愛の 甘い証 あかし よ、 ti riposa sul mio core私の心臓の上で 休息しなさい che si sente a palpitar.それ【= 心臓】は 動悸が激しく打っているのを 感じている。 Non mi devi un sol momento,【たとえ】一瞬【でも】 君は 私を、 cara mano, abbandonar.いとしい手よ、離しては 【↑】いけない。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ Si avvicina il gran momento;大きな瞬間が 近付いている; oh mio cuor non vacillar.ああ 私の心よ 揺らぐでない。 Mentre si avvicinano al tempio si ode in qualche distanza strepito d'armi, che andrà crescendo sino al termine dell'atto.彼らが 聖堂【≒ 教会】に 近づく 間に いくらか遠くから 武器の轟音が聞こえる、それは 幕の終わりまで 大きくなっていく。 |
||
Allegro 4/4 C major |
OTTONEオットーネ Quale improvviso strepito!何という 思いがけない 轟音だ! ADELAIDEアデライデ Quale fragor funesto!何という 不幸をもたらす 大音響だ! ADELBERTOアデルベルト (a Berengario)(ベレンガーリオに) Stringi l'acciar, e svelati;剣を 握り締めなさい、そして 身を 暴きなさい; il nostro campo è questo!ここは 私たちの 陣地だ! SCENA QUINDICESIMA第15場 Ernesto frettoloso, con guerrieri alemanni, e detti.エルネスト 慌ただしく、ドイツの戦士たちと共に、そして 前の場の人たち ERNESTOエルネスト Signor, tu sei tradito,貴君よ、君は 裏切られた、 fuggi, in periglio sei.逃げなさい、君は 危険の中に いる。 ADELBERTOアデルベルト (a Ottone)(オットーネに) È tutto alfin compito.すべてが ついに 成し遂げられた。 Resta; tremar tu dei!留まりなさい; 君は 震えなくては ならない! BERENGARIOベレンガーリオ Mira: guerrieri, olà.見詰めなさい; 戦士たちよ、そら。 Escono i soldati di Berengario.ベレンガーリオの兵士たちが 出て来る。 OTTONEオットーネ (snuda la spada.)(剣を 鞘から抜く。) Finché l'acciar mi resta,剣が 私に 残る限り、 perfidi, non pavento.裏切者め、私は 恐れない。 ADELBERTOアデルベルト Vieni, s'hai cor...来なさい、もし 君が 心を 持っているなら【≒ 勇気が あるなら】… ADELAIDEアデライデ T'arresta...待ちなさい… (correndo or dall'uno, or dall'altro)(時に 一人に 駆け付けて、時に 別の者に) Empi... morir mi sento...邪悪な者たちめ… 私は 私が 死ぬのを 感じている【≒ 死にそうだ】… I soldati di Berengario s'azzuffano coi soldati alemanni; Berengario e Adelberto con Ottone, ed Ernesto; Adelaide è arrestata fra i soldati di Berengario.ベレンガーリオの兵士たちは ドイツの兵士たちと つかみ合いの喧嘩をする; ベレンガーリオとアデルベルトは オットーネと、そしてエルネスト【と】; アデライデは ベレンガーリオの兵士たちの間で 捕らえられる。 |
||
Più mosso 4/4 C major |
ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ (a Ottone)(オットーネに) Giunto è alfin di vendetta l'istante:ついに 復讐の瞬間が 来た: punirò nel tuo sangue l'offesa.私は 君の血の中で 侮辱に 罰を科そう【≒ 君の流血で 侮辱に対して 復讐しよう】。 (ad Adelaide.)(アデライデに。) Trema; invano al tuo perfido amante震えなさい; 無駄だ 君の 背信の恋人に col tuo pianto far tenti difesa.君の涙で 防御を しようと 試みるのは【≒ 君が 涙を流して 私たちに敵意を持つ君の恋人を 守ろうとしても 無駄だ】。 Su, guerrieri; il comune nemicoさあ、戦士たちよ; 共通の【≒ 私たち全員の】敵は per mia mano trafitto cadrà.私の手によって 刺し貫かれて 倒れるだろう。 ADELAIDEアデライデ Ah! soccorso! che barbaro istante!ああ! 助けを! 何という 残酷な瞬間だ! Giusto Cielo, punisci l'offesa!公正な天よ、侮辱に 罰を科しなさい【≒ 侮辱に対して 復讐しなさい】。 Arrestate... salvate l'amante...止めなさい… 恋人を 救いなさい… Io non trovo, non spero difesa...私は 【防御を】 得ていない、私は 防御を 期待していない… Ah! che tutto il destino nemicoああ! というのは すべての 敵意を持った運命は consumato il suo sdegno non ha.その【= 運命の】怒りを 使い切っていない 【↑】からだ。 OTTONEオットーネ Traditori! vi cedo un istante,裏切者たちめ! 私は 一瞬【≒ 少しの間だけ】 君たちに 屈する、 per punir più feroce l'offesa,より残酷に 侮辱に 罰を科するために【≒ もっと過酷に 侮辱に対して 復讐するために】 Giusto Cielo, proteggi l'amante;公正な天よ、恋人を 守りなさい; a lei fate, guerrieri, difesa.戦士たちよ、彼女の防御をしなさい。 Ah! tremate; il destino nemicoああ! 震えなさい; 敵意を持った運命は a me tolto il valore non ha.私から 勇気を 取り去らなかった。 ERNESTO E COROエルネスト と 合唱 Ah! tremate; il destino nemicoああ! 震えなさい; 敵意を持った運命は a noi tolto il valore non ha.私たちから 勇気を 取り去らなかった。 Il Coro canta ora le parole d'Adelaide, ora quelle di Ottone. Tutto esprime confusione, e spavento.合唱は 時に アデライデの言葉を歌い、時に オットーネのそれらを【歌う】。全員が 混乱を 表す、そして 恐怖を【表す】。 |
||
ATTO SECONDO | |||
N. 9 Introduzione Coro |
Allegro maestoso 4/4 C major |
SCENA PRIMA第1場 Interno della fortezza di Canosso come nell'Atto Primo.カノッソの要塞の内部 第1幕と同様に。 Coro di guerrieri di Berengario e d'Adelberto.ベレンガーリオの戦士たちの合唱 そして アデルベルトの【戦士たちの合唱】。 PARTE DEL CORO合唱の一部 Come l'aquila che piombaワシのように それは 突然襲い掛かる sulla timida colomba,臆病な 雌バトに、 ARTRA PARTE DEL CORO合唱の別の一部 qual lion che in mezzo arrivaライオンのように それは 到達する【≒ 襲い掛かる】 alla greggia fuggitiva,逃亡する 羊の群れの 【↑】中に、 TUTTO IL COROすべての合唱 Berengario ed Adelbertoベレンガーリオと アデルベルトは sovra Otton tremante e incerto,震える そして 自信がない オットーネの上に si scagliarono a vicenda,飛び掛かった 交替に 【≒ 代わる代わる】 ed in fuga Ottone andò.そして オットーネは 逃亡に 行った 【≒ 逃げ出した】 PARTE DEL CORO合唱の一部 Il superbo alfine apprenda尊大な男が ついに 学び取るように qual valor nostr'alme accenda.どのような勇気が 私たちの魂に 火を点けたか。 ARTRA PARTE DEL CORO合唱の一部 Sappia alfin che ne' cimenti彼が ついに 知るように 危険の中で siamo intrepidi, e possenti私たちが 恐れを知らない 【↑】ことを、そして 強力である 【↑】ことを TUTTO IL COROすべての合唱 che il destin che ci colpisce運命は それは 私たちを 打つ non ci piega, né avvilisce,【運命は】 私たちを 屈服させないし、【私たちを】失墜させもしない 【↑】ことを、 che degli avi generosi寛容な先祖の la costanza ci restò.意志の強固が 私たちに 残っていた 【↑】ことを、 (si allontanano)(遠ざかる) |
|
[Recitativo] Dopo l'introduzione |
4/4 (C major) |
SCENA SECONDA第2場 Adelberto ed Eurice.アデルベルト と エウリーチェ。 ADELBERTOアデルベルト Vincemmo, o madre. Fra le feste insane私たちは 勝利を得た、ああ 母よ。馬鹿げた祝宴の中で l'ostil campo sorpreso, invano opporci不意を突かれた 敵の陣営は 虚しく 私たちに 【↓】思い切って 対抗 breve contrasto osò. La sua salvezzaした 短い対立【≒ 短時間の反撃】で。それ【= 敵の陣営】の 逃れることを alla fuga commise; Ottone istesso逃亡に それ【= 敵の陣営】は なした【≒ 彼らは 逃亡した】; オットーネ自身は da tante schiere oppresso多くの部隊に 圧迫されて fugge, e fischiarsi a tergo ode tremando逃亡している、そして 彼は 震えながら 聞いている 背後から ヒューという音を出されているのを del vincitore Berengario il brando.勝者ベレンガーリオの剣が。 EURICEエウリーチェ Lieta ritorno alfin. Quanto tremaiとうとう 私は 喜ばしく 戻っている【≒ ようやく 私に 喜びが 戻った】。どれほど 私が 震えたか dirti non so. Pur nostro è il regno, è tua私は 君に 言うことが できない。やっと 王国は 私たちのものだ、【そして】 君のものだ d'Adelaide la destra.アデライデの右手は。 ADELBERTOアデルベルト Umana forza人間の力は rapirmela non può; quando ritorni私から 彼女を 強奪する ことはできない; 戻る時には Berengario dal campo io la possiedo!...ベレンガーリオが 陣地から 私は 彼女を 所有している【≒ 彼女は 私のものだ】!… Ma comparir la vedo. Lasciami seco.ところで 彼女が 急に姿を現しているのを 私は 見ている。私を 彼女と一緒に させなさい【≒ 彼女と 二人きりに させてくれ】。 EURICEエウリーチェ Io parto.私は 去る。 Com'esige il dover e amor ti sprona,義務が 君に 要求するとおりに そして 愛の神が 君に 拍車をかける【≒ 君を 励ます】【とおりに】、 pur che giovi all'intento, a lei ragiona.そうは言っても 目的に 有効になるように、彼女に 論じなさい【≒ 言い聞かせなさい】。 (parte)(退場する) SCENA TERZA第3場 Adelberto ed Adelaide.アデルベルト と アデライデ。 ADELBERTOアデルベルト Torno, Adelaide, e torno私は 戻ってきている、アデライデよ、そして 戻って来ている d'Ottone vincitore. Vedi: in coluiオットーネの勝者が。見なさい: あの男に più speranza non hai. Misera e priva君は もはや 希望を 持っていない。惨めな女よ そして di consorte e di regno,配偶者を 【↑】欠いた女よ そして 王国を 【欠いた女よ】 regno e consorte, ove ti piaccia, avrai.王国と 配偶者を、君に 気に入る どこにでも【≒ どこでも 君の 好きなところで】、君は 手に入れるだろう。 Parla; il tuo cor si placherà giammai?話しなさい; 君の心は 決して 静まらないであろうか? ADELAIDEアデライデ Placarsi il core d'Adelaide? E il pensi?アデライデの心が 静まる だと? それで 君は そんなことを 考えているのか? Avvi delitto, che per volger d'anni罪が ある、それは 年々が 流れるとしても non ottiene perdono, a cui non vale赦免を 得ない【≒ 何年経っても 許されない 罪がある】、それ【≒ 赦免】には 役に立たない pentimento e rimorso, e il vostro è tale.後悔は そして 呵責は、そして 君たちのもの【≒ 君たちの心】は そうしたものだ。 ADELBERTOアデルベルト Di che pentirmi? Ebbe Lotario forse何に 後悔するのか? ことによると ロターリオは 受け取ったのか morte da me?私から 死を【≒ もしかして 私が ロターリオを 殺した というのか】? ADELAIDEアデライデ Chi mi rapì lo sposo誰が 私から 夫を 強奪したのか ben io conosco, e chi m'offende.私は よく 認識している、そして 誰が 私を 侮辱しているのか。 (in atto di partire)(退場する 素振りで) ADELBERTOアデルベルト Ah! senti...ああ! 聞きなさい… Placati, o donna; intendi落ち着きなさい、ああ 婦人よ; 耳を傾けなさい quanto grida la patria: i mali miei祖国が 大声で急を訴えていることを: 私の不幸を non prolungar; tiene Adelberto il trono,長くしないでおくれ; アデルベルトは 玉座を 保有している、 dividilo con lui, contento io sono.彼と共に それを 分かち合いなさい、【そうすれば】 私は 満足だ。 |
La sua salvezza / alla fuga commise; この場合の salvezza は 逃れること を意味し、salvezza alla fuga で 逃亡に逃れること ≒ 逃亡。 e fischiarsi a tergo ode tremando / del vincitore Berengario il brando. fischiare は本来 口笛を吹く の意味だが、転じて 口笛を吹いて野次る,口笛を吹いて非難する といった意味もある。また fischiare には ヒュー、シューといった音を立てる という意味もある。ここでは勝利したベレンガーリオが敗走するオットーネに向かって剣を振り回して風を切って音を鳴らし、彼を馬鹿にしている様子を述べていると思われる。 pur che giovi all'intento, a lei ragiona. ここでの giovi は giovare の接続法現在3人称単数形。この場合の giovare は非人称的に用いられている。che + 接続法 ―なるように に、逆説の pure が付いている。 Avvi delitto, che per volger d'anni この場合の volgere は (歳月が)流れる。 |
N. 10 Duetto [Adelaide-Adelberto] Adelaide Adelberto |
Allegro 4/4 A major |
ADELBERTOアデルベルト Della tua patria ai voti君の祖国の願いに unisco i voti miei;私は 私の願いを 結び付ける; servi Adelaide a lei,アデライデよ それ【= (アデライデの)祖国 patria 女性名詞】に 仕えなさい、 cedi crudele, a me.つれない者よ 屈しなさい、私に。 ADELAIDEアデライデ Vanne, quest'alma afflittaここから 行ってしまえ、悲嘆に暮れた この魂は i voti tuoi disprezza.君の願いを 軽蔑している。 Solo a mirare è avvezzaただ 眺めることに 慣らされているだけだ un traditore in te.君の中に 裏切者を【≒ 君には いつも通り ただ 裏切者が 見られるだけだ】。 ADELBERTOアデルベルト Fugge Otton, e speri ancora?オットーネは 逃亡している、それでも 君は まだ 期待をしているのか? ADELAIDEアデライデ Tu pretendi averne fama?君は そのことから 名声を 手に入れることを 強く求めているのか? ADELBERTOアデルベルト Sì: l'inganno anch'esso onora,そうだ: 策略は それもまた 名誉を与える、 pur che giovi a chi lo trama.もし それ【= 策略】を 企む 者に 役に立つ ならば。 ADELAIDEアデライデ Te conosco a questi sensiこの感情で【≒ このような心情で】 私は 君を 理解している e il tuo vile genitor.そして 君の 卑怯な父親を。 |
|
Più lento 4/4 C major |
ADELBERTOアデルベルト Oh rossore! Al tradimentoああ 赤面だ! 裏切り【≒ 卑劣な行為】のために alma mia, tu non nascesti.私の魂よ、お前は 生まれたのではない。 ADELAIDEアデライデ Sospettar di tradimento,裏切り【≒ 卑劣な行為】を 疑うことを、 alma mia, tu non sapesti.私の魂よ、お前は 知らなかった。 I tuoi vanti, amor, son questiこれらは お前の自慢の種だ、愛の神よ、 quando accendi un empio cor.お前が 邪悪な心に 火を点ける 時には。 ADELBERTOアデルベルト Ah! tu solo mi facestiああ! お前【= (次行の)愛の神】だけが 私を させた così vile, o crudo amor.これほどに 卑劣に、ああ 酷い愛の神よ。 |
||
Più mosso 4/4 A major |
SCENA QUARTA第4場 Coro di guerrieri frettolosi e spaventati; e detti.戦士たちの合唱 慌ただしく そして 恐怖に満ちて; そして 前の場の人たち CORO合唱 Ah! signor, perduti siamo;ああ! 貴君よ、私たちは 敗れた; vinse Otton.オットーネが 勝った。 ADELAIDEアデライデ Gran Dio!偉大な神よ! ADELBERTOアデルベルト Che sento!私は 何を 聞いているのか! PARTE DEL CORO合唱の一部 La fortuna in un momento運命の女神は 一瞬で per Otton si dichiarò.オットーネのために 意志を表明した【≒ オットーネの肩を持つことを 明らかにした】。 TUTTO IL COROすべての合唱 Berengario circondato,ベレンガーリオは 包囲されて、 prigionier di lui restò.彼の 捕虜に なった。 ADELBERTOアデルベルト Ah! vincesti, ingiusto fato!...ああ! お前が 勝った、不公平な運命よ!… Che risolvo, oh Dio! che fo?私は 何を 決意するのか、ああ 神よ! 私は 何を するのか? ADELAIDEアデライデ Ah! destin ti sei placato;ああ! 運命よ お前は 静まった; ah! contenta ancor sarò.ああ 私は また再び 満足するだろう。 |
||
Allegro 4/4 C major |
ADELBERTOアデルベルト Quella gioia che in fronte ti brillaその喜びを それは 君の額【≒ 顔】で 輝いている cela ancora, spietata, nel core.まだ 隠していなさい、無情な女よ、心の中に。 ADELAIDEアデライデ Nella gioia quest'alma è tranquilla,歓喜の中で この魂は 落ち着いている、 come in mezzo agli affanni, al dolore.苦悩の中でのように、悲しみの【中でのように】。 ADELBERTOアデルベルト Perderò la corona e la vita,私は 王冠と 命を 失うだろう、 ma rapita al mio sen non sarai,しかし 君は 私の胸から 強奪されないだろう、 ma giammai sposa altrui ti vedrò.しかし 決して 君が 他の人の花嫁であるのを 見ることはないだろう。 ADELAIDEアデライデ Puoi rapirmi, tiranno, la vita,君は 私の命を 強奪することができる、暴君よ、 se rapita la pace tu m'hai,もし 君が 私の平安を 強奪したならば、 ma giammai tua consorte sarò.だが 私は 君の配偶者には 決して ならないだろう。 Parte Adelaide; dal lato opposto parte Adelberto co' guerrieri.アデライデは 退場する; 反対側から アデルベルトが【退場する】 戦士たちと共に。 |
||
[Recitativo] Dopo il Duetto [Adelaide-Adelberto] |
4/4 (C major) |
SCENA QUINTA第5場 Iroldo.イロルド。 IROLDOイロルド Vederti in pianto e non poterti mai,君が 泣き出すのを 見ている そして 決して 君に することはできない、 principessa infelice,不幸な王妃よ、 porgere aita!... Arride a' cori ingiusti援助を 差し伸べることを!… 不正な心たちに 微笑むのか dunque la cieca sorte?それでは 盲目の運命は? Ah! se d'alcun la morteああ! もし 誰かの死が giovar potesse alla dolente, oh Dio!苦しんでいる人の 役に立つことができるならば、ああ 神よ! la vittima opportuna, ecco, son io.相応しい犠牲は、そら、私だ。 parte退場する SCENA SESTA第6場 Vestibolo come nell'Atto Primo.玄関の間 第1幕と同様に。 Adelberto, Eurice, Coro di guerrieri.アデルベルト、エウリーチェ、戦士たちの合唱。 ADELBERTOアデルベルト Lasciami: invan mi preghi...私を 放っておきなさい: 君は 私に 無駄に 懇願している… EURICEエウリーチェ E il genitoreそれで 父親を lascerai fra' nemici?君は 敵の中に 残すのか? ADELBERTOアデルベルト E perderemoそれでは 私たちは 失うであろうか di sudor tanto il frutto in un sol giorno?これほどたくさんの 苦労の成果を たった一日で? Cedere a un'ombra di timore? Oh scorno!ほんの少しの恐れに 屈するのか? ああ 恥だ! EURICEエウリーチェ Un'ombra di timor! Ma non sentisti≒ ほんの少しの恐れだって! だが 君は 聞かなかったのか d'Ottone il messaggier? Se tu non rendiオットーネの伝言を? もし 君が 返さなければ Adelaide all'istante, a cruda morteアデライデを 即座に、過酷な死の Berengario condanni.刑を申し渡すだろう 彼は ベレンガーリオに。 Almeno ascoltaせめて 感じなさい il pianto d'una madre.母の涙を。 ADELBERTOアデルベルト Pianto indegno di te, di me, del padre.相応しくない【≒ 恥ずべき】涙だ 君にとって、私にとって、父にとって。 EURICEエウリーチェ Ah indegno!ああ 恥ずべき男だ! Oh pena!...ああ 苦悩だ!… A che serbi la madre!... Or, via, mi svena.君は 何に 母親を わざわざ残しておくのだ【≒ 何と 恐ろしい事態の中に 母親を 放置するつもりなのか】!… さあ、そら、私を 出血多量で死なせなさい。 |
Cedere a un'ombra di timore? Oh scorno! un'ombra di - ほんの少しの―。ombra 影 には ごく僅かなもの,取るにならないもの の意味がある。 |
N. 11 Aria Eurice Eurice |
EURICEエウリーチェ Sì, sì, mi svenaそうだ、そうだ、私を 出血多量で死なせなさい nel tuo furore,君の激情で、 giacché il mio core私の心は pace non ha.平安を 持っていない 【↑】のだから。 Ah! che non servonoああ! もし 役に立たないのならば sospiri e lacrime,【私の】溜め息と 涙が、 deh compi, o barbaro,ああ 遂行しなさい、ああ 残酷な男よ、 tua crudeltà.君の 残酷な行為を。 parte退場する |
このアリアは唯一の出版譜である1850年頃の Ricordi の出版譜には含まれておらず、したがって調性や拍子などはここでは記載していない。 |
|
[Recitativo] Dopo l'Aria Eurice | 4/4 (C major) |
SCENA SETTIMA第7場 Adelberto, Coro.アデルベルト、合唱。 ADELBERTOアデルベルト (Ad Eurice che parte)(エウリーチェに その者は 退場する) Fermati... Non m'ascolta... Ah! chi mi pose止まりなさい… 彼女は 私【の言うこと】を 聞いていない… ああ! 誰が 置いたのだ 私の la benda agli occhi?... Prepotente amore両目に 目隠しを? 横暴な愛の神は tutti gli affetti miei si usurpò del core.すべての 私の情愛を 心から 横領した【≒ 奪い去った】 |
このレチタティーヴォ・セッコは、唯一の出版譜である1850年頃の Ricordi の出版譜には含まれているが、ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルの上演では省略されている。 |
N. 12 Scena ed Aria Adelberto Adelberto Coro |
Allegro 4/4 B-flat major |
CORO合唱 Berengario è nel periglioベレンガーリオが 危険の中にある sol per te,君のためだけに【≒ ただ 君が原因で】、 Ah! rammenta ch'eri figlioああ! 思い出しなさい 君が 息子であったことを pria che re.王である 前に。 |
|
Recitativo 4/4 (B-flat major) |
ADELBERTOアデルベルト Figlio son io... lo sono... Atroce guerra私は 息子だ… 私は それだ… 恐ろしい争いが si fa qui dentro... Io non ho fibra in pettoここの【胸の】中で 行われている… 私は 胸の中に 体質【≒ 性質】を 持っていない che natura non tocchi, amor non mova...それを 本性は 触れない、【それを】 愛は 動かさない【≒ 私の心の中には 本来の性分によって触れられない気性はないし、愛に 突き動かされない気性もない ≒ 私の心情は 息子の本分に動かされながらも 愛に突き動かされてもいる】… Strazian quest'alma a provaそれらは 競って この魂を 酷く苦しめている empiendomi di larve e di paura...空想の産物【≒ 恐怖】で そして 不安で 満たして… Chi vincerà non so.誰【≒ どちら】が 勝利を収めるのか 私は 分からない。 CORO合唱 Vinca natura.【君の】本性が 勝つように。 |
Io non ho fibra in petto / che natura non tocchi, amor non mova... fibra は本来は 繊維 の意味だが、この場合は 体質、転じて 気質。 この場合の natura は 本性 つまり 持って生まれた本来の性質。アデルベルトは息子として父親の命を救うのが当然という本性からの気持ちを抱きつつ、アデライデへの愛を棄てられないという愛に突き動かされる感情もあって、その葛藤に苦しんでいる。 empiendomi di larve e di paura... larva は 亡霊 の意味だが、空想の産物 という意味もあり、この場合はアデルベルトが戦いを想像して思い浮かべる気持ちということから、恐怖 を指していると思われる。 |
|
Allegro 4/4 B-flat major |
ADELBERTOアデルベルト Grida, o natura, e desta大声を言いなさい【≒ 強く 主張しなさい】、ああ 【私の】本性よ、そして 目覚めさせなさい la mia virtù sopita,眠りを誘われた【≒ 眠りかかっていた】 私の徳を e libertade e vitaそうすれば 自由と 命を il genitore avrà.父は 受け取るだろう。 Ah! che intanto a me rapitaああ! そうしている間に 私から Adelaide, oh dio, sarà!アデライデが 【↑】奪わ れるであろう 【↑】とは! CORO合唱 Non pentirti; e sia compita悔いるでない; そして 遂行されるように la bell'opra, per pietà.立派な行為が、後生だから。 ADELBERTOアデルベルト Come vivere potreiどうやって 生きることが できるのだろうか【?】 senza lei彼女なしで che non posso abbandonar?その者を 私は 棄てることができない? Oh pensiero di dolore!...ああ 苦悩の思いだ!… Taci amore...黙りなさい 愛よ… Io ritorno a vacillar.私は よろめきに 戻る【≒ 私は 再び 心が揺れ動いている】 |
||
4/4 B-flat major |
Ascolto i gemiti私は 呻き声を 聞いている del genitore,父親の、 tutti gli spasimiすべての 【↓】愛の 激痛を provo d'amore;私は 感じている; risolvo e dubito,私は 決心する そして 私は 疑う【≒ 自信がない】、 avvampo e gelo;私は 火が点く そして 私は 凍る; nemici ho gli uomini,私は 敵対する人間たちを 持っている、 nemico il cielo;敵対する 天を【≒ 私は 人間にも 天にも 敵意を 抱いている】; pietoso e barbaro慈悲深く そして 残酷に amor mi fa.させる 愛は 私を。 CORO合唱 Ascolta gli uomini,人々【の言うこと】を 聞きなさい、 ascolta il cielo:天【の言うこと】を 聞きなさい: del padre esigonoそれら【= 人々 と 天】は 要求している 父親の la libertà.自由を。 Pietoso e barbaro慈悲深く そして 残酷に amor mi fa.させる 愛は 私を。 ADELBERTOアデルベルト Pietoso e barbaro慈悲深く そして 残酷に amor mi fa.させる 愛は 私を。 (Adelberto parte agitato; il Coro lo segue)(アデルベルトは 退場する 取り乱して; 合唱は 彼の 後を追う) CORO合唱 Sì la libertà.そうだ 自由だ。 |
||
[Recitativo] Dopo l'Aria Adelberto |
4/4 (C major) |
SCENA OTTAVA第8場 Eurice e Iroldo.エウリーチェ と イロルド。 EURICEエウリーチェ Vieni: alla mia nemica来なさい: 私の敵の女に io stessa parlerò.私自身が 話そう。 Fugga, e lo sposo彼女は 逃走するように、そして 夫を salvi così da morte.そうすることで 死から 彼女が 救うように。 Della cittade io le aprirò le porte.私は 町の扉を 彼女に 開けよう。 IROLDOイロルド Ti ricompensi il Cielo天が 君に 報いるように dell'opra generosa.寛容な行為において。 Oh! qual ne avraiああ! 何と 君は 持つだろうか per tutta Italia onore!全イタリアに渡って 名誉を! EURICEエウリーチェ Taci: non farmi黙りなさい: 私に pentir del mio disegno. Il trono io perdo私の計画を 悔い 【↑】させるでない。私は 玉座を 失う con Adelaide che a salvare imprendo:アデライデと共に その者を 救うことに 私は 着手している: ecco l'onore che dall'opra attendo.ほら ここに 名誉が それを 私は 行為から 期待している。 (partono)(【二人とも】 退場する) SCENA NONA第9場 Veduta del Lago di Garda come nell'Atto Primo.ガルダ湖の形式 第1幕と同様に。 Ottone, Ernesto, guerrieri alemanni.オットーネ、エルネスト、ドイツの戦士たち。 ERNESTOエルネスト Signor... come imponesti,貴君よ… 君が 命じたとおりに、 il gran cambio proposi ad Adelberto.私は 大きな交換を アデルベルトに 提案した。 D'acconsentir incerto同意することに ためらう molto in pria si mostrò, poscia s'arrese.態度を見せた 初めのうち 大いに 、それから 彼は 譲歩した。 E di poter richieseそして 彼は 強く要請した teco parlar, purché non trovi inciampo君と 話をすることが 【↑】できるように と、もし 君が 障害を 見出さないならば al suo venir e al suo partir del campo.彼の行くことに そして 彼の 去ることに 陣地に 【≒ 彼が 陣地から 出入りすることを 君が 妨げないのであれば】。 OTTONEオットーネ Sicuro ei venga.彼は 安全に 来るがいい。 (Ernesto parte)(エルネストは 退場する) OTTONEオットーネ Il prigionier si guidi捕虜が 導かれれるように al mio cospetto.私の面前に。 (alle guardie)(衛兵たちに) O mia vittoria vana,ああ 私の 役に立たない勝利だ【≒ 私の勝利は 何の役にも立たないことになる】、 se Adelaide ho perduta, e se col padreもし 私が アデライデを 失ったら、そして もし 父親【= ベレンガーリオ】と di cambiarla ricusa il figlio indegno!彼女を 交換することを 恥ずべき息子が 拒否するならば! SCENA DECIMA第10場 Berengario, Ottone, poi Ernesto.ベレンガーリオ、オットーネ、それから エルネスト。 BERENGARIOベレンガーリオ (Io prigioniero! oh mia vergona! oh sdegno!)(私が 捕虜だなんて! ああ 私の恥だ! ああ 怒りだ!) OTTONEオットーネ Mirami in volto, o Berengario, e vedi私の顔を 見詰めなさい、ああ ベレンガーリオよ、そして 見なさい il tuo giudice in me. Perfido! dimmi:君の判事を 私に。不実な男め! 私に 言いなさい: che ti giovò il tradirmi? Ogni dritto私を 裏切ることが 君にとって 何に 役に立ったのか? あらゆる権利を ti tolse il tuo delitto,君の罪は 君から 取り去った、 e perdesti per sempre e trono e serto.そして 君は 失った 永久に そして 玉座を そして 王冠を。 Non li sperar giammai.それらを もう決して 望むでない。 ERNESTOエルネスト Giunge Adelberto.アデルベルトが 到着する。 SCENA UNDICESIMA第11場 Adelberto, e detti.アデルベルト、そして 前の場の人たち。 BERENGARIOベレンガーリオ Adelberto! mio figlio!アデルベルトよ! 私の息子よ! ADELBERTOアデルベルト Oh padre mio!ああ 私の父よ! Qual ti lasciai! qual ti riveggo!... Il primo何と 私は 君を 残したことか! 何と 私は 君に 再会していることか!… 最初は all'affetto figlial pensier si doni,子の情愛を 思うことに 没頭しなさい、 (a Ottone)(オットーネに) del cambio che ascoltai poi si ragioni.それから 私が 交換について 聞いたことを 論じよう。 BERENGARIOベレンガーリオ Cambio, dicesti?交換 と、君は 言ったのか? ADELBERTOアデルベルト La tua vita, o padre君の命は、ああ 父よ sol da quello dipende; onde salvarti,それだけによって 決まる; 君を 救出する ために rendo Adelaide. Ottone, intesi:私は アデライデを 返す。オットーネよ、私は 分かった: accetto l'offerta che mi festi.私は 君が 私に 為した 申し出を 受け入れる。 BERENGARIOベレンガーリオ Io la rigetto.私が それを 撥ね付ける。 OTTONEオットーネ Come?何だと? ADELBERTOアデルベルト Perché?どうして? BERENGARIOベレンガーリオ Fia ver? A questo segno本当なのだろうか? この程度に【≒ それほどまでに】 vile sei tu? Ceder colei? Sì tosto君は 卑劣なのか? あの女を 引き渡す? それほど すぐに scordar potesti qual sudor versai君は 忘れることができるのか どのような汗を 私が 流したのか per salvar la mia preda; ed involarla私の戦利品を 保護するために; そして それ【= 戦利品 女性名詞】を 持ち去ることを a me pretendi? O figlio mio, non pensi私に 君は 強要しているのか? ああ 私の息子よ、君は 考えないのか quanto entrambi perdiam? Più della vitaどれだけ 【私たち】二人が 失うのか? 命より もっと多くのものを toglier mi vuoi, se di regnar mi togli.君は 私から 奪うことを 望んでいる、もし 君が 私から 君臨することを 奪うならば。 Odimi, Ottone: se Adelaide io dono,私【の言うこと】を 聞きなさい: もし 私が アデライデを 提供するならば、 voglio in mercede dell'Insubria il trono.私は 報酬に インスブリアの玉座を 望む。 ADELBERTOアデルベルト (Che dirà?)(彼は 何を 言うのだろうか?) OTTONEオットーネ (Che risolvo?)(私は 何を 決心するのか?) BERENGARIOベレンガーリオ A questo prezzoこの代償に Adelaide ti rendo.私は 君に アデライデを 返す。 Io morrò se ricusi.私は 死のう もし 君が 拒否するならば。 OTTONEオットーネ (Ah! che Adelaide(ああ! なんと アデライデは val più d'un regno!) Ebben, l'Insubria è tua,王国よりも さらに大きく 価値がある 【↑】ことか! Acconsento al gran patto. A me la destra私は 大きな協定に 同意する。私に 右手を porgi, e pegno di fede oggi sia questa.差し出しなさい、そして これが 今日 信頼の証で あるように。 Vieni all'accordo: io già soscrivo...合意に 来なさい: 私は 既に 署名している… SCENA DODICESIMA第12場 Adelaide accompagnata da Iroldo, e detti.アデライデ イロルドによって同行されて、そして 前の場の人たち。 ADELAIDEアデライデ Arresta.止めなさい。 Ottone, Berengario ed Adelberto rimangono attoniti. Breve pausa.オットーネ、ベレンガーリオと アデルベルトは 唖然としたままでいる。短い休止。 |
voglio in mercede dell'Insubria il trono. インスブリアは、大雑把に言って現在のロンバルディア州に相当する地域。 |
N. 13 Quartetto [Adelaide-Ottone-Adelberto-Berengario] Adelaide Ottone Adelberto Berengario |
Andante 4/4 E-flat major |
OTTONEオットーネ Adelaide! アデライデが! ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ (Adelaide!(アデライデが! ADELAIDEアデライデ Mi ravvisa. Al sen ti riedo;私を 見分けなさい。私は 君の胸に 戻っている; OTTONEオットーネ oh Ciel, che vedo!ああ 天よ、私は 何を 見ているのか! Chi spezzò le tue catene?誰が 君の鎖を 粉々にした【≒ 千切った】のか? ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ (oh Ciel, che vedo!(ああ 天よ、私は 何を 見ているのだ!) ADELAIDEアデライデ sciolse amor le mie catene.愛の神が 私の鎖を 解いた。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ Chi spezzò le sue catene?誰が 彼女の鎖を 粉々にした【≒ 千切った】のか? ADELAIDEアデライデ Pur t'abbraccio, amato bene!ずっと 私は 君を 抱き締める、愛する 最愛の人よ! pur comincio a respirar!私も 息をつき始めている。 OTTONEオットーネ Pur t'abbraccio, amato bene!ずっと 私は 君を 抱き締める、愛する 最愛の人よ! incomincio a respirar.私は 息をつき始めている。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ Perché morte a me non viene?なぜ 死が 私に 来ないのか? Ho finito di sperar.)私は 期待することを やめた。) |
|
Allegro 4/4 E-flat major |
OTTONEオットーネ (ad Adelberto)(アデルベルトに) Alle chiuse mura去りなさい。閉じた城塞に affretta il tuo ritorno;君の帰路を 急ぎなさい; Prima che manchi il giorno日が欠ける【≒ 日没】よりも前に mi rivedrai colà.向こうで 君は 私に 再会するだろう。 ADELBERTOアデルベルト Parto; ma pria mi serba私は 去る; だが まず 守りなさい 私に la data fé tu stesso.君自身が 与えた信用【≒ 約束】を。 Sia di tornar concesso帰ることを 許可されるように al padre in libertà.私の父に 自由になって。 ADELAIDEアデライデ (a Berengario)(ベレンガーリオに) Sì, l'otterrai; promessaそうだ、君は それ【= 自由】を 得るだろう; 約束 l'ebbe la tua consorteした そのことを 君の配偶者【= エウリーチェ】が quando mi aprì le porte彼女が 私に 扉を開いた時 della fatal città.死に至る町の。 BERENGARIOベレンガーリオ Oh tradimento!... Io resto:ああ 裏切りだ!… 私は 留まる: la libertà disprezzo;私は 自由を 軽蔑する; vita non compro a prezzo私は 命を 買わない 代償を払って【まで】 d'infamia e di viltà.不名誉の そして 卑劣の。 Adelberto tira in disparte Berengario, Ottone, Adelaide, e tutti nel medesimo tempo dicono:アデルベルトは ベレンガーリオを 傍らに 引っ張る、オットーネ、アデライデ、そして 全員が 同じ時に 言う: OTTONEオットーネ Vuoi ch'ei parta? Ah! no, vendetta君【= アデライデ】は 望むのか 彼が 去ることを? ああ! だめだ、復讐を io giurai di far per te.することを 私は 君のために 誓った。 ADELBERTOアデルベルト Cedi, o padre, e la vendetta折れなさい、ああ 父よ、そして 復讐を vieni a compiere con me.成し遂げに 私と共に 来なさい。 ADELAIDEアデライデ A giurarlo io fui costretta私は 誓わざるをえなかった a chi libera mi fé.私を 自由に した 者に BERENGARIOベレンガーリオ Vanne, lasciami: ah! vanne;ここから 行きなさい、私を 放っておきなさい: ああ! ここから行きなさい; pago son se l'ho da te.私は 満足している もし 私が 君によって それ【= 復讐】を 手に入れるならば。 OTTONEオットーネ (a Berengario)(ベレンガーリオに) Fuggi, e a lasciar preparati急いで立ち去りなさい、そして 放棄する 準備をしなさい il mal premuto trono.悪く 押された【≒ 不正に 圧し掛かられた ≒ 簒奪された】玉座を。 ADELBERTOアデルベルト (al medesimo)(同じ男【= ベレンガーリオ】に) Alla tua gloria serbati.君を 君の栄光に 取っておきなさい。 Guida a' tuoi passi io sono.私は 君の歩みの 案内人だ。 |
||
4/4 E-flat major |
ADELAIDEアデライデ (come sopra)(上と同様に) Vanne, ed almen ricordatiここから行きなさい、そして せめて 覚えておきなさい quant'io t'accordo in dono.どれだけ 私が 贈り物に 君を 許可しているか【≒ 私が どれだけの 恩恵を 君に 授けたか】。 BERENGARIOベレンガーリオ Vado: vedrai qual uso私は 行く: 君は 見るだろう どれだけ 使用を del dono tuo farò.私が するであろうか 君の贈り物の【≒ 私が どれだけ 君の恩恵を 利用するか】。。 |
||
Vivace 4/4 E-flat major |
BERENGARIO E ADELBERTOベレンガーリオ と アデルベルト Non credere un giorno思うでない 一日で d'avermi avvilito.私が 失墜すると。 ADELAIDE E OTTONEアデライデ と オットーネ È giunto il gran giorno,重大な日が 来た、 il regno è finito.【ベレンガーリオの】王権は 終わった。 BERENGARIO E ADELBERTOベレンガーリオ と アデルベルト Al campo ritorno,陣地に 私は 戻る、 all'armi t'invito;戦闘に 私は 君を 招く; ADELAIDEアデライデ (Tremante ritorno,(私は 震えて 戻る【≒ また 震えている】、 il core ho smarrito.)私は 心を 見失っている【≒ 気持ちが 落ち着かない】。) OTTONEオットーネ Al campo ritorno,私は 陣地に 戻る、 accetto l'invito.私は 招きを 受け入れる。 ADELAIDEアデライデ Ti accresca il valore君の勇気を 増大させるように la forza d'amore.愛の力が。 Fuorché nel tuo brando君の剣の中のほかには speranza non ho.私は 希望を 持っていない。 OTTONEオットーネ Mi accresce il valore私の勇気を 増大させている la forza d'amore,愛の力が、 che solo del brandoただ それ【= 愛の力】だけが 剣で la destra mi armò.私の右手を 武装させた。 BERENGARIO E ADELBERTOベレンガーリオ と アデルベルト rinasce nel core心の中で 再び生まれている l'antico valore,かつての勇気が、 e l'uso del brandoそして 剣の使い方を perduto non ho.私は 失わなかった【≒ 私は 剣の使い方を 忘れてはいない】。 BERENGARIO E ADELBERTOベレンガーリオ と アデルベルト all'armi! al campo!武器を持て! 戦場に! e l'uso del brandoそして 剣の使い方を perduto non ho.私は 失わなかった【≒ 私は 剣の使い方を 忘れてはいない】。 OTTONEオットーネ all'armi! al campo!武器を持て! 戦場に! la forza d'amore,愛の力が、 la destra mi armò.私の右手を 武装させた。 ADELAIDEアデライデ Fuorché nel tuo brando君の剣の中のほかには speranza non ho.私は 希望を 持っていない。 Partono Adelaide e Ottone verso la tenda; Berengario e Adelberto fuori del campo.アデライデと オットーネは 天幕の方へ 退場する; ベレンガーリオと アデルベルトは 陣地の外に。 |
||
[Recitativo] Dopo il Quartetto | 4/4 (C major) |
SCENA TREDICESIMA第13場 Magnifica tenda.立派な天幕。 Ernesto, guardie.エルネスト、衛兵たち。 ERNESTOエルネスト Compagni, a voi fidata仲間たちよ、君たちに 委託される【≒ 委ねられる】 sia la sposa d'Ottone.ように オットーネの花嫁が。 Allor che accesa火が点けられる 【↓】だろうや否や la battaglia sarà,戦いが【≒ 決戦の 火蓋が 切られたら すぐに】、 di questa tendaこの天幕の all'ingresso vegliate,入口を 見守りなさい、 difendetela voi. Fatta sicura君たちが 彼女を 見守りなさい。安全に して Adelaide, riposi e non paventiアデライデを、彼女が 休息するように そして 恐れないように alcun nemico che assalirla tenti.誰も 敵を その者は 彼女を 襲い掛かろうと 試みる。 SCENA QUATTORDICESIMA第14場 Ottone, e detti.オットーネ、そして 前の場の人たち。 OTTONEオットーネ Ogni guerriero, Ernesto,どの戦士も、エルネストよ、 all'armi si prepari. Alto s'ascolta戦闘の 準備をするように。大きく 聞こえる dalle nemiche mura敵の城塞から sollevarsi fragor. Fra pochi istanti大音響が 立ち上がるのが。僅かな瞬間の間に【≒ 間もなく】 all'ultimo cimento最後の試練に Berengario e Adelbertoベレンガーリオ と アデルベルトは di Canosso usciranno.カノッソの【最後の試練に】 出かけるだろう。 ERNESTOエルネスト Ah! Giunge Adelaide a te.ああ! アデライデが 君のところに 到達する。 (parte)(退場する) SCENA QUINDICESIMA第15場 Adelaide, e detti.アデライデ、そして 前の場の人たち。 ADELAIDEアデライデ Come son brevi,何て 短いことか、 o principe diletto,ああ いとしい王子よ、 gl'istanti di piacere! A' miei timori喜びの瞬間は! 私の不安に per te ritorno, e nella nuova pugna,君に対する 私は 戻っている、そして 新たな戦いの中で、【≒ 私は また 君を 心配している】 benché mi rassicuri il tuo valore,君の勇気が 私を 安心させる にもかかわらず、 mille perigli, oh Dio! vede il mio core.千の危険を、ああ 神よ! 私の心は 見ている。 OTTONEオットーネ Cessa dal palpitar. Questo, o mia vita,震えるのを 止めなさい。これが、ああ 私の命よ、 è l'estremo periglio. Il Ciel arride最後の危険だ。天は 微笑んでいる propizio al mio coraggio e a' dritti tuoi;情け深く 私の勇気に そして 君の権利に; scaccia il timor: combatterà per noi.不安を 振り払いなさい: それ【= 天】は 私たちのために 戦うだろう。 SCENA SEDICESIMA第16場 Ernesto, Coro di guerrieri e detti.エルネスト、戦士たちの合唱 と 前の場の人たち。 ERNESTOエルネスト Signor, già di Canosso貴君よ、既に カノッソから Berengario e Adelbertoベレンガーリオと アデルベルトが coll'esercito uscir; già le feroci軍隊と共に 出た; 既に 凶暴な grida appressarsi a noi sentii dal campo;叫び声が 私たちに 近付くのを 私は 陣地から 聞いた; mirai dell'armi in faccia al sole il lampo.私は 見詰めた 武器の閃光を 太陽の前で【≒ 武器が 陽の光に 光り輝くのを 見た】 OTTONEオットーネ (ad Adelaide)(アデライデに) Vadasi. Addio.【私は】行こう。さようなら。 ADELAIDEアデライデ Fermati... Senti... Ah! prence...止まりなさい… 聞きなさい… ああ! 君主よ… ah! lasciarti non posso...ああ! 私は 君と 別れることは できない… OTTONEオットーネ Il pianto affrena.涙を 抑えなさい。 Alla vittoria io volo. Un solo addio私は 勝利へと 飛ぶ。ただ さようなら だけを porgimi e nascondendo il tuo dolore,私に 差し出しなさい そして 君の悲しみを 隠して、 riconforta, o mia vita, il mio valore.強く励ましなさい、ああ 私の命よ、私の勇気を。 |
|
N. 14 Scena ed Aria Adelaide Adelaide |
Recitativo 4/4 (C major) |
ADELAIDEアデライデ Ah! vanne... Addio... Vieni al mio seno, o caro,ああ! ここから 行きなさい… さようなら… 私の胸に 来なさい、ああ いとしい男よ、 un'altra volta ancor. Col pianto mioもう一度 また再び。私の涙で indebolire, oh Dio!弱めることを、ああ 神よ! non voglio il tuo coraggio; io lo nascondo,君の勇気を 私は 望まない; 私は それ【= 涙 男性名詞】を 隠す、 e fra i perigli di sì lieto istanteそして これほどに 嬉しい瞬間の 危険の中で intrepido ti rende il core amante.愛する心が 君を 恐れ知らずに する。 (si scioglie un velo, e ne cinge Ottone)(自分から ヴェールを 解いて、そして オットーネを それで 巻き付ける) |
レチタティーヴォを前に置いた急/緩/急の三部形式のアリア。 レチタティーヴォ。 (si scioglie un velo, e ne cinge Ottone) ne = di quello = del velo。 |
Allegro 4/4 A major |
Cingi la benda candida純白の帯を 巻き付けなさい che amor ti dona, o caro:それを 愛が 君に 贈る、ああ いとしい男よ: quel velo e quell'acciaroそのヴェールが そして その鋼【≒ 剣】が faranno i rei tremar.王たち【= ベレンガーリオと アデルベルト】を 震わせるだろう。 Va' pur, mio bene, a vincereさあ 行きなさい、私の最愛の人よ、勝利を収めに sotto sì bella insegna,これほどに美しい旗標の下で、 svena quell'alma indegnaあの恥ずべき魂を 出血させなさい che vuol con te pugnar.その者は 君と 戦うことを 望んでいる。 OTTONEオットーネ Bacio d'amor l'insegna;私は 愛の旗標に 口づけする; saprò per lei pugnar.私は それ【≒ 旗標 女性名詞】のために 戦うことができるだろう。 (parte col coro)(退場する 合唱と共に) |
急。 | |
Andante 2/4 C major |
ADELAIDEアデライデ Se grate son le lagrimeもし 涙が ありがたく思うのならば al ciel in tal periglio,天を このような危険の中で、 vieni, mio cor, sul ciglio,来なさい、私の心よ、眼の上に deh corri a lagrimar.ああ 涙を流しに 駆け付けなさい |
緩。 |
|
Allegro 4/4 A major |
CORO合唱 (rientrando)(戻りながら) Alla gioia il cor prepara:歓喜へと 心を 準備しなさい: il nemico è vinto già.敵は もう 打ち負かされている。 |
経過区。 |
|
(Allegro) 4/4 A major |
ADELAIDEアデライデ Temer un danno打撃を 恐れる per un momento;一瞬【だけ】; pianger d'affanno,悲しみに 泣く、 poi di contento,それから 満足【≒ 喜び】に 【泣く】、 quest'è il maggioreこれが 最高の piacer d'amore,愛の喜び 【↑】だ、 che possa un'animaそれを 魂は giammai provar.決して 感じる 【↑】ことができない。 CORO合唱 A tanto amore,それほどたくさんの愛に、 a quel valore,その勇気に、 giammai vittoria勝利は 決して potea mancar.欠けることは できな 【↑】かった。 |
急。 |
|
N. 15 Core, Scena ed Aria Ottone Ottone Adelaide Adelberto Berengario Coro |
Maestoso 4/4 C major |
SCENA DICIASETTESIMA第17場 Esterno della fortezza di Canosso.カノッソの城塞の外側。 Le porte sono aperte; la scena è occupata dall'esercito vincitore, e da' prigionieri. Esce il popolo dalla fortezza, portando corone di fiori e d'alloro. Ottone comparirà sopra un carro trionfale, seguito da Adelberto e da Berengario incatenati.扉々は空いている; 舞台は 勝利を収めた軍隊で 占められている、そして 捕虜たちで【占められている】。人々が 要塞から 出る、花冠を 持って来て そして ゲッケイジュの【≒ 冠を 持って来て】。オットーネは 現れるだろう 凱旋車の上に、アデルベルトによって ついて来られ そして ベレンガーリオによって 鎖につながれて【≒ 鎖につながれた アデルベルトと ベレンガーリオが オットーネの後に 続く】。 CORO合唱 Serti intrecciar le vergini乙女たちは 花冠を 編む de' più pregiati fiori,最も 高貴な 花々で、 ordir corone i giovani若者たちは 冠を 織る di sempre verdi allori常に 緑の ゲッケイジュで quando a battaglia, intrepido,決戦に、勇敢に、 si mosse Otton così.オットーネが このように 身を動かした 【↑】時は。 PARTE DEL CORO合唱の一部 Più belli in fronte ridanoより美しく 笑う【≒ 輝く】ように al vincitor i fiori,花々が 勝者の 【↑】額で、 più belli al crin verdegginoより美しく 青々とするように del grand'Otton gli allori,偉大なオットーネの 【↑】頭髪で ゲッケイジュは、 TUTTO IL COROすべての合唱 che vinse Berengarioその者は ベレンガーリオに 勝った due volte in un sol dì.二度【も】 たった一日で。 SCENA DICIOTTESIMA第18場 Adelaide seguita da Iroldo. Ottone scende dal carro e va ad incontrarla. Berengario, e Adelberto, in aspetto sdegnoso, rimangono in disparte.アデライデ イロルドによってついて来られ。オットーネは 馬車から降りて そして 彼女に会いに行く。ベレンガーリオは、そして アデルベルトは、憤慨した様子で、離れたところに 留まっている。 |
合唱とレチタティーヴォを前に持つ 緩(カンタービレ)/急(カバレッタ)の部形式のアリア。 合唱。 |
Recitativo 4/4 (C major) |
OTTONEオットーネ Questi, che a me presentaこれらの、それらを 私に 差し出している del popolo l'amor, serti onorati人々の愛が、光栄ある花冠は sono al mio cor più grati私の心には より ありがたく思う della corona che mi splende in fronte,王冠よりも それは 私の額で 輝いている、 poiché gloria gl'intreccia, amor li dona;栄光が それら【= 花冠】を 編んでいるから、愛が それらを 贈っている【から】; ma della mia coronaだが 私の王冠よりも e degli allori mieiそして 私のゲッケイジュ【≒ 月桂冠】よりも più cara, o principessa, a me tu sei.もっと いとしい、ああ 王妃よ、私には 君が。 |
レチタティーヴォ。 |
|
Maestoso 4/4 C major |
Vieni: tuo sposo e amante,来なさい: 君の花婿が そして恋人が a questo cor ti stringo.私が この心に 君を 抱き締める。 Fra canti di vittoria勝利の歌の中で del serto mio ti cingo.私の花冠を 君の 身に着けよう (l'incorona)(彼女に 冠を被せる) Rammenti fama e gloria名声と 栄光が 思い出させるように che trionfai per te.私が 君のために 勝利を収めたことを。 Ma rammenti il tuo bel coreしかし 君の美しい心が 覚えているように che giurommi amore, e fé.それ【= 君の美しい心】が 私に 愛を 誓ったことを、そして 忠誠【≒ 真心】を。 ADELAIDEアデライデ Ah! tu sai di quanto ardoreああ! 君は 知っている どのくらいの熱情で piena l'alma amor mi fé.愛の神が 私の魂を いっぱいに させたか。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ (Dove ascondo il mio rossore?(私は どこに 私の赤面を 隠すのか? Un pugnal chi porge a me?)誰が 短剣を 私に 提供するのか? CORO合唱 Ti sorrida e gloria e amore,そして 栄光が そして 愛が 君に 微笑むように、 nostro prence e nostro re.私たちの君主よ そして 私たちの王よ。 |
緩。 che giurommi amore, e fé. giurommi = giurò + mi。 |
|
Allegro 4/4 E-flat major |
OTTONEオットーネ Al trono tuo primieroかつての 君の玉座に regina ancor ti rendo;王妃よ 私は 君を また再び 返す; al soglio dell'impero王国の玉座で meco a regnar t'attendo;私と共に 君臨することを 私は 君に 期待する; a te dovrò mia gloria.私は 私の栄光を 君に 負っている【≒ 私の栄光は 君のおかげだ】。 ADELAIDEアデライデ Fra dolci vincoli愛情の篭った 固い絆の間に ci stringa Amor.愛の神が 私たちを 縛る【≒ 結び付ける】ように。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ (Numi, qual fulmine(神々よ、何という雷が ci piomba al cor!)私たちの心に 急に落ちていることか!) |
テンポ・ディ・メッゾ(中間部) |
|
(Allegro) 4/4 C major |
D'Imene il talamoイメーネ【= ヒュメン,ヒュメナイオス,結婚の神】の 新婚の床を Amor ci addita;愛の神が 私たちに 指し示している; gioia gradita嬉しい歓喜が mi ferve in cor.私の心に 燃え上っている。 E fra i più teneriそして 最も甘い soavi affetti快い情愛を dolci diletti愛情の篭った喜びを prepara Amor.愛の神が 用意している。 CORO合唱 Del ciel benefico慈善心に富む天の splende il favor.恩恵が 輝いている。 ADELAIDEアデライデ Fra dolci vincoli愛情の篭った 固い絆の間に ci stringa Amor.愛の神が 私たちを 縛る【≒ 結び付ける】ように。 ADELBERTO E BERENGARIOアデルベルト と ベレンガーリオ (Numi, qual fulmine(神々よ、何という雷が ci piomba al cor!)私たちの心に 急に落ちていることか!) |
参考資料
ADELAIDE DI BORGOGNA / Programma di Sala / Rossini Opera Festival, Pesaro, Italy, 2011
ADELAIDE DI BORGOGNA / Piano vocal score / Ricordi / about 1850
Dizionario Rossiniano / Eduardo Rescigno / Biblioteca Universale Rizzoli / 2002 / ISBN 88-17-12894-5 /
NAXOS CD 8.660401-02 |
OttoneMargarita Gritskovamezzosoprano AdelaideEkaterina Sadovnikovasoprano BerengarioBaurzhan Anderzhanovbasso-baritono AdalbertoGheorghe Vladtenore EuriceMiriam Zubietasoprano Iroldo渡辺康 Yasushi Watanabetenore ErnestoCornelius Lewenbergbaritono Camerata Bach Choir, Poznań Ania Michalakark Hindely, Chorus-master Virtuosi Brunensis Luciano Acocella 19, 23 & 25th July 2014 Trinkhalle, Bad Wildbad, Germany |
Arthaus Musik Blu-Ray Disc 108060 |
OttoneDaniela Barcellonamezzosoprano AdelaideJessica Prattsoprano BerengarioNicola Ulivieribasso AdalbertoBogdan Mihaitenore EuriceJeannette Fischermezzosoprano IroldoFrancesca Pierpaolimezzosoprano ErnestoClemente Antonio Daliottitenore Coro del Teatro Comunale di Bologna Lorenzo Fratini, Maestro del Coro Orchestra del Teatro Comunale di Bologna Dmitri Jurowski, Direttore Pier'Alli, Regia, Scene, Costumi, Progetto Video e Luci 2011 Teatro Rossini, Pesaro, Italy |
2011年のロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでの上演の収録。上演は2011年8月10,13,16,19,23日に催された。
オットーネのダニエラ・バルチェッローナが圧倒的に素晴らしく、また勢いのあるアデライデのジェシカ・プラット、ベテランらしい巧さのベレンガーリオのニコラ・ウリヴィエーリも見事。アデルベルトのルーマニアの若いテノール、ボグダン・ミハイはまだ若く少々荒っぽいが、それでも十分上々。充実した音楽になっている。ドミトリ・ユロフスキの指揮は悪くないがやや緩め。
ピエラーリの演出は、背景に意味ありげなCGを用いる一方で、衣装はいたって伝統的で、両者があまり噛み合っていないように思われるが、しかしこの珍しい作品を楽しむのに支障があるほどではない。
Opera Rara CD ORC 32 |
OttoneJennifer Larmoremezzosoprano AdelaideMajella Cullaghsoprano BerengarioMirco Palazzibasso AdalbertoBruce Fordtenore EuriceRebecca Bottonemezzosoprano IroldoMark Wildetenore ErnestoAshley Catlingtenore Scottish Chamber Orchestra Chorus Mark Hindely, Chorus master Scottish Chamber Orchestra Giuliano Carella, conductor. 19 August 2005 Usher Hall, Edinburgh, Scottland, UK |
FONIT CETRA CD CDC 64 |
OttoneMartine Dupuymezzosoprano AdelaideMariella Deviasoprano BerengarioArmando Caforiobasso AdalbertoAldo Bertolotenore EuriceElisabetta Tanduramezzosoprano IroldoMichele Farruggiateore ErnestoGiuseppe Fallisitenore New Cambridge Chorus Timothy Lole, Maestro del coro Orchestra del Festival Martina Franca Alberto Zedda, Direttore 4 August 1984 Il cortile del Palazzo Ducale di Martina Franca, Italy |
マルティーナ・フランカのイトリアの谷音楽祭での舞台蘇演のライヴ録音。
この録音は、まずイタリアでLPで発売され(FONIT CETRA LMAD 3026)、その後イタリアでCDになるよりも前に、日本のANFコーポレイションが日本で国内盤CDを製作しており(ANF 161)、これは日伊語対訳が付いていた。