STANISŁAW MONIUSZKO
STRASZNY DWÓRY
初演 1865年9月28日 ワルシャワ大劇場
First performance 28 September 1865 Teatr Wielki w Warszawie
台本
Libretto
原作
Original
作曲
初演
あらすじ訳付き音楽設計図
登場人物
Intrada |
Andante 3/4 B-flat Major |
No. 1 にアタッカで続く | |
AKT Ⅰ | |||
Nr. 1 Coro |
Allegro - poco meno - a tempo 3/4 G Major |
第1場 野営地そばの居酒屋。夕暮れ時。 戦争が終わり、軽騎兵たちが居酒屋で陽気に酒を飲んでいる。 農村出身の兵士は故郷に帰って剣を農具に打ち直せ、という冗談に、ズビグニェフは、日々の生活のために農具が、祖国をまもるためには剣が、どちらも必要だ、と反論する。 |
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Allegro moderato 4/4 C Major |
ズビグニェフの弟ステファンは、いざ出征というときに引き留められないように、兄弟で独身を貫く、と宣言する。 |
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un poco più mosso 4/4 C Major |
兄ズビグニェフはそれに賛同し、兵士たちは皆で独身万歳と声を上げる。 |
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Allegro moderato - Meno mosso - Tempo Ⅰ - Allegro moderato - Meno mosso - Tempo Ⅰ 2/4 E-flat Major |
ズビグニェフは酒を持ってこさせ、皆で、妻は要らない、一生独身でいよう、と盛り上がる。 |
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Moderato 4/4 - 2/4 - 4/4 E-flat Major - G Major |
夜明けが近づき、兄弟の忠実な従者マチェイが馬車の用意ができたことを伝える。兄弟は仲間と別れの挨拶を交わし、故郷へと向かう。 |
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Nr. 2 |
Allegro 4/4 C Major |
第2場 ズビグニェフとステファンの屋敷。 マルタはじめ人々が兄弟の帰郷を迎える準備をしている一方で、村娘たちは兄弟帰還の噂話。グジェシが馬車が近づいていることを報せ、人々は兄弟を出迎える。 |
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Nr. 3 Terzetto |
Lento 4/4 C Major |
第3場 ズビグニェフとステファンが到着、従者マチェイが続く。マルタは兄弟とマチェイをパンと塩で歓迎する。 |
パンと塩 ポーランドやロシアなどではパンと塩を差し出して歓迎する風習がある。 |
Andantino 3/4 g minor - D Major - B-flat Major |
兄弟は久しぶりに先祖代々の家に帰ってきたことに感激し、それにマチェイが加わる。兄弟は亡き母と父を思い出し、そしてマチェイとともに神に感謝する。 |
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Allegro molto 4/4 B-flat Major |
人々が去ると、兄弟は、ここで畑を耕し、住民たちと交流し、そしてマチェイに世話をしてもらって、楽しく暮らそうと喜ぶ。そして再び、独身万歳、妻は要らない、と気勢を上げる。 マチェイが窓から馬車に気付く。 |
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Più lento - Tempo Ⅰ 4/4 B-flat Major |
グジェシが、兄弟の叔母で伯爵未亡人であるチェシニコーヴァがやって来たと報せる。マチェイは下がる。 | チェシニコーヴァ 人名ではなく、チェシニクという、国王に食事を提供する責任者、あるいは王家の酒蔵の番人といった役職を指す言葉の女性形(この場合はその男性の夫人の意)。とりあえず貴族の未亡人と理解すれば十分。 |
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Nr. 4 Terzetto |
Allegro 4/4 D major |
チェシニコーヴァが兄弟の帰還を歓迎する。そして、この村では若い男が少ないので、兄弟のような独身男性は娘たちから歓迎される、と言い出す。 |
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Allegretto 2/4 - 6/8 - 2/4 - 6/8 - 2/4 G major |
チェシニコーヴァは再度、川のこちら側では男女比が1対7で若い男が極端に少ないので取り合いになってしまう、けれど兄弟たちにはこの叔母がいるので大丈夫、とまくし立てる。兄弟は当惑する。 実はチェシニコーヴァは、財務官の二人の娘との縁談話を持って来たのだった。アガタをステファンに、ブリギッドをズビグニェフにあてがうつもりで、縁談を断らないでほしいとまで言い出す。 |
この部分は事実上チェシニコーヴァのアリア | |
Allegro 4/4 G Major |
ズビグニェフは叔母の申し出に感謝を述べつつ、ステファンともども独身でいるつもりだと告げる。 |
レチタティーヴォ | |
(Allegro) 4/4 D Major |
チェシニコーヴァは仰天、兄弟が独身でい続けると言っているにもかかわらず、彼らの気を変えるつもりでいる。 |
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(Allegro) 4/4 D Major - C Major |
そしてズビグニェフが、大晦日にカリノヴァに住むミェチニクの屋敷に行くと言い出すとと、チェシニコーヴァそれにひどく反対し、あの屋敷は不吉なのでやめた方がいいと言い出す。 |
レチタティーヴォ ミェチニク これも人名ではなく役職名。後述。 |
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N. 5 Finale |
Allegro agitato 4/4 D Major |
グジェシが人々が集まったと告げるので、チェシニコーヴァは皆を中に入れ、ミェチニクの屋敷には幽霊が出るので兄弟が行ったら死んでしまうと騒ぎ立てる。一同は不気味な話に恐怖を感じる。兄弟は叔母をなだめようとする。 |
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Più lento 4/4 b minor |
チェシニコーヴァは、その屋敷は呪われた幽霊屋敷だ、 |
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(Più lento) 4/4 B Major |
悔恨する魂が夜な夜な現れ、虚しく償いを捜し求めている、そんなところに行ったら命を危険に晒す、と人々を煽る。だが兄弟は気にしない。
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Allegro 2/2 D Major |
ステファンは、叔母の話は大げさだ、と笑い飛ばし、 |
レチタティーヴォ | |
Allegro con brio 2/2 D Major |
恐れることはない、神が守ってくれる、と幽霊屋敷の話を一蹴し、ズビグニェフとマチェイも同調する。一同も兄弟に同意する中、チェシニコーヴァはミェチニクの屋敷に先回りせねばと考える。 |
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AKT Ⅱ | |||
Nr. 6 Chór kobiet |
Allegretto 3/8 G Major |
第1場 ミェチニクの屋敷。 若い娘たちが機織 はたおり をしており、その中にはミェチニクの二人の娘、ハンナとヤドヴィガもいる。 |
ミェチニク 人名ではなくポーランドの役職名で、直訳すると 剣持ち だが、実態は武器庫の責任者。 |
Allegro 2/4 G Major |
ヤドヴィガは、明日は元日、客人が来ると言うので、娘たちは浮かれる。それを老女が注意する。 |
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Allegretto 3/8 G Major |
娘たちは再び機織に戻るが、 |
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Allegro 2/4 G Major |
しかし仕事に飽きている娘たちは、占いをしようと言い出す。老女は仕事に身が入っていないと彼女たちをたしなめる。 |
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Allegretto 3/8 G Major |
娘たちは、多くの少女と少年が愛を誓うだろう、と新年の出会いを楽しみにする。 |
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Più mosso 2/4 G Major |
ハンナも楽しげに、占いをしようとと娘たちを誘う。 |
占い 桶の中の水に溶けた蝋を流し込み、浮き固まった板状の蝋から何が見えるか、という占い |
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Nr. 7 Dumka |
Andantino - Più mosso - Tempo Ⅰ - Più mosso 2/4 e minor - G Major |
ヤドヴィガは、恋人は現れるだろう、という占いのドゥムカを歌う。
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ドゥムカ Dumka ウクライナやポーランドなどの民謡の一種。哀歌。 |
Allegro - Poco più lento - ancora più lento - Allegro 4/4 G Major |
ヤドヴィガは未来を思い不安に心を震わす。 |
実質ホ長調 | |
Nr. 8 Duettino |
Tempo di Menuetto 3/4 A Major |
第2場 ミェチニクに仕える弁護士 ダマズィがフランス風の燕尾服姿で現れる。彼は、裕福な家の娘であるハンナに求愛しているのだが、ハンナは相手にせず、もし占いの蝋に燕尾服姿のダマズィが見えたなら運命を受け入れましょう、と言う。ダマズィはそうなるように祈る。 |
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4/4 A Major |
第3場 ミェチニクが現れ、明日の元日を前に占いをする娘たちを微笑ましく見つつ、しかしこれは普通真夜中にやるものだと付け加える。ヤドヴィガが戻ってきて、早くやりたいからだと返す。ミェチニクはダマズィと共に占いの成り行きを見守る。 |
レチタティーヴォ | |
Nr. 9 Kwartet i Chór kobiet |
Andantino 6/8 E Major |
ハンナとヤドヴィガそして娘たちは、好奇心いっぱいに、期待と不安が入り混じっている。ハンナが蝋を水の中に注ぐと、 |
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Moderato assai 4/4 E Major |
そこには兜と甲冑を身に纏った人物の姿が浮かび上がる。ダマズィはそれを燕尾服を着ていると主張するが、娘たちに否定される。
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Allegro 4/4 E Major |
ヤドヴィガと娘たちは、ハンナは騎士と結婚するのだわ、と囃し立てる。
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Più mosso 4/4 E Major |
ダマズィはテーブルから離れて占いに絶望し、
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Moderato 4/4 E Major |
ミェチニクが彼を慰める。
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Andantino 6/8 E Major |
今度はヤドヴィガへの占いが、前と同じように行われる。
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Moderato assai 4/4 E Major |
ここでもやはり甲冑を身に着けて槍をもった人物が浮かぶが、さらに家畜小屋、納屋、2匹の雄牛に引かれた農具などが見える。ダマズィはそこに自分の姿がないことを嘆く。
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Allegro 4/4 E Major |
ハンナと娘たちは、ヤドヴィガが裕福な貴族と結婚するのだろう、と囃し立て、そしていじけるダマズィを皆がからかう。
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Moderato 4/4 E Major |
ミェチニクは、占いが当ることは滅多にない、運命は神の手中にある、と言い、ダマズィにどんな男が娘の夫に相応しいか語り出す。ヤドヴィガやハンナたちもミェチニクを囲んで話を聞く。
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レチタティーヴォ | |
Nr. 10 Aria Miecznika |
Allegro moderato 3/4 C Major |
ミェチニクは、娘たちと結婚する男は、勇敢で正義をもち、徳を抱き、そして祖国を愛さねばならない、と長々と語る。
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Allegro - Moderato - Allegro 4/4 A Major - C Major |
第4場 チェシニコーヴァの訪問にミェチニクは驚く。チェシニコーヴァからズビグニェフとステファンの兄弟もこちらに向かっていると聞いて、ハンナ、ヤドヴィガ、ミェチニクは喜ぶが、ダマズィはライバルの出現に衝撃を受ける。チェシニコーヴァは、兄弟は独身を貫くと言い張っており、しかもこの屋敷が幽霊屋敷と言われていると聞いて怖気づいている、情けない男だ、と嘘をつく。ミェチニクは渋い顔をする。ハンナはヤドヴィガに、そんな弱虫な兄弟にはいたずらをしてやろう、とささやく。 |
レチタティーヴォ | |
Nr. 11 Finale |
Allegro 2/2 G Major |
第5場 狩人たちが大騒ぎしながら入って来る。暴れイノシシが銃でしとめられたのだが、ミェチニク家の召使スコウーバが自分がイノシシを撃ち当てたと主張しているのに対し、狩人たちは、同時にもう一発の銃声が聞こえ、それは馬車の中から撃たれたものだった、と言う。皆は真相を知りたいと思う。 |
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Moderato - Poco più mosso 4/4 E-flat Major |
第6場 そこにズビグニェフとステファンが現れる。ミェチニクは亡き親友の子である兄弟を歓迎し、娘たちと客人たちに紹介する。 |
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Andante 4/4 C Major |
ハンナとヤドヴィガは兄弟を見て、子どもの頃あんなに活発だった兄弟が臆病になってしまったのかしら、と不思議に思う。ズビグニェフとステファンは姉妹を見て頬が赤くなるのを感じる。一方チェシニコーヴァは、兄弟を財務官の娘たちと結婚させるために注意深く手を打とうと考える。ミェチニクは、青年となった兄弟を見て、かつての親友との絆を思い出して感慨に耽る。 その一方でスコウーバは、自分も銃を撃ったと主張するマチェイと言い争いになる。弁護士のダマズィは言い争いに巻き込まれ、やっとのことで抜け出す。スコウーバとマチェイがなおも言い争っていると、 |
コンチェルタート | |
Allegro 2/4 C Major |
ミェチニクが喧嘩を止めるよう命じ、皆で乾杯をするよう促す。銘々がそれぞれの思いを明かし、そして男女の組を作って別室へと向かう。 ハンナと組になれなかったダマズィは、スコウーバに何やら話しかける。 |
ストレッタ | |
AKT Ⅲ | |||
N. 12 Maciej, Skołuba, potem Stefan i Zbigniew |
Lento - Allegro - Più mosso - Tempo Ⅰ - Più mosso - Tempo Ⅰ 4/4 e minor |
第1場 大広間。大きな古時計と、老婦人が描かれた大きな肖像画が2枚ある。明るい月夜。 スコウーバがマチェイを連れて来て、広間に隣接する兄弟の泊まる二つの部屋を案内する。スコウーバが蝋燭を持って来なかったので大広間には月明かりが差すだけで、マチェイは怖がる。スコウーバはマチェイには時計の傍で寝るよう告げる。そして思わせぶりに、この屋敷は幽霊屋敷と呼ばれていると語り、立ち去ろうとする。マチェイは彼を引き止め、幽霊屋敷と呼ばれる理由を教えてくれと頼む。 |
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Allegro moderato 12/8 F-sharp Major |
スコウーバは、この広間の古時計はずっと前に壊れていて時報の鐘も鳴らないのだが、見知らぬ人が泊まると、夜明けと共に盛大に鐘が鳴り響く、また肖像画に描かれている老婦人はミェチニクの祖母で、見知らぬ人が泊まると、夜中に額を抜け出し、明け方には抜き身の短剣を持って言い争う姿がしばしば目撃されている、と物語り、立ち去る。 |
スコウーバのアリア | |
a tempo moderato - Lento - Allegro - Moderato - Lento 4/4 C Major |
第2場 一人残ったマチェイは、スコウーバの話は嘘だ、と自らに言い聞かせる。その時、肖像画から、彼らが来る、という声がする。実は絵の後ろに姉妹が隠れていたのだ。そうとは知らないマチェイは、まだ夜明けには早いぞ、といぶかしむが、肖像画の顔が動くように見えて、恐怖のあまり逃げ出そうとする。そこでやって来た兄弟と出くわす。 第3場 召使たちが蝋燭を持って来てようやく明るくなる。マチェイはスコウーバから聞いた話を兄弟に語る。だがズビグニェフはそれがスコウーバの話したことと知ると、お前はからかわれたのだ、兵士のお前が臆病になるなんて、と呆れる。マチェイは、けれど肖像画が喋ったと言い張るが、兄弟は信じず、寝ることにして、ズビグニェフがマチェイを部屋に連れて行く。 |
レチタティーヴォ | |
Nr. 13 Recitativo i Aria z Kurantem |
Andante - Moderato - Allegro - Più mosso - Lento 4/4 F Major |
一人残ったステファンは、窓辺で清らかな月夜を眺め、不思議な感覚に襲われて眠気も消え去ってしまい、この屋敷は、マチェイの言っていた通り、幽霊でもいるようなところだ、と呟く。彼はハンナの眼差しを思うと胸がざわつき、彼女の視線に魔法を感じてしまう。だが彼は独身の誓いを思い出す。 時計が真夜中12時の時報を打つ。ステファンは、時計は壊れているはずなのだが、と不思議に思う。 |
レチタティーヴォ |
Moderato 3/4 g minor |
時計が音楽を奏でる。ステファンは、それが子どもの頃父が兄弟に剣術を教えていた時に口ずさんでいた歌だと気付き、そして子供たちを見守っていた母を思い出す。ステファンは亡き母に呼びかけ、父は母が亡くなった後はこの歌を歌わなくなってしまった、父は出陣する時にこの歌を歌い、母は父が無事に帰還するようにと祈りながら歌っていたのだが、と語りかける。ステファンは窓辺で物思いに耽る。 |
時報時計を伴うアリア |
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Moderato assai 4/4 C Major |
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間奏 | |
4/4 C Major |
第5場 ズビグニェフも眠れず部屋から出てくる。マチェイは恐怖から疲れ果て寝てしまった。彼は人影が動いたことに気付く。 |
レチタティーヴォ | |
Nr. 14 Duettino |
Allegro moderato 4/4 A-flat Major |
ズビグニェフが誰だ?と呼びかけると、それがステファンだと分かる。そしてズビグニェフはヤドヴィガを、ステファンはハンナを愛していることを明かす。二人は兄弟で一人の娘を取り合いすることがなく安堵する。 |
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Un poco più lento 12/8 - 6/8 E-flat Major |
ズビグニェフはハンナに心惹かれた時を思い出すが、 |
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2/4 E-flat Major |
ステファンが独身の誓いを思い出させる。 |
第1幕第1番の音楽 | |
Allegro moderato 2/4 A-flat Major |
二人は先ほどと同様に、兄弟で一人の娘を取り合いすることがなく安堵する。 |
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Un poco più lento 12/8 - 6/8 - 2/4 A-flat Major |
ステファンがヤドヴィガに心惹かれた時を思い出すと、 |
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2/4 E-flat Major |
ズビグニェフが独身の誓いを思い出させる。 二人は部屋に戻らず留まる。 |
そのまま第15番に続く | |
Nr. 15 Kwartet |
Moderato 4/4 D-flat Major - E Major - D-flat Major |
二つの肖像画が密かに外れると、額の中には絵と同じ衣装を着たハンナとヤドヴィガがいる。 ステファンは、喜びと悲しみを分かち合う愛する人がいなくて、それが幸福というものだろうか?と自問する。これにズビグニェフだけでなく姉妹も呼応し、四人でこれを歌う。 四重唱の終わりに時計の中に潜んでいたダマズィが出て来る。彼を見た姉妹は思わず ダマズィさんだわ! と叫んでしまう(ト書きには書かれていないが、姉妹はおそらくこの時に去ったと思われる)。ダマズィは慌てて時計の中に戻る。ステファンは声が肖像画の方から聞こえて来たことに気付く。騒ぎを聞きつけて寝ぼけ眼ののマチェイもやって来る。 |
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4/4 C Major |
兄弟は肖像画のからくりを見抜き、これは誰かのいたずらだと、マチェイに大広間の見張りを頼み、それぞれ別の方向に去って行く。 |
レチタティーヴォ | |
Lento 4/4 B-flat Major |
マチェイは椅子に腰掛けていびきをかいて居眠りし始める。 |
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Più mosso - Allegro - Moderato - Allegro 4/4 - 6/8 B-flat Major |
第6場 ダマズィが再び時計から出てきて、やはり肖像画のからくりを見抜き、姉妹が既に去ってしまったことを理解する。彼もまた姉妹同様、兄弟たちを怖がらせようと時計の中に潜んでいたのだ。 気配に目を覚ましたマチェイは恐怖に襲われながらも彼を捕らえようとする。ダマズィは時計の霊だと脅すが、月明かりが彼の顔を照らし、 |
レチタティーヴォ | |
Allegro 6/8 B-flat Major |
マチェイは男がダマズィだと見破る。 |
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4/4 C Major |
第7場 二人が通せ通せないと押し問答をしていると、ズビグニェフが戻ってくる。彼はダマズィが大広間にいることに驚く。マチェイは、いやこれは時計の霊なんですよ、とからかう。 |
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N. 16 Finale |
Allegro 4/4 B-flat Major |
兄弟はダマズィに、全部あなたのせいなのか、我々を笑いものにしようとしたのだな、と詰る。ダマズィはそれを否定しながら、ハッと思い付き、昔ここに幽霊が出るという噂を聞いて、それを確かめたかったが、一人でここで寝るのは怖くてできず、兄弟がここに泊まると聞いて、先回りして時計の中に潜んで様子を見ようとしたのだ、と言い訳する。ダマズィの思惑通り、三人はこの話に喰い付く。 |
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um poco più lento - ancora um poco più lento - Allegro 4/4 g minor |
さらにダマズィは、この屋敷は不正に得た金で建てられたので、神の怒りを買ってしまったのだ、と語る。三人は恐怖に駆られ、急いで立ち去って行く。巧いこと窮地を脱したダマズィは喜ぶ。 |
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AKT Ⅳ | |||
N. 17 Recitativo i Aria Hanny |
Allegro 4/4 D Major |
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前奏 |
recitativo (a tempo moderato) (parlando) Più lento (cantabile) |
第1場 広間でハンナは一人、物思いに耽っている。チェシニコーヴァから兄弟が独身を貫くと主張している理由を聞き、その高尚な理念は認めつつ、あなた方はポーランドの娘を分かっていない、と心穏やかでない。 |
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Moderato - Poco più mosso - Più lento - Più allegro - Moderato 4/4 D Major |
ハンナは、この地の娘があなたの魂を祖国の運命に結びつける輪を断ち切ると思っているのか? などと結婚の尊さを歌う。 | 終盤は独奏ヴァイオリンとの掛け合い | |
4/4 C Major |
第2場 ダマズィが現れ、兄弟は帰ろうとしていると告げる。ハンナが訳を聞くとダマズィは、彼らは幽霊が出たので逃げるのだ、と答えて立ち去る。信じられないハンナ。 |
レチタティーヴォ | |
N. 18 Duetto |
Allegro 4/4 C Major |
第3場 ハンナはステファンと出くわし、突然の出発の理由を尋ねる。だがステファンははっきりと答えない。 |
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Allegro 4/4 g minor |
ステファンはただ、ハンナに辛い思いをさせたくないのでこの屋敷を去る、としか言わない。ハンナはなおも訳を尋ねるが、ステファンは嘆くばかりで理由を明かさない。
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Allegro 4/4 F Major |
ハンナはステファンに考えが変わることはないのか、出発を延ばせないか尋ねるが、ステファンは兄弟で今日出発すると答える。 |
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Allegro - PiÙ mosso 4/4 B-flat Major |
二人は思いがけない展開に悲しむ。 |
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Moderato 4/4 C Major |
第4場 ミェチニクが現れ、兄弟に出発を明日に延ばせないか尋ねるが、兄弟はそれを否定する。ミェチニクは彼らが震えているように見える。 第5場 マチェイが馬車が中庭で待っていると告げに来る。ミェチニクはイライラして、兄弟は臆病者だと非難する。主人を臆病者と言われてマチェイはミェチニクに詰め寄るが、ミェチニクから、幽霊に驚いて下手な言い訳をして帰ろうとしているではないか、と反論される。 |
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Moderato assai 4/4 e-flat minor |
するとマチェイは、兄弟の制止も聞かず、ダマズィが言っていた、この屋敷は不正に得た金で建てられたという話をし始める。ミェチニクはマチェイの言っていることがさっぱり分からない。 |
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4/4 C Major |
マチェイは、これはダマズィがなぜこの屋敷が幽霊屋敷と呼ばれるか説明した言葉通りだと言う。 |
レチタティーヴォ | |
N. 19 Finale |
Allegro 4/4 A Major |
第6場 遠くからたくさんのソリの鈴の音が聞こえてくる。ミェチニクはマチェイが何を言っていたのか尋ね、マチェイは再び、これはダマズィの言っていた幽霊屋敷の話だと答える。それを聞いたミェチニクは、ダマズィが兄弟に一杯喰わせたのだと察する。そこにスコウーパがやって来るので、ミェチニクはダマズィを呼ぶよう言いつける、彼は街へ出かけてしまっていた。ソリの鈴の音が大きくなる。スコウーパはソリの列が屋敷に近づいていることを知らせにきたのだった。ミェチニクは兄弟に、馬の馬具を外し、ダマズィが戻ってきたら説明を聞くよう求める。 |
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Allegro non troppo 2/4 D Major - d minor - D Major |
第7場 扉が開くと大勢の客人たちが入って来る。彼らはミェチニクに、地下の酒蔵の鍵を渡すよう求める。 |
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Con anima 3/4 C Major - F Major - G Major - C Major - F Major - C Major |
人々は、音楽を奏でて楽しもう、とマーズルを踊る。 | マーズル Mazur マゾヴィア地方の舞曲 主部―トリオ―コーダ |
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Moderato 4/4 C Major |
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間奏 | |
Allegro - Allegro non troppo 2/4 b minor - D Major |
客人たちの一部は、ミェチニクが浮かぬ顔をしているのに気付き声をかける。彼は、友人の一人が今朝ここを発っていないことを気にしているのだ、と答える。だが客人たちは、ダマズィならあのハーレクィン(アルルカン,道化)だと指差す。
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Allegro 2/4 D Major - G Major |
ダマズィが仮面を外して正体を認める。ミェチニクは彼に、なぜこの屋敷を悪く言うのか、と問い質す。ダマズィは、酒を飲んで、恋敵を追い払おうと考えたのだと答える。恋敵と聞いたミェチニクは兄弟に、どう答えるのだ?と反応を促す。ダマズィが、私は長いこと求婚しようと思っていたのだ、と言いかけると、ズビグニェフはヤドヴィガへの求婚はならぬと、そしてステファンはハンナへの求婚はならぬと、ダマズィを妨げる。そして兄弟は改めてミェチニクにそれぞれの相手との結婚を申し出る。喜ぶ人々。
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4/4 C Major |
ミェチニクは、どうしてこの屋敷が幽霊屋敷と呼ばれるようになったのか、本当の理由を説明しよう、と言い、二人の娘を呼ぶ。二人の悲しげな様子に皆気の毒に思う。 |
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Moderato 5/4 - 3/4 F Major |
第8場 ミェチニクは語る。ずっと昔、祖父がこの屋敷を建てて、そして9人の娘を儲けた。そして長女から九女までが村にやって来た若者と恋に落ち結婚していった。しかし他の家の若い娘たちは出会いのないまま歳を重ね、彼女たちの母親や叔母の願いも虚しく結婚相手が現れないままになる、すると彼女たちは恨みがましくこの屋敷を幽霊屋敷と呼んだのだ。 |
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Allegro 4/4 C Major |
第9場 最終場 チェシニコーヴァが現れると、ミェチニクは、あなたは兄弟の勇気に疑いをかけたがそれは間違っていた、と苦言、また兄弟も彼女に、この屋敷が幽霊屋敷と呼ばれる理由がようやく分かったところだ、と言う。それでもミェチニクは、ヤドヴィガにズビグニェフ、ハンナにステファンという相手が見つかったことを喜んでいる。 |
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Allegro 4/4 C Major |
人々は歓声を上げる。チェシニコーヴァは、財務官の娘姉妹は運が悪かった、と嘆く。兄弟、姉妹、ミェチニク、そして人々の喜びの声で幕。 |
幕切れの第1版 アンサンブル・フィナーレ |
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Molto moderato - Un poco più mosso - Allegro 2/4 D Major |
姉妹は兄弟に、妻がいるとなると、あなた方の独身の計画は実現できませんわ、とからかう。人々が、そうだ、あなた方は妻と一緒になるのだ、幽霊屋敷万歳! とまたも娘を嫁がせた屋敷を讃えて幕。 |
幕切れの第2版 第1幕の独身を誓う音楽を用いた簡潔なフィナーレ |
参考資料
第4幕の二重唱がカットされているほか、小さなカットがいくらか。