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オペラ御殿 旧御殿のメインメヌー
最新更新 2024年05月18日
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GEORGE FRIDERIC HANDEL
LUCIO CORNELIO SILLA
3幕のオペラ
Opera in tre atti
HWV 10
初演 おそらく1713年6月2日 ロンドン,女王劇場
First performance probably 2 June 1713, Queen's Theatre, ot Burlington House
台本 ジャコモ・ロッシ
Libretto Giacomo Rossi
原作
Original
題名について
この作品は、初演時の情報が極端に乏しいこと、そしてヘンデルの自筆譜が不完全なこともあり、ヘンデルがこの作品をどのような題名で考えていたのか、正確なことが分からない。
1969年に発見された初演時の印刷台本では、題名は L. C. SILLA と記されている。ただし印刷台本と作曲家の自筆譜で題名が微妙に異なることは少なくない。
Bärenreiter のペーター・ブルンナー校訂の楽譜では ルーチョ・コルネリオ・シッラ Lucio Cornelio Silla を採用している。
オペラ御殿のこのページではBärenreiterの楽譜に従うので、正式な題名を《ルチオ・コルネリオ・シッラ Lucio Cornelio Silla》とする一方、本文中ではすべて省略された通称である《シッラ Silla》を用いる。
作曲
《シッラ》にはあまりにも謎が多く残されており、いまだ解明できていない。
楽譜は、ヘンデルの自筆譜が半分強残されており、さらにあまり年月の空かない時期の第三者によるほぼ完全な筆写譜が残されている。さらに時代が下がってから筆写譜が数種作られている。
しかし上演記録が全く見当たらない。つまり、作品は残されているのに、どこでどのように上演されたか、あるいは上演されることがなかったのか、不明だった。
1969年、初演時の印刷台本が発見された。その表紙には以下のような文言がある。
L. C. Silla.
Drama per Musica,
Consecrato All' Alta Eccellenza Di
LODOVICO
D'AUMONT Di
Rochebaron,
Duca d'Aumont, &c.
Pari di Francia, Comandante delli Ordini del Re, Primo Gentilhuomo della Camera Di S. M. Christianissima, Governatore del Paese di Bologna, &c, &c. ed Ambasciatore Straordinario presso S. M. La Regina, della Gran Britannia.
A LONDORA 1713
これによって、《シッラ》が1713年にフランスからの大使ドーモン公を歓迎するための作品だと判明した。
《シッラ》は3幕でも上演時間の正味は2時間かからず、また編成もオーボエ×2、フルート×2、トランペット×1、弦楽器、バッソ・コンティヌオという比較的小規模なもの。これらは《シッラ》が一般的なオペラ興行のために作られた作品ではなく、機会作品だっとことを裏付けている。
物語はローマの執政官、ルキウス・コルネリウス・スッラを題材にした、典型的な暴君もの。
宿敵マーリオとの戦いに勝ったシッラはローマに凱旋、独裁を始める。シッラの妻メテッラの心配をよそに、シッラは友人レピドの妻フラヴィアと、シッラに敵対するクラウディオの恋人チェーリアを我が物にしようとし、どちらの女性もシッラを拒むと、シッラはレピドとクラウディオを捕らえ殺害を命じる。しかしメテッラが二人を助け出す。シッラは出陣を前にメテッラと和解し、直後に夜の海で遭難したところをメテッラに助けられて改心する。最後にはシッラが謝罪して幕となる。
第3幕終盤の展開はさすがに唐突過ぎるだろう。
機会作品であったため、ヘンデルは《シッラ》の中のいくつかの曲を後の作品で再利用しており、特に次の作品となった《アマディージ》で数曲が再利用されている。
初演
初演は、1713年6月2日、ロンドンの女王劇場で行われたと推測されているが、本当に上演されたかどうか確証はない。
創唱者たちについても、5月までのオペラシーズンの出演者たちと考えられているが、これも初演が行われたとしても誰が歌ったのか確証がないのでここでは触れないことにする。Bärenreiterの楽譜に推測される創唱者たちが紹介されている。
蘇演
総譜がドイツ・ヘンデル協会から出版されていたにもかかわらず、《シッラ》は長らく上演されることがなかった。
1990年10月12日、パリのオテル・ドゥ・ラ・モネ Hotel des Monnaies のサル・デュプレ Salle Dupre で上演が行われ、もし1713年に上演がなされていなかったのならば、これが初演となる。
音楽
※普請中※
あらすじ
第1幕
凱旋門の聳えるローマの大広場。凱旋するシッラを、彼の妻メテッラと、彼の友人である護民官のレピドが出迎える。メテッラはシッラを労い、レピドはシッラの武勲を称える。シッラは、敵将マーリオを打ち取った当然の褒美として、ローマを支配することを宣言する。メテッラとレピドはシッラの傲慢な態度に落胆する。レピドは、メテッラが夫シッラを懐柔することを願う。メテッラは、祖国が裏切られ、夫が裏切り者になるなら生きていられないと嘆く。
レピドの妻フラーヴィアが、恐ろしい怪物が祖国を灰にする悪夢を見たと不安げに夫に訴える。レピドは、空が光っても必ず稲妻が落ちるわけではない、と彼女を落ち着かせる。
レピドの言葉とは裏腹に、稲妻が落ちて凱旋門を破壊する。シッラの副官カトゥーロ(出征中)の娘であるチェーリアは怯え、フラーヴィアはあの悪夢は正夢だったと確信する。
クラウディオがシッラに討たれた友人マーリオの肖像画を手にして見つめている。チェーリアはそれを誰か他の女の肖像画だと勘違いし、彼の手から奪い取るが、敵将の肖像画と知るやそれを投げ捨て、まだあの圧政者のことを考えているのかと詰る。クラウディオはチェーリアへの愛を訴えるが、彼女はシッラの支持者なので無理と拒む(が内心では彼に惹かれている)。クラウディオは、ずっと彼女に誠実でい続けること、そして固い意志で愛の希望を抱いていることをチェーリアに訴える。一人になったチェーリアは、クラウディオを愛していることを認めつつ、自らの名誉ゆえ明かせない、とこぼす。
シッラとクラウディオが出くわし、クラウディオはシッラの独裁を非難する。二人の一触即発の様子にチェーリアがシッラの前に進み出て、父カトゥーロからの報せがないか尋ねる。シッラから渡された父の手紙には、娘をシッラに託すと書かれていた。シッラとチェーリアは去る。クラウディオはシッラの思い上がりを罰しようと奮い立ち、勝利を誓う。
第2幕
郊外の神殿。シッラはフラーヴィアを口説くが、彼女は、私の心は波に打たれる岩礁のように固い、横恋慕する者には冷酷である、とシッラを蔑む。去って行くフラーヴィアをシッラは追おうとするが、眠気を催し、寝入ってしまう。すると、2匹のドラゴンに引かれた戦車に乗って、神が、フリアエ【= 復讐の女神たち】を引き連れて現れ、シッラに、戦争をけしかけ、ローマは血を流してシッラの栄誉を崇めるがいい、とシッラを唆す。シッラは手下を集め、神殿の中の人々を殺すよう命じる。
シッラの乱心をレピドが激しく非難する。しかしシッラはそれを意に介さないばかりか、レピドの妻フラーヴィアを我が物にするために、彼に離縁を迫る。シッラは、恋路を邪魔する者には容赦せぬ、と言い放つ。
レピドからシッラに狙われていることを知ったフラーヴィアは、そうなる前に死ぬと答える。そして二人は、心を誘惑しようとする者はアレット【= 復讐の女神アレクトー】に焼かれてしまえ、と愛を確かめ合う。
チェーリアは泣きじゃくりながら、クラウディオに、シッラから好色な目を向けられていると打ち明ける。怒ったクラウディオはすぐにも復讐に向かおうとするが、チェーリアが彼を引き留め、彼を愛していることを打ち明ける。クラウディオはそれに喜びつつも、しかしシッラの魔の手を考えると手放しでは喜べずにいる。
チェーリアをシッラが口説こうとしているところを、メテッラが邪魔する。シッラは腹を立てて立ち去る。メテッラはチェーリアに、あなたの目の傍には愛の神がいる、快活に微笑めばあらゆる心が近寄ってくる、とチェーリアの愛らしさを褒める。
庭園。奥にレピドの館 庭園の中央にはシッラの像。シッラは執拗にフラーヴィアを口説くものの、彼女は頑なに拒む。シッラが彼女を抱き締めようとした時、4人の亡霊がシッラの像を地中に引き落としてしまう。フラーヴィアはそれをシッラへの警告だと考えるが、シッラはエリュシオン【= 死後の楽園】で栄誉を受けているだろうと気にしない。レピドが妻を救いに来るものの、シッラは兵士たちに二人を捕えさせる。レピドは抵抗するが、フラーヴィアが天からの助けを待つよう諭す。二人は、離れ離れになっても心はあなたと共にある、と別れを惜しむ。
一方、愛を確かめ合うチェーリアとクラウディオを、シッラは引き裂き、クラウディオには死を、チェーリアには捕らわれの身となることを命じる。二人は別れを告げ合う。
シッラは寵臣のスカーブロに、レピドとクラウディオの処刑を命じる。シッラは、侮辱された心が求めるのなら復讐は心の糧だ、楽しみたい者は喜びに犠牲を捧げなくては、と恋敵二人を片付けることに満足する。だが夫の悪事に気付いたメテッラは、スカーブロに助力を求める。
クラウディオはライオンの檻に突き落とされそうになっていて、神々に、なぜこの不幸を阻んでくれないのか、と訴える。
スカーブロがレピドのものと思われる血まみれの衣服をシッラに渡す。シッラは喜び、さらにクラウディオもライオンの餌食にするよう命じる。そこにメテッラが駆け付け、シッラに、マーリオの一派がシッラに対して挙兵したと告げる。シッラは激怒し、クラウディオの刑の執行を命じて、制圧に向かう。メテッラはスカーブロに、レピドとクラウディオを救うよう命じる。そして彼女は神々に、罪の無い二人を救うよう願う。スカーブロがレピドとクラウディオを連れて来て、メテッラは二人を連れだす。
第3幕
助け出されたレピドがメテッラに感謝している。しかし彼がシッラを殺すと言うとメテッラはそれを制す。フラーヴィアを心配するレピドをメテッラは安心させる。そこにスカーブロが、シッラが遠征するという手紙を持って来る。メテッラは、シッラがローマを離れる隙にレピドにフラーヴィアを救い出させることにする。メテッラは、シッラが出陣する前に別れの言葉をかけてくれれば他に何も望まない、今までの不実も忘れよう、と夫を案じる。レピドはフラーヴィアが無事なことを感謝し、愛の神が心を喜びに変えてくれた、闇と嵐の後の晴天が私に喜びをもたらした、と喜ぶ。
シッラは帝国での重責とチェーリアとフラーヴィアへの愛の板挟みにあっている。そしてチェーリアを呼び出すと、なおもクラウディオを愛していると言ってシッラを退けるチェーリアに、クラウディオは死んだ告げて立ち去る。チェーリアは愛する人の死を嘆き、後を追うつもりだと悲しむ。だがそこに当のクラウディオがやって来る。チェーリアは始め彼の声(エコーになっている)だけ聞いて幻聴と思い、彼が姿を現すと恋人の亡霊かと思うが、クラウディオはメテッラに救ってもらったと明かす。クラウディオは、チェーリアの両目だけが私に命を与えてくれる、それがなしではエリュシオン【= 死後の楽園】でも幸せではないだろう、と喜ぶ。
牢獄。フラーヴィアは死を覚悟し、そして夫が死んだならば生きている方が不幸だろう、と後を追う決意をする。シッラが牢獄にやって来て、フラーヴィアにレピドが死んだと告げ、レピドのものと思われる血まみれの服を渡して去る。フラーヴィアは再び、夫が死んだならば生きている方が不幸だろう、と後を追う決意をする。しかしスカーブロがレピドを連れて来る。フラーヴィアは彼を亡霊と思い込みなかなか現実を飲み込めないでいるが、二人は喜びに浸る。
夜の海岸。船で出陣するシッラをメテッラが見送る。二人は、愛の炎は決して消えない、怒りが燃えた後の灰には強い熱がある、と愛情を再び燃え上がらせる。シッラを乗せた船は出帆してすぐ嵐に巻き込まれ座礁し、シッラは泳いで岩礁に辿り着き命からがら助かる。メテッラは神々に助けを求めながら、小舟で岩礁に渡りシッラを救出する。
ローマの広場。奥にカンピドーリオの丘。レピド、クラウディオをはじめとする人々がシッラに反旗を翻している。カンピドーリオが雲に覆われてから晴れ渡ると、マルテ【= マルス,軍神】の姿が見える。そしてシッラがメテッラを伴って現れる。彼は神と民衆に愚行を詫び、権力から退き、妻と余生を過ごすと述べる。レピドとフラーヴィアは喜び、チェーリアはシッラからクラウディオとの結婚を許され、二人は抱き合って喜ぶ。全員が、嵐の中では人は神に祈るがいい、運命は穏やかな港を拒みはしない、と歌い、幕となる。
対訳付き音楽設計図
登場人物
ルーチョ・コルネリオ・シッラ
LUCIO CORNELIO SILLA,ローマの執政官そして独裁官
console e dittatore di Romaアルト・カストラート?
今日では カウンター・テナー もしくは メッゾソプラノ
Alto castorato?
today countertenor or mezzosoprano
レピド
LEPIDO,護民官 【注1】、シッラの友人
tribuno del popolo, amico di Sillaソプラノ・カストラート?
今日では ソプラノ もしくは メッゾソプラノ
soprano castorato?
today soprano or mezzosoprano
クラウディオ
CLAUDIOローマの騎士、チェーリアの恋人 そして シッラの敵
cavalierer romano, amante di Celia e nemico di Sillaコントラルト?
今日ではメッゾソプラノ もしくは カウンターテナー
Contralto?
today mezzosoprano or countertenor
メテッラ
METELLA,シッラの妻
moglie di Sillaソプラノ
soprano
フラーヴィア
FLAVIA,レピドの妻
moglie di Lepidoソプラノ
soprano
チェーリア
CELIA,ローマの若い娘、シッラの副官、カトゥーロの娘、そして クラウディオの隠された恋人
donzella romana, figlia di Catulo, luogotenente di Silla, ed amante nascosta di Claudioソプラノ
soprano
スカーブロ
SCABRO 【注2】
黙訳
parte muta
神
IL DIO
バス
basso
注1 史実におけるマルクス・アエミリウス・レピドゥス Marcus Aemilius Lepidus は、シッラ政権の執政官であって護民官ではない。
注2 scabro とは ザラザラ、ゴワゴワ、凸凹といった、感触の粗さを表す形容詞。
日本語訳は極力文学的な色づけをせず、分析的な直訳にしてある。
音楽部分と歌詞は、基本的に Bärenreiter の楽譜に従っている。
Ouverture | Largo 4/4 B flat major |
リピートあり | |
Allegro 3/4 B flat major |
|||
Largo 4/4 B flat major |
Allegro へリピート | ||
Andante 3/4 B flat major |
|||
Adagio 4/4 B flat major |
4小節 | ||
Minuet 3/4 B flat major |
1-8 リピート 9-16 リピート |
||
ATTO PRIMO | |||
Sinfonia |
4/4 D major |
SCENA Ⅰ第1場 Gran piazza di Roma, nel mezzo di cui s'innalza un arco trionfale. Silla sedendo sopra un carro tirato da sei schiavi negri, e preceduto da' littori co' fasci ed insegne consolari, s'avanza, e passa sotto il sudetto arco al suono di tutti gli stromenti militari, e nel discendere dal carro viene incontrato da Metella e da Lepido.ローマの大広場、その中央には凱旋門が聳え立っている。シッラは 戦車の上に座って 6人の黒人奴隷によって引かれた、そして警士たちによって先行されて 【警士たちは】執政官の権標と旗標をもって、【シッラは】近付いて来る、そして 彼は 前述の【凱旋】門の下を通る あらゆる軍隊の楽器の音で、そして 戦車から降りる時 出迎えられる メテッラによって そして レピドによって。 |
al suono di tutto gli stromenti militari ト書きにはこうあるが、それに対応した音楽は《シッラ》の楽譜にはない。Bärenreiter のペーター・ブルンナー校訂の楽譜では、《リナルド》の1731年再演稿のフィナーレ用に書かれた11小節のシンフォニアで代用している。したがってBärenreiter譜を用いない場合はまた別の代用の場合もあり得る。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
Silla, Metella e Lepidoシッラ,メテッラ と レピド METELLAメテッラ Silla, s'oggi risplendeシッラよ、現在 光り輝いているにしても per te pur chiaro di Quirino il cielo,君に向かって 実に明るく クイリーノ【≒ クイリナーレ(の丘)】の空が、 qual sarà del mio cor l'alto fulgore,どのくらいだろうか 私の心の 気高い輝きは、 s'arde per te di gloria e in un d'amore!それ【= 心】は 輝いている 君への栄光に向かって そして 同じく 愛に向かって! LEPIDOレピド Quanto deve la patria al tuo valore!どれだけ 祖国は 君の武勇に 負っていることか! SILLAシッラ De' regni eoi che incatenati al Tebro東方の王国々には それらは テヴェレ川【≒ ローマ】に 鎖でつながれて quivi traggo, e di Mario私が ここに 引っ張ってきている、そして マーリオには che col suo capo alteroその者は 彼の尊大な頭で forma base al mio piede,台を形作っている 私の足元で【≒ 私の足載せ台になっている】、 Roma sola ne fia degna mercede;ローマだけが そのことについて【≒ 東方の国々を服従させ マーリオを倒した武勲には】 相応しい褒美だろう。 quindi il Lazio s'apprestiしたがって ラツィオ【≒ ローマ】は 準備するように obbedir le mie leggi, e in Campidoglio私の法に 従うことを、そして カンピドーリオの丘で pieghi Roma a' miei cenni il proprio orgoglio!ローマが 自身の自尊心を 私の指示に 従わせるように。 |
Silla, s'oggi risplende / per te pur chiaro di Quirino il cielo, / qual sarà del mio cor l'alto fulgore, 今空は明るく輝いているけれど、後に輝くであろうメテッラの心の輝きがどれほど明るいであろうか、という対比による強調表現。 Quirino クイリーノ はローマ神話の主神の一人(ラテン語 Quirinus クイリヌス)だが、ここではローマの七丘の一つであるクイリナーレ Quirinale(ラテン語 Quirinalis クイリナリス)を指していると思われる。クイリナーレの名前は、この丘の東端にクイリヌスの神殿があったことに由来する。 s'arde per te di gloria e in un d'amore! ここでの in un は 同じく と採った。 obbedir le mie leggi, e in Campidoglio Campidoglio カンピドーリオ(ラテン語 カピトリヌス Capitolinus)もローマの七丘の一つ、ローマの中枢。 |
1. Aria Silla |
3/8 B-flat major |
SILLAシッラ Alza il volo la mia fama私の名声は 飛行を さらに高くする【≒ 高く 飛び上がる】 sin nell'etra a festeggiar.天空にまで 楽しむために【≒ 楽しんで ≒ 喜んで】。 Vinto Mario e serva Romaマーリオが負かされて そして ローマが屈従して doppio alloro alla mia chioma二重のゲッケイジュ【≒ 月桂冠 ≒ 栄誉】が 私の頭髪で or mi vedo a scintillar.輝いているのを 今 私は 私に 見ている。 (parte)(退場する) Silla parte col suo seguito, restando sospesi Metella e Lepido.シッラは 退場する 彼の従者の一行と共に、メテッラとレピドが 不安気に 残って |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 sin nell'etra a festeggiar. ここでの festeggiare は自動詞で 楽しむ の意味。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅱ第2場 Metella e Lepidoメテッラ と レピド METELLAメテッラ S'eclissa la mia gioia.私の歓喜は 消えている。 LEPIDOレピド Il cor ne freme.心は それについて 震えている。 METELLAメテッラ Patria infelice!不幸な祖国よ! LEPIDOレピド Ah, sventurato evento!ああ、不運な出来事! METELLAメテッラ O consorte superbo!ああ 尊大な夫よ! LEPIDOレピド Amico infido!不実な 友よ! Ma tu, Metella, in generoso coreだが 君は、メテッラよ、寛大な心で cerca temprar quell'ambizioso affetto!鎮めようと 努力しなさい あの野心のある欲望を! METELLAメテッラ Tanto devo alla patria, in ciò m'affretto.私は 大くのことを 祖国に 負っている【≒ 私には 祖国にすべき たくさんの義務がある】、そのことにおいて 私は 急ぐ。 |
|
2. Aria Metella |
4/4 g minor |
METELLAメテッラ Fuggon l'aure in me di vita,私の中の 命の息吹は 逃げる【≒ 消え去る】【だろう】、 se la patria, oh Dio! è tradita,もし 祖国が、ああ 神よ! 裏切られるならば、 e lo sposo è 'l traditor.そして 夫が 裏切者に なるならば。 Sposo ingrato,忘恩の夫よ、 dispietato無慈悲な【夫よ】 cessa ormai tanto rigor,今すぐ それほどたくさんの手厳しさを 止めなさい。 (parte)(退場する) |
ダル・セーニョを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅲ第3場 Lepido e Flavia, ch'esce spaventataレピド と フラーヴィア,その者は 出て来る 恐怖に満ちて FLAVIAフラーヴィア Cieli! Numi! che vidi?天よ! 神々よ! 私は 何を 見たのか? LEPIDOレピド Oh Dei! che fia?ああ 神々よ! どうしたのか? FLAVIAフラーヴィア Fantasmi portentosi不思議な幻覚が turbano i miei riposi.私の休息を 掻き乱している。 LEPIDOレピド E che vedesti?それで 君は 何を 見たのか? FLAVIAフラーヴィア La patria incenerita灰となった祖国を per man d'orrido mostro.恐ろしい怪物の手によって。 LEPIDOレピド Cara, t'acquieta, ché non sempre al fine,愛しい女よ、落ち着きなさい、必ずしも 目的にまで benché minaccia il ciel, porta rovine!たとえ 天が 脅すにしても、それ【= 天】は 破滅を もたらす 【↑】とは限らない【≒ 天が (雷を落とすと) 脅すところで、いつでも (雷を落として) 破滅を やり遂げるわけではない】。 |
Fantasmi portentosi fantasma は一般的に 幽霊,亡霊 の意味だが、それで採ると続くレピドの E che vedesti? それで 君は 何を 見たのか? という問いと合わない。したがってここでの fantasme は (夢で見た)幻覚,幻影 で採るべき。 ché non sempre al fine, / benché minaccia il ciel, porta rovine! ここでの fine は男性名詞なので、女性名詞の場合の 終わり ではなく、目的 の意味。portare al fine 目的にまで持って来る ≒ やり遂げる。 |
3. Aria Lepido |
3/4 G major |
LEPIDOレピド Se ben tuona il ciel irato,たとえ 荒れ狂った空が 大いに 雷鳴を轟かせるとしても、 sempre i folgori non scaglia,それは 必ずしも 稲妻を 投げつけるとは 限らない、 ma dimostra il suo splendor.けれども それは その輝きを 明示する【≒ 空は 光る とはいえ】。 Di costanza un core armato意志の強固【≒ 強い信念】で固めた心は a un sol lampo non s'abbaglia,たった一つの稲光に 目が眩みはしないし、 né ricetto apre al timor.不安に 避難所を 開けることもない【≒ 恐ろしくなって 逃げ隠れることもない】。 (parte)(退場する) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅳ第4場 Flavia e Celiaフラーヴィア と チェーリア Mentre Celia esce, cade un fulmine che atterra una gran parte dell'arco trionfale.チェーリアが 出て来る時に、雷が 落ちる それは 凱旋門の大部分を 打ち倒す。 CELIAチェーリア Sin con lingua di foco火の舌【≒ めらめら燃える炎】を用いてまで conferma il ciel ora i spaventi miei?今や 天は 私の不安を 裏付けるのか? FLAVIAフラーヴィア Ah! non fu sogno il mio; v'intendo, o Dei!ああ! それは 私の夢ではなかった; 私は あなたたちを 理解している、ああ 神々よ! |
|
4. Aria Flavia |
Adagio 3/8 a minor |
FLAVIAフラーヴィア Un sol raggio di speranza【↓】胸に【抱いている】 唯一の希望の光線を non negare, o Giove, al seno,打ち消すでない、ああ ジョーヴェ【= ユピテル】よ、 ché fra l'ombre del timore不安の暗雲の間で la costanza va perdendo il bel sereno!意志の強固は 美しい晴天を 失いつつある 【↑】のだから! (parte)(退場する) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 《アマディージ》第3幕のオリアーナのアリア Dolce vita del mio petto で再使用。 non negare, o Giove, al seno, ジョーヴェ = ユピテル,ジュピター,ローマ神話の主神。 光線 raggio,暗雲 ombre,晴天 sereno と、心情を天気に喩えた内容である。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅴ第5場 Celia e Claudioチェーリア と クラウディオ Claudio esce tenendo nelle mani il ritratto del morto Mario, quale sta contemplando attentamente.クラウディオが 出て来る 手の中に 死んだマーリオの肖像画を持って、それを 彼は 注意深く【≒ しげしげと】 眺めるている。 CELIAチェーリア Sino sugli occhi miei私の両眼に向かってまで【≒ 私の目の前でまで】 vagheggia altra beltade?彼は うっとりと眺めるのか 他の美女を? No, nol soffrire, o core!いいや、それを 我慢するでない、ああ 心よ! Ma'l mio onor? che risolvo? eh! vinca amore!だが 私の名誉は? 私は 何を 決意するのか? えい! 愛が 勝つように! (gli strappa con furia il ritratto delle mani, e lo getta a terra con disprezzo)(激情をもって 肖像画を もぎ取る 彼の両手から、そして 彼女は 【それが マーリオの肖像画だと 気付いて】それを 投げる 地面に 軽蔑をもって) Ad un spento tiranno消えた【≒ 死んだ】暴君に ancor serbi l'affetto?君は まだ 持ち続けているのか 気持ちを? CLAUDIOクラウディオ Idolo mio! per te sola私の偶像よ! 君にだけだ è l mio amor, quello è rispetto.私の愛は、【そして】 あれ【≒ マーリオへの気持ち】は 尊敬だ。 CELIAチェーリア D'amor parli, e non sai?...君は 愛について 話している、それで 君は 知っていないのか?… CLAUDIOクラウディオ So che sei l'alma mia.私は 知っている 君が 私の魂であることを。 CELIAチェーリア ... che sostegno di Silla...… 【私が】 シッラの支持者であることを… CLAUDIOクラウディオ ...quella, ch'un dì saprai, gran tirannia.… あの大きな【≒ 酷い】暴虐、それを 君は ある日 分かるだろう。 CELIAチェーリア Vanne, ardito, da me!ここから行ってしまいなさい、厚かましい男よ、私から! CLAUDIOクラウディオ Bella, concedi che la mia fedeltà...美しい女よ、許しなさい 私の誠実さが… CELIAチェーリア Da me, che chiedi?私から、君は 何を 求めているのか? CLAUDIOクラウディオ Il tuo amor.君の愛を CELIAチェーリア Di' il mio sdegno!言いなさい 私の怒りを と! CLAUDIOクラウディオ La tua pietà.君の哀れみを。 CELIAチェーリア Di Sillaシッラの un nemico n'è indegno.敵は それ【= 哀れみ】に 値しない。 CLAUDIOクラウディオ Amabile rigore!愛すべき手厳しさだ! CELIAチェーリア (a parte)(傍らで) (Amor, onor, deh, mi squarciate il core!)(愛が、名誉が、ああ、私の心を 引き裂いている!) |
Ad un spento tiranno / ancor serbi l'affetto? チェーリアは、クラウディオが見詰めている肖像画が誰か美女の絵姿だと勘違いして奪い取ったが、それが彼女が支持するシッラの敵マーリオの肖像画であると気付いて、投げ捨てて、こう言っている。 Di Silla / un nemico n'è indegno. n' < ne = di quella = di pietà。つまり un nemico di Silla è indegno di pietà. シッラの敵は 哀れみに 値しない。 |
5. Aria Claudio |
4/4 F major |
CLAUDIOクラウディオ Senti, bell'idol mio,聞きなさい、美しい 私の偶像よ、 sarà per te 'l desio【私の】願いは 君に対して fedele ognora.いつでも 誠実 【↑】だろう。 E solo la costanzaそして ただ 意志の強固だけが nodrir vuol la speranza希望を 育もうとする del fermo e fido amor di chi t'adora.君を 熱愛する者の 揺るぎない そして 信頼できる 愛の【希望を】。 (parte)(退場する) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅵ第6場 Celia solaチェーリア一人 CELIAチェーリア Sì, t'amo, o caro! e pur io son costrettaそうだ、私は 君を 愛している、ああ 愛しい人よ! しかし それにもかかわらず 私は celar in sen gli affetti情愛を 胸の中に 隠 【↑】さざるをえなかった per quei crudi d'onor vani rispetti.あの 過酷な 【そして】 虚しい 名誉の遵守のために。 |
|
6. Aria Celia |
Allegro 4/4 c minor |
CELIAチェーリア Se la speranza nudrisce il mio cor,私の心が 希望を 胸に育んでいる以上、 anco tacendo felice è 'l mio amor.たとえ 【愛の言葉を】黙っているにしても 私の愛は 幸せだ。 E pure desio contento maggior,しかしそれにもかかわらず 私は 大きな満足【≒ 喜び】を 切望している、 ma non lo vuole rispetto d'onor.だが 名誉の遵守が そのことを 望んでいない。 (parte)(退場する) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 anco tacendo felice è 'l mio amor. anco = anche。anche + ジェルンディオ たとえ―するにしても。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
Giardino deliziosoうっとりさせるような庭園 SCENA Ⅶ第7場 Silla, Claudio, e Celia osservandoli in disparteシッラ,クラウディオ,そして チェーリア 彼らを観察している 離れて CLAUDIOクラウディオ Silla, dov'è la gloriaシッラよ、栄光は どこだ del Tebro omai? ché, se tu usurpi, insano,今や テヴェレ川【≒ ローマ】の? というのも、もし 君が 横領している【≒ 奪い取っている】のならば、無分別な者よ、 un ingiusto poter, non sei romano.不正に 権力を、君は ローマ人ではない 【↑】からだ。 SILLAシッラ Anzi del Lazio è figlioそれどころか ラツィオ【≒ ローマ】の息子である chi tenta un'ardua impresa.困難な偉業を 試みている者は。 CLAUDIOクラウディオ Chi ha sol di virtù l'anima accesa;その者【= ラツィオの息子】は ただ 徳で燃えた魂を持っているだけだ; ma tu...だが 君は… SILLAシッラ Taci, superbo!黙りなさい、尊大な男め! CLAUDIOクラウディオ La commun libertà calpesti intento.君は 共通の【≒ 皆の】自由を 専念して【≒ ひたすら】 踏みにじっている。 SILLAシッラ Premio del mio valor.私の功績の報酬だ。 CELIAチェーリア (Quanto pavento!)(どんなにたくさん 私は 恐れていることか!)) (si presenta in fretta a Silla)(現れる 急いで シッラの前に) Signor, del genitore貴君よ、父の qual'nove arrechi?どのような 知らせを 君は もたらすのか? SILLAシッラ O Celia, al sen t'accoglio;ああ チェーリアよ、私は 胸に 君を 迎える; leggerai li suoi cenni君は 彼の指示を 読むだろう (le dà una lettera)(彼女に 手渡す 一通の手紙を) su questo foglio.この書類に。 CLAUDIOクラウディオ E credi forse, o Silla,それで 君は ことによると 信じている【≒ 思っている】のか、ああ シッラよ、 che questo acciar...【私の】この剣が… SILLAシッラ Cotanto...?それほどに【≒ それほどのことを 君は 言うのか】…? CELIAチェーリア (li interrompe)(彼らを 遮る) Scrive egli omai delle guerriere squadre...【手紙の中で】彼は 書いている 今 戦闘的な分隊【≒ 軍隊】について… SILLAシッラ ...ch'io sosterrò ver te veci di padre.【彼は 書いている】…私【= シッラ】が 支えるであろう 君に対して 父に代わって と。 (Celia seguita a leggere)(チェーリアは 読み続けて) CLAUDIOクラウディオ (verso Celia)(チェーリアに対して) Reprimer ben saprò...【それを】 私が うまく 鎮圧する【≒ 阻む】ことができよう… SILLAシッラ Meglio consiglia!よりよく 助言しなさい【≒ もっと 良い助言を しなさい】! CELIAチェーリア (li interrompe di nuovo)(彼らを 遮る 新たに)< Ti sarò, sì signor, e ancella e figlia.私は なろう、そうだ 貴君よ、そして君の侍女に そして 君の娘に。 (partono Celia e Silla)(チェーリアとシッラは 退場する) |
un ingiusto poter, non sei romano. ingiusto は形容詞で poter に掛かっているのだが、これを 不正な権力を と訳すと意味がおかしくなってしまうので、ここでは ingiusto を副詞的に理解し、不正に 権力を と訳した。 E credi forse, o Silla, / che questo acciar... クラウディオはシッラに対して、君は 私が 剣を握って 逆らうと 思っているのではないか、と言いかけている。 |
7. Aria Claudio |
3/8 D major |
CLAUDIOクラウディオ Con tromba guerriera戦闘的なラッパで m'invita la fama名声【≒ 栄誉】が 私に 促している l'orgoglio a pugnar.【シッラの】傲慢さと 戦うように と。 D'un'alma severa容赦しない魂によって gloriosa vittoria栄光に満ちた勝利を saprò riportar.私は 持ち帰ることが できるだろう。 |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 m'invita la fama / l'orgoglio a pugnar. pugnare は自動詞なので、本来であれば l'orgoglio をその直接補語に採ることはないが、invitare qlcu. a 不定詞 の構文で採る限り、l'orgoglio(シッラの 傲慢さ)は pugnare の対象でしかありえない。止むを得ずここでは、la fama m'invita a pugnare contro l'orgoglio. として理解した。 |
ATTO SECONDO | |||
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅰ第1場 Silla e Flaviaシッラ と フラーヴィア Campagna con tempio di Berecintia nel fondo, ove si rufugiano molti uomini e donne, raccomandandosi alla Dea田舎 ベレチンティア【= キュベレ,大地母神】の神殿のある 奥に、そこには たくさんの男たち と 女たちが 避難所を求めている、女神に 願って【≒ 祈りを捧げて】 SILLAシッラ Flavia!フラーヴィアよ! FLAVIAフラーヴィア Signor, la tua grandezza ammira貴君よ、君の偉大さを 称賛している stupido il mond'omai...今や 驚嘆して 世界は… SILLAシッラ (a parte)(傍らで) (Quanto è vaga! mi serpe ardor vicino.)(彼女は なんと かわいらしいことか! 私に 熱情が 蛇行している 近付いて【≒ 激しい情熱が 私に 迫り来る】) FLAVIAフラーヴィア Quindi anch'io la tua gloria umile inchinoだから 私も あなたの栄光に 恭しく 敬意を表する。 SILLAシッラ Anzi la tua bellezza.むしろ 君の美しさに。 FLAVIAフラーヴィア Se virtù non l'adorna, è vile il dono.もし 徳が それ【= 授かり物】を 飾らなければ、【天からの】授かり物【≒ (フラーヴィアの)美しさ,美貌】は 無価値だ。 SILLAシッラ Merta gloria maggiorそれ【= 授かり物】は さらに大きな栄光【= シッラ】に 相応しい。 FLAVIAフラーヴィア Nel mio sposo ha mercé.それ【= 授かり物】は 私の夫に 褒美を 持っている【≒ この授かり物には 夫という 褒美がある】。 SILLAシッラ Più nel mio core.よりたくさん 私の心に。 FLAVIAフラーヴィア (a parte)(傍らで) (Accenti non graditi)(嬉しくない口調【≒ 言葉】だ!) SILLAシッラ Ascolta, o cara,聞きなさい、ああ いとしい人よ、 trionfi di quest'alma君は この魂に 勝利を収めている con quel vago sembiante.そのかわいらしい顔で。 FLAVIAフラーヴィア Sdegna moglie latina arti d'amanti.ローマの妻は 軽蔑する 恋する男たちの手管【≒ 女たらしのやり口】を。 |
ove si rufugiano molti uomini e donne, rufugiarsi = rifugiarsi 避難所を求める,隠れる Signor, la tua grandezza ammira / stupido il mond'omai... この場合の stupido は stupito の意味。 Se virtù non l'adorna, è vile il dono. ここでの dono 贈り物は、直前にシッラが言う la tua bellezza 君の美しさ を受けたもので、つまり 天から授かった美しさ の意味。フラーヴィアは たとえ天から授かった美しさも 徳に欠けていたら価値はない と謙遜して言っている。 |
8. Aria Flavia |
4/4 F major |
FLAVIAフラーヴィア Qual scoglio in mezzo all'onde波の只中の岩のように sarà sempre il mio cor私の心は いつでも ai turbini d'amor愛の旋風の中で fermo e costante.動かず そして 揺るぎないだろう。 qual aspe sordo ognor,【私は】 いつでも 毒蛇のように 耳が聞こえない【だろう】、 qual face cruda ancorずっと 松明 たいまつ のように 残酷だ【ろう】 verso ogni amante.あらゆる恋する男たちに対して。 (parte)(退場する) |
ダル・セーニョを用いたA-B-Aの三部形式のアリア fermo e costante. Bärenreiterの楽譜ではこうなっているが、sempre costante いつでも揺るぎないだろう。 となっていることも多い。 qual aspe sordo ognor, aspe = aspide。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅱ第2場 (Silla solo)(シッラ一人) SILLAシッラ T'arresta, altera! Ma pietoso Amore止まりなさい、誇り高い女よ! それはそうと 慈悲深い愛の神は vuol temprare col sonno il mio dolore.和らげるつもりだ 眠りで 私の苦しみを。 |
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9. Aria Silla |
Adagio 3/8 F major |
SILLAシッラ Dolce nume de' mortali,人間たちの 優しい神よ、 nel mio sen dispiega l'ali!私の胸の中で 広げなさい 翼を! (dorme)(眠る) |
単一形式のアリア。 |
10. Aria, Accompagnato e Recitativo Silla Il Dio |
Aria 4/4 B-flat major |
SCENA Ⅲ第3場 (Silla che dorme; Il Dio)(シッラ その者は 寝ている; 神) sopra un carro, tirato da due dragoni, e circondato dalle Furie con faci accese alla mano, che vanno girando attorno di Silla, oscurandosi allora il cielo戦車の上に、ドラゴンたちに引かれて、そしてフーリエ【= フリアイ,復讐の3女神】によって取り囲まれて 手に火が点いた松明 たいまつ を持った、その者たちは 次第に シッラの周りで 回る、その時 空が 暗くなる IL DIO神 Guerra, strage, furor!戦争だ、大虐殺だ、激情だ! |
単一形式のアリア。 ここに登場する Il Dio は、台本では Dea Ecate エカテの女神 = ヘカテ 死の女神 であった。 |
Accompagnato 4/4 B-flat major |
Vuò che Roma sommessa私は 望んでいる 従順なローマが il tuo poter adori,君の権力を 崇めるように 【↑】と、 e innaffii col suo sangue a te gl'allori.そして 水をかける【≒ 濡らす】ように 彼女の血で 君のゲッケイジュ【≒ 月桂冠】に 【↑↑】と。 |
Vuò che Roma sommessa この場合の vuò は voglio に等しい。文法的には調べが付かなかったが、18世紀半ばくらいまでの文章において、io vuò,tu vuò,lui/lei vuò の用法はしばしば見られ、volere の直接法現在単数形の活用として認識されているようである。 |
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(Aria) 4/4 B-flat major |
Guerra, strage, furor!戦争だ、大虐殺だ、激情だ! SCENA Ⅳ第4場 Il Dio sparisce con tutte le Furie, rischiarandosi il cielo, e Silla si risveglia infuriato replicando "Guerra", ecc.神は 消える フーリエ全員とともに、空は 明るくなり、そして シッラは 再び目覚める 「戦争だ」などと 繰り返しながら SILLAシッラ Guerra, stragi e furor!戦争だ、大虐殺だ、そして激情だ! (Silla chiama li sicarii, che vengono colla spada alla mano)(シッラは 呼ぶ 刺客たちを、その者たちは 来る 手に剣をもって) |
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(Recitativo) 4/4 B-flat major |
Miei fidi, ivi accorrete,私の忠実な者たちよ、そこに【= 神殿に】 急ぎ赴きなさい abbattete, uccidete!倒しなさい、殺しなさい! (Li sicarii entrano nel tempio e fanno strage di quella gente ivi rifugiata; esce Lepido).(刺客たちは 入り 神殿の中に そして 大虐殺をする その人々の そこに 避難所を求めていた; レピドが 出て来る)。 |
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Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅴ第5場 Lepido e Sillaレピド と シッラ LEPIDOレピド Silla! ove ti guidaシッラよ! どこに 君を 導くのか cieco furor?盲目の激情は? SILLAシッラ Ciò la mia gloria affida.そのことは 私の栄光に 任せている。 LEPIDOレピド Sino ne' sacri asili聖なる避難所の中まで profanar?冒涜するのか? SILLAシッラ E che forseそれでは ことによると pretendono qui in terra強要しているのか ここ 地上で divider seco il mio poter i numi?神々は 私の権力を 彼らと 共有すると? LEPIDOレピド Empio, che parli?神を敬わない男め、君は 何を 言っているのか? SILLAシッラ Irriverente, taci! O che...不遜な男め、黙りなさい! さもないと… LEPIDOレピド Tanto presumi?君は それほどに うぬぼれているのか? SILLAシッラ Porterai del tuo ardir la pena, insano!君は 君の不遜の報いを 受けるだろう、正気でない男よ!。 LEPIDOレピド Le minacce non teme un cor romano.ローマの男は 脅しを 恐れない。 SILLAシッラ Non sai? che sono...君は 分からないのか? 私は… LEPIDOレピド ...usurpator del soglio.…玉座の簒奪者だ。 SILLAシッラ E posso ciò che voglio:そして 私は できる 私が望むことを: ti commando di Flavia私は 君に 命じる フラーヴィアとの scioglier il laccio, affinch'io possa a pieno関係を 解くことを、私が 完全に できるために col nodo marital stringerla al seno.夫婦の絆で 胸に 彼女を 抱き締めることが。 LEPIDOレピド Ciò non fia mai.そのことは 決して ないだろう。 SILLAシッラ Tu proverai la forza,君は 体験するだろう 【私の】強さを、 che 'l poter coll'amor sempre rinforza.愛をもった力は 常に 強力になるのだから。 |
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11. Aria Silla |
Largo 12/8 g minor |
SILLAシッラ È tempo, o luci belle,時になる、ああ 美しい目よ、 di consolarmi un dì.私を 喜ばせる ある日【≒ ああ (フラーヴィアの)美しい目よ、いずれ 私を喜ばせる時が来る】。 |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 Bの内容が未来のことであるので、Aの内容も未来でないと噛み合わない。そこで直接法現在の È は近い未来を表す ―になる と採った。un dì は ある日,そのうちに の意味。 |
Allegro 4/4 g minor |
Ché, se'l foco del mio amoreなぜならば、もし 私の愛の火が trova ostacolo, il terrore妨害を 見出す 【↑】ならば、恐怖が struggerà chi lo impedì.破壊するだろう 【↑↑】からだ それ【= 私の愛の火】を 邪魔した者を。 (parte)(退場する) |
しばしばホ音にナチュラルが付いて、実質的にはニ短調になっている。 |
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Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅵ第6場 Flavia, e Lepido sospesoフラーヴィア、そして レピド 不安気に FLAVIAフラーヴィア Mio diletto, che pensi?私の愛する人よ、君は 何を 考えているのか? LEPIDOレピド Alla vendetta!復讐のことを。 FLAVIAフラーヴィア E chi t'accende?それで 誰が 君を 煽っているのか? LEPIDOレピド Un barbaro tiranno.野蛮な暴君だ。 Silla crudele, che pretende, oh Dio!残忍なシッラは、その者は 強く求めている、ああ 神よ! svellerti dal mio sen, idolo mio!君を もぎ取る【≒ 奪い去る】ことを 私の胸から FLAVIAフラーヴィア Pria morirò.その前に 私は 死ぬだろう。 LEPIDOレピド Sensi di nobil alma!気高い魂の感情だ! FLAVIAフラーヴィア Sol per te vive il core.心は ただ君のためだけに 生きている。 FLAVIA E LEPIDOフラーヴィア と レピド Eterno fia nelle tue braccia amore.愛は 永遠だろう 君の両腕の中で。 |
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12. Duetto Flavia Lepido |
3/8 C major |
FLAVIA E LEPIDOフラーヴィア と レピド Sol per te, bell'idol mio,君によってだけ、私の美しい偶像よ、 il mio cor ha gioia e pace.私の心は 歓喜と 平安を 抱いている。 Chi tentar vorrà il mio petto私の胸を 誘惑しようとする者は proverà di cruda Aletto体験する【ことになる】だろう 残酷なアレット【= アレクト】の l'ardente face!燃えている松明 たいまつ を! (partono)(【二人とも】退場する) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式の二重唱。 provera di cruda Aletto, アレクト,ギリシャ神話の復讐の三女神の一人。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅶ第7場 Celia piangendo, e Claudio(チェーリア 泣いている,そして クラウディオ) CLAUDIOクラウディオ Bella, lascia i sospiri!美しい女よ、溜め息を 捨てなさい! CELIAチェーリア Claudio, lasciami piangere!クラウディオよ、私を 泣くままにさせなさい! CLAUDIOクラウディオ Ah! che per te me sento il cor a frangere;ああ! 何と 君のために 私は 私の心が つぶれるように 感じていることか; ma, qual n'è la cagione?しかし、何が それ【= 溜め息】についての 原因なのか? CELIAチェーリア La lascivia di Silla.シッラの好色だ。 CLAUDIOクラウディオ Oh Dei! che ascolto?ああ 神々よ! 私は 何を 聞いているのか? Barbaro! e ancora non sai che sola è questa野蛮な男め! それで 君は まだ 分かっていないのか この女【= チェーリア】だけが l'anima mia? Vendetta!私の魂 【↑】であると? 復讐だ! (corre infuriato, ma Celia lo ferma)(走る 激昂して、しかし チェーリアが 彼を 止める) CELIAチェーリア Oh Dei! t'arresta!ああ 神々よ! 止まりなさい! CLAUDIOクラウディオ Celia, benché non sentiチェーリアよ、たとえ 君が 感じていないにしても pietà di me, di vendicarti io bramo.私に哀れみを、私は 君の復讐を 切望している CELIAチェーリア Taci, caro mi sei, purtroppo io t'amo.黙りなさい、君は 私の愛する人だ、残念ながら 私は 君を 愛している。 |
ma, qual n'è la cagione? n' < ne = di quelli = dei sospiri。 Taci, caro mi sei, purtroppo io t'amo. pur troppo io t'amo. になっているものもあるが、Bärenreiter の楽譜では purtroppo io t'amo. である。 |
13. Aria Claudio |
4/4 F major |
CLAUDIOクラウディオ Mi brilla nel seno輝いている 私の胸の中で un certo seren何かの晴天【≒ 何か澄み切ったものが】が ch'invece di noiaそれは 苦悩の代わりに contento mi dà.満足【≒ 喜び】を 私に 与えている。 E pur l'alma a pienoしかし それでも 魂は 完全には non gode quel ben,享受していない その幸福を、 ch'unito alla gioiaなぜなら 歓喜に 結び付かれて timore sen và.不安が 弱まっている【だけだ】から。 (parte)(退場する) |
ダル・セーニョを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 timore sen và. この場合の andarsene は 弱まる,衰弱する。クラウディオにとっては、シッラがチェーリアを狙っているという不安は解消されたわけではないので、完全には喜べない、と言っている。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅷ第8場 Silla, Metella, e Celia che vuol partireシッラ,メテッラ,そして チェーリア その者は 去ろうとする SILLAシッラ Mio bel nume, t'arresta!私の美しい神よ、待ちなさい! non mi lasciar del caro volto privo!私を いとしい顔を欠いたままにするでない【≒ 私に いとしい顔を 見せずにいないででくれ】! (prende Celia per la mano, e Metella gliela strappa dalle mani)(チェーリアを捕まえる 手で【≒ チェーリアの手を取る】) METELLAメテッラ Non oltraggiar l'altrui onestà, lascivo!冒涜するでない 他の人の誠実さを、好色な男め! SILLAシッラ Ancor tu, ardita, tenti君もまた、厚かましい女よ、試みるのか disturbar le mie gioie?私の歓喜を 妨害することを? METELLAメテッラ Il ciel, lo sdegno mio, nulla paventi?天を、私の怒りを、君は 少しも 恐れていないのか? SILLAシッラ (vuole abbracciar Celia, ma Metella lo impedisce)(チェーリアを 抱きしめようとする、しかし メテッラが 彼を 阻止する) Scostati, over...遠ざかりなさい【≒ どきなさい】、さもないと… METELLAメテッラ Ti trarrò prima il core私は まず 君の心臓を 引き抜こう。 SILLAシッラ Superba, lo saprai.高慢な女め、君は それを 見るだろう【≒ 覚えていなさい】。 (parte infuriato)(退場する 激昂して) METELLAメテッラ Forza d'amore!愛の力だ! |
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14. Aria Metella |
12/8 B-flar major |
METELLAメテッラ (verso Celia)(チェーリアに向かって) Hai due vaghe pupillette君は 二つのかわいらしい両目を 持っている che fan scorta al Dio d'amor.それらは 付き添いを させている 愛の神に【≒ 君の両目には 愛の神が伴っている】。 Ride il brio nel tuo sembiante快活が 微笑むと 君の顔で【≒ 君の顔が 明るく 微笑むと】 ed a se tragge ogni cor.すると 自らに 引寄せる あらゆる心を。 (partono)(【二人とも】 退場する) |
ダル・セーニョを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅸ第9場 Giardino con palazzo di Lepido nel fondo, in mezzo di cui s'innalza la statua dì Silla庭園 レピドの館をを伴った 奥に、その中央に シッラの像が 立っている Flavia e Sillaフラーヴィア と シッラ FLAVIAフラーヴィア Che miro? oh Dei! qui Silla?私は 何を 見詰めているのか? ああ 神々よ! ここに シッラが? SILLAシッラ Son io; Flavia; che temi?私だ; フラーヴィアよ; 君は 何を 恐れているのか? egro d'amor ricerco愛に苦しんで 私は 再び探している al disperato mal rimedi estremi.絶望的な苦痛に対する 極度の治療法を。 (vuol abbracciarla, ed ella s'inginocchia)(彼女を 抱こうとする、しかし 彼女は 跪く) FLAVIAフラーヴィア Supplice alle tue piante,嘆願する 君の足の裏に【≒ 君の足元に】、 signor...貴君よ… SILLAシッラ Bella, risorgi!美女よ、再び起きなさい t'offro la man di sposo e in un d'amante.私は 君に 提供する 花婿の手を そして 同じく 恋人の【手を】。 FLAVIAフラーヴィア È vana ogni speranzaどの希望も 無益だ di vincer il mio cor.私の心を 獲得する【どの希望も】 SILLAシッラ Avrò costanza, idolo mio.私は 粘り強さを持とう、私の偶像よ。 FLAVIAフラーヴィア Parti!去りなさい! SILLAシッラ Non posso.私は できない。 FLAVIAフラーヴィア Oh Dio!ああ 神よ! SILLAシッラ Il duce sì temutoこれほどに 恐れられえた 指揮官を dell'imperio latin così disprezzi?ラテン帝国の 君は このように 軽蔑するのか? FLAVIAフラーヴィア Così 'l mio onor apprezzi?このように 君は 私の名誉を 尊重するのか【≒ この程度にしか 君は 私の名誉を 評価しないのか】? (mentre Silla vuol abbracciarla di nuovo, calano quattro spettri, che girano attorno alla statua di Silla, quale si profonda, sorgendo invece di quella un cipresso, albero funesto)(シッラが 彼女を 抱こうとする時 あらあたに、4人の亡霊が 降りて来る、その者たちは 回る シッラの像の周りを、それは 沈む、それの代わりに イトスギが立ち上る 不吉な木である) FLAVIAフラーヴィア Mira, tiran, ch'il cielo見詰めなさい、暴君よ、天が ti minaccia rovine.君の破滅を 威嚇している 【↑】のを。 SILLAシッラ Or la mia imago今 私の象は va negli Elisi a coronarsi il crine.エリージ【= エリュシオン】に行っている 髪に 冠を載せに。 (tenta ancora ad abbracciarla)(また 彼女を 抱こうと試みる) FLAVIAフラーヴィア Cieli! chi mi soccorre?天々よ! 誰が 私を 救うのか? Esce Lepido colla spada alla manoレピドが 出て来る 剣をもって 手に SCENA Ⅹ第10場 Lepido e li suddettiレピド と 前の場の人たち LEPIDOレピド Tanto ardisci?それほどたくさん 君は 厚かましくも するのか【≒ 君は それほどに厚かましいことをするのか】? SILLAシッラ Il tuo tetto君の屋根【≒ 家,館】は è de' ribelli miei fatto ricetto.出来上がっている 私の反逆者たち【= フラーヴィアとレピド】の隠れ家に。 (Silla chiama i suoi soldati)(シッラは 呼ぶ 彼の兵士たちを) Olà! ch'ambo costor' sian custoditiそら! 両方の奴らが 監視されるように in due carceri orrendi.二つの 恐ろしい牢獄で。 (Silla parte)(シッラは 退場する) (mentre i soldati vogliono prendere la spada a Lepido, egli si mette in difesa, ma lo impedisce Flavia)(兵士たちが レピドの剣を取ろうとする時、彼は 身を置く 防御に【≒ 身を守る】、しかし 彼を フラーヴィアが 阻止する) FLAVIAフラーヴィア Cedi, o caro, e dal ciel soccorso attendi.降参しなさい、ああ いとしい人よ、そして 天による救助を 待ちなさい。 |
va negli Elisi a coronarsi il crine. エリージ = エリュシオン,死後の楽園。 |
15. DUETTO Flavia Lepido |
Adagio 4/4 f minor |
FLAVIA E LEPIDOフラーヴィア と レピド Ti lascio, idolo mio,私は 君と 別れる、私の偶像よ、 ma teco resta il cor.けれども 心は 君と共に 残る。 (partono, custoditi da soldati)(【二人とも】退場する、兵士たちに監視されて) |
単一形式の二重唱。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA ⅩⅠ第11場 Celia, Claudio; Silla con Scabro e soldati, osservandoli in disparteチェーリア,クラウディオ; シッラ スカーブロと兵士たちと共に,離れて観察して CLAUDIOクラウディオ Anima mia!私の魂よ! CELIAチェーリア Mio caro!私の いとしい人よ! CLAUDIOクラウディオ Alfine la mia fedeついに 私の誠意は ha per premio il tuo amor.獲得している 褒美として 君の愛を。 CELIAチェーリア Giusta mercede!適切な報酬だ。 CLAUDIOクラウディオ Oh! dolci accenti!ああ! 甘い口調【≒ 言葉】だ! CELIAチェーリア Oh! punto sospirato!ああ! 待望の点【≒ 瞬間】だ! Ma se Silla inumano...?だが もし 非人間的なシッラが…? CLAUDIOクラウディオ Difenderti saprò con questa mano.私が 守ることが できよう この手で。 (Silla s'avanza, ed i soldati circondano subito Claudio prendendogli la spada)(シッラは 進み出る、そして 兵士たちが 包囲する たちまち クラウディオを 彼の剣を取って) SILLAシッラ Troncherò il vostro nodo!君たちの絆を 打ち砕こう! CLAUDIOクラウディオ Ah! crudo mostro!ああ! 残酷な怪物め! CELIAチェーリア Signor, pietate! aita!貴君よ、哀れみを! 助けを! Claudio sol...クラウディオだけは… SILLAシッラ ...morirà.…死ぬだろう。 CELIAチェーリア Dagli la vita!彼に 命を 与えなさい! CLAUDIOクラウディオ Ha de' fulmini il cielo?天は 雷を 持っていないのか? CELIAチェーリア Lanci pur contro te Giove il suo telo.どうか ジョーヴェ【= ユピテル】が 投げ付けるように 君に向かって 彼の投げ槍を。 SILLAシッラ Costui vada tra marmi; e Celia intantoこの男が 行くように 大理石【≒ 墓石 ≒ 墓】の中に; そして チェーリアは 今のところは purghi il suo error col pianto贖うように 彼女の過ちを 涙で nei alberghi custodita!監視された住居の中で。 CELIA E CLAUDIOチェーリア と クラウディオ Addio, cara mia vita.さようなら、いとしい私の命よ。 (parte)(退場する) (parte)(退場する) SCENA ⅩⅡ第12場 Silla e Scabroシッラ と スカーブロ SILLAシッラ Scabro: Lepido sia dai stral traffitto,スカーブロよ: レピドは 矢によって 刺し貫かれるように、 Claudio cibo alle fere;クラウディオは 猛獣への食べ物に; tanto eseguisci. Ora trionfa amore,そのことを 遂行しなさい。今こそ 愛の神が 勝利を収める、 se gli offre due olocausti 'l mio furoreもし 私の怒りが 捧げるならば 二人の犠牲を 彼【≒ 愛の神】に。 |
Alfine la mia fede / ha per premio il tuo amor. Bärenreiter の楽譜ではここは Alfine と1語になっているので ついに,とうとう の意味。 Lanci pur contro te Giove il suo telo. ジョーヴェ = ユピテル,ジュピター,ローマ神話の主神。 Claudio cibo alle fere; fere < fera = fiera 猛獣,野獣 |
16. ARIA Silla |
3/8 g minor |
SILLAシッラ La vendetta è un cibo al cor,復讐は 心の糧だ、 se la chiede offeso amor.もし 愛の神が 侮辱されて それ【= 復讐】を 求めているのなら。 E chi vuole ben goder,そして 十分に 心から楽しみたい者は、 offra vittime al piacer!犠牲を捧げるがいい 楽しみに! (parte, restando Scabro)(退場する、スカーブロは居残って) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 《アマディージ》第1幕のダルダーノのアリア Pugnero contro del fato で再利用。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA ⅩⅢ第13場 Metella e Scabroメテッラ と スカーブロ METELLAメテッラ Oh! perfido consorte!ああ! 不実な夫め! grida al trono d'Astrea sangue innocente.彼は 大声で呼んでいる アストレア【= アストライアー】の玉座に 無実の血を。 Che farò? Scabro, oh Dio! alfin da morte私は 何を しようか? スカーブロよ、ああ 神よ!最後には 死から per sottrarli farammi il ciel possente.彼を 救わせようと 私に させるだろう 強力な天が。 Metella prende per la mano Scabro e lo conduce via seco in fretta.メテッラは スカーブロの手を取り 連れ去って行く 急いで。 |
grida al trono d'Astrea sangue innocente. アストレア = アストライアー,ギリシャ神話の正義の女神 Che farò? Scabro, oh Dio! alfin da morte Bärenreiter の楽譜ではここは alfin と1語で 最後に の意味。 |
17. Aria Claudio |
Adagio e staccato 4/4 g minor |
SCENA ⅩⅣ第14場 Cortile che corrisponde al serraglio delle fere中庭 それは 面している 猛獣たちの囲い地に Claudio alla finestra d'una torre in atto d'esser gettato nel serraglioクラウディオ 塔の窓で 囲い地に 投げられようとしている時に CLAUDIOクラウディオ Se 'l mio mal da voi dipende,もし 私の不幸が あなたたち次第であるならば、 perché, o Dei, non l'impedite?どうして、ああ 神々よ、それ【= 不幸】を 阻止しないのか? |
単一形式のアリア。 《アマディージ》第3幕のダルダーノのレチタティーヴォ・アッコンパニャート Han' penetrato i detti tuoi l'inferno の素材として再利用。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA ⅩⅤ第15場 Silla e Scabro, che getta a' piedi di Silla una veste forata ed insanguinata, creduta di Lepidoシッラ と スカーブロ、その者は 投げる シッラの足元に 穴の開いた そして 血塗れにされた衣服を、【それは】レピドの と思われる SILLAシッラ Sì, questi son trofei, però imperfetti,そうだ、これらは 戦利品だ、しかし 不完全だ【けれども】、 del mio amor di mia gloria.私の愛の 私の栄光の【戦利品だ】。 Vanne, mio fido, e me presente Claudioここから行け、私の忠実な男よ、そして 私の前で クラウディオが tra le fere mi dia piena vittoria!猛獣たちの間で 私に 完全な勝利を 与えるのを! Mentre Scabro vuol partire, rincontra Metella affrettata, che lo trattiene.スカーブロが去ろうとする時、彼は 急ぎの【≒ 慌てふためいた】メテッラと 再び出くわす、その者は 彼を 引き留める。 SCENA ⅩⅥ第16場 Metella, Silla e Scabroメテッラ,シッラ と スカーブロ METELLAメテッラ Deh! corri al tuo signore!ああ! 君の主人のところに 駆け付けなさい! (Scabro corre verso Silla, e questo va affrettato verso Metella)(スカーブロは 走る シッラの方に、そして この男【= シッラ】は 行く 急いで メテッラの方に) SILLAシッラ Qual furore ti trae?どのような怒りが 君を 引っ張っているのか? METELLAメテッラ La tua salvezza!君の救出が! SILLAシッラ Come?何だって? METELLAメテッラ Di Mario insorge empia catervaマーリオの邪悪な軍勢が 反乱を起こしている contro di te.君に対して。 SILLAシッラ La morte dell'indegno,恥ずべき男の死を、 (dimostrandogli Claudio)(彼に クラウディオを 示して) Scabro, eseguisci! lo corroスカーブロよ、遂行しなさい! 私は 急いで向かう a recider col fer l'idra proterva.断ち切りに 鉄【≒ 剣】で 傲岸なイドラ【= ヒュドラ,ギリシャ神話の怪物】を。 (parte infuriato)(退場する 激昂して) SCENA ⅩⅦ第17場 Metella, Scabro, poi Lepido e Claudioメテッラ,スカーブロ,それから レピド と クラウディオ METELLAメテッラ T'affretta, oh Scabro, ed ambi急ぎなさい、ああ スカーブロよ、そして quegli innocenti a me conduci! Il cieloあの 【↑】両方の無実の人を 私のところに 連れてきなさい! vedo arrider pietoso al mio gran zelo.私は 見ている 【↑】天が 微笑んでいるのを 哀れみ深く 私の大きな熱意に。 |
Vanne, mio fido, e me presente Claudio me presente = alla mia presenza 私の前で。 |
18. Aria Metella |
4/4 B-flat major |
METELLAメテッラ Secondate, o giusti Dei,手助けをしなさい、ああ 公正な神々よ、 l'innocenza a sollevar,無実を 安心させるために、 ché qual fiamma i voti mieiなぜなら 炎のように 私の願いは ponno in voi centro trovar!あなたたちの中心を 見付けることができる 【↑】からだ! Scabro conduce Lepido e Claudio, che, presi per la mano da Metella, vengono da lei condotti via frettolosamente.スカーブロは レピド と クラウディオを 連れて来る、その者たちは、メテッラによって 手を 取られて、行ってしまう 彼女に同伴されて 急いで。 |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 |
ATTO TERZO | |||
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅰ第1場 Corridore che corrisponde agli appartamenti di Metella通路 それは メテッラの住居に 通じている Metella e Lepidoメテッラ と レピド LEPIDOレピド Quanto devo, o Metella,何と 私は 負っていることか、ああ、メテッラよ、 al tuo cor generoso!君の寛大な心に! METELLAメテッラ Dovea impedir la tirannia d'un sposo.私は 夫の独裁政治を 阻止しなければならなかった。 LEPIDOレピド Or che per te respiro君のおかげで 今 私は 呼吸している【≒ 息を吹き返している】からには e vita e libertà, lascia ch'io sciolgaそして 命と 自由が【息を吹き返したからには】、させておきなさい 私が 解放するままに colla morte di Sillaシッラの死で da' lacci Roma.ローマを 拘束から。 METELLAメテッラ Taci! alfin son moglie.黙りなさい! 私は 結局 彼の妻だ。 LEPIDOレピド E di Flavia, mio ben, cara consorte,それでは フラーヴィアの、私の最愛の人、いとしい配偶者、 qual è 'l destin?運命は どうなるのか? METELLAメテッラ Avrà felice sorte.彼女は 幸せな運命を 得るだろう。 SCENA Ⅱ第2場 Scabro, Metella e Lepidoスカーブロ、メテッラ そして レピド Scabro dà una lettera a Metella, che la legge.スカーブロは 差し出す 一通の手紙を メテッラに、その者は それを 読む。 METELLAメテッラ Dunque partir deve il mio sposo ingrato?それでは 出発しなくてはならないのか、 私の恩知らずの夫は? LEPIDOレピド Oh sorte inaspettata!ああ 予期しない運命だ! METELLAメテッラ Ah, crudo fato!ああ、酷い運命だ! Scabro, allora che Sillaスカーブロよ、その時に シッラが volge il piè dalle mura,足を 向ける 城壁から、 nel carcere di Flaviaフラーヴィアの牢獄に向けて Lepido scorta, ed indiレピドに 付き添いなさい【≒ レピドを 連れて行きなさい】、そして それから della sua libertà prendine cura.そのことについて 彼女の自由の面倒を見なさい。 LEPIDOレピド Si strugge per la gioia il petto mio.私の胸は 歓喜に 思い焦がれる。 METELLAメテッラ Mi desse almen quel crudo un dolce addio.せめて 私に 与えるならば あの残酷な男が 優しい別れ【の言葉】を |
Or che per te respiro / e vita e libertà, おそらく Or che io respiro e la vita respira e la libertà respira ということなのだろう。この場合の respirare は 息を吹き返す という意味で用いられていると思われる。 |
19. Aria Metella |
Adagio e staccato 4/4 A major |
METELLAメテッラ lo non ti chiedo più, o sposo amato,私は もう 求めていない、ああ 最愛の夫よ、 prima del tuo partir ch'un dolce addio.君の出発の前に 優しい別れ【の言葉】の他には【≒ 私は ただ 出発前に 優しい別れの言葉を 求めているだけだ】。 ché se ver me d'ognor tu fosti ingrato,たとえ 君が 私に対して いつも 不実だったとしても、 li falli tuo pietosa adesso oblio.私は 今 君の過ちを 哀れみ深く 忘れている 【↑】からだ。 |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 《アマディージ》第1幕のオリアーナのアリア Oh caro tesor, deh! に再利用。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅲ第3場 Lepido e Scabroレピド と スカーブロ LEPIDOレピド Alla tua fedeltade, o caro amico,君の忠実さには、ああ 親愛なる友よ、 fia eterno il mio dover. Quante comparte私の義務は 永遠だ。何と多くの 【↓】感謝の思いを grazie il ciel, se mi serba天は 【私に】 【↑】配分する 【≒ 与える】ことか、もし 私に 取っておいたなら Flavia, ch'è del mio cor la miglior parte!フラーヴィアを、その者は 私の心の最高の割り当てだ【≒ 私の心の大部分を占めている】。 |
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20. Aria Lepido |
4/4 B-flat major |
LEPIDOレピド Già respira in petto il core,心は 胸の中で 既に 息を吹き返している se l'amore愛の神が tutto in gioia lo cangiò.すっかり 喜びに それ【= 心】を 変えた 【↑】のだから。 E con iride serenoそして 虹の掛かった 晴天は doppo tenebre moleste,しつこい闇の後の、 or placate le tempeste,嵐が 静まった 今、 al piacer mi destinò.喜びへと 私を 差し向けた。 |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 E con iride sereno iride 虹 は女性名詞なので、男性形の sereno はiride に掛かる形容詞ではない。この sereno は男性名詞 晴天 で、con iride sereno は sereno con iride 虹のかかった晴天 と理解すべきである。そしてこれが destinò の主語である。 doppo tenebre moleste, doppo = dopo このアリアも、iride 虹,tenebre 闇,tempeste 嵐 と心情を天気に喩えた内容である。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅳ第4場 Sillaシッラ SILLAシッラ L'imper, quanto è più vasto, è più pesante,帝国は、広くなればなるほど、重く圧し掛かり、 e dà noie ai pensier, gioie in sembiante.迷惑をかける 考えに【≒ 思考の邪魔になる】、喜びのもと 外見では【≒ 一見すると 喜びのもとなのだが】。 Or che dovrei bearmi私は 楽しむべきであろう 今であるのだが e di Celia e di Flavia in dolci amplessi,そして チェーリアを そして フラーヴィアを 愛情の篭った抱擁で、 devo in Trinacria tacito portarmi.私は トリナクリア【= シチリア】に ひっそりと 赴かなければならない。 Ma l'amor...だが 愛が… (pensa un poco)(少し 考える) No, la gloria...いいや、栄光が… (pensa, ma poi risoluto)(考える、しかし それから 決然と) Sì; olà! qui Celia venga,よし; おい! ここに チェーリアが 来るように、 parte del mio ardor prima si spenga!私の熱情の一部が まず 消えるように! SCENA Ⅴ第5場 Celia e Sillaチェーリア と シッラ SILLAシッラ Placasti, o bella diva, il tuo rigore?君は 静めたのか、ああ 美しい女神よ、君の手厳しさを。 CELIAチェーリア Silla, solo per Claudio io sento amore.シッラよ、クラウディオに対してだけ 私は 愛を 感じる。 SILLAシッラ Ma il mio affetto?だが 私の情愛は? CELIAチェーリア Non curo.私は 気にしていない。 SILLAシッラ La mia grandezza?私の 偉大さは? CELIAチェーリア È vana.それは 無意味だ。 SILLAシッラ Il mio poter?私の力は? CELIAチェーリア Non temo.私は 恐れていない。 SILLAシッラ Pensa...考えなさい… CELIAチェーリア ... che sei tiranno.… 君が 暴君であることを。 SILLAシッラ Dono a merti del padre私は 【君の】父【= カトゥーロ】の手柄に 与えた di vendetta il conforto.復讐の慰めを。 CELIAチェーリア Claudio, cor mio!クラウディオを、私の心を! SILLAシッラ Claudio, superba, è morto.クラウディオは、高慢な女よ、死んだ。 (parte in collera)(退場する 激怒して) CELIAチェーリア (correndogli dietro)(彼の後を 走って) È morto? ah, dispietato!彼が 死んだ だと? ああ! 冷酷な男め! crudel! ma più di te, barbaro fato!残忍な奴め! だが 君よりも さらに【残忍だ】、残酷な運命は! |
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21. Aria Celia |
3/4 g minor |
CELIAチェーリア Sei già morto, idolo mio,君は 既に 死んでいる、私の偶像よ、 per far vivo il mio dolor.私の悲しみを 激しくするために。 Pur dovrò seguirti anch'io,同様に 私も また 君の 後を追わなくてはならないだろう、 se con te parte il mio cor.もし 私の心が 君と共に 去るならば。 (resta pensosa)(考え込んだままでいる) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 Aのみ《アマディージ》第3幕のメリッサのアリオーソ Io gia sento l'alma in sen に再利用している。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅵ第6場 Celia, e Claudio in disparteチェーリア, そして クラウディオ 離れて CELIAチェーリア Rimembranze funeste不幸をもたらす 思い出よ dell'estinto mio Claudio!死んだ 私のクラウディオの! CLAUDIOクラウディオ Claudio!クラウディオ! CELIAチェーリア (si volge spaventata, non osservando Claudio)(【振り】向く 驚いて、クラウディオに気付かずに) Tu ancora, eco crudele,お前は また、酷い ひどい 木霊 こだま よ、 con quel nome adoratoその最愛の名前で ora le pene mie fai redivive?今 私の苦しみを 生まれ変わらせるのか? CLAUDIOクラウディオ Vive.生きている。 CELIAチェーリア Vive, sì, in questo cor sempre costante.彼は 生きている、そうだ、この心の中で いつでも 不動で【≒ ずっと変わらず】 CLAUDIOクラウディオ Costante.不動で。 CELIAチェーリア Ah! perché non potei, idolo mio,ああ! どうして 私は できなかったのか、私の偶像よ、 renderti dal tiranno allor sicuro?あの時 君を 暴君から 無事にすることを? CLAUDIOクラウディオ Sicuro.無事だ。 CELIAチェーリア E vivrò in sì infelice secolo?それで 私は 生きるのだろうか これほどに不幸な時代を? CLAUDIOクラウディオ Eccolo!ほらここに彼が! (Claudio si presenta a Celia, ed ella si ritira spaventata)(クラウディオは 現れる チェーリアの前に、そして 彼女は 後ろに下がる 驚いて) CELIAチェーリア Ombra adorata, oh Dei!最愛の幽霊だ、ああ 神々よ! CLAUDIOクラウディオ Ah! mia bella, son io, scaccia il timore!ああ! 私の美女よ、私だ、振り払いなさい 恐怖を! Metella mi salvò.メテッラが 私を 救出した。 CELIAチェーリア Celia, fa' core!チェーリアよ、勇気を出しなさい! (gli si accosta pian piano)(彼に 近付く 少しずつ) Deggio creder ai lumi?私は 信じるべきなのか 【私の】目を CLAUDIOクラウディオ Anima mia, stringimi al sen.私の魂よ、私を 胸に 抱きなさい。 CELIAチェーリア Il cor più non desia.心は さらに 欲しない【≒ 心が さらに 望むものは ない】。 |
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22. Aria Sesto |
3/8 D major |
CLAUDIOクラウディオ Luci belle,美しい目よ、 serene stelle,澄み切った星々【≒ 両眼】よ、 del mio cor tiranne amate,私の心の 最愛の暴君たちよ【≒ 私の心を捕らえて離さない 愛するものたちよ】 voi sol dateお前たち【≒ 両眼】だけが 与える vita e spirto all'alma mia.命と 精神を 私の魂に。 Da voi solo pende il mio fato,お前たちからだけ 私の運命は 掛かっている né agli Elisi ancor beatoエリージ【= エリュシオン】でも なお 最高に幸せでは senza voi già mai saria.私は 決して 【↑】ない だろうに お前たちなしでは。 (partono)(【二人とも】退場する) |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 né agli Elisi ancor beato エリージ = エリュシオン,死後の楽園。 |
23. ARIA Flavia |
Allegro 3/4 4g minor |
SCENA Ⅶ第7場 Prigione, ove sta Flavia牢獄、そこに フラーヴィアがいる FLAVIAフラーヴィア Stelle rubelle,敵対する星々よ、 a torto morirò.不正にも 私は 死ぬだろう。 |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のアリア。 |
Adagio 4/4 (g minor) |
Ma infelice sarìa il vivere,だが 不幸なのかもしれない 生きることは se l'amato mio consorteもし 最愛の私の夫が colla morte死で agli Elisiエリージ【= エリュシオン,死後の楽園】への il sentiero m'additò道を 私に指し示したならば。 |
Bは臨時記号で調性が揺れている。 agli Elisi エリージ = エリュシオン,死後の楽園。 |
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Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅷ Flavia, e Silla con un soldato che porta un bacile coperto, sopra di cui vi è la veste lacerata creduta di Lepidoフラーヴィア、そして シッラ 一人の兵士を伴って その者は 水盤【≒ 盆】持って来る、その上には 引き裂かれた服がある レピドの【もの】と思われる SILLAシッラ Al fin del mio rigore,私の手厳しさの目的を、 bella, pentito, ora risveglio amore.美女よ、改心して【≒ 厳しさで言うことを聞かせようと思っていたが、それを考え直して】、今 私は 愛を 再び目覚めさせている。 FLAVIAフラーヴィア Vanne, lascivo!行ってしまえ、好色な男め! SILLAシッラ Uno sguardo non mi negar.私への一瞥を 否定するでない【≒ 一目 私を 見なさい】。 FLAVIAフラーヴィア Sol di vendetta io ardo,ただ 復讐だけに 私は 燃えている、 barbaro, del mio sposo残酷な男よ、私の夫について rendi ragione.説明しなさい。 SILLAシッラ Egli ha dolce riposo.彼は 穏やかな休息を 持っている。 FLAVIAフラーヴィア Forse là negli Elisi?ことによると あそこに エリージ【= エリュシオン】に? SILLAシッラ Dove irai, se non plachi un tanto orgoglio!そこに 君は 行くだろう、もし 君が 和らげないならば それほどたくさんの高慢さを! FLAVIAフラーヴィア Avrò sempre per te petto di scoglio;私は 持とう いつも 君に対しては 岩礁の【ように不動の】胸を; su via, tiran! recidiさあ そら、暴君よ! 断ち切りなさい questa misera vita, e fa' che l'almaこの哀れな命を、そして しなさい 魂が si congiunga al mio bene!結び付くように 私の最愛の人と! SILLAシッラ Il tuo fato vicin là si contiene.君の運命は もうすぐ そこに 含まれる。 (le fa gettar a' piedi la veste di Lepido e parte sdegnato)(【兵士に】 投げさせる 彼女の足元に レピドの服を そして 退場する 憤慨して) |
Al fin del mio rigore, / bella, pentito, ora risveglio amore. ここでの fine は男性名詞なので、女性名詞の場合の 終わり ではなく、目的 もしくは 限界 の意味。シッラはフラーヴィアを脅して手込めにしようと目論んでいたが、それを考え直し、甘言を弄して陥落させようと思ったのである。pentito は 後悔した というよりは 改心した。なお、成句の alfine 最後に,ついに を2語にばらす時は alla fine になる。 barbaro, del mio sposo rendi ragione. この場合の ragione は 釈明。rendere ragione di = rendere conto di ―について報告/説明/釈明する。 Forse là negli Elisi? エリージ = エリュシオン,死後の楽園。 |
23a. ARIA, SECONDA PARTE Flavia |
Adagio 4/4 (g minor) |
FLAVIAフラーヴィア Ma infelice sarìa il vivere,だが 不幸なのかもしれない 生きることは se l'amato mio consorteもし 最愛の私の夫が colla morte死で agli Elisiエリージ【= エリュシオン,死後の楽園】への il sentiero m'additò道を 私に指し示したならば。 |
23のアリアのBの部分のみ。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA Ⅸ第9場 Scabro che conduce Lepido in prigione, e Flavia, credendolo un fantasma, corre con tutto ciò ad abbracciarlo.スカーブロ その者は連れて行く レピドを 牢獄に、そして フラーヴィアは、彼を 亡霊だと 信じて、急いで向かう それにもかかわらず 彼を抱き締めに FLAVIAフラーヴィア Spirto adorato, oh Dio!最愛の幽霊よ、ああ 神よ! Vieni per consolare il duolo mio?君は 和らげに 来ているのか 私の苦しみを? LEPIDOレピド I fantasmi funesti不吉な亡霊たちを lascia, mia cara! il tuo consorte è questi.放っておきなさい、私のいとしい女よ! 君の配偶者だ この人は! FLAVIAフラーヴィア Ah, lusinghe d'amor!ああ、愛の幻想だ! LEPIDOレピド Fugga i sospetti! Lepido son.君が 疑いを 避けるように!私は レピドだ。 FLAVIAフラーヴィア Ah, fantasia d'affetti!ああ、情愛の妄想だ! LEPIDOレピド Metella mi salvò.メテッラが 私を 救出した。 FLAVIAフラーヴィア Sogno, o vaneggio?私は 夢を見ているのか、それとも 私は とんでもない空想に耽っているのか? ed è ver?それで それは 本当なのか? LEPIDOレピド Sì, mio cor.そうだ、私の心よ。 FLAVIAフラーヴィア Altro non chieggio.他を 私は 求めていない【≒ 他には 何も いらない】。 SCENA Ⅹ第10場 Notte con luna in cielo, spiaggia di mare con piccolo vascello e barchetta al lido夜 空に月のある、海の浜辺 小さな帆船のある そして 小舟 岸に Silla e Metellaシッラ と メテッラ SILLAシッラ Metella, oh Dio!メテッラよ、ああ 神よ! qual sento affanno nel lasciarti!私は 何と不安を感じていることか 君と 別れる時に! METELLAメテッラ Ed io tormento,そして 私は 苦悩を 【感じている】、 ah! che del nostro amoreああ! 私たちの愛の si ravviva la fiamma.炎が 蘇っている 【↑】からだ。 SILLAシッラ E strugge il core.そして それ【= 愛の炎】が 心を 苦しめている。 Dura necessità!つらい宿命だ! METELLAメテッラ Partenza atroce!ひどくつらい出発だ! SILLAシッラ Mi divide da te!君から 別れる! METELLAメテッラ Destin feroce!残酷な運命だ! SILLAシッラ Sposa amata, perdona il mio rigore.最愛の妻よ、私の手厳しさを 容赦しなさい。 METELLA E SILLA Sempre è più forte dopo i sdegni amore.愛は いつでも よりいっそう強くなる 怒りの後では。 |
lascia, mia cara! il tuo consorte è questi. ここでの questi は 男性単数形 この人。questo の男性複数形ではない。 |
24. Duetto Metella Silla |
4/4 F major |
METELLA E SILLAメテッラ と シッラ Non s'estingue mai la fiamma炎は 決して 消えない che in un core accese amor.それは 心の中に 愛を 点火した。 Sotto ceneri di sdegno怒りの【燃えた後に残った】灰の下では ha Cupido un bel disegnoクピード【= ローマ神話の愛の神。キューピッド】が 素敵な目論みを持っている di esalar più forte ardor.より一層強く 熱情を 露わにするという。 Silla s'imbarca, vedendosi il vascello ad entrare in alto mareシッラは 乗船する、帆船が見られる 沖合に出るのが |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式の二重唱。 この二重唱は初演時の印刷台本には載っているものの、いずれの筆写譜にも音楽がなかった。ヘンデルが音楽を付けなかったか、音楽を書いたものの筆写される前の段階で失われたか、分からないが、この場面が重要であることは一目瞭然だろう。 2000年のロンドンでの上演(参考資料のCDを参照)の際、アンソニー・ヒックスの発案で、ヘンデルの《自分に勝つことは大いなる勝利である(ロドリーゴ)》の中の二重唱 Prendi l'alma, prendi il core に歌詞を当て嵌めて復元された。 |
Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA ⅩⅠ第11場 METELLAメテッラ Propizio arrida il cielo情け深く 微笑むように 天が all'amato mio sposo! Oh Dei! che miro?最愛の私の夫に! ああ 神々よ! 私は 何を 見ているのか? Metella si volge a guardar il mare, e vede il vascello agitato da una gran burrasca, essendosi oscurata la luna, in di cui vece comparisce una gran cometa con lampi, tuoni e fulmini, e finalmente il vascello fa naufragio, salvandosi Silla a nuoto sopra uno scoglio; Metella correndo per la scena.メテッラは 体を向ける 海を見るために、そして 見る 帆船が 揺さ振られているのを 大きな突風によって、月は陰って、それの代わりに 巨大な彗星が現れる 稲光、雷鳴と雷を伴って、そして ついに 帆船は難破する、シッラは逃れて 泳いで 岩礁の上に; メテッラは 駆け付ける 舞台を抜けて METELLAメテッラ Assistete, soccorrete, sommi Dei!救護しなさい、救いなさい、至高の神々よ! esaudite i voti mei!聞き届けなさい 私の願いを! Entra risoluta nella barca, e vogando arriva allo scoglio, ove prende Silla, conducendolo via seco決然と 小舟に入り、そして 漕いで 岩礁に到着する、そこで シッラを受け取り、彼女と一緒に彼を連れ去って |
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Recitativo |
4/4 (C major) |
SCENA ⅩⅡ第12場 Piazza di Roma, ove nel fondo, alla sommità d'una grande scalinata, si vede il Campidoglioローマの広場、そこでは 奥に、巨大な大階段の頂点に、カンピドーリオの丘が見える Lepido, Flavia, Claudio, Celia, senatori, popolo; poi Silla e Metellaレピド,フラーヴィア,クラウディオ,チェーリア,元老院議員たち,人々; それから シッラ と メテッラ LEPIDOレピド Pera la feritade!残忍さが 滅びるように! CLAUDIOクラウディオ Cessi la crudeltade!非道な行為が 止むように! TUTTI Libertà, libertade!自由を、自由を! Vi scende un nube che copre il Campidoglio, ed aprendosi poi, comparisce Marte nella sua gloria. Tutti si metton inginocchioni per adorare quel nume, ed in questo punto esce Metella con Silla che, mettendosi in loco rilevato, rassegna la spada e rinonzia a tutte le dignità, dimandando perdono a Marte ed alla patria di tutti li di lui errori.そこに 雲が 降りて来て、それは カンピドーリオの丘を 覆う、そして それから それは 開けて、マルテ【= マルス,ローマ神話の軍神】が 現れる 彼の栄光の中に。全員が 身を置いて 跪いて 崇めるために その神を、そしてこの点【= 瞬間】に メテッラが 出て来る シッラと共に その者は、身を置いて 高くなった場所に、剣を 提出し そして 放棄する すべての要職【≒ 高位の地位】を、赦免を乞うて マルテに そして 祖国に すべての彼の誤りの【赦免を乞うて】 |
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25. Sinfonia |
Adagio 4/4 G major |
マルテの現れる場面に適当な音楽が残されていなかったため、Bärenreiter の楽譜では、ここに《テゼオ》第3幕の幕切れ直前のミネルヴァ降臨の音楽から6小節を用いている。 |
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Recitativo |
4/4 (C major) |
SILLAシッラ De' miei falli pentito私の過ちを 後悔して al tuo nume, alla patria君の神に対して、祖国に対して chiedo perdon; e qui presente il cielo私は 赦免を 求めている; そして ここに 天が居合わせている【≒ 天の前で】 il popolo, il senato,人々【の前で】、元老院【の前で】、 depongo il fer, le dignità, gli onori,私は 下に置く 鉄【≒ 剣】を、要職を、名誉を、 per trar colla consorte i dì migliori.過ごすために 配偶者と共に 最善の日々を。 (tutti si levano, e Silla discende, abbracciando Metella)(全員が 立ち上がる、そして シッラは 降りる、メテッラを 抱擁して) LEPIDOレピド Giorno felice!幸せな日だ! FLAVIAフラーヴィア Ah! venturosa sorte!ああ! 運のよい運命だ! CELIAチェーリア (verso Silla)(シッラの方に) Signor, se mi permetti,貴君よ、もし 私を 許すならば、 Claudio fia...クラウディオが… SILLAシッラ ...sì, di te degno consorte.そうだ、君に相応しい配偶者だ。 CLAUDIOクラウディオ Cara, ti stringo al seno.いとしい女よ、私は 君を 胸に 【抱き】締める。 CELIA, FLAVIA, CLAUDIO E LEPIDOチェーリア,フラーヴィア,クラウディオ と レピド Doppo tante tempeste è il ciel sereno.夥しい嵐の後で 空は 晴れ渡っている。 |
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26. Coro Celia Flavia Lepido Metella Claudio Silla |
3/8 G major |
CELIA, FLAVIA, LEPIDO, METELLA, CLAUDIO E SILLAチェーリア,フラーヴィア,レピド,メテッラ,クラウディオ と シッラ Chi si trova tra procelle嵐の中に いる者は sol dal ciel speri conforto,ただ 天から だけ 支えを 期待する、 ché non san negar le stelle星々は 否定することが できない からだ a un cor fermo e calma e porto.揺るぎない心には そして 凪を そして 港を。 |
ダ・カーポを用いたA-B-Aの三部形式のコーロ。 per trar colla consorte i di migliori. この場合の trarre は (時間を)過ごす。 |
参考資料
G. F. ヘンデル オペラ《シッラ》 対訳・解説 / 対訳: 諏訪 羚子 / 解説: 三ヶ尻 正 / 2019 / 日本ヘンデル協会
Somm SOMMCD 227-8 |
SillaJames Bowmancountertenor LepidoJoanne Lunnsoprano ClaudioSimon Bakercountertenor MetellaRachel Nichollssoprano FlaviaNatasha Marshsoprano CeliaElizabeth Craggsoprano Il DioChristopher Dixonbasso The London Handel Orchestra Denys Darlow 11 April 2000 Concert Hall of the Royal College of Music, London, UK Live Recording |
GLOSSA GCD 923408 |
SillaSonia Prinacontralto LepidoVivica Genauxmezzosoprano ClaudioMartina Bellimezzosoprano MetellaSunhae Imsoprano FlaviaRoberta Invernizzisoprano CeliaFrancesca Lombardi Mazzullisoprano Il DioLuca Tittotobasso Europa Galante Fabio Biondi 28-30 January 2017 Konzerthaus, Wien, Österreich Live Recording |