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公開 2023年12月27日

最新更新 2024年01月04日

無断転載 厳禁

CHARLES GOUNOD

FAUST

初演 1859年3月19日 パリ リリク劇場
First performance 19 March  1859, Paris, Theatre Lyrique

初演 歌い通される稿 1860年2月28日 ストラスブール
First performance on Versione entièrment chantée Strasbourg 28 February 1860

初演 グラントペラ 1869年3月3日 パリ オペラ座(ル・ペルティエ劇場)
First performance on Grand opéra francais 3 March 1869, Paris, L'Opera (Salle Le Peletier)

台本作家 ジュール・バルビエ 1825―1901 と ミシェル・カレ 1821―1872
Librettists Jules Barbier 1825 - 1901 and et Michel Carré 1821 - 1872

原作 ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 1749―1832 『ファウスト』第1部
Source Johann Wolfgang von Goethe 1749 - 1832 Faust, Part One

ACTE Ⅰ
N° 1 Introduction
N° 2 Scène et Chœur
N° 3 Scène
N° 4 Duo

ACTE Ⅱ - UNE KERMESSE
N° 5 Chœur général
N° 6 bis Scène et Récitatif et Cavatine
N° 7 Ronde du veau d'or
N° 8 Scène et Chœur
N° 9 Valse et Chœur

ACTE Ⅲ - LE JARDIN DE MARGUERITE
N° 10 Entracte et Couplets
N° 11 Scène
N° 12 Cavatine
N° 13 Récitatif
N° 14 Scène et Air
Chanson du roi de Thulé
Air de bijoux
N° 15 Scène
N° 16 Quatuor
N° 17 Scène
N° 18A Duo
N° 18B Scène

ACTE Ⅳ - Ⅰ LA CHAMBRE DE MARGUERITE
N° 19 Scène
N° 20 Récitatif et Romance 1
(ACTE Ⅳ -) Ⅱ
N° 21 Scène de l'église
(ACTE Ⅳ -) Ⅲ. LA RUE
N° 22 Chœur des soldats
N° 23 Récitatif et Scène
N° 24 Sérénade
N° 25 Trio du Duel
N° 26 Mort de Valentin

ACTE Ⅴ - Ⅰ. LES MONTAGNES DU HARTZ
N° 27 ENTRACTE
(ACTE Ⅴ -) Ⅱ. LA NUIT DE WALPURGIS
N° 28 Scéne et Chœur
(ACTE Ⅴ -) Divertissement
N° 29.1
N° 29.2 Couplets
N° 29.3
N° 29.4
N° 29.5
N° 29.6
N° 29.7
N° 29.8 Final - Bacchanale
(ACTE Ⅴ -) Ⅲ. LA VALLÉE DU BROCKEN
[Fin du N° 29 Scéne]
(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON
N° 30 Scéne
N° 31 Trio-Finale
N° 32 Apothéose

ANNEXES
ACTE Ⅱ N° 6 Scène et Récitatif, une versione originale
ACTE Ⅱ Cavatine Valentine du N. 6b texte originale en anglais
ACTE Ⅳ N° 17 Scène debut
ACTE Ⅳ N° 20 Scène
ACTE Ⅳ N° 20 Scène et Romance 2
ACTE Ⅳ N° 20 Romance 2, texte originale en italien
ACTE Ⅴ [Fin du N° 28 Scène et Chœur] et N° 29 Chant bachique et Scène
ACTE Ⅴ Chœur des Sorcières à la fin du N° 20
(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON une autre version du Adagio au N° 30 Scéne
(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON N° 30 Scéne, Scéne 2, une version plus développée
(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON Molto maestoso e grandioso, une version plus ancienne au N° 31 Trio-Finale

概要

シャルル・グノー 1818―1893 が最初にゲーテの『ファウスト』を、ジェラール・ド・ネルヴァルの仏語訳で、読んだのは、20歳頃のことだと推測されている。

1839年、カンタータ《フェルナン Fernad》でローマ賞を受賞したグノーは、1840年から1842年までの2年間をローマを拠点にイタリアに留学する。この滞在時にグノーは初めて『ファウスト』に関連する音楽を書いたのだが、そこからオペラの《フォスト》につながった素材は僅かだと考えられている。

1850年、グノーはパリのテアトル・デュ・ジムナズ・ドラマティク[注1]で、ミシェル・カレの演劇《フォストとマルグリート》を観劇した(初日は1850年8月19日)。この演劇の台本が、後にオペラ《フォスト》の台本の原作となる。

さて30代の新進作曲家グノーは、パリのオペラ座で、《サフォ Sapho》 1851年4月16日、《血まみれの修道女 La nonne sanglante》 1854年10月18日と新作オペラを発表する。しかし、とりわけ《血まみれの修道女》は批評家からの厳しい批判とオペラ座の監督の突然の交代によって、僅か11回の公演で終わってしまった(時間と金を大量につぎ込むオペラ座での上演では、数十回は上演が続かないと成功とはみなされない)。これによってグノーはオペラ座とはしばらく縁が無くなってしまう。

1856年、パリの民間の劇場、リリク劇場 Théâtre Lyrique の支配人に、レオン・カルヴァロ Léon Carvalho 1825―1897 が就任した。彼は、才能がありながらもまだパリで陽の目を見ていなかった若い作曲家たちを積極的に起用し、話題を集めることに成功した。そしてオペラ座で大失敗を被ったグノーもその一人になった。

オペラ《フォスト》の制作は、カルヴァロとグノーが出会ってすぐに始まったようだ。台本作家には高名なジュール・バルビエ Jules Barbier 1825―1901 が選ばれた。バルビエはカレの戯曲を基にかなり長い台本を書いた。《フォスト》の台本作家は一般的にバルビエとカレの連名になっているが、実際に大半を執筆したのはバルビエである。ただバルビエはカレのアイデアを多く残しているのみならず、詩句を踏襲している場合もある。当時リリク劇場では台詞を含んだオペラを扱っていたので、《フォスト》の台本もその形態であった。

いかに第1部だけとはいえゲーテの壮大な『ファウスト』をオペラ化すれば、長大な作品になるのは免れない。しかしリリク劇場ではオペラ座のような上演に5時間6時間もかかるようなオペラは舞台に掛けられない。グノーはバルビエの台本に音楽を書いていったが、リハーサルが始まると、カルヴァロはグノーに《フォスト》の大幅な短縮を要請する。最初期の台本と突き合わせると、《フォスト》の初稿の音楽は今日再現できないまでに失われてしまった。たとえば リズ Lise という役は初演の時点で完全に消されてしまった。

《フォスト》は1859年3月19日、パリのリリク劇場で初演された。これが第2稿に当たる。
初演の出演者は以下の通り。

マルグリート
Marguerite
カロリーヌ・ミオラン・カルヴァロ
Caroline Miolan-Carvalho
ソプラノ
soprano

シエベル
Siebel
アメリ・フェーヴル
Amélie Faivre
ソプラノ
soprano

マルト
Marthe
デュクロ
Duclos
メッゾソプラノ
mezzosoprano

フォスト
Faust
ジョゼフ=テオドール=デジレ・バルボ
Joseph-Théodore-Désiré Barbot
テノール
tenore

ヴァランタン
Valentin
オスモン・レナルド
Osmond Reynald
バリトン
baryton

ワグネール
Wagner
シボ
Cibot
バリトン
baryton

メフィストフェレス
Méphistophélès
(マチュ=)エミル・バロンケ
(Mathieu-)Emile Balanqué
バス
bass


初演は、大成功を収めたというよりは、徐々に人気を高めた、といったところだった。



グノーが《フォスト》を、レシタティフを用いた通して歌われるオペラに改めたかったのは間違いないだろう。そしてそれは初演からほぼ1年後の1860年2月28日、ストラスブールで実現する。ということは、通して歌われるオペラへの改訂はリリク劇場での初演より前から始まっていたのかもしれない。
ストラスブール公演は大成功を収め、5月19日までに18回以上の上演があった。
大変残念なことに、このストラスブールでの、通して歌われる《フォスト》初演で用いられた音楽素材は、普仏戦争における1870年8、9月のストラスブール包囲戦で劇場が火災に遭い、すべて焼失してしまった。
ともあれ、《フォスト》がレシタティフを用いた通して歌われるオペラに改められたのは、1869年にオペラ座で上演されるよりも9年も前のことである。

同じ3月ににはベルギーでの上演もあった(不成功)。ほどなくして《フォスト》はフランスの地方劇場やドイツでも上演されるようになった。

1862年11月11日、《フォスト》はミラノのスカラ座でイタリア初演された。アシル・ド・ロジエル Achille de Lauzière 1818―1894(ヴェルディ《ドン・カルロス》の台本の伊語訳者)によるイタリア語訳詞による。この時グノーは、第5幕のヴァルプルギスの夜の場面を削除する一方で、牢獄の場面のマルグリートとフォストの二重唱を大きく拡大した。ちなみにグノーはド・ロジエルの伊訳には非常に批判的だった。

このイタリア語訳詞は、翌1863年6月11日、ロンドンの女王陛下劇場での上演の際にも用いられ、第5幕の牢獄の場面でのマルグリートとフォストの二重唱は拡大されたものが用いられた。また第4幕のマルグリートの部屋の場面でシエベルが歌うロマンスを新しいもの(イタリア語)に差し替えた。

注1 Théâtre du Gymnase-Dramatique 日本語では一般的に ジムナズ劇場 もしくは ジムナズ座 と呼ばれる。gymnase とは 体育館 のこと。



※普請中※

あらすじ

音楽

第1幕
第1番 導入 は、実質、前奏曲である。大雑把に序奏(Adagio molto 4/4 f minor)+前半(Andante 4/4 f minor)+後半(a tempo 4/4 F major)といった作りだが、明確な構成があるわけではない。
この導入は本来、オペラ本体とは素材の関連のない曲だったが、ヘ長調部分は後に第2幕のヴァランタンの追加アリアの素材になり、これが非常に有名になったことで、後付けで関連ができた。
ともかくも、長大なオペラを導入するに短くも効果的な佳曲である。

対訳付き音楽設計図

日本語訳は極力文学的色づけをしない直訳にしてある。
台本の詩句は、BÄRENREITER-Verlag刊の ポール・プレヴォスト Paul Prévost 校訂のクリティカルエディション総譜に記載されている状態に合わせてある。なおピアノ伴奏譜とはいくらか相違がある。

ACTE Ⅰ
N° 1
Introduction
Adagio molto
4/4
f minor
Andante
4/4
f minor

4/4
F major
Largo
4/4
F major
(ACTE Ⅰ -) LE CABINET DE FAUST
N° 2
Scène et Chœur

Faust
Chœur
Moderato
4/4
a minor
SCÈNE 1第1景
Faust, seul, [ch&oeligur de Jeunes Filles, ch&oeligur de Laboureurs, en coulisses].フォスト、一人、[若い娘たちの合唱、農夫たちの合唱、舞台裏で]。
Sa lampe est près de s'èteindre. Il est aussi devant une table chargée parchemins. Un livre est ouvert devant lui.彼のランプは【今にも】消えるところである。彼はまた卓の前にいる 羊皮紙【の本】が積まれた。一冊の本が開いている 彼の前で。

FAUSTフォスト
Rien!... En vain j'interroge, en mon ardente veille,何もない!… 虚しく 私は よく調べている、私の 熱烈な徹夜で【≒ 猛烈に 徹夜して】
La nature et le Créateur;自然を そして 創造主を;
Pas une voix ne glisse à mon oreille声は 私の耳に 滑り込ませない
Un mot consolateur!慰めるになる言葉を【≒ 慰めの言葉を 一言でも 私に 耳打ちする声は ない】
Un peu retenu
4/4
a minor
J'ai langui triste et solitaire,私は 活気がなくなった 悲しく そして 孤独に、
Sans pouvoir briser le lien繋がりを 断ち切る こともできず
Oui m'attache encore à la terre...それは 私を まだ この世に 結び付けている…
Je ne vois rien! Je ne sais rien!私は 何も 見ていない! 私は 何も 知らない!
Allegretto
6/8
C major
Il ferme le livre et se lève. Le jour commence à poindre.彼は 本を 閉じて そして 立ち上がる。日の光が 現れ始める。
Andante
4/4
C major
Le ciel pâlit. Devant l'aube nouvelle,空が 青白くなっている【≒ 白む】。新しい夜明けの前に、
La sombre nuit暗い夜が
S'évanouit...消え失せている…
Avec désespoir.絶望と共に。
Encore un jour! encore un jour qui luit!また 日の光が! また 日の光が それは 輝いている!
Ô mort, quand viendras-tu m'abriter sous ton aile?ああ 死よ、いつ お前は 私を 保護しに 来るのか お前の翼の下に?
Allegro
4/4
C major
Eh bien! puisque la mort me fuit,よろしい! 死が 私を 避けている 以上は、
Pourquoi n'irais-je pas vers elle?どうして 私が それ【= 死 女性名詞】の方に 行かないというのか?
Saisissant une fiole sur la table.卓の上の ガラスの小瓶を 掴んで。
Andante maestoso
4/4
C major
Salut! ô mon dernier matin!【お前に】挨拶を【送ろう】! ああ 私の最後の朝よ!
J'arrive sans terreur au terme du voyage私は 恐怖無しで 旅の終わりに 到着している。
Et je suis, avec ce breuvage,そして 私は この飲み物によって、
Le seul maître de mon destin.私の運命の 唯一の支配者 【↑】である【≒ 私の運命を 決めることのできる 唯一の者になる】
Il verse le contenu de la fiole dans une coupe de cristal. Au moment où il va porter la coupe à ses lèvres, des voix des jeunes filles se font entendre au dehors.彼は ガラス瓶の中身を クリスタルガラスのグラスの中に 注ぐ。瞬間に その時 彼が グラスを 彼の口元に 持って行く、若い娘たちの声が 外から 聞こえさせる。
Allegretto
6/8
A major
CHŒUR合唱
Ah! Paresseuse filleああ! 怠惰な娘よ
Qui sommeille encor;その者は まだ まどろんでいる;
Déjà le jour brilleもう 日の光が 輝いている
Sous son manteau d'or;その 金の外套の下で;
Déjà l'oiseau chanteもう 鳥は 歌っている
Ses folles chansons;その 狂った歌々を;
L'aube carressante愛撫するような【≒ そっと触れるように優しい】夜明け【の光】
Sourit aux moissons;刈入れた穀物に 微笑んでいる;
Le ruisseau murmure;小川は ささやいている;
La fleur s'ouvre au jour;花は 日の光に 開いている;
Toute la natureすべての自然が
S'éveille à l'amour.愛に 目覚めている。

FAUSTフォスト
Vains échos de la joie humaine,人間の喜びの 虚しい こだまめ、
Passez, passez votre chemin!通りなさい、お前たちの道を 通りなさい!
台本では CHŒUR DE JEUNES FILLES 若い娘たちの合唱。

Passez, passez votre chemin!
passer は他動詞では 越える の意味だが、ここでは 通る,通過する の意味で採った。

Andante
4/4
A major
Ô coupe des aïeux, qui tant de fois fus pleine,ああ 祖先のグラスよ、それは 何度も 満たされた、
Pourquoi trembles-tu dans ma main?なぜ お前は 震えているのか 私の手の中で?
Allegretto
6/8
D major
Il porte de nouveau la coupe à ses lèvres.彼は もう一度 グラスを 彼の口元に 運ぶ。

CHŒUR合唱
Derrière la scène.舞台裏で。
Aux champs l'aurore nous rappelle;暁の光が 私たちを 野原に 呼び戻している;
On voit à peine l'hirondelle,【≒ 私たち】は ほとんど ツバメを 見ない【≒ ツバメは ほとんど 見かけない】
Qui vole et plonge d'un coup d'aileその者は 飛び そして 急降下する 翼の一打で
Dans la profondeur du ciel bleu!青い空の深みの中に!
Le temps est beau, la terre est belle;天気は 良い、大地は美しい;
Aux champs l'aurore nous rapelle;暁の光が 私たちを 野原に 呼び戻している;
Le temps est beau, la terre est belle!天気は 良い、大地は美しい;
Béni soit Dieu!神が 祝福されるように!

FAUSTフォスト
Reposant la coupe.グラスを 戻して。
Dieu!神が!
Adagio
4/4
D major
Dieu!神が!

CHŒUR合唱
Dieu!神が!

台詞を含むオペラの形態の初期には、この後にフォストの語りと、ワグネールとシエベルがフォスト(二人ともフォストの弟子である)の書斎を訪れて彼の元から去ることを告げる語りの対話と三重唱、さらにフォストの語りが続いた。
しかしこれらは1859年の初演前には既に上演時間短縮のために削除されたようである。
この箇所は台詞を含むオペラの形態の《フォスト》に固有の音楽なのでこのページでは扱わない。ただ、その対話と三重唱によって、ワグネールがヴァランタンと共に出征すること、シエベルがヴァランタンの妹つまりマルグリートに恋していること、そしてフォストが二人の若者それぞれの欲望に、自らの希望のなさ気付き絶望していることが分かる。

N° 3
Scène
Allegro
4/4
F major
FAUSTフォスト
Il se laisse retomber dans son fauteuil.彼は 肘掛け椅子に 再び倒れるがままになる。
Mais ce Dieu, que peut-il pour moi?だが その神よ、彼は 私に 何を できるのか?
Se levant.立ち上がって。
Me rendra-t-il l'amour, la espérance et la foi?彼は 私に 愛を、希望を そして 信心を 取り戻させるだろうか?
Me rendra-t-il l'amour, la espérance et la foi?
印刷譜ではすべて la espérance ではなく la jeunesse になっている。ポール・プレヴォスト Paul Prévost 校訂の BÄRENREITER社のクリティカルエディション総譜によると、自筆総譜で la espérance と書かれているところが第三者の手で la jeunesse に書き直されているという。クリティカルエディションでは la espérance が採用されている。

Andante maestoso
4/4
F major
Avec rage.激怒をもって。
Maudites soyez vous, ô voluptés humaines!お前たち【= 逸楽】が 呪われるように、ああ、人間の逸楽よ!
Maudites soient les chaînes鎖が 呪われるように
Qui me font ramper ici-bas!それらは この世で 私を 這いつくばさせている!
Maudit soit tout ce qui nous leurre,私たちを 欺く すべてのものが 呪われるように、
Vain espoir qui passe avec l'heure,虚しい希望が 【呪われるように】 それは 時と共に 過ぎ去る、
Rêves d'amour ou de combats!愛の夢であれ 戦いの【夢】であれ 【呪われるように】
Maudit soit le bonheur, maudites la science,幸福が 呪われるように、科学が 呪われるように、
La prière et la foi!祈りが そして 信心が!
Maudite sois-tu, patience!お前【= 忍耐】が 呪われるように、忍耐よ!
À moi, Satan! À moi!私に、サタンよ、私に!
N° 4
Duo

Faust
Méphistophélès
Moderato
4/4
E-flat major
SCÈNE 2第2景
Méphistophélès, Faust.メフィストフェレス、フォスト。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Apparaissant.現れて。
Me voici!... D'où vient ta surprise?私は ここにいる!… 君の驚きは どこから 来ているのか?
Andante
4/4
E-flat major
Ne suis-je pas mis à ta guise?私は 君の思うままに 連れて来られたのではないのか?
L'épée au côté, la plume au chapeau,脇腹に剣、帽子に羽根、
L'escarcelle pleine, un riche manteauいっぱいの財布、豪華な外套
Sur l'épaule; en somme肩の上には; 要するに
Un vrai gentilhomme!真の紳士だ!
Eh bien! docteur, que me veux-tu?それでは! 先生、君は 何を 私に 望んでいるのか?
Voyons, parle!... Te fais-je peur?さあ、話しなさい!… 私は 君を 怖がらせているのか?

FAUSTフォスト
Non!いいや!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Doutes-tu de ma puissance?君は 私の力を 疑っているのか?

FAUSTフォスト
Peut-être!もしかすると!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Mets-la donc à l'épreuve!では それ【= 力 女性名詞】を 試しなさい!

FAUSTフォスト
Va-t'en!行ってしまえ!
Tempo Ⅰ° un peu retenu
4/4
E-flat major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Fi! C'est là ta reconnaissance!ふん! まさに それが 君の感謝だ!
Apprends de moi qu'avec Satan私から 学びなさい サタンに対しては
L'on en doit user d'autre sorte人は 別のやり方で ふるまわなくてはならない 【↑】ことを
Et qu'il n'était pas besoinそして 必要がなかった ことを
De l'appeler de si loin彼を それほど遠くから呼び出すことは
Pour le mettre ensuite à la porte!その後に 彼を 扉に 連れて行く【≒ 家から 追い出す】 ために!
ここでの Tempo Ⅰ° はほぼ a tempo と同じで、Moderato を指す。

Mets-la donc à l'épreuve!
mettre - à l'épreuve ―を試す

Allegro
4/4
E-flat major
FAUSTフォスト
Et que peux-tu pour moi?それでは 私のために 君は 何を できるのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Tout.すべてを。
Moderato
4/4
E-flat major
Tout. Mais dis-moi d'abordすべてを。ところで まず 私に 言いなさい
Ce que tu veux! Est-ce de l'or?君の望むものを! それは 金 きん【≒ 財産】か?

FAUSTフォスト
Que ferai-je de la richesse?富 とみ で 私は 何を するだろうか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Bon! Je vois où le bât te blesse.結構! 私は 理解している 荷鞍が 君に 痛みを与えている ところを【≒ 私は 君の問題の原因を 分かっている】
Tu veux la gloire?君は 名声を 望んでいるか?

FAUSTフォスト
Plus encor!さらに もっと!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
La puissance?権力は?

FAUSTフォスト
Non!いいや!
Bon! Je vois où le bât te blesse.
C'est là que le bât blesse. そこが 荷鞍が 痛みを与えているところだ ⇒ そこが弱点だ,そこが 悩みの種だ という成句がある。

Moderato
4/4
E-flat major
Je veux un trésor私は 一つの宝を 欲しい
Qui les contient tous! ...それは それらすべてを 含んでいる!…
Je veux la jeunesse!私は 若さを 欲しい!
Allegro ben marcato
6/8
G major
À moi les plaisirs,私に 快楽を、
Les jeunes maîtresses!若い恋人たちを!
À moi leurs caresses!私に 彼女たちの愛撫を!
À moi leurs désirs!私に 彼女たちの情欲を!
À moi l'énergie私に 力を
Des instincts puissants,強い 本能【≒ 衝動】の、
Et la folle orgieそして 狂った乱痴気騒ぎ【≒ 狂宴】
Du cœur et des sens!心の そして 欲情【の】
Ardente jeunesse,燃えるように熱い若さよ、
À moi tes désirs!私に お前の情欲を!
À moi ton ivresse!私に お前の陶酔を!
À moi tes plaisirs!私に お前の快楽を!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Fort bien!たいへん結構!
Je puis contenter ton caprice.私は 君の気紛れを 満足させることができる。

FAUSTフォスト
Et que te donnerai-je en retour?それで 私は その代わりに 君に 何を 与えるのだろうか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Presque rien!ほとんど 何もない!
plaisir には、単なる 喜び という意味のみならず、快楽,快感 の意味もある。

Des instincts puissants,
instinct は 本能 だが、この場合は 本能に突き動かされる衝動 と理解すべきで、これもまた性欲の意味を持っている。

Du cœur et des sens!
sens 感覚 は複数形で 性欲,欲情 の意味がある。したがって cœur も単なる 心 ではなく、心が抱く 感情 とりわけ 恋愛感情,欲情 を示唆している。

Andante
4/4
G major
Ici, je suis à ton service,ここでは、私は 君の奉仕に当たる、
Mais là-bas tu seras au mien.だが 向こうでは 君は 私のものになるだろう【≒ 私の奉仕に 当たるだろう】

FAUSTフォスト
Là-bas? ...向こうでは?…
Allegro moderato
4/4
G major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Là-bas.向こうでは。
Lui présentant un parchemin.彼に 羊皮紙を 提示して。
Allons, signe! Eh quoi! ta main tremble?さあ、署名しなさい! ええ 何だって! 君の手は 震えているのか?
Que faut-il pour te décider?君が決めるために 何が必要なのか?
Moderato
4/4
G major
La jeunesse t'appelle; ose la regarder!...若さが 君を 呼んでいる。思い切って それを 見なさい!…
Andante
4/4
E major
Il fait un geste. Le fond du théâtre s'ouvre et laisse voir Marguerite assise devant son rouet et filant.彼は 身振りを する。劇場【≒ 舞台】の奥が 開き そして マルグリートが 彼女の紡ぎ車の前に座って そして 【糸を】紡いでいるのを 見させる。

FAUSTフォスト
Ô merveille!...ああ 不思議な現象だ!…

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Eh bien! que t'en semble?...よろしい! それについて 君には どう思われるか【≒ 君は これを どう思うかね】?…

FAUSTフォスト
Prenant la parchemin. Il signe.羊皮紙を 手に取って。彼は 署名する。
Donne! ...渡しなさい!…

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Allons donc!さあ そら!
Prenant la coupe restée sur la table.卓の上のグラスを 手に取って。
Et maintenant, maître, c'est moi qui te convieそして 今、先生よ、私だ 君に 誘っている者は
À vider cette coupe où fume en bouillonnantこのグラスを 空けるようにと そこでは 沸き立ちながら 煙を出している
Non plus la mort, non plus le poison, mais la vie!もう 死ではなく、もう 毒ではなく、しかし 命が!

FAUSTフォスト
Prenant la coupe et se tournant vers Marguerite.グラスを 手に取って そして マルグリートの方に 向いて。
À toi, à toi, à toi, fantôme adorable et charmant!...君に、君に、君に、素敵な幻影よ そして 魅力的な【幻影よ】!…

Il vide la coupe et se trouve métamorphosé en jeune et élégant seigneur. La vision disparait.彼は グラスを 空ける そして 若者に 変身させられて そして 上品な紳士に【変身させられて】。幻影は 見えなくなる。
Allons donc!
allons donc! は仏和辞典では まさか! となっていることが多いが、ここでのメフィストフェレスの台詞は明らかにフォストの署名を促しているので、ここでは さあ そら! で訳した。

Allegro ben marcato
6/8
A-flat major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Viens!来なさい!

FAUSTフォスト
Je la reverrai?私は 彼女に 再び会えるだろうか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Sans doute!たぶん!

FAUSTフォスト
Quand?いつ?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Aujourd'hui.今日だ。

FAUSTフォスト
C'est bien!それは 素晴らしい!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
En route!出発しよう!

FAUSTフォスト
En route!出発しよう!
À moi les plaisirs,私に 快楽を、
Les jeunes maîtresses!若い恋人の娘たちを!
À moi leurs caresses!私に 彼女たちの愛撫を
À moi leurs désirs!私に 彼女たちの情欲を!
À moi l'énergie私に 力を
Des instincts puissants,強い 本能【≒ 衝動】の、
Et la folle orgieそして 狂った乱痴気騒ぎ【≒ 狂宴】
Du cœur et des sens!心の そして 欲情【の】
Ardente jeunesse,燃えるように熱い若さよ、
À moi tes désirs!私に お前の情欲を!
À moi ton ivresse!私に お前の陶酔を!
À moi tes plaisirs!私に お前の快楽を!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À toi les plaisirs,君に 快楽を、
Les jeunes maîtresses!若い恋人の娘たちを!
À toi leurs caresses!君に 彼女たちの愛撫を
À toi leurs désirs!君に 彼女たちの情欲を!
À toi l'énergie君に 力を
Des instincts puissants,強い 本能【≒ 衝動】の、
Et la folle orgieそして 狂った乱痴気騒ぎ【≒ 狂宴】
Du cœur et des sens!心の そして 欲情【の】
À toi la jeunesse!君に 若さを!
À toi se désirs!君に その【= 若さの】情欲を!
À toi son ivresse!君に その陶酔を!
À toi ses plaisirs!君に その 快楽を!

Ils sortent. La toile tombe.彼らは 出る。幕が 下りる。
CHOUENS社の初期の出版総譜(⇒ IMSLP #327910)には、第4番の205小節と206小節の間にさらに16小節の二重唱が含まれているものがある。歌詞は既に歌われたものばかりで、

FAUST
Ardente jeunesse,
À moi tes désirs!
À moi ton ivresse!
À moi tes plaisirs!

MÉPHISTOPHÉLÈS
À toi la jeunesse!
À toi se désirs!
À toi son ivresse!
À toi ses plaisirs!

これをどちらも2回繰り返している。
ポール・プレヴォスト Paul Prévost 校訂の BÄRENREITER社のクリティカルエディション総譜では、この16小節のみを巻末に Example 4 として収録。
フリッツ・エーザー Fritz Oeser 校訂の Alkor-Edition は、この16小節を本編に採用している。

En route!
直訳すると 道に! あるいは 行程に!。出発しよう という成句。

ACTE Ⅱ - UNE KERMESSE
N° 5
Chœur général

Chœur
Allegretto
2/4
F major
Une des portes de la ville. À gauche, un cabaret à l'enseigne du dieu Bacchus.町の門の一つ。 左側に居酒屋 バキュス神【= バッコス,バッカス,酒神】の看板のある。

SCÈNE 1第1景
Wagner, Étudiants, Soldats, Bourgeois, Jeunes Filles, Matrones [un Mendiant]ワグネール、学生たち、兵士たち、市民、若い娘たち、年配の婦人たち [物乞い]。

CHŒUR ÉTUDIANTS合唱 学生たち
Vin ou bière,ワインであれ ビールであれ、
Bière ou vin,ビールであれ ワインであれ、
Que mon verreそれが 私のグラスを
Soit plein!満たすように!
Sans vergogne,羞恥心なく
Coup sur coup,次から次へと、
Un ivrogne酔っぱらいは
Boit tout.すべて 飲む。

WAGNERワグネール
Jeune adepte若い愛好者よ
Du tonneau,樽の、
N'en excepteそれ【= 樽】から 除外しなさい
Que l'eau!水だけは!
Que ta gloire,君の栄光が、
Tes amours君の愛が
Soient de boire飲むことであるように
Toujours!ずっと!

CHŒUR ÉTUDIANTS合唱 学生たち
Jeune adepte若い愛好者よ
Du tonneau,樽の、
N'en excepteそれ【= 樽】から 除外しなさい
Que l'eau!水だけは
Que ta gloire,君の栄光が、
Tes amours君の愛が
Soient de boire飲むことであるように
Toujours!すっと!
Ils trinquent et boivent.彼らは 乾杯して そして 酒を飲む。

CHŒUR SOLDATS合唱 兵士たち
Filles ou forteresses,娘たちであれ 要塞であれ、
C'est tout un, morbleu!それは まったく 一つだ【≒ 同じことだ】、ちくしょう!
Vieux burgs, jeunes maîtresses古い城塞たちは、若い恋人たちは
Sont pour nous un jeu,私たちにとって ゲームだ、
Celui qui sait s'y prendre,行動する ことを知っている者は【≒ やり方を 分かっている者なら】 誰でも、
Sans trop de façon,それほどの仕事もなくく【≒ 難なく】
Les oblige à se rendreそれら【≒ 古い城塞たち もしくは 若い恋人たち】に 降伏することを 強いる
En payant rançon.身代金を払って【降伏することを 強いる】

CHŒUR BOURGEOIS合唱 市民
Aux jours de dimanche et de fête,日曜日の日には そして 祝日の【日には】
J'aime à parler guerre et combats,私は 戦争と 戦闘について話すのが 好きだ、
Tandis que les peuples là-bas向こうで 人々が
Se cassent la tête.【戦争と 戦闘に】 頭を悩ませる 【↑】 一方で。
Je vais m'asseoir sur les coteaux私は 小さな丘の上に 座りに行く
Qui sont voisins de la rivièreそれ【= 小さな丘】は 川の傍にある
Et je vois passer les bateauxそして 私は 船が 通るのを 見る
En vidant mon verre.私のグラスを 空けながら。
Bourgeois et soldats remontent vers le fond du théâtre.市民と 兵士たちは 劇場【≒ 舞台】の奥の方へ 再び戻る。

CHŒUR JEUNES FILLES合唱 若い娘たち
Un groupe di jeunes filles entre en scène.若い娘たちの集団が 舞台に 入って来る。
Regardant de côté横に 見て【≒ 横目で 見て】
Voyez ces hardis compèresあの 大胆な仲間たち【≒ 逞しい男たち】を 見てみなさい
Qui viennent là-bas!その者たちは あそこに 来る!
Ne soyons pas trop sévères,あまり 厳しくないようにしよう【≒ あまり 冷たくしないであげよう】
Retardons le pas!歩調を 遅らせよう【≒ ゆっくり 歩こう】
Elles gagnent la droite du théâtre.彼女たちは 劇場【≒ 舞台】の右側に 到達する。

CHŒUR JEUNES ÉTUDIANTS合唱 若い学生たち
Un second chœur d'étudiants entre à leur suit.学生たちの 第2の合唱が 彼女たち【= 若い娘たち】に続いて 入る。
Voyez ces mines gaillardes見なさい あの 活発な【≒ 陽気な】顔付きを
Et ces airs vainqueurs!そして あの勝ち誇った態度を!
Amis, soyons sur nos gardes!友たちよ、警戒しよう!
Tenons bien nos cœurs!私たちの心を しっかりと 保とう【≒ しっかりと 勇気を 持とう】

CHŒUR MATRONES合唱 年配の婦人たち
Observant les étudiants et les jeunes filles.学生たちと 若い娘たちを 観察して。
Voyez après ces donzelles見なさい あの 気取った娘たちの後を
Courir ces messieurs!あの男たちが 追いかけているのを。
Nous sommes aussi bien qu'elles,私たちは 彼女たちと 同じくらい 美しい、
Sinon beaucoup mieux.ずっと より良くは ないにしても。
Tous les groupes redescendent en scène.すべての集団が 舞台に 再び降りる【≒ 舞台前方に 出る】。

CHŒUR JEUNES FILLES合唱 若い娘たち
On voudrait plaire,【= あなたたち = 年配の婦人たち】は 好かれたいのだが、
Mais c'est en vain!しかし それは 無駄だ!
Oui, c'est vain!そうだ、それは 無駄だ!

CHŒUR MATRONES合唱 年配の婦人たち
Vous voulez plaire,あなたたちは 好かれたい、
On le sait bien!【= 私たち】は そのことを よく 分かっている!
Le mot est fin!言葉は 終わり!

CHŒUR BOURGEOIS合唱 市民
Alons! voisin!さあ! 隣【りにいる】人よ!
Vidons un verre飲もう 1杯のグラスを
De vin!ワインの!

CHŒUR JEUNES ÉTUDIANTS合唱 若い学生たち
De cette affaireこのことの
Voyons la fin!結末を 見よう!

CHŒUR ÉTUDIANTS合唱 学生たち
Vive le vin!ワイン 万歳!

CHŒUR SOLDATS合唱 兵士たち
Vive la guerre!戦争 万歳!
Métier divin!素晴らしい職業だ!

CHŒUR MATRONES合唱 年配の婦人たち
Vous voulez leur plaire,あなたたちは 彼らに 好かれたい、
Nous le savons bien!私たちは そのことを よく分かっている!
Soyez sans vergogne羞恥心なしに なりなさい【≒ それなら 恥を かき捨てなさい】
Comme ils son sans goût!彼らが センスがない【≒ 趣味が悪い】のと同じように!
Il faut être inepte,ばかになる 必要がある【≒ (恋は) 盲目にならなければならない】
Je le dis tout haut,私は そのことを とても大きく【≒ 声を大にして】 言う、
Pour se faire gloire自慢するためには
De telles amuors!そのような 恋愛を!

CHŒUR ÉTUDIANTS合唱 学生たち
Vin ou bière,ワインであれ ビールであれ、
Bière ou vinビールであれ ワインであれ、
Que mon verreそれが 私のコップを
Soit plein!満たすように!
Sans Vergogne,羞恥心なく
Coup sur coup,次から次へと
Un ivrogne酔っぱらいは
Boit tout.すべて 飲む。
Jeune adepte若い愛好者よ
Du tonneau,樽の、
N'en excepteそれ【= 樽】から 除外しなさい
Que l'eau!水だけは!
Que ta gloire,君の栄光が、
Tes amours君の愛が
Soient de boire飲むことであるように
Toujor!ずっと!

CHŒUR SOLDATS合唱 兵士たち
Pas de beauté fière!高慢な美女は いない!
Nous savons leur plaire,私たちは 彼女たちに 好かれる ことができる、
En un tour de main!またたく間に!
Allons en besogne,仕事に行こう【≒ 取り掛かろう】
Sans peur ni vergogne,恐怖も 羞恥心も なしで、
À l'assaut partout!いたるところで 攻撃に!
De ce grand précepte,この重要な教訓から
Fier soldat n'excepte誇り高い兵士は 例外にしない
Femme ni château!女性も 城も!
Et couvert de gloireそして 栄光に包まれて
Chante la victoire【誇り高い兵士は】 勝利を 歌う【≒ 凱歌 がいか を 上げる】
Au bruit des tambours!太鼓の音で!

CHŒUR JEUNES FILLES合唱 若い娘たち
De votre colèreあなたたち【= 年配の女性たち】の怒りを
Nou ne craignons rien!私たちは 何も 恐れない!
Front qui se renfrogne顔付きが それは 眉をひそめている
Rougit, voilà tout!赤くなる、それだけのことだ【≒ (あなたたちの怒りを) 眉をひそめながら 恥ずかしいと思うだけだ】
Un galant m'accepte,一人の優男が 私を 受け入れる【ならば】
Je le prends au mot!私は 彼の言葉を 信用する!
Certes l'on doit croireもちろん 人は 信じるに違いない
À vos beaux discours!あなたたちの 素晴らしい話を!

CHŒUR BOURGEOIS合唱 市民
Vidons, vidons un verre空けよう、空けよう グラス1杯を
De vin!ワインの!
Ma femme grogne私の妻は ぶつぶつ不平を言う
Sur tout!すべてに!
Toujours il faut l'en croire!いつでも 彼女を 信頼すべきだ。

CHŒUR JEUNES ÉTUDIANTS合唱 若い学生たち
Voyez leur colère!彼女たちの怒りを 見なさい!
Voyez leur maintien!彼女たちの態度を 見なさい!
Leur front se renfrogne,彼女たちの顔付きは 眉をひそめている、
Elles ont du goût!彼女たちは センスが良い【≒ 見る目がある】
Gageons qu'on m'accepte断言しよう 彼女たちは 私を 受け入れる と
Dès le premier mot!最初の言葉からすぐに!

Les étudiants et les soldats séparent les femmes en riant. Tous les groupes s'éloignent et disparaissent学生たちと 兵士たちは 陽気に 女性たちを 引き離す。すべての集団は 遠ざかり そして いなくなる
Kermesseは、オランダ語の kerk(英 church) 教会 + mis (英 mass) ミサ が語源で、年に一度の守護聖人の祭りを意味する。

[un Mendiant]
物乞いの合唱が歌う短い Mes beaux messieurs, mes belles dames, は、1859年の初演の前に削除された。

Bourgeois,
ブルジョワ は一般的に 中産階級の人 つまり貴族や資本家と労働者の間の階層にある人を指す。ここでは大雑把に 市民 と訳した。

N'en excepte / Que l'eau!
excepter - de ... …から―を除外する,別にする。ここでの en は du tonneau を受けている。

Celui qui sait s'y prendre,
s'y prendre 取りかかる,行動する。
なお、se prendre (à -) で (―に)夢中になる という意味もあり、y を au jeu と採って、賭け事に夢中になっている者は誰でも と理解することもできる。

Voyez ces hardis compères
hardi は 大胆な という意味だが、勇敢な といった意味もある。この場合は若い娘たちから見て 力強くかっこいい といった男臭い魅力を述べているいると思われる。ここでは 逞しい で訳した。

Amis, soyons sur nos gardes!
être sur ses gardes 警戒する。

Le mot est fin!
フランス語には Le mot est fin という慣用表現はないようである。ここではそのまま訳した。

Pour se faire gloire / De telles amuors!
se faire gloire de - ―を自慢する,誇りとする。

En un tour de main!
en un tour de main またたく間に

Je le prends au mot!
prendre qn au mot ―の言うことを(そのまま)受け入れる,信じる

Toujours il faut l'en croire!
en croire - ―を信頼する。

N° 6 bis
Scène et Récitatif et Cavatine

Valentine

Wagner
Siebel


Moderato
4/4
C major
SCÈNE 2第2景
Valentin, Wagner, Siebel, Étudiants.ヴァランタン、ワグネール、学生たち。

VALENTINヴァランタン
Paraissant au fond; il tient une petite médaille à la main.【舞台】奥に 現れる; 彼は 手に 小さなメダルを 持っている。
O sainte médailleああ 聖なるメダルよ
Qui me viens de ma sœur,それは 私の妹から 私に 伝わる【≒ それを 私の妹が 私に 与えた】
Au jour de la bataille,【来たるべき】戦いの日には、
Pour écarter la mort,死神を 追い払うために、
Reste là sur mon cœur!そこに 私の心臓の上に 留まりなさい!

WAGNERワグネール
Ah! voici Valentin qui nous cherche sans doute!ああ! ここに ヴァランタンがいる その者は たぶん 私たちを 捜している!

VALENTINヴァランタン
Un dernier coup, messieurs, et mettons-nous en route!最後の1杯を、諸君、そして 出発しよう!

WAGNERワグネール
Qu'as-tu donc?君は いったい どうしたのか?
Quels regrets attristent nos adieux?どんな残念さが 私たちの告別を 悲しませているのか?

VALENTINヴァランタン
Comme vous, pour longtemps, je vais quitter ces lieux.君たちと同様に、長い時間の間、私は この場所を 去るところである。
J'y laisse Marguerite et, pour veiller sur elle,私は ここに マルグリートを 残す そして、彼女の 面倒を見るためには、
Ma mère n'est plus là!私の母は もう そこには いない。

SIEBELシエベル
Plus d'un ami fidèle一人より多い 誠実な友人が
Saura te remplacer à ses côtés.彼女の傍で 君の代わりに なるだろう。

VALENTINヴァランタン
Lui serrant la main.彼の手を 握って。
Merci!ありがとう!

SIEBELシエベル
Sur moi tu peux compter!君は 私を 当てにする ことができる【≒ 私に 任せなさい】

CHŒUR BOURGEOIS, JEUNES ÉTUDIANTS, ÉTUDIANTS ET SOLDATS合唱 市民、若い学生たち、学生たち と 兵士たち
Compte sur nous aussi!私たちも 当てにしなさい【≒ 私たちにも 任せなさい】
後述の通り、グノーはこの第6番にヴァランタンのカヴァティーヌを加えることを認めなかった。そのためポール・プレヴォスト Paul Prévost 校訂の BÄRENREITER社のクリティカルエディション総譜でもカヴァティーヌ無しが主 N° 6 で、カヴァティーヌ入りが副 N° 6 bis Scène et Récitatif et Cavatine で併載されている。
今日ではほぼ例外なくヴァランタンのカヴァティーヌを含めて上演されるので、この音楽設計図では N° 6 bis に従う。

Un dernier coup, messieurs, et mettons-nous en route!
se mettre en route 出発する

Sur moi tu peux compter!
compter sur - ―を当てにする,頼りにする,任せる

Cavatine

Moderato
4/4
E-flat major
VALENTINヴァランタン
Avant de quitter ces lieux,この場所を 去る前に、
Sol natal de mes aïeux,私の祖先の 生まれた地を、
À toi, Seigneur et roi des cieux,君に、主よ そして 天の王者よ、
Ma sœur je confie.私の妹を 委ねる。
Daigne de tout dangerすべての 危険から
Toujours, toujours la protéger,常に、常に 彼女を 保護して 【↑】ください、
Cette sœur si chérie!あの とても愛しい妹を!
このヴァランタンのカヴァティーヌは、1864年1月23日から英国、ロンドンの女王陛下劇場でヘンリー・コーリ Henry Chorley による英語訳で上演された際に、ヴァランタンを歌うチャールズ・サントリのために追加されたもの。
グノーは生前、オペラ座での上演にこのカヴァティーヌの挿入を禁じており、グノーの生前に出版されたフランス語の楽譜にはこのカヴァティーヌは含まれていない。そのためクリティカルエディションにおいても、第6番はカヴァティーヌのない N° 6 Scène et Récitatif が主で採用されている。⇒ 補遺。

オリジナルの英語歌詞 Even bravest heart may swell は補遺に掲載。フランス語歌詞とはかなり内容が異なる。

un peu plus animé
4/4
E-flat major
Délivré d'une triste pensée,悲しい思いから 解き放たれて【≒ 悲しいを思いを 振り払って】
J'irai chercher la gloire,私は 栄光を 探しに行こう、
la gloire au seins des ennemis.栄光を 敵たちの只中で。
Le premier, le plus brave au fort de la mêlée,乱戦の最中に 最初に、最も勇敢に、
J'irai combattre pour mon pays.私は 私の国のために 戦いに行こう。
Et si, vers lui, Dieu me rappelle,そして もし、彼【= 神】の方へと、神が 私を 呼び戻すのであれば、
Je veillerai sur toi, fidèle,私は 【天国から】 君を 見守るだろう、誠実に、
Ô Marguerite!ああ マルグリートよ!
速度指示のうち小文字始まりのものは原則として臨時の指示と理解して区切りを入れていないが、このカヴァティーヌは明らかA-B-A'形式で、この箇所がBにあたることから、区切りを入れることにする。

Tempo Ⅰ°
4/4
E-flat major
Avant de quitter ces lieux,この場所を 去る前に、
Sol natal de mes aïeux,私の祖先の 生まれた地を、
À toi, Seigneur et Roi des cieux,君に、主よ そして 天の王者よ、
Ma sœur je confie.私の妹を 委ねる。
Ô roi des cieux, jette les yeux,ああ 天の王者よ、両目を 投げなさい【≒ 目を 向けなさい】
Protège Marguerite, Roi des cieux!マルグリートを 保護しなさい、天の王者よ!
Allegretto
4/4
C major
WAGNERワグネール
Allons, amis, point de vaines alarmes!さあ、友たちよ、無駄な不安無く!
À ce bon vin ne mêlons de larmes!この美味いワインに 涙を 混ぜないようにしよう!
Buvon, trinquons, et qu'un joyeux refrain飲もう、乾杯しよう、そして 陽気な反復句が
Nous mette en train!私たちを 楽しい気分にするように!
Nous mette en train!
mette qn en train 人ををやる気にさせる,楽しい気分にする。


6/8
C major
CHŒUR BOURGEOIS, JEUNES ÉTUDIANTS, ÉTUDIANTS ET SOLDATS合唱 市民、若い学生たち、学生たち と 兵士たち
Buvon, trinquons, et qu'un joyeux refrain飲もう、乾杯しよう、そうして 陽気な反復句が
Nous mette en train!私たちを 楽しい気分にするように!
Moderato
2/4
a minorr
WAGNERワグネール
Montant sur un escabeau.【背のない】椅子の上に上って。
Un rat plus poltron que brave勇敢な というよりは 臆病な ネズミが
Et plus laid que beauそして 美しい というよりは 醜い 【ネズミが】
Logeait au fond d'une cave住んでいた 地下倉庫の奥で
Sous un vieux tonneau,古い樽の上に、
Un chat...ネコが…
臨時記号を用いて、実際には♭4つのf minor のように聞こえる。

Allegroe
4/4
C major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Paraissant tout à coup au milieu des étudiants et interrompant Wagner.いきなり 学生たちの真ん中に現れて そして ワグネールの歌を遮って。
Pardon!失礼!

WAGNERワグネール
Hein?えっ?
Moderato
4/4
C major
SCÈNE 3第3景
Méphistophélès, Wagner, Étudiants, Valentin, Siebel.メフィストフェレス、ワグネール、学生たち、ヴァランタン、シエベル。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Parmi vous, de grâce,君たちの中に、お願いだから、
Permettez-moi de prendre place!私が 着席することを 許しなさい!
Que votre ami d'abord achève sa chanson!まず何よりも 君たちの友人が 彼の歌を 終えるように!
Moi, je vous en promets plusieurs de ma façon.私は、私は 君たちに 私の仕立ての【≒ 私の作った】 それ【= 歌】のいくつかを 約束する。

WAGNERワグネール
Descendant de son escabeau.彼の椅子から 降りて。
Une seule suffit, pourvu qu'elle soit bonne!ただ一つのもので 十分である、それが 良くありさえすれば!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Je ferai de mon mieux pour n'ennuyer personne.私は 私の最善を尽くそう 誰も 退屈させないために。
Moi, je vous en promets plusieurs de ma façon.
plusieurs de - いくらかの― は後に複数名詞を取るので、単数形の façon はそれに続いていない。plusieurs に続くのは en = des chansons。

Je ferai de mon mieux pour n'ennuyer personne.
faire de son mieux 人の最善を尽くす。

N° 7
Ronde du veau d'or

Méphistophélès
Chœur
Allegro maestoso
6/8
c minor
Les étudiants se groupent autour de Méphistophélès; Valentin le regarde avec défiance et se tient à l'écart avec Siebel.学生たちは メフィストフェレスの周囲に集まる。ヴァランタンは 彼を 不審の念をもって 見る そして 離れている シエベルと共に。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Le veau d'or est toujour debout!金の子牛は 今もなお 立っている!
On implore人は 懇願している【≒ 求めている】
Sa puissanceその力を
D'un bout du monde à l'autre bout!世界の端から 別の端まで!
Pour fêter l'infàme idole,忌まわしい偶像を 祝うために、
Roi et peuples confondus,王と 人々が 混ざって【≒ 一緒になって】
Au joyeux bruit des écus,金貨の 喜ばしい音で
Dansent une ronde folle狂気の輪舞を 踊る
Autour de son piédestal!その【= 金の子牛の】台座の周りで!
Et Satan conduit le bal!そして サタンが 舞踏会を 先導する【≒ 皆の踊りを 主導する】

CHŒUR合唱
Et Satan conduit le bal!そして サタンが 舞踏会を 先導する【≒ 皆の踊りを 主導する】

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Le veau d'or est vainqueur des dieux;金の子牛は 神々の 勝利者だ;
Dans sa gloireその【= 金の子牛の】栄光の中で
Dérisoire,ばからしい【≒ 金の子牛がもたらす 馬鹿げた栄光の中で】
Le monstre abject insulte aux cieux!卑しい怪物は 天を 侮辱している!
Il contemple, ô rage étrange,彼は 凝視している、ああ 奇妙な熱中だ【≒ 奇妙なまでに 熱中して】
À ses pieds le genre humain彼の足元に 人類を
Se ruant, le fer en main,【人類は】 押し寄せて、剣を手に、
Dans le sang et dans la fange血の中に そして 泥の中に
Où brille l'ardent métal!そこには 鮮やかに輝く金属が 輝いている【≒ 卑しい怪物は その足元に、剣を握り締めて 金の輝く血と泥へと殺到する人類を じっと見つめている】
Et Satan conduit le bal!そして サタンが 舞踏会を 先導する【≒ 皆の踊りを 主導する】

CHŒUR合唱
Et Satan conduit le bal!そして サタンが 舞踏会を 先導する【≒ 皆の踊りを 主導する】
クリティカルエディションでの 金の子牛のロンド の歌詞は、一般的なものと僅かに異なっている。

Le veau d'or est toujour debout!
金の子牛 は、旧約聖書 出エジプト記 第32章に現れる、モーセの弟アロンが、形のある神を求める民衆に応じて作った子牛型の金の像。本来は偶像崇拝の象徴だが、転じて拝金主義の象徴になっている。

Au joyeux bruit des écus,
écus は元々 盾 の意味で、紋章の入った盾が刻まれた金貨も écus と呼ばれるようになった。

Et Satan conduit le bal!
conduire le bal で 主導権を握る という成句がある。拝金主義に陥いるとサタンに主導権を握られてしまう、という意味なのだろう。

Dans le sang et dans la fange
戦争のことを意味していると思われる。

N° 8
Scène et Chœur

Siebel
Faust
Wagner
Valentin
Méphistophélès
Chœur
Allegretto
2/4
C major
CHŒUR合唱
Merci de ta chanson!君の歌を ありがとう!

VALENTINヴァランタン
À part.脇で。
Singulier personnage!奇妙な奴だ!

WAGNERワグネール
tendant un verre à Méphistophélèsグラスを メフィストフェレスに 差し出して
Nous ferez-vous l'honneur de trinquer avec nous?あなたは 私たちに 私たちと 乾杯する 名誉を与えるか【≒ 私たちと一緒に 乾杯をしてくれれば 光栄だ】

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Volontiers!...喜んで!…

4/4
a minor
Saisissant la main de Wagner et l'examinant.ワグネールの手を掴んで そして それを 観察して【≒ 彼の手を じっくり見て】。
Ah! voici qui m'attriste pour vous!ああ! ここに あなたのために 私を悲しませるものが ある!
Vous voyez cette ligne?あなたは この線が 見えるか?

WAGNERワグネール
Eh bien?何だって?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Fâcheux présage!困った前兆だ!
Vous vous ferez tuer en montant à l'assaut.あなたは あなたを 死なせるだろう 攻撃する時に【≒ 突撃の際に 死ぬだろう】

WAGNERワグネール
Retirant sa main avec humeur.腹立たしげに 彼の手を 引っ込めて。

SIEBELシエベル
Vous êtes donc sorcier?つまり あなたは 魔法使いなのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Prenant la main de Siebel.シエベルの手を 掴んで。
Tout juste autant qu'il faut必要である限りにおいて まったく かろうじて
Pour lire dans ta main que le sort te condamne君の手の中で 読むために【≒ (続く que節 という)君の手相を見るのに 必要な限りでは かろうじて【魔法使いである】】 運命は 君に 余儀なくさせる と
À ne plus toucher une fleurもう 花に触ることはない
Sans qu'elle se fane.それ【= 花 女性名詞】が 萎れることなしに。

SIEBELシエベル
Retirant vivement sa main素早く 彼の手を 引っ込めて
Moi?私が?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Plus de bouquets à Marguerite!...もう マルグリートに 花束を 【贈るでない】!…

VALENTINヴァランタン
Ma soeur?...私の妹?…
Qui vous a dit son nom?誰が あなたに 彼女の名前を 言ったのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Prenez garde, mon brave!気を付けなさい、私の勇者よ【≒ おまえさん】
Vous vous ferez tuer par quelqu'un que je sais!あなたは あなたを 死なせるだろう 私が 知っている ある人によって!
Prenant le verre des mains de Wagnerワグネールの手のグラスを 取り上げて
A votre santé!あなたの健康に【≒ 乾杯】
Jetant le contenu du verre, après y avoir trempé ses lèvres.グラスの中身を 捨てて、そこに 彼の唇を 濡らした 後で。
Peuh! que ton vin est mauvais!プー! 君のワインは 何て 不味いのか!
Vous vous ferez tuer en montant à l'assaut.
monter à l'assaut [de -] [―を]襲撃する。

Tout juste autant qu'il faut
juste に tout や trop などが付くと ぎりぎり,かろうじて の意味になる。

Andante
4/4
C major
Permettez-moi de vous en offrir de ma cave!私に 許しなさい あなたたちに それを 私の地下倉庫から 提供することを。
Allegretto
2/4
B-flat major
Frappant sur le tonneau, surmonté d'un Bacchus, qui sert d'enseigne au cabaret.樽を叩いて、バキュス神【= バッコス,バッカス,酒神】の上にある、それ【= バキュス神】は 居酒屋の看板の 用をなしている。

4/4
B-flat major
Holà! seigneur Bacchus! À boire!おい! バキュス神様よ! 飲むために!
Le vin jaillit du tonneau.ワインが 樽から 迸り出る。
Aux étudiants.学生たちに。
Approchez-vous!近付きなさい
Chacun sera servi selon ses goûts.各人が ふるまわれるだろう 彼の好みに応じて。
À la santé que tout à l'heure健康に【≒ 乾杯】 それを 先ほど
Vous portiez, mes amis, à Marguerite!...あなたたちは 届けた、私の 友たちよ、マルグリートに!…

VALENTINヴァランタン
Arrachant le verre des mains de Méphistophélès. Le vin s'enflamme dans la vasque placée au-dessous du tonneau.メフィストフェレスの手のグラスを もぎ取って。ワインは 樽の下に 置かれた 水盤の中で 燃え上る。
Assez!十分だ!【≒ もう たくさんだ】
Si je ne te fais taire à l'instant, que je meure!もし 私が 君を 黙らせないのなら 今すぐに、私が 死ぬように【≒ 命を懸けて、お前を黙らせてやる】
À la santé que tout à l'heure / Vous portiez, mes amis, à Marguerite!...
台詞を含むオペラの形態では、ヴァランタンとマルグリートが登場する前に、ワグネールがシエベルに、マルグリートの健康を祝して乾杯させる場面がある。

Allegro
4/4
B-flat major
WAGNERワグネール
Holà!いざ!

CHŒUR合唱
Holà!いざ!
Ils tirent leurs épées.彼らは 彼らの剣を 引き抜く。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Pourquoi trembler, vous qui me menacez?なぜ 震えるのか、あなたは その者は 私を 脅している?
Il tire un cercle autour de lui avec son épée. Velentin s'avance pour l'attaquer. Son épée se brise.彼は 彼の剣で 彼の周りに 円を 引く。ヴァランタンは 彼を 攻撃するために 前進する。彼の剣は 砕ける。

VALENTINヴァランタン
Mon fer, ô surprise,私の剣が、ああ 驚きだ、
Dans les airs se brise!空気の中で【≒ 宙で】 砕けた!
Choral des épées

Moderato e maestoso
4/4
b-flat minor
SIEBEL, VALENTIN, WAGNER ET CHŒURシエベル、ヴァランタン、ワグネール と 合唱
De l'enfer qui vient émousser地獄から 鈍くしに 来ている者【の】
Nos armes私たちの武器を
Nous ne pouvons pas repousser私たちは 押し返す ことができない
Les charmes.魅力【≒ 魔力】【≒ 地獄から 私たちの剣を 駄目にしに来た者の 魔力には 私たちは 対抗できない】
Mais puisque tu brises le fer,しかし 君が 剣を 砕いている 以上は
Regarde!見なさい

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Faisant un bond en arrière. [Parlé.]後ろに 飛び上がって。[話し言葉で。]
Hein?...えっ?…

VALENTINヴァランタン
Prenant son épée par la lame et la présentant sous forme de croix à Méphistophélès.彼の剣の刃を 手に取って そして それを 十字架の形にして メフィストフェレスに 提示して。
C'est une croix qui de l'enfer,これは 十字架だ それは 地獄から
Nous garde.!私たちを 守る!

SIEBEL, VALENTIN, WAGNER ET CHŒURシエベル、ヴァランタン、ワグネール と 合唱
Tous forçant Méphistophélès à reculer et lui présentant la garde de leurs épées.全員が メフィストフェレスに 後ろへ下がることを 強いて そして 彼らの剣のつば を 提示して。
C'est une croix qui de l'enfer,これは 十字架だ それは 地獄から
Nous garde!私たちを 守る!
Siebel, Valentin, Wagner et la étudients sortent.シエベル、ヴァランタン、ワグネールと 合唱は 出る。
et lui présentant la garde de leurs épées.
中世ヨーロッパでは、剣が、特にそのつば(鍔、仏 garde、英 guard)が、十字架を模した 十字架(型)剣 と呼ばれるものになった。ヴァランタンが砕かれた剣を十字に組む一方で、他の人たちは十字架の形をしたつばをメフィストフェレスに見せて対抗している。


4/4
C major
SCÈNE 4第4景
Méphistophélès, puis Faust.メフィストフェレス、それから ファウスト。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Remettant son épée au fourreau.彼の剣を 鞘に 戻して。
Nous nous retrouverons, mes amis... Serviteur!私たちは 再会するだろう、私の友たちよ… 【私は あなたたちの】 僕 しもべ だ【≒ ごきげんよう】

FAUSTフォスト
entrant en scène.舞台に 入って。
Qu'as-tu donc?どうかしたのか?
Nous nous retrouverons, mes amis... Serviteur!
serviteur 謙った恭しい、堅苦しい挨拶の言葉。

Allegretto
6/8
C major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Rien! À nous deux, cher docteur!何もない! 私たち 二人だ、親愛なる先生よ!
Qu'attendez-vous de moi? Par où commencerai-je?あなたは 私から 何を 期待しているのか? 私は どこから 始めようか?

FAUSTフォスト
Où se cache la belle enfantどこに 美しい子供【≒ 若い娘】は 隠れているのか
Que ton art m'a fait voir? Est-ce un vain sortilège?君の技 わざ が 私に 見させた? あれは 虚しい魔法なのか?

4/4
C major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Non pas!いいや!
Andante
4/4
C major
mais contre nous sa vertu la protège;しかし 私たちに対して 彼女の貞節が 彼女を 守っている;
Et le ciel même la défend!そして 天でさえ 彼女を 守っている!

FAUSTフォスト
Qu'importe! je le veux! viens! conduis-moi près d'elle!何が 重要であるのだ【≒ どうでもいい】! 私は 望んでいる! 来なさい! 私を 彼女の近くに 連れて行きなさい!
Ou je me sépare de toi!さもないと 私は 君と 別れる【≒ 君を 解雇する】

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Il suffit! Je tiens trop à mon nouvel emploiそれは 十分だ【≒ 結構だ】! 私は 私の新しい職務を とても 大切にしている
Pour vous laisser douter un instant de mon zèle.君を 疑わせるには 一瞬 私の熱意を【≒ 私は 新しい仕事を とても 大事にしているので、一瞬でも 君が 私の熱意に 疑いを抱くようなことは しない】
Attendons!...待とう!…
Mouvement de valse
3/4
D major
Ici même, à ce signal joyeux,まさに ここに、この 陽気なきっかけで
La belle et chaste enfant va paraître à vos yeux.美しく そして 清純な 子供【≒ 若い娘】が 君の両目に 現れる ところだ。
Ici même, à ce signal joyeux,
ce signal joyeux
次のワルツの音楽のこと。
N° 9
Valse et Chœur

Marguerite
Siebel
Faust
Méphistophélès
Chœur
Mouvement de valse
3/4
D major
SCÈNE 5第5景
Étudiants, Jeunes Filles, Bourgeois, Méphistophélès, Faust, puis Siebel et Marguerite.学生たち、若い娘たち、市民、メフィストフェレス、フォスト、それから シーベル と マルグリート。

Les étudiants et les jeunes filles, bras dessus, bras dessous et précédés par des joueurs de violon, envahissent la scène. Ils sont suivis par les bourgeois qui ont paru au commencement de l'acte. Le chœur marque la mesure en marchant. Les musiciens montent sur les bancs; la valse commence.学生たちと 若い娘たちは、腕を組んで、そして ヴァイオリン奏者たちに先行されて、舞台いっぱいに広がる。彼らは 市民に 後をついて来られる その者【たち】は 幕の初めに 現れた。合唱は 歩きながら 拍子を示す。音楽家たちは ベンチの上に 上る; ワルツが 始まる。

CHŒUR JEUNES FILLES, ÉTUDIANTS ET BOURGEOIS合唱 若い娘たち、学生たち と 市民
Ainsi que la brise légère軽やかな微風が
Soulève en épais tourbillons厚い旋風になって 舞い上げる 【↑】ように
La poussière塵を
Des sillons,畝溝 うねみぞ の【≒ 穏やかな微風が 大きなつむじ風になって 田畑の塵を 舞い上げる ように】
Que la valse vous entraîne!ワルツが あなたたちを 引き付けるように!
Faites retentir la plaine鳴り響かせなさい 平原に
Du l'éclat de vos chansons!あなたたちの歌の 大きな声で!
Valsons!...ワルツを踊ろう!…
(Mouvement de valse)
3/4
D major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À Faust.フォストに。
Vois ces fillesあの娘たちを 見なさい
Gentilles!綺麗な【娘たちを】
Ne veux-tu pas君は したくないのか
Aux plus belles最も美しい者たちに
D'entre elles彼女たちのうちの
Offrir ton bras?君の腕を 提供することを?

FAUSTフォスト
Non! fais trêveいいや! 停止しなさい
À ce ton moqueur!その 君の嘲笑家を【≒ 私を 嘲笑うのは 止めなさい】
Et laisse mon cœurそして 私の心を 託しなさい
À son rêve!...その夢に【≒ 私の心に 夢を見させなさい】!…

SIEBELシエベル
Rentrant en scène.舞台に 戻って。
C'est par ici que doit passerこの辺りを 通るに違いない
Marguerite!マルグリートは!

CHŒUR JEUNES FILLES合唱 若い娘たち
Quelques jeune filles s'approchant de Siebel.何人かの若い娘が シエベルに 近付いて。
Faut-il qu'une fille à danser必要があるか 【誰か】一人の娘が 踊るように
Vous invite?あなたに 促す【≒ (私たちの中の)誰かが あなたと 踊ってあげようか?】

SIEBELシエベル
Non!... non!... non!... non!... je ne veux pas valser!いいや!… いいや!… いいや!… いいや!… 私は 踊りたくない!

CHŒUR JEUNES FILLES, ÉTUDIANTS ET BOURGEOIS合唱 若い娘たち、学生たち と 市民
Ainsi que la brise légère軽やかな微風が
Soulève en épais tourbillons厚い旋風になって 舞い上げる 【↑】ように
La poussière塵を
Des sillons,畝溝 うねみぞ の【≒ 穏やかな微風が 大きなつむじ風になって 畑の砂埃を 巻き上げるように】
Que la valse nous entraîne!ワルツが あなたたちを 引き付けるように!
Faites retentir la plaine鳴り響かせなさい 平原に
Du l'éclat de vos chansons!あなたたちの歌の 大きな声で!
速度、拍子、調性とも前から変わっていないが、総譜では二重線で区切られているので、ここに区切りを入れる。

Les étudiants et les jeunes filles, bras dessus, bras dessous
bras dessus bras dessous 腕を組んで

Des sillons,
sillon は本来、畑の畝と溝による筋のことだが、複数形で畑そのものを意味することがある。

Non! fais trêve / À ce ton moqueur!
faire treve a - ―を中断する,停止する

(Mouvement de valse)
3/4
G major
FAUSTフォスト
Marguerite paraît.マルグリートが 現れる。
La voici!... C'est elle!...ほら 彼女が!… あれは 彼女だ!…

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Eh bien! aborde-la!それでは! 彼女に 近付きなさい!

SIEBELシエベル
Apercevant Marguerite et faisant un pas vers elleマルグリートを 見かけて そして 彼女の方に 一歩 踏み出して
Marguerite!...マルグリート!…

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Se retournant et se trouvant face à face avec Siebel.振り向いて そして シエベルと 向かい合いになり。
Plaît-il!...何と 言ったのだ!…

SIEBELシエベル
À part.傍らで。
Maudit homme! Encor là!忌々しい男め! また そこに!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
D'un ton mielleux.甘ったるい調子で。
Eh quoi! mon ami! vous voilà!おや 何だって! 私の友よ! あなたが ここに!
Ah! Ah! vraiment!ハ! ハ! 本当に!

SIEBELシエベル
Reculant devant Méphistophélès qui lui fait faire ainsi le tour du théâtre en passant derrière le groupe des danseurs.メフィストフェレスを前にして 後ろに下がりながら その者は したがって 彼を劇場【≒ 舞台】の一回りをさせる 踊る人たちの後ろを 通りながら【≒ シエベルを 踊る人たちの後ろを通して 舞台をぐるりと一周 歩かせる】。
Plaît-il!...
plaît-il?英語の I beg your pardon? に相当する。

Andantino
3/4
G major
FAUSTフォスト
Abordant Marguerite qui traverse la scène.マルグリートに 近付いて その者は 舞台を 横切っている。
Ne permettrez-vous pas, ma belle demoiselle,あなたは 許すつもりはないか、私の美しい 令嬢よ、
Qu'on vous offre le bras pour faire le chemin?人が あなたに 腕を 提供することを 道を 歩くために【≒ 美しいお嬢さん、道を歩きに 私が 腕を 差し出しても よろしいか】

MARGUERITEマルグリート
Non, monsieur! Je ne suis demoiselle, ni belle,いいえ、貴君よ! 私は 令嬢ではないし、美しくもない、
Et je n'ai pas besoin qu'on me donne la main.そして 私は 必要としていない あなたが 私に 手を 差し出すことを。
Elle passe devant Faust et s'éloigne.彼女は フォストの前を 通過してそして 遠ざかる。

FAUSTフォスト
Suivant Marguerite des yeux.マルグリートを 目で 追って。
Par le ciel! que de grâce... et quelle modestie!...天に かけて! なんと多くの魅力… そして 何という謙虚!…
Ô belle enfant, je t'aime!ああ 美しい子【≒ 若い娘】よ、私は 君を 愛している!
Ne permettrez-vous pas, ma belle demoiselle,
permettrez 単純未来形 であって、permettez 現在形 ではないことに注意。間違っていることが少なくない。

Mouvement de valse
3/4
G major
Redescendant en scène sans avoir vu ce qui vient de se passer, Siebel va pour s'élancer sur le trace de Marguerite mais, se trouvant de nouveau face à face avec Méphistophélès, il lui tourne le dos et s'éloigne par le fond du théâtre.舞台に 再び降りて【≒ 舞台前方に 出て】 ちょうど 起こったばかりのところのことを 見ることなしに、シエベルは マルグリートの後を追って 駆け出すために 行く【≒ マルグリートを 追いかけようとする】 しかし、再び メフィストフェレスと 向かい合いになって、彼は 彼に 背を向けて 劇場【≒ 舞台】の奥に 遠ざかる。

SIEBELシエベル
Elle est partie!彼女は 立ち去った!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À Faust.フォストに。
Eh bien?それで?

FAUSTフォスト
Eh bien!それで!
L'on me repousse!彼女は 私を 拒絶している!
(Mouvement de valse)
3/4
F-shap major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
En riant.陽気に。
Allons! À tes amours,まあまあ! 君の恋愛には、
Je le vois, cher docteur, il faut prêter secours...私は そのことを 分かっている、親愛なる先生よ、救援を提供する ことが必要だ。

Faust et Méphistophélès s'éloignent du même côté que Marguerite.フォストと メフィストフェレスは マルグリートと同じ方向に 遠ざかる。

CHŒUR JEUNES FILLES合唱 若い娘たち
Quelques jeunes filles s'adressant à trois ou quatre d'entre elles qui ont observé la rencontre de Faust et de Marguerite.何人かの若い娘たちが 彼女たちのうちの3人か4人に 問い合わせて その者たちは フォストと マルグリートの 遭遇を 観察した。
Qu'est-ce donc?...あれは いったい 何なのか?…
Second groupe de jeunes filles.若い娘たちの 第2の集団。
Marguerite,マルグリートだ、
Qui de ce beau seigneur refuse la conduite!その者は 立派な紳士の案内【≒ 同伴】を 断っている。

CHŒUR ÉTUDIANTS ET BOURGEOIS合唱 学生たち と 市民
Les étudiants se rapprochent.学生たちが 近付く。
Valsons encor! Valsons toujours!また ワルツを踊ろう! ずっと ワルツを踊ろう!

CHŒUR JEUNES FILLES合唱 若い娘たち
Toutes les jeunes filles.若い娘たち全員。
Valsons toujours!ずっと ワルツを踊ろう!
(Mouvement de valse)
3/4
D major
CHŒUR JEUNES FILLES, ÉTUDIANTS ET BOURGEOIS合唱 若い娘たち、学生たち と 市民
Valsons toujours!ずっと ワルツを踊ろう!

Les étudiants, qui ont reconduit Valentin et Wagner, rentrent en scène et se mêlent à la valse.学生たちは、その者たちは ヴァランタンと ワグネールを 見送った、舞台に 戻る そして ワルツに 加わる。

Ainsi que la brise légère軽やかな微風が
Soulève en épais tourbillons厚い旋風になって 舞い上げる 【↑】ように
La poussière塵を
Des sillons,畝溝 うねみぞ の【≒ 穏やかな微風が 大きなつむじ風になって 田畑の塵を 舞い上げる ように】
Que la valse vous entraîne!ワルツが あなたたちを 引き付けるように!
Faites retentir la plaine鳴り響かせなさい 平原に
De l'éclat de vos chansons!あなたたちの歌の 大きな声で!
Più mosso
3/4
D major
Jusqu'à perdre haleine,呼吸を 失う まで【≒ 息が できなくなる まで】
Jusqu'à mourir,死ぬまで、
Un dieu les entraîne,ある神が 彼らを 引きずり込む、
C'est le plaisir!それは 快楽の神だ!
La terre tournoie...大地が くるくる回り…
Et fuit loin d'eux.そして 彼らから 遠くに 逃げる【≒ 遠ざかる】
Quel bruit, quelle joie何という喧噪【≒ 興奮】が、何という喜びが
Dans tous les yeux!すべての両目の中に!
La terre tournoie... / Et fuit loin d'eux.
ワルツを踊り過ぎて、目が回って倒れる様子。

Quel bruit, quelle joie
bruit は 物音,雑音 といった意味だが、この場合は 静かでない状態 ≒ 穏やかでない状態 ≒ 興奮 というような意味だと思われる。

Plus vite accelerando
3/4
D major
Jusqu'à perdre haleine,呼吸を 失う まで【≒ 息が できなくなる まで】
Un dieu les entraîne,ある神が 彼らを 引きずり込む、
C'est le plaisir!それは 快楽の神だ!
Jusqu'à mourir,死ぬまで、
Un dieu les entraîne,ある神が 彼らを 引きずり込む、
C'est le plaisir!それは 快楽の神だ!
ACTE Ⅲ - LE JARDIN DE MARGUERITE
N° 10
Entracte et Couplets

Siebel
Moderato quasi andante
4/4
c minor
Au fond, un mur percé d'une petite porte. À gauche, un pavillon dont la fenêtre fait face au public. Arbres et massifs.【舞台の】奥に、小さな扉によって通られた壁【≒ 小扉のある壁】。左側には、 一軒の家 その窓は 公衆に 向いている。木々と花壇。
Allegretto agitato
6/8
C major
SCÈNE 1第1景
Siebel, seul.シエベル、一人。

Il est arrêté près d'un massif de roses et de lilas.彼は 立ち止まる バラとライラックの花壇の傍で。

SIEBELシエベル
Seul, Siebel est arrêté près d'un massif de roses et de lilas.一人で、シエベルは 立ち止まる バラとライラックの花壇の傍で。
Faites-lui mes aveux,彼女に 告白しなさい、
Portez mes vœux,私の願いを 届けなさい、
Fleurs écloses près d'elle,彼女の傍で 咲く 花々よ、
Dites-lui qu'elle est belle,彼女に 言いなさい 彼女は 美しい と、
Que mon cœur nuit et jour私の心は 夜に そして 昼に
Languit d'amour!愛に 思い悩んでいる 【↑】と。
Faites-lui mes aveux,彼女に 告白しなさい、
Portez mes vœux,私の願いを 届けなさい、
Révélez à son âme彼女の魂に 暴露しなさい
Le secret de ma flamme!私の炎の 秘密を!
Qu'il s'exhale avec vous,それ【= 秘密 男性名詞】が お前たち【= 次行の 甘い香り】と一緒に 立ち上るように
Parfums plus doux!この上なく甘い 香りよ!
Il cueille une fleur.一輪の花を 摘む。
Qu'il s'exhale avec vous, / Parfums plus doux!
vous は2人称親称複数形で、次行の Parfums が複数形であると理解した。

Andante
4/4
C major
Fanée!... Hélas!萎れた!… ああ!
Il jette la fleur avec dépit.彼は 花を 投げ捨てる 悔しさをもって。
Ce sorcier, que Dieu damneあの魔法使いが、その者を 神が 地獄に落としている、
M'a porté malheur!私に 不幸を もたらした!
Tempo Ⅰ°
6/8
C major
Il cueille une autre fleur qui s'effeuille encore.彼は 別の花を 摘む それは 再び 花が散る。
Andante
4/4
C major
Je ne puis sans qu'elle se fane私は それ【≒ 花】が 萎れることなしに
Toucher une fleur!花に 触れる 【↑】ことができない!
Si je trempais mes doigts dans l'eau bénite...もし 私が 聖水の中に 指を 浸すならば…

Il s'approche du pavillon et trempe ses doigts dans un bénitier accroché au mur.彼は 家に 近付き そして 彼の指を 壁に掛けられた 聖水盤の中に 浸す。
C'est là que chaque soir vient prier Marguerite.そこだ 毎晩 マルグリートが 祈りに来るのは。
Allegro
4/4
C major
Voyons maintenant! Voyons vite!...さあ 見よう! すぐに 見よう!…
Il cueille deux ou trois fleurs.彼は 2輪か 3輪の 花を 摘む。
Elles se fanent?... Non!... Satan, je ris de toi!それらは 萎れるか?… いいや!… サタンよ、私は 君を 嘲笑しているぞ!
Tempo Ⅰ° Allegretto [agitato]
6/8
C major
C'est en vous que j'ai foi,お前たちに である 私が 信頼を 持っているのは【≒ お前たちを 私は 信頼している】
Parlez pour moi!私に 話しなさい!
Qu'elle puisse connaître彼女が 知る ことができる ように
L'émoi qu'elle a fait naître,【私の】ときめきを それを 彼女が 生じさせた、
Et dont mon cœur troubléそして それ【= ときめき】について 掻き乱された私の心は
N'a point parlé!少しも 話さなかった!
C'est en vous que j'ai foi,お前たちに である 私が 信頼を 持っているのは【≒ お前たちを 私は 信頼している】
Parlez pour moi!私に 話しなさい!
Si l'amour l'effarouche,もし 愛の神が 彼女を そっぽを向かせる ならば、
Que la fleur sur sa bouche花が 彼女の口の上に
Sache au moins déposerせめて 置く ことができるように
Un doux baiser!甘いキスを!
Il cueille des fleurs pour former un bouquet et disparaît dans les massifs du jardin.彼は 花束を 作る ために 花々を 摘み そして 庭の花壇の中に 姿を消す。
N° 11
Scène

Marguerite
Siebel
Faust
Méphistophélès
Allegro
6/8
C major
SCÈNE 2第2景
Méphistophélès, Faust, puis Siebel.メフィストフェレス、フォスト、それから シエベル。

FAUSTフォスト
Entrant doucement en scène [avec Méphistophélès].そっと 舞台に 入る [メフィストフェレスと共に]。
C'est ici?ここか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Suivez-moi!私の 後について来なさい!

FAUSTフォスト
Que regardes-tu là?そこで 君は 何を 見ているのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Siebel, votre rival!シエベルを、君の恋敵を!

FAUSTフォスト
Siebel?シエベルだと?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Chut!シッ!
Un peu plus lent
6/8
C major
le voilà!そこに 彼が!
Allegretto agitato
6/8
C major
Méphistophélès se cache avec Faust dans un bosquet.メフィストフェレスは 隠れる フォスト共に 木立の中に。

SIEBELシエベル
Entrant en scène, avec un bouquet à la main舞台に 入る、手に 花束を携えて
Mon bouquet n'est-il pas charmant?私の花束は 素敵ではないか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part傍らで
Charmant!素敵だよ!

SIEBELシエベル
Victoire!勝利だ!
Je lui raconterai demain toute l'histoire明日 私は 彼女に すべての経緯 いきさつ を 語ろう。
Et, si l'on veut savoir le secret de mon cœur,そして、もし 彼女が 私の心の秘密を 知りたければ、
Un baiser lui dira le reste!キスが 彼女に 残りを 言うだろう。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
à part傍らで
Séducteur!誘惑者め!

Siebel attache le bouquet à la porte du pavillon et sort.シエベルは 花束を 家の扉に 留める そして 【舞台を】 出る。
Allegro
4/4
C major
SCÈNE 3第3景
Méphistophélès, Faust.メフィストフェレス、フォスト。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Attendez-moi là, cher docteur!そこで 待ちなさい、親愛なる先生よ!
Allegretto
4/4
C major
Pour tenir compagnie aux fleurs de votre élève,あなたの生徒【= シエベル】の花々と 一緒にいることを 保つ【≒ 並べ置く】ために
Je vais vous chercher un trésor私は あなたに 宝物 ほうもつ を探しに行く
Plus merveilleux, plus riche encorより素晴らしい、なお一層 豪華な
Que tous ceux qu'elle voit en rêve.彼女が 夢で見る ところの すべてのものよりも。

FAUSTフォスト
Laisse-moi!私を 放っておきなさい!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
J'obéis... Daignez m'attendre ici!私は 従う… ここで 私を 待って ください!
Pour tenir compagnie aux fleurs de votre élève,
tenir compagnie a qn で 人と一緒にいてあげる,人のお相手をする。この場合は (花束)と一緒に置いておく という意味。

(Allegretto)
4/4
C major
Il sort.彼は 出る。
N° 12
Cavatine

Faust
Andante
4/4
A-flat major
SCÈNE 4第4景
Faust, seul.フォスト、一人。

FAUSTフォスト
Quel trouble inconnu me pénètre!何という 未知の 恋のときめきが 私に 入り込んでいることか!
Je sens l'amour s'emparer de mon être.私は 感じている 愛が 私の心を 捕らえているのを。
Ô Marguerite! À tes pieds me voici!ああ マルグリートよ! 君の足元に ここに 私が!
Larghetto
4/4
A-flat major
Salut! demeure chaste et pure, où se devine【お前に】挨拶を【送ろう】! 清純な そして 汚れを知らない 住まいよ
La présence d'une âme innocente et divine!無垢な そして 崇高な 魂の 存在【≒ 居るところ】よ!
Que de richesse en cette pauvreté!何という 豊かさが この貧しさに 【あることか】
En ce réduit, que de félicité!この小部屋に、何という幸福が 【あることか】
Salut! demeure chaste et pure, où se devine
salut は間投詞では やあ なのだが、さすがにそれでは素っ気ないので、名詞 挨拶 に肉付けして訳した。

Un peu plus vite
4/4
A-flat major
Ô nature, c'est là que tu la fis si belle!ああ 自然よ ここだ お前が 彼女を それほどに 美しく した のは。
C'est là que cette enfant a grandi sous ton aile,ここだ その子が お前の翼の下で 成長した のは、
A dormi sous tes yeux!お前の両目の下で 眠った 【のは】
Là que, de ton haleine enveloppant son âme,ここだ、お前の息で 彼女の魂を 包んで、
Tu fis avec amour épanouir la femmeお前が 愛情をもって その女性を 開花させた 【↑】のは
En cet ange des cieux!この 天の天使に!
C'est là! Oui! C'est là!ここだ! そうだ! ここだ!
Tempo Ⅰ°
4/4
A-flat major
Salut! demeure chaste et pure, où se devine【お前に】挨拶を【送ろう】! 清純な そして 汚れを知らない 住まいよ
La présence d'une âme innocente et divine!無垢な そして 崇高な 魂の 存在【≒ 居るところ】よ!
73小節(曲尾から4小節)に Adagio、74小節(曲尾から3小節)に Tempo Ⅰ° の指示があるが、区切りは省略した。

N° 13
Récitatif

Faust
Méphistophélès
Allegro assai
2/2
C major
SCÈNE 5第5景
Méphistophélès, Faust.メフィストフェレス、フォスト。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Méphistophélès reparaît, une cassette sous le bras,メフィストフェレスが 再び現れる、腕の下に【≒ 脇に】 宝石入れの小箱を 【携えて】。
Alerte! La voilà! Si le bouquet l'emporte気を付けなさい! ほら 彼女だ! もし 花束が 勝るならば
Sur l'écrin, je consens à perdre mon pouvoir.宝石箱に、私は 同意する 私の力が 負けると。

FAUSTフォスト
Fuyons! Je veux ne jamais la revoir!去ろう! 私は 彼女に 再び会うことを 決して 望まない!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Quel scrupule vous prend?何という 躊躇いを あなたは 抱くのか?
Plaçant l'écrin sur le seuil du pavillon.宝石箱を 家の戸口の上に 置いて。
Sur le seuil de la porte,扉の戸口の上に、
Voici l'écrin placé! Venez! J'ai bon espoir...ほらここに 宝石箱が! 来なさい! 私は 良い希望を 持っている…
Méphistophélès entraîne Faust et disparaît avec lui dans le jardin. Marguerite entre entre par la porte du fond et descend en silence jusque sur le devant de la scène.メフィストフェレスは ファウストを 引っ張って行く そして 彼と共に 庭の中に 消え失せる。マルグリートが 【舞台の】奥の扉を通って 入る そして 静かに 舞台の前方にまで 降る。
N° 14
Scène et Air

Marguerite
Moderato
4/4
a minor
SCÈNE 6第6景
Marguerite, seul.マルグリート、一人で。

MARGUERITEマルグリート
Seule.一人で。
Je voudrais bien savoir quel était ce jeune homme,私は 大いに 知りたいのだが あの若い男の人が 誰だったのか、
Si c'est un grand seigneur et comment il se nomme?大貴族なのかどうか そして 彼の名前が 何というのか?
Elle s'assied dans le bosquet,彼女は 木立の中に 座る、,
Si c'est un grand seigneur et comment il se nomme?
grand seigneur はいろいろに訳せるが、ここでは 大貴族 と訳しておく。

Chanson du roi de Thulé

Moderato maestoso
4/4
a minor
devant son rouet, et prend son fuseau autour duquel elle prépare de la laine.紡ぎ車の前の【木立の中に 座る】、そして 彼女が その周りに 羊毛を 用意したところの 彼女の糸巻きを 手に取る。

«Il était un roi de Thulé《テュレに 王が いた
Qui, jusqu'à la tombe fidèle,その者は 【↓】持っていた、墓に【入る】まで 誠実に、
Eut, en souvenir de sa belle,彼の美女【≒ 美しい妻】の 思い出の品として、
Une coupe en or ciselé!...»彫金された 金でできた【≒ 彫り装飾の施された 金の】 盃を!》
«Il était un roi de Thulé
仏 Thulé 独英 Thule は、遥か北方に存在すると言われた伝説の島。詳細は検索を。
なおオペラ御殿では地名は原則として日本語で一般的な表記を採用しているが、Thulé は伝説としては実在しない島なので、Thulé のフランス語読みに近い テュレ を採用する。

Andante
4/4
C major
S'interrompant.中断して。
Il avait bonne grâce à ce qu'il m'a semblé.【= フォスト】は かなりの優雅さを 持っていた 私に思われたところのものによれば【≒ 私の印象では 彼は 優雅な魅力に溢れていた】
Il avait bonne grâce à ce qu'il m'a semblé.
grâce 優雅さ、つまり礼儀正しく洗練された振舞い。マルグリートが紳士(フォスト)の優雅さに魅了されたことは重要である。
à ce que節 ―するところによると。ここでの à は ―によれば。

Tempo Ⅰ°
4/4
a minor
«Nul trésor n'avait tant de charmes!《いかなる宝も それほどの魅力を 持っていなかった!
Dans les grands jours, il s'en servait重要な日々には、彼は それを 用いた
Più lento
4/4
a minor
Et chaque fois qu'il y buvait,そして 彼が それを用いて 飲んだ 毎回ごとに【≒ 彼が その杯を用いて飲んだ時は いつでも】
Ses yeux se remplissaient de larmes...»彼の両目は 涙で いっぱいになった…》
Moderato maestoso
4/4
a minor
Elle se lève et fait quelques pas.彼女は 立ち上がる そして 何歩か 歩く。
«Quand il sentit venir la mort,《彼が 死が 来ると 感じた時に、
Étendu sur sa froide couche,彼の 冷たい寝床の上に 横になって、
Pour la porter jusqu'à sa bouche,彼の口まで それを 運ぶために
Sa main fit un suprême effort!...»彼の手は この上ない努力を した!…》
Andante
4/4
C major
S'interrompant.中断して。
Je ne savais que dire et j'ai rougi d'abord.私は 言うことを 知らなかった【≒ 私は 何を言えばよいのか 分からなかった】 そして 私は まず初めに 赤くなった。
Tempo Ⅰ°
4/4
a minor
Reprenant sa chanson.歌を 再び続けて。
«Et puis en l'honneur de sa dame,《そして それから 彼の妻を祝って
Il but une dernière fois;彼は 最後の回 飲んだ;
Più lento
4/4
a minor
La coupe trembla dans ses doigts,杯は 彼の指々の中で 震えた、
Et doucement il rendit l'âme.»そして 静かに 彼は 魂を 返した【≒ 死んだ】。》
Récit


4/4
C major
Les grands seigneurs ont seuls des airs si résolus,大貴族たちは ただ とても決然とした雰囲気 だけを 持っている、
Avec cette douceur!その静けさと共に!
Tempo moderato
4/4
C major
Elle se dirige vers le pavillon.彼女は 家の方に 向かう。
Allons! N'y pensons plus!さあ! もうそのことは 考えないようにしよう!
Andante
4/4
C major
Cher Valentin, si Dieux m'écoute,愛するヴァランタンよ、もし 神々が 私【の言うこと】を 聞くならば、
Je te reverrai...私は 君に 再び会うだろう…
Andantino
6/8
C major
Me voilà私は ここにいる
Toute seule!まったく 一人で!
Au moment d'entrer dans le pavillon, elle aperçoit le bouquet suspendu à la porte.家の中に入る瞬間に、彼女は 扉に掛けられた花束を 見かける。
Récit


4/4
C major
Un bouquet?花束が?
Elle prend le bouquet.彼女は 花束を 手に取る。
C'est de Siebel sans doute!これは たぶん シエベルからだ!
Pauvre garçon!かわいそうな少年よ!
Mouvement de la chanson
4/4
C major
Récit


4/4
C major
Apercevant la cassette.宝石入れの小箱を 見かけて。
Que vois-je là?私は あそこに 何を 見ているのか?
D'où ce riche coffret peut-il venir?どこから この豪華な小箱は 来ることができるのか?
Allegro
4/4
C major
Je n'ose私は あえて しない
Y toucher et pourtant... Voici la clef, je croi!それに触ろうと【≒ 私は それに 触る つもりはない】 しかし… ここに 鍵が ある、私は 信じる!
Si je l'ouvrais... Ma main tremble! Pourquoi?もし 私が それを 開けるならば… 私の手は 震えている! どうして?
Je ne fais, en l'ouvrant, rien de mal, je suppose...それを 開けることで、私は 悪いことは何も、しない、と 私は 思う…
Elle ouvre la cassette et laisse tomber le bouquet.彼女は 宝石入れの小箱を 開ける そして 花束を 落とす。
O Dieu! que de bijoux! Est-ce un rêve charmantああ 神よ! 何という宝石たちが! これは 素敵な夢なのか
Qui m'éblouit, ou si je veille?それは 私の目をくらます、それとも 私は 目を覚ましているかどうか?
Mes yeux n'ont jamais vu de richesse pareille!私の両目は このような豪華さを 決して 見たことがない!
Allegro non troppo
4/4
C major
Elle place la cassette tout ouverte sur une chaise et s'agenouille pour se parer.彼女は 宝石入れの小箱を すっかり開けて 椅子の上に 置くそして 【宝石で】 身を飾るために 跪く。
Si j'osais seulementせめて 私が 思い切って
Me parer un moment一時 ひととき 私を 飾る 【↑】ならば
De ces pendants d'oreille!この耳飾りで!
Elle tire des boucles d'oreilles de la cassette.彼女は 宝石入れの小箱から 耳飾りを取り出す。
Récit


4/4
C major
Ah! voici justement,ああ、ほら ここに ちょうど、
Au fond de la cassette,宝石入れの小箱の 底に
Un miroir! Comment鏡が! どうして
N'être pas coquette!おしゃれでなく いられるものか!
Air de bijoux

Allegretto leggiero
3/4
E major
Elle se pare des boucles d'oreilles, se lève et se regarde dans le miroir.彼女は 耳飾りを 身に着ける、立ち上がる そして 鏡の中の 自分の姿を見る。
Ah! je ris de me voirああ! 私は 私を 見て 笑っている
Si belle en ce miroir!この鏡の中で こんなにも美しい 【私を】
Est-ce toi, Marguerite?これは お前なのか、マルグリートよ?
Réponds-moi, réponds vite!私に 答えなさい、すぐに 答えなさい!
Non! Non! Ce n'est plus toi!いいや! いいや! これは もう お前ではない!
Ce n'est plus ton visage!これは もう お前の顔ではない!
C'est la fille d'un roi!これは 王の娘だ!
Qu'on salue au passage!その者に 人は 通る時に お辞儀をする!
Ah! s'il était ici!...ああ! もし 彼が ここに いるならば!…
S'il me voyait ainsi!...もし 彼が 私を そのように 見るならば!…
Comme une demoiselle令嬢のように
Il me trouverait belle!彼が 私を 美しいと 思うならば!
Tempo Ⅰ°
3/4
E major
Achevons la métamorphose!変身を 完成させよう!
Il me tarde encor d'essayer私は なおも 待ち遠しい 試してみるのが
Le bracelet et le collier.腕輪と 首飾りを【≒ ブレスレットとネックレスを 身に着けてみたくて うずうずしている】
ここでの Tempo Ⅰ° の指示は、直前の rit. の指示に対するもので、ほぼ a tempo と同じ。

Un poco più lento
3/4
E major
Elle se pare du collier d'abord, puis du bracelet.彼女は まず 首飾りを 身に着ける、それから 腕輪を。
Revenez peu à peu au 1er mouvement
3/4
E major
Se levant.立ち上がって。
Dieu! C'est comme une main qui sur mon bras se pose!神よ! これは 手のようだ それは 私の腕の上に 置かれている!
Tempo Ⅰ°
3/4
E major
Ah! je ris de me voirああ! 私は 私を 見て 笑っている
Si belle en ce miroir!この鏡の中で こんなにも美しい 【私を】
Est-ce toi, Marguerite?これは お前なのか、マルグリートよ?
Réponds-moi, réponds vite!私に 答えなさい、すぐに 答えなさい!
Ah! s'il était ici!...ああ! もし 彼が ここに いるならば!…
S'il me voyait ainsi!...もし 彼が 私を そのように 見るならば!…
Comme une demoiselle令嬢のように
Il me trouverait belle!彼が 私を 美しいと 思うならば!
この Tempo Ⅰ° には26小節長い初期稿がある。Allegretto leggiero をほぼすべてもう一度演奏する。ほとんど繰り返しなだけなので補遺には掲載しない。

Più mosso
3/4
E major
Margurite! Ce n'est plus toi!マルグリートよ! これは もう お前ではない!
Ce n'est plus ton visage!これは もう お前の顔ではない!
C'est la fille d'un roiこれは 王の娘だ!
Qu'on salue au passage!その者に 人は 通る時に お辞儀をする!
N° 15
Scène

Marguerite
Marthe
Faust
Méphistophélès
Allegretto vivo
4/4
C major
Marthe, entraint par le fond.マルト、【舞台の】 奥から 入って来て。
Récit


4/4
C major
MARTHEマルト
Entrant par le fond.【舞台の】 奥から 入って来て。
Seigneur Dieu! Que vois-je? Comme vous voilà belle,主である神よ! 私は 何を 見ているのか? 何と 美しく あなたが そこにいることか、
Mon ange! D'où vous vient ce riche écrin?私の天使よ! どこから 来ているのか この豪華な宝石箱は?

MARGUERITEマルグリート
Avec confusion.当惑をもって。
Hélas!ああ!
On l'aura par mégarde apporté!誰かが それを 不注意から【≒ 間違って】 持って来たのだろう

MARTHEマルト
Que non pas!とんでもない!
Ces bijoux sont à vous, ma chère demoiselle!これらの宝石は あなたのだ、私の愛するお嬢さんよ!
Que non pas!
que は non を強調している。Que non! とんでもない!


Tempo moderato
4/4
C major
Oui! c'est là le cadeau d'un seigneur amoureux!そうだ! それこそが 恋をしている殿方の贈り物だ!
(Tempo moderato)
3/4
C major
Soupirant.溜め息を吐いて。
Mon cher époux jadis était moins généreux!私の愛する夫は かつて より少なく 気前がよかった【≒ 若い頃の家の夫は そこまで気前良くはなかった!】

4/4
C major
SCÈNE 8第8景
Méphistophélès, Marthe, Marguerite, Faust.メフィストフェレス、マルト、マルグリート、フォスト。

Méphistophélès et Faust entrent en scène.メフィストフェレスと フォストは 舞台に 入る。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Saluant.挨拶をして。
Dame Marthe Schwerlein, s'il vous plaît!マルト・シュウェルレイン夫人、よろしければ!

MARTHEマルト
Qui m'appelle?誰が 私を 呼んでいるのか?

Marguerite se hâte d'ôter le collier, le bracelet et les pendants d'oreilles et de les remettre dans la cassette.マルグリートは 急いで外す 首飾りを、腕輪を そして 耳飾りを そして それらを 宝石入れの小箱の中に 戻す。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Pardon d'oser ainsi nous présenter chez vous!このように 厚かましくも あなたたちの家に 現れて 失礼!

3/4
C major
Bas à Faust.小声で フォストに。
Vous voyez qu'elle a fait bon accueil aux bijoux.あなたは 分かる 彼女が 宝石を 歓迎したことを【≒ あなたは 彼女が 宝石に 喜んだことが 分かるな】
Vous voyez qu'elle a fait bon accueil aux bijoux.
faire bon accueil à - ―を歓迎する,温かく迎える。


4/4
C major
Haut.大声で。
Dame Marthe Schwerlein?マルト・シュウェルレイン夫人は?

MARTHEマルト
Me voici!私は ここに!
Andante
4/4
C major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
La nouvelle報せは
Que j'apporte n'est pas pour vous mettre en gaieté.それを 私が もたらす あなたには 陽気なものではない。
Votre mari, madame, est mort et vous salue.あなたの夫は、夫人よ、死んだ そして 彼は あなたに 挨拶している【≒ 彼は あなたに よろしくと 言っていた】

MARTHEマルト
Ah! grand Dieu!...ああ! 偉大な神よ!…

MARGUERITEマルグリート
Qu'est-ce donc?いったい どうしたのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Rien!何もない!

Marguerite baisse les yeux sous le regard de Méphistophélès, referme la cassette, la reporte sur l'appui de la fenêtre et pousse les volets.マルグリートは メフィストフェレスの視線の下で【≒ メフィストフェレスに じっと見られて】 目を伏せて、宝石入れの小箱を 再び閉めて それを 窓台の上に 戻す そして 窓の外扉を 押す。

MARTHEマルト
Ô calamité!ああ 災難だ!
Ô nouvelle imprévue!ああ 思いがけない報せだ!

MARGUERITEマルグリート
À part.傍らで。
Malgré moi mon cœur tremble et tressaille à sa vue.私の意に反して 彼【= フォスト】の視線に 私の心臓は 震えている そして 身震いしている。

FAUSTフォスト
À part.傍らで。
La fièvre de mes sens se dissipe à sa vue.私の欲情の熱は 彼女の視線に 消えている。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À Marthe.マルトに。
Votre mari, madame, est mort et vous salue.あなたの夫は、夫人よ、死んだ そして あなたに 挨拶している【≒ 彼は あなたに よろしくと 言っていた】
la reporte sur l'appui de la fenêtre et pousse les volets.
appui de la fenêtre 西洋の石造り、コンクリート造りの家に多く見られる、窓の下部の敷居。窓から滴った雨水を外に排出するためのもの。窓台と訳されることが多いが、日本で窓台というと出窓の内側を指すことが多いので注意。
volet 窓の外側に据えられた開き戸の扉。日本の 雨戸 に相当するが、引き戸の雨戸とは形状が全く異なる。鎧戸 と訳されることも多いが、鎧戸は鎧板を用いた外扉のことで、volet は必ずしも鎧板を用いているわけではない。

Allegretto
6/8
C major
MARTHEマルト
Ne m'apportez-vous rien de lui?あなたは 彼から 私に 何も 持って来ていないのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Rien!... et, pour le punir, il faut dès aujourd'hui何もない!… そして、彼を 罰するために、今日から
Chercher quelqu'un qui le remplace!彼に 取って代わる誰かを 探 【↑】さなくてはならない!

FAUSTフォスト
À Marguerite.マルグリートに。
Pourquoi donc quitter ces bijoux?いったい どうして これらの宝石を 外してしまったのか?

MARGUERITEマルグリート
Ces bijoux ne sont pas à moi! Laissez, de grâce!これらの宝石は 私のものでは ない! 放っておきなさい、お願いだから !

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À Marthe, avec une ardeur affectée.マルトに、見せかけの情熱をもって。
Qui ne serait heureux d'échanger avec vous誰が 幸せでないだろうか あなたと 交換して
La bague d'hyménée!イメネ【= ヒュメン,結婚の神】の指輪を!

MARTHEマルト
À part.傍らで。
Ah bah!...ああ ふうん!…
Haut.大声で。
Plaît-il?何と 言ったのか?
Ah bah!...
この場合は、半信半疑だが悪く受け止めていないような返答。


4/4
C major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Soupirant.溜め息を吐いて。
Hélas! cruelle destinée!ああ! 酷い運命だ!
N° 16
Quatuor

Marguerite
Marthe
Faust
Méphistophélès
Moderato assai
3/4
A-flat major
FAUSTフォスト
À Marguerite.マルグリートに。
Prenez mon bras un moment!一時 ひととき 私の腕を 取りなさい!

MARGUERITEマルグリート
Se défendant.拒んで。
Laissez! Je vous en conjure!【私を】 放っておきなさい! 私は あなたに そのことを 懇願する!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
De l'autre côté du théâtre, à Marthe.劇場【≒ 舞台】の別の側で、マルトに。
Votre bras!あなたの腕を!

MARTHEマルト
À part.傍らで。
Il est charmant!彼は 素敵だ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part.傍らで
La voisine est un peu mûre!隣の人は 少し 成熟している【≒ もう 若くない】

MARGUERITEマルグリート
Je vous en conjure!私は あなたに そのことを 懇願する!

MARTHEマルト
Quelle noble allure!何と 威厳のある振舞いだ!

FAUSTフォスト
Âme douce et pure!優しい 魂だ そして 純粋な 【魂だ】

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Elle est un peu mûre!彼女は 少し 成熟している【≒ もう 若くない】

Marguerite abandonne son bras à Faust et s'éloigne avec lui. Méphistophélès et Marthe restent seuls en scène.マルグリートは 彼女の腕を フォストに 委ね そして 彼と共に 遠ざかる。メフィストフェレスと マルトは 二人だけで 舞台に 留まる。
Un peu plus vite
2/4
A-flat major
MARTHEマルト
Ainsi, vous voyagez toujours!それでは、あなたは いつでも 旅しているのだ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Toujours! Dure nécessité, madame!いつでも! つらい必要性だ、奥さん!
Sans amis, sans parents... sans femme...友だちなしで、両親なしで… 妻なしで…
Ah!ああ!

MARTHEマルト
Cela sied encore aux beaux jours.そのことは まだ 美しい日々【≒ 若い頃】には 相応しい。
Mais plus tard, combien il est tristeしかし もっと遅くには、どれほど 寂しいことか
De vieillir seul, en égoïste!孤独に 歳をとることは、自分のことしか考えずに!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
J'ai frémi souvent, j'en conviens,私は しばしば 震えた、私は そのことを 認める、
Devant cette horrible pensée.この 恐ろしい考えの前で。

MARTHEマルト
Avant que l'heure en soit passée,時が そこから 過ぎる 前に
Digne seigneur, songez-y bien!立派な貴君よ、そのことを よく 考えなさい!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
J'y songerai!...私は そのことを よく考えよう!…

MARTHEマルト
Sognez-y bien!そのことを よく 考えなさい!
Tempo Ⅰ°
Moderato assai
3/4
A-flat major
Méphistophélès et Marthe s'éloignent.Marguerite et Faust rentrent en scène.メフィストフェレスと マルテは 遠ざかる。マルグリートと フォストは 舞台に 戻る。

FAUSTフォスト
Eh quoi! Toujours seule!まあ 何だって! いつでも 一人で?

MARGUERITEマルグリート
Mon frère私の兄は
Est soldat; j'ai perdu ma mère;兵士だ; 私は 私の母を 亡くした;
Puis ce fut un autre malheur:それから これは 別の不幸だった:
Je perdis ma petite sœur.私は 私の妹を 亡くした。
Pauvre ange! Elle m'était bien chère!かわいそうな天使よ! 彼女は 私には とても大切だった!
C'était mon unique souci;それ【= 私の妹】が 私の 唯一の 心配だった;
Que de soins, hélas! Que de peines!なんと多くの世話を、ああ! なんと多くの心痛を!
C'est quand nos âmes en sont pleines私たちの魂が それ【= 世話と 心痛】で いっぱいになる時だ
Que la mort nous les prend ainsi.死が そのように 私たちから 彼らを 奪うのは。
Que de soins, hélas! Que de peines!
que de 無冠詞名詞 なんと多くの―。ただしこの文は
Que de soins je apportais , hélas! Que de peines j'avais!
から主語動詞を省略したものと理解した方が分かりやすいだろう。
なんと 私は 世話をしたことか、ああ! なんと 私は 心を痛めたことか!

C'est quand nos âmes en sont pleines / Que la mort nous les prend ainsi.
この2行は直接法現在形を用い、かつ1人称複数 私たち を用いているので、一般的なこととして話しているのだろう。

Un poco più mosso
3/4
A-flat major
Sitôt qu'elle s'éveillait, vite彼女が 目を覚ますと すぐに、素早く
Il fallait que je fusse là.私は そこに いなくてはならなかった【≒ 彼女が目を覚ます頃には 私は 彼女の傍に 居なくては ならなかった】
Tempo Ⅰ°
3/4
A-flat major
Elle n'aimait que Marguerite.彼女は マルグリートだけを 愛した。
Pour la voir, la pauvre petite,彼女を 見るために、かわいそうな子供を 【見るために】
Je reprendrais bien tout cela.私は そのこと【= 傍に居ること】を とてもしっかりと 繰り返した。

FAUSTフォスト
Si le ciel, avec un sourire,もし 天が、微笑みをもって、
L'avait faite semblable à toi,彼女を 君に 似させたのならば、
C'était un ange! Oui, je le croi!彼女は 天使だったのだ! そうだ、私は そのことを 信じる!

MARTHEマルト
Vous n'entendez pas,あなた【= メフィストフェレス】は 聞いていない、

MARGUERITEマルグリート
Vous moquez-vous?あなたは 嘲笑しているのか?

FAUSTフォスト
Non! je t'admire!いいや! 私は 君に 感服している!

MARGUERITEマルグリート
Souriant.微笑んで。
Je ne vous crois pas私は あなたを 信じていない
Ou de moi tout basあるいは とても小声で【≒ 声を押し殺して】 私を
Vous riez sans doute.たぶん あなたは 嘲笑している。
J'ai tort de rester私は 間違っていた 留まるのは
Pour vous écouter.あなたに 耳を傾けるために【≒ 私が あなたの話を 聞こうとしたのは 間違いだった】
Et pourtant j'écoute!でも それにもかかわらず 私は 耳を傾けている!

FAUSTフォスト
Non! je t'admire!いいや! 私は 君に 感服している!
Laisse-moi ton bras!君の腕を 私に 委ねなさい!
Dieu ne m'a-t-il pas神が 私を
Conduit sur ta route?君の道の上に 連れて来た 【↑】のではないのか?
Pourquoi redouter,なぜ 恐れるのか、
Hélas! d'écouter?ああ! 耳を傾けることを?
Mon cœur parle; écoute!私の心は 語っている、聞きなさい!

Méphistophélès et Marthe reparaissent.メフィストフェレスと マルトは 再び現れる。

MARTHEマルト
Vous n'entendez pas,あなたは 聞いていない、
Ou de moi tout basあるいは とても小声で【≒ 声を押し殺して】 私を
Vous riez sans doute.たぶん あなたは 嘲笑している。
Avant d'écouter,耳を傾ける 前に
Pourquoi vous hâterどうして あなたは 急ぐのか
De vous mettre en route?途上に 身を置くことを【≒ 出発するのを】

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Ne m'accusez pas,私を 非難するでない、
Si je dois, hélas!私が しなくてはならない としても、残念ながら!
Me remettre en route!途上に 再び身を置くことを【≒ 私が また出発しなくてはならないとしても】
Faut-il attester証明し【≒ 保証し】 なければならないのか
Q'on voudrait rester私が 留まることを 望むと
Quand on vous écoute?私が あなたに 耳を傾ける時には?

La nuit commence à tomber.夜【の帳】が 降り始める。
De vous mettre en route?
se mettre en route 出発する,出立する。


4/4
A-flat major
MARGUERITEマルグリート
À Faust.フォストに。
Retirez-vous! Voici la nuit.立ち去りなさい! ほら ここに 夜が。
Più mosso
4/4
A-flat major
FAUSTフォスト
Passant son bras autour de la taille de Marguerite.マルグリートの腰の周囲に 彼の手を 移動させて。
Chère âme!愛しい魂よ!

MARGUERITEマルグリート
Laissez-moi!私を 放っておきなさい!
Elle se dégage et s'enfuit.彼女は 抜け出して【≒ 彼の腕を 振り解いて】 そして 逃げる。

FAUSTフォスト
La poursuivant.彼女を 追いかけて。
Ah! méchante! On me fuit!ああ! 意地悪な人だ! 彼女は 私を 避けている!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part, tandis que Marthe, dépitée, lui tourne le dos.傍らで、マルトが、悔しがって、彼に 背を 向けている 間に。
L'entretien devient trop tendre!対話が あまりに優しく なっている!
Esquivons-nous!密かに逃げ出そう!
Il se cache derrière un arbre.彼は 一本の木の後ろに 隠れる。

MARTHEマルト
À part.傍らで。
Comment m'y prendre?どうやって 行動するか【≒ どうすればよいのか】
Se retournant.振り返って。
Eh bien! Il est parti! Seigneur!... Cher seigneur!おや まあ! 彼は 出発した! 貴君よ!… 愛しい貴君よ!
Elle s'éloigne.彼女は 遠ざかる。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Oui! Cours après moi!そうだ! 私を 追いかけなさい!
Ouf! cette vieille impitoyable,やれやれ! あの情け容赦のない婆さんは、
De force ou de gré, je croi,力で あるいは 好意で【≒ 有無を言わさず】、私は 思う、
Allait épouser le diable!悪魔と 結婚しようとしていた と!

FAUSTフォスト
Dans la coulisse.舞台裏で。
Marguerite!マルグリートよ!

MARTHEマルト
Dans la coulisse.舞台裏で。
Cher seigneur!愛しい貴君よ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Serviteur!【私は あなたの】 僕 しもべ だ【≒ ごきげんよう】
Comment m'y prendre?
s'y prendre 取りかかる,行動する。

De force ou de gré, je croi,
de gré ou de force 有無を言わさず,無理やりにでも

N° 17
Scène

Méphistophélès
Andante
4/4
C major
SCÈNE 9第9景
Méphistophélès, seul.メフィストフェレス、一人。

Il était temps! sous le feuillage sombre時間だ! 薄暗い葉の下で
Voici nos amoureux qui reviennent...ほら ここに 私たちの恋人たちが その者たちは 戻って来る…
第17番の初期稿では、この前に37小節がある。⇒ 補遺。


3/4
C major
C'est bien!これは 良い!
Gardons-nous de troubler un si doux entretien!とても甘美な対話を 邪魔しないよう 気を付けよう
Adagio
9/8
C major
Ô nuit, étends sur eux ton ombre!ああ 夜よ、彼らの上に お前の暗がりを 広げなさい!
Amour, ferme leur âme aux remords importuns!愛の神よ、彼らの魂を 煩わしい後悔に対して 閉ざしなさい!
Et vous, fleurs aux subtils parfums,そして お前たちは、かすかな香りのする花々よ、
Épanouissez-vous sous cette main maudite!花開きなさい この 呪われた手の下で!
Achevez de troubler le cœur de Marguerite!マルグリートの心を 掻き乱し 終えなさい【≒ 完全に 掻き乱しなさい】
Il s'éloigne disparaît dans l'ombre. Faust et Marguerite rentrent en scène.彼は 陰の中に 遠ざかる。フォストと マルグリートが 舞台に 戻る。
N° 18A
Duo

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Andante
3/4
F major
Marguerite, Faust.マルグリート、フォスト。

MARGUERITEマルグリート
Il se fait tard! Adieu!遅くなってきた!さようなら!

FAUSTフォスト
La retenant.彼女を 引き留めて。
Quoi! je t'implore en vain!何と! 私は 虚しく 君に 懇願している【≒ 私が 頼んでも 無駄なのか】
Attends! laisse ma main s'oublier dans la tiene!待ちなさい! 私の手を 君のものの中で 忘れられさせなさい【≒ 君の手の中に 私の手を 残しておきなさい】
S'agenouillant devant Marguerite.マルグリートの前に 跪いて。
Laisse-moi, laisse-moi contempler ton visage私が 君の顔を 熟視するがままにさせなさい
Sous la pâle clarté弱い明るさの下で
Dont l'astre de la nuit, comme dans un nuage,夜の星が、雲の中のように、
Caresse ta beauté!...君の美しさを 愛撫する 【↑】ところの【≒ まるで 雲の中でのように、月が、君の美しさを 優しく撫でる ほのかな明かりの下で 私が 君の顔を うっとりと眺めるのを 許しておくれ】!…

MARGUERITEマルグリート
Ô silence! Ô bonheur! Ineffable mystère!ああ 静けさよ! ああ 幸福よ! 言葉では言い表せない不思議さよ!
Enivrante langueur!うっとりさせる物憂さよ!
J'écoute et je comprends cette voix solitaire私は 聞いている そして 理解している この孤独な声を
Qui chante dans mon cœur!それは 私の心の中で 歌っている!
Dégageant sa main de celle de Faust.彼女の手を フォストのもの【=手】から 引き出して。
Laissez un peu, de grâce!少し 放っておきなさい、お願いだから!

FAUSTフォスト
Qu'est-ce donc?いったい それは 何なのか?

MARGUERITEマルグリート
Elle se panche et cueille une marguerite.彼女は 身を屈め そして 1輪のマーガレットを 摘む。
Un simple jeu!単なる遊びだ!
Laissez un peu!少し 放っておきなさい!
Elle effeuille la marguerite.彼女は マーガレットの花をむしる【≒ 花占いをする】。

FAUSTフォスト
Que dit ta bouche à voix basse?君の口は 低い声で 何を 言っているのか?

MARGUERITEマルグリート
Il m'aime! Il ne m'aime pas!彼は 私を 愛している! 彼は 私を 愛していない!
Il m'aime! Pas! Il m'aime! Pas! Il m'aime!彼は 私を 愛している! いない! 彼は 私を 愛している! いない!彼は 私を 愛している!

FAUSTフォスト
Oui! Crois en cette fleur éclose sous tes pas!そうだ! その花を 信じなさい 君の歩みの下で 開花した!
Qu'elle soit pour ton cœur l'oracle du ciel même!それ【= 花 女性名詞】が 君の心にとって 天の神託そのものであるように!
Il t'aime! Comprends-tu ce mot sublime et doux?彼は 君を 愛している! 君は この 崇高なそして 甘美な 言葉を 理解しているのか?
Dont l'astre de la nuit, comme dans un nuage,
l'astre de la nuit 夜の星 が単数形の場合は 月 を指す。


3/4
D-flat major
Aimer! porter en nous愛すること! 【それは】 私たちに もたらすことだ
Une ardeur toujours nouvelle!常に新しい情熱を!
Nous enivrer sans fin d'une joie éternelle!...私たちを 果てしなく 永遠の喜びで 陶酔させることだ!…
Adagio
4/4
D-flat major
MARGUERITE ET FAUSTマルグリート と フォスト
Éternelle!...永遠の!…
Andante
4/4
D-flat major
FAUSTフォスト
Ô nuit d'amour, ciel radieux!ああ 愛の夜よ、光り輝く天よ!
Ô douces flammes!ああ 心地よい炎よ!
Le bonheur silencieux無言の幸せが
Verse les cieux天国を 注いでいる
Dans nos deux âmes!私たちの魂の中に!

MARGUERITEマルグリート
Je veux t'aimer et te chérir!私は 君を 愛する ことを欲している そして 深く愛する 【ことを欲している】
Parle encore!もう一度 言う!
Je t'appartiens! je t'adore!私は 君のものである! 私は 君を 熱愛している。
Pour toi je veux mourir!君のために 私は 死ぬことを 望んでいる!
Allegro
2/2
f minor
FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Se dégageant des bras de Faust.フォストの腕から 抜けだす。
Ah! partez!ああ! 立ち去りなさい!

FAUSTフォスト
Cruelle!むごい女だ!
Me séparer de toi!...君と 別れることを!…

MARGUERITEマルグリート
Je chancelle!私は ぐらついている【≒ 動揺している】

FAUSTフォスト
Me séparer de toi!君と 別れることを!

MARGUERITEマルグリート
Suppliante.懇願して。
Laissez-moi!私を 放っておきなさい!
Ah! partez! Oui, partez vite!ああ! 立ち去りなさい! そうだ、すぐに 立ち去りなさい!
Je tremble! Hélas! j'ai peur!私は 震えている! ああ! 私は 恐れを 持っている【≒ 怖いのだ】
Ne brisez pas le cœur心を 壊すでない
de Marguerite!マルグリートの【心を】
Tempo Ⅰ°
2/2
f minor
Partez!立ち去りなさい!
Je tremble! Hélas! j'ai peur!私は 震えている! ああ! 私は 恐れを 持っている【≒ 怖いのだ】
Ne brisez pas le cœur壊すでない 心を
de Marguerite!マルグリートの!

FAUSTフォスト
Tu veux que je te quitte...君は 望んでいる 私が 君の元から 去ることを…
Vois ma douleur, hélas!私の苦悩を 見なさい、ああ!
Vois ma douleur, Marguerite!私の苦悩を 見なさい、マルグリートよ!
Tu me brises le cœur!君は 私の心を 壊している!
Par pitié!お願いだから!
O Marguerite!...ああ マルグリートよ!…

MARGUERITEマルグリート
Si je vous suis chère,もし 私が あなたにとって 大切であるならば、
Par votre amour, par ces aveuxあなたの愛によって、この告白によって
Que je devais taire,それを 私は 言わないで いなければならなかった【告白によって】
Cédez à ma prière!私の懇願に 譲歩しなさい!
Cédez à mes vœux!私の願いに 譲歩しなさい!

Partez. partez!立ち去りなさい、立ち去りなさい!
Oui, partez vite!そうだ、すぐに 立ち去りなさい!
Je tremble! Hélas! j'ai peur!私は 震えている! ああ! 私は 恐れを 持っている【≒ 怖いのだ】
Ne brisez pas le cœur壊すでない 心を
De Marguerite!マルグリートの!

FAUSTフォスト
Tu veux, hélas! que je te quitte...君は 望んでいる、ああ! 私が 君の元から 去ることを…
Vois ma douleur!私の苦悩を 見なさい!
Tu me brises le cœur!君は 私の心を 壊している!
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Elle tombe aux pieds de Faust.彼女は フォストの足元に 崩れる。
Moderato
2/2
A-flat major
Larghetto
2/2
A-flat major
FAUSTフォスト
Relevant doucement Marguerite.マルグリートを 優しく 起こして。
Divine pureté!崇高な清らかさよ!
Chaste innocence,清純な純真よ、
Dont la puissanceその力が
Triomphe de ma volonté!私の意欲に 打ち勝っている!
J'obéis! Mais demain?...私は 屈する! しかし 明日は?…
Più mosso
2/2
A-flat major
MARGUERITEマルグリート
Oui, demain! Dès l'aurore!はい、明日! 曙からすぐに!
Demain!... Toujours!...明日!… いつでも!…

FAUSTフォスト
Un mot encore!もう一度 一言を!
Répète-moi ce doux aveu!あの甘美な告白を 繰り返しなさい!
Tu m'aimes?君は 私を 愛しているのか?

MARGUERITEマルグリート
Marguerite s'échappe, court au pavillon, s'arrête sur le seuil et envoie un baiser à Faust.マルグリートは 【フォストから】 逃れて、家に 駆け寄り、敷居の上で 立ち止まり そして フォストに キスを 投げる【≒ 投げキッスをする】。
Adieu!さようなら!
Elle entre dans le pavillon.彼女は 家の中に 入る。

FAUSTフォスト
Félicité du ciel! Ah! fuyons!天の至福だ! ああ! 去ろう!
Allegro
2/2
A-flat major
Faust s'élance vers la porte du jardin, Méphistophélès lui barre le passage.フォストは 庭の門に向かって 駆け出す、メフィストフェレスが 彼の行く手を 阻む。

SCÈNE 11第11景
Méphistophélès, Faust.メフィストフェレス、フォスト。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Tête folle!...狂気の頭だ!…

FAUSTフォスト
Tu nous écoutais?君は 私たち【の話】を 聞いたのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Par bonheur!幸運にも!
Moderato
2/2
A-flat major
Vous auriez grand besoin, docteur,あなたは 大きな必要を 持っている【≒ とても 必要にしている】、先生よ、
Qu'on vous renvoyât à l'école!人が あなたを 学校に 送り返すことを!

FAUSTフォスト
Laisse-moi!私を 放っておきなさい!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Daignez seulementただ
Écouter un moment一瞬 聞いて 【↑】ください
Ce qu'elle va conter aux étoiles, cher maître!彼女が 【これから】 星々に 語ることを、親愛なる先生よ!
N° 18B
Scène

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Larghetto un peu plus lent que {noire pointée} = 50
9/8
G-flat major
SCÈNE 12第12景
Marguerite, Faust, Méphistophélès.マルグリート、フォスト、メフィストフェレス。

Marguerite ouvre la fenêtre du pavillon et s'y appuie un moment en silence, la tête entre les mains.マルグリートは 家の窓を 開ける そして そこに 一瞬 黙って もたれかかる、頭を 両手の間に【≒ 頭を 抱えて】。

Tenez! Elle ouvre sa fenêtre...じっとしていなさい! 彼女が 彼女の窓を 開ける…

MARGUERITEマルグリート
Il m'aime! Quel trouble en mon cœur!彼は 私を 愛している! 何という動揺が 私の心に!
L'oiseau chante; le vent murmure...鳥が歌う; 風が 囁く…
Toutes les voix de natureすべての 自然の声が
Me redisent en chœur:私に 声を揃えて 何度も言っている
Il t'aime! Ah! qu'il est doux de vivre!彼は 君を 愛している と! ああ! 生きることが 何と 心地よいことか!
Le ciel me sourit; l'air m'enivre!...空が 私に 微笑んでいる; 大気が 私を 酔わせている!…
Est-ce de plaisir et d'amour喜びで そして 愛で
Que la feuille tremble et palpite?...葉が 揺れて そして 揺らめいているのか?…
Demain?... Ah! presse ton retour,明日?… ああ! 戻ることを 速めなさい【≒ 早く 戻って来て】
Cher bien-aimé!... Viens!...愛しい 最愛の人よ!… 来なさい!…

FAUSTフォスト
S'élançant vers la fenêtre et saisissant la main de Marguerite.窓に向かって 駆け出して そして マルグリートの手を 握って。
Marguerite!マルグリートよ!
Larghetto un peu plus lent que {noire pointée} = 50
クリティカルエディション総譜には {noire pointée} のところに付点四分音符が描かれている。

Très largo
2/2
G-flat major
MARGUERITEマルグリート
Ah!ああ!
Marguerite reste un moment interdite et laisse tomber sa tête sur l'épaule de Faust. マルグリートは 一瞬 驚いた ままでいる そして 彼女の頭を フォストの肩の上に 落とさせる。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Hein! Hein, hein!ハ! ハ、ハ!
Méphistophélès ouvre la porte du jardin et sort en ricanant.メフィストフェレスは 庭の門を 開けて そして せせら笑いながら 出て行く。
(Très largo)
2/2
F major
ACTE Ⅳ - Ⅰ LA CHAMBRE DE MARGUERITE
N° 19
Scène

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Allegro non troppo
4/4
e minor
SCÈNE Première第1景
Marguerite, seule.マルグリート、一人。
Adagio
4/4
e minor
MARGUERITEマルグリート
S'approche de la fenêtre et écoute.窓に 近付く そして 聞く。

MARGUERITEマルグリート
Elles ne sont plus là! Je riais avec elles彼女たちは もう あそこには いない! 私は 彼女たちと一緒に 笑った
Autrefois... Maintenant...以前は… 今では…
Allegretto vivo
2/4
G major
CŒUR EN COULISSE JEUNES FILLES舞台裏の合唱 若い娘たち
[Dans la rue.][通りで。]
Le galant étranger s'enfuit... et court encor.親切な見知らぬ男は 逃げ去った… そして まだ 走っている。
Ah! ah! ah! ah! ah!ハ! ハ! ハ! ハ! ハ!
Les jeunes filles s'éloignent en riant.若い娘たちは 笑いながら 遠ざかる。
Moderato
4/4
e minor
MARGUERITEマルグリート
Elles se cachaient. Ah! cruelles!彼女たちは 見えなくなった。ああ! 酷い女たちだ!
Je ne trouvais pas d'outrage assez fort私は あれほどに ひどい 侮辱を 見出したことはなかった
Jadis pour les péchés des autres...かつて 他の人の罪に対して…
Un jour vient où l'on est sans pitié pour les nôtres.日が 来ている そこで 人は 哀れみがない 私たちのものに対して【≒ 人々が 私たちの罪に対して 哀れみを持たない 日が 来ているのだ】
Je ne suis que honte à mon tour!私の番では 私は 恥じるばかりだ【≒ 今度は 私が 恥ずかしい思いをするばかりだ】
Et pourtant, Dieu le sait, je n'étais pas infâme;しかし それでも、神は そのことを 知っている、私は 卑劣では なかった。
Tout ce qui t'entraîna, mon âme,お前を 誘惑した すべてのものは、私の魂よ、
N'était que tendresse et qu'amour!優しさ だけだった そして 愛だけ【だった】
Andante non troppo
4/4
e minor
Elle s'assied devant son rouet et file.彼女は 紡ぎ車の前に 座る そして 糸を紡ぐ。
Il ne revient pas...彼は 戻って来ない…
J'ai peur, je frissonne,私は 不安を持ち、私は 震える、
Je languis, hélas!私は 思いやつれる、悲しいこと!
En vain l'heure sonne,虚しく 時が 過ぎる、
Il ne revient pas...彼は 戻って来ない…
Où donc peut-il être?彼は いったい どこに いるかもしれないのか?
Seule à ma fenêtre,一人 私の窓【辺】
Je plonge là-bas私は 向こうに 投じる
Mon regard. Hélas!私の眼差しを【≒ 私は 向こうを じっと見つめる】。悲しいこと!
Où donc peut-il être?彼は どこに いるかもしれないのか?
Il ne revient pas...彼は 戻って来ない…
Je n'ose me plaindre.私は あえて 不平を 言わない。
Il faut me contraindre.我慢する 必要がある。
Je pleure tout bas...私は とても 小声で 泣く【≒ 忍び泣く】
S'il pouvait connaîtreもし 彼が 知る ことができるなら
Ma douleur! Hélas!私の苦悩を! 悲しいこと!
Où donc peut-il être?彼は いったい どこに いるかもしれないのか?
Il ne revient pas...彼は 戻って来ない…
Oh! le voir, entendreああ! 彼に 会うこと、聞くこと
Le bruit de ses pas!彼の歩みの音を!
Mon cœur est si las,私の心は とても 疲れた、
Si las de l'attendre...彼を 待つことに とても 疲れた…
Il ne revient pas...彼は 戻って来ない…
Mon seigneur,私の貴君よ、
糸紡ぎの歌。

マルグリートのパートは12/8で書かれている。

Je plonge là-bas / Mon regard. Hélas!
plonger son regard 見つめる。

Allegro
4/4
e minor
mon maître!私のいとしい人よ!
S'il allait paraître,もし 彼が 姿を現す ところであるならば、
Quelle joie!何という歓喜だろう!
mon maître!
男性形の maître には 愛する人 といった意味はないが、この場合は尊敬の念も込めて maître で いとしい人 と呼び掛けていると理解した。

Tempo Ⅰ°
4/4
e minor
Hélas!悲しいこと!
Où donc peut-il être?彼は いったい どこに いるかもしれないのか?
Il ne revient pas...彼は 戻って来ない…

Elle laisse tomber sa tête sur sa poitrine et fond en larmes. Le fuseau s'échappe de ses mains.彼女は 彼女の頭を 彼女の胸に 落ちるがままにさせる そして 泣き崩れる。糸巻きが 彼女の両手から 逃げる【≒ 滑り落ちる】
N° 20
Récitatif et Romance 1

Marguerite
Siebel
Allegro agitato
4/4
C major
SCÈNE 2第2景
Siebel, Marguerite.シエベル、マルグリート。

SIEBELシエベル
S'approchant doucement de Marguerite.そっと マルグリートに 近付いて。
Marguerite!マルグリート!
この第20番は経緯が極めて複雑である。以下大雑把に説明する。
《フォスト》が台詞を含むオペラとして書かれた時には、マルグリートとシエベルの対話にシエベルのロマンス(ロマンス1)が含まれていた。ただし最初期の出版総譜にはロマンス1は見当たらず、時間短縮のために上演では省かれていた可能性もある。
通して歌うオペラに改められた際、グノーは20番を Scène にした。⇒ 補遺。ここにはロマンス1は含まれていないが、グノーは自筆総譜にロマンス1を挿入するよう指示を書いている。
一方で CHOUENS社の初期の出版総譜(⇒ IMSLP #327915)にはシエベルのロマンスはない。
このようにロマンス1はあったりなかったりで定着することがなかった。
1863年6月11日、ロンドンの女王陛下劇場でのイタリア語訳詞上演(アシル・ド・ロジエル Achille de Lauzièreによる伊語訳。これは前年11月11日、ミラノのスカラ座でのイタリア初演のために制作されたもの)の際、グノーはシエベルのロマンスを、イタリア語の Quando a te lieta に差し替えた。⇒ 補遺。
これは後にオネシム・プラデル Onèsime Pradère によってフランス語訳詞が付けられ、そしてグノーの死後オペラ座でもこちらが採用されるようになった(ロマンス2)。⇒ 補遺。
なお1869年のオペラ座での初演ではこのロマンス1が用いられた。

Moderato
4/4
C major
MARGUERITEマルグリート
Siebel!シエベル!

SIEBELシエベル
Encor des pleurs!まだ 涙を!

MARGUERITEマルグリート
Se levant.立ち上がって。
Hélas!悲しいこと!
Vous seul ne me maudissez pas!あなただけが 私を 呪わない【≒ 私を 忌み嫌うことがないのは あなただけだ】

SIEBELシエベル
Je ne suis qu'un enfant, mais j'ai le cœur d'un homme私は 子供でしかない、しかし 私は 【一人前の】男の心を 持っている
Et je vous vengerai de son lâche abandon!そして 私は あなたのために 彼の卑劣な放棄に 復讐しよう!
Je le tuerai!私は 彼を 殺そう!

MARGUERITEマルグリート
Qui donc?いったい 誰を?

SIEBELシエベル
Faut-il que je le nomme,私が 彼の 名前を言わ なくてはならないのか、
L'ingrat qui vous trahit?恩知らず【≒ 悪人】を その者は あなたを 裏切っている?

MARGUERITEマルグリート
Non! Taisez-vous!いいや! 黙りなさい!

SIEBELシエベル
Pardon!失礼!
Vous l'aimez encore?あなたは 彼を まだ 愛しているのか?

MARGUERITEマルグリート
Oui!そうだ!
Andante
4/4
C major
Toujour!ずっと!
Récit


4/4
C major
Mais ce n'est pas à vous de plaindre mon ennui.しかし 私の悩みを 気の毒に思うのは あなたではない【≒ あなたが 私の悩みを 哀れむべきではない】
J'ai tort, Siebel, de vous parler de lui.私は 間違っている、シエベルよ、あなたに 彼のことを 話すのは。
Andante cantabile
4/4
B-flat major
SIEBELシエベル
Versez vos chagrins dans mon âme!あなたの悲しみを 私の魂に 注ぎなさい!
Mon fol amour s'est endormi...私の 狂おしい愛は 眠り込んだ…
Il ne m'est resté de sa flammeその【= 魂の】炎 で 私には 残った
Que la tendresse d'un ami!友の愛情 【↑】だけが!
Hélas! ne me mettez pas en douteああ! 疑うでない 私の
Ce dévouement silencieux!この 静かな献身を!
Mon cœur a reçu goutte à goutte私の心は 一滴ずつ 受け取った
Les pleurs qui tombent de vos yeux.涙を それは あなたの両目から 落ちる。
ロマンス1。
差し替えられた ロマンス2 を含む第20番は補遺に掲載。

Moderato
3/4
F major
MARGUERITEマルグリート
Soyez béni, Siebel! Votre amitié m'est douce.祝福されるように、シエベルよ、あなたの友情は 私に 優しい。
Ceux dont la main cruelle me repousseその酷い手が 私を 拒絶する 人たちは
N'ont pas fermé pour moi les portes du saint lieu.私に 聖なる場所【≒ 教会】の扉々を 閉じなかった。
J'y vais pour mon enfant... et pour lui prier Dieu.私は 私の子供のために そこに 行く… そして 彼のために 神に 祈る。
Elle sort; Siebel la suit à pas lents.彼女は 出る; シエベルは ゆっくりとした歩みで 彼女の 後を追う。
(ACTE Ⅳ -) Ⅱ
N° 21
Scène de l'église

Marguerite
Méphistophélès
Andante
4/4
c minor
SCÈNE Ⅲ第3景
Marguerite, [voix], puis Méphistophélès.マルグリート、[声]、それから メフィストフェレス。

Quelques femmes traversent la scène et entrent dans l'église. Marguerite entre après elles et s'agenouille.何人かの女性たちが 舞台を横切り そして 教会の中に入る。マルグリートは 彼女たちの後に 入り そして その後に入り そして 跪く。

MARGUERITEマルグリート
Seigneur, daignez permettre à votre humble servante主よ、あなたの つましい僕 しもべ に 許して ください
De s'agenouiller devant vous!あなたの前に 跪くことを!

CHŒUR BARDES合唱 吟遊詩人たち
Non! Tu ne prieras pas! Frappez-la d'épouvante!いいや! 君は 祈ってはならない! 彼女を 激しい恐怖で 襲いなさい
Esprits du mal, accourez tous!悪の霊たちよ、皆 駆け付けなさい!

CHŒUR DÉMONS INVISIBLES合唱 見えないデーモンたち
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Qui m'appelle?誰が 私を 呼んでいるのか?

CHŒUR DÉMONS INVISIBLES合唱 見えないデーモンたち
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Je chancelle!私は よろめいている!
Je meurs! Dieu bon! Dieu clément!私は 死にそうだ! 善良な神よ! 慈悲深い神よ!
Est-ce déjà l'heure du châtiment?もう 罰の時間なのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Méphistophélès paraît derrière un pilier et se penche à l'oreille de Marguerite.メフィストフェレスが 一本の柱の後ろに 現れ そして マルグリートの耳に 身を屈める。
Souviens-toi du passé quand, sous l'aile des anges,過去を 思い出しなさい、天使の翼の下で、
Abritant ton bonheur,【君が】 君の幸福を 保護しながら、
Tu venais dans son temple, en chantant ses louanges,君が 彼【= 主】の聖堂の中に 来た 【↑↑】時、彼【= 主】の称賛を 歌いに、
Adorer le Seigneur!主を 礼拝しに【≒ 君の幸せが (まだ) 天使に 庇護されていた頃に、君が 主を 大いに 讃えようと、主の礼拝をしに 教会に 来た時のことを】
Lorsque tu bégayais une chaste prière,君が 清純な祈りを たどたどしく話した時【のことを】
D'une timide voix,内気な声で、
Et portais dans ton cœur les baisers de ta mère,そして 【君が】 君の心の中に 留めていた 【時のことを】 君の母親のキスを、
Et Dieu tout à la fois...そして 同時に 神を…
Écoute ces clameurs! C'est l'enfer qui t'appelle!...あの喧騒を 聞きなさい! 君を 呼んでいるのは 地獄だ!…
C'est l'enfer qui te suit!君の 後を追っているのは 地獄だ!
C'est l'éternel remords et l'angoisse éternelleそれは 永遠の後悔だ そして 永遠の不安だ
Dans l'éternelle nuit!永遠の夜の中の!

MARGUERITEマルグリート
Dieu! Quelle est cette voix qui me parle dans l'ombre?神よ! あの声は 何なのだ それは 闇の中で 私に 語る?
Dieu tout puissant!全能の神よ!
Quel voile sombreどんな 暗いヴェールが
Sur moi descend?私の上に 降りて来るのか?

CHŒUR RELIGIEUX合唱 修道士たち
Quand du Seigneur le jour luira,主の日が 光るであろう【≒ (夜から)明けるであろう】 時、
Sa croix au ciel resplendira彼の十字架は 天で 輝くだろう
Et l'univers s'écroulera.そして 世界は 崩壊するだろう。

MARGUERITEマルグリート
Hélas! ce chant pieux est plus terrible encore!ああ! あの敬虔な歌は なおいっそう 恐ろしい!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Non!いいや!
Pour toi Dieu n'a plus de pardon!君に 神は もう 許しを 持っていない!
Pour toi le ciel n'a plus d'aurore!君に 天は 曙を もっていない!

CHŒUR RELIGIEUX合唱 修道士たち
Que dirai-je alors au Seigneur?その時 私は 主に 何を 言おうか?
Où trouverai-je un protecteur,どこで 私は 保護者を 見付けるのだろうか、
Quand l'innocent n'est pas sans peur?いつ 潔白な者が 恐れなしに なるのだろうか?

MARGUERITEマルグリート
Ah! ce chant m'étouffe et m'oppresse!ああ! あの歌は 私を 息苦しくさせている そして 私の 胸を圧迫している!
Je suis dans un cercle de fer.私は 鉄の輪の中に いる。

CHŒUR DÉMONS INVISIBLES合唱 見えないデーモンたち
Adieu les nuits d'amour et les jours pleins d'ivresse!さようなら 愛の夜よ そして 陶酔に満ちた日々よ!
À toi malheur! À toi l'enfer!君に 不幸が! 君に 地獄が!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Il disparaît.彼は 見えなくなる。
Più lento
4/4
C major
MARGUERITEマルグリート
Seigneur,主よ、
(Più lento)
3/4
F major
MARGUERITEマルグリート
Seigneur, accueillez la prière主よ、祈りを 受け入れなさい
Des cœurs malheureux!不幸な心たちの!
Qu'un rayon de votre lumièreあなたの明かりの光線が
Descende sur eux!それら【= 心たち 男性名詞複数】に 下りるように!

CHŒUR RELIGIEUX合唱 修道士たち
Seigneur, accueillez la prière主よ、祈りを 受け入れなさい
Des cœurs malheureux!不幸な心たちの!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Marguerite!マルグリートよ!
Sois maudite!呪われなさい!
À toi l'enfer!君に 地獄が!

MARGUERITEマルグリート
Ah!ああ!
Marguerite tombe évanouie sur les dalles.マルグリートは 舗石の上に 気を失って倒れる。
Le rideau tombe.幕が 下りる。
合唱の RELIGIEUX 修道士たち の指示はクリティカルエディションの総譜にはないが、台本(とピアノ伴奏譜)には明記されている。

(ACTE Ⅳ -) Ⅲ. LA RUE
N° 22
Chœur des soldats

Siebel
Marthe
Valentin
Chœur

Allegretto di marcia
6/8
B-flat major
SCÈNE 1第1景
Soldats, Valentin, puis Siebel.兵士たち、ヴァランタン、それから シエベル

MARTHEマルト
Écoutez! Les voici! Venez vite!聞きなさい! 彼らが そこに! すぐに 来なさい!
Sauvez-là, Siebel, j'espère en vous!彼女【= マルグリート】を 助けなさい、シエベルよ、私は あなたを 頼りにしている!
このマルトの歌詞は一般的には歌われないものである。
《フォスト》が台詞を含むオペラだった時から通しで歌われるオペラになった初期の頃まで、第4幕は マルグリートの部屋 → 通り(兵士たちの合唱を含む) → 教会の場面 の順であった。
マルグリートの部屋の場面の終わりで彼女が部屋から出ると、マルトが慌てて駆け付けシエベルにヴァランタンが帰還したことを告げる8小節のレシタティフがあった。⇒ 補遺。その次に通りの場面になり、その冒頭にこのマルトの歌があった。つまりここでの歌詞は、本来8小節のレシタティフに続くものだった。
1862年頃、第4幕はマルグリートの部屋 → 教会の場面 → 通り の順に並び変えられた。CHOUENS社の初期の出版総譜(⇒ IMSLP #327915)ではこの順になっており、そしてシエベルとマルタの8小節のレシタティフは、兵士たちの合唱の直前に セヌ として移されている。
この8小節のレシタティフと続くマルトの歌がすぐに歌われなくなったのは不思議ではない。しばらくすると出版譜からもなくなった。

Sauvez-là, Siebel, j'espère en vous!
esperer en - ―を頼りにする。

(Allegretto di marcia)
6/8
E-flat major
CŒUR合唱
Déposons les armes!武器を 降ろそう!
Dans nos foyers enfin nous voici revenus!私たちの家庭に ほら 私たちは ついに 帰って来た!
Nos mères en larmes,私たちの 母親たちは 泣いている、
Nos mères et nos soeurs ne nous attendront plus.私たちの 母親たち そして 私たちの 姉妹たちは もう 私たちを 待つことはない。
Récit


4/4
E-flat major
VALENTINヴァランタン
Apercevant Siebel.シエベルを 見かけて。
Eh parbleu! c'est Siebel!...ああ そうだとも! これは シエベルだ!…

SIEBELシエベル
En effet, je...その通り、私だ…

VALENTINヴァランタン
Viens vite!すぐに 来なさい!
Viens dans mes bras!私の両腕の中に 来なさい!
Allegro moderato
4/4
E-flat major
Il l'embrasse Siebel.彼は シエベルを 抱擁する。
Récit


4/4
E-flat major
Et Marguerite?...それで マルグリートは?…
Moderato
4/4
E-flat major
SIEBELシエベル
Avec embarras.困惑をもって。
Elle est à l'église, je croi.彼女は 教会にいる、と 私は 信じている。

VALENTINヴァランタン
Oui, priant Dieu pour moi!そうだ、私のために 神に 祈っているのだ!
Chère soeur!いとしい妹よ!
Comme elle va prêter une oreille attentive彼女は 熱心な耳を 貸すだろう【≒ じっと 耳を 傾けるだろう】
Au récit de nos combats!私たちの戦闘の話に!
Allegro
4/4
E-flat major
CŒUR合唱
Oui, c'est plaisir, dans les familles,そうだ 家庭での 楽しみだ、
De conter aux enfants qui frémissent tout bas,子供たちに 語るのことは その者たちは とても小声で【≒ 黙って】 震えている、
Aux vieillards, aux jeunes filles,【そして】老人たちに、若い娘たちに、
La guerre et ses combats!戦争を そして その 戦闘を!
Tempo marziale
12/8
B-flat major
Gloire immortelle不滅の栄光よ
De nos aïeux,私たちの 祖先の【不滅の栄光よ】
Sois nous fidèle!私たちに 誠実で ありなさい!
Mourons comme eux!彼らのように 死のう!
Et, sous ton aile,そして、お前【= 栄光】の翼の下で、
Soldats vainqueurs,勝利を得た 兵士たち【である】
Dirige nos pas, enflamme nos cœurs!私たちの 歩みを 導きなさい、私たちの心を 燃え上がらせなさい!
Pour toi, mère patrie,お前のために、母国よ、
Affrontant le sort,運命に 立ち向かって
Tes fils, l'âme aguerrie,【戦争に】慣れた魂【の持ち主である】、お前の息子たちは、
Ont bravé la mort.死に 勇敢に立ち向かった。
Ta voix sainte nous crie:お前の 聖なる声が私たちに 叫ぶ:
En avant soldats!進め 兵士たちよ!
Le fer à la main, courez aux combats!手に 剣を 【握って】、戦闘に 駆けつけろ!
Gloire immortelle不滅の栄光よ
De nos aïeux,私たちの 祖先の【不滅の栄光よ】
Sois nous fidèle!私たちに 誠実でありなさい!
Mourons comme eux!彼らのように 死のう!
Et sous ton aile,そして、お前【= 栄光】の翼の下で、
Soldats vainqueurs,勝利を得た 兵士たち【である】
Dirige nos pas, enflamme nos cœurs!私たちの 歩みを 導きなさい、私たちの心を 燃え上がらせなさい!
Vers nos foyers, hâtons le pas!私たちの家庭に向かって 歩みを 速くしよう!
On nous attend; la paix est faite.【≒ 家族】が 私たちを 待っている; 平和が 作られた。
Plus de soupirs! Ne tardons pas!溜め息は もうない! 遅れないよう!
Notre pays nous tend les bras!私たちの国が 私たちに その腕を 差し出している!
L'amour nous rit. L'amour nous fête愛が 私たちに 微笑んでいる。 愛が 私たちを 歓迎している
Et plus d'un cœur frémit tout basそして 一つの心より多くが とても小声で
Au souvenir de nos combats.私たちの戦闘の思い出に【≒ 私たちの戦闘を 声を詰まらせて 思い返すの人は 一人だけではない】

Gloire immortelle不滅の栄光よ
De nos aïeux,私たちの 祖先の【不滅の栄光よ】
Sois nous fidèle!私たちに 誠実で ありなさい!
Mourons comme eux!彼らのように 死のう!
Et, sous ton aile,そして、お前【= 栄光】の翼の下で、
Soldats vainqueurs,勝利を得た 兵士たち【である】
Dirige nos pas, enflamme nos cœurs!私たちの 歩みを 導きなさい、私たちの心を 燃え上がらせなさい!
Les soldats se séparent et se dispersent de différents côtés. Femmes et enfants accourent à leur rencontre et s'éloignent avec eux. Valentin et Siebel restent seuls en scène.兵士たちは 別れる そして 様々な方向に 四散する。女性たちと 子供たちは 彼らを出迎えに 駆けつける そして 彼らと共に 遠ざかる。ヴァランタンと シエベルは 二人だけで 舞台に 残る。
(Tempo marziale)
6/8
B-flat major
(Tempo marziale)
6/8
E-flat major
N° 23
Récitatif et Scène

Siebel
Marthe
Valentin
Chœur

Moderato
4/4
C major
SCÈNE 2
Valentin, Siebel.
Récit


4/4
C major
VALENTINヴァランタン
Allons, Siebel! Entrons dans la maison!行こう、シエベルよ! 家の中に 入ろう!
Le verre en main, tu me feras raison!手に グラスを 【持って】、君は 私に 乾杯を返すだろう!
Le verre en main, tu me feras raison!
faire raison a qn 甲が乙の健康を祝って乾杯した後に、乙が甲の健康を祝って乾杯すること。

Récit


4/4
C major
SIEBELシエベル
Non! N'entre pas!だめだ! 入るでない!
Allegro
4/4
C major
VALENTINヴァランタン
Pourquoi? Tu détournes la tête?どうしてなのか? 君は 顔を 背けているのか?
Ton regard fuit le mien! Siebel, explique-toi!君の視線は 私のものを 避けている【≒ 君は 私から 目を 逸らしている】! シエベル、説明しなさい!

SIEBELシエベル
Eh bien! Non, je ne puis!何だって! いいや、私は できない!

VALENTINヴァランタン
Il se dirige vers la maison.彼は 家の方に 向かって行く。
Que veux-tu dire?君は 何を 言いたいのか?

SIEBELシエベル
L'arrêtant.彼を 遮って。
Arrête!止まりなさい!
Sois clément, Valentin!寛容でありなさい、ヴァランタンよ!

VALENTINヴァランタン
Furieux.激怒して。
Laisse-moi! Laisse-moi!私を 放っておきなさい! 私を 放っておきなさい!
Il rentre dans la maison.彼は 家の中に 帰る。

SIEBELシエベル
Pardonne-lui!彼女を 許しなさい!
Seul一人で。
Mon Dieu, je vous implore!私の神よ、私は あなたに 懇願する!
Mon Dieu, protégez-la!私の神よ、彼女を 守りなさい!
Il s'éloigne.彼は 遠ざかる。
Allegretto
3/4
g minor
SCÈNE 3第3景
Méphistophélès, Faust.メフィストフェレス、フォスト。

Méphistophélès et Faust entrent en scène. Méphistophélès tient une guitare à la main.メフィストフェレスと フォストは 舞台に 入る。メフィストフェレスは 手に ギターを 持っている。
Faust se dirige vers la maison de Marguerite et s'arrête.フォストは マルグリートの家の方に 向かって行き そして 立ち止まる。
Moderato
3/4
g minor
Récit


3/4
g minor
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Qu'attendez-vous encore?あなたは また 何を 待つのか?
Entrons dans la maison!家に 入ろう!
Andante
4/4
g minor
FAUSTフォスト
Tais-toi, maudit!黙りなさい、いまいましい【奴め】
Andante
4/4
g minor
J'ai peur私は 恐れていた
De rapporter ici la honte et le malheur!ここに 恥と 不幸を また持って来ることを!
Moderato
4/4
g minor
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À quoi bon la revoir, après l'avoir quittée?彼女に 再び会って 何の役に立つのか、彼女を 捨てた 後で?
Notre présence ailleurs serait bien mieux fêtée!私たちの存在は 他の場所で より良く 歓迎される だろうに!
Le sabbat nous attend!サバト【≒ 魔女の集会】が 私たちを 待っている!

FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Je vois私は 分かっている
Que mes avis sont vains et que l'amour l'emporte.私の助言は 無駄である ことを そして 愛が 勝っている 【ことを】
Mais, pour vous faire ouvrir la porte,だが、あなたに 扉を 開けさせるために、
Vous avez grand besoin du secours de ma voix.あなたは 私の声の助けの 大きな必要を 持っている【≒ 私の歌で あなたを助けることが あなたには 大いに 必要である】
À quoi bon la revoir, après l'avoir quittée?
à quoi bon 不定詞? ―して何の役に立つのか?

N° 24
Sérénade

Méphistophélès
Allegretto
4/4
g minor
Faust, pensif, se tient à l'écart. Méphistophélès s'accompagne sur sa guitare.フォストは、考え込んで、離れて いる。メフィストフェレスは 彼のギターで 自らを 伴奏する。

« Vous qui faites l'endormie,《あなたよ その者は 眠った ふりをしている、
N'entendez-vous pas,あなたは 聞かないのか、
Ô Catherine, ma mie,ああ カトリーヌよ、私の愛する人よ、
Ma voix et mes pas?»私の声を そして 私の足音を?》
Ainsi ton galant t'appelle,そのように 君に恋する男が 君を 呼ぶ、
Et ton cœur l'en croit!すると 君の心は そのことを 信じる!
Ah! ah! ah! ah!ハ! ハ! ハ! ハ!
N'ouvre ta porte, ma belle,君の扉を 開けるでない、私の美女よ、
Que la bague au doigt!指に 指環なしでは!
Vous qui faites l'endormie,
faire + 定冠詞付き名詞 ―のふりをする。endormie は endormir 眠らせた の過去分詞の女性形、これを名詞化して 眠り込んだ女。日本語では一般的に 形容詞+ふりをする で訳してしまう。

Que la bague au doigt!
que = sans que。

Plus vite
4/4
g minor
Un peu plus lent
4/4
g minor
« Catherine que j'adore,《カトリーヌよ その者を 私は 熱愛している、
Pourquoi refuserどうして 拒むのか
l'amant qui vous implore【あなたを】愛する男を その者は あなたに 懇願してる
Un si doux baiser?»とても甘いキスを?》
Ainsi ton galant supplie,そのように 君に恋する男が 懇願する、
Et ton cœur l'en croit!すると 君の心は そのことを 信じる!
Ah! ah! ah! ah!ハ! ハ! ハ! ハ!
Ne donne un baiser, ma mie,キスを与えるでない、私の美女よ、
Que la bague au doigt!指に 指環なしでは!
Presto
4/4
g minor
N° 25
Trio du Duel

Faust
Valentin
Méphistophélès
Allegro
4/4
E-flat major
SCÈNE 4第4景
Valentin, Les Mêmes.ヴァランタン、前の景の人たち。

Valentin sort de la maison.ヴァランタンは 家から 出て来る。

VALENTINヴァランタン
Que voulez-vous, messieurs!...あなたたちは 何を したいのだ、紳士たちよ!…

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Pardon, mon camarade,許しを、私の仲間よ、
Mais ce n'est pas pour vous qu'était la sérénade!しかし セレナードが あった【≒ 歌われた】のは あなたのためではない。

VALENTINヴァランタン
Ma soeur l'écouterait mieux que moi, je le sais!私の妹が それを 私より より良く 聞くだろう、私は そのことを 分かっている!
Il dégaine et brise la guitare de Méphistophélès d'un coup dépée.彼は 【剣を】 ぬき そして メフィストフェレスのギターを 剣の一撃で 壊す。

FAUSTフォスト
Sa soeur!...彼の妹だって!…

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À Valentin.ヴァランタンに。
Quelle mouche vous pique?どんなアブが あなたを 刺しているのか【≒ どうしたのか】
Vous n'aimez donc pas la musique?まさか あなたは 【あのセレナードの】音楽が 好きでないのか?

VALENTINヴァランタン
Assez d'outrage! Assez!侮辱は もう たくさんだ! もう たくさんだ!
À qui de vous dois-je demander compteあなたたちのうち 誰に 私は 説明を 求めるべきなのか
De mon malheur, et de ma honte?私の不幸の、そして 私の恥の?
Qui de vous deux doit tomber sous mes coups?あなたたち二人の 誰が 私の打撃で 倒れ なくてはならないのか?

Faust tire son épée.フォストは 彼の剣を 抜く。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Vous le voulez?... Allons, docteur, à vous!あなたは そのことを 望むのか?… さあ、先生よ、あなたの番だ!

VALENTINヴァランタン
Redouble, ô Dieu puissant,倍加しなさい、ああ 力強い神よ、
Ma force et mon courage!私の力を そして 私の勇気を!
Permets que dans son sang許しなさい 彼の血の中で
Je lave mon outrage!私が 私の侮辱を 洗う 【↑】ことを!

FAUSTフォスト
À part.傍らで。
Terrible et frémissant,恐ろしく そして 震えて、
Il glace mon courage.彼は 私の心を 凍らせている。
Dois-je verser le sang私は 血を 流さなくてはならないのか
Du frère que j'outrage?【マルグリートの】兄の【血を】 その者を 私は 侮辱している?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
De son air menaçant,彼の 威嚇的な態度を、
De son aveugle rage,彼の 盲目的な怒りを、
Moi, je ris! Mon bras puissant私は、私は 嘲笑する! 私の 力強い腕が
Va détourner l'orage.雷雨を 逸らす ところだ。

VALENTINヴァランタン
Tirant de son sein la médaille qui lui a donnée Marguerite.彼の胸から メダルを 取り出して それを マルグリートが 彼に 与えた。
Et toi qui préservas mes jours,そして お前よ それは 私の日々【≒ 生命】を 守った、
Toi qui me viens de Marguerite,お前よ それは マルグリートから 私に 来ている、
Je ne veux plus de ton secours,私は もう お前の助けを 望んでいない、
Médaille maudite!呪われたメダルめ!
Il jette la médaille loin de lui.彼は メダルを 彼から遠くへ 投げ捨てる。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part傍らで。
Tu t'en repentiras!君は そのことを 後悔するだろう!

VALENTINヴァランタン
En garde! Et défends-toi!構えろ! そして 君【自身】を 守れ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À Faustフォストに。
Serrez-vous contre moi!私に対して 間隔を詰めなさい【≒ 私に 身を寄せなさい】
Et poussez seulement, cher docteur! Moi, je pare...そして ただ 押しなさい【≒ 剣を 突きなさい】、親愛なる先生よ! 私が、私が 【攻撃を】 かわす…

VALENTINヴァランタン
Valentin croise le fer.ヴァランタンは 鉄【≒ 剣】を 交差させる。

Valentin s'enferre.ヴァランタンは 突き刺される。
Quelle mouche vous pique?
mouche は ハエ のことだが、一般的なハエは動物を刺さないので、この成句では アブ を指している。アブが気付かれぬまま人に留まってチクッと刺した時に、その人が驚きと痛みで飛び上がる様子から、相手の突然の不可解な行動に対して どうしたのか? と尋ねる成句。

En garde! Et défends-toi!
en garde 直訳すると 防御に。フェンシングの用語では、攻撃ないしは防御の前に選手に構えを取るよう審判が促す言葉。詳しいことは検索を。

Tempo moderato
4/4
c minor
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Voici notre héros étendu sur la sable!ほら ここに 砂の上に 横たわった 私たちの英雄が!
Au large maintenant!今は 離れよう!
Il entraine Faust. Arrivent Marthe et des bourgeois portant des torches.彼は フォストを 引っ張って行く。マルトと 松明 たいまつ を持った市民たちが 到着して。
Au large!離れよう!
Au large maintenant!
au large 直訳すると 幅を。何かから距離を置くよう促す言い方。

N° 26
Mort de Valentin

Faust, Valentin, Méphistophélès
Ch&oeligur
Allegro
2/2
d minor
SCÈNE 5第5景
Marthe, Bourgeois, Valentin, puis Siebel et Marguerite.マルト、市民たち、ヴァランタン、それから マルグリート。

MARTHE ET CH&OEligUR DE BOURGEOIS SOPRANOSマルト と 市民たちの合唱 ソプラノ
Par ici!この辺りだ!
Par ici, mes amis! On se bat dans la rue!この辺りだ、私の友たちよ! 通りで 人が 互いに戦っている!
L'un d'eux est tombé là! Regardez! Le voici!彼らのうちの一人が あそこに 倒れている! 見なさい! ほら あそこに 彼が!

CH&OEligUR DE BOURGEOIS市民たちの合唱
Il n'est pas encor mort. on dirait qu'il remue.彼は まだ 死んでいない。人は 言うだろうに 彼が 動いていると。
Vite, approchons! Il faut le secourir.速く、近付こう! 彼を 救助しなければならない。

4/4
d minor
VALENTINヴァランタン
Se soulevant avec effort.立ち上がる 苦心をもって。
Merci!ありがとう!
De vos plaintes, faites-moi grâce!君たちの呻き声を、私に 免除しなさい【≒ 私のことを 嘆かないでくれ】
J'ai vu, morbleu, la mort en face私は 見た、畜生め、正面に 死を
Trop souvent pour en avoir peur.あまりに しばしば それを 恐れるには【≒ 私は あまりにも頻繁に 死を 目の前に 見たので 死を 恐れはしない】

2/2
d minor
Margeurite parait au fond, soutenue par Siebel.マルグリートが 【舞台の】奥に 現れる、シエベルによって 支えられて。

MARGUERITEマルグリート
Valentin! Valentin!ヴァランタンよ! ヴァランタンよ!
Elle écarte la foule et tombe à genoux près de Valentin.彼女は 群衆を かき分けて そして ヴァランタンの傍で 膝に 落ちる【≒ 両膝をつく】

VALENTINヴァランタン
Marguerite! Ma soeur!マルグリートよ! 私の妹よ!
Il la repousse.彼は 彼女を 押しやる。
Que me veux-tu? Va-t'en!君は 私に 何を 望んでいるのか? 行ってしまえ!

MARGUERITEマルグリート
Ô Dieu!ああ 神よ!

VALENTINヴァランタン
Je meurs par elle!私は 彼女のせいで 死ぬ!

4/4
d minor
J'ai sottement私は 愚かにも
Cherché querelle喧嘩を 試み 【↑】
À son amant.彼女の恋人に。
Andante
9/8
d minor
CH&OeligUR DE BOURGEOIS市民たちの合唱
La foule à demi-voix, montrant Marguerite.群衆 半分の声で【ひそひそ声で】、マルグリートを 指し示して
Son amant! Il meurt par elle!彼女の恋人だって! 彼は 彼女のせいで 死ぬ!

SIEBELシエベル
À Valentin.ヴァランタンに。
Grâce pour elle!彼女に 許しを!
Soyez clément!寛大でありなさい!

MARGUERITEマルグリート
Douleur nouvelle!あらたな苦悩だ!
Ô châtiment!ああ 罰だ!

VALENTINヴァランタン
Soutenu par ceux qui l'entourent.彼を 取り巻く 人たちによって 支えられて。
Écoute-moi bien, Marguerite!【の言うこと】を よく 聞きなさい、マルグリートよ!
Solenellement.重々しく。
Ce qui doit arriver arrive à l'heure dite.起こるべきことは 決められた時に 起こる。
La mort nous frappe quand il faut死は 必要な時に 私たちを 襲い
Et chacun obéit aux volontés d'en haut.そして 誰もが 天からの意思に 従う。
Toi, te voilà dans la mauvaise voie!君は、そら 君は ふしだらな道の中にいる!
Tes blanches mains ne travailleront plus.君の白い手は もう 働かないだろう。
Tu renieras, pour vivre dans la joie,君は 捨てるだろう、喜びの中で 生きるために、
Tous les devoirs et toutes les vertus.すべての義務を そして すべての徳を。
Oses-tu bien encor,君は なおも ずうずうしくも、
Oses-tu, misérable,君は ずうずうしくも、ろくでなしめ、
Garder ta chaîne d'or?金の鎖【≒ ネックレス】を 保存するのか?

Marguerite arrache la chaine qu'elle porte au cou et la jette loin d'elle.マルグリートは 鎖を もぎ取る それを 彼女は 首に 着けている そして 彼女から遠くへ 投げ捨てる。

Va! La honte t'accable!行け! 恥が 君を 打ちのめすように!
Le remords suit tes pas! ...後悔が 君に つきまとっている!…
Mais enfin l'heure sonne.しかし ついに 時が 鐘を鳴らしている。
Meurs! Et si Dieu te pardonne,【私は もう】 死ぬ! そして もし 神が 君を 許すならば、
Sois maudite ici bas!この世で 呪われろ!
この部分は短い稿(こちらが一般的)と6小節長い稿がある。ここに掲載しているのは長い稿。短い稿には
Oses-tu bien encor,
Oses-tu, misérable,
Garder ta chaîne d'or?
と続くト書きがない。


4/4
D major
SIEBEL, MARTHE ET LE CHŒURシエベル、マルト と 合唱
Ô terreur, ô blasphème!ああ 恐怖だ、ああ 冒涜的な言葉だ!
À ton heure suprème,君の最後の時間に、
Infortuné,不幸な男よ、
Songe hélas à toi même!ああ 君自身のことを 考えなさい!
Pardonne, si tu veux être un jour pardonné!許しなさい、もし 君が いつか 許されることを 望むならば!

VALENTINヴァランタン
Marguerite!マルグリートよ!
Sois maudite!呪われろ!
La mort t'attend sur ton grabat.死が 君の粗末なベッドの上で 君を 待っている。
Moi, je meurs de ta main et je tombe en soldat!私は、私は 君の手で 死ぬ そして 私は 兵士として 戦死する!
Adagio
4/4
D major
Il meurt.彼は 死ぬ。

SIEBEL, MARTHE ET LE CHŒURシエベル、マルト と 合唱
Que le Seigneur ait son âme主が 彼の魂を 受け取るように
et pardonne au pêcheur!そして 罪びとを 許すように!
Tempo Ⅰ°
9/8
D major
Siebel entraîne Marguerite éperdue. La toile tombe.シエベルは 正気を失ったマルグリートを 連れて行く。布【≒ 幕】が 降りる。
ACTE Ⅴ - Ⅰ. LES MONTAGNES DU HARTZ
N° 27
ENTRACTE

Faust
Méphistophélès
Chœur
Allegro
6/8
c minor
SCÈNE I第1景
Les montagnes du Hartzハルツ山地
ハルツ山地は、ドイツの中央の北寄りに位置する山地。古くから魔女が集う山々とされる。ゲーテはこの中のブロッケン山を魔女の宴が催されるヴァルプルギスの夜の舞台にしている。

Allegro leggiero
6/8
c minor
CHŒUR合唱
Dans les bruyères,ヒースの中に、
Dans les roseaux,アシの中に、
Parmi les pierres石の間に
Et sur les eaux,そして 水の上に、
De place en place,【この】場所から 【あの】場所に
Perçant la nuit,夜を 通して、
S'allume et passe火が点いて そして 移動する
Un feu qui luit.火は それは 輝いている。
Alerte! Alerte!気を付けなさい! 気を付けなさい!
De loin, de près,遠くから、近くから、
Dans l'herbe verte緑色の草の中で
Sous les cyprès.イトスギの下で。
Mouvantes flammes,突き動かされた炎、
Rayons glacés,凍り付いた光線、
Ce sont les âmesそれらは 魂だ
Des trépassés!死者の!
Allegro
4/4
c minor
Méphistophélès et Faust paraissent sur une cime élevée.メフィストフェレスと フォストが 高い頂に 現れる。
Récit


4/4
c minor
FAUSTフォスト
Arrête!止まりなさい!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
N'as-tu pas promis君は 約束しなかったか
De m'accompagner sans rien dire?私と 一緒に来ると 何も言うことなく?

FAUSTフォスト
Où sommes-nous?私たちは どこに いるのか?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Dans mon empire!私の 支配地に!
Maestoso
4/4
c minor
Mesuré
4/4
c minor
Ici, docteur, tout m'est soumis.ここでは、先生よ、すべてが 私の支配下に置かれている。
Voici la nuit de Walpurgis!ここに ヴァルプルギスの夜が!

CHŒUR合唱
Voici la nuit de Walpurgis!ここに ヴァルプルギスの夜が!
Allegro
6/8
c minor
Houhou!そらそら!
Houhou!
hou の音は ウ。

Récit


4/4
c minor
FAUSTフォスト
Mon sang se glace!私の血は 凍り付いている!
Il veut fuir.彼は 逃げる ことを望む。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Le retenant.彼を 引き留めて。
Attends!待ちなさい!
Adagio
4/4
c minor
Je n'ai qu'un signe à faire私は ただ 合図を 持っているだけだ するための
Pour qu'ici tout change et s'éclaire.ここは すべてが 変化して そして 明るくなる ための【≒ 私が 合図を 送るだけで ここは 明るい別世界になる】
(ACTE Ⅴ -) Ⅱ. LA NUIT DE WALPURGIS
N° 28
Scéne et Chœur

Faust
Méphistophélès
Chœur
Andante maestoso
4/4
F major
La montagne s'entrouvre et laisse voir un vaste palais resplendissant d'or, au milieu duquel se dresse une table richement servie et entourée des reines et des courtisanes de l'antiquité.山が わずかに開き そして 金色に 光り輝く 広大な宮殿を 見させる、その中央には 卓が 立ち上がっている 贅沢に 食事が出された そして 古代の女王たち そして 遊女たちに 取り囲まれた。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À Faust.フォストに。
Jusqu'aux premiers feux du matin,朝の 最初の火【≒ 夜明けの光】まで
À l'abri des regards profanes,世俗の視線の避難所で【≒ 世の人々の目の 届かぬ場所で】
Je t'offre une place au festin私は 君に 大宴会の場所を 提供する
Des reines et des courtisanes.女王たちの そして 遊女たちの【大宴会を】
Maestoso assai
4/4
F major
CHŒUR COURTISANES合唱 遊女たち
Que les coupes s'emplissentグラスが 満たされるように
Au nom des anciens dieux!古代の神々の名において!
Que les airs retentissent大気が 鳴り響くように
De nos rires joyeux!私たちの 陽気な笑い声で!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Reines de beauté美の女王たちよ
De l'Antiquité,古代の、
Cléopâtre aux doux yeux, Hélène au front charmant,甘い目【≒ 優しい眼差し】をした クレオパトルよ、魅力的な顔をしたエレヌよ、
Laissez-nous au banquet prendre place un moment!私たちを 一瞬【≒ 束の間】 饗宴に 迎え入れさせてくれ!
Allons!さあ!
Offrant une coupe à Faust.フォストに グラスを 提供して。
Pour guérir la fièvre熱を 癒すために
De ton coeur blessé,君の 傷つけられた心の【熱を】
Prends cette coupe et que ta lèvreこのグラスを 手に取りなさい そして 君の唇が
Y puise l'oubli du passé!そこで 過去の忘却を 汲み出すように【≒ グラスから 過去を忘れ去る酒を 飲むように】

CHŒUR COURTISANES合唱 遊女たち
Que les coupes s'emplissentグラスが 満たされるように
Au nom des anciens dieux!古代の神々の名において!
Que les airs retentissent大気が 鳴り響くように
De nos accords joyeux!私たちの 陽気な笑い声で!
Cléopâtre aux doux yeux, Hélène au front charmant,
Hélène でなく Laïs ライス(紀元前5世紀のギリシャの遊女)になっている楽譜もある。元々の台本にはライスらも言及された2行があったが、グノーは音楽を付けず削除してしまった。

(ACTE Ⅴ -) Divertissement
N° 29.1

Chœur
Allegretto. Mouvement de valse modéré
3/4
C major
これらのディヴェルティスマンから第29.2番のクプレを除いたものが、一般的に 《ファウスト》のバレエ音楽 と呼ばれているもの。

これらのディヴェルティスマンを割愛する時には、[Fin du N° 28 Scène et Chœur] が演奏される ⇒ 補遺。


3/4
A major
CHŒUR COURTISANES合唱 遊女たち
Aspasie et Laïs, à la tête des courtisanes, se lèvent inviter Faust et Méphistophélès à prendre part au festin.アスパジと ライスは、遊女たちの先頭で、フォストと メフィストフェレスを 饗宴に 参加するよう 誘いに 立ち上がる。
Aspasie et Laïs,
Aspasie アスパジ,アスパシアは、紀元前5世紀のギリシャの女性。詳しくは検索を。

N° 29.2
Couplets

Méphistophélès
Chœur
Moderato molto
6/8
c minor
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Minuit, Minuit, la table est prête!真夜中だ、真夜中だ、テーブルは 支度ができた!
Vivez, dansez, chantez, soyez en fête, buvez!生きなさい、踊りなさい、歌いなさい、お祭り騒ぎになりなさい、飲みなさい!

CHŒUR COURTISANES合唱 遊女たち
Minuit, la table est prête!真夜中だ、真夜中だ、テーブルは 支度ができた!
Vivons, dansons, chantons, soyons en fête, buvons!生きよう、踊ろう、歌おう、お祭り騒ぎになろう、飲もう!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Au festin de la vie人生の祝宴に
Le plaisir nous convie,快楽が 私たちを 誘っている、
Le plaisir que les cieux快楽を それを 天は
Refusent aux humains pour le doner au dieux.人間には 許さない 神々に それを 与えるために。
Pénétrez des vos flammesしみ込ませなさい あなたたちの炎で
Et nos sens et nos âmes,そして 私たちの欲情に そして 私たちの魂に、
Enivrantes liqueursうっとりとさせる薬酒を
Qui riez à l'amour et qui troublez les cœurs!それは 愛に 笑う そして それは 心を 掻き乱す!

CHŒUR COURTISANES合唱 遊女たち
Minuit, Minuit, la table est prête!真夜中だ、真夜中だ、テーブルは 支度ができた!
Vivons, dansons, chantons, soyons en fête, buvons!生きよう、踊ろう、歌おう、お祭り騒ぎになろう、飲もう!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Loin de nous les caresses愛撫は 私たちから 遠くに
De ces chastes tedressesこの清純な愛情の
Qu'effarouche un baiserそれは キスを おじけづかせる
Craintif comme un oiseau qui cherche où se poser!臆病に 鳥のように それは 留まるところを 探している【≒ 留まるところを探している鳥のように キス一つするにも びくびくする うぶな愛の愛撫は 私たちには無縁だ】
Dans ces folles orgies,この狂った乱痴気騒ぎ【≒ 狂宴】で、
Sur ces nappes rougies,この 赤いテーブルクロスの上で
Le Broken ivre mort死んだように酔った【≒ 泥酔した】ブロッケンは
Veut l'amour sans langueur et nargue le remords.愛を望む 物憂さなしに【≒ 気力を失うことなく】 そして 後悔を 軽んじる。

MÉPHISTOPHÉLÈS ET CHŒUR COURTISANESメフィストフェレス と 合唱 遊女たち
Minuit, Minuit, la table est prête!真夜中だ、真夜中だ、テーブルは 支度ができた!
Vivons, dansons, chantons, soyons en fête, buvons!生きよう、踊ろう、歌おう、お祭り騒ぎになろう、飲もう!
Vivez, dansez, chantez, soyez en fête, buvez!
Vivons, dansons, chantons, soyons en fete,
ここでの Vivez や Vivons の vivre は、おそらく 楽しい時を過ごす の意味で用いられていると思われる。

Sur ces nappes rougies,
nappe は仏和辞書では テーブルクロス となっているが、この場合はもしかしたら 絨毯 を指しているかもしれない。

N° 29.3
Adagio
4/4
E-flat major
Cléopâtre et les Nubiennes, Hélène et jeunes Troyennes viennent entourer Faust de leurs séductions.クレオパトルと ヌビア人の女たちは、エレヌと 若いトロイの女たちは、彼女たちの魅惑で フォストを 取り巻きに 来る
N° 29.4
Allegretto
2/4
B-flat major
Entrée des jeunes Nubiennes.若いヌビア人の女たちのアントレ。
Allegretto
2/4
B-flat major
N° 29.5
Moderato maestoso
2/2
B-flat major
Variation de Cléopâtre.クレオパトルのヴァリヤシヨン。
N° 29.6
Moderato con moto
6/8
D major
Entrée des jeunes Troyenns.若いトロイの女たちのアントレ。
N° 29.7
Allegretto
2/4
G major
Variation de Hélène.エレヌのヴァリヤシヨン。
(Allegretto)
2/4
C major
(Allegretto)
2/4
G major
Cette lutte de séduction est interrompue par l'apparition de Phryné entièrement voilée. Mouvement de curiosité.この誘惑の争いは すっかりヴェールを被った フリネ【= フリュネ】の登場によって 中断される。好奇心の動き。
N° 29.8
Final - Bacchanale







Allegro vivo
2/4
G major
D'un signe, Phryné ordonne à ses rivales de reprendre les danses un instant suspendues. Elle s'y mêle elle-même, laissant tomber peu à peu ses voiles et apparaissant enfin dans tout l'éclat d'une radieuse beauté. Son trionphe éveille autour d'elle des jalousies et des colères qui font dégénérer la fète en une bacchanale effénée.合図で、フリネは 彼女の恋敵たちに 一時 中断された 踊りを 再び始めるよう 命じる。彼女は そこに 彼女自身で 加わり、少しずつ 彼女のヴェールを 落とさせて そして 輝くばかりの美しさの すべての輝きの中に ついに 姿を現して。彼女の勝利は 彼女の周囲に 嫉妬と 怒りを 呼び起こす それは 饗宴を 抑制するもののないバッカナールへと 退廃させるだろう【それによって 饗宴は 留まることを知らぬ 酒の狂宴へと 向かうことになる】。

2/4
G major

2/4
E major
Entrée de Phrynéフリネ【= フリュネ】のアントレ;

2/4
G major
Plus animé
2/4
G major
Moderato
2/4
G major
Andantino
3/4
E-flat major
Une teinte livide se répand sur le théâtre. Tout à coup le fantôme de Marguerite apparait au sommet d'un rayon lumineux.鉛色の色調が 劇場【≒ 舞台】に 広がる。突然 マルグリートの幻影が 輝く光線の頂に 現れる。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Sans voir Marguerite.マルグリートを 見ることなく。
Que ton ivresse, ô volupté,お前の陶酔が、ああ 逸楽よ、
Étouffe le remords dans son coeur enchanté!彼の 魅惑された心の中の後悔を 消すように!
(ACTE Ⅴ -) Ⅲ. LA VALLÉE DU BROCKEN
[Fin du N° 29 Scéne]

Chœur
Allegro molto
2/2
a minor
Faust aperçoit Marguerite et jette sa coupe loin de lui; aussitôt palais et courtisanes disparaissent.フォストは マルグリートが見えて そして 彼のグラスを 彼から遠くに 投げ捨てる; すぐに 宮殿と 遊女たちは 消え失せる。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Qu'as tu donc?いったい どうしたのか?

FAUSTフォスト
Ne la vois-tu pas,君は 彼女が 見えないのか、
Là, devant nous, muette et blême?あそこに、私たちの前に、無言で そして 青白い?
Quel étrange ornement autour de ce beau cou!あの美しい首の周りに 何と奇妙な飾りが?

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Parlé.話し言葉で。
Vision!幻影だ!

FAUSTフォスト
Un ruban rouge qu'elle cache,赤いリボンだ それを 彼女は 隠している、

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Parlé.話し言葉で。
Magie!魔法だ!

Un ruban rouge étroit comme un tranchant de hache!赤いリボンだ 斧の刃のように 狭い!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Parlé.話し言葉で。
Sortilège!妖術だ!

L'image de Marguerite disparait.マルグリートの像は 消え失せる。
Marguerite! Je sens se dresser mes cheveux!マルグリートよ! 私は 私の髪の毛が 立ち上がっているのを 感じている!
Je veux la voir! Viens, je le veux!私は 彼女に 会いたい! 来なさい、私は そのことを 望んでいる!

6/8
B-flat major
Il entraîne Méphistophélès et s'ouvre, l'épée à la main, un passage à travers la foule des démons et monstres infernaux qui cherchent à le retenir.彼は メフィストフェレスを 引っ張って行き そして 開く、剣を手に、デーモンたちの そして 地獄の化け物たちの 群衆を 通り抜ける通り道を その者たちは 彼を 引き留めようと 試みている。
《フォスト》が台詞を含むオペラだった時、第29番の締め括りは Un, deux et trois, という魔女たちの合唱だった。⇒ 補遺。しかしグノーは通しで歌われるオペラに改めてから早い段階でこの合唱を外し、24小節のオーケストラの音楽だけ残した。

(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON
N° 30
Scéne

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Moderato e maestoso
4/4
f-sharp minor
SCÈNE 1第1景
Méphistophélès, Faust, Marguerite, endormieメフィストフェレス、フォスト、マルグリート、眠っている。
この 第30番 セヌ には131小節長い稿がある(⇒ 補遺)。

Allegro
2/2
e minor
MARGUERITEマルグリート
Endormie.眠っている。

FAUSTフォスト
Va-t'en!行ってしまえ!
Moderato
4/4
e minor
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Le jour va luire. On dresse l'échafaud.陽の光が 光り始めるところだ。人は 死刑台を 建てている【≒ 死刑台が 建てられている】
Décide sans retard Marguerite à te suivre!マルグリートは 遅れなく 君の後を追うことを 決心させられた【≒ 君の 後を追うと 決めた】
Le geôlier dort. Voici les clefs. Il faut牢番は 寝ている。ほら ここに 鍵が。
Que ta main d'homme la délivre.君の 人の手が 彼女を 解放し 【↑】なくてはならない。

FAUSTフォスト
Laisse-nous!私たちを 放って置きなさい【≒ 二人だけに させなさい】

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Hâte-toi!急いで【≒ ただちに】
Adagio
4/4
e minor
Moi, je veille au dehors.私は、私は 外で 見張っている。
Il sort.彼は 出る。
Andante
4/4
a minor
SCÈNE 2第2景
Marguerite, Faust.マルグリート、フォスト。
Récit


4/4
a minor
FAUSTフォスト
Mon cœur est pénétré d'épouvante. Ô torture!私の心は 強い不安に 満ちている。ああ 耐え難い苦痛 だ!
Ô source de regrets et d'étérnels remords!ああ 後悔の原因だ そして 永遠の悔いの【原因だ】
Moderato
4/4
a minor
C'est elle! La voici, la douce créature,彼女だ! そら あそこに 彼女が、優しい人が、
Jetée au fond d'une prison牢獄の奥に 放り込まれて
Comme une vile criminelle!卑しい犯罪者と同様に!
Le désespoir égara sa raison...絶望が 彼女の理性を 錯乱させている…
Son pauvre enfant, ô Dieu, tué par elle!彼女の気の毒な子供は、ああ 神よ、彼女によって 殺された!
Marguerite!マルグリートよ!
Moderato
4/4
F major
MARGUERITEマルグリート
S'éveillant目を覚まして。
Ah! c'est la voix du bien aimé!ああ! これは 最愛の人の声だ!
Elle se lève.彼女は 立ち上がる。
À son appel mon cœur s'est ranimé.彼の呼び声に 私の心は 生気を取り戻している。

FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Au milieu de vos éclats de rire,お前たちの 笑いの大きな声の真ん中で、
Démons qui m'entourez, j'ai reconnu sa voix!デーモンたちよ その者たちは 私を 取り囲んでいる、私は 彼の声を 覚えていた!

FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Sa main, sa douce main m'attire!彼の手が、彼の優しい手が 私を 引き付ける!
Je suis libre! Il est là! Je l'entends! Je le vois!私は 自由だ! 彼は あそこに いる! 私は 彼【の言うこと↑】を 聞く! 私は 彼を 見る!
Ah! c'est la voix du bien aimé!
bien aimé 最愛の人。

Allegro non troppo
2/2
F major
Oui, c'est toi, je t'aime!そうだ、これは 君だ、私は 君を 愛している!
Les fers, la mort même鉄鎖は、死そのものは
Ne me font plus peur!もう 私を 怖がらせない!
Tu m'as retrouvée!君は 私に 再会した!
Me voilà sauvée!私は ほら ここで 救われた!
Je suis sur ton cœur!私は 君の心の上に いる。

FAUSTフォスト
Oui, c'est moi, je t'aime!そうだ、これは 私だ、私は 君を 愛している!
Malgré l'effort même努力そのものにもかかわらず
Du démon moqueur,嘲笑的なデーモンの、
Je t'ai retrouvée!私は 君に 再会した!
Te voilà sauvée!君は ほら ここに 救われた!
Viens, viens sur mon cœur!来なさい、私の心の上に 来なさい!
Mouvement de la valse
3/4
F major
Il veut l'entraîner.彼は 彼女を 引っ張って行こうとする。
(Mouvement de la valse)
3/4
D major
MARGUERITEマルグリート
Se dégageant doucement de ses bras彼の両腕から 優しく 抜け出して。
Attends!... Voici la rue待ちなさい… ほら ここに 通りが
Où tu m'as vueそこで 君は 私を 見た
Pour la première fois...初めて…
Où votre main osa presque effleurer mes doigts...そこで あなたの手は 私の指に 思い切って ほとんど 触れている…
Andantino
3/4
G major
« Ne permettrez-vous pas, ma belle demoiselle,《あなたは 許すつもりはないか、私の美しい 令嬢よ、
Qu'on vous offre le bras pour faire le chemin?人が あなたに 腕を 提供することを 道を 歩くために【≒ 美しいお嬢さん、道を歩きに 私が 腕を 差し出しても よろしいか】
Non, monsieur! Je ne suis demoiselle, ni belle,いいえ、貴君よ! 私は 令嬢ではないし、美しくもない、
Et je n'ai pas besoin qu'on me donne la main!»そして 私は 必要としていない あなたが 私に 手を 差し出すことを。》
Ne permettrez-vous pas, ma belle demoiselle,
permettrez 単純未来形 であって、permettez 現在形 ではない。


4/4
G major
FAUSTフォスト
Oui, mon cœur se souvient! Mais suis-moi, l'heure passe!そうだ、私の心は 覚えている! けれども 私の 後について来なさい、時が過ぎる!
Adagio
4/4
E-flat major
MARGUERITEマルグリート
S'appuyant amoureusement sur son bras.彼の腕に 愛情を込めて もたれかかって。
Non, reste encore! Et que ton brasいいえ、まだ 留まりなさい! そして 君の腕が
Comme autrefois au mien s'enlace!昔のように 私のもの【≒ 私の腕】と 絡み合うように!

FAUSTフォスト
Viens, Marguerite!来なさい、マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Non!いいえ!

FAUSTフォスト
Viens, viens fuyons!来なさい、来なさい 逃げよう!

MARGUERITEマルグリート
Non, reste encore!いいえ、まだ 留まりなさい!

FAUSTフォスト
Ô ciel! Elle ne m'entend!ああ 天よ! 彼女は 私【の言うこと】を 聞かない!
この箇所のマルグリートの最初の2行は、歌詞と旋律が異なる稿がある。⇒ 補遺。

N° 31
Trio-Finale

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Chœur
Allegro moderato
12/8
C major
SCÈNE 3第3景
Méphistophélès, Marguerite, Faust, [puis Voix, Anges, Saintes Femmes, Disciples].メフィストフェレス、マルグリート、フォスト、[それから 声、天使たち、聖女たち、【キリストの】弟子たち]

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Méphistophélès reparaît.メフィストフェレスが 再び現れる。
Alerte, alerte! Ou vous êtes perdus!気をつけなさい、気をつけなさい! さもないと あなたたちは 破滅だ!
Si vous tardez encor, je ne m'en mêle plus.もし あなたたちが なおも 遅れるならば、私は もう そこに 混ざりあわない【≒ 私は もう 介入することはない】

MARGUERITEマルグリート
Le démon! le démon! Le vois-tu... là, dans l'ombre,デーモンだ! デーモンだ! 君は 彼を 見ているか【≒ 君には あの男が 見えるか】… あそこに 影の中に、
Fixant sur nous son oeil de feu?彼の 火の目が 私たちを じっと見つめているのを。
Maestoso
3/4
C major
Que nous veut-il? Chasse-le du saint lieu!彼は 私たちに 何を 望んでいるのか 彼を 聖なる場所から 追い出しなさい!
Tempo Ⅰ°
12/8
C major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Quittons ce lieu sombre!この暗い場所を 離れよう!
Le jour est levé;日が 昇った;
De leur pied sonore,彼らの 音を発する足で、
J'entends nos chevaux frapper le pavé.私は 聞いている 私たちの馬が 敷石を 叩いているのを。
Cherchant à entraîner Faust.フォストを 引っ張って行こうと 試みて。
Viens! Sauvons-la! Peut'être il en est temps encore.来なさい! 彼女を 救おう! もしかすると まだ 時間は ある。

MARGUERITEマルグリート
Mon Dieu, protégez-moi! Mon Dieu, je vous implore!私の神よ、私を 守りなさい! 私の神よ、私は あなたに 懇願している!
Tombant à genoux.膝に 落ちて【≒ 両膝を ついて】。

FAUSTフォスト
Viens! Fuyons! Peut-être il en est temps encore!来なさい! 逃げよう! もしかすると まだ 時間は ある
Moderato maestoso
12/8
G major
MARGUERITEマルグリート
Anges purs, anges radieux,清らかな天使たちよ、光り輝く天使たちよ、
Portez mon âme au sein des cieux!私の魂を 届けなさい 天の懐に!
Dieu juste, à toi je m'abandone!公正な神よ、私は 君に 身を委ねる!
Dieu bon, je suis à toi! Pardonne!善なる神よ、私は 君のものだ! 許しなさい!

FAUSTフォスト
Viens, suis-moi! Je le veux!来なさい、私の 後について来なさい! 私は そのことを 望んでいる!
(Moderato maestoso)
12/8
A major
MARGUERITEマルグリート
Anges purs, anges radieux,清らかな天使たちよ、光り輝く天使たちよ、
Portez mon âme au sein des cieux!私の魂を 届けなさい 天の懐に!
Dieu juste, à toi je m'abandone!公正な神よ、私は 君に 身を委ねる!
Dieu bon, je suis à toi! Pardonne!善なる神よ、私は 君のものだ! 許しなさい!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Hâte-nous! L'heure sonne!急ごう! 時が 鐘を慣らしている!
Déjà le jour envahit les cieux!既に 日の光が 空 いっぱいに広がっている!

FAUSTフォスト
Viens, suis-moi! Je le veux!来なさい、私の 後について来なさい! 私は そのことを 望んでいる!
Molto maestoso e grandioso
12/8
B major
MARGUERITEマルグリート
Anges purs, anges radieux,清らかな天使たちよ、光り輝く天使たちよ、
Portez mon âme au sein des cieux!私の魂を 届けなさい 天の懐に!
Dieu juste, à toi je m'abandone!公正な神よ、私は 君に 身を委ねる!
Dieu bon, je suis à toi! Pardonne!善なる神よ、私は 君のものだ! 許しなさい!

FAUSTフォスト
Viens, viens, quittons ces lieux!来なさい、来なさい、この地を 離れよう!
Déjà le jour envahit les cieux!既に 日の光が 空 いっぱいに広がっている!
Viens, c'est moi qui te l'ordonne!来なさい、君に それを 命じているのは 私だ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Hâte-nous de quittons ces lieux!急ごう この地を 離れるのを!
Déjà le jour envahit les cieux!既に 日の光が 空 いっぱいに広がっている!
Suis nos pas!私たちの歩みの 後をついて来なさい!
Viens, ou je t'abandonne!来なさい、さもなければ 私は 君を 捨てる!

FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Pourquoi ce regard menaçant?この 脅迫的な視線は なぜ?

FAUSTフォスト
Marguerite?マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Pourquoi ces mains rouge de sang?この 血で赤くなった両手は なぜ?
Le repoussant.彼を 押しやって。
Va! Tu me fais horreur!行きなさい! 君は 私を 恐ろしくさせる!
Elle tombe sans mouvement.彼女は 倒れる 動きなく【≒ 倒れて 動かなくなる】。

FAUSTフォスト
Ah!ああ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Jugée!裁かれた!
この Molto maestoso e grandioso には初期稿がある。⇒ 補遺。

N° 32
Apothéose

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Chœur
Moderato maestoso
4/4
C major
CHŒUR VOIX D'EN HAUT合唱 高みの声
Sauvée!救われた!

9/8
C major
Les murs de la prison se sont ouverts. L'âme de Marguerite s'élève dans les cieux. Faust la suit des yeux avec désespoir. Il tombe à genoux et prie. Méphistophélès est à demi-renversé sous l'épée lumineuse de l'archange.牢獄の壁が 開かれる。マルグリートの魂は 空の中に 上昇する。フォストは 彼女を 絶望して 目で追う。彼は 膝に落ちる【≒ 両膝をついて】 そして 祈る。メフィストフェレスは 大天使の 輝く剣の下で 半分 ひっくり返っている【≒ 横を向いて 倒れている】。
Moderato assai
4/4
C major
Christ est ressuscité!キリストは 復活した!
Christ vient de renaître!キリストは 蘇ったばかりだ!
Paix et félicité平和と 至福を
Aux disciples du Maître!主の弟子たちに!
Christ vient de renaître!キリストは 蘇ったばかりだ!
Christ est ressuscité!キリストは 復活した!
ANNEXES
ACTE Ⅱ N° 6
Scène et Récitatif, une versione originale
N° 6
Scène et Récitatif

Valentine

Wagner
Siebel


Moderato
4/4
C major
SCÈNE 2第2景
Valentin, Wagner, Siebel, Étudiants.ヴァランタン、ワグネール、学生たち。

VALENTINヴァランタン
Paraissant au fond; il tient une petite médaille à la main.【舞台】奥に 現れる; 彼は 手に 小さなメダルを 持っている。
O sainte médailleああ 聖なるメダルよ
Qui me viens de ma sœur,それは 私の妹から 私に 伝わる【≒ それを 私の妹が 私に 与えた】
Au jour de la bataille,【来たるべき】戦いの日には、
Pour écarter la mort,死を 追い払うために、
Reste là sur mon cœur!そこに 私の心臓の上に 留まりなさい!

WAGNERワグネール
Ah! voici Valentin qui nous cherche sans doute!ああ! ここに ヴァランタンがいる その者は たぶん 私たちを 捜している!

VALENTINヴァランタン
Un dernier coup, messieurs, et mettons-nous en route!最後の1杯を、諸君、そして 出発しよう!

WAGNERワグネール
Qu'as-tu donc?君は いったい どうしたのか?
Quels regrets attristent nos adieux?どんな残念さが 私たちの告別を 悲しませているのか?

VALENTINヴァランタン
Comme vous, pour longtemps, je vais quitter ces lieux.君たちと同様に、長い時間の間、私は この場所を 去るところである。
J'y laisse Marguerite et, pour veiller sur elle,私は ここに マルグリートを 残す そして、彼女の 面倒を見るためには、
Ma mère n'est plus là!私の母は もう そこには いない。

SIEBELシエベル
Plus d'un ami fidèle一人より多い 誠実な友人が
Saura te remplacer à ses côtés.彼女の傍で 君の代わりに なるだろう。

VALENTINヴァランタン
Lui serrant la main.彼の手を 握って。
Merci!ありがとう!

SIEBELシエベル
Sur moi tu peux compter!君は 私を 当てにする ことができる【≒ 私に 任せなさい】

CHŒUR BOURGEOIS, JEUNES ÉTUDIANTS, ÉTUDIANTS ET SOLDATS合唱 市民、若い学生たち、学生たち と 兵士たち
Compte sur nous aussi!私たちも 当てにしなさい【≒ 私たちにも 任せなさい】
第6番 セヌとレシタティフ の本来の形態、ヴァランタンのカヴァティーヌのないもの。グノーは生前、オペラ座での上演にヴァランタンのカヴァティーヌの挿入は認めなかった。

Un dernier coup, messieurs, et mettons-nous en route!
se mettre en route 出発する

Sur moi tu peux compter!
compter sur - ―を当てにする,頼りにする,任せる

Allegretto
4/4
C major
WAGNERワグネール
Allons, amis, point de vaines alarmes!さあ、友たちよ、無駄な不安無く!
À ce bon vin ne mêlons de larmes!この美味いワインに 涙を 混ぜないようにしよう!
Buvon, trinquons, et qu'un joyeux refrain飲もう、乾杯しよう、そして 陽気な反復句が
Nous mette en train!私たちを 楽しい気分にするように!
Nous mette en train!
mette qn en train 人ををやる気にさせる,楽しい気分にする。


6/8
C major
CHŒUR BOURGEOIS, JEUNES ÉTUDIANTS, ÉTUDIANTS ET SOLDATS合唱 市民、若い学生たち、学生たち と 兵士たち
Buvon, trinquons, et qu'un joyeux refrain飲もう、乾杯しよう、そうして 陽気な反復句が
Nous mette en train!私たちを 楽しい気分にするように!
Moderato
2/4
a minor
WAGNERワグネール
Montant sur un escabeau.【背のない】椅子の上に上って。
Un rat plus poltron que brave勇敢な というよりは 臆病な ネズミが
Et plus laid que beauそして 美しい というよりは 醜い 【ネズミが】
Logeait au fond d'une cave住んでいた 地下倉庫の奥で
Sous un vieux tonneau,古いき樽の上に、
Un chat...ネコが…
Allegroe
4/4
C major
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Paraissant tout à coup au milieu des étudiants et interrompant Wagner.いきなり 学生たちの真ん中に現れて そして ワグネールの歌を遮って。
Pardon!失礼!

WAGNERワグネール
Hein?えっ?
Moderato
4/4
C major
SCÈNE 3第3景
Méphistophélès, Wagner, Étudiants, Valentin, Siebel.メフィストフェレス、ワグネール、学生たち、ヴァランタン、シエベル。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Parmi vous, de grâce,君たちの中に、お願いだから、
Permettez-moi de prendre place!私が 着席することを 許しなさい!
Que votre ami d'abord achève sa chanson!まず何よりも 君たちの友人が 彼の歌を 終えるように!
Moi, je vous en promets plusieurs de ma façon.私は、私は 君たちに 私の流儀での それ【= 歌】のいくつかを 約束する。

WAGNERワグネール
Descendant de son escabeau.彼の椅子から 降りて。
Une seule suffit, pourvu qu'elle soit bonne!ただ一つのもので 十分である、それが 良くありさえすれば!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Je ferai de mon mieux pour n'ennuyer personne.私は 私の最善を尽くそう 誰も 退屈させないために。
Je ferai de mon mieux pour n'ennuyer personne.
faire de son mieux 人の最善を尽くす。

ACTE Ⅱ Cavatine Valentine du N. 6b
texte originale en anglais
Cavatine

Valentine
Moderato
4/4
E-flat major
VALENTINヴァランタン
Even bravest heart may swell最も勇敢な心ですら 膨れる【≒ 胸がいっぱいになる】かもしれない
In the moment of farewell.別れの時には。
Loving smile of sister kind,優しい妹の 愛情あふれる微笑みを、
Quiet home I leave behind.静かな住まいを 私は 置いて去る。
Oft shall I think of youしばしば 私は 君のことを 思うだろう
Whene'er the wine-cup passes round,ワインの盃が 回される 時はいつでも、
When alone my watch I keep,私が 一人で 私の当直をする時には、
And my comrades lie asleepそして 私の仲間が 寝ている
Among their arms upon the tented battleground.彼らの武器の間で テントを張った戦場で。
1864年1月23日から、英国、ロンドンの女王陛下劇場で《フォスト》が英語訳で上演される際に、ヴァランタンを歌うチャールズ・サントリのためにグノーが追加したカヴァティーヌの、本来の英語歌詞。歌詞は、台本の英語訳を担当したヘンリー・コーリ Henry Chorley が書いた。
今日一般的に知られる Avant de quitter ces lieux, は、これをオネシム・プラデル Onèsime Pradère が自由にフランス語に訳したものである。
なおこの英語歌詞はクリティカルエディションには掲載がないので、複数の英語歌詞の台本、楽譜から採った。

Whene'er the wine-cup passes round,
pass round = pass around は ―を順々に回す という他動詞句の外に 順に回される という受動的な意味もある。

un peu plus animé
4/4
E-flat major
But when danger to glory shall call me,だが 危機が 私を 栄光へと 呼ぶべき 時には
I still will be first in the fray,私は それでもやはり 争いの中で 一番手になるだろう、
As blithe as a knight in his bridal array.彼の結婚の盛装をした 騎士と 同じくらい 陽気に。
Careless what fate may befall me,どのような 不注意な【≒ 予期せぬ】運命が 私に 降りかかる かもしれない、
When Glory shall call me.栄光が 私を 呼ぶべき時に。
Tempo Ⅰ°
4/4
E-flat major
Yet, bravest heart may swellそれにもかかわらず、最も勇敢な心は 膨れる【≒ 胸がいっぱいになる】 かもしれない
In the moment of farewell.別れの時には。
Loving smile of sister kind,優しい妹の 愛情あふれる微笑みを、
Quiet home I leave behind.静かな住まいを 私は 置いて去る。
Oft shall I sadly think of youしばしば 私は 悲しく 君のことを 思うだろう
when far away!【私が】 遠く離れて いる時には!
ACTE Ⅳ N° 17 Scène
debut
N° 17
Scène

Méphistophélès
Allegretto agitato
6/8
C major
Siebel oubre avec précaution la porte du fond et enmtre en scéne.Siebel, Marguerite.

SIEBELシエベル
À demi-voix.半分の声で[≒ 声をひそめて]。
Du courage!頑張れ!
Je veux tout lui dire!私は 彼女に すべて 言おう!

MARTHEマルト
Rentrent en scène.舞台に 戻って。
C'est lui!あれは 彼だ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part.傍らで。
Non!いいや!

MARTHEマルト
Seigneur! Cher Seigneur!貴君よ! いとしい貴君よ!

SIEBELシエベル
Plaît-il?何と 言ったのか?

MARTHEマルト
C'est Siebel!これは シエベルだ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part.傍らで。
Oui!そうだ!

MARTHEマルト
Dans le jardin de Marguerite,マルグリートの庭の中で、
第3幕 第17番 セヌ の、削除された冒頭部分。グノーが《フォスト》を通して歌われるオペラの形で書いた時、第17番はこの冒頭部分39小節を含んでいたが、後に削除した。

Moderato
4/4
C major
Que venez-vous chercher à pareille heure?こんな時間に 何を 探そうとしているのか?

3/4
C major
Allons! Bel amoureux, je vous invite行こう! 美しい 恋する人よ、私は あなたに 促す
À nous tourner promptement les talons!速やかに 私たちが かかとを 向ける【≒ 立ち去る】ように!

SIEBELシエベル
Mais...でも…

MARTHEマルト
Que diraient les voisins?近所の人が 何を 言うだろうか?
Allons vite! montrez-moi le chemin!すぐに 行こう! 私に 道を 教えなさい!

4/4
C major
À part.傍らで。
Il sera parti...【= メフィストフェレス】は 出発してしまったのだろう…

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part.傍らで。
Non!いいや!

SIEBELシエベル
Je reviendrai demain. 私は 明日 戻って来よう。

Siebel et Marthe sortent par le fond.シエベルと マルトは 【舞台の】奥を通って 出る。

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
À part.傍らで。
Bonsoir! Il était temps!さようなら! 時間だ!
Andante
4/4
C major
ACTE Ⅳ N° 20 Scène
N° 20
Scène

Marguerite
Siebel
Allegro agitato
4/4
C major
SCÈNE 2第2景
Siébel, Marguerite.Siébel, Marguerite.

SIEBELシエベル
S'approchant doucement de Marguerite.そっと マルグリートに 近付いて。
Marguerite!マルグリート!
シエベルのロマンスを含まない第20番。
この形態では、この後に通りの場面、その次に教会の場面 で上演される。

フリッツ・エーザー Fritz Oeser 校訂の Alkor-Edition は、この形態の第20番に、シエベルのロマンス2 Si le bonheur à sourire t'invite, のイ長調の稿を挿入して本編に採用している。

Moderato
4/4
C major
MARGUERITEマルグリート
Siebel!シエベル!

SIEBELシエベル
Encor des pleurs!まだ 涙を!

MARGUERITEマルグリート
Se levant.立ち上がって。
Hélas!悲しいこと!
Vous seul ne me maudissez pas!あなただけが 私を 呪わない【≒ 私を 忌み嫌うことがないのは あなただけだ】

SIEBELシエベル
Je ne suis qu'un enfant, mais j'ai le cœur d'un homme私は 子供でしかない、しかし 私は 【一人前の】男の心を 持っている
Et je vous vengerai de son lâche abandon!そして 私は あなたのために 彼の卑劣な放棄に 復讐しよう!
Je le tuerai!私は 彼を 殺そう!

MARGUERITEマルグリート
Qui donc?いったい 誰を?

SIEBELシエベル
Faut-il que je le nomme,私が 彼の 名前を言わ なくてはならないのか、
L'ingrat qui vous trahit?恩知らず【≒ 悪人】を その者は あなたを 裏切っている?

MARGUERITEマルグリート
Non! Taisez-vous!いいや! 黙りなさい!

SIEBELシエベル
Pardon!失礼!
Vous l'aimez encore?あなたは 彼を まだ 愛しているのか?

MARGUERITEマルグリート
Oui!そうだ!
Andante
4/4
a minor
Toujour!ずっと!
J'espère et j'attends...私は 希望を持っている そして 私は 待っている…
Il m'appelle, Il me cherche.彼は 私を 呼ぶ、彼は 私を 探す。
Mon cœur me dit qu'il m'aime.私の心は 私に 言っている 彼は 私を 愛している と。
Hélas! C'est le démon moqueur, c'est cet homme méchant残念なことに! 嘲笑的なデーモンである、あの意地悪な人間である
À la parole amère耐え難い言葉の
qui suit partout ses pasどこにでも 彼の歩みの 後をついて来るのは
Et qui le porte au mal.そして 彼を 悪に 至らせるのは【≒ どこまでも フォストに 付きまとい そして 彼を 悪の道に 引きずり込むのは あの 嘲笑するデーモンだ、我慢ならないことを言うあの意地悪な人だ】
Il cède à son pouvoir fatal.【= フォスト】は 彼【= メフィストフェレス】の 害のある力に 屈している。
ここと次の Andante の内容が、マルグリートが
J'ai tort, Siebel, de vous parler de lui.
私は 間違った、シエベルよ、あなたに 彼のことを 話すのは。
の内容と思われる。

Andante
4/4
a minor
Pour le suivre, il m'a délaissée.彼の 後を追うために、彼【= フォスト】は 私を 見捨てた。
Près berceau de mon enfant私の子どもの揺り籠のそばで
J'étais agenouillée.私は 跪いた。
Un soir, sa main glacéeある晩、彼【= メフィストフェレス】の 凍り付いた【片】手が
Soudain quitta la mienne et l'autre, triomphant突然 【子どもを 抱えていた】私のもの【≒ 私の手】を 外して そして 【メフィストフェレスの】もう一方【の手】が、勝ち誇って
L'emmena.【= 子ども】を 連れて行った。
Depuis lors je suis seule et je pleure.その時以来 私は 一人で そして 私は 泣いている。
Je veille nuit et jour; j'écoute passer la l'heure...私は 寝ずにいる 夜は そして 昼は; 私は 時が 過ぎるのを 聞いている…
Il ne revient pas...彼は 戻って来ない…
Mais ce n'est pas à vous de plaindre mon ennui.しかし 私の悩みを 気の毒に思うのは あなたではない【≒ あなたが 私の悩みを 哀れむべきではない】
J'ai tort, Siebel, de vous parler de lui.私は 間違っている、シエベルよ、あなたに 彼のことを 話すのは。
この箇所は、台詞を含むオペラの形態の時のマルグリートの語りをセヌに直したものだが、韻文化するにあたってかなり分かりづらい台詞にしてしまっている。要約すると、フォストに置き去りにされて息子と暮らしていたマルグリートの元に、ある晩メフィストフェレスが現れて息子を連れ去った、という内容。

Moderato
3/4
F major
MARGUERITEマルグリート
Soyez béni, Siebel! Votre amitié m'est douce.祝福されるように、シエベルよ、あなたの友情は 私に 優しい。
Ceux dont la main cruelle me repousseその酷い手が 私を 拒絶する 人たちは
N'ont pas fermé pour moi les portes du saint lieu.私に 聖なる場所【≒ 教会】の扉を 閉じなかった。
J'y vais pour mon enfant... et pour lui prier Dieu.私は 私の子供のために そこに 行く… そして 彼のために 神に 祈る。
Elle sort; Siebel la suit à pas lents.彼女は 出る; シエベルは ゆっくりとした歩みで 彼女の 後を追う。
Allegro molto
2/2
C major
SIEBELシエベル
Marthe!マルト!

MARTHEマルト
Dieu soit loué! C'est vous! 神が 称賛されるように【≒ ああ 助かった】!あなただ!
Et Marguerite?では マルグリートは?
Pauvre fille! Son fère est de retour.気の毒な娘だ! 彼女の兄が 帰って来た。

SIEBELシエベル
Ô ciel! Valentin!ああ 天よ! ヴァランタンが!
第22番(マルトの歌を含む)に続く。

ACTE Ⅳ N° 20
Scène et Romance 2
N° 20
Scène et Romance 2

Marguerite
Siebel
Allegro agitato
4/4
C major
SCÈNE 2第2景
Siébel, Marguerite.Siébel, Marguerite.

SIEBELシエベル
S'approchant doucement de Marguerite.そっと マルグリートに 近付いて。
Marguerite!マルグリート!
差し替えられたシエベルの ロマンス2 を含む第20番。
この形態では、糸紡ぎの歌を割愛して、その直前の N'était que tendresse et qu'amour! から続くようになっている。

Moderato
4/4
C major
MARGUERITEマルグリート
Siebel!シエベル!

SIEBELシエベル
Encor des pleurs!まだ 涙を!

MARGUERITEマルグリート
Se levant.立ち上がって。
Hélas!悲しいこと!
Vous seul ne me maudissez pas!あなただけが 私を 呪わない【≒ 私を 忌み嫌うことがないのは あなただけだ】

SIEBELシエベル
Je ne suis qu'un enfant, mais j'ai le cœur d'un homme私は 子供でしかない、しかし 私は 【一人前の】男の心を 持っている
Et je vous vengerai de son lâche abandon!そして 私は あなたのために 彼の卑劣な放棄に 復讐しよう!
Je le tuerai!私は 彼を 殺そう!

MARGUERITEマルグリート
Qui donc?いったい 誰を?

SIEBELシエベル
Faut-il que je le nomme,私が 彼の 名前を言わ なくてはならないのか、
L'ingrat qui vous trahit?恩知らず【≒ 悪人】を その者は あなたを 裏切っている?

MARGUERITEマルグリート
Non! Taisez-vous!いいや! 黙りなさい!

SIEBELシエベル
Pardon!失礼!
Vous l'aimez encore?あなたは 彼を まだ 愛しているのか?

MARGUERITEマルグリート
Oui!そうだ!
Andante
4/4
C major
Toujour!ずっと!
Récit


4/4
C major
Mais ce n'est pas à vous de plaindre mon ennui.しかし 私の悩みを 気の毒に思うのは あなたではない【≒ あなたが 私の悩みを 哀れむべきではない】
J'ai tort, Siebel, de vous parler de lui.私は 間違っている、シエベルよ、あなたに 彼のことを 話すのは。
Andante
4/4
B-flat major
SIEBELシエベル
Si le bonheur à sourire t'invite,もし 幸福が 君に 微笑むように 促すのなら、
Joyeux alors je sens un doux émoi.その時には 私は 喜んで 甘美な興奮を 感じる【に違いない】
Si la douleur t'accable, Marguerite,もし 苦悩が 君を 打ちのめすならば、マルグリートよ、
ô Marguerite!ああ マルグリートよ!
Je pleure alors, je pleure comme toi!その時は 私は 泣く、君と同じように 私は 泣く!
Comme deux fleurs sur une même tige,同じ茎の上の 二つの花のように、
Notre destin suivant le même cours,私たちの運命は 同じ経過を 辿っているので、
De tes chagrins en frère je m'afflige,私は 君の悲しみを 弟として 深く悲しんでいる、
ô Marguerite!ああ マルグリートよ!
Comme une sœur je t'aimerai toujours.私は 君を 姉のように いつまでも 愛そう。
ロマンス2。
ロマンスがイ長調の稿もある。歌詞は同じ。

シエベルは、それまでマルグリートを敬称 vous で呼んでいたのに、このロマンスではマルグリートを親称 te で呼んでいる。これはこのロマンスのオリジナルであるイタリア語歌詞で親称を用いていた名残。⇒ 補遺。
Moderato
3/4
F major
MARGUERITEマルグリート
Soyez béni, Siebel! Votre amitié m'est douce.祝福されるように、シエベルよ、あなたの友情は 私に 優しい。
Ceux dont la main cruelle me repousseその酷い手が 私を 拒絶する 人たちは
N'ont pas fermé pour moi les portes du saint lieu.私に 聖なる場所【≒ 教会】の扉を 閉じなかった。
J'y vais pour mon enfant... et pour lui prier Dieu.私は 私の子供のために そこに 行く… そして 彼のために 神に 祈る。
Elle sort; Siebel la suit à pas lents.彼女は 出る; シエベルは ゆっくりとした歩みで 彼女の 後を追う。
Allegro molto
2/2
C major
Marthe!マルト!

MARTHEマルト
Dieu soit loué! C'est vous! 神が 称賛されるように【≒ ああ 助かった】!あなただ!
Et Marguerite?では マルグリートは?
Pauvre fille! Son fère est de retour.気の毒な娘だ! 彼女の兄が 帰って来た。

SIEBELシエベル
Ô ciel! Valentin!ああ 天よ! ヴァランタンが!
第22番(マルトの歌を含む)に続く。

ACTE Ⅳ N° 20
Romance 2, texte originale en italien
N° 20
Romance 2

Siebel
Andante
4/4
A major
Quando a te lieta sorridea la vita,人生が 君に 喜ばしく 微笑んでいた時には、
Tutto d'intorno sorrideva a me.周囲は すべて 私に 微笑んでいた。
Or che di pianto hai d'uopo, Margherita,君が 涙を必要とする 今となっては、マルゲリータよ、
Piangi, infelice, io piangerò con te.君は 泣く、不幸な人よ、私は 君と一緒に 泣こう。
Quali due fiori su l'istesso stelo,同じ茎の上の 二つの花のように、
Tale il destin univa i nostri cor!運命は 私たちの心を 結び付けた!、
Se ricopri l'amante un nero velo,私は 君の悲しみを 弟として 深く悲しんでいる、
o Margherita,ああ マルグリートよ!
Io ti sarò fedele amico ognor!...私は 君を 姉のように いつまでも 愛そう。
ロマンス2のオリジナルのイタリア語歌詞。
1863年6月11日、ロンドンの女王陛下劇場でのイタリア語訳詞上演(アシル・ド・ロジエル Achille de Lauzièreによる伊語訳。これは前年11月11日、ミラノのスカラ座でのイタリア初演のために制作されたもの)の際、グノーはロマンス2 Quando a te lieta を作曲して差し替えた。
これは後に オネシム・プラデル Onèsime Pradère によってフランス語訳詞が付けられ、そしてグノーの死後オペラ座でもこちらが採用されるようになった。
ACTE Ⅴ
[Fin du N° 28 Scène et Chœur] et N° 29 Chant bachique et Scène
[Fin du N° 28
Scène et Chœur]



[Maestoso assai]
4/4
F major
CHŒUR SOPRANO 合唱 遊女たち
[Que les airs reten]tissent[大気が 鳴り]響くように
De nos rires joyeux!私たちの 陽気な笑い声で!

FAUST フォスト
Vains remords, risible folie! 虚しい後悔よ、滑稽な狂気よ!
Il est temps que mon cœur oublie!【今は お前たちを】 私の心が 忘れる 時だ!
Donne et buvons jusq'à la lie!差し出しなさい そして 飲もう 澱 おり まで!
第5幕 第29番のディヴェルティスマンを割愛する時は、その直前の遊女たちの合唱からここに繋げて演奏する。

N° 29
Chant bachique et Scène

Faust

Allegretto maestoso
6/8
B-flat major
FAUSTフォスト
Doux nectar, en ton ivresse甘い美酒よ、お前の陶酔に
Tiens mon coeur enseveli!私の心を 飲み込まれた ままにしなさい【≒ 浸しなさい】
Qu'un baiser de feu caresse火のキスが 愛撫するように
Jusqu'au jour mon front pâli! 日の光【が差す】まで 私の 青ざめた顔を!
Endors en ton ivresse眠らせなさい お前の陶酔に
mon coeur enseveli!飲み込まれた【≒ 浸った】 私の心を!
Dans la coupe enchanteresse魂を奪うグラスの中から
Pour jamais je bois l'oubli!私は いつまでも 忘却を 飲む!

CHŒUR COURTISANES合唱 遊女たち
Ô doux nectar!ああ 甘い美酒よ!

MÉPHISTOPHÉLÈS ET CHŒUR COURTISANESメフィストフェレス と 合唱 遊女たち
Dans la coupe enchanteresse魂を奪うグラスの中に
Pour jamais je bois l'oubli!私は いつまでも 忘却を 飲む!

FAUST フォスト
Volupté, devant tes charmes快楽よ、お前の魅力の前に
Se réveille le désir! 欲望が 目を覚ます!
Laisse-nous loin des alarmes私たちを 不安から 遠くに
Au passage te saisir!奪い去りなさい
Déessse, par te charmes女神よ、君の魅力によって
Réveille le désir! 欲望を 目覚めさせなさい!
Et noyons l'amour en larmesそして 泣いている愛を 浸そう
Dans la joie et le plaisir!歓喜の中に そして 快楽【の中に】

CHŒUR COURTISANES合唱 遊女たち
Ô volupté! ああ 快楽よ!

MÉPHISTOPHÉLÈS ET CHŒUR COURTISANESメフィストフェレス と 合唱 遊女たち
Et noyons l'amour en larmesそして 泣いている愛を 浸そう
Dans la joie et le plaisir!歓喜の中に そして 快楽【の中に】
N° 29.8 Final - Bacchanale の Andantino 3/4 E-flat major に続く。

ACTE Ⅴ
Chœur des Sorcières à la fin du N° 20
N° 20
Scène

Marguerite

Allegro
6/8
d minor
(La montagne se referme avec fracas. Faust s'ouvre, l'épée à la main, un passage à travers la foule. Méphistophélès le suit vers le haut. Les sorcières et monstres infernaux envahissent la scène de toutes parts et cherchent à les retenir. Les unes les suivent, les autres continuent à danser autour de la chaudière)(山が 大音響とともに 閉じる。フォストは 開く、剣を手に、群衆を 通り抜ける通り道を。メフィストフェレスは 彼の 後について行く 高いところに向かって。魔女たちと 地獄の怪物たちが 至る所に 舞台に侵入する そして 彼ら【= フォストと メフィストフェレス】を 引き留めようと 試みている。ある者たちは 彼の 後について行き、他の者たちは 釜の周囲で 踊り続ける)

CHŒUR合唱
Un, deux et trois,1、2 そして 3
Comptons jusqu'à treize!13まで 数えよう!
Les gueux sont rois,物乞いたちが 王たちだ、
Attisons la braise!炭火を 熾そう!
Que le feu火が
Rouge ou bleu赤く あるいは 青く
Échauffe la chaudière!釜を 熱するように!
Le venin毒だ
Est un vinワインは
Qui plaît à la sorcière.それは 魔女に 好かれる。
Un, deux et trois,1、2 そして 3
Comptons jusqu'à treize!13まで 数えよう!
Les gueux sont rois,物乞いたちが 王たちだ、
Attisons la braise!炭火を 熾そう!
Un... deux... trois... quatre...1… 2… 3… 4…
Cinq... six... sept... huit...5… 6… 7… 8…
Neuf... dix... onze... douze... treize!9… 10… 11… 12… 13!
(Culmination orgiastique de la danse. Les silhouettes des sorcières se dessinent sur un ciel en feu)(踊りの乱痴気騒ぎ的な頂点。魔女たちのシルエットが 火に包まれている空に くっきりと現れる)
《フォスト》が台詞を含むオペラとして書かれた際、第29番の締め括りはここにある Un, deux et trois, という魔女たちの合唱だった。グノーは通しで歌われるオペラに改めた際もこの魔女の合唱を残するつもりだったようだが、第4幕の大幅な改変(短縮)作業の際に、一旦場面の前の方に移動させた後、早い段階でこの魔女の合唱を外してしまった。自筆総譜ではこの箇所に線が引かれて取り消しになっているという。
CHOUENS社の初期の出版総譜(⇒ IMSLP #327914)には掲載されていない。
BÄRENREITER刊のクリティカルエディションには収録されていない。
一方、フリッツ・エーザー Fritz Oeser 校訂のAlkor-Edition は本編に採用している。
この魔女の合唱 Un, deux et trois, は、台詞を含むオペラの形態にほとんど固有の曲とみなすこともできるが、稀に上演でも採用されることがあるので、補遺で扱うことにする。
ここでは Alkor-Edition に基づいている。

Attisons la braise!
そのまま訳すと 炭火を 熾 おこ そう! であるが、実際には 薪を 燃え上がらせよう! ということだと思われる。

(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON
une autre version du Adagio au N° 30 Scéne
N° 30
Scène

Marguerite

Adagio
4/4
E-flat major
MARGUERITEマルグリート
S'appuyant amoureusement sur son bras.彼の腕に 愛情を込めて もたれかかって。
Et voici le jardin charmantそして ほら ここに 魅惑的な庭が
Parfumé de myrte et de rose,ギンバイカの香りがする そして バラの【香りがする】
Où chaque soir, discrètementそこで 毎夜、目立たずに【≒ 人目を忍んで】
Tu pénétrais à la nuit close.君は 入り込んだ 夕暮れに。

FAUSTフォスト
Viens, Marguerite!来なさい、マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Non!いいえ!

FAUSTフォスト
Viens, viens fuyons!来なさい、来なさい 逃げよう!

MARGUERITEマルグリート
Non, reste encore!いいえ、まだ 留まりなさい!

FAUSTフォスト
Ô ciel! Elle ne m'entend!ああ 天よ! 彼女は 私【の言うこと】を 聞かない!
マルグリートの歌詞と旋律が異なる異稿。

ここを含むマルグリートとフォストの長い二重唱が存在する。⇒ 補遺。

Tu pénétrais à la nuit close.
nuit close 夕暮れ。

(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON
N° 30 Scéne, Scéne 2, une version plus développée
N° 30
Scéne de la Prison

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Moderato e maestoso
4/4
f-sharp minor
SCÈNE Ⅳ第4景
Marguerite, endormie sur son grabat. Faust, Méphistophélès.マルグリート、粗末なベッドの上で眠っている、フォスト、メフィストフェレス。
第30番 セヌ の長い稿。一般的な稿より131小節長い。
グノーはこの二重唱を元々、初期の台本に基づいて、長いもので書いていたと思われる。しかし1859年の初演の際に演奏されたのは短いものだった(おそらく時間短縮のため)。
《フォスト》が1862年11月11日、ミラノのスカラ座でイタリア初演(アシル・ド・ロジエル Achille de Lauzièreによる伊語訳)される際、グノーは、ヴァルプルギスの夜 の場面を削除する一方で、この二重唱を大きく拡大した。
さらに翌1863年6月11日、このスカラ座のイタリア語訳稿が、ロンドンの女王陛下劇場でも上演され、ここでも長い二重唱が用いられた。そのため最初期の伊英訳詞の出版ピアノ伴奏譜には、長い稿が採用されているものがある(⇒ IMSLP #151608, #247607, #247349)。
しかしこの長い二重唱は自筆総譜にはまったく痕跡がない。またBÄRENREITER刊のクリティカルエディションの校訂者、ポール・プレヴォスト Paul Prévost によると、この箇所のオーケスト部分は失われているという。そのためクリティカルエディションにはこの長い二重唱は収録されていない。
一方、フリッツ・エーザー Fritz Oeser 校訂の Alkor-Edition ではこの長い稿が本編に採用されている。Alkor-Edition のこの長い二重唱に正統性があるのかどうか分からない。 ここでは Alkor-Edition の楽譜に従っている(そのためクリティカルエディションとは歌詞やト書きが微妙に異なる)。
いずれにせよ、グノーはフランスでは一貫して短い二重唱を採用している。

Allegro
2/2
e minor
La porte s'ouvre. Faust parait sur le seuil avec Méphistophélès.扉が 開く。フォストが 現れる 敷居の上に メフィストフェレスと共に。

FAUSTフォスト
Va-t'en!行ってしまえ!
本編と同じ。

Moderato
4/4
e minor
MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Le jour va luire. On dresse l'échafaud!陽の光が 光り始めるところだ。人は 死刑台を 建てている【≒ 死刑台が 建てられている】
Décide sans retard Marguerite à te suivre.マルグリートは 遅れなく 君の後を追うことを 決心させられた【≒ 君の 後を追うと 決めた】
Le geôlier dort. Voici les clefs. Il faut牢番は 寝ている。ほら ここに 鍵が。
Que ta main d'homme la délivre.君の 人の手が 彼女を 解放し 【↑】なくてはならない。

FAUSTフォスト
Laisse-nous!私たちを 放って置きなさい【≒ 二人だけに させなさい】

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Hâte-toi!急いで【≒ ただちに】
本編と同じ。

Adagio
4/4
e minor
Moi, je veille au dehors.私は、私は 外で 見張っている。
(il sort)(彼は 出る)
本編と同じ。

Andante
4/4
a minor
SCÈNE Ⅴ第5景
Faust. MargueriteFaust.フォスト。マルグリート
本編と同じ。

Rezit.


4/4
a minor
FAUSTフォスト
Mon cœur est pénétré d'épouvante. Ô torture!私の心は 強い不安に 満ちている。ああ 耐え難い苦痛 だ!
Ô source de regrets et d'étérnels remords!ああ 永遠の後悔の悔いの原因だ!
本編と同じ。

Moderato
4/4
C major
C'est elle, la voici, la douce créature,彼女だ、そら あそこに 彼女が、優しい人が、
Jetée au fond d'une prison牢獄の奥に 放り込まれて
Comme une vile criminelle!卑しい犯罪者と同様に!
Le désespoir égara sa raison!...絶望が 彼女の理性を 錯乱させている!…
Son pauvre enfant, ô Dieu, tué par elle!..彼女の気の毒な子供は、ああ 神よ、彼女によって 殺された!…
Marguerite!マルグリートよ!
本編と同じ。

Moderato
4/4
F major
MARGUERITEマルグリート
(s'éveillant)(目を覚まして)
Ah! c'est la voix du bien-aimé!ああ! これは 最愛の人の声だ!
A son appel mon cœur s'est ranimé.彼の呼び声に 私の心は 生気を取り戻している。
(elle se lève)(彼女は 立ち上がる)

FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Au milieu de vos éclats de rire,お前たちの 笑いの大きな声の真ん中で、
Démons qui m'entourez, j'ai reconnu sa voix!デーモンたちよ その者たちは 私を 取り囲んでいる、私は 彼の声を 覚えていた!

FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Sa main, sa douce main m'attire!彼の手が、彼の優しい手が 私を 引き付ける!
Je suis libre! Il est là! Je l'entends! Je le vois!私は 自由だ! 彼は あそこに いる! 私は 彼【の言うこと↑】を 聞く! 私は 彼を 見る!
本編と同じ。

Ah! c'est la voix du bien aimé!
bien aimé 最愛の人。

Allegro non troppo
2/2
F major
Oui, c'est toi... je t'aime,そうだ、これは 君だ…私は 君を 愛している、
Les fers, la mort même鉄鎖は、死そのものは
Ne me font plus peur...もう 私を 怖がらせない…
Tu m'as retrouvée,君は 私に 再会した、
Me voilà sauvée,私は ほら ここで 救われた、
Je suis sur ton cœur!私は 君の心の上にいる。

FAUSTフォスト
Oui, c'est moi... je t'aime,そうだ、これは 私だ… 私は 君を 愛している、
Malgré l'effort même努力そのものにもかかわらず
Du démon moqueur,嘲笑的なデーモンの、
Je t'ai retrouvée,私は 君に 再会した、
Te voilà sauvée,君は ほら ここに 救われた、
C'est moi, viens, viens sur mon cœur!これは私だ、来なさい、私の心の上に 来なさい!

MARGUERITEマルグリート
C'est toi! les fers, la mortこれは 君だ! 鉄鎖は、死は
ne me font plus peur.もう 私を 怖がらせない。
Tu m'as retrouvée,君は 私に 再会した、
Me voilà sauvée!私は ほら ここで 救われた!
Je suis sur ton cœur!私は 君の心の上にいる。
Où sont les tortures,耐え難い苦痛は どこにあるのか?
les pleurs, les injures, la honte, l'effroi?涙は、罵詈雑言は、恥辱は、恐怖は 【どこにあるのか?】
Tout a disparu, te voilà! C'est toi!すべては 無くなった、そら ここに 君が! これは 君だ!
FAUSTフォスト
Viens, viens sur mon cœur!来なさい、私の心の上に 来なさい。
42小節長い。

Mouvement de la valse
3/4
F major
Il veut l'entraîner.彼は 彼女を 引っ張って行こうとする。
本編と同じ。

(Mouvement de la valse)
3/4
D major
MARGUERITEマルグリート
(se dégageant doucement de ses bras)彼の両腕から 優しく 抜け出して。
Attends!... Voici la rue待ちなさい… ほら ここに 通りが
Où tu m'as vueそこで 君は 私を 見た
Pour la première fois...初めて…
Où votre main osa presque effleurer mes doigts...そこで あなたの手は 私の指に 思い切って ほとんど 触れている…
Andantino
3/4
G major
"Ne permettrez-vous pas, ma belle demoiselle,“あなたは 許すつもりはないか、私の美しい 令嬢よ、
Qu'on vous offre le bras pour faire le chemin?"人が あなたに 腕を 提供することを 道を 歩くために【≒ 美しいお嬢さん、道を歩きに 私が 腕を 差し出しても よろしいか】?”
"Non, monsieur! Je ne suis demoiselle, ni belle,“いいえ、貴君よ! 私は 令嬢ではないし、美しくもない、
Et je n'ai pas besoin qu'on me donne la main!"そして 私は 必要としていない あなたが 私に 手を 差し出すことを。”
本編と同じ。

Ne permettrez-vous pas, ma belle demoiselle,
permettrez 単純未来形 であって、permettez 現在形 ではない。


4/4
G major
FAUSTフォスト
Que dit-elle? hélas! que dit-elle?彼女は 何を 言っているのか? ああ! 彼女は 何を 言っているのか?
フォストの歌詞が異なる。
Andante
4/4
E-flat major
MARGUERITEマルグリート
Et voici le jardin charmantそして ほら ここに 魅惑的な庭が
Parfumé de myrte et de rose,ギンバイカの香りがする そして バラの【香りがする】
Où chaque soir discrètementそこで 毎夜 目立たずに【≒ 人目を忍んで】
Tu pénétrais à la nuit close.君は 入り込んだ 夕暮れに。
Où les rossignols amoureuxそこでは 恋するサヨナキドリたちが
Mêlaient parfois leur douce voix時々 彼らの甘い声を 混ぜた
Aux soupirs de nos cœur heureux.私たちの 幸せな心の 溜め息に。
この箇所の10小節目(曲頭から278小節目)以降、音楽も歌詞も大きく異なる。
Allegro
2/2
E-flat major
FAUSTフォスト
Oui, mon cœur se souvient!そうだ、私の心は 覚えている!
Mais suis moi, l'heure passe!けれども 私の 後について来なさい、時が過ぎる!
Allegro
2/2
F major
Viens! Viens! quittons ces lieux!来なさい! 来なさい! この地を 離れよう!
Hâtons nous! le temps presse,急ごう! 時が過ぎる、
L'aube blanchit les cieux夜明けが 空を 白くしている
Et l'échafaud se dresse.そして 死刑台が 建てられている。
Voici l'horrible instant,そら ここに 恐ろしい瞬間が、
Tu peux encore me suivre!君は まだ 私の 後について来る ことができる!
Fuis la mort qui t'attend,死から 逃れなさい それは 君を 待っている、
Marguerite! Il faut vivre!マルグリートよ! 生きなくてはならない!

MARGUERITEマルグリート
Voici l'horrible instantほら ここに 恐ろしい瞬間が、
je ne veux pas te suivre,私は 君の 後について行き たくない、
La mort m'attend!死が 私を 待っている!
Hélas! toi seul tu dois vivre!ああ! 君だけは 君は 生きなくてはならない!

FAUSTフォスト
Ô nuit d'épouvante!ああ 激しい恐怖の夜だ!
Tais-toi! je ne veux pas que l'arrêt s'accomplisse!黙りなさい【≒ 口答えしないでおくれ】! 私は 判決が 果たされることを 望んでいない!
Je t'emporterai dans mes bras私は 君を 私の腕の中に 奪い取ろう
Pour t'arracher au supplice.君を 刑罰から 奪い去るために。

MARGUERITEマルグリート
Non! la mort m'attends!いいや! 死が 私を 待っている。
Adieu, je ne peux pas te suivre!さようなら、私は 君の 後について行く ことはできない!

FAUSTフォスト
Viens! viens! quittons ces lieux!来なさい! 来なさい! この地を 離れよう!
Hâtons nous, le temps presse!急ごう! 時が過ぎる、
L'aube blanchit les cieux夜明けが 空を 白くしている
Et l'échafaud se dresse!そして 死刑台が 建てられている!
Voici l'horrible instant!そら ここに 恐ろしい瞬間が!
Tu peux encore me suivre!君は まだ 私の 後について来る ことができる!
Fuis la mort qui t'attend!死から 逃れなさい それは 君を 待っている!
Marguerite, Il faut vivre!マルグリートよ、 生きなくてはならない!

MARGUERITEマルグリート
La mort m'attends! fuis seul!死が 私を 待っている! 一人で 去りなさい!
Je ne peux pas te suivre! Non! non!私は 君の 後について行く ことはできない! いいや! いいや!

Adieu! la mort m'attends!さようなら! 死が 私を 待っている!
Fuis seul! Tu dois vivre! 一人で 去りなさい! 君は 生きなければならない!

FAUSTフォスト
Viens! Suis-moi! Viens!来なさい、

MARGUERITEマルグリート
Non!いいや!
(ACTE Ⅴ -) Ⅳ. LA PRISON
Molto maestoso e grandioso, une version plus ancienne au N° 31 Trio-Finale
N° 31
Trio-Finale

Marguerite
Faust
Méphistophélès
Chœur
Molto maestoso e grandioso
12/8
B major
MARGUERITEマルグリート
Anges purs, anges radieux,清らかな天使たちよ、光り輝く天使たちよ、
Portez mon âme au sein des cieux!私の魂を 届けなさい 天の懐に!

FAUSTフォスト
Viens, viens, quittons ces lieux!来なさい、来なさい、この地を 離れよう!
Viens, viens, je le veux!来なさい、私は そのことを 望んでいる!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Hâte-nous de quittons ces lieux!急ごう この地を 離れるのを!
Déjà le jour envahit les cieux!既に 日の光が 空 いっぱいに広がっている!
Bruit au dehors.背景で 物音。
Écute!聞きなさい!

FAUSTフォスト
Dieu!神よ!

MARGUERITEマルグリート
Par vous que je sois préservée!あなた【= 神】によって 私が 守られるように!

FAUSTフォスト
Marguerite!マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Pourquoi ce regard menaçant?この 脅迫的な視線は なぜ?

FAUSTフォスト
Marguerite?マルグリートよ!

MARGUERITEマルグリート
Pourquoi ces mains rouge de sang?この 血で赤くなった両手は なぜ?
Le repoussant.彼を 押しやって。
Va! Tu me fais horreur!行きなさい! 君は 私を 恐ろしくさせる!
Elle tombe sans mouvement.彼女は 倒れる 動きなく【≒ 倒れて 動かなくなる】。

FAUSTフォスト
Ah!ああ!

MÉPHISTOPHÉLÈSメフィストフェレス
Jugée!裁かれた!
N° 31 Trio-Finale の最後 Molto maestoso e grandioso の初期稿。

参考資料

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