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ロッシーニ御殿 目次

公開 2022年7月24日

最新更新 2022年11月14日

無断転載 厳禁

GIOACHINO ROSSINI

LE COMTE ORY

初演 1828年8月20日 パリ オペラ座(王立音楽アカデミー劇場) ペルティエ劇場
First performance Opéra (Théâtre de l'académie Royale de Musique) Salle Le Peletier 20 August 1828

台本作家 ユジェーヌ・スクリーブ 1791―1861
Librettists Eugène Scribe 1791 - 186

原作 スクリーブととシャルル=ガスパール・ドレストル=ポワルソン 1790―1859 のヴォードビル《オリー伯爵 le comte Ory》 1816年12月16日 パリ Origilan vaudeville le comte Ory by Scribe and Charles-Gaspard Delestre-Poirson 1790 - 1859 Paris 16 December 1816
→ 作者不詳のバラード(中世の頃から伝わる)
   

《オリー伯爵》は、ロッシーニのオペラの中でも独特の作品である。パリのオペラ座で初演されたフランス語のオペラだが、しかし当時流行していたパリのグランドオペラの様式でもなければ、オペラコミーク(曲を台詞で繋ぐ)の様式でもない。先行作品であるイタリアオペラ《ランスへの旅》の音楽を多く転用し、かつ随所にフランス的な要素を盛り込んだ、他に例のない魅力を持った傑作である。

作曲

《オリー伯爵》の作曲についての情報は乏しい。
1825年6月19日、パリのイタリア劇場(会場はルーヴォア劇場)で《ランスへの旅》が初演される。このシャルル10世の戴冠を祝うイタリア語の機会オペラから《オリー伯爵》へ多くの素材が転用されることになる。
それから3年後の1828年6月11日、オペラ座の監督から、《ギヨーム・テル》が制作に時間がかかると予想され、それよりも前に上演する作品について検討するための会合を開くよう要請が出された。6月30日付の美術芸術省の報告書に、初めて《オリー伯爵》の題名が現れている。
しかしここからおよそ2ヶ月後の初演まで、《オリー伯爵》の制作がどう進行していたのかはまったく不明である。

このように情報が乏しいため、《オリー伯爵》の制作事情はかなり推測に頼るしかない。
《ランスへの旅》から多くの曲が転用されたのは、《ギヨーム・テル》よりも前に上演することを目的とした作品だったので、制作時間を短くするためだろう。つまり《オリー伯爵》は、制作当初から《ランスへの旅》からの転用を前提に作られたと考えられる。
作曲の負担が軽減された一方で、台本作家が既存の音楽に歌詞を当て嵌めて台本を作る面倒な作業に悩まされることになったのは、容易に想像できる。第1幕に転用曲が多いのは、既存の音楽に歌詞を当て嵌める作業には原作ヴォードビルの雛形に縛られていない方がやりやすかったからだろう。
第2番の教育係のアリアは《ランスへの旅》の第4番のシドニー卿のアリアからの転用だが、カヴァティーナに当たる部分は新たに作曲されている。実はロッシーニは当初、シドニー卿のアリアのカヴァティーナ Allegro maestoso も含めてアリア全体を教育係のアリアに転用したのだが、後に現在のようにカヴァティーナだけ Andantino の新たな音楽に差し替えた。あるいは、既存の曲に当てはめた歌詞と音楽が合わないと感じて、曲を新たに作り直したのかもしれない。

原作、台本

オペラ《オリー伯爵》の台本は、ユジェーヌ・スクリーブによって作られた。
ユジェーヌ・スクリーブ Eugène Scribe は、19世紀半ばのパリにおいて絶大な影響力を持っていた劇作家、台本作家である。1810年代から亡くなるまで、多種多様な戯曲を多数執筆した(他の作者との共同執筆も多い)。その中にはオペラの台本も多く含まれていた。オペラ座向けの主な作品だけでも、オベールの《ポルティチの言葉を話せぬ娘》、マイヤベーアの《悪魔ロベール》(1831 共同執筆)、《ユグノ》(1836 共同執筆)、《預言者》(1849)、《アフリカの女》(1865)、ドニゼッティの《ドン・セバスティヤン》(1843)、アレヴィの《ユダヤの女》(1835)、ヴェルディの《シチリアの晩鐘》、などがスクリーブが台本を書いたものである。
オペラ《オリー伯爵》の台本の原作は、スクリーブとシャルル=ガスパール・ドレストル=ポワルソン Charles-Gaspard Delestre-Poirson 1790―1859 が書いたヴォードビル『オリー伯爵』である。ドレストル=ポワルソンは、作家として活躍した他、ジムナズ劇場(後にジムナズ・ドラマティク)の監督を20年以上の長きに渡って務めた劇場運営者でもある。同年代の両者は、活動の初期からしばしばコンビを組んで執筆していた。

このヴォードビルは、演劇の中に歌[注1]が多く取り入れられた軽めの内容の舞台劇である。こちらはオペラのおよそ12年前、1816年12月16日にヴォードビル劇場 Théâtre du Vaudeville で初演された。
原作であるヴォードビルの『オリー伯爵』は1幕仕立てであり、その内容は大雑把に見てオペラの第2幕に相当する。ただしオペラでは聞き所になっている男どもが飲んで騒ぐ場面は、原作ヴォードビルでは舞台裏からの合唱で簡単に示されるだけである。またオペラ第1幕におけるオリー伯爵の企て、すなわち彼が隠者に変装して伯爵夫人に近寄ろうとした経緯については、ヴォードビルの冒頭でラゴンドが簡単に説明しているに留まっている。
原作ヴォードビルの舞台はすべて城内である。ある登場人物は「3年間、私たちはたった一人の男の影すら見たことがない Depuis trois ans n'avoir pas seulement vu l'ombre d'un homme!」からすると、彼女たちは男子禁制の城内にずっと閉じこもっているようである。これに対してオペラでは、第1幕で伯爵夫人たちが外出することもあって(ラゴンドにいたっては一人で外出している)、第2幕においてもそこまで切迫した様子は描かれていない。
 原作ヴォードビルでの女性主人公は『アロイーズ、フォルムスティエ伯爵夫人、若い寡婦 ALOÏSE, comtesse de Formoustiers, jeune veuve』と設定されている。名前があること、所領名が微妙に違うことよりも、彼女が『若い寡婦 jeune veuve』と明言されていることが重要である。veuveは、『独り身の女性』を意味することもあるが(オペラの台本でもそうした意味で用いられている箇所はある)、通常は『寡婦,未亡人』の意味で用いられる[注2]。
原作ヴォードビルでは、伯爵夫人が若い未亡人であることがはっきり示されている。たとえば彼女は「私の歳で寡婦に…しかも何という夫の! veuve à mon àge...et de quel époux!」と嘆いており、彼女が立派な夫と結婚したものの、若くして夫を亡くしてしまったことが示されている。さらに彼女はイゾリエに関連して亡夫に触れている。「(イゾリエは)私の夫の被後見人で、あの方はあの子をとても愛していたわ! そして私は彼の受け入れに同意したの…亡くなったあの方の思い出のために…。 le pupille de mon mari... qui l'aimait beaucoup! E si j'ai consenti à le recevoir... c'était par égard pour la mémoire du défunt...」。つまりイゾリエは、亡き夫の『置き土産』なのである。
オペラではこの点についてあまりはっきりさせていない。女たちが城内に篭った期間は、ダミアン・コラス Damien Coplas による新校訂譜によって復活した、第2幕フィナールでのラゴンドの台詞によって

Et nous n'avons reçu pendant cinq ans d'absence,
aucun homme en ces lieux.
そして 私たちは 迎えなかった 留守の5年の間、いかなる男も この住処に。

原作の3年よりも長い、5年に及んだということが分かった。
ともかくも、伯爵夫人は若い寡婦で、ゆえに第1幕で男不在の城内で悶々としている、と理解するのが妥当だろう。

ラゴンドの役回りは原作ヴォードビルとオペラであまり変わらず、伯爵夫人の筆頭格の侍女である。しかし、面白いことに、登場人物設定が変えられている。原作ヴォードビルでは、ラゴンドの設定は『アロイーズの粧飾係 dame d'atours d'Aloïse』。dame d'atours とは、貴婦人の化粧や服飾などの世話を取り仕切る侍女のことである。一方、オペラでのラゴンドの設定は『フォルムティエ城の受付担当者 tourière du château de Formoutiers』。tourière とは、本来、女子修道院で来訪者や外部から届けられた物品を受付する窓口担当の修道女のことである。これが転じて、宗教施設などにおいて外部との接触や連絡をする係の女性のことを示す言葉になった。オペラでは第1幕が新たに加えられ、ラゴンドが一人で城を離れ村に入る場面ができたため、このように変更されたのだろう。

原作ヴォードビルの台本には、そのさらに原作である中世から伝わるというバラードが掲載されている。このページの最後に附録して再録、訳しておく。


注1 歌は、当時のパリの観客に良く知られた歌の替え歌が多い。原作ヴォードビルには、モーツァルトの《フィガロの結婚》の手紙の二重唱 Che soave zeffiretto の替え歌も含まれている。
注2 たとえば、レハールの《メリー・ウィドウ》すなわち《陽気な未亡人 Die lustige Witwe》は、フランス語では La Veuve joyeuse。

初演

初演は1828年8月20日、オペラ座(劇場はサル・ル・ペルティエ )で行われた。初演の出演者は以下のような人たちだった。

オリー伯爵
Le comte Ory
アドルフ・ヌリ
Adolphe Nourrit
テノール
tenore

オリー伯爵の教育係
Le Gouverneur du comte Ory
ニコラ・ルヴァスール
Nicolas Levasseur
バス
basso

イゾリエ
Isolier
コンスタンス・ジャヴュレック
Constance Jawureck
ソプラノ(メッゾソプラノ)
soprano (mezzosoprano)

ランボ
Raimbaud
アンリ・ダバディエ
Henri Dabadie
バス(バリトン)
basso (baryton)

第1の騎士
1er chevalier
アレクシス・デュポン
Alexis Dupont
テノール
tenore

第2の騎士
2e chevalier
フェルディナン・プレヴォ
Ferdinand Prévôt
バス
bass

第3の騎士
3e chevalier<
マソル
Massol
バス
bass

第4の騎士
4e chevalier
トレヴォ
Trévaux


第5の騎士
5e chevalier
ジュスタン・ダヴァディエ
Justin Dabadie
バス
bass

フォルムティエ伯爵夫人
La comtesse de Formoutiers
ロール・サンティ=ダモロー
Laure Cinti-Damoreau
ソプラノ
soprano


ラゴンド
Ragonde
オーギュスタ・モリ
Augusta Mori
コントラルト
contralto

第1の婦人
1e dame
ロロット
Lorotte

第2の婦人
2e dame
ドゥルボワ
Delboy

農婦
Une paysanne
ドゥジャン
Dejean


指揮はコンサートマスターであるフランソワ・アブネック Francois Habeneck 1781 - 1849

アドルフ・ヌリ 1802―1839 は、当時のパリの偉大なテノール。ロッシーニ作品の初演には多く関わっており、《コリントの包囲》のネオクレス、《モイーズとファラオン》のアメノフィス、《オリー伯爵》のタイトルロール、《ギヨーム・テル》のアルノールを創唱した。さらいマイヤベーア《悪魔ロベール》のロベール、《ユグノ》のラウル、アレヴィ《ユダヤの女》のエレアザールを創唱。《オリー伯爵》が初演された頃はヌリの絶頂期だった。だが1830年代後半になると、ファルセットーネを多用したヌリの優美な歌い方は、ジルベール・デュプレ Gilbert Duprez に代表されるより逞しい新しい歌い方に押され、人気を失っていく。ヌリは発声改善を求めてナポリを訪れるが、ドニゼッティが彼のために書いた新作《ポリュート》が上演禁止になり、また肝心の発声改善が思うように進まず、行き詰まった末にホテルの窓から投身自殺をしてしまった。37歳の誕生日を迎えた直後のことだった。
ロール・サンティ=ダモロ 1801―1863 は、イタリア劇場で脇役を歌っていたところをロッシーニに見出され、《ランスへの旅》のフォルヴィル伯爵夫人に大抜擢された、ロッシーニの秘蔵っ子というべきソプラノ。《モイーズとファラオン》のアナイでオペラ座に初出演。また《ギヨーム・テル》のマティルドの創唱者でもある。
ニコラ=プロスペル・レヴァスール 1791―1874 は、当時のパリの名バス。イタリア劇場でロッシーニのイタリアオペラに多く出演しており、1822年の《エジプトのモゼ》パリ初演でモゼを歌った後、《ランスへの旅》でドン・アルヴァーロを創唱。その後オペラ座にも進出、《モイーズとファラオン》のモイーズ、《オリー伯爵》の教育係、《ギヨーム・テル》のワルテルを創唱。他にも多数の重要な作品の初演に出演した。
アンリ=ベルナール・ダバディ 1797―1853 は、当時のパリの代表的フランス人バリトン。ダバディは何といっても《ギヨーム・テル》のタイトルロールの創唱者として名高い。
コンスタンス・ジャブレク もしくはドイツ語風に ヤブレック 1803―1858 は、ドイツ系のメッゾソプラノ。1822年からオペラ座で活動。スポンティーニ《フェルナン・コルテス》の再演で歌ったアマジリで成功を収め、1837年までオペラ座で人気を博した。彼女はその美貌でも有名で、《オリー伯爵》初演の頃の肖像画が残されている。

初演は大成功を収めた。1828年中に17回、翌1829年中に37回の上演があった。オペラ座では1884年1月まで頻繁に上演され、上演数は490回を超えたという。

あらすじ

登場人物

オリー伯爵
LE COMTE ORY
城主
seigner châtelain,
テノール
ténor

オリー伯爵の教育係
LE GOUVERNEUR du ccomte Ory,

バス
basse

イゾリエ
ISOLIER,
オリー伯爵の小姓
page du ccomte Ory,
メッゾソプラノ
mezzo-soprano

ランボ
RAIMBAUD,
騎士,オリー伯爵の放蕩仲間
chevalier, compagnon de folies du ccomte Ory
バリトン
baryton

騎士たち
CHEVALIERS,
オリー伯爵の友人たち
amis du ccomte Ory,

4 ténors

フォルムティエ伯爵夫人
LA COMTESSE DE FORMOUTIERS,

ソプラノ
soprano

ラゴンド
RAGONDE,
フォルムティエ城の受付担当者
tourière du château de Formoutiers,
メッゾソプラノ
mezzo-soprano

アリス
ALICE,
若い農民の娘
jeune paysanne,

soprano

十字軍の騎士たち
Chevaliers croisés



オリー伯爵に従う騎士たち
Chevaliers de la suite du ccomte Ory



盾持ちたち
Écuyers



農夫たち、農婦たち
Paysans et Paysannes



伯爵夫人の侍女たち
Dames d'honneur de la comtesse




なおしばしば重唱に加わる Coryphée は、役名ではなく、合唱団員のうち必要な場合にはソロを受け持つ役目の人物のこと。


注 フォルムティエ伯爵夫人は、アデール Adele もしくは Adèle という名前が与えられていることが多いが、初期の台本でも初版楽譜でもこの名前は用いられていない。

物語の前提
トゥーレーヌのフォルムティエ伯爵の城。伯爵を始めとする城の男たちは十字軍に参加、城には伯爵の妹の伯爵夫人、ラゴンドら女性ばかりが残っていた。これを絶好の機会と見た好色なオリー伯爵は隠者に変装、仲間のランボをその弟子ロベール[注]に仕立てて、城の近くの庵に滞在している。


注 第1番でアリスと合唱が彼をこの名前で呼びかけている。

第1幕
隠者の弟子に扮したランボーは、隠者(オリー伯爵の変装)が庵に戻る途中でここを通るので貢物をしなさい、と村人に催促する。村人たちは、果物や乳製品、さらには年代物の酒までも提供する。通りがかったラゴンドが、伯爵夫人も隠者に相談に行くつもりであることを明かす。
隠者に変装したオリー伯爵が現れ、もったいぶりながら、悩みを解決しよう、女性には夫を与えよう、と説いて回る。人々は喜び、次々に隠者に願い事を訴える。ランボーが人々を庵へと案内する様子を見たオリー伯爵は、これで夜には庵は女だらけだ、と喜ぶ。
ラゴンドは隠者に、フォルムティエ伯爵と城の騎士たちが十字軍に出征し、城には女性だけが残っている、そこで城主代わりを務める伯爵夫人が悩んでいる、それゆえ彼女が相談しに来る、と告げる。隠者は伯爵夫人の相談に乗ると答える。人々は隠者を讃え、一緒になって庵へと向かう。
オリー伯爵の教育係と伯爵の小姓イゾリエが現れる。教育係はオリー伯爵の父である公爵から姿をくらましたオリー伯爵を捜すように命令され、この辺りにいるという噂を聞きつけこの地にやって来た。イゾリエにはさらに、彼の従姉である伯爵夫人と恋を楽しもうという密かな企みもあった。教育係は、戦いや狩、さらには色恋ごとまで、オリー伯爵に付き添っていなくてはならない苦労をぼやく。そこに、隠者の元に向かう娘たちが現れる。彼女たちによると、その隠者は8日前から居るという。教育係は、その隠者こそオリー伯爵に違いないと感づく。娘たちは、教育係が急に不機嫌になったことに驚く。教育係は若い農婦アリスに、どこで隠者に会えるか尋ねると、彼女は、伯爵夫人の相談にのあるため間もなくここに来る、と答える。教育係は仲間を呼ぶために一旦その場を立ち去る。
イゾリエは伯爵夫人に会えることを喜びつつ、彼女をどう陥落させればよいのか悩む。そこに隠者すなわちオリー伯爵が現れる。彼は自分の小姓に気付くが、隠者として振る舞い続けたままイゾリエの名前を呼ぶ。初対面の隠者から自分の名前を呼ばれたイゾリエは、すっかり彼を信用してしまい、隠者に、実は伯爵夫人を愛しているが、彼女の兄の伯爵が不在の間は男が城に入ることは禁じられている、そこで巡礼女に変装して忍び込もうと思いついた、と自分の秘策を明かす。自分の小姓が伯爵夫人の城に潜り込もうとしていることに腹を立てるオリー伯爵だが、しかしこの秘策は自分にも利用できると思う。隠者が、それは良い作戦だとイゾリエを褒めると、イゾリエは、伯爵夫人が自分を愛するように助言してほしいと隠者に頼む。隠者はそれを請合いつつ、それで利を得るのは自分だと思う。
伯爵夫人が侍女たちを引き連れて登場。彼女は従弟のイゾリエがいることに驚く。彼は、自分も隠者に相談しに来たのだと誤魔化す。隠者は、自分はあらゆる不幸な人に慰めを与えるのだ、と告げる。伯爵夫人は、若いにもかかわらず悲しみに暮れるばかり[注1]、幸せを取り戻させてほしい、と隠者に訴える。それを聞いたイゾリエは、隠者に助力を求める。オリー伯爵は伯爵夫人に、恋をすれば幸せを取り戻せよう、と説く。だが彼女は生涯を寡婦で過ごすという誓いを立ててしまったと答える。それでも隠者は、恋が貴女を生き返らせると説得する。それを聞いた伯爵夫人は、天に感謝し、隠者に、あなたの徳は忘れないと礼を述べる。そしてイゾリエに向かって、あなたを愛したいわ、と思いをぶつける[注2]。イゾリエは想定通りの展開に満足する。だが隠者は伯爵夫人に、イゾリエは好色なオリー伯爵の小姓だから気をつけた方がよい、と耳打ちし、詳しい話は城の中で、と巧妙に伯爵夫人と一緒に城内へ入ろうとする。そこに教育係が従者たちを連れて戻ってくる。教育係は隠者の弟子がランボーであることを見破り、隠者がオリー伯爵であることを皆に知らせる。止む無くオリー伯爵も自らの正体を明かす。伯爵夫人を始めとする女たちは予期せぬ事態に驚き、教育係は喜び、オリー伯爵とランボーは悔しがる。
ラゴンドが持って来た手紙を伯爵夫人が読み上げる。それは十字軍遠征が終わった騎士たちが二日後に帰国するという待望の報せだった。女たちは喜ぶ。オリー伯爵は、あと一日で何とかしようと思いながら仲間に退却を告げる。イゾリエはなおもオリー伯爵の企みを邪魔をしようと決意する。伯爵夫人と女たちは希望に沸き喜ぶ。

第2幕
フォルムティエ城内の伯爵夫人の寝室[注3]。夜。女たちは、オリー伯爵の企みに憤慨している。雷鳴が聞こえ、風雨が激しくなるので、伯爵夫人は恐しくなる。女たちは神に祈る。すると外から、城の中に避難させてほしい、という声が聞こえて来る。伯爵夫人はラゴンドに声の主を見に行かせる。再び風雨が強まり、女たちは嵐が静まるよう神に祈る。再び外から助けを求める声が聞こえて来る。嵐は収まっていく。
戻ってきたラゴンドは、オリー伯爵に追い掛け回された14人の中年女性の巡礼者たちが避難して来たと報告する(もちろん、オリー伯爵たちの変装)。広間に引き入れられた巡礼女たちのうち、一人が伯爵夫人に挨拶したいと聞き、伯爵夫人は面会を許可する。その巡礼女のコレット[注4](オリー伯爵の変装)がおずおずと姿を現すと、伯爵夫人は、もっと近くに寄るよう促す。巡礼女は伯爵夫人に感謝をし、伯爵夫人は、オリー伯爵から女を救ったことを誇りに思うと言う。その言葉に感動した素振りで巡礼女が伯爵夫人の手にキスをするので、彼女は驚きうろたえる。大胆なオリー伯爵が貴女の足下に跪いたらどうしますか、と尋ねると、伯爵夫人は、軽蔑しますわ、と答ええて、オリー伯爵が勝利することはない、情熱を内に秘めた人が好きだ、と言う。オリー伯爵は、抵抗してもいずれは自分が勝利する、と呟く。
他の『女巡礼たち』が近づいてくる。伯爵夫人は、彼女らに牛乳と果物を提供するよう指示していたことを告げて去る。腹のへったオリー伯爵は、質素な食事にすこしがっかりする。無事に城内に入れたことで男たちは陽気に騒ぎ始めるが、教育係は、オリー伯爵の父である公爵にこの戯れが知られることを心配している。
ランボーが酒を持って現れる。彼は城の部屋を調べ回っているうちに、地下の貯蔵室に辿り着き、上質のワインを発見、選んでいるところに人の来る気配に慌てて酒を持って逃げて来た、と語って聞かせる。オリー伯爵は、皆で戦利品を分け合おうと言い、一同は飲んで騒いで楽しむ。ラゴンドが見回りに来ると、男たちは騒ぎを止めて祈りを捧げる振りをする。そして彼女が去ると、再び飲んで騒ぎ出す。
伯爵夫人が就寝時間なので部屋に入るよう促し、巡礼女たちは部屋を去る。伯爵夫人が敬虔な巡礼女に感心していると、呼び鈴が鳴り、ラゴンドがイゾリエの訪問を告げる。男子禁制の城内にイゾリエが入るとは、と憤る伯爵夫人に、イゾリエは、オリー伯爵の父の公爵から遣わされたのだと明かし、フォルムティエ伯爵と騎士たちが真夜中に到着する予定だと報せる。ラゴンドは、客にもそれを知らせようと言う。その客がオリー伯爵に追いかけられた14人の淑女だと聞いたイゾリエは、それがオリー伯爵とその仲間の変装だと見抜く。伯爵夫人、ラゴンド、女たちは慄く。イゾリエは、僕が助けますと伯爵夫人を励ます。
巡礼女コレットが伯爵夫人の寝室に忍び込んでくる。伯爵夫人の脇にはヴェールを被ったイゾリエがいる。コレットは部屋で一人でいると不安なのでここに来たと言う。オリー伯爵は彼女の手を取って自分の胸に押し付けるが、それはヴェールを被ったイゾリエの手だった。やがてオリー伯爵は変装を解いて『彼女』を抱きしめ熱烈に口説き出す。その時、ラッパの音がフォルムティエ伯爵たちの帰還を知らせる。安堵する伯爵夫人とイゾリエ。悔しがるオリー伯爵に、イゾリエは、彼が伯爵夫人だと思って抱きしめていたのは自分だったと明かして追い討ちをかける。腹を立てるオリー伯爵だが、父公爵も間もなく到着と聞いて観念する。伯爵夫人は全員立ち去るように命じる。凱旋歌が聞こえ、オリー伯爵たちは立ち去って行く。人々が騎士たちの帰還を出迎える喜びの声で幕となる。

注1 『台本、原作』の項を参照。オペラの台本でははっきりと語られていないが、伯爵夫人は若くして夫を亡くした寡婦で、その際、他の男を愛さないという誓いを立てた。第2幕フィナーレでのラゴンドの台詞から、彼女たちは男が皆出征してから城内で5年も過ごしていたことがわかる。。
注2 ここで伯爵夫人が急にイゾリエに愛を向けようとするのは、唐突な印象を受ける。彼女が既に密かにイゾリエに思いを寄せていたと解釈することも不可能ではないが、オペラの台本ではそれを裏付けるに足りる言動は見当たらないし、この後、伯爵夫人が改めてイゾリエに愛を向ける素振りも見られない(むしろ第2幕でイゾリエが男子禁制の城を訪問した時には怒っている)。第1番末尾におけるイゾリエの台詞『けれど、僕を支配する情熱を共有するには程遠く、彼女は愛に対して城も心も閉ざしている Mais, loin de partager l'ardeur qui me domine, Elle ferme à l'amour son castel et son cœur.』、あるいは第3番 二重唱でのイゾリエの台詞『僕は彼女の好意を得ることができると思いました。それにもかかわらず彼女のあまりにも厳しい心は、僕の計画から逃れているのです。 Je croyais avoir su lui plaire; Et pourtant son cœur trop sévère Se dérobe à mes projets.」の内容をそのまま受け止めてかまわないだろう。
注3 オペラの台本での設定は『伯爵夫人の寝室 la chambre à coucher de la comtesse』で、このまま三重唱における夜の寝室へと繋がる。しかし原作ヴォードビルでの設定が『ゴシック風の客間 un Salon gothique』となっていることから、上演では客間や広間になることも多い。
注4 コレット Colette という名前はここでは現れず、第11番の三重唱になってようやくオリー伯爵が『私です、コレット尼です C'est moi: c'est sœur Clette』と名を口にしている。伯爵夫人がこの名前を承知しているかのように呼びかけていることからすると、あるいは第7番の二重唱のあたりでコレットと名乗っていた一節が削除されてしまったのかもしれない。

音楽

《オリー伯爵》は、《ランスへの旅》の曲を転用したことでイタリアオペラの様式を直接引き継いでいるが、同時に新作曲ではフランスオペラの様式も活用している。また、こうした軽い内容の喜劇は、イタリアではオペラブッファ、フランスではオペラコミークで扱うもので、どちらも通常オーケストラには制約があるものだが、《オリー伯爵》はオペラ座で初演されたことから、オペラ座の優秀で規模の大きなオーケストラを念頭に置いて作曲されている。結果として《オリー伯爵》は『イタリア的でもありフランス的でもあり』、『オーケストラがかなり充実している』、『フランス語の』、『軽い喜劇』のオペラという、他に類のない独特の作品に仕上がっている。

 こうした特長は、既に第1番 導入 Introduction でよく現れている。基本的には《ランスへの旅》の第1番 導入 Introduzione の転用で出来ている曲だが、前奏部分は新作で、そのうち1回目のModeratoは、第2幕の第10番 合唱の中の Célébrons tour à tour の素材を用いている。この部分でのオーケストラの堂々とした豊かな音楽は、《オリー伯爵》が軽い喜劇であっても音楽的に軽いオペラではないことを明示している。オリー伯爵の登場のアリアとなる Que les destins prosperes は、概ね原曲に従いつつ、ファルセットーネの達人だったテノール、ヌリが得意とする高音を多用しており、高いハ音に加え、高いニ音も一回だけ用いられている。

※普請中※

対訳付き音楽設計図

日本語訳は極力文学的色づけをしない直訳にしてある。
台本の詩句は、Bärenreiter-Verlag刊のダミアン・コラス Damien Coplas による校訂のクリティカル・エディション総譜に記載されている状態に合わせてある。従来の楽譜とは細かい点でかなりの相違がある。

N. 1
[INTRODUCTION / OUVERTURE]
Allegro modrato
2/4
D major
Moderato
2/4
D Major
ACTE PREMIER
Suite de l'Introduction


Alice
Ragonde
Le comte Ory
Raimbaud
CHŒUR
Allegro moderato
4/4
G major
(Le théâtre représente un paysage. Dans le fond, à gauche du spectateur, le château de Formoutier, dont le pont-levis est praticable; à droite, bosquets à travers lesquels on aperçoit l'entrée d'un ermitage)(劇場は風景を表している【≒ 舞台にはとある光景が広がっている】。奥に、観客から左側に、フォルムティエの城、その跳ね橋は通行可能である; 右【≒ 下手 しもて】に、小さな森【≒ 木立】 それを通して 人は 隠者の住処の入口が見える)

(SCÈNE Ⅰ)(第1景)
(Raifleursmbaud, Alice, paysans et paysannes, occupés à dresser un berceau de feuillage et de fleurs)(ランボ、アリス、農夫たちと農婦たち、【彼らは】葉々のそして花々の緑の日陰覆いを作成するのに忙しい)

RAIMBAUDランボ
Jouvencelles, venez vite!若い娘たちよ、急いで来なさい!
écoutez le sage ermite!賢明な隠者【の言うこと】を聞きなさい!
Il va paraître en ces lieux.彼は この場所に 姿を見せるところだ。
Qu'en rentrant à l'ermitage,隠者の住処に 帰る時に
il reçoive à son passage彼が 彼の通りがかりに 受け取るように
nos offrandes et nos vœux.私たちの捧げものを そして 私たちの願いを。

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
L'on respecte sa science【= 私たち】は 彼【= オリ―伯爵】の知恵に 従う
car il donne l'opulence,なぜなら 彼は 与えるからだ、富裕を
le savoir et des époux.知識を そして 配偶者を。

RAIMBAUDランボ
(cachant sous son manteau son habit de chevalier)(彼のコートの下に 彼の騎士の衣服を隠して)
Taisez-vous, du silence!黙りなさい、無言に!
Il faut craindre ma puissance,私の力を 恐れなくてはならない、
j'ai l'honneur de le servir.私は 彼に仕える光栄に浴している。

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Il faut craindre sa puissance.彼の力を 恐れなくてはならない。

RAIMBAUDランボ
Vous riez?あなた方は 笑っているのか?

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Ah, ah, ah, ah!ハ、ハ、ハ、ハ!
ah, quel plaisir!ああ、なんという楽しみだ!

RAIMBAUDランボ
Quand on rit de ma puissance【= あなた方】が 私の力を 笑う時は

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Sire Robert, ah, calmez-vous!ロベール殿、ああ、落ち着きなさい!

RAIMBAUDランボ
c'est le ciel que l'on offense.それは 天だ それを 人が 侮辱するのは【≒ あなたたちが 侮辱しているのは 天だ】

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Nous allons obéir tous,私たちは すべてを 従うだろう、
mais apaisez votre courroux!けれども あなたの怒りを 鎮めなさい!

RAIMBAUDランボ
(d'un air d'impatience)(苛立ちの様子で)
Placez là sous cet ombrage置きなさい そこに この木陰の下に
et des fruits et du laitage!そして 果物を そして 乳製品を!

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Allons vite, à l'ouvrage,すぐに行こう、仕事に【取り掛かろう】
préparons sous ce feuillage用意しよう この葉のついた枝の下で
nos fruits les plus délicats.私たちの果物を 最も繊細な。

RAIMBAUDランボ
Allons, vite!行こう、すぐに!

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Patience!辛抱を!

RAIMBAUDランボ
Mais plus vite!けれども さらに急いで!

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Patience,辛抱を、
Sir Robert, patience,ロベール殿、辛抱を、
surtout ne vous fâchez pas!くれぐれも 怒るでない!

RAIMBAUDランボ
Placez aussi sur la table置きなさい 食卓の上に
quelques flacons de vin vieux!いくつかの年代物のワインの小瓶 【↑】も!

ALICE ET CHŒURアリスと合唱
Plaçons aussi sur la table置こう 食卓の上に
quelques flacons de vin vieux;いくつかの年代物のワインの小瓶 【↑】

ALICE, RAIMBAUD ET CHŒURアリス,ランボーと合唱
Car c'est un présent de cieux.なぜなら これは 天の贈り物だから。


(SCÈNE Ⅱ)(第2景)
(Les précédens, dame Ragonde)(前の景の人たち,ラゴンド夫人)

RAGONDEラゴンド
(sortant du château à gauche)(左の城から出て)
Quand madame la comtesse伯爵夫人様が
est, hélas! dans la tristesse,何ということだ! 悲しみの中にいる 【↑】時に、
pourquoi donc ces chants d'allégresseいったい どうして この喜びの歌が
de la part de ses vassaux?彼女の臣下たちから【出て来るのか】
Quand on aime sa maîtresse,【= 彼,彼女 = 臣下】が 彼の女主人を 愛する 時には、
on s'afflige de ses maux!【= 彼,彼女 = 臣下】は 彼女【= 伯爵夫人】の不幸を 苦しむものだ。
Elle veut au bon ermite彼女は 望んでいる 立派な隠者を
dans ce jour rendre visite,今日中に 訪問することを、
pour que du mal qui l'agite苦しみを それは 彼女を揺さぶる
il cherche à la délivrer.【= 隠者】が 彼女から取り除こうと試みる 【↑】ために。

CHŒUR合唱
Quel bonheur! quelle allégresse!何という幸福だ! 何という喜びだ!
Le ciel vient de l'inspirer.天が 彼女に 霊感を与えたところだ【≒ 天が 彼女を 促したのだ】

ALICEアリス
Ah quel bonheur! quelle allégresse!ああ 何という幸福だ! 何という喜びだ!
Le ciel vient de l'inspirer.天が 彼女に 霊感を与えたところだ【≒ 天が 彼女を 促したのだ】

RAIMBAUDランボ
Elle est sauvée! oui, la comtesse彼女は 救われる! そうだ、伯爵夫人は
ne pouvait mieux rencontrer.よりよく 出会うことはなかった。

RAGONDEラゴンド
Vous croyez que sa scienceあなたは 信じているのか 彼の知恵が
peut nous rendre l'espérance?私たちに 希望を取り戻させることができると?

RAIMBAUDランボ
Rien n'égale sa science:彼の知恵に匹敵するものは 何もない:
mainte veuve, grâce à lui,多くの配偶者を失った女が、彼のおかげで、
a retrouvé son mari.彼女の夫を 再び見付けた。

RAGONDEラゴンド
Ah! je veux aussi l'entendre,ああ! 私も 同様に 彼【の言うこと】を 聞きたい、
près de lui je veux me rendre,彼のそばに 私は 行きたい、
s'il est vrai qu'un cœur trop tendreもし 本当ならば あまりに弱い心が
par lui puisse être guéri.彼によって 治ることができるならば。

ALICE ET RAIMBAUDアリス と ランボ
Il pourrait bien plus encore.私たちの望みに 希望を 取り戻させるであろうに。
Dans ces lieux chacun l'honore,この場所では 誰もが 彼を 敬っていて、
rien n'ègale son pouvoir.彼の力に 匹敵する者はいない。

RAGONDEラゴンド
Ce saint homme que j'imploreこの聖なる人は その者を 私は 歎願している
à nos vœux rendra l'espoir.私たちの望みに 希望を 取り戻させるであろうに。

CHŒUR合唱
En ces lieux chacun l'honore,この場所では 誰もが 彼を 敬っていて、
rien n'égale son pouvoir.彼の力に 匹敵する者はいない。
《ランスへの旅》 N.1 Introduzione
Presto, presto... su, coraggio!
からの再利用。

[Air]

Allegretto
3/4
C major
(SCÈNE Ⅲ)(第3景)
(Les précédens, le comte Ory, déguisé en ermite avec une longue barbe)(前の景の人たち、オリ―伯爵、長い顎鬚 あごひげ を持った隠者に変装して)

LE COMTE ORYオリー伯爵
Que les destins prospères,恵まれた運命が、
accueillent vos prières!あなたたちの懇願を 受け入れる 【↑】ように!
La paix du ciel, mes frères,天の平安が、私の兄弟たちよ、
soit toujours avec vous, oui!常に あなたたちと共にあるように、そうだ!
Veuves ou demoiselles,未亡人たちよ あるいは 未婚女性たちよ、
dans vos peines cruelles,あなたたちの辛い つらい 心痛にある、
venez a moi, mes belles:【の元】に来なさい、私の美女たちよ:
obliger est si doux!親切にすること【≒ 施し】は とても 心地よい!
J'accorde les familles,私は 家族を 一致させて【≒ 人と人を繋いで家族を作り】
et même aux jeunes fillesそして 若い娘たちにまでも
je donne des époux.私は 夫たちを与える。
Que les destins prospères,恵まれた運命が、
accueillent vos prières!あなたたちの懇願を 受け入れる 【↑】ように!
La paix du ciel, mes frères,天の平安が、私の兄弟たちよ、
soit toujours avec vous!常に あなたたちと共にあるように!
《ランスへの旅》 N.1 Introduzione
Di vaghi raggi adorno
からの再利用。

Récit


3/4
(C major)
RAGONDEラゴンド
Je viens à vous!私は あなたのところに行く!

LE COMTE ORYオリー伯爵
(la regardant)(彼女を見て)
Parlez, dame... trop respectable.話しなさい、婦人よ… あまりに尊敬すべき【≒ 大いに敬意を払われるべき】 【婦人よ】
(se retournant vrs les paysans)(農民たちの方に 戻って)
Vous aussi, mes enfants... a vos vœux favorableあなたたちにも、私の子たちよ… あなたたちの好意的な願いに
je puis tout accorder.私は すっかり 許すことができる【≒ 私は あなたたちが望む願いを あなたたちに叶えてあげられる】
Parlez; tous vos souhaits seront comblés.話しなさい; 【そうすれば】 すべての望みが 満たされるだろう。
Moderato
3/4
C major
CHŒUR合唱
(se pressant autour du comte)(伯爵の近くに 殺到して)
Ah! quel saint personnage!ああ! 何という聖者のような人物だ!
C'est le bienfaiteur du village.それは 村の慈善家【≒ 村に恩恵をもたらす人物】だ。

RAGONDEラゴンド
De grâce, parlons tous厚意によって、すべてを話そう
l'un après l'autre.一人が もう一人の後に【≒ 一人ずつ 順々に】

LE COMTE ORYオリー伯爵
Quel désir est le vôtre?あなたの願望は 何だ?
Que me demandez-vous?あなたは 私に 何を 求めているのか?

ALICE, RAGONDE, RAIMBAUD ET CHŒURアリス、ラゴンド、ランボと合唱

Parlons l'un après l'autre.話そう 一人が もう一人の後に【≒ 一人ずつ 順々に】
Silence! taisez-vous.沈黙を! 黙りなさい。
《ランスへの旅》 N. 1 Introduzione
e destri poi cercate
からの再利用。

[Stretta]

Vivace
3/4
G major
RAIMBAUDランボ
Moi je réclame私 私は 求める
pour que ma femme私の妻が
dans mon ménage私の夫婦において
soit toujour sage.いつも 貞淑である 【↑↑】ように と。

LE COMTE ORYオリー伯爵
C'est bien, c'est bien.結構、結構。

ALICEアリス
Moi je vous prie, 私 私は あなたに 頼む、
j'ai tant d'envie私は たくさんの切望を 持っている
qu'on me marie人が 私に 結婚させる【≒ 私が 結婚する】という【切望を】
au beau Julien.美しいジュリアンと。

LE COMTE ORYオリー伯爵
C'est bien, c'est bien.結構、結構。

RAGONDEラゴンド
Moi je demande私 私は 求めている
faveur bien grande,たいへんに大きな特別のはからいを、
qu'aujourd'hui mêmeまさに今日
l'époux que j'aime夫が その者を 私は 愛している
ici revienneここに 帰って来る 【↑↑】ように
finir ma peine;私の心痛を 終わらせるために;
que je l'obtienne,私が 彼を得ること、
c'est mon seul bien.それが 私の唯一の幸福だ。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Bien!結構!
(à part)(傍らで)
Qu'on bon ermite何と立派な隠者だ
qu'on sollicite,その者に 人は懇請している、
qu'un bon ermite何と立派な隠者だ
a de mérite!賞賛に値する!
(en retournat vers les jeunes filles)(若い娘たちの方に戻って)
Jeune fillette,若い少女が、
et bachelette,そして 若い娘が、
dans ma retraite私の隠れ家に
viendra ce soir.来るだろう 今晩。

RAIMBAUDランボ
Il faut nous rendre私たちは 必ず 行く
à l'ermitage.隠者の住処に。
Rendons hommage敬意を表そう
à son pouvoir.彼の力に。

CHŒUR合唱
Oui, bon ermite,そうだ、立派な隠者よ、
je sollicite私は 懇願する
faveur bien grande,たいへんに大きな特別のはからいを、
et je demandeそして 私は 求めている
de la tendresse,愛情について、
de la jeunesse,若さについて、
de la richesse:裕福さについて:
exaucez-nous.私たちの願いを聞き入れなさい。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Bonheur suprême:この上ない幸福だ:
en ma retraite,私の隠れ家に
jeune fillette若い少女が
viendra ce soir.来るだろう 今晩。

ALICE ET RAGONDEアリスとラゴンド
Oui, bon ermite,そうだ、立派な隠者よ、
je sollicite私は 懇願する
faveur bien grande,たいへんに大きな特別のはからいを、
et je demandeそして 私は 求めている
de la tendresse,愛情について、
de la jeunesse,若さについて、
de la richesse:裕福さについて:
exaucez-nous!私たちの願いを聞き入れなさい!

ALICE, RAGONDE, RAIMBAUD ET CHŒURアリス、ラゴンド、ランボと合唱
Tout le village村の人たちが 皆
vous rend hommage...あなたに 敬意を表している…
À l'ermitage隠者【の元】
nous irons tous.私たちは 皆 行くだろう。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Tout le village村の人たちが 皆
me rend hommage...私に 敬意を表している…
À l'ermitage隠者に
accourez tous.皆が 駆け付けている。

ALICE, RAGONDE, RAIMBAUDアリス、ラゴンドとランボtous, allons tous!皆、皆 行こう!

LE COMTE ORYオリー伯爵
tous, venez tous,皆、皆 来なさい。

CHŒUR合唱
tous, nous irons tous.皆、私たちは 皆 行くだろう。

LE COMTE ORYオリー伯爵
l'un après l'autre,一人が もう一人の後に【≒ 一人ずつ 順々に】
mes chers enfants.私の愛する子たちよ。

ALICE, RAGONDE, RAIMBAUD ET CHŒURアリス、ラゴンド、ランボと合唱<
Saint personnage,聖者のような人物よ、
tout le village村の人たちが 皆
vien rendre hommage敬意を表しに行く
à vos vertus.あなたの徳に。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Tout le village me rend hommage村の人たちが 皆 私に 敬意を表している
à l'ermitage accourez tous.隠者の住処に 皆 駆け付ける。
《ランスへの旅》 N. 1 Introduzione
Or state attenti
からの再利用。

pour que ma femme / dans mon ménage / soit toujour sage.
この文は3つの訳が考え得る。
第一に、ménage は 家事,掃除 の意味なので、
私の妻が 私の家事において 常に 賢明であるように。
しかしこれだと隠者に相談するほど困っているようには思われない。
第二に、ménage には 夫婦,世帯,所帯 の意味もあり、mon ménage は夫を家長とする 私の所帯 と採ることができる。また sage には(子どもや動物に対して用いるものではあるが) おとなしい,従順な (つまり お利口さん) の意味もある。そこで
私の所帯において 妻が 従順であるように。
と訳すこともできる。
第三に、ménage には 貞淑な の意味もあるので、
私の夫婦で 妻が 常に 貞淑であるように。
と訳すこともできる。
ここでは、最も隠者に相談すべき内容という点で、妻が 貞淑であるように で採った。

Récit


3/4
(C major)
RAGONDEラゴンド
De graâce, encore un mot. Il s'agit de madame.お願いだから、もう一言。夫人に関することだ。
tandis que nos preux chevaliers私たちの 勇敢な騎士たちが
que l'amour de la gloire enflamme,その者は 栄誉の愛を 燃え上がらせて【≒ 栄誉を 激しく欲して】
dans les champs musulmans moissonnent des lauriers,ムスリムの場で 栄誉を収穫する 【↑↑】間に、
leurs femmes et leurs sœurs, bien qu'à la fleur de l'âge,彼らの妻たちと 彼らの姉妹たちは、年齢の花にありながら【≒ 花盛りの年頃にもかかわらず】
ont juré comme moi, de passer leur veuvage誓った 私と同じように、単身生活を過ごすことを
dans le château de Formoutiers.フォルムティエの城の中で。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à part)(傍らで)
(Où tant d'attraits son prisonniers.)(そこでは たくさんの魅力が 囚人だ【≒ たくさんの美女が 閉じ篭められている】。)
(haute)(大声で)
C'est le château de la belle comtesse.それは 美しい伯爵夫人の城だ。

RAGONDEラゴンド
Dont le frère aux combats a suivi nos guerriers.その兄は 戦争へと 私たちの戦士たちに 付き従った。
Et cette noble chêtelaine,そして この気高い女城主は、
sur un mal inconnue qui cause notre peine経験したことのない苦しみについて それは 私たちの心痛を 引き起こしている
veut aujourd'hui vous consulter.今日 あなたに相談することを望んでる。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à part)(傍らで)
(Ah! quel bonheur!)(ああ! 何という幸福だ!)
(haut)(大声で)
Près de moi qu'elle vienne;私のそばに 彼女が来るように;
mon devoir est de l'assister.彼女を援助することは 私の義務だ。
J'espère, dans mon zèle, lui rendre le repos.私は期待している、私の熱意において、彼【= 義務 男性名詞】が 彼女に 安らぎを 戻すと。
Retournez auprès d'elle, allez à vos travaux!彼女の傍に 戻りなさい、あなたの仕事に 行きなさい。
Je vais, en attendant, dans mon humble chaumière,私は、今のところは、私の質素な藁ぶきの家で、
de ces jeunes beautés accueillir la prière.これらの若い美女たちの懇願を受け入れに 【↑】行く。
(le comte remonte à son ermitage)(伯爵は 彼の隠者の住処に 再び戻る)
en attendant
attendre 待つ のジェロンディフ(en + 現在分詞)で、直訳では 待ちながら だが、成句として それでもやはり,そうこうするうちに,さしあたり,今のところは といった意味がある。

Allegro
3/4
G major
ALICE, RAGONDE, RAIMBAUD ET CHŒURアリス、ラゴンド、ランボと合唱<
Saint personnage, tout le village聖者のような人物よ、村の人たちは 皆
vien rendre hommage à vos vertus.敬意を表しに行く あなたの徳に。

(Toutes les jeunes filles [suivent le comte]. dame Ragonde rentre au château. Les paysans sortent par le fond)(若い娘たちは 皆 [伯爵の後を追う]。ラゴンド夫人は城に戻る。農民たちは【舞台の】奥から 退場する)
Récit [Après l'introduction]
Allegro
4/4
(C major)
SCÈNE Ⅳ第4景 (Isolier, le gouverneur)(イゾリエ、教育係)

LE GOUVERNEUR教育係
Je ne puis plus long-temps voyager de la sorte.私は もうこれ以上 長い時間 このように 旅をすることはできない。

ISOLIERイゾリエ
Eh bien! reposons-nous sous ces ombrages frais.おやまあ! この涼しい木陰の下で 休もう。

LE GOUVERNEUR教育係
Pourquoi m'avoir forcé de quitter notre escorte?どうして 私に強いたのか 私たちの随員のもとを去るように?
et m'amener ici?そして ここに 来るように 【私に強いたのか】

ISOLIERイゾリエ
(à part, regardant à gauche)(傍らで、左を見て)
J'avais bien mes projets...私は たしかに 私の計画を 持っている【≒ 私には たしかに 計画がある】
Voilà donc le château de ma belle cousine!さて そこに 私の美しい従姉 いとこ の城が!
Si je pouvais l'entrevoir... quel bonheur!もし 私が 彼女を ちらっと見ることができるなら… 何という幸福だ!
Mais, loin de partager l'ardeur qui me domine,しかし、情熱を分け合うには遠く それは 私を 支配している【≒ 私を支配している情熱を 彼女が 分かち合うには ほど遠く】
Elle ferme à l'amour son castel et son cœur.彼女は 彼女の城を 閉めている 彼女の愛で そして 彼女の心【で】
(au governeur, qui s'est assis)(教育係に、その者は 座る)
Eh bien! monsieur le gouverneur,それでは! 教育係様、
reprenez-vous un peu courage?あなたは 少しの元気を 取り戻したか?

LE GOUVERNEUR教育係
Maudit emploi! maudit message!忌々しい職務だ!
Monseigner notre prince, auquel je suis soumis,私たちの君主様は、その者に 私は 従っている、
m'ordonne de chercher le comte Ory, son fils;私に 命じている 彼の息子、オリ―伯爵を捜すように;
ce démon incarné, mon élève et mon maître,この化身した悪魔は、私の生徒であり そして 私の主人である
qui, sans me consulter, hélas, loin de la courその者は、私に 相談することなく、残念ながら、宮廷から遠くへと
s'est avisé de disparaître.消え失せることを 思いついた。

ISOLIERイゾリエ
(à part)(傍らで)
Pour jouer quelque nouveau tour.何か新しい技 わざ【≒ 悪戯 いたずら】をするために。

LE GOUVERNEUR教育係
On le disait caché dans ce séjour.人は 言った 彼が 隠れていると この滞在地の中に【≒ 彼は この地に 身を潜めているそうだ】
Comment l'y découvrir... comment le reconnaître?どうやって そこで 彼を見付けるのか… どうやって 彼を 認めるのか?

ISOLIERイゾリエ
Vous devez tout savoir... D'être son gouverneurあなたは すべて 知っているはずだ… 彼【= オリ―伯爵】の教育係であるという
n'avez-vous pas l'honneur?名誉を あなたは 持っていないのか?

LE GOUVERNEUR教育係
Ah! quel honneur!ああ! 何という名誉だ!
Pour jouer quelque nouveau tour.
jouer un tour à qn 誰それに悪戯をする。

N. 2
[Air du Gouverneur]

Le gouverneur

CHŒUR
Andante
6/8
F major
LE GOUVERNEUR教育係
Veiller sans cesse,ひっきりなしに 寝ずの番をする、
craindre toujours常に 心配する
pour son altesse殿下のために
ou pour ses jours...あるいは 彼の日々【≒ 人生】のために…
Du gouverneur教育係の
d'un grand seigneur,偉大な主人の【教育係の】
voilà les profits et l'honneur.そら これが 利益だ そして 名誉だ。
Quel honneur d'être gouverneur!何という名誉だ 教育係であることへの!
À la guerre, comme à la chasse,戦争へ、狩りへと同じように
si quelque péril le menace,もし 何らかの危険が 彼を 脅すならば【≒ 彼に 何らかの危険が 迫る時には】
il faut partout suivre ses pas,どこにでも 彼の歩みに 付き従わなくてはならない、
dût-il vous mener au trépas!もし 彼が あなたを 死へと 必ず連れて行くとしても!
Veiller sans cesse,ひっきりなしに 寝ずの番をする、
trembler toujours,常に 酷く心配する、
pour son altesse殿下のために
ou pour ses jours...あるいは 彼の日々【≒ 人生】のために…
Du gouverneur教育係の
d'un grand seigneur,偉大な主人の【教育係の】
voilà les profits et l'honneur.そら これが 利益だ そして 名誉だ。
Quel honneur d'être gouverneur!何という名誉だ 教育係であることへの!
Et s'il est épris d'une belle,そして もし 彼が ある美女に 夢中になったならば、
il me faut courir après elle;私は 彼女の後を追い回さなければならない;
tout en lui faisant des sermons彼に 説教【≒ 忠告】をしながら
sur le danger des passions.熱中の危険について【≒ 恋に熱中することが危険であると】
Veiller sans cesse,休みなく、
courir toujours常に 駆け回る
pour son altesse殿下のために
ou ses amours.あるいは 彼の恋【のために】
Du gouverneur教育係の
d'un grand seigneur,偉大な主人の【教育係の】
Voilà les profits et l'honneur.そら これが 利益だ そして 名誉だ。
Quel honneur d'être gouverneur!何という名誉だ 教育係であることへの!
21小節から23小節まで、省略可記号 Vi--de が付けられている。

47小節から49小節まで、省略可記号 Vi--de が付けられている。

ou pour ses jours...
従来の楽譜では ou pour mes jours... 私の人生のために… になっているが、クリティカルエディションではこの通り。

Et s'il est épris d'une belle,
二度目に歌われるときは Quand il est épris d'une belle, と歌詞が少し変わる。

dût-il vous mener au trépas!
条件法現在第二形。

tout en lui faisant des sermons
tout + ジェロンディフ[en + 現在分詞] ―しながら,―ではあるが

Allegretto
3/4
A major
(SCÈNE Ⅴ)第5景
(Les précédens, paysans, paysannes, sortant de l'ermitage)(前の景の人たち、農夫たち、農婦たち、隠者の住処から出て来て)

CHŒUR合唱
Vous, notre appuiあなたに、私たちの支え【であり】
et notre ami,そして 私たちの友【である あなたに】
bien grand merci!とてもたくさんの感謝の言葉を!
J'irai toujours vous voir,私は 常に【≒ これからもずっと】 あなたに 会いに行くでしょう、
Ô bon ermite!ああ 立派な隠者よ!
Ô saint prophète,ああ 聖なる預言者よ、
soyez béni!幸いであるように!
puissant prophète,力がある預言者よ、
soyez béni!幸いであるように!
Jeune fillette若い少女は
a, grâce à lui,彼のおかげで
fortune faite,財を成し 【↑】た、
et bon mari.そして 素敵な夫を。

LE GOUVERNEUR教育係
(à part, regardant les jeunes filles)(傍らで、若い娘たちを見て)
Je vois paraître私は 現れているのを見ている
minois joli;かわいい はつらつとした顔が;
Ah! mon cher maîtreああ! 私の 大切な主人が
doit êtreいるに違いない
près d'ici.ここの近くに。

CHŒUR合唱
(l'apercevant)(彼を 見かけて)
Un étranger! un voyageur!外国人【≒ 他所から来た人】だ! 旅人だ!
Pour le village, ah! quel honneur!村に向かって、ああ! 何という名誉だ!
Pour nous, ah! quel honneur!私たちに向かって、ああ! 何という名誉だ!
Salut seigneur,ごきげんよう 貴君よ、
salut beau voyageur,ごきげんよう 立派な旅人よ、
qui nous procure un tel honneur!その者は 私たちに 手に入れさせる それほどの名誉を!

LE GOUVERNEUR教育係
Jeunes fillettes,若い少女たちよ、
de grâce dites-moiお願いだから 私に言いなさい
depuis quel temps dans ce villageどれくらいの時間から この村に
ce bon ermite est-il venu?その立派な隠者が 来たのか?

CHŒUR合唱
Voilà huit jours;8日間になる;

LE GOUVERNEUR教育係
Qu'ai-je entendu! voilà huit jours私は 何を 聞いたのか! 8日間になる

CHŒUR合唱
pas davantage,それより多くではない【≒ それより前にはいなかった】

LE GOUVERNEUR教育係
que notre maître a disparu,私たちの主人が 姿を消して、
c'est bien huit jours,まさに 8日間だ、

CHŒUR合唱
oui, c'est huit jours;そうだ、それは8日間だ;

LE GOUVERNEUR教育係
vraiment huit jours,本当に 8日間だ、

CHŒUR合唱
pas davantage.それより多くではない【≒ それより前にはいなかった】

LE GOUVERNEUR教育係
voilà huit jours;8日間になる;
que notre maître a disparu.私たちの主人が 姿を消して。
《ランスへの旅》 N. 4 Aria Milord
Come dal ciel
からの再利用。

Jeune fillette / a, grâce à lui, / fortune faite,
faire fortune 財産を築く。

Allegro
2/2
F major
LE GOUVERNEUR教育係
Cette aventureこの思いがけない出来事は
fort singulièreひどく奇妙な【出来事は】
cache à mes yeux私の目に 隠している
quelque mystère:何か秘密を:
ce bon ermite,その 立派な隠者は
que l'on révère,その者を 人【= 彼ら】は 彼を 崇めている、
au fond de l'âme魂の底では
est-il sincère?誠実なのか?
Lui qu'on adore,彼は その者を 人【= 彼ら】は 崇拝している、
lui qu'on implore,彼は その者に 人【= 彼ら】は 懇願している、
serait-ce encoreまたしても
le comte Ory?オリ―伯爵 【↑】かもしれないのか?
Ruse anodine,たいしたことのない策略め、
je te devine:私は お前 【= 策略】を 見抜いている【≒ くだらない悪知恵なぞ 私は お見通しだ】
oui, j'en suis sûr,そうだ、私は それを 確信している、
c'est encore lui.それは またしても 彼だ。

CHŒUR合唱
Mai qu'a-t-il donc,ところで どうしたのか、
ce voyageur?この旅人は?
il n'a pas l'air彼は
de bonne humeur.上機嫌の 【↑】ようには見えない【≒ 機嫌が悪そうだ】
Il faut nous éloigner aussi,私たちも 行くべきだ、
sortons d'ici, partons d'ici!ここから 出よう、ここから 立ち去ろう。
《ランスへの旅》 N. 4 Aria Milord
Dell'alma diva
からの再利用。

il n'a pas l'air / de bonne humeur.
avoir l'air de - ―のように見える。

Récit [Après l'Air du gouverneur]

4/4
(C major)
LE GOUVERNEUR教育係
(retenant Alice qui reste la dernière)(アリスを 引き留めて その者は 最後の女に 留まっている【≒ 最後尾にいるアリスを 引き留めて】)
Cet ermite, ma belle enfant,その隠者は、私の美しい子よ、
où pourrais-je le voir?どこで 彼に 会えそうか?

ALICEアリス
Ici même... à l'instant.ちょうど ここで… すぐに。
Il va venir... madame la comtesse彼は 来るところだ… 伯爵夫人様が
a désiré le consulter.彼に 相談することを 望んだ。

ISOLIERイゾリエ
Vraiment!本当か!

ALICEアリス
Sur un mal inconnu qui l'accable et l'oppresse.経験したことのない苦しみについて それは 彼女を 悩ませ そして 彼女の 胸を締め付けている。

LE GOUVERNEUR教育係
Merci, ma belle enfant.ありがとう、私の美しい子よ。
Il doit donc venir dans l'instant!つまりは 彼は ここに すぐに 来るに違いない!

ISOLIERイゾリエ
Elle va venir dans l'instant!彼女【= 伯爵夫人】は すぐに ここに来るところだ!

LE GOUVERNEUR教育係
(à part)(傍らで)
Cette belle Comtesse au minois séduisant!...その美しい伯爵夫人だ 魅力的な はつらつとした顔の!…
ceci me semble encore une preuve plus forte.これが 私には 思われる なおいっそう さらに 強い証拠だと。
(à Isolier)(イゾリエに)
Attendez-moi... je vai retrouver notre escorte.私を 待ちなさい… 私は 私たちの随員を 再び見付けに行く。
(à part)(傍らで)
Puis ensemble nous reviendronsそれから 一緒に 私たちは 戻って来るだろう
pour confirmer ou bien dissiper mes soupçons.確認するために あるいは 大いに 消し去る【ために】 私の疑いを。
Allegro
4/4
(C major)
(SCÈNE Ⅵ)(第6景)
(Isolier, seul, regardant du côté du château.)(イゾリエ、一人で、城の方を見て)
6小節

4/4
(C major)
ISOLIERイゾリエ
Je vais revoir le beauté qui m'est chère...私は 美人に 再び会うところだ その者は 私にとって 親愛だ【≒ 私の愛する美女に もうすぐまた会える】
mais comment désarmer cette vertu si fière?しかし どのように 無防備にするのか その貞節を とても誇りを持った?
Comment en ma faveur la toucher aujourd'hui?どのように 私の好意に 彼女に触れるのか 今日【≒ どうやって 今日 私に好意を抱くように 彼女の心を動かすというのか】
Si cet ermite, ce bon père, voulait m'aider... oh non! ce serait trop hardi.もし あの隠者が、あの立派な師が、私を助けるなら… ああ いいや! それは あまりに 大胆過ぎる。
Moderato
4/4
(C major)
Allons!.. ne sui-je pas page du ccomte Ory?さあ!… 私は オリー伯爵の小姓ではないのか?
Andantino
4/4
(C major)
(SCÈNE Ⅶ)(第7景)
(Isolier, le comte Ory, en ermite)(イゾリエ、オリー伯爵、隠者の服を着て)
4小節

4/4
(C major)
ISOLIERイゾリエ
Salut, ô vénérable ermite!ごきげんよう、ああ 尊敬すべき隠者よ!

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à part, avec un geste de surprise)(傍らで、驚きの身振りをもって)
C'est mon page!... sachons le dessein qu'il médite.これは 私の小姓だ!… 意図を知ろう それを 彼が 目論んでいる。
(haut)(大声で)
Qui vers moi vous amène, ô charmant Isolier?誰が 私の元へと あなたを 連れて来ているのか、かわいいイゾリエよ?
Allegro
4/4
(C major)
ISOLIERイゾリエ
(à part)(傍らで)
Il me connaît!彼は 私を 知っている!

LE COMTE ORYオリー伯爵
Tel est l'effet de ma science.これが 私の知恵の結果だ。

ISOLIERイゾリエ
Un aussi grand savoir ne peut trop se payer.それほど偉大な知識は それほど支払われることができない【≒ そのような偉大な知識に 十分に支払うことはできない ≒ そのような偉大な知識には いくら支払っても足りることはない】
(lui donnant une bourse)(彼に 財布を 差し出して)
Et cette offrande est bien faible, je pense.そして この寄付は たしかに 僅かだ、私は思う。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(prenant la bourse)(財布を取って)
N'importe... à moi vous pouvez vous fier.何でも【かまわない】… 私を あなたは 信用することができる。
Parlez, parlez, beau page.話しなさい、話しなさい、美しい小姓よ。
N. 3
Duo [Isolier - Ory]

Isolier
Le comte Ory
Allegro moderato
4/4
A major
ISOLIERイゾリエ
Une dame de haut parageある夫人が 高い血統の
tient mon cœur en un doux servage,私の心を 保っている 甘い隷属に【≒ ある高貴な家柄の夫人に 私の心は 夢中になっている】
et je brûle pour ses attraits.そして 私は 燃え上っている 彼女の魅力に。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Je n'y vois point de mal... après!私は そこに 少しも 悪を 見出していない【≒ 何も 悪いことはない】… それで!

ISOLIERイゾリエ
Je croyais avoir su lui plaire;私は 信じていた 知っていたと 彼女に好かれることを【≒ 私は 彼女に好かれる術を心得ていると 信じていた】
et pourtant son cœur trop sévèreだが しかし あまりに 厳しい 彼女の心は
se dérobe à mes projets.私の計画から 逃れている。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Je n'y vois pas de mal... après!私は そこに 少しも 悪を 見出していない【≒ 何も 悪いことはない】… それで!

ISOLIERイゾリエ
Et jusqu'au retour des son frère,そして 彼女の兄の帰還までに、
qui des croisés suit la bannière,その者は 十字軍兵士たちの軍旗に 付いて行っている、
aucun amant, aucun mortelいかなる愛人【≒ 恋人の男】も、いかなる人間【≒ 男】
ne peut entrer dans ce castel.この城の中に 入ることはできない。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à part)(傍らで)
Celui de la comtesse... ô ciel!伯爵夫人のもの【= 城】だ… ああ 天よ!

ISOLIERイゾリエ
Pour y pénétrer, comment faire?そこに 侵入するために、どうするか?
J'avais bien un moyen fort beau;私は まさに 方策を持っていた 大いに見事な;
mais je le crois trop téméraire.しかし 私は それは あまりにも 無謀だと 思っている。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Partez... parlez... beau jouvenceau.話しなさい… 話しなさい… 美しい若者よ。

ISOLIERイゾリエ
Je voulais, d'une pèlerine私は 望んだ、巡礼の女の
prenant la cape et le manteau,袖無し外套を身に着けて そして コートを【身に着けて】
m'introduire dans ce château.あの城に 忍び込む ことを。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Bien! bien... le moyen est nouveau.いいぞ! いいぞ… その方策は 新しい。
(à part)(傍らで)
On peut s'en servir, j'imagine.【= 私】は それを 利用できる と、私は 想像する【≒ その手は 私にも 使えると思う】
(au page)(小姓に)
Noble page du ccomte Ory,オリー伯爵の 高貴な小姓よ、
serez un jour digne de lui!【あなたは】いつか 彼【= オリー伯爵】に相応しくなるだろう!
(à part)(傍らで)
Voyez donc, voyez donc le traître!そら 見てみなさい、そら 裏切者を見てみなさい!
Oser jouter contre son maître!図々しくも 彼の主人と 競争している!

ISOLIERイゾリエ
(à part)(傍らで)
A l'espoir je me sens renaître:希望に 私は 生き返るような気がする:
quel bon moyen, quel coup de maître...何という 良い方策だ、何という 名人の一撃【≒ 見事な腕前】だ…

LE COMTE ORYオリー伯爵
Mais je le tiens, et l'on verraだが 私は 彼【= イゾリエ】を 握っている【≒ 確保している】、そして 人は それ【= 次文のqui節】を 見るだろう
qui de nous deux l'emportera.私たち二人のうちのその者が 彼女【= 伯爵夫人】を獲得するであろうことを【≒ そして 二人のうちのどちらかが 伯爵夫人の心を獲るのが 見られることだろう】

ISOLIERイゾリエ
oui, je le tiens; et vois déjàそうだ、私は 彼【= オリー伯爵】を 握っている【≒ 確保している】; そして 【私は】 既に 見ている
que son pouvoir me servira.【= オリー伯爵】の力が 私に 役立つであろう ことを。
【(オリー伯爵に)】
Mais d'abord ce projet réclameだが 何よりも この計画は 必要としている
vos soins, pour être exécuté.あなたの注意を、実行されるために【≒ この計画を実行するには あなたの注意が必要だ】

LE COMTE ORYオリー伯爵
Comment?どうやって?

ISOLIERイゾリエ
Par cette noble dameあの高貴な夫人によって
vous allez être consulté.あなたは 相談されるところだ【≒ あなたは あの高貴な夫人から 相談を受けるところだ】

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à part)(傍らで)
C'est qu'il sait tout, en vérité.【= イゾリエ】は すべてを 知っているのだな、実は。

ISOLIERイゾリエ
Dites-lui que l'indifférence彼女に 言いなさい 冷淡が
cause, hélas! son tourment fatal.引き起こす、ああ! 彼女の 致命的な 激しい苦しみを 【↑】と。

LE COMTE ORYオリー伯爵
J'entends! j'entends... ce n'est pas mal.私は 分かっている! 私は 分かっている>… それは 悪くない。

ISOLIERイゾリエ
Et pour guérir à l'instant même,そして まさにその瞬間に【≒ すぐさま】 治すためには、
dites-lui... qu'il faut qu'elle m'aime.彼女【= 伯爵夫人】に言いなさい… 必要がある と 彼女は 私を愛する。

LE COMTE ORYオリー伯爵
J'entends! j'entends... ce n'est pas mal.私は 分かっている! 私は 分かっている… それは 悪くない。
Je lui dirai qu'il faut qu'elle aime...私は 彼女に 言うだろう 必要がある と 彼女【= 伯爵夫人】は愛する…
(à part)(傍らで)
Mais un autre que mon rival...だが 私の恋敵【= イゾリエ】とは別の男だ…

ISOLIERイゾリエ
Dites-lui bien qu'il faut qu'elle aime.彼女【= 伯爵夫人】に よく 言いなさい、必要がある と 彼女は 愛する。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(au page)(小姓に)
Noble page du ccomte Ory,オリー伯爵の 高貴な小姓よ、
serez un jour digne de lui!【あなたは】いつか 彼【= オリー伯爵】に相応しくなるだろう!
(à part)(傍らで)
Voyez donc, voyez donc le traître!そら 見てみなさい、そら 裏切者を見てみなさい!
Oser jouter contre son maître!図々しくも 彼の主人と 競争している!

ISOLIERイゾリエ
(à part)(傍らで)
A l'espoir je me sens renaître:希望に 私は 生き返るような気がする:
quel bon moyen, quel coup de maître...何という 良い方策だ、何という 名人の一撃【≒ 見事な腕前】だ…
oui, je le tiens; et vois déjàそうだ、私は 彼【= オリー伯爵】を 握っている【≒ 確保している】; そして 【私は】 既に 見ている
que son pouvoir me servira.【= オリー伯爵】の力が 私に 役立つであろう ことを。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Mais je le tiens; et l'on verraだが 私は 彼【= イゾリエ】を 握っている【≒ 確保している】; そして 人は 彼【= 次文のqui】を 見るだろう
qui de nos deux l'emportera.私たち二人のうちのその者は 彼女【= 伯爵夫人】を獲得するであろう【≒ そして 二人のうちのどちらかが 伯爵夫人の心を獲るのが 見られることだろう】
Une dame de haut parage
parage 血統,身分,社会階級

quel bon moyen, quel coup de maître...
coup de maître 見事な腕前。

Voyez donc, voyez donc le traître!
これは観客に対しての呼びかけの命令文だろう。

Marche [et] Récit [Après le Duo]
Marche

Andante
4/4
F major
(SCÈNE Ⅷ)(第8景)
(Les précédens; la comtesse, dame Ragonde, toutes les femmes, sortant du château; dans le fond, paysans et paysannes, vassaux de la comtesse. Marche etc.)(前の景の人たち; 伯爵夫人、ラゴンド夫人、すべての女性たち、城から出て来て; 奥に、農夫たちと農婦たち、伯爵夫人の臣下たち。行進曲 等々。)

RAIMBAUDランボ
C'est la comtesse.あれは 伯爵夫人だ。
Songez que la temps presse, 急ぎの時間を 忘れずにいなさい【≒ 時間が差し迫っているのを 忘れぬように】
car dans ces lieux, seigneur,なぜなら この場所で、主人よ、
quelqu'un vous cherche.誰かが あなたを 捜している 【↑】からだ。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Qui?誰が?

RAIMBAUDランボ
C'est votre gouverneur.それは あなたの 教育係だ。

Récit


4/4
F major
LA COMTESSE伯爵夫人
(apercevant Isolier)(イゾリエを 見かけて)
Isolier dans ces lieux!イゾリエが この場所に!

ISOLIERイゾリエ
Sur le mal qui m'agite苦しみについて それは 私に 揺さぶりをかける
je venais consulter aussi le bon ermite.私もまた 相談しに来た 立派な隠者に。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Je dois à tous les malheureux私は あらゆる不幸な人たちに しなくてはならない
mes consolations, mes conseils et mes vœux.私の慰めを、私の助言を そして 私の願い【≒ 祈り】を。
N. 4
[Air de la comtesse]

La comtesse

Isolier
Le comte Ory
CHŒUR
Andante
6/8
E-flat major
LA COMTESSE伯爵夫人
(s'approchant du ccomte Ory)(オリー伯爵に近づいて)
En proie à la tristesse悲しさの餌食で【≒ 憂鬱に 襲われて】
ne plus goûter d'ivresse,もう 陶酔を 味わっていない、
au sein de la jeunesse若い時分の懐に【≒ 若さの只中で】
souffrir, gémir sans cesse...苦しい思いをする、呻く 絶えず…
voilà quel este mon sort.それが 私の運命だ。
Se flétrir en silence,黙って 萎れる
n'espérer que la mort...死しか 期待していない…
hélas, quelle souffrance.悲しいこと、何という苦悩だ。
Ô peine horrible!ああ 物凄い 苦痛だ!
Vous que l'on dit sensible,あなたよ その者を 人は 情にもろい と言う、
daignez, s'il est possible,もし それが 可能なら、
guérir le mal terrible, ah!癒し 【↑】なさい ひどい苦しみを、ああ!
dont je me sens mourir!それによって 私は 自分が死ぬのを感じている!
Soulagez ma douleur,私の苦悩を 減らしなさい、
rendez-moi le bonheur!私に 幸福を 取り戻させなさい!

CHŒUR合唱
Calmez tant de souffrance,静めなさい それほどたくさんの苦しみを、
Calmez tant de douleur!静めなさい、それほどたくさんの苦しみを!

LA COMTESSE伯爵夫人
Faut-il mourir de ma souffrance?私の苦悩で 死ななくてはならないのか?

CHŒUR合唱
et que votre scienceそして あなたの知恵が
lui rende le bonheur!彼女に 幸福を 取り戻させる 【↑】ように。

LA COMTESSE伯爵夫人
hélas, plus d'espérance!何ということだ、もはや 希望は ない!

CHŒUR合唱
Calmez tant de douleur!静めなさい、それほどたくさんの苦しみを!

LA COMTESSE伯爵夫人
Ciel!天よ!
《ランスへの旅》 N. 2 Aria Contessa
Partir, oh ciel! desio
からの再利用。

41小節から67小節まで28小説、省略可記号 Vi--deあり。

En proie à la tristesse
être en proie a qc (激しい感情)に襲われる。

daignez, s'il est possible, / guérir le mal terrible, ah!
daigner + 不定詞 の場合の daigner は、目上の人から ―してくださる という丁寧な言い方。

hélas, plus d'espérance!
plus d'espérance この場合の plus de は、non plus de から non が省略されたもの。

Allegro
4/4
C major
ISOLIERイゾリエ
(à part au comte)(傍らで 伯爵に)
Vous avez entendu sa touchante prière!あなたは 聞いたな 彼女の 涙ぐましい懇願を!
Voici le vrai moment, songez à moi, bon père!これは 真の瞬間だ【≒ 今こそ まさに その時だ】、私のことを考えなさい、立派な師よ!

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à la comtesse)(伯爵夫人に)
Si dans mon assistanceもし 私の援助に
vous avez confiance,あなたが 信頼を持つのであれば【≒ もし あなたが 私をの助力を 信用してくれるなら】
je puis, en conscience,私は、良心に基づいて、
guérir votre douleur.あなたの苦痛を 癒すことが 【↑】できる。
Du mal qui vous dévore苦しみの それは あなたを 苛んでいる
la source est dans le cœur:原因は 心の中にある:
aimez, aimez encore愛しなさい、また 愛しなさい
pour renaître au bonheur!幸福を 取り戻すために!

LA COMTESSE伯爵夫人
D'un éternel veuvage永遠の独り身暮らしの
un serment fut le gage.誓約は 証拠だった【≒ 生涯 独り身を貫くという誓いは 愛の証しだった】
Et j'irais le trahir?それにもかかわらず 私は それに 背こうとするだろう と?
Plutôt, plutôt mourir.それよりは、それよりは 死ぬ。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Le ciel vous en dégage.天は あなたを そこから 解放する。
Il ordonne que de vous jours【= 天】は 命じている あなたの日々【≒ 人生】
la flamme se rallume炎が 再燃する 【↑】ように と
au flambeau des amours.愛の松明 たいまつ を用いて。
73小節から123小節まで(この箇所全て)に、省略可記号 Vi--deが付けられている。


Voici le vrai moment, songez à moi, bon père!
songez à moi は従来はしばしば soyez à moi になっているが、Bärenreiter のクリティカルエディションでは songez < songer である。

D'un éternel veuvage / un serment fut le gage.
オペラの台本では明言されていないが、伯爵夫人は若くして夫を亡くした未亡人であると思われる。


4/4
E-flat major
LA COMTESSE伯爵夫人
Céleste providence!天の摂理【≒ 神の導き】よ!
je te bénis de ta clémence!私は 君【≒ 天の摂理】に 感謝する 君の寛容について!
《ランスへの旅》 N. 2 Aria Contessa
Grazie vi rendo, oh Dei!
からの再利用。

Andante
4/4
E-flat major
O bon ermite,ああ 立派な隠者よ、
votre mériteあなたの徳功は
en mes beaux jours私の素晴らしい日々【≒ 人生】において
vivra toujours.生きるだろう いつまでも【≒ いつまでも 私の人生に 生き続けるだろう】

ISOLIER et LE COMTE ORYイゾリエ と オリー伯爵
toujours,いつまでも、

LA COMTESSE伯爵夫人
Votre mériteあなたの徳功は
à mon secours私の救いに
viendra toujours.来るだろう いつも【≒ いつでも 私を 救ってくれるだろう】
《ランスへの旅》 N. 2 Aria Contessa
a tal favor
からの再利用。

Allegro
4/4
E-flat major
(à part)(傍らで)
Isolier, que ta présenceイゾリエよ、何と 君の存在が
me fait naître un doux émoi!私に 甘い興奮を 生じさせていることか!
cher Isolier! je veux t'aimer,愛するイゾリエよ! 私は 君を 愛したい、
je veux n'aimer que toi!私は 君しか 愛したくない!

CHŒUR合唱
(à part)(傍らで)
On voit que sa parole【= 私たち】は 見ている 彼【= 行者 = オリー伯爵】の言葉が
paraît la ranimer,彼女に 生気を取り戻させているように 見える 【↑】のを、
Le mal qui la désole苦しみは それは 彼女を ひどく悲しませている
commence à se calmer.静まり始めている。

LA COMTESSE伯爵夫人
Déjà je sens既に 私は 感じている
les feux brûlants燃える火が
de la jeunesse若さの【燃える火が】
par la tendresse愛情によって
se rallumer!再燃しているのを!
《ランスへの旅》 N. 2 Aria Contessa
a tal favor quest'anima
からの再利用。

Andante
4/4
E-flat major
O bon ermite,ああ 立派な隠者よ、
votre mériteあなたの徳功は
en mes beaux jours私の素晴らしい日々【≒ 人生】において
vivra toujours.生きるだろう いつまでも【≒ いつまでも 私の人生に 生き続けるだろう】

ISOLIER ET LE COMTE ORYイゾリエ と オリー伯爵
toujours,いつまでも、

LA COMTESSE伯爵夫人
Votre mériteあなたの徳功は
à mon secours私の救いに
viendra toujours.来るだろう いつも【≒ いつでも 私を 救ってくれるだろう】
Allegro
4/4
E-flat major
(à part)(傍らで)
Isolier, que ta présenceイゾリエよ、何と 君の存在が
me fait naître un doux émoi!私に 甘い興奮を 生じさせていることか!
Cher Isolier! je veux t'aimer,愛するイゾリエよ! 私は 君を 愛したい、
je veux n'aimer que toi!私は 君しか 愛したくない!

CHŒUR合唱
Oui, commence à se calmer.そうだ、静まり始めている。
le mal commence à se calmer.苦しみは 静まり始めている。
Récit [Après l'Air de la comtesse]

2/2
(C major)
ISOLIERイゾリエ
(bas au comte)(小声で 伯爵に)
C'est bien... je suis content.これは良い【≒ これで良し】… 私は 満足している。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à la comtetesse)(伯爵夫人に)
Encore un mot, de grâce.もう一言、お願いだから。
(à demi voix)(半分の声で)
D'un grand péril qui vous menace大きな危険について それは あなたを 脅している
je dois vous prévenir!!.. il faut vous défier...私は あなたに 知らせなくてはならない!… 怪しまなければならない…

LA COMTESSE伯爵夫人
De qui?誰について?

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à voix basse)(小声で)
De ce jeune Isolier.あの 若い イゾリエについて。

LA COMTESSE伯爵夫人
Ô ciel!ああ 天よ!

LE COMTE ORYオリー伯爵
(de même)(同様に)
C'est le fidèle pageそれは 忠実な小姓だ
de ce terrible comte Ory,恐ろしい オリー伯爵の、
dont les galants exploits... Mais ici... devant lui,その【= オリー伯爵の】色恋に関する偉業は… だが ここで… 彼【= イゾリエ】の前では、
Je n'oserais en dire davantage.私は それについて さらに 思い切って言いはしない。
Entrons dans ce castel.あの城に 入ろう。

LA COMTESSE伯爵夫人
Mon cœur en a frémi!...私の心は そのせいで 震えた!…
(au comte)(伯爵に)
Ô mon sauveur!.. ô mon unique appui!ああ 私の救済者よ!… ああ 私の唯一の支えよ!
最初の1小節に省略可記号 Vi--de が付いている。
Moderato
2/2
(C major)
venez, venez!来なさい、来なさい!

(Elle prend le comte par la main, et va l'entraîner dans le château. - Toutes les dames les suivent. - Le ccomte Ory a déjà le pied sur le pont-levis, et en raillant Isolier, fait un geste de joie. - En ce moment entre le gouverneur, suivi de tous les chevaliers de son escorte)(彼女は 伯爵を 手で 掴み、そして 彼を 城へと 引っ張って行く。―すべての婦人たちが 彼らの後に付いて行く。―オリー伯爵は 既に 跳ね橋の上で 片足を持っている【≒ 跳ね橋に 入りかかっている】、そして イゾリエをからかいながら、喜びの仕草をする。―その瞬間に 教育係が入って来る、彼の随員の騎士たち全員に 付き従えられて)
(Récit の通しで)23小節から30小節まで省略可記号 Vi--de が付いている。
Allegro moderato
2/2
(C major)
(SCÈNE Ⅸ)第9景
(Les précédens, le gouverneur, chevaliers, etc.)(前の景の人たち、教育係、騎士たち、などなど)

LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERS教育係と騎士たちの合唱
Nous saurons bien le reconnaître.私たちは 彼を よく 見分けることができるだろう。
Avançons...進もう…
Récit


2/2
(C major)
LE GOUVERNEUR教育係
(apercevant Raimbaud qui est en paysan)(ランボーを見かけて その者は 農夫の服を着ている)
Qu'ai-je vu!.. C'est Raimbaud,私は 何を 見たのだ!… あれは ランボーだ。
le confident, l'ami de notre maître!私たちの主人の相談相手、友だ!

RAIMBAUDランボ
Taisez-vous donc, ne dites mot.おい 黙りなさい、一言も 言うでない。

LE GOUVERNEUR教育係
Plus de doute, plus de mystère,もう疑いのない、もう謎のない【≒ 迷いなく】
(montrant l'ermite)(隠者を 指し示して)
c'est monseigneur! c'est lui!あれは 主人だ! あれは 彼だ!
Plus de doute, plus de mystère,
この場合の plus de は、non plus de から non が省略されたもの。

Allegro
2/2
(C major)
LE COMTE ORYオリ―伯爵
(à voix basse)(小声で)
Misèrable! crains ma colère.ろくでなしめ! 私の怒りを 恐れろ。

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
(s'inclinant)(お辞儀をして)
C'est le comte Ory!これは オリー伯爵だ!

TOUTES LES FEMMESすべての女性たち
(s'éloignant avec effroi et se réfugiant dans un coin)(恐怖をもって 遠ざかって そして 片隅に 非難して)
Le comte Ory!オリー伯爵だって!

LE COMTE ORYオリー伯爵
Eh bien! oui... le voici!それでは! そうだ… 彼は ここに!
N. 5
Final [Ⅰ]

La comtesse
Isolier
Alice
Ragonde
Le comte Ory
Gérard
Mainfroy
Raimbaud
Le gouverneur
Coryphées
CHŒUR
Andante maestoso
2/4
A major
LA COMTESSE DE FORMOUTIER, ISOLIER, ALICE, RAGONDE, 2 CORYPHÉES, LE COMTE ORY, GÉRARD, MAINFROY, 2 CORYPHÉES, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR, CHŒUR DU COMTE ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITE伯爵夫人,イゾリエ,アリス,ラゴンド,二人の合唱団員,オリ―伯爵,ジェラール,メンフロワ,二人の合唱団員,ランボー,教育係,伯爵の合唱,農夫たちと侍女たちのの合唱
Ciel!天よ!

LA COMTESSE伯爵夫人
Ô terreur! ô peine extrême!ああ 恐怖だ! ああ 極度の苦痛だ!
Quel indigne stratagème!なんという 非難されるべき策略だ!
Mon cœur bat d'effroi, d'horreur.私の心臓は 動悸を打っている 恐怖で、恐ろしさで。
Ah! quel effroi saisit mon cœur!ああ! 何と 恐怖が 私の心を 掴んでいる【≒ 襲っている】ことか!

ISOLIER ET RAGONDEイゾリエとラゴンド
Ô terreur! ô peine extrême!ああ 恐怖だ! ああ 極度の苦痛だ!
Mon cœur bat d'effroi, d'horreur.私の心臓は 動悸を打っている 恐怖で、恐ろしさで。

ALICEアリス
Ô terreur! ô peine extrême!ああ 恐怖だ! ああ 極度の苦痛だ!
Quel indigne stratagème!なんという 非難されるべき策略だ!

RAGONDEラゴンド
Ô terreur! ô peine extrême!ああ 恐怖だ! ああ 極度の苦痛だ!
Mon cœur bat d'effroi, d'horreur.私の心臓は 動悸を打っている 恐怖で、恐ろしさで。
Ah! quel effroi saisit mon cœur, ciel!ああ! 何と 恐怖が 私の心を 掴んでいる【≒ 襲っている】ことか、天よ!

CORYPHÉE SOPRANO 2合唱団員 ソプラノ2
Ô terreur! ô peine extrême!ああ 恐怖だ! ああ 極度の苦痛だ!
Quel indigne stratagème!なんという 非難されるべき策略だ!
Ah! quel effroi!ああ! 何という恐怖だ!

LE COMTE ORYオリー伯爵
plus d'espoir! ô peine extrême!もう 希望は ない! ああ 極度の苦痛だ!
Tout s'oppose à mon bonheur.すべてが 私の幸福を 妨げている。
Ah! l'espoir me fuit encore, ciel!ああ! 希望は またも 私から 逃げている、天よ!

GÉRARDジェラール
plus d'espoir! ô peine extrême!もう 希望は ない! ああ 極度の苦痛だ!
On connaît son stratagème,人は 知っている【≒ 経験している】 彼の策略を、
le dépit augmente encore.悔しさが もっと 増している。
Son ardeur, ciel!私は 焼けつくような暑さだ、天よ!

CORYPHÉE BASS 2合唱団員 バス2
plus d'espoir! ô peine extrême!もう 希望は ない! ああ 極度の苦痛だ!
Tout s'oppose à son bonheur.すべてが 彼の幸福を 妨げている。
Ciel!天よ!

RAIMBAUDランボー
plus d'espoir! ô peine extrême!もう 希望は ない! ああ 極度の苦痛だ!
Tout s'oppose à son bonheur.すべてが 彼の幸福を 妨げている。

LE GOUVERNEUR教育係
Ô bonheur! ô joie extrême!ああ 幸福だ! ああ 極度の歓喜だ!
On connaît son stratagème!人は 知っている【≒ 経験している】 彼の策略を!
Tout s'oppose à son bonheur.すべてが 彼の幸福を 妨げている。

LA COMTESSE DE FORMOUTIER, ISOLIER, ALICE, RAGONDE ET CORYPHÉES伯爵夫人,イゾリエ,アリス,ラゴンドと合唱団員 ソプラノたち
Ô terreur! ô peine extrême!ああ 恐怖だ! ああ 極度の苦痛だ!
Mon cœur bat d'effroi, d'horreur.私の心臓は 動悸を打っている 恐怖で、恐ろしさで。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Plus d'espoir! ô peine extrême!もう 希望は ない! ああ 極度の苦痛だ!
Tout s'oppose à mon bonheur.すべてが 私の幸福を 妨げている。

GÉRARD, MAINFROY, CORYPHÉES, RAIMBAUD ET CHŒUR DU COMTEジェラール,メンフロワ,合唱団員たち,ランボーと伯爵の合唱
Plus d'espoir! ô peine extrême!もう 希望は ない! ああ 極度の苦痛だ!
Tout s'oppose à son bonheur.すべてが 彼の幸福を 妨げている。

LE GOUVERNEUR教育係
Ô plaisir!, ô joie extrême!ああ 喜び幸運だ! ああ 極度の歓喜だ!
Tout s'oppose à son ardeur.すべてが 彼の熱意を 妨げている。

CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITE農夫たちと侍女たちの合唱
Ô bonheur, ô joie extrême,ああ 幸福だ、ああ 極度の歓喜だ!
Tout s'oppose à son bonheur.すべてが 彼の幸福を 妨げている。

LA COMTESSE伯爵夫人
Ah! quel effroi s'empare de mon cœur,ああ! 何と 恐怖が 私の心を しっかり掴んでいることか!

ISOLIERイゾリエ
Quel effroi!何という恐怖だ!
Ah! quel effroi saisit mon cœur,ああ! 何と 恐怖が 私の心を 掴んでいる【≒ 襲っている】ことか、

ALICEアリス
Quel effroi!何という恐怖が!
Hélas!ああ!
saisit mon cœur,私の心を 掴んでいる【≒ 襲っている】ことか、

RAGONDEラゴンド
Quel effroi saisit mon cœur, ah!何と 恐怖が 私の心を 掴んでいる【≒ 襲っている】ことか、ああ!

CORYPHÉE Soprano 2合唱団員 ソプラノ2
Quel effroi!何という恐怖だ!
l'effroi saisit mon cœur,恐怖が 私の心を 掴んでいる【≒ 襲っている】

LE COMTE ORYオリー伯爵
Plus d'espoir!もう 希望は ない!
plus de bonheur!もう 幸福は ない!

GÉRARDジェラール
Plus d'espoir!もう 希望は ない!
l'espoir fuit de son cœur.希望は 彼の心から 逃げている。

MAINFROYメンフロワ
Hélas! plus de bonheur!何ということだ! もう 幸福は ない!

CORYPHÉES Bass 1 et 2合唱団員 バス1と2
Plus d'espoir!もう 希望は ない!
l'espoir fuit de son cœur.希望は 彼の心から 逃げている。

RAIMBAUDランボ
Ah! quel malheur!ああ! 何という不運だ!
plus de bonheur!もう 幸福は ない!

LE GOUVERNEUR教育係
Pour moi, quel bonheur!私にとって、何という幸福だ!
l'espoir fuit de son cœur.希望は 彼の心から 逃げている。

CHŒUR DU COMTE伯爵の合唱
douleur,苦しみだ、

CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITE農夫たちと侍女たちのの合唱
bonheur,幸福だ、

LA COMTESSE DE FORMOUTIER, ISOLIER, ALICE, RAGONDE ET CORYPHÉE S SOPRANO伯爵夫人,イゾリエ,アリス,ラゴンドと合唱団員 ソプラノたち
s'empare mon cœur,私の心を しっかり掴んでいる、

LE COMTE ORYオリー伯爵
La rage est dans mon cœur,激しい怒りが 私の心の中で、

GÉRARD, MAINFROY, CORYPHÉES BASS, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR, CHŒUR DU COMTE ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITEジェラール,メンフロワ,合唱団員 バスたち,ランボー,教育係,伯爵の合唱とCHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITE
La rage est dans son cœur,激しい怒りが 彼の心の中で、

LA COMTESSE伯爵夫人
Oui, l'effroi vient agiter mon cœur!そうだ、恐怖が 私の心を 揺すりに来ている。

LE COMTE ORYオリー伯爵
la rage, la fureur vient agiter mon cœur!激しい怒りが、激怒が 私の心を 揺すりに来ている!

RAIMBAUDランボー
la rage, la fureur vient agiter son cœur!激しい怒りが、激怒が 彼の心を 揺すりに来ている!

RAGONDE ET CORYPHÉEラゴンドと合唱団員
saisit mon cœur!私の心を 掴んでいる【≒ 襲っている】

ISOLIER, ALICE ET CORYPHÉEイゾリエ,アリスと合唱団員
mon cœur!私の心を!

MAINFROY, CORYPHÉES ET CHŒUR DU COMTE ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITEメンフロワ,合唱団員たちと伯爵の合唱,農夫たちと侍女たちのの合唱
son cœur!彼の心を!
《ランスへの旅》 N.7 Gran Pezzo Concertato a 14 voci
Ah! a tal colpo inaspettato
からの再利用。

Allegro vivace
6/8
A major
RAGONDEラゴンド
Cet écrit, noble châtelaine,この書類【= 手紙】は、高貴な城主の女よ、
vous vient de lointains pays.あなたに 来ている 遠くの国々から
Il apporte, j'en suis certaine,それ【= 書類】は もたらしている、それについて 私は 確信している
des nouvelles de nos maris.私たちの夫たちの 新たなことであることを。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Encore une disgrâce!また 不興【≒ 見放されること】が!
ISOLIER, ALICE, RAGONDE, 2 CORYPHÉES SOPRANO, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITEイゾリエ,アリス,ラゴンド,二人の合唱団員 ソプラノと伯爵の合唱と農夫たちと侍女たちの合唱
Lisez, cédez, de grâce!読みなさい、譲りなさい、お願いだから!

GÉRARD, MAINFROY, 2 CORYPHÉES BASS, RAIMBAUD ET CHŒUR DU COMTEジェラール,メンフロワ,二人の合唱団員 バス,ランボーと伯爵の合唱
Encore une disgrâce!また 不興【≒ 見放されること】が!

LE GOUVERNEUR教育係
Seigneur, adieu plaisir!貴君よ、さらば 快楽よ だ!

ISOLIER, ALICE, RAGONDE, 2 CORYPHÉES SOPRANO, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITEイゾリエ,アリス,ラゴンド,二人の合唱団員 ソプラノと伯爵の合唱と農夫たちと侍女たちの合唱
Cédez à mon désir!私の願望に 譲歩しなさい!

LE COMTE ORY, GÉRARD, MAINFROY, 2 CORYPHÉES BASS, RAIMBAUD ET CHŒUR DU COMTEオリー伯爵,ジェラール,メンフロワ,二人の合唱団員 バス,ランボーと伯爵の合唱
Il faut se contenir.自制しなければならない。

LA COMTESSE伯爵夫人
≪Madame et sœur chérie,《貴女 そして 最愛の妹よ、
La croisade est finie;十字軍は 終わった;
et dans notre patrieそして 私たちの祖国へ
nous retournons enfin.≫やっと 私たちは 帰る。》

ISOLIER, ALICE, RAGONDE, 2 CORYPHÉES SOPRANO, LE COMTE ORY, GÉRARD, MAINFROY, 2 CORYPHÉES BASS, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR, CHŒUR DU COMTE ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITEイゾリエ,アリス,ラゴンド,二人の合唱団員 ソプラノ,オリ―伯爵,ジェラール,メンフロワ,二人の合唱団員 バス,ランボー,教育係,伯爵の合唱,農夫たちと侍女たちのの合唱
La croisade est finie,十字軍は 終わった、
et tous dans leur patrieそして すべての人が 彼らの祖国に
il reviennent enfin.やっと 帰って来る。

2 CORYPHÉES BASS ET RAIMBAUD
Fatal destin!致命的な運命だ!

LE GOUVERNEUR教育係
Heureux destin!好ましい運命だ!

LA COMTESSE伯爵夫人
≪On nous a vus sans crainte《人は 見た 私たちが 恐れ無しに
purger la terre sainte聖なる地を 一掃したのを【≒ 私たちが 怯むことなく 聖地から 敵を 一掃したことは 目撃された】
et notre épée est teinteそして 私たちの剣は 染められた
du sang du Sarrazin.≫サラセン人の血で。》

ISOLIER, ALICE, RAGONDE, 2 CORYPHÉES SOPRANO, LE COMTE ORY, GÉRARD, MAINFROY, 2 CORYPHÉES BASS, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR, CHŒUR DU COMTE ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITEイゾリエ,アリス,ラゴンド,二人の合唱団員 ソプラノ,オリ―伯爵,ジェラール,メンフロワ,二人の合唱団員 バス,ランボー,教育係,伯爵の合唱,農夫たちと侍女たちのの合唱
On les a vus sans crainte人は 見た 私たちが 恐れ無しに
purger la terre sainte聖なる地を 一掃したのを【≒ 私たちが 怯むことなく 聖地から 敵を 追い払ったことは 目撃された】
et leur épée est teinteそして 彼らの剣は 染められた
du sang du Sarrazin.サラセン人の血で。

2 CORYPHÉES BASS ET RAIMBAUD
Fatal destin!致命的な運命だ!

LE GOUVERNEUR教育係
Heureux destin!好ましい運命だ!

LA COMTESSE伯爵夫人
≪Nous partons pour la France《私たちは フランスへ向けて 出発する
et nous suivrons, je pense,そして 私たちは 後を追うだろう、私は思う、
a deux jour de distance隔たりにして 二日で
Ce message certain.≫この確実な書簡を【≒ この信頼できる手紙から 二日遅れで 私たちは 帰還するだろう】。》

ISOLIER, ALICE, RAGONDE, 2 CORYPHÉES SOPRANO ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITEイゾリエ,アリス,ラゴンド,二人の合唱団員 ソプラノと農夫たちと侍女たちのの合唱
Telle est notre espérance:以上が 私たちの希望だ:
ils suivent vers la France彼らは フランスへ向けて 後を追っている
à deux jours de distance隔たりにして二日で
ce message certain.この確実な書簡を。

LE COMTE ORY, GÉRARD, MAINFROY, 2 CORYPHÉES BASS, RAIMBAUD ET CHŒUR DU COMTEオリ―伯爵,ジェラール,メンフロワ,二人の合唱団員 バス,ランボーと伯爵の合唱
Hélas, plus d'espérance:何ということだ、もう 希望は ない:
Ils suivent ver la France,彼らは フランスへ向けて 後を追っている、
à deux jours de distance隔たりにして二日で
ce message certain.この確実な書簡を。

LE GOUVERNEUR教育係
Pour lui plus d'espérance:彼には もう 希望は ない:
ils suivent vers la France彼らは フランスへ向けて 後を追っている
à deux jours de distance隔たりにして二日で
ce message certain.この確実な書簡を。

RAGONDEラゴンド
Vous viendrez, ô seigneur comte,あなたは 来るだろう、伯爵様よ、
partager nos transports.私たちの激情【≒ 歓喜】を 共有しに。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Je partage vos transports.私は 共有する あなたたちの激情【≒ 歓喜】を。

LA COMTESSE伯爵夫人
Partagez nos transports.私たちの激情【≒ 歓喜】を 共有しなさい。
LE COMTE ORYオリー伯爵
(à part)(傍らで)
Sachons venger ma honte私の恥辱を 雪ぐことができる
par de nouveaux succès.新しい成功【≒ 別の勝利】によって。
(bas à Raimbaud)(小声で ランボに)
Un jour me reste encore:一日が 私には まだ 残っている:
qu'il serve à mes projets.それ【= 一日 男性名詞】が 私の計画に 役立つように。

2 CORYPHÉES BASS, RAIMBAUD ET LE GOUVERNEUR二人の合唱団員 バス、ランボと教育係
Allons, partons.行こう、立ち去ろう。

LA COMTESSE伯爵夫人
Quand mon cœur tremble encore私の心は まだ 震えているにもかかわらず
de ses affreux projets,彼の 恐ろしい計画に、
celui que seul j'adore私が 熱愛する ただ一人の人が
va me rendre la paix.私に 平安を 取り戻させるところだ。

ISOLIER ET ALICEイゾリエとアリス
Quand mon cœur tremble encore私の心は まだ 震えているにもかかわらず
de ses affreux projets,彼の 恐ろしい計画に、
le frère qu'elle adore兄が その者を 彼女は 熱愛している
va lui rendre la paix.彼女に 平安を 取り戻させるところだ。

RAGONDEラゴンド
Quand mon cœur tremble encore私の心は まだ 震えているにもかかわらず
de ses affreux projets,彼の 恐ろしい計画に、
l'époux que seul j'adore夫が その者だけをを 私は 熱愛している
va me rendre la paix.私に 平安を 取り戻させるところだ。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Un jour me reste encore:一日が 私には まだ 残っている:
qu'il serve à mes projets.それ【= 一日 男性名詞】が 私の計画に 役立つように。

GÉRARD, MAINFROY ET CHŒUR DU COMTEジェラール,メンフロワと伯爵の合唱
Un jour nous reste encore:一日が 私たちには まだ 残っている:
qu'il serve à ses projets.それ【= 一日 男性名詞】が 彼の計画に 役立つように。

2 CORYPHÉES BASS ET RAIMBAUD2人の合唱団員 バスとランボー
allons, partons!行こう、立ち去ろう!
sevons tous ses projets.彼の計画を すべて 知ろう。

LE GOUVERNEUR教育係
allons, partons!行こう、立ち去ろう!
surveillons ses projets.彼の計画を 監視しよう。

CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITE農夫たちと侍女たちのの合唱
Hélas! je tremble encore何ということだ! 私は まだ 震えている
de ses affreux projets.彼の 恐ろしい計画に。
《ランスへの旅》 N. 7 Gran Pezzo Concertato a 14 voci
Signor, signori, ecco una lettera
からの再利用。

Allegro spiritoso
4/4
A major
LE COMTE ORYオリー伯爵
Venez, amis, retirons-nous,来なさい、友たちよ、立ち去ろう、
et dans notre retraiteそして 私たちの隠れ家で
assurons ma conquête私の征服を 滞りなく行おう【≒ 次の攻略を 確実にさせよう】
et du destin bravons les coups!そして 運命の打撃に 勇敢に立ち向かおう!
La nuit, sans bruit,夜、物音なしの【≒ 静かな夜に】
sachons, en dépit des jaloux,嫉妬深い人を ものともせず、
du sort braver les coups!【私たちは】運命の打撃に 勇敢に立ち向か 【↑】えるだろう!

ISOLIERイゾリエ
À tout ce qu'il projette彼が 計画すること すべて を
avec adresse opposons-nous!抜け目なく 妨げよう!
sachons parer ses coups!【私たちは】 彼の打撃を かわすことができるだろう!

LA COMTESSE伯爵夫人
Déjà le sort dans sa rigueurもう 運命は 彼【≒ 運命 男性名詞】の厳しさにおいて
n'a plus rien qui m'alarme,もはや 何も持っていない それは 私を 心配させる【≒ 運命の厳しさが 私を 不安にさせることは もうない】
un espoir plein de charme魅力でいっぱいの希望は
a déjà fait battre mon cœur.既に 私の心臓を 打たせた。
Déjà l'espoir fait palpiter mon cœur既に 希望は 私の心臓を 動悸を討たせている
de joie et de bonheur.喜びで そして 幸福で。

RAGONDEラゴンド
Celui qui sut toucher mon cœur私の心に 触れることができる人が
va me rendre au bonheur.私を 幸福に 戻しに来る。
Je sens battre mon cœur,私は 感じている 私の心臓が 動悸を打っているのを、
Je sens déjà battre mon cœur,私は 感じている 既に 私の心臓が 動悸を打っているのを、
d'amour et de bonheur.愛に そして 幸福に。

CORYPHÉES BASS 2合唱団員 バス2
Allons, sortons!行こう、出よう!

LE GOUVERNEUR教育係
Repartons en silence!静かに 帰ろう!
il faut avec prudence用心深さをもって
éviter la vengeance仕返しを避け 【↑】なくてはならない。
du seigneur châtelain,城主様【= フォルムティエ伯爵】の、
je crains le seigneur châtelain!私は 恐れている 城主様を!

LE COMTE ORY, GÉRARD, MAINFROY ET CORYPHÉES BASS1オリ―伯爵,ジェラール,メンフロワと合唱団員 バス1
Allons, sortons, partons!行こう、出よう、立ち去ろう!

RAIMBAUDランボ
Allons avec prudence行こう 用心深さをもって
méditer en silence,静かに 計画を練りに、
et de notre vengeanceそして 私たちの仕返しの
le succès est certain,成功は 確実だ、bravons le seigneur châtelain!城主様に 勇敢に立ち向かおう!

LA COMTESSE DE FORMOUTIER, ISOLIER, ALICE, RAGONDE ET 2 CORYPHÉES SOPRANO伯爵夫人,イゾリエ,ラゴンドと2人の合唱団員 ソプラノ
Allons, rentrons!行こう、帰ろう!

LA COMTESSE DE FORMOUTIER, ISOLIER, ALICE, RAGONDE, 2 CORYPHÉES SOPRANO, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DE PAYSANS ET DE FEMMES DE LA SUITE伯爵夫人,イゾリエ,ラゴンドと2人の合唱団員 ソプラノ,教育係と農夫たちと侍女たちのの合唱
Aux chants de la victoire勝利の歌に
allons mêler nos voix!私たちの声を 混ぜるところだ!
Des preux chantons la gloire勇士の栄光を 歌い称えよう
et les brillants exploits!そして 【騎士の】輝かしい武勲を 【歌い称えよう】
chantons! chantons tous leurs exploits!歌おう! 彼らの武勲 すべてを 歌い称えよう!

LE COMTE ORY ET GÉRARDオリ―伯爵とジェラール
Sachons par la victoire勝利によって
les soumettre à nos lois!【私たちは】 彼らを 私たちの法に 従わせることが 【↑】できるだろう!
On trouve aussi la gloire人は 栄光も 見付ける
dans nos galants exploits!私たちの 色恋に関する武勲に!
Partons!立ち去ろう!
on parlerà de nos exploits!人は 私たちの武勲について 話すだろう!

MAINFROY, 2 CORYPHÉES BASS ET RAIMBAUDメンフロワ,2人の合唱団員 バスとランボ
Sachons par la victoire勝利によって
les soumettre à nos lois!【私たちは】 彼らを 私たちの法に 従わせることが 【↑】できるだろう!
On trouve aussi la gloire人は 栄光も 見付ける
dans nos galants exploits!私たちの 色恋に関する武勲に!
Allons, partons!行こう、立ち去ろう!
on parlerà de nos exploits!人は 私たちの武勲について 話すだろう!

CHŒUR DU COMTE伯爵の合唱
Sachons par la victoire勝利によって
les soumettre à nos lois!【私たちは】 彼らを 私たちの法に 従わせることが 【↑】できるだろう!
On trouve aussi la gloire人は 栄光も 見付ける
dans nos galants exploits!私たちの 色恋に関する武勲に!
Allons, partons!行こう、立ち去ろう!
nous veaux exploits!私たちは 武勲を 望んでいる!

LE COMTE ORY, GÉRARD, MAINFROY, 2 CORYPHÉES BASS ET CHŒUR DU COMTEオリ―伯爵,ジェラール,メンフロワ、2人の合唱団員 バスと伯爵の合唱
L'amour sourit à nos exploits!愛は 私たちの武勲に 微笑んでいる!
《ランスへの旅》 N. 7 Gran Pezzo Concertato a 14 voci
Fra dolci e cari palpiti
からの再利用。

Aux chants de la victoire / allons mêler nos voix!
十字軍の兵士たちの勝利の歌に、彼らが帰還したら、自分たちの声を合わせよう、という意味。

ACTE DEUXIÈME
N. 6
[INTRODUCTION]

La comtesse

Isolier
Le comte Ory
CHŒUR
Andantino grazioso
3/8
F major
(Le théâtre représente la chambre à coucher de la comtesse; deux portes latérales; porte au fond. À gauche, un lit de repos, e une table, sur laquelle brûle une lampe. À droite, une croisée sur le primier plan)(舞台は 伯爵夫人の寝室を表している; 2つの側面の扉; 奥に扉。左【= 上手 かみて】に、寝椅子、そしてテーブル、その上には灯りが燃えている。右【= 下手 しもて】に 十字形の枠の窓が 前景に)  )

(SCÈNE Ⅰ)(第1景)
(La comtesse, dame Ragonde, dames de la suite de la comtesse, groupées differemment et occupées à des ouvrages de femmes)(伯爵夫人、ラゴンド夫人、伯爵夫人の侍女たち、違ったふうに集められて【≒ 別々の集団に 分けられて】 そして 女性の仕事【≒ 裁縫】をすることに忙しく【≒ 裁縫に 没頭して】)

LA COMTESSE DE FORMOUTIER ET RAGONDE伯爵夫人 と ラゴンド
Dans ce séjour calme et tranquilleこの住処 すみか で 穏やかな そして 静かな
s'écoulent nos jours innocents;私たちの 無垢な日々が 過ぎる;
et nous bravons dans cet asileそして 私たちは 勇敢に立ち向かう この隠れ家で
les entreprises des méchants.悪意のある企てに。

CHŒUR DES FEMMES女性たちの合唱
Et nos bravons dans cet asileそして 私たちは 勇敢に立ち向かう この隠れ家で
les entreprises des méchants.悪意のある企てに。

LA COMTESSE伯爵夫人
(assise et brodant une écharpe)(座って そして 肩掛けに 刺繍をして)
Je tremble encore quand j'y pense;私は まだ 震える 私が それを 思う時;
quel homme que ce ccomte Ory!そのオリー伯爵という あの男!
de la vertu, de l'innocence美徳の、無垢の
c'est le plus terrible ennemi.それは 最も恐ろしい 敵だ。

RAGONDEラゴンド
C'est le nôtre... Dieu! quelle audace!それは 私たちの 【敵だ】… 神よ! 何という大胆だ!
d'un saint homme prendre la place!聖なる人の地位を取る【≒ 聖なる人に 取って代わる ≒ 聖なる人に 成りすます】なんて!
et me parler de mon mari!そして 私に 私の夫について 話すなんて!

LA COMTESSE伯爵夫人
Par bonheur, nos pouvons sans crainte幸運にも、私たちの力は 恐れずに
le défier dans cette enceinte,彼に 挑む この城壁の中で、
qui nous protège contre lui.それ【= 城壁】は 私たちを 彼から 守っている。

LA COMTESSE DE FORMOUTIER ET RAGONDE伯爵夫人とラゴンド
Dans ce séjour calme et tranquilleこの住処 すみか で 穏やかな そして 静かな
s'écoulent nos jours innocents;私たちの 無垢な日々が 過ぎる;

LA COMTESSE DE FORMOUTIER, RAGONDE ET CHŒUR伯爵夫人,ラゴンドと合唱
et nous bravons dans cet asileそして 私たちは 勇敢に立ち向かう この隠れ家で
les entreprises des méchants.悪意のある企てに。
un lit de repos,
寝椅子。身体を横たえることができる長椅子。

une croisée sur le primier plan)
le primier plan は、直訳すると 第一面 で、この場合の sur le primier plan は、舞台装置が舞台の最前方に置かれて目立つ状態になっていること。

d'un saint homme prendre la place!
prendre la place de qn ―の代わりをする,―に取って代わる

Più Mosso
3/8
F major
oui, nous bravonsそうだ、私たちは 勇敢に立ち向かう
les entreprises des méchants.悪意のある企てに。
Allegro
4/4
F major
(L'orage[,] qui à commencé à gronder pendant la reprise du CHŒUR précédent, se fait entendre en ce moment avec plus de force)(雷雨が[、] それは 唸り始めた すぐ前の合唱の繰り返しの間に、聞こえさせる【≒ 聞こえる】 この瞬間に さらに強く)

CHŒUR DES FEMMES女性たちの合唱
(effrayées)(怯えて)
Écoutez!.. le ciel gronde.聞きなさい!… 天が 唸っている。
Récit


4/4
(C major)
LA COMTESSE伯爵夫人
Oui, la grêle et la pluieそうだ、雹 ひょう と雨が
ebranlent les vitraux de ce noble castel.揺さぶっている ステンドグラスを この高貴な城の。
a tempo
4/4
F major
D'effroi je suis saisie!私は 恐怖に 捉えられている【≒ 襲われている】

RAGONDE ET LE CHŒURラゴンド と 合唱
Apaise ton courroux! grand Dieu, protège-nous!君の怒りを 静めなさい! 偉大な神よ、私たちを 守りなさい!

LA COMTESSE DE FORMOUTIER ET RAGONDE伯爵夫人とラゴンド
grand Dieu, apaise ton courroux!偉大な神よ、君の怒りを 静めなさい!

RAGONDEラゴンド
Nous sommes à l'abri!.. que je rends grâce au ciel!私たちは 安全な場所に いる!… 何と 私は 天に 感謝をしていることか!

LA COMTESSE伯爵夫人
Et moi, lorsque l'orage éclate avec furie,そして 私は、雷雨が 激しさをもって 轟く時、
au fond du cœur combien je plains心の底で 私は どれほど 同情しているか
le sort des pauvres pélerins!気の毒な 巡礼の女たちの境遇を。
que je rends grâce au ciel!
rendre grâce à ―に感謝する。= remercier。ラゴンドは、自分たちが安全な城の中で嵐を避けていることを神に感謝している。

Andantino
6/8
A-flat major
(En ce moment, on entend chanter en dehors, au-dessous de la croisès à droite)(その瞬間に、人は 聞く 外で 歌っているのを【≒ 外で (誰かが)歌っているのが 聞こえる】)

LE COMTE ORY, CORYPHÉE TENOR, RAIMBAUD ET LE GOUVERNEURオリ―伯爵,合唱団員 テノールと教育係
Noble châtelaine,高貴な 城主の女よ、
voyez notre peine;私たちの苦痛を 見なさい;
et dans ce domaine,そして この領地【≒ 屋敷】の中で、
dame de bonté,親切の貴婦人よ、
pour fuir la disgrâce【天の】不興を 避けるために
dont on nous menace,それ【= 不興】によって 人は 私たちを 脅している【≒ 私たちは 脅かされている】
donnez-nous, par grâce私たちに 与えなさい、厚意によって
l'hospitalité.もてなしを。

3/8
A-flat major
LA COMTESSE伯爵夫人
(à dame Ragonde)(ラゴンド夫人に)
Voyez qui ce peut être, et qui frappe à cette heure.見なさい それが 誰であるかもしれないのかを、そして 誰が 扉を叩いているのか この時間に。
Jamais le malheureux qui vient nous supplier一度もない 不幸な人が その者は 私たちに 哀願しに来ている
N'a de cette antique demeureこの大昔の【≒ 古びた】住居の
imploré vainement le toit hospitalier.快く歓迎する屋根を 虚しく懇願し 【↑】たことは【≒ 私たちに この古い館のもてなしを求めに来た不幸な人が 懇願を断られたことは かつて 一度もない】

(dame Ragonde sort)(ラゴンド夫人は 退場する)
Allegro
4/4
A-flat major
(La Comtesse et les autres dames chantent le CHŒUR suivant; et en même temps on reprend en dehors celui qu'on a déjà entendu. L'orage redouble)(伯爵夫人と 他の夫人たちは 歌う 次の歌を; そして 同じ時に 外で 人は 繰り返す 前に 人が 聞いた ものを【≒ 前に 聞こえた歌が 繰り返される】 )

LA COMTESSE DE FORMOUTIER ET CORYPHÉE DESSUS伯爵夫人と合唱団員 ソプラノ
Grand Dieu! dans ta bonté suprême,偉大な神よ! 君の この上ない善意で
apaise cet orage affreux!この恐ろしい雷雨を 静めなさい!
En ce moment celui que j'aimeこの瞬間に 私が 愛する 人
est peut-être aussi malheureux.も また もしかしたら 不運なのかもしれない。

CHŒUR DES FEMMES女性たちの合唱
Grand Dieu! dans ta bonté suprême,偉大な神よ! 君の この上ない善意で
apaise cet orage affreux!この恐ろしい雷雨を 静めなさい!
En ce moment l'epoux que j'aimeこの瞬間に 私が 愛する 人
est peut-être aussi malheureux.も また もしかしたら 不運なのかもしれない。
(Mouvement de la Prière, mais un peu animé)
2/2
6/8
A-flat major
LE COMTE ORY, CORYPHÉE TENOR, RAIMBAUD ET LE GOUVERNEURオリ―伯爵,合唱団員 テノールと教育係
Noble châtelaine,高貴な 城主の女よ、
voyez notre peine;私たちの苦痛を 見なさい;
et dans ce domaine,そして この領地【≒ 屋敷】の中で、
dame de bonté...親切の貴婦人よ…

LA COMTESSE DE FORMOUTIER ET CORYPHÉE DESSUS伯爵夫人 と 合唱団員 ソプラノ
Grand Dieu! dans ta bonté suprême,偉大な神よ! 君の この上ない善意で
apaise cet orage affreux!この恐ろしい雷雨を 静めなさい!
En ce moment celui que j'aimeこの瞬間に 私が 愛する 人
est peut-être aussi malheureux.も また もしかしたら 不運なのかもしれない。

CHŒUR DES FEMMES女性たちの合唱
Grand Dieu! dans ta bonté suprême,偉大な神よ! 君の この上ない善意で
apaise cet orage affreux!この恐ろしい雷雨を 静めなさい!
En ce moment l'epoux que j'aimeこの瞬間に 私が 愛する 人
est peut-être aussi malheureux.も また もしかしたら 不運なのかもしれない。


2/2
F major

Récit [Après l'Introduction]
Allegro
4/4
(C major)
(SCÈNE Ⅱ)(第2景)
(les précédentes, dame Ragonde)(前の景の人たち、ラゴンド夫人)

RAGONDEラゴンド
(d'un air agité)(落ち着かない様子で)
Quand tomberont sur lui les vengeances divines?いつ 彼の上に 落ちるだろうか 神による 報復が?
quelle horreur!何という 恐ろしさ!

LA COMTESSE伯爵夫人
Qu'avez-vous?どうしたのか?

RAGONDEラゴンド
Dieu! quel crime affreux!神よ! 何と 恐ろしい 犯罪だ!

LA COMTESSE伯爵夫人
Mais qu'est-ce donc?だが それは いったい 何なのか?

RAGONDEラゴンド
Encore un trait du comte Ory.また オリー伯爵の特徴だ。
De malheureuses pèlerines不運な 巡礼の女たちが
qui, fuyant sa poursuite, et cherchant un abri,その者たちは、彼【≒ オリー伯爵】の追跡を 避けて、そして 避難所を 捜して、
pour la nuit seulement demandent un asile.夜の間だけ【≒ 今夜だけ】 逃げ場を求めている。

LA COMTESSE伯爵夫人
Que nos secours leur soient offerts!私たちの救助が 彼らに 提供されるように!

RAGONDEラゴンド
J'ai prévenu vos vœux! ce soin m'ètait facile.私は あなたの願い【≒ 希望 ≒ 考え】を 予見していた!
On aime à compatir aux maux qu'on a soufferts.人は 同情するのが好きである 不幸に それを 人は 苦しんだ【≒ 誰かが苦しみを味わった不幸に 同情を寄せることは 誰でも好きなことだ】

LA COMTESSE伯爵夫人
Ces dames sont-elles nombreuses?その婦人たちは 多数いるのか?

RAGONDEラゴンド
Quatorze.14人だ。

LA COMTESSE伯爵夫人
C'est beaucoup!それは 大勢だ!

RAGONDEラゴンド
Mais quel air! quel maintien!だが 何という顔付きだ! 何という様子だ!

LA COMTESSE伯爵夫人
Leur âge?彼女らの年齢は?

RAGONDEラゴンド
Quarante ans.40歳だ。

LA COMTESSE伯爵夫人
Leurs figures?彼女たちの顔付きは?

RAGONDEラゴンド
Affreuses!ひどく醜い!
Ce comte Ory n'a peur de rien!あのオリー伯爵は 何も恐れていない!
Je les ai fait entrer au parloir en silence.私は 彼女たちを 入らせた 面会室に 密かに。
Elles tremblaient encore de froid et de frayeur.彼女たちは まだ 震えていた 寒さで そして 恐怖で
L'une d'elles pourtant, dans sa reconnaissance,それでも 彼女たちの一人が、彼女の感謝に、
de vous voir un instant demande la faveur.特別のはからいを 求めている 一瞬【≒ 少しの間】 あなたに 会う という。
Qu'avez-vous?
直訳すると あなたは 何を 持っているのか? だが、成句として相手を心配するなどする どうしたのか? の意味がある。

Ce comte Ory n'a peur de rien!
40歳の酷い顔立ちの巡礼の女たちをも狙うとは、オリー伯爵は恐れ知らずだ、という意味。

Moderato
4/4
(C major)
Mais c'est elle, je pense:ところで あれが 彼女だ、私は 思う:
elle approche.彼女が 近付いている。

LA COMTESSE伯爵夫人
C'est bien.それは結構。
Laissez-nous un instant.一瞬【≒ 少しの間】 私たち【だけ】に させなさい。

RAGONDEラゴンド
(au ccomte Ory, qui parait en pèlerine et les yeux baissés)(オリー伯爵に、その者は 【身を】飾っている ケープ【= 袖のない肩掛けマント】を着て そして 低くされた目【になって】【≒ うつむいて】)
Entrez... ne craignez rien.入りなさい… 何も 恐れるな。


Andante
3/8
(C major)
(toutes les dames sortent)(婦人たち 全員が 退場する)



2/2
(C major)
LA COMTESSE伯爵夫人
(à part)(傍らで)
Ragonde avait raison, quel modeste maintien!ラゴンドは 正しかった、何という 控えめな様子だ!
(au comte)(伯爵に)
Approchez, apporchez, madame.近付きなさい、近付きなさい、貴女よ。
N. 7
DUO [LA COMTESSE - ORY]

La comtesse
Le comte Ory
Andante
6/8
A major
(SCÈNE Ⅲ)第3景
(La comtesse, le comte Ory)(伯爵夫人,オリー伯爵)

LE COMTE ORYオリー伯爵
Ah! quel respect, madame,ああ! 何と 敬意が、貴女よ、
pour vos vertus m'enflamme:あなたの徳のゆえに 私を 燃え上がらせている 【↑】ことか【≒ あなたの徳によって生じた敬意で 私が どれほど 燃え上っていることか】
souffrez que de mon âme許しなさい 私の魂の
j'exprime ici l'ardeur!情熱を 私が ここに 示している 【↑↑】ことを!

LA COMTESSE伯爵夫人
L'ardeur?情熱だと?

LE COMTE ORYオリー伯爵
Votre prudence,あなたの 慎重さが、
votre obligeanceあなたの 親切が
nous a sauvè l'honneur.私たちの 名誉を 守った。

LA COMTESSE伯爵夫人
Je suis heureuse et fière私は 幸せだ そして 誇らしく思っている
d'avoir d'un téméraire向こう見ずな人の
soustrait à la colère怒りから 守 【↑】って
une vertu si chère.これほどに 貴重な 美徳【≒ 貞節】を。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Vertu!美徳!

LA COMTESSE伯爵夫人
Oui, je suis fièreそうだ 私は 誇らしく思っている
qu'à sa colère彼の怒りから
échappent tant d'attraits.たくさんの魅力が 逃れている 【↑】ことを。

LE COMTE ORYオリー伯爵
En mon cœur rien n'efface私の心の中で 何も 消すことはない
tant de charme et de grâce.それほどたくさんの魅力を そして 【それほどたくさんの】優美を。
(prenant sa main)(彼女の片手を 掴んで)
Cette main que j'embrasseこの手が それに 私は キスをしている
vous l'atteste à jamais.あなたに そのことを 証言する 永遠に。

LA COMTESSE伯爵夫人
Que faites-vous? Ah! de grâce!あなたは 何を するのか? ああ! お願いだから!

LE COMTE ORYオリー伯爵
De ma reconnaissance[,]私の感謝の
quoi! l'excès vous offense!行き過ぎが 何と! あなたに 不快感を与えているとは!
Ah! sans votre assistance,ああ あなたの救助なしでは、
Hélas! lorsque j'y pense...ああ! 私が そのことを 考える時に【≒ それを 思うと】
quel était notre sort!..私たちの運命は どうなったか!
Hélas! lorsque j'y pense[,]ああ! 私が そのことを 考える時に【≒ それを 思うと】[、]
d'effroi j'en tremble encor!私は そのせいで 恐怖に 震える 再び!

LA COMTESSE伯爵夫人
(avec bonté, et lui tendant la main)(善意をもって、そして 彼に 片手を 差し出して)
Calmez, calmez votre âme!落ち着かせなさい、あなたの魂を 落ち着かせなさい!

LE COMTE ORYオリー伯爵
(prenant sa main sur ses lèvres)(彼女の手を 彼の唇に 持って行って)
Ah! madame!ああ! 貴女よ!

LA COMTESSE伯爵夫人
(souriant)(にっこり笑って)
Quel excès de frayeur!何という 恐怖の行き過ぎだ【≒ 何と 激しく 怖がっていることか】
《ランスへの旅》 N. 5 Duetto
Nel suo divin sembiante
からの再利用。
(Andante)
6/8
A major
LA COMTESSE伯爵夫人
Ah! quel excès d'ivresse!ああ! 何という 陶酔の行き過ぎだ【≒ 何と 激しく 熱を上げていることか】
D'où vient cette tendresse?この愛情は どこから 来ているのか?
Pourquoi cette tendresse?なぜ この愛情を?
La crainte encor l'oppresse.恐れが なおも 彼女の胸を 締め付けている【≒ 彼女を 苦しめている】
quoique si loin de lui,【= オリー伯爵】から とても 離れている とはいえ
Ah! vous pouvez sans crainteああ! あなたは 恐れなしに
braver le comte Ory.勇敢に立ち向かう 【↑】ことができる オリー伯爵に。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Il faut avec adresse巧妙に
modérer ma tendresse.私の愛情を 抑え 【↑】なくてはならない。
De quelle douce ivresseあの甘い陶酔に
malgré moi j'ai frémi?私の意に逆らって 私は 震えたのか?
Quoi! vous osez sans crainte何と! あなたは 恐れなしに 思い切って
braver le comte Ory.勇敢に立ち向かっている オリー伯爵に。
Allegro
4/4
A major
LE COMTE ORYオリー伯爵
On le dit téméraire.人は 言う 彼は 向こう見ずな人間である と。

LA COMTESSE伯爵夫人
Je brave sa colère.私は 勇敢に立ち向かう 彼の怒りに。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Oh prétend qu'il vous aime.人は 言い張っている 彼は あなたを 愛している と。

LA COMTESSE伯爵夫人
Lui!... Ah! quelle audace extrême!彼が!… ああ! 何という 極度の 厚かましさ だ!

LE COMTE ORYオリー伯爵
Pour obtenir sa grâce,彼の恩恵【≒ 恩赦 ≒ 許し】を 手に入れるために【≒ 彼が 許しを 得るために】
s'il tombait à vos genoux,もし 彼が あなたの膝に 倒れたら【≒ あなたの足元に 身を投げたら ≒ あなたの前で 跪いたら】
Madame, que feriez-vous?貴女よ、あなたは 何をするのか?

LA COMTESSE伯爵夫人
D'une pareille audaceそのような 厚かましさに対する
la honte et le mépris恥ずかしさ と 軽蔑が
seraient le prix.報いであろう。
《ランスへの旅》 N. 5 Duetto
Dunque non v'e speranza?
からの再利用。
Allegretto
2/4
A major
LA COMTESSE伯爵夫人
Ce téméraireあの 向こう見ずな人は
qui croit nous plaire,その者は 信じている 私たちに好かれると、
en vain espère虚しく 期待している
être vainqueur;勝者に なることを; 【≒ あの無鉄砲な男は、私たちが 彼を 好きになると 信じて疑わず、勝利を得ようとしているが、無駄なことだ 】
moi je préfère私は 私は より好む
l'amant sincère誠実な 恋人を
qui sait nous taireその者は 私たちに 言わない
sa tendre ardeur...;彼の 愛情のこもった情熱を【≒ 私は 愛情に満ちた情熱を 口に出すことない 誠実な人が好きだ】…;
mais on doit rireところが 私は きっと 笑うだろう
du faux délire誤った 有頂天を
et du martyreそして 殉死を
d'un séducteur.誘惑者の【≒ 女たらしの 勘違いの興奮や 自滅を 笑うことになるだろう】
Ce téméraire
qui croit nous plaire,その者は 信じている 私たちに好かれると、
en vain espère虚しく 期待している
être vainqueur;勝者に なることを;
en vain espère虚しく 期待している
séduire mon cœur;.私の心を 誘惑することを。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Beauté si fière,これほどに 高慢な 美女よ、
prude sévère,厳しく 貞淑ぶった【美女よ】
bientôt j'espère私は 期待している すぐに
toucher son cœur;彼女の心に 触れることを【≒ すぐに 彼女の心を 動かせると】
je ris d'avance私は 笑っている 前もって
de sa défense;彼女の 防衛【≒ 彼女が どうやって 貞操を守るのか】を。
la résistance抵抗は
est de rigueur...;必須だ【≒ 必ずある】…;
puis l'heure arriveそれから 時が やって来る
où la captive,そこで 捕らわれた女は、
faible et plaintive,力なく そして 呻くように
cède au vainqueur.勝者に 屈する。

Beauté si fière,これほどに 高慢な 美女よ、
prude sévère,厳しく 貞淑ぶった【美女よ】
bientôt j'espère私は 期待している すぐに
être vainqueur;勝者に なることを;
bientôt j'espère私は 期待している すぐに
toucher ton cœur;彼女の心に 触れることを【≒ 彼女の心を 動かせると】

LA COMTESSE伯爵夫人
En confiance,自信をもって、
on peut d'avance私は できる 前もって
braver, je pense,勇敢に立ち向かうことを、私は 思う、
son insolence.彼の傲慢に【≒ 彼の傲慢な行為に 今 前もって 立ち向かうことができると 自信をもって 思っている】

LE COMTE ORYオリー伯爵
Il faut, je pense,私は 思っている、
être en défense.防御の状態になる 【↑】べきだ と【≒ あなたは 防御を固めるべきだと 思う】
La confiance自信は
n'est pas prudence.用心深さではない【≒ 自信は 不用心になる】
《ランスへの旅》 N. 5 Duetto
Oh! quanto ingannasi
からの再利用。

En confiance,
en confiance 自信をもって

Récit [Après le Duo]

4/4
(C major)
LA COMTESSE伯爵夫人
Voici vos compagnes fidèles.ほら あなたの忠実な 連れの女性たちが。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Je les entends... ce son eux...私は 彼らを 聞いている… あれは 彼らだ…
(se reprenant)(言い直して)
ce sont elles!あれは 彼女たちだ!
(à part, et regardant vers le fond)(【舞台の】脇で、そして 奥の方を 眺めて)
Mes chevaliers! sous ces humbles habits!私の騎士たちだ! この みすぼらしい 服の下で【≒ このみすぼらしい服を 着て】

LA COMTESSE伯爵夫人
(montrant une table qu'on a apportée à la fin du duo)(テーブルを指し示して それを 人は 持って来た 二重唱の最後で)
J'ordonne qu'on vous serve et du lait e des fruits.私は 命じる 人が あなたたちに 仕えるように そして いくらかの牛乳といくらかの果物を【ふるまうように】

LE COMTE ORYオリー伯爵
Quelle bonté céleste!何という 天使のような善意だ!
(Il baise avec respect la main de la comtesse, qui sort en le regardant avec intérêt. Le Comte la suit quelque temps des yeux; puis il dit, en montrant la table)(彼は キスする 敬意をもって 伯爵夫人の片手に、その者は 退場する 彼を 見ながら 興味を持って。伯爵は いくらかの時間【≒ しばらくの間 】 彼女を 両目で 追う)
L'ordinaire est frugal, et le repas modeste普段の献立は つましく、そして 食事は質素だ
pour d'aussi nobles appétits.これほどの高貴な食欲には。
Je les entends... ce son eux... / ce sont elles!
les は 男性形 彼らを にも 女性形 彼女たちを にも、どちらにも使えるのだが、eux は男性形 彼ら なので、慌てて女性形の elles で言い直した。

J'ordonne qu'on vous serve et du lait e des fruits.
serve < servir には、(人に)仕える と (食べ物などを)ふるまう の両方の意味があり、ここではそれが1語でまとまっている。

pour d'aussi nobles appétits.
d'aussi それほどの

N. 8
[CHŒUR DES CHEVALIERS]

Le comte Ory
Coryphées
Le gouverneur
CHŒUR
Allegro brillante
2/4
C major
(SCÈNE Ⅳ)(第4景)
(Le comte, le gouverneur, onze chevaliers. Ils sont vétus d'une pèlerine qui est entrouverte, et laisse apercevoir leurs habits de chevaliers)(伯爵、教育係、11人の騎士たち。彼らは ケープ【= 袖のない肩掛けマント】を着ている それは 少し 開かれている【≒ 前が開いている】、そして 【それは】 彼らの 騎士の衣服を 見かけさせている)

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Ah! la bonne folie!ああ! 良い狂気【≒ 愉快な 馬鹿騒ぎ】だ!

CORYPHÉE 2 ET LE GOUVERNEUR合唱団員2と教育係
C'est charmant!これは 素敵だ!

LE COMTE ORY ET CORYPHÉE 1オリ―伯爵と合唱団員1
C'est divin!これは 崇高だ【≒ 素晴らしい】

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Le plaisir nous convie快楽が 私たちを 誘っている
à ce joyeux festin.この 陽気な大宴会に。

LE GOUVERNEUR教育係
C'est charmant,これは 素敵だ、

CORYPHÉE 2合唱団員2
C'est divin!これは 崇高だ【≒ 素晴らしい】

LE COMTE ORY ET CORYPHÉE 1オリ―伯爵と合唱団員1
C'est charmant,これは 素敵だ、

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2 ET LE GOUVERNEURオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2と教育係
c'est divin!これは 崇高だ【≒ 素晴らしい】

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Le plaisir nous convie快楽が 私たちを 誘っている
à ce joyeux festin.この 陽気な大宴会に。

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Ah! la bonne folie!ああ! 良い狂気【≒ 愉快な 馬鹿騒ぎ】だ!
Récit


4/4
C major
LE COMTE ORYオリー伯爵
L'aventure est jolie,冒険は おもしろい、
n'est-il pas vrai?... monsieur mon gouverneur?それは 真実ではないか?… 私の 教育係殿よ?

LE GOUVERNEUR教育係
Je pense comme monseigneur.私は 思っている 主人様と同じく。
Mais si le duc...しかし もし 公爵が…

LE COMTE ORYオリー伯爵
Mon père...私の父が…

LE GOUVERNEUR教育係
apprend cette folie,聞き知るならば この狂気【≒ 馬鹿騒ぎ】を、
ma place me sera ravie!私の地位は 私から 奪われるだろう!
Il faut donc prende garde.それゆえ 気を付ける必要がある。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Eh! mais c'est ton emploi;おや! だが それは 君の職務だ;
tu veilleras pour nous, et nous rirons pour toi.君は 注意深く見守る 私たちのために、そして 私たちは 笑う 君のために。
Rien ne nous manquera, je pense;何も 私たちには 不足していないだろう【≒ 私たちは 必要なものをすべて備えている】、と 私は思っている;
car sagement j'ai su choisirなぜなら 賢明に 私は 選ぶことができたからだ
Allegro moderato
4/4
C major
mes compagnons, pour le plaisir;私の仲間たちを、快楽のために;
mon gouverneur, pour la prudence.私の教育係を、用心深さのために。

LE GOUVERNEUR教育係
Qui peut vous inspirer pareille extravagance?誰が あなたに 吹き込むことができるのか そのような 常軌を逸したことを?

LE COMTE ORYオリー伯爵
C'est mon page Isolier... mon rival.それは 私の小姓 イゾリエだ… 私の恋敵の。

LE GOUVERNEUR教育係
L'imprudent!軽率な奴め!

LE COMTE ORYオリー伯爵
Qui, ne connaissant point l'objet de ma tendresse,そうだ、 私の愛情の対象【= 伯爵夫人】を 少しも 知らずに、
m'a conseillé tantôt un tel déguisement彼は 私に 助言を与えた 午後に そのような変装を
pour mieux enlever sa maîtresse.もっと上手く 奪う【≒ 勝ち取る】ために 彼の女主人【= 伯爵夫人】を。

LE GOUVERNEUR教育係
Et le ciel le punit.そして 天は 彼【= イゾリエ】を 罰する。

LE COMTE ORYオリー伯爵
En me récompensant.【天は】 私には 報いるのに。
Allegro brillante
2/4
C major
LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Ah! la bonne folie!ああ! 良い狂気【≒ 愉快な 馬鹿騒ぎ】だ!

CORYPHÉE 2 ET LE GOUVERNEUR合唱団員2と教育係
C'est charmant!これは 素敵だ!

LE COMTE ORY ET CORYPHÉE 1オリ―伯爵と合唱団員1
C'est divin!これは 崇高だ【≒ 素晴らしい】

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Le plaisir nous convie快楽が 私たちを 誘っている
à ce joyeux festin.この 陽気な大宴会に。

LE GOUVERNEUR教育係
C'est charmant,これは 素敵だ!

CORYPHÉE 2合唱団員2
C'est divin!これは 崇高だ【≒ 素晴らしい】

LE COMTE ORY ET CORYPHÉE 1オリ―伯爵と合唱団員1
C'est charmant,これは 素敵だ!

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2 ET LE GOUVERNEURオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2と教育係
c'est divin!これは 崇高だ【≒ 素晴らしい】

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Le plaisir nous convie快楽が 私たちを 誘っている
à ce joyeux festin.この 陽気な大宴会に。

LE COMTE ORY, CORYPHÉE 1, CORYPHÉE 2, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員1,合唱団員2,教育係と騎士たちの合唱
Ah! la bonne folie!ああ! 良い狂気【≒ 愉快な 馬鹿騒ぎ】だ!
(ils se mettent à table)(彼らは テーブルに 身を置く【≒ 食卓に着く】)
[Récit Après le CHŒUR des chevaliers]

4/4
(C major)
LE GOUVERNEUR教育係
Eh! mais, quelle triste observance!おや! それにしても、何という 惨めな戒律だ!
Rien que du laitage et des fruits.乳製品と果物の他は 何もない。

LE COMTE ORYオリー伯爵
C'est le repas de l'innocence,これは 無垢【な人】【≒ 修道女】の食事だ、
Mesdames...貴女たちよ…

LE GOUVERNEUR教育係
Point de vin!..少しも ワインがない!…
Allegro
4/4
(C major)
CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
Point de vin!..少しも ワインがない!…


(SCÈNE Ⅴ)(第5景)
(Les précédens, Raimbaud, tenant un panier sous son manteau de pèlerine)(前の景の人たち、ランボ、彼のケープのマントの下に 籠を 持って)

RAIMBAUDランボ
En voici, mes amis.それは ここにある、私の友たちよ。

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
(se levant)(立ち上がって)
C'est Raimbaud!これは ランボだ!

RAIMBAUDランボ
En héros j'ai tenté l'aventure,英雄のように 私は 冒険を 試みた、
et je viens avec vous partager ma capture.そして 私は あなたたちと 分け合いに来た 私の捕獲物を。
Approchez! écoutez le récit des exploits近付きなさい! 耳を傾けなさい 偉業の話に
que pour vous j'ai tentès.それ【≒ 偉業】を あなたたちのために 私は 試みた。
N. 9
[AIR DE RAIMBAUD]

Raimbaud
CHŒUR
Allegro giusto
4/4
E-flat major
RAIMBAUDランボ
Dans ce lieu solitaire,この 人気 ひとけ のない場所で、
propice au doux mystère,【その場所は】甘美な謎に 適している【≒ 素敵な秘密のありそうな】
moi qui n'ai rien à faire,私は その者は することを 何も持っておらず【≒ 何もすることがなかった】
je m'étais endormi.私は 眠り込んだ。
Dans mon âme indécise,私の ぼんやりした魂の中で【≒ 眠気に 朦朧 もうろう とする 私の心の中で】
certain goût d'entrepriseある種の 企てへの意欲が
que l'exemple autoriseそれを 手本が 認めている【≒ その企てへの意欲は 私が模範としているオリー伯爵も認めるところだ】
vient m'éveiller aussi.【企てへの意欲が】私をも 呼び覚ますことになる。

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
Quoi! Raimbaud s'en mêle aussi!何と! ランボも それに 加わっているのだ!

RAIMBAUDランボ
C'est le seul moyen d'êtreそれは 唯一の手段だ
digne d'un pareil maître,そのような主人に 相応しく 【↑】なるための、
et je veux reconnaîtreそして 私は 踏査することを望む
ce manoir en détail!この古い館を 詳しく!
Je pars... je m'oriente;私は 出発する… 私は 向かう;
à mes yeux se présente私の両目に 現れる
une chambre élégante,格調の高い部屋が、
c'est celle du travail.それは 仕事のもの【≒ 仕事部屋】だ。

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
Et quel est ce travail?それで その仕事は 何だ?

RAIMBAUDランボ
Une harpe jolie...素敵な竪琴が…
de la tapisserie;いくつかの壁掛け織物が;
près d'une broderieある刺繍の近くに
j'aperçois un roman!私は 見かける 長編小説を!
Même en une chambrette,ある小部屋ですら、
j'ai, dans une cachette,私は、ある隠し場所の中に、
cru voir l'historiette見たと信じている 小話を
du beau Tiran-le-Blanc!素晴らしい ティラン=ル=ブラン【= ティラン・ロ・ブラン】の!

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
Quoi, vraiment? Un roman?何だって、本当か? 長編小説を?

RAIMBAUDランボ
Je sors de l'oratoire私は 出る 小礼拝堂から
et j'entre au réfectoireそして 私は 入る 食堂に
où rien ne me fait croireそこには 私に信じさせるものは 何もない
à l'espoir d'un festin;大宴会の希望を【≒ 大宴会を 私に期待させるものは 何もなかった】
marchant à l'aventure冒険に向かって【さらに】進むと
sous une voûte obscure,暗い丸天井の下に、
j'entrevois l'ouverture...私は ちらっと見る 開口部を…
d'un affreux souterrain.恐ろしい地下道の【≒ 不気味な 地下通路への入口を 見付けた】

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
Un affreux souterrain.恐ろしい地下道。

RAIMBAUDランボ
Une beauté naïve純真な美女が
peut y gémir, captive.そこで 呻いているかもしれない、捕らわれて。
Je m'élance et j'arrive私は 駆け出して そして 私は 到着する
dans un vaste cellier,広い貯蔵室の中に、
dont l'étendue immenseその 広大な広さは
et la bonne apparenceそして 優れた様子は
attestent la prudence用心深さを 証明している
du sir de Formoutier.フォルムティエ氏の【≒ 用心深さを】

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
Pouvait-on mieux tomber!人は よりよく 倒れることができたか【≒ あなたは もっと上手く 出くわすことが できただろうか ≒ 最高の出会いだ】

RAIMBAUDランボ
Arsenal redoutable,恐るべき 兵器庫は、
qui fait qu'on puise à tableそれは 結果を生んでいる 食卓で 人【≒ 十字軍に参加する騎士たち】が 汲み出す
un courage indomptable屈服させられない 勇気を
contre le Sarrazin.サラセン人に対する【≒ 膨大なワイン貯蔵庫のおかげで、食卓において 騎士たちから サラセン人に立ち向かう不屈の勇気が 引き出された】
Armée immense et belle,膨大な軍隊だ そして 立派な
d'une espèce nouvelle,新しい種類の【≒ 最新鋭の 大勢の立派な軍隊だ】
plus à craindre que celleより 恐れるべきだ
du sultan Saladin...スルタンのサラダンの 【↑】それ【= 軍隊】よりも…

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
C'est charmant, c'est divin!それは 素敵だ、それは 崇高だ【≒ 素晴らしい】

RAIMBAUDランボ
Près des vins de Touraine,トゥーレーヌのワインの傍に
je vois ceux d'Aquitaine;私は 見る アキテーヌのもの【= ワイン】を;
et ma vue incertaineそして 私の はっきりしない視力は
s'ègare en les comptant.錯乱する それらを 数えながら。
Là, je vois l'Allemagne;あそこに 私は 見る ドイツ【のワイン】を;
ici, brille l'Espagne;ここでは、スペイン【のワイン】が 輝いている;
là frémit le champagneあそこでは シャンパンが 震えている
du joug impatient.束縛に 苛立って【≒ 早く 栓を 抜いてほしくて】

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
C'est divin, c'est charmant!それは 崇高だ【≒ 素晴らしい】、それは素敵だ!

RAIMBAUDランボ
J'hésite... ô trouble extrême!私は 迷う… ああ 極度の狼狽だ【≒ すっかり 戸惑ってしまった】
ô doux péril que j'aime!ああ 甘美な危機だ それを 私は 愛している!
et seul, avec moi-même,そして 一人で、私自身で、
contre tant d'ennemis,たくさんの敵に対して
au hasard, je m'élance[,]偶然に【≒ 行き当たりばったりに】、私は 突進する
sans compter, je commence,数えることなしに、私は 始める、
j'attaque avec vaillance私は 攻撃する 勇敢さをもって
à la fois vingt pays.一度に 20の国々を。
《ランスへの旅》 N. 6 Aria
Medaglie incomparabili
からの再利用。

このランボの歌の歌詞は、いわゆる歴史的現在で書かれており、過去の出来事を述べているが動詞は現在形を用いている。この訳ではあえてそのまま現在形で訳している。

j'ai, dans une cachette, / cru voir l'historiette / du beau Tiran-le-Blanc!
Tiran-le-Blancとは、15世紀末のスペイン、ヴァレンシアのジュアノット・マルトゥレイによる騎士道小説 ティラン・ロ・ブラン Tirant lo Blanch(1490)のこと。当時の大人気書であるが、今日ではむしろ100年以上後にミゲル・デ・セルバンテスが『ドン・キホーテ』において主人公が高く評価する書として取り上げていることで知られているだろう。
ともかくも、騎士道、冒険、そして恋を取り扱った当時としては最先端の(それゆえ高貴な婦人が読むようなものではなかろう)書物を、おそらくは伯爵夫人がこっそりと読んでいたことが明かされ、これによって伯爵夫人の真の人物像が仄めかされている。

plus à craindre que celle / du sultan Saladin...
Saladin サラダン,サラディンは、12世紀にエジプト、シリアなどを支配したサラーフッディーン 1137頃―1193 のこと。エルサレム王国を滅ぼし、これを奪還するため送られた第3回十字軍を苦戦しながらも退けた。

Allegro con brio
3/4
E-flat major
Quelle conquêteどれくらいの獲得物が
pour moi s'apprête!...私のために 用意してあるのか!…
Mais je m'arrête,だが 私は 止まる、
j'entends du bruit.私は 物音を聞く。
Quelqu'un s'avance,誰かが 近付いて来る、
vers moi s'élance;私の方へと 突進している;
de notre course私たち【= ランボと相手】の歩みで
les murs frémissent,壁が 震えている、
ils retentissent,それら【= 壁】が 響き渡る、
on me poursuit.人が 私を 追いかけている。
On crie: >>arrête!人は 叫ぶ: 止めろ!
arrête! arrête!<<止めろ! 止めろ!
L'écho répète反響が 繰り返して言う
ces cris d'alarme.この 警告の叫び声を。
Je fuis soudain.私は 突然に【≒ 大慌てで】 逃げる
Quel jour de fête,何という 祝宴の日だ、
ô mes amis!ああ 私の友たちよ!
Ô mes amis, de ma conquêteああ 私の友たちよ、私の征服の
voilà les fruits!これが 成果だ!

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
De sa conquête彼の征服の
prenons les fruits.成果を 受け取ろう。
《ランスへの旅》 N. 6 Aria
Sta tutto all'ordine
からの再利用。

[Récit Après l'Air de Raimbaud]

4/4
(C major)
LE COMTE ORYオリー伯爵
Du fruit de sa victoire彼の勝利の成果の
il fait hommage à l'amitié.献呈を 彼は している 友情に【≒ 彼は 戦果を 友情に 差し出している】
Dans sa conquête et dans sa gloireこの獲得物において そして 彼の手柄において
soyons tous de moitié.私たちは 全員 半分にしよう【≒ 皆で 山分けしよう】
N. 10
[CHŒUR DES CHEVALIERS]

Le comte Ory
Coryphées
Raimbaud
Le gouverneur
CHŒUR
Allegro moderato
6/8
F major
LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員,ランボー,教育係と騎士たちの合唱
Buvons, buvons soudain!...飲もう、突然【≒ 今すぐ】 飲もう!…
qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain!【それは】城主殿だ!
Pendant qu'il fait la guerre彼は 戦争を しているのに
au Turc, au Sarrazin,トルコ人と、サラセン人と、

LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD ET LE GOUVERNEURオリ―伯爵,合唱団員,ランボーと教育係
à sa santé si chère彼の とても 大切な 健康を祝して
buvons ce jus divin.飲もう この 神の【≒ この上なく素晴らしい】果汁を。
Buvons!...飲もう!…
qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain!【それは】城主殿だ!

LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員,ランボー,教育係と騎士たちの合唱
qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain!【それは】城主殿だ!
Buvons, buvons ce jus divin, jusqu'à demain.飲もう、飲もう この 神の【≒ この上なく素晴らしい】果汁を、明日まで。
Quelle douce ambroisie!何と 味の良い 神々の食べ物だ!

2/4
C major
LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員,ランボー,教育係と騎士たちの合唱
Célébrons tour à tour称賛しよう、順々に
le vin e la folie,ワインと 狂気【≒ 馬鹿騒ぎ】を、
le plaisir et l'amour.喜びと 愛を。
Allegro moderato
6/8
F major
Qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain.【それは】城主殿だ!
Buvons, buvons ce jus divin, jusqu'à demain.飲もう、飲もう この 神の【≒ この上なく素晴らしい】果汁を、明日まで。
Récit


4/4
F major
LE COMTE ORYオリー伯爵
On vient... c'est la tourière!...人が 来る… あれは 受付担当者【= ラゴンド夫人】だ!…
silence! taisez-vous!静かに! 黙りなさい!
mettez-vous en prière,祈り始めなさい、
ou bien c'est fait de nous.さもないと 私たちは もう 終わった。
ou bien c'est fait de nous.
c'est fait それは 成された ≒ 終わった。英語における it's done に相当する。bien は強調。

Andantino
6/8
A-flat major
(SCÈNE Ⅵ)(第6景)
(Les précédens, dame Ragonde, traversant le théâtre, et examinant si ces pèlerines n'ont besoin de rien)(前の景の人たち、ラゴンド夫人、舞台を横切って、そして 観察して これらの巡礼の女たちが 何も必要としていないかどうか)

LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD ET LE GOUVERNEURオリ―伯爵,合唱団員,ランボーと教育係
(fermant leur pèlerine, et cachant leur bouteille, sans avoir l'air de voir Ragonde)(彼らのケープ【= 袖のない肩掛けマント】【の前】を閉じて、そして彼らの瓶を隠して、ラゴンドを見るように見えることなく)
Toi que je revère,君よ その者を 私は 夢見ている【≒ 崇めている】
entends ma prière;私の祈りを 聞きなさい;
ô Dieu tutélaire,ああ 守護する神よ、
viens dans ta bonté君の善意の中に 来なさい;
sauver l'innocence,無実の者を 救いなさい、
et que ta puissanceそして 君の力が
un jour récompenseある日 報いる 【↑】ように
l'hospitalité.もてなしに。

(Ragonde les regarde d'un air attendri, lève les yeux au ciel, et s'éloigne)(ラゴンドは 彼らを 感動した様子で見て、両目を天に向けて上げる【≒ 天を見上げる】、そして 彼女は 離れる)
Récit


4/4
F major
RAIMBAUDランボ
Elle a disparu,彼女は 見えなくなった、
réparons bien le temps perdu.失われた時を 大いに 埋め合わせしよう。
Allegro moderato
6/8
F major
LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員,ランボー,教育係と騎士たちの合唱
Buvons, buvons soudain!...飲もう、突然【≒ 今すぐ】 飲もう!…
qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain!【それは】城主殿だ!
Pendant qu'il fait la guerre彼は 【今頃】 戦争を しているのに
au Turc, au Sarrazin,トルコ人と、サラセン人と、

LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD ET LE GOUVERNEURオリ―伯爵,合唱団員,ランボーと教育係
à sa santé si chère彼の とても 大切な 健康を祝して
buvons ce jus divin.飲もう この 神の【≒ この上なく素晴らしい】果汁を。
Buvons!...飲もう!…
qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain!【それは】城主殿だ!

LE COMTE ORY, CORYPHÉE, RAIMBAUD, LE GOUVERNEUR ET CHŒUR DES CHEVALIERSオリ―伯爵,合唱団員,ランボー,教育係と騎士たちの合唱
qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain!【それは】城主殿だ!
Buvons, buvons ce jus divin, jusqu'à demain.飲もう、飲もう この 神の【≒ この上なく素晴らしい】果汁を、明日まで。
Quelle douce ambroisie!何と 味の良い 神々の食べ物だ!
204 - 265 もしくは 191 - 252 に省略可記号 Vi--de あり。


2/4
C major
Célébrons tour à tour
le vin e la folie,ワインと 狂気【≒ 馬鹿騒ぎ】を、
le plaisir et l'amour.喜びと 愛を。
Allegro moderato
6/8
F major
Qu'il avait de bon vin,上等なワインを持っている人、
le seigneur châtelain.【それは】城主殿だ!
Buvons, buvons ce jus divin, jusqu'à demain.飲もう、飲もう この 神の【≒ この上なく素晴らしい】果汁を、明日まで。
Quelle douce ambroisie!何と 味の良い 神々の食べ物だ!
[Récit Après le CHŒUR des chevaliers]
Allegro
4/4
(C major)
LE COMTE ORYオリー伯爵
Elle revient. Silence!彼女が 戻って来る。 沈黙を!
Moderato
4/4
(C major)
(SCÈNE Ⅶ)(第7景)
(Les précédens, la comtesse, dame Ragonde, plusieurs femmes, portant des flambeaux)(前の景の人たち、伯爵夫人、ラゴンド夫人、何人もの女性たち、松明 たいまつ を持って)

LA COMTESSE伯爵夫人
(à part aux autres femmes)(傍らで 他の女性たちに)
Quel doux recueillement... combien je les admire!何という 穏やかな瞑想だ… 何と 私は 彼女たちに 感心していることか!
Allegro moderato
4/4
(C major)
(haut)(大声で)
Du repos voici le moment.さあ 眠りの時間だ。
Que chacune de vous, mesdames, se retireあなたたちの各々が、奥様方よ、身を引くように
dans son appartement.彼女の【≒ それぞれの】居室に。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Adieu, noble Comtesse... ah! si le ciel m'entendさようなら、気高い伯爵夫人よ… ああ! もし 天が 私【の願い】を 聞くならば
bientôt viendra l'instant peut-être,ことによると 瞬間が すぐに 来るだろう
où pourrai vous faire connaîtreそこで【= その瞬間に】 【私は】 あなたに 知らせることができるだろう
ce qu'éprouve pour vous mon cœur reconnaissant.私の 感謝している心が あなたに 感じていることを。
Andantino
6/8
F major
(Le comte et les chavaliers prennent les flambeaux des mains des dames, et se retirent)(伯爵と騎士たちは 女性たちの手の松明 たいまつ を取り、そして 立ち去る)
Récit


4/4
F major
(SCÈNE Ⅷ)(第8景)
(La Comtesse, dame Ragonde, quelques autres dames)(伯爵夫人,ラゴンド夫人,何人かの他の女性たち)

LA COMTESSE伯爵夫人
(commençant à défaire son voile)(彼女のヴェールを 解き始めて)
Oui, c'est une bonne œuvre, et qui, dans notre zèle,そうだ、これは 良い活動だ、そして それ【= 良い活動】は、私たちの熱意の中で【≒ 私たちが 熱心に 関わることで】
doit nous porter bonheur.私たちに 幸福を もたらすに違いない。
Allegro vivace
4/4
(C major)
(écoutant)(耳を傾けて)
On sonne à la tourelle,人が 【鐘を】 鳴らしている 小塔で、
Qui vient encore?また 誰が 来たのか?

RAGONDEラゴンド
(regardant par la fenêtre)(窓越しに見て)
Un page.小姓だ。

LA COMTESSE伯爵夫人
Un page dans ces lieux小姓が この場所の中に
dont l'enceinte est par nous aux hommes interdite!...その城内は 私たちによって 男性たちに 禁じられている【= 私たちが 男の立ち入りを禁じている場所に 小姓が】
Je veux savoir quel est l'audacieux...私は 知りたい 大胆な人が 誰なのか…


(SCÈNE Ⅸ)(第9景)
(Les précédens, Isolier, et les autres femmes)(前の景の人たち、イォリエ、そして他の女性たち)

ISOLIERイゾリエ
C'est moi, belle cousine, et point je ne mérite私だ、美しい従姉 いとこ よ、そして 私は 少しも 値しない
le fier courroux qui brille en vos beaux yeux.尊大な怒りには それは 輝いている あなたの美しい目で。

LA COMTESSE伯爵夫人
Qui vous amène ici?誰が あなたを ここに 連れて来るのか?

ISOLIERイゾリエ
Le duc, mon maître.公爵だ、私の主人の。
Il m'a chargé de vous faire connaître,彼は 私に 負わせた あなたに 知らせることを、
à ces dames... à vous... qu'aujourd'hui... cette nuit...この婦人に… あなたに… 今日… 今夜…
leurs maris... votre frère... arrivent à minuit.彼女たちの夫が… あなたの兄が… 到着する 真夜中に 【↑↑】と。
Allegro
4/4
(C major)
CHŒUR DESSUSソプラノの合唱
Quoi! nos maris... bonté divine!...何だって! 私たちの夫たちが… 神の善意だ【≒ まさか】!…
Récit


4/4
(C major)
ISOLIERイゾリエ
Ils reviennent de Palestine彼らは パレスチナから 帰って来て
et veulent, en secret, vous surprendre ce soir.そして、密かに、あなたたちを 不意に訪れたいと思っている 今晩。
Allegro
4/4
(C major)
CHŒUR DESSUSソプラノの合唱
Ah! cet heureux retour comble tout notre espoir!ああ! この幸せな帰還は 私たちの希望を すっかり 満足させる!
(Récit)


4/4
(C major)
ISOLIERイゾリエ
Le duc le croit aussi; mais il pense en son âme公爵も そのことを 信じている; だが 彼は 思っている 彼の魂で
qu'un mari bien prudent prévient toujours sa femme.大いに慎重な夫は 予告する いつも 彼の妻に。
Un bonheur trop subit peut être dangereux.あまりに急な幸福は 危険になり得る。

RAGONDEラゴンド
Quoi! nos maris enfin reviennent dans ces lieux!そうだ! 私たちの夫たちが とうとう この地に 帰って来る!
Ah! le ciel les devait à nos vives tendresses.ああ! 天は 彼らを 私たちの生き生きとした愛情に 負っていた【≒ 天は 私たちの生き生きとした愛情に 彼らを 返さなければならなかった】
Je cours en prévenir nos aimables hôtesses.私は 急いで行く そのことを知らせに 愛すべき客人たちに。

ISOLIER
(l'arrêtant)(彼女を 停止させて)
Et qui donc?...さて ところで 誰なのか?…

RAGONDEラゴンド
Quatorze vertus...14の 貞節【を守る女性たち】だ…
que le comte Ory votre maîtreその者たちを あなたの主人 オリー伯爵が
poursuivait.追いかけた。

ISOLIERイゾリエ
De terreur tous mes sens sont émus.恐怖で 全ての私の感覚が 動揺した。
Achevez... Ce son peut-être話し終えなさい… それは もしかして
des pèlerines?巡礼の女たちなのか?

RAGONDEラゴンド
Oui, vraiment.そうだ、実際に。

ISOLIERイゾリエ
C'est fait de nous... Sous ce déguisementそれは 成された 私たちに対して【≒ 私たちが やられたのか】… その変装の下で
vous avez accueilli le comte Ory lui-même,あなたたちは 受け入れたのだ オリー伯爵 彼自身を、
et tous ses chevaliers.そして すべての 彼の騎士たちを。
Ah! le ciel les devait à nos vives tendresses.
この文は、もちろん、devait の後の動詞が省略されているものとして理解することもできるのだが、ここでは devoir をそのまま動詞として採った。
devoir qc à qn/qc ―に…を負っている,―から…を借りている という意味から転じて ⇒ ―に …を 返さなければならない と理解した。

C'est fait de nous...
第1幕の二重唱で、イゾリエがオリー伯爵に明かした秘策を、彼が 自分たちに対してやったのか、という意味。

Allegro
4/4
(C major)
CHŒUR DESSUS合唱
Ô ciel!ああ 天よ!
(Récit)


4/4
(C major)
LA COMTESSE伯爵夫人
Terreur extrême!極度の 恐怖だ!

RAGONDEラゴンド
Que dire à mon mari, trouvant en ses foyers何を 言うのか 私の夫に、彼の家々に 見付けて
sa chaste épouse avec quatorce chevaliers?彼の 貞淑な妻を 14人の騎士たちと一緒の【≒ 故郷に帰って来た私の夫が、私が14人の騎士たちと一緒にいるところを見たら、私は何といえばよいのだろうか?】
trouvant en ses foyers
foyer は 家,家族,家庭 の意味。ただしここでは、一人の夫に複数形 foyers が用いられており、あるいは複数形での 故郷 の意味かもしれない。

Allegro
4/4
(C major)
CHŒUR DESSUSソプラノの合唱
Hélas! à quel péril sommes-nous réservées?何ということだ! どんな危険に 私たちは 残されたのか?
(Récit)


4/4
(C major)
ISOLIERイゾリエ
Une heure seulement, et vous êtes sauvées.1時間だけ【あれば】、そうすれば あなたたちは 救われる。
On va nous secourir... Il faut gagner du temps.彼ら【帰還する騎士たち】が 私たちを 救出するだろう…
Allegro
4/4
(C major)
CHŒUR DESSUS合唱
Hélas! hélas, je tremble!何ということだ! 何ということだ!
Récit


4/4
(C major)
LA COMTESSE伯爵夫人
Plus terrible à lui seul que les autres ensemble...より恐ろしい 彼一人だけで 他のまとめて よりも…
Ce ccomte Ory... le voici... je l'entends.そのオリー伯爵が… 彼が ここにいる… 私は そのことを 理解している。

ISOLIERイゾリエ
Ne craignez rien. Au péril de ma vie何も 恐れるでない。私の命の危機で【≒ 私の命を 賭けて】
je vous défendrai contre eux tous.私は あなたを 守るだろう 彼ら全員に対して。
Andantino
3/8
F major
CHŒUR DESSUSソプラノの合唱
Protège-nous, Dieu des époux.私たちを 保護しなさい、夫婦の神よ。

(Elles sortent, et Isolier va souffler la lampe qui est sur le guéridon; puis s'enveloppant du voile que la comtesse vient de quitter, il se place sur le canapé, et fait signe à la comtesse de s'approcher de lui)(彼女たちは 退場する、それから イゾリエは 灯りを 吹き消しに行く それは 小型円テーブルの上にある; そして 伯爵夫人に 合図する 彼に 近寄るように)
134 - 146(この箇所全部)に省略可記号 Vi--de あり。

Andante
4/4
C major
4小節

Récit


4/4
(C major)
LA COMTESSE伯爵夫人
D'effroi je suis toute saisie.私は すっかり 恐怖に 襲われている。

ISOLIERイゾリエ
Dame tant chérie! Âme de ma vie!とても いとしい 婦人よ! 私の命の魂よ!
Ne craignez rien, je suis auprè de vous.何も 恐れるでない、私が あなたの傍にいる。
N. 11
TRIO

La comtesse
Isolier
Le comte Ory
Andantino
4/4
A major
(SCÈNE Ⅹ)(第10景)
(Isolier, assis sur le canapé; la comtesse, debout, s'appuyant près de lui; le comte, sortant de sa chambre Quand le page souffle, nui totale)(イゾリエ、長椅子の上に座って; 伯爵夫人、立って、彼の傍で 寄りかかって; 伯爵、彼の部屋から出て 小姓が 一息入れる時、完全な夜【になる】)

LE COMTE ORYオリー伯爵
À la faveur de cette nuit obscure,この暗い夜の 特別の計らいに【≒ この暗い夜に 乗じて】
avançons-nous, et sans la réveiller.前進しよう、そして 目覚めさせることなく。
Il faut céder au tourment que j'endure;激しい苦しみに 屈しなくてはならない それ【= 激しい苦しみ】を 私は 耐えている【≒ 耐えがたい苦しみの 言うなりにならざるを得ない ≒ もう我慢ならない】
amour me berce, et ne puis sommeiller.愛が 私を 揺すり、そして【私は】 まどろむことが できない【≒ 愛に 揺すぶられ、私は 眠ることすら できない】
D'amor et d'espérance愛に そして 期待に
je sens battre mon cœur;私は 感じている 私の心臓が 動悸を打っているのを;
la nuit et le silence夜 と 静寂が
assurent mon bonheur.私の幸福を 保証している。

ISOLIERイゾリエ
De crainte et d'espérance恐れに そして 希望に
je sens battre mon cœur;私は 感じている 私の心臓が 動悸を打っているのを;
la nuit et le silence夜と 静寂が
redoublent son erreur.【= オリー伯爵】の間違いを 倍加している【≒ 夜と 静寂に 彼は 間違えやすくなっている】

LA COMTESSE伯爵夫人
De crainte et d'espérance恐れに そして 希望に
je sens battre mon cœur;私は 感じている 私の心臓が 動悸を打っているのを;
la nuit et le silence夜と 静寂が
redoublent ma frayeur.私の恐怖を 倍加している。

ISOLIERイゾリエ
(bas à la comtesse)(小声で 伯爵夫人に)
Parlez-lui.彼に 話しかけなさい。

LA COMTESSE伯爵夫人
Qui va là?そこで 行くのは 誰か?

LE COMTE ORYオリー伯爵
C'est moi; c'est sœur Colette.私だ; 修道女コレットだ。
Seule et dans cette chambre où je ne puis dormir,一人で そして あの部屋の中で 私は 寝ることができない、
tout me trouble et tout m'inquiète.すべてが 私を 動揺させて そして すべてが 私を 不安にする
J'ai peur... permettez-moi... près de vous de venir.私は 恐れて【≒ 怖くなって】… 私を 許しなさい… あなたの傍に 来たことを…

ISOLIERイゾリエ
(à part)(傍らで)
Ah! quelle perfidie!ああ! 何という 不実!

LA COMTESSE伯爵夫人
(à part)(傍らで)
Ah! quelle perfidie!ああ! 何という 不実!

LE COMTE ORYオリー伯爵
(avançant près d'Isolier)(イゾリエの傍に 前進して)
Ô moment plein de charmes!ああ 魅力に満ちた 瞬間よ!
Quand on est deux, on a moins peur.私たちが 二人でいる時は、私たちは より少ない 恐怖を 持つ【≒ 二人でいれば、怖さが 軽くなる】

ISOLIERイゾリエ
(à part)(傍らで)
Oui, lorsque l'on est deux.そうだ、私たちが二人の時に。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(prenant la main d'Isolier)(イゾリエの片手を 取って)
Ah! je n'ai plus d'alarmes.ああ! 私は もう 不安を 持っていない【≒ 私は もう 怖くない】

LA COMTESSE伯爵夫人
Que faites-vous?あなたは 何を しているのか?

LE COMTE ORYオリー伯爵
(pressant la main d'Isolier)(イゾリエの片手を 握りしめて)
Pour moi plus de frayeur!私には もう 恐怖はない!
quand cette main est sur mon cœur.この手が 私の心臓【≒ 胸】の上に ある時は。

LA COMTESSE伯爵夫人
(à part, et riant)(傍らで,そして 笑って)
Il presse ma main sur son cœur.彼は 私の手を 押し付けている 心臓の上に。

ISOLIER
(bas à la comtesse)(小声で 伯爵夫人に)
Beauté sévère,厳しい美女よ、
laissez-le faire;彼に させておきなさい;
son bonheur ne vous coûte rien.彼の幸福は あなたに 何も もたらさない。【= 彼が 幸福になったところで、あなたが失うものは 何もない】

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à part)(傍らで)
Grand dieu! quel bonheur est le mien!偉大な神よ! 何という幸福が 私のものに なっているのだ!
D'amor et d'espérance愛に そして 希望に
je sens battre mon cœur;私は 感じている 私の心臓が 動悸を打っているのを;
la nuit et le silence夜と 静寂が
assurent mon bonheur.私の幸福を 保証している。

ISOLIERイゾリエ
De crainte et d'espérance恐れに そして 希望に
je sens battre mon cœur;私は 感じている 私の心臓が 動悸を打っているのを;
la nuit et le silence夜と 静寂が
redoublent son erreur.【= オリー伯爵】の間違いを 倍加している【≒ 夜と 静寂によって 彼は 間違いやすくなっている】

LA COMTESSE伯爵夫人
De crainte et d'espérance恐れに そして 希望に
je sens battre mon cœur.私は 感じている 私の心臓が 動悸を打っているのを。
la nuit et le silence夜と 静寂が
redoublent ma frayeur.私の恐怖を 倍加している。
Maintenant, je vous en supplie,さあ、私は あなたに それについて 懇願する
sœur Colette, rentrez chez vous.修道女コレットよ、あなたのところに 戻りなさい。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(à Isolier)(イゾリエに)
Vous quitter... c'est perdre la vie...あなたの元を 去ること… それは 命を 失うこと
Non, je demeure à vos genoux.いいや、私は 留まる あなたの両膝に【≒ 私は あなたの前から 離れない】

LA COMTESSE伯爵夫人
(à part)(傍らで)
Je tremble, ô ciel!私は 震えている、ああ 天よ!
(haut)(大声で)
que faites-vous?あなたは 何を しているのか?

LE COMTE ORYオリー伯爵
Sachez le feu qui me dévore!火を 知りなさい それは 私を 焼き尽くす【≒ 私を 焼き尽くす 炎を 分かってほしい】
C'est un amant qui vous implore.それは 恋する男だ その者は あなたに 懇願している【≒ あなたに乞い願っているのは あなたを愛する男だ】

LA COMTESSE伯爵夫人
Ah! grand dieu, quelle trahison!ああ! 偉大な神よ、何という 裏切りだ!

LE COMTE ORYオリー伯爵
L'amor qui trouble ma raison愛は それは 曇らせている 私の理性を
doit me mériter mon pardon.【愛は】 私において 私の許しに 値するに 違いない【≒ 私の理性を 掻き乱すほどの愛が 私を 大目に見るのは 当然なことに 違いない】
(à Isolier, qui veut se lever)(イゾリエに、その者は 立ち上がろうとする)
Ne m'ôtez point, je la réclame,私から 少しも 取り除くでない、私は そのことを 強く求める、
cette main, que ma vive flamme...この片手を【≒ この手を 引っ込めないで】、それは 私の激しい炎【である】

LA COMTESSE伯爵夫人
Ah! Comme vous me pressez!ああ! 何と あなたは 私【の手を】を 握りしめていることか!
Laissez-moi.

LE COMTE ORYオリー伯爵
(embrassant Isolier)(イゾリエに キスして)
Vrai dieu! madame,真の神よ! 貴女よ、
peut-on vous aimer assez?人は 十分に あなたを 愛することができるのか【≒ 私は あなたを たっぷりと 愛しても いいのかね】
Pour moi plus de frayeur!
この場合の plus de は、non plus de から non が省略されたもの。

L'amor qui trouble ma raison / doit me mériter mon pardon.
mériter は ―に値する,相応しい の意味だが、例えば
Cette peinture merite un million d'euros. この絵は 百万ユーロに値する。
これは言い換えると
これほどの絵が 百万ユーロするのは当然である。
といった意味合いになる。

Vrai dieu!
Grand dieu! と同様の感嘆の表現。

Allegro
2/2
A major
(En ce moment on entend sonner la cloche; et un bruit de clairons retentit à la porte du château)(この瞬間に 人は 聞く 鐘が 鳴り響くのを; そして ラッパの音が 響き渡る 城の扉で)

LA COMTESSE DE FORMOUTIER, ISOLIER ET LE COMTE ORY伯爵夫人,イゾリエ と オリー伯爵
J'entends d'ici le bruit des armes,私は 聞いている この辺りから 武器の物音を、
le clairon vient de retentir.ラッパが 響き渡りに 来ている。

LA COMTESSE DE FORMOUTIER et ISOLIER伯爵夫人 と イゾリエ
Plus de frayeur et plus d'alarmes,もう 恐怖は ない そして もう 不安は ない、
on vient enfin nous secourir.【= 彼ら = 騎士たち】が ついに 私たちを 救助に 来ている。

LE COMTE ORYオリー伯爵
A quel danger faut-il courir?何という危機に向かって 走らなければならないのか?
Faut il quitter autant de charmes?これほどの 【女の】色香から 離れなくてはならないのか?
Faut il quitter autant de charmes?
複数形の charmes で、女の色香,肉体的魅力 を意味する。

[Récit Après le Trio]
Allegro vivace
2/2
C major
(Les femmes de la comtesse se précipitent dans l'appartement, en tenant des flambeaux)(伯爵夫人の女性たち【≒ 侍女たち】は 突進する 居室の中に、そして 松明 たいまつ を持って)
LE COMTE ORYオリー伯爵
Ô ciel! quel est ce bruit?ああ 天よ! この物音は 何なのか?
Récit


2/2
(C major)
ISOLIERイゾリエ
(jetant son voile)(ヴェールを 投げ捨てて)
L'heure de la retraite.退却の時間だ、
Car il faut partir, monseigneur.なぜなら 出発しなくはならないからだ、貴君よ。

LE COMTE ORYオリー伯爵
(le reconnaissant)(彼を 見分けて【≒ イゾリエだと 分かって】)
C'est mon page Isolier.これは 私の小姓 イゾリエだ。

ISOLIERイゾリエ
Celui que sœur Colette修道女コレットが
embrassait avec tant d'ardeur.たくさんの情熱をもって キスをした 【↑】者だ。

LE COMTE ORYオリー伯爵
Je suis trahi! crains ma colère!私は 裏切られた! 私の怒りを 恐れなさい!

ISOLIERイゾリエ
Craignez celle de votre père!恐れなさい あなたの父のそれ【= 怒り 女性名詞】を。
Il arrive dans ce castel.彼は この城に 到着する。
Entendez-vous ces cris de joie?あなたは あの 喜びの叫びを 聞いているか?

LE COMTE ORYオリー伯爵
O ciel!ああ 天よ!

2/4
E-flat major
(SCÈNE ⅩⅠ)(第11景)
(Les précédens; le gouverneur, Raimbaud, compagnons du ccomte Ory, en habits de chevaliers, et paraissant à la grille à droite)(前の景の人たち、ランボ、オリー伯爵の仲間たち、騎士の服装をして、そして 右側の鉄格子に 現れて)

CHŒUR DES CHEVALIERS騎士たちの合唱
Ah! quelle perfidie!ああ! 何という背信だ!
Nous sommes tous sous le verroux;私たちは 全員 差し錠の下にいる【≒ 監禁されている ≒ 捕らわれの身になった】
délivrez-nous!私たちを 解放しなさい!

LE COMTE ORYオリー伯爵
Je suis captif ainsi que vous.私は 捕らわれている 君たちのように。
371小節から398小節まで(この箇所全部)、省略可記号 Vi--deあり。

(Récit)
2/2
(C major)
LA COMTESSE伯爵夫人
Vous qui faisiez la guerre aux femmes,あなたは ここで 戦いをした 女性たちに対して
vous voilà donc nos prisonniers!さて ところで あなたたちは 私たちの捕虜だ!

LE COMTE ORYオリー伯爵
Oui, nous sommes vaincus! à vos pieds, nobles dames,そうだ、私たちは 負けた! あなたたちの足元に、高貴な婦人よ、
je demande merci pour tous mes chevaliers.私は 求める 哀れみを 私の騎士たち全員への
Pour leur rançon, qu'exigez-vous?彼らの身代金として あなたは 何を 要求するのか?

LA COMTESSE伯爵夫人
Un gage.抵当を【要求する】【≒ (降参した)証しを 示しなさい】
Votre départ... évitez le courroux【つまり】 あなたたちの出発だ… 怒りを 避けなさい
de leurs maris.彼女たちの夫たちの

ISOLIERイゾリエ
Par un secret passage秘密の通路を通って
je vais guider vos pas, et votre page私は 案内するところだ あなたたちの歩みを、そして あなたたちの小姓が
fermera la porte sur vous.扉を閉じるよう あなたたちの面前で。

LE COMTE ORYオリー伯爵
C'est lui qui nous a joués tous.それは彼だ その者は 私たち 皆を 弄んだのは。
et votre page / fermera la porte sur vous.
fermer la porte sur qn ―の面前でドアをぴしゃりと閉める。

N. 12
[Final Ⅱ]

La comtesse
Isolier
Ragonde
Le comte Ory
CHŒUR
Moderato
4/4
C major
LA COMTESSE伯爵夫人
Ecoutez ces chants de victoire...聞きなさい あの 勝利の歌を…
ce sont de braves chevaliersそれは 勇敢な騎士たちの【勝利の歌】
que l'amour ainsi que la gloireその者たちは 愛を そして 栄光をも
ont ramenés dans leur foyers.持ち帰った 彼らの家々に。

LE COMTE ORYオリー伯爵
À l'hymen cédons la victoire,イメン【= ヒュメナイオス,結婚の神】に 譲ろう 勝利を、
et qu'il rentre dans ses foyers.そして 彼【= イメン】が 帰るように 彼の 家々に。
Quittons ces lieux hospitaliers.去ろう この 歓待の地を。

CHŒUR
Quittons ces lieux hospitaliers.去ろう この 歓待の地を。

(Isolier ouvre à gauche une porte secrète, par laquelle le comte Ory et ses chevaliers disparaisent. En ce moment s'ouvrent les portes du fond. Le duc et les chevaliers revenant de la Palestine entrent, précédés de leurs écuyers, qui portent des étendards et des faisceaux d'armes. Dame Ragonde et les autres femmes se précipitent dans les bras de leurs maris, et la comtesse dans ceux de son frère: puis Isolier va baiser la main du comte de Formoutiers, qui le relève et l'embrasse pendant le chœur suivant)(イゾリエは 開ける 左側【≒ 上手 かみて】で 秘密の扉を、それを通って オリー伯爵と 彼の騎士たちは 消え失せる。その瞬間に 奥の扉たちが 開く。公爵と 騎士たちが パレスチナから 帰って来て 入る、彼らの従者たちに 先行されて、その者たちは いくつかの軍旗を 担いでいる そして いくつかの武器の束を【担いでいる】。ラゴンド夫人と 他の女性たちは 飛び込む 彼女たちの夫の両腕の中に、そして 伯爵夫人は 彼女の兄のもの【≒ 両腕】に【飛び込む】: それから イゾリエは キスしに行く ド・フォルムティエ伯爵の片手に、その者は 彼を 起こし そして 彼を 抱擁する 次の合唱の間)

LA COMTESSE, RAGONDE, ISOLIER ET CHŒUR
Honneur aux fils de la victoire,敬意を【表そう】 勝利の息子たちに、
honneur aux braves chevaliers,敬意を【表そう】 騎士の両腕に、
que l'amour ainsi que la gloireその者たちは 愛を そして 栄光も
ont ramenés dans leurs foyers!持ち帰った 彼らの家庭に!

RAGONDEラゴンド
à son mari彼女の夫に
Seules, dans ce séjour, nous vivons d'espérance,この住処 すみか の中で、私たちは ただ 希望だけに 生きている、
attendant le retour de nos preux chevaliers!待ちながら 私たちの勇敢な騎士たちの帰還を!
Et nous n'avons reçu pendant cinq ans d'absence,そして 私たちは 迎えなかった 留守の5年の間、
aucun homme en ces lieux.いかなる男も この住処 すみか に。

ISOLIERイゾリエ
(aux maris)(夫たちに)
Vous êtes les premiers.あなたたちは 最初の者たちだ。

LA COMTESSE DE FORMOUTIER, RAGONDE, ISOLIER ET CHŒUR伯爵夫人,ラゴンド,イゾリエ と 合唱
Honneur aux fils de la victoire,敬意を【表そう】 勝利の息子たちに、
honneur aux braves chevaliers,敬意を【表そう】 騎士の両腕に、
que l'amour ainsi que la gloireその者たちは 愛を そして 栄光も
ont ramenés dans leurs foyers!持ち帰った 彼らの家庭に!

附録 バラード

原作ヴォードビルの初版台本に掲載されている、そのさらに原作となった中世から伝わるバラードを再録、ある程度自由に訳してみた。不正確なところがあるかもしれないので、あくまで参考に。

Le comte Ory, châtelain redouté,オリー伯爵、恐れられた城主は、
Après la chasse n'aime rien que la beauté狩りの後には 美女しか愛さない
Et la bombance, les combats et la gaieté.それから 宴会、戦い そして バカ騒ぎ【しか愛さない】
Le comte Ory disait, pour s'égayerオリー伯爵は言った、楽しむために
Qu'il voulait prendre le couvent de Formousliersフォルムスリエの女子修道院に忍び込むのだ、
Pour plaire aux nonnes et pour se désennuyer.修道女たちと仲良くなって、気晴らししよう。
-- Holà! mon page, venez me conseiller:―おい、小姓よ!何か良い考えはないか、
Que faut-il faire pour dans ce couvent entrer?あの修道院に忍び込むには、どうすればいい?
L'amour me berce, et je n'en puis sommeiller.愛が俺を奮い立たせ、ぐずぐずしてられない。
-- Sire, il faut prendre quatorze chevaliers,―殿様、14人の騎士をお集めください。
Et puis en nonnes il vous les faut habiller,そして修道女に変装して、
Puis à nuit close au couvent il faut aller.夜になったら修道院へ向かうのです。

-- Holà! qui frappe? qui mène si grand bruit?―おや!戸を叩くのはどなた?誰がこんな大きな物音をたてているの?
-- Ce sont des nonnes qui ne marchent que de nuit,―ここにいるのは、夜にしか出歩けない修道女たち、
Tant sont en crainte de ce maudit comte Ory.忌々しいオリー伯爵によって不安に陥れられているのです。
Survient l'abbesse, les yeux tout endormis:女子大修道院長がとても眠そうな目で現れる。
Soyez, Mesdames, bienvenues en ce logis;―ご婦人方よ、この館にようこそ。
Mais comment faire pour trouver quatorze litsさて14人分のベッドをどう調達しましょう。
Chaque nonnette, d'un cœur vraiment chrétien,修道女たちは皆とても親切で、
Aux étrangères offre la moitié du sien;各々のベッドの半分を、訪問者たちに空けてあげた。
-- Soit, dit l'abbesse, sœur Colette aura le mien.―ではコレット尼は私とご一緒に、と女子大修道院長は言う。
Or, sœur Colette, c'était le comte Ory,コレット尼、それはオリー伯爵、
Qui, pour l'abbesse, d'amour ayant appétit,彼は女子大修道院長に春情を抱きながら、
Dans sa peau grille de trouver la pie au nid.滅多にないお宝を我がものにしたくてたまらない。
Fraiche et dodue, œil noir et blanches dents,瑞々しくも肉づきよく、黒い瞳に白い歯、
Gentil corsage, peau d'hermine et pied d'enfant,優雅なブラウスに、白テンのような肌、そして子供のような脚、
La gente abbesse ne comptait pas vingt printemps.美しい女子大修道院長はまだ二十年の歳も数えていない。
Tous deux ensemble dans le lit bien pressés,二人は一緒にベッドに入る。
-- Ciel! dit l'abbesse... Ah! comme vous m'embrassez!―まあ!女子大修道院長は言う…ああ!あなたが私にキスするなんて!
-- Vrai Dieu! Madame peut-on vous aimer assez?―神様!修道院長様、貴女を深く愛してもよろしいでしょうか?
-- Holà! mes nonnes, venez me secourir,―おおい、修道女たち、助けに来て、
Croix et bannière, eau bénite allez quérir,十字架と教会旗、聖水を探してちょうだい、
Car je suis prise par ce maudit comte Ory.私はこの呪わしいオリー伯爵に捕らえられたてしまったの。
-- Cessez, Madame, cessez donc de crier;―おやめなさい、修道院長様、叫ぶのはおやめなさい、
Laissez en place eau bénite et bénitier,聖水も聖水盤も放っておきなさい、
Toutes vos nonnes ont chacune un chevalier.あなたの修道女たちにも各々騎士が横にいるのです。

Neuf mois ensuite, vers le mois de janvier,それから九ヶ月経った1月頃、
L'histoire ajoute comme un fait très-singulier,とても奇妙な出来事が物語に付け加えられた、
Que chaque nonne eut un petit chevalier.どの修道女も小騎士を授かったのだ。

参考資料

Le comte Ory / Giochino Rossini /Edité par Damien Colas / Bärenreter-Verlag Karl Vötterle GmbH & Co. KG, Kassel / 2014 / ISMN 979-0-006-55216-0

Le comte OryJuan Oncina
Le GouverneurIan Wallace
IsolierCora Canne-Meijer
RaimbaudMichel Roux
La comtesse de FormoutiersSari Barabas
RagondeMonica Sinclair
AliceJeannette Sinclair
Un jeune nobleDermot Troy

Glyndebourne Festival Orchestra and Chorus
Vittorio Gui

No.1 Abbey Road Studios, London
28-31 August, 1, 2 & 5 September 1956

EMI CLASSICS
CMS 7 64180 2

録音日と場所は THE VERY BEST OF GLYNDEBOURNE ON RECORD / EMI CLASSICS 2 642182 7に記載のあるもの。グラインドボーン音楽祭の上演を元に、ロンドンで行われた商業用録音。オーケストラは実際にはロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団である。

Juan Diego Flórez, Stefania Bonfadelli, Marie-Ange Todorovitch, Bruno Praticò, Alastair Miles, Marina De Liso, Rossella Bevacqua
Orchestra del Teatro Comunale di Bologna, Coro da Camera di Praga
Jesús López Cobos
Pesaro, August 2003
DEUTSCHE GRAMMOPHON 477 5020

ROFの上演のライヴ録音。公演は2003年8月10、13、16、19、22日に行われました。

Huw Rhys-Evans, Linda Gerrard, Luisa Islam-Ali-Zade, Luca Salsi, Wojtek Gierlach, Gloria Montanari, Sofia Soloviy
Czech Chamber Soloists, Czech Phiharmonic Choir
Brad Cohen
Bad Wildbad, 12, 16, 19 July 2002
NAXOS 8.660207-08

バート・ヴィルトバートのロッシーニ音楽祭での上演のライヴ録音。

Marc Laho, Annick Massis, Diana Montague, Ludovic Tézier, Julien Robbins, Jane Shaulis, Stella Woodman
London Philharmonic Orchestra, Glyndebourne Festival Chorus
Andrew Davis
Jérôme Savary, Ezio Toffolutti
Glyndebourne, July & August1997
KULTUR D 2983 (DVD NTSC)

グラインドボーン音楽祭での上演のライヴ収録。初日は1997年7月20日で、8月まで計13回上演されました。

John Aler, Sumi Jo, Diana Montague, Gino Quilico, Gilles Cachemaille, Raquel Pierotti, Maryse Castets, Francis Dudziak, Nicolas Rivenq
Orchestre et CHŒUR de L'Opéra de Lyon
John Eliot Gardiner
Lyon, February & March 1988
PHILIPS 422 406-2

Michel Sénéchal, Renée Doria, Adrienne Miglietti, Robert Massard, Xavier Depraz, Nadia Putar
Orchestre et CHŒURs de l'Opéra de Strasbourg
Pierre Stoll
1961
BOURG BGC 70-71

Michel Sénéchal, Françoise Ogéas, Micheline Granger, Robert Massard, André Vessières, Solange Michel, Simone Codinas, Gérard Friedmann
Orchestre Radio-Lyrique, CHŒURs de la RTF
Désiré-Émile Inghelbrecht
Paris, 21 September 1959
LE CHANT DU MONDE LDC 278 893/94




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